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【発明の名称】 接ぎ木ホルダ
【発明者】 【氏名】那須野 泰弘

【要約】 【課題】軟質硬質等を限定せずとも、外周溝を設けることにより、均一な握力が得られるため、導管や形成層が過圧されず、接ぎ木成功率が飛躍的に高くなるとともに、健康な苗を成育することのできる接ぎ木ホルダを提供する。

【解決手段】周壁の一部が切溝111,112によって開放し、かつ、一方を潰すように外周から外力を与えた場合に他方が拡開するように相互に連結した一対の弾性筒状部11,12を有し、当該弾性筒状部11,12によって台木Xと接穂Yとの接合部を囲繞するようにした接木ホルダ10において、各弾性筒状部11,12の外周面にそれぞれ軸方向に沿って外周溝14を設ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 周壁の一部が開放し、かつ、一方を潰すように外周から外力を与えた場合に他方が拡開するように相互に連結された一対の弾性筒状部を有し、当該弾性筒状部によって台木と接穂との接合部を囲繞するようにした接ぎ木ホルダにおいて、前記弾性筒状部の外周面に軸方向に沿って外周溝を設けた、ことを特徴とする接ぎ木ホルダ。
【請求項2】 請求項1に記載の接ぎ木ホルダにおいて、前記外周溝は、横断面が外周方向に向けて拡開するV字状である、ことを特徴とする接ぎ木ホルダ。
【請求項3】 請求項1または請求項2に記載の接ぎ木ホルダにおいて、前記一対の弾性筒状部を連結する相互連結部に個々の内周面からそれぞれ軸方向に沿って内周溝を設けた、ことを特徴とする接ぎ木ホルダ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、台木と接穂との接合部を囲繞する接ぎ木ホルダに関する。
【0002】
【従来の技術】この種の従来技術としては、例えば特開平9−294465号公報の図3に示されるものがある。すなわち、この従来技術の接ぎ木ホルダは、外周を介して相互に連結した一対の弾性筒状部を有し、一方の弾性筒状部に台木と接穂との接合部を収容させるようにしたものである。接ぎ木ホルダの各弾性筒状部は、弾性に富んだ合成樹脂材によって成形されたもので、相互連結部に対向する周壁が開放しており、一方の弾性筒状部を潰すように外周から外力を与えた場合に他方の弾性筒状部が拡開するようになっている。
【0003】この接ぎ木ホルダによれば、弾性筒状部を拡開させた状態でその内部に台木および接穂を挿入することにより、その後、これら台木および接穂の接合部が当該弾性筒状部によって弾性的に囲繞されるため、両者が活着して所定の大きさまで成育するまでの間、台木と接穂との接合部を圧着保持しておくことができるようになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、合成樹脂材の中には、紫外線や温度変化等の外因、あるいは、経時劣化等の内因により順次硬化するものがある。このような合成樹脂材を用いて接ぎ木ホルダを構成した場合には、台木と接穂との接合部を囲繞する弾性筒状部が植物の成長に伴って十分に拡開されず、逆に当該接合部を締め付け、導管や形成層を過圧する虞れがあり、植物の成育を妨げる原因ともなり得る。
【0005】こうした事態は、接ぎ木ホルダを構成する合成樹脂材を限定し、種々の要因によっても硬化し難いもののみを用いることで解決することが可能である。しかしながら、適用する材料を限定する場合には、好適なものを選択する範囲が狭く、作業が煩雑になる。さらに、限定した材料によっては、成形性や量産性が劣る、製造コストの低減を図ることが困難になる等々、別の側面で新たな問題を招来する虞れがある。
【0006】本発明は、上記した実情に鑑みて、軟質硬質等を限定せずとも、外周溝を設けることにより、均一な握力が得られるため、導管や形成層が過圧されず、接ぎ木成功率が飛躍的に高くなるとともに、健康な苗を成育することのできる接ぎ木ホルダを提供することを解決課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、周壁の一部が開放し、かつ、一方を潰すように外周から外力を与えた場合に他方が拡開するように相互に連結された一対の弾性筒状部を有し、当該弾性筒状部によって台木と接穂との接合部を囲繞するようにした接ぎ木ホルダにおいて、前記弾性筒状部の外周面に軸方向に沿って外周溝を設ける。
【0008】前記外周溝は、横断面が外周方向に向けて拡開するV字状であることが好ましい。また、一対の弾性筒状部を連結する相互連結部に、個々の内周面からそれぞれ軸方向に沿って内周溝を設けることが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、実施の形態を示す図面に基づいて本発明を詳細に説明する。図1および図2は、本発明に係る接ぎ木ホルダの一実施形態を示すものである。ここで例示する接ぎ木ホルダ10は、弾性を有する合成樹脂材によって成形したもので、互いに内径が異なる一対の弾性筒状部11,12を有している。これら弾性筒状部11,12は、周壁の一部が切溝111,121によって開放した円筒状を成し、かつ、一方を潰すように外周から外力を与えた場合に他方が拡開するように、互いに外周部を連結した形状に一体成形されている。各弾性筒状部11,12の切溝111,121は、相互連結部13からそれぞれほぼ180°離隔した位置に個々の軸方向に沿って設けてある。接ぎ木ホルダ10を構成する合成樹脂としては、上述したように弾性を有するものであれば任意のものを用いてもよいが、接ぎ木の接合状態を外部から容易に視認できるようにするため、透明のものを用いることが好ましい。弾性筒状部11,12の内径や長さに関しては、接ぎ木すべき植物に応じて適宜な値に設定すればよい。
【0010】図からも明らかなように、上記接ぎ木ホルダ10には、個々の外周面および内周面にそれぞれ外周溝14および内周溝15を設けてある。これら外周溝14および内周溝15は、いずれも開口側に向けて漸次幅が広がるV字状を成すものである。このうち、接ぎ木ホルダ10の外周溝14は、各弾性筒状部11,12に2カ所ずつ設けたもので、上述した切溝111,121からほぼ90°離隔した位置に、それぞれ軸方向に沿って形成してある。これに対して接ぎ木ホルダ10の内周溝15は、弾性筒状部11,12の相互連結部13においてそれぞれ切溝111,121に対向する位置に、個々の軸方向に沿って1つずつ設けてある。
【0011】上記のように構成した接ぎ木ホルダ10によって接ぎ木を行う場合には、まず、これら接ぎ木しようとする台木Xおよび接穂Yの大きさに応じた弾性筒状部11,12を選択する。
【0012】次いで、図3に示すように、この選択した一方の弾性筒状部11の切溝111が拡開するように、他方の弾性筒状部12を外周から潰すように押圧操作する。
【0013】この状態から拡開した一方の弾性筒状部11に台木Xおよび接穂Yを収容させ、両者の切断面を互いに接し合わせた状態で上述した外力を除去する。接ぎ木ホルダ10に加えていた外力を除去すると、拡開状態にあった弾性筒状部11が弾性復元力によって元の形状に復帰し、当該弾性筒状部11によって台木Xおよび接穂Yの接合部を均一な握力で弾性的に囲繞することができるようになる。
【0014】最後に、他方の弾性筒状部12に添え木Zを挿入してこれを地中に突き刺せば、図4に示すように、添え木Zを介して接ぎ木ホルダ10の位置が維持されるようになり、冠水などに曝された場合にも、台木Xおよび接穂Yの接合部が密着して所定の大きさまで成育するまでの間、両者を圧着保持させておくことができるようになる。
【0015】ここで、上記接ぎ木ホルダ10によれば、弾性筒状部11,12の外周面に2つの外周溝14を設けているため、紫外線や温度変化等の外因、あるいは、経時劣化等の内因によって弾性筒状部11,12が硬化した場合であっても、図2中の二点鎖線で示すように、各外周溝14を設けた部分を支点として容易に拡開することが可能である。さらには、弾性筒状部11,12の内周面にも内周溝15を設けているため、当該内周溝15の作用によって弾性筒状部11,12の拡開がより一層容易となる。従って、弾性筒状部11,12が均一な圧力で接合部を摘む状態であるため、導管や形成層が過圧されず、接ぎ木成功率が飛躍的に高くなる。また、植物の胚軸が成長するのに伴って弾性筒状部11,12が均一な圧力で広がるため、接合部を締め付けることなく、また、ショックやストレス等を与えることなく健康な苗を成育させることができる。
【0016】しかも、上述した効果は、接ぎ木ホルダ10を構成する合成樹脂材の種類に何等左右されるものではない。この結果、接ぎ木ホルダ10を構成する場合の合成樹脂材として、成形性や量産性、あるいは、製造コストを最重視したものを選択することが可能になり、植物の成育に伴って弾性筒状部11,12が確実に拡開するという高性能な接ぎ木ホルダ10を、安価、かつ、大量に生産することができるようになる。
【0017】なお、上述した実施の形態では、弾性筒状部11,12の外周面において周壁を開放する切溝111,121からそれぞれほぼ90°離隔した位置に外周溝14を設けているが、外周溝14を設ける位置やその数は、必ずしもこれらに限定されず任意である。さらに、横断面がV字状を成す外周溝14を例示したが、外周溝14の横断面に関しても任意の形状でよい。
【0018】また、弾性筒状部11,12の内径が異なる接ぎ木ホルダ10を例示したが、弾性筒状部11,12の内径は同じであってもよい。さらに、弾性筒状部11,12が円筒状を成す接ぎ木ホルダ10を例示したが、円形を変形させた形状、例えば楕円形などの筒状であってもよい。
【0019】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、弾性筒状部の外周面に軸方向に沿って外周溝を設けているため、仮に、種々の要因によって弾性筒状部が硬化した場合であっても、この外周溝を設けた部分を支点として容易に拡開することが可能になる。従って、弾性筒状部が均一な圧力で接合部を摘む状態であるため、導管や形成層が過圧されず、接ぎ木成功率が飛躍的に高くなる。また、植物の胚軸が成長するのに伴って弾性筒状部が均一な圧力で広がるため、接合部を締め付けることなく、また、ショックやストレス等を与えることなく健康な苗を成育させることができる。しかも、上述した効果は、接ぎ木ホルダを構成する合成樹脂材の種類に何等左右されるものではない。この結果、接ぎ木ホルダを構成する合成樹脂材を何等限定する必要がなくなり、成形性や量産性に優れ、製造コストの低減を図ることが可能な材料を選択して製品を製造することが可能になる。
【出願人】 【識別番号】391002694
【氏名又は名称】ナスニックス株式会社
【出願日】 平成13年2月9日(2001.2.9)
【代理人】 【識別番号】100082669
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 賢三 (外2名)
【公開番号】 特開2002−233240(P2002−233240A)
【公開日】 平成14年8月20日(2002.8.20)
【出願番号】 特願2001−33530(P2001−33530)