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【発明の名称】 既存樹木の保護方法
【発明者】 【氏名】安田 邦男

【要約】 【課題】既存樹木の保護処置を講ずるための既存樹木の保護方法に関する。

【解決手段】現場作業を行う際に、予め樹木医より種々の樹木保護資材を収納した樹木保護箱を購入して作業現場に設置しておき、作業現場での作業前、作業中または作業終了後に既存樹木の損傷または樹木植栽地帯周辺での現場作業によって既存樹木の成育に悪影響が発生した場合、樹木医にリアルタイムに通信可能な通信手段を用いて樹木保護処置のための診断指導を受け、樹木医の診断指導に基いて樹木保護箱内の樹木保護資材を用いて樹木の損傷発生予防処置を始め、既存樹木の保護作業をリアルタイムに行うようにした既存樹木の保護方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 既存樹木が植栽されている周辺で土木、建設、造園等の現場作業を行う際に、予め樹木医より種々の樹木保護資材を収納した樹木保護箱を購入して上記作業現場に設置しておき、作業現場での作業前作業中または作業終了後に既存樹木の損傷または樹木植栽地帯周辺での現場作業によって既存樹木の成育に悪影響が発生した場合、またはその恐れのある場合に、樹木医にインターネットメール、ファクシミリあるいは携帯電話等のリアルタイムに通信可能な通信手段を用いて樹木保護処置のための診断指導を受け、該樹木医の診断指導に基いて上記樹木保護箱内の樹木保護資材を用いて樹木の損傷発生予防処置を始め、既存樹木の保護作業をリアルタイムに行うようにした既存樹木の保護方法。
【請求項2】 前記通信手段は、インターネットメール、ファクシミリ、あるいは携帯電話等の画像通信可能な通信手段である請求項1に記載の既存樹木の保護方法。
【請求項3】 樹木医の通信手段による遠隔診断指導の結果、必要に応じて作業現場での直接診断指導を行うことができる請求項1又は2に記載の既存樹木の保護方法。
【請求項4】 前記直接診断指導は作業現場の土壌膨軟化作業又は土壌改良作業を含む請求項3に記載の既存樹木の保護方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、植栽されてから長年月が経ることによりかなりの大きさに成長した樹木の周辺で土木、建築または造園等の現場作業を行うに当って、現場作業が原因で既存樹木にその成育に支障をきたす損傷等が発生する恐れがある場合、又は損傷が発生した場合に、該既存樹木の保護処置を講ずるための既存樹木の保護方法に関する。
【0002】
【従来の技術】最近の自然環境保護の見地より、植栽されている既存樹木をできるだけ伐採しないで、その既存樹木地帯の周辺で土木、建築または造園等の現場作業が行われる場合が多々ある。
【0003】このように既存樹木の周辺で現場作業を行うと、その作業途中で作業機械が樹木に当って、その根や幹や枝に損傷を与え、その損傷個所が原因で枯木や樹木の倒壊または樹勢が衰退するという事故が発生している。
【0004】上記のように、既存樹木は損傷を受ける前に損傷を回避する手段が講じられることが好ましいが、損傷を受けた場合には、最も重要なことはその損傷口を出来るだけ早期に養生することである。
【0005】この養生時期は出来るだけ早期に、できれば損傷を受けた直後に素早く養生作業を行うことが好ましい。
【0006】しかし従来にあっては、樹木損傷を回避する手段を講じることはなく、また損傷を受けた樹木を養生するための設備が存在せず、またどのように養生作業を行ってよいのか分からないため、そのまま放置している場合が殆どあり、あるいは養生することができたとしても、かなりの時間が経過した後に行うため養生が不充分に終り、樹木の枯れ、樹木の倒壊等の原因となっていた。特に既存樹木は、損傷を受けた直後に枯木、樹勢の衰退等の現象が生起することはなく、その後年単位で徐々に枯木の発生あるいは樹勢の衰退をきたす場合が殆どであり、そのような現象に気付いたときには、これらの樹木を養生するための費用と時間が多大に必要となり、時には最早や養生作業が不可能であることもある。
【0007】
【発明が解決しようとする問題点】上述のように、作業現場近辺の既存樹木の損傷の予防や養生を早期に行うことができないのは、作業現場に養生を行うための人材や設備を有しないためである。また、例え養生設備が作業現場に備わっていても、樹木損傷の具合によって適切な処置方法が分らないからである。
【0008】従来では、これらの点が不充分、不完備であったため既存樹木の養生を殆ど行うことができなかった。
【0009】本発明は、これらの問題点を解消することを目的とするものである。
【0010】
【問題点を解決するための手段】上記の問題点を解消するために、請求項1に係る発明にあっては、既存樹木が植栽されている周辺で土木、建設、造園等の現場作業を行う際に、予め樹木医より種々の樹木保護資材を収納した樹木保護箱を購入して上記作業現場に設置しておき、作業現場での作業前、作業中または作業終了後に既存樹木の損傷または樹木植栽地帯周辺での現場作業によって既存樹木の成育に悪影響が発生した場合、またはその恐れのある場合に、樹木医にインターネットメール、ファクシミリあるいは携帯電話等のリアルタイムに通信可能な通信手段を用いて樹木保護処置のための診断指導を受け、該樹木医の診断指導に基いて上記樹木保護箱内の樹木保護資材を用いて損傷発生予防処置を始め、既存樹木の保護作業をリアルタイムに行うようにした既存樹木の保護方法を採用するものである。
【0011】また請求項2に係る発明にあっては、前記通信手段は、インターネットメール、ファクシミリ等の画像通信可能な通信手段である請求項1に記載の既存樹木の保護方法を採用するものである。
【0012】また、請求項3に係る発明にあっては、樹木医の通信手段による遠隔診断指導の結果、必要に応じて作業現場での直接診断指導を行うことができる請求項1又は2に記載の既存樹木の保護方法を採用するものである。
【0013】また、請求項4に係る発明にあっては、前記直接診断指導は作業現場の土壌膨軟化作業又は土壌改良作業を含む請求項3に記載の既存樹木の保護方法を採用するものである。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明は、樹木医によって既存樹木の保護、育成のための診断指導が行われることを一つの構成要件とする。
【0015】樹木医とは、樹木の診断及び治療、後継樹の保護育成並びに樹木保護に関する知識の普及及び指導を行う高度の知識と経験を有する専門家であり、財団法人日本緑化センターが実施する樹木医資格審査に合格し、樹木医として財団法人日本緑化センターの樹木医登録者名簿に登録された資格者をいう。
【0016】また本発明の構成要件の一つは、図1に示すように既存樹木が植栽されている周辺で土木、建設、造園等の現場作業を行う際に、予め樹木医より種々の樹木保護資材を収納した樹木保護箱を購入して上記作業現場に設置しておくことである。
【0017】樹木保護資材を収納した樹木保護箱は、いわば緑化のための「緑の救急箱」ともいうべきものである。この樹木保護資材を収納した樹木保護箱は、施工業者等が予め樹木医よりプリぺイド制度により購入し、これを作業現場に設置し、後日、樹木保護資材が使用されたときは、使用された資材の代金のみが精算され、使用されない資材は返却し払戻しを受けるようにしてもよく、あるいは全資材を予め買い取っておくことも可能である。更には後日の使用により不足資材が発生した場合には宅配便等にて樹木医より至急に調達可能としてもよい。
【0018】樹木保護資材としては種々のものを挙げることができる。
【0019】例えば応急処置に必要な薬剤としてユゴーザイ、カルスメイト、トップジン、Mペースト、バッチレート、硫酸第一鉄等、また、樹木の根が切断された時の保護資材として木炭、コモ、腐蝕性ビニール、ピートモス、多孔性火山媒土、ウレタンマット、バンドストッパー、あるいは簡易灌水設備、自動灌水制御機、散水装置、簡易ホース、ジョイント、作業器具、のこぎり、剪定鋏などがある。尤も上記灌水設備等の大型設備についてはレンタル方式で借り込れ、使用後返却するようにしてもよい。
【0020】上述の保護資材としての木炭は、樹木医の指導のもとで、作業現場から排出される樹木切断材を利用し、これを木炭化し、木炭化時に発生する木酢液を現場でき破砕コンクリート砕石の中和に使用したり、木炭をウッドチップと混合してマルチングしたり、木炭やウッドチップを使って昆虫が生息する環境を作り出すようにしてもよい。
【0021】更に作業現場では、樹木保護啓蒙用の幟や標識が設置される場合があり、また樹木保護のための講習会を始め、啓蒙ビラやビデオテープなども樹木保護資材として予め樹木保護箱に付属させるようにしてもよい。
【0022】以上のように、既存樹木の保護資材としては種々のものを挙げることができる。
【0023】更に本発明の最も重要なとこは、図1に示すように作業現場での作業前、作業中または作業終了後に既存樹木の損傷たまは樹木植栽地帯周辺での現場作業によって既存樹木の成育に悪影響が発生した場合、またはその恐れのある場合に、樹木医にインターネットメール、ファクシミリあるいは携帯電話等のリアルタイムに通信可能な通信手段を用いて樹木保護処置のための診断指導を受けることである。
【0024】樹木医による樹木保護処置のための診断指導はリアルタイムに通信可能な通信手段を用いることが必要である。
【0025】この通信手段は、可能な限り作業現場の状況を目視的に把握できるよう現場写真、例えばデジタルカメラ、ビデオカメラ等で撮影した内容をインターネット、ファクシミリ、画像電送機能付携帯電話等の画像通信可能な通信手段が好ましい。
【0026】樹木医は、電送された画像面を目視することによって、樹木の種類、樹木の損傷予察、損傷の具合、あるいは樹木周辺の状況等を把握して正確な遠隔診断指導を通信手段によってリアルタイムに行うことができる。
【0027】樹木の根や幹あるいは枝が現場作業時に作業工具あるいは作業機械によって削り取られてたり切断された場合には、できるだけ早期に通信手段によって樹木医の診断指導を仰ぐ必要がある。しかも樹木医は、作業現場からの報告により、即座に診断指導を同じく通信手段を用いてリアルタイムに行う。このように樹木損傷を受けた直後に、樹木医による診断指導に基づいて、前述の応急処置に必要な薬剤、例えばユゴーザイの損傷口への塗布、根切断時における木炭、コモ等の保護資材の根切断口への被覆を行わなければならない。リアルタイムな処置を逸すると、損傷口より土壌病害や木材腐朽菌の侵入あるいは根切断口から空気の侵入等によって根が乾き、枯木や樹勢衰退等の発生の原因となるからである。
【0028】上述のように、本発明においては、作業現場と樹木医との間で、リアルタイムに通信手段によって交信することを一つの特徴とする。例えば、通信手段によって樹木医は作業現場の樹木の状況の報告を受け、この報告に基づいて樹木医は作業現場に直接に往診することも考えられるが、もし作業現場に往診するとなれば、往診のための移動時間を必要としてリアルタイムに診断指導できないため、既存樹木の保護作業が不充分に終わる可能性がある。しかも樹木医が作業現場に出張往診するための費用が嵩み、作業現場においても、樹木医においても、能率的に処理することができない恐れがある。
【0029】しかし一方、前述のように樹木医が通信手段を用いてリアルタイムに損傷予防や応急処置を指示するなど診断指導した後に、作業現場に往診したり定期巡回するようにしてもよい。
【0030】これは、樹木医が作業現場に直接に往診することによって、より一層、既存樹木周辺の状況を把握することができるからである。
【0031】既存樹木の周辺で、土木、建設または造園等の現場作業を行うため、その周辺地帯が通路として使用されたり、資材の出し入れやパワーショベル等の作業機械によって踏み固め、即ち堅密化され、これが原因で地表付近の根が酸素不足で窒息死したり、樹木、例えばクロマツの根に着生する菌根菌の死滅の原因となるが、この場合に樹木医による診断指導によって堅密化個所の土壌の膨軟化作業や土壌改良作業を行うことによって酸素不足の解消、菌根菌の育成を図ることができる。土壌の膨軟化作業は、例えば周知の深耕作業機によって地中に圧縮空気を強制的に送り込みながら吹起(又は爆起)し、土壌を膨軟化する作業をいう。また土壌改良作業の一例は、既存樹木周辺の古い土壌を撤去し、この後に無機質資材、例えばゼオライトやパーライトを混合したり、有機質資材、例えば牛糞堆肥(完熟牛糞堆肥)、鶏糞堆肥、豚糞堆肥、バーク堆肥(完熟樹皮堆肥)、汚泥堆肥、泥炭(ピートモス等)、化学肥料等を混合して新しい土壌に置き換えるようにする作業を挙げることができる。
【0032】更に、既存樹木の周辺の土壌膨軟化作業後に、再び踏み固め等により土壌が再び堅密化されないように、その周辺一面に扁平状の桟橋を設ける作業を樹木医の指導のもとに行うようしてもよい。
【0033】
【発明の効果】請求項1に係る発明によれば、既存樹木が植っている周辺で土木、建設、造園等の現場作業を行う作業前、作業中または終了後に既存樹木の成育に悪影響が発生した場合、またはその恐れがある場合に、リアルタイムに通信可能な通信手段によって遠隔地から樹木の保護育成に関する高度な樹木医の診断指導を受け、この診断指導に基づいて予め樹木医より購入して作業現場に設置してある樹木保護箱から必要とする樹木保護資材を取り出し、障害発生の予防処置を講じたり、損傷した樹木の養成作業をリアルタイムに正確に行うことができるため、樹木の枯木化、樹木の倒壊または樹勢の衰退を可能な限り阻止することができる。
【0034】即ち、本発明は、予め作業現場に樹木医より購入した樹木保護資材入りの樹木保護箱を設置していること、不測時の発生または発生の恐れのあるときに通信手段によって樹木医より樹木の状況について診断を受け、損害発生予防処置を行ったり、樹木保護箱内の樹木保護資材の使用方法の指導を受けることを特徴とし、これによって現場作業者は樹木に関する知識・取り扱い方法を知らなくとも適切に樹木保護対策を講ずることができる。
【0035】しかも樹木医はいちいち作業現場に出向くことがないから能率的に処理でき、しかもリアルタイムに通信可能な通信手段によって診断指導を行うことができるから、樹木損傷の発生予防や損傷の発生の際の可及的速やかな養生作業に貢献することができる。
【0036】請求項2に係る発明によれば、樹木医と作業現場との間をインターネットメール、ファクシミリ、携帯電話等の画像通信可能な通信手段によって交信するようになっているため、作業現場の樹木の損傷発生予察や損傷状態あるいは樹木周辺の土壌の状態を通信手段によって電送される画像面で目視することができるから、樹木医は、より正確に作業現場の状況を判断することができ、これによって、より一層正確な診断指導を作業現場に与えることができる。
【0037】請求項3に係る発明によれば、上述のように樹木医は、作業現場に対し遠隔地よりリアルタイムに通信可能な通信手段を用いて樹木保護のための診断指導を行うのであるが、その後に必要に応じて作業現場に出向き、直接に診断指導することによって、より正確に樹木の長期にわたる保護育成に貢献することができる。
【0038】請求項4に係る発明によれば、作業現場での直接診断指導の際に、必要に応じて土壌膨軟化作業又は土壌改良作業を行うことによって、樹木の樹勢回復に、より一層貢献することができる。
【出願人】 【識別番号】594144658
【氏名又は名称】株式会社グリーンメンテナンス
【出願日】 平成13年2月7日(2001.2.7)
【代理人】 【識別番号】100069578
【弁理士】
【氏名又は名称】藤川 忠司
【公開番号】 特開2002−233245(P2002−233245A)
【公開日】 平成14年8月20日(2002.8.20)
【出願番号】 特願2001−30340(P2001−30340)