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【発明の名称】 塊根小切片による甘しょ育苗法
【発明者】 【氏名】山下 正隆

【氏名】山川 理

【要約】 【課題】

【解決手段】以下の工程:(a)甘しょイモを丸イモのまま、甘しょの生育に適した温度の水に浸漬する工程;
【特許請求の範囲】
【請求項1】 以下の工程:(a)甘しょイモを丸イモのまま、甘しょの生育に適した温度の水に浸漬する工程;
(b)該甘しょイモを皮付き切片に分割する工程;
(c)該切片を、工程(b)の直後に水洗する工程;
(d)該切片をキュアリング処理する工程;及び(e)該切片を、培地上に配置して、該切片を乾燥させない条件下、28℃〜32℃で培養し、これにより不定芽を形成させる工程;を含む、甘しょの不定芽を形成する方法。
【請求項2】 前記工程(a)における甘しょの生育に適した温度が20℃〜30℃である請求項1記載の方法。
【請求項3】 前記工程(a)における浸漬の期間が2〜4日間である請求項1記載の方法。
【請求項4】 前記工程(b)において、甘しょイモを5g〜20gの皮付き切片に分割する請求項1記載の方法。
【請求項5】 前記工程(e)における培地が、水分を含ませた保湿性培地である請求項1記載の方法。
【請求項6】 以下の工程:(a)甘しょイモを丸イモのまま、甘しょの生育に適した温度の水に浸漬する工程;
(b)該甘しょイモを皮付き切片に分割する工程;
(c)該切片を、工程(b)の直後に水洗する工程;
(d)該切片をキュアリング処理する工程;
(e)該切片を、培地上に配置して、該切片を乾燥させない条件下、28℃〜32℃で培養し、これにより不定芽を形成させる工程;及び(f)工程(e)により不定芽を形成した切片を、培地を充填した容器中において、該切片を乾燥させない条件下、甘しょの生育に適した温度で培養し、これにより甘しょの苗を生育させる工程;を含む、甘しょの苗を生産する方法。
【請求項7】 前記工程(a)における甘しょの生育に適した温度が20℃〜30℃である請求項6記載の方法。
【請求項8】 前記工程(a)における浸漬の期間が2〜4日間である請求項6記載の方法。
【請求項9】 前記工程(b)において、甘しょイモを5g〜20gの皮付き切片に分割する請求項6記載の方法。
【請求項10】 前記工程(e)及び(f)における培地が、水分を含ませた保湿性培地である請求項6記載の方法。
【請求項11】 前記工程(f)における甘しょの生育に適した温度が20℃〜30℃である請求項6記載の方法。
【請求項12】 前記工程(f)における培養の期間が10日間以上である請求項6記載の方法。
【請求項13】 請求項6〜12のいずれか一項に記載の方法によって得られる甘しょの苗。
【請求項14】 前記苗の芽長が3cm〜22cmであり、節数が5〜15節である請求項13記載の苗。
【請求項15】 請求項6〜12のいずれか一項に記載の方法によって得られる甘しょの苗を用いることを特徴とする甘しょの栽培方法。
【請求項16】 前記苗の芽長が3cm〜22cmであり、節数が5〜15節である請求項15記載の栽培方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、甘しょの新規育苗方法に関する。
【0002】
【従来の技術】甘しょの栽培は、丸イモから発生させた蔓を用いて苗を調製し、手作業で土中に移植することによって行われてきた。この方法における苗の調製段階では、通常、甘しょ塊根からの発芽部位はイモ全体ではなく、その上部のしょ梗に近い部分に限定される。従って、このような方法では、新芽数が少なく、十分な量の苗の確保には多数のイモと蔓の多回刈りが必要となるため、多くの種イモと労力が要求される。また、従来の蔓苗は柔らかく、着葉状態であるため、機械による移植が困難である。従って、蔓苗の移植は手作業に頼らざるを得ず、その移植作業には多大なる労力と時間を要する。
【0003】一方、農作業従事者の高齢化に対応するため、及び国際的な競争力を向上させるためには、労力の低減及び生産コストの低減を図る必要があり、そのために機械化に対応できる移植技術が望まれている。機械化されている甘しょの移植技術としては直播技術があるが、これは丸イモ又は2〜4分割したイモを機械移植に適用するものであり、蔓苗を用いる方法に比べると、甘しょイモの収量及び品質が低くなる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、蔓苗の調製及び採取にかかる時間及び労力を軽減し、甘しょイモの収量及び品質を向上させ、また、移植の機械化が可能となる甘しょ苗を低コストで生産することのできる甘しょの育苗方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、甘しょイモを丸イモのまま20℃〜25℃の水に浸漬し、これを皮付き切片に分割し、直ちに水洗し、該切片をキュアリング処理し、水分を含ませた保湿性の良い培地上、高湿条件下で該切片を培養することにより、ほぼ全ての切片において不定芽形成が促されることを見出し、本発明に至った。
【0006】すなわち、本発明は以下の発明を包含する。
(1)以下の工程:(a)甘しょイモを丸イモのまま、甘しょの生育に適した温度の水に浸漬する工程;
(b)該甘しょイモを皮付き切片に分割する工程;
(c)該切片を、工程(b)の直後に水洗する工程;
(d)該切片をキュアリング処理する工程;及び(e)該切片を、培地上に配置して、該切片を乾燥させない条件下、28℃〜32℃で培養し、これにより不定芽を形成させる工程;を含む、甘しょの不定芽を形成する方法。
【0007】(2)前記工程(a)における甘しょの生育に適した温度が20℃〜30℃である(1)記載の方法。
(3)前記工程(a)における浸漬の期間が2〜4日間である(1)記載の方法。
(4)前記工程(b)において、甘しょイモを5g〜20gの皮付き切片に分割する(1)記載の方法。
(5)前記工程(e)における培地が、水分を含ませた保湿性培地である(1)記載の方法。
【0008】(6)以下の工程:(a)甘しょイモを丸イモのまま、甘しょの生育に適した温度の水に浸漬する工程;
(b)該甘しょイモを皮付き切片に分割する工程;
(c)該切片を、工程(b)の直後に水洗する工程;
(d)該切片をキュアリング処理する工程;
(e)該切片を、培地上に配置して、該切片を乾燥させない条件下、28℃〜32℃で培養し、これにより不定芽を形成させる工程;及び(f)工程(e)により不定芽を形成した切片を、培地を充填した容器中において、該切片を乾燥させない条件下、甘しょの生育に適した温度で培養し、これにより甘しょの苗を生育させる工程;を含む、甘しょの苗を生産する方法。
【0009】(7)前記工程(a)における甘しょの生育に適した温度が20℃〜30℃である(6)記載の方法。
(8)前記工程(a)における浸漬の期間が2〜4日間である(6)記載の方法。
(9)前記工程(b)において、甘しょイモを5g〜20gの皮付き切片に分割する(6)記載の方法。
(10)前記工程(e)及び(f)における培地が、水分を含ませた保湿性培地である(6)記載の方法。
【0010】(11)前記工程(f)における甘しょの生育に適した温度が20℃〜30℃である(6)記載の方法。
(12)前記工程(f)における培養の期間が10日間以上である(6)記載の方法。
(13)(6)〜(12)のいずれか1つに記載の方法によって得られる甘しょの苗。
(14)前記苗の芽長が3cm〜22cmであり、節数が5〜15節である(13)記載の苗。
(15)(6)〜(12)のいずれか1つに記載の方法によって得られる甘しょの苗を用いることを特徴とする甘しょの栽培方法。
(16)前記苗の芽長が3cm〜22cmであり、節数が5〜15節である(15)記載の栽培方法。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
1.甘しょの不定芽を形成する方法及び甘しょの苗を生産する方法本発明は、甘しょの不定芽を形成する方法に関し、該方法は、以下の工程:(a)甘しょイモを丸イモのまま、甘しょの生育に適した温度の水に浸漬する工程;
(b)該甘しょイモを皮付き切片に分割する工程;
(c)該切片を、工程(b)の直後に水洗する工程;
(d)該切片をキュアリング処理する工程;及び(e)該切片を、培地上に配置して、該切片を乾燥させない条件下、28℃〜32℃で培養し、これにより不定芽を形成させる工程;を含む。
【0012】さらに、本発明は、上記の方法によって不定芽を形成した甘しょイモ切片を用いて甘しょの苗を生産する方法に関し、該方法は、上記工程(a)〜(e)に加えて、以下の工程:(f)工程(e)により不定芽を形成した切片を、培地を充填した容器中において、該切片を乾燥させない条件下、甘しょの生育に適した温度で培養し、これにより甘しょの苗を生育させる工程;を含む。
【0013】本発明の上記方法を適用し得る甘しょの品種は特に制限されない。甘しょの品種としては、例えば、ジェイレッド、高系14号、ベニアズマ、トサベニ、ベニオトメ、アヤムラサキ、九州132号及びコガネセンガンが挙げられる。本発明の上記方法による処理を開始する時期は特に制限されない。例えば、圃場への移植の時期に合わせて上記方法による処理を行うとよい。
【0014】本発明の上記方法は、上述の各工程を順次行うことによって実施することができる。以下、上記各工程について説明する。
(1)工程(a)について工程(a)は、甘しょイモを丸イモのまま、甘しょの生育に適した温度の水に浸漬する工程である。
【0015】甘しょのイモ(種イモ)は、通常、10月〜11月頃に収穫された後、畑に植えられる3月頃まで12℃〜14℃で貯蔵されており、その間は萌芽、発育等の生物学的活性を十分に発揮できない状態にある。本工程により、その生物学的活性が回復し、その後の萌芽、発育等が促進される。本明細書において、「イモ」とは、甘しょの塊根を意味し、「丸イモ」とは、1個の塊根の完全体を意味する。本発明の方法において用いるイモは、健全なものであればよく、いかなる大きさ、形状等を有するものであってもよい。
【0016】甘しょの浸漬温度(甘しょを浸漬する水の温度)は、甘しょの生育に適した温度であればよく、特に制限されないが、好ましくは20℃〜30℃、より好ましくは20℃〜25℃である。浸漬の期間は、貯蔵されていた種イモの生物学的活性を回復させるのに十分な期間であり、かつ、発芽しない程度の期間であればよく、特に制限されないが、好ましくは2〜4日間、より好ましくは3日間である。
【0017】(2)工程(b)について工程(b)は、該甘しょイモを皮付き切片に分割する工程である。該工程により得られる切片は、甘しょイモの皮が付着したままの切片である限りにおいていかなるものであってもよく、その大きさについては特に制限されない。ただし、該切片が大きすぎると、1個の甘しょイモから得られる苗の個数が少なくなり、該切片が小さすぎると、不定芽の形成が困難となる。従って、甘しょ苗の生産効率及び生産コスト、並びに該切片からの不定芽形成の促進の観点から、該切片の大きさは5g〜20gとすることが好ましく、より好ましくは8g〜15g、更に好ましくは10gとする。さらに、該工程により得られる切片に付着したままの皮の大きさは特に制限されないが、好ましくは(1.0cm〜1.5cm)×(1.5cm〜2.0cm)とする。
【0018】(3)工程(c)について工程(c)は、上記切片を、上記工程(b)の直後に水洗する工程である。該工程により、該切片における不定芽形成の効率を顕著に向上させることができる。該工程においては、該切片を、洗水が濁らなくなるまで水洗することが好ましい。
【0019】(4)工程(d)について工程(d)は、上記切片をキュアリング処理する工程である。「キュアリング処理」とは、一般に、甘しょイモの乾燥を防ぎながら、これを30℃で3日間処理することをいい、これにより、甘しょイモの表面にコルク層を形成して腐敗を防止することができる。本工程のキュアリング処理では、このような効果が得られる限りにおいてその温度及び処理期間は特に制限されないが、好ましくは28℃〜32℃、より好ましくは約30℃、最も好ましくは30℃で、好ましくは2〜4日間、より好ましくは約3日間、最も好ましくは3日間とするとよい。また、乾燥を防ぐ手段は特に制限されず、いかなる手段を用いてもよい。このような手段としては、例えば、キュアリング処理において、甘しょイモ切片を、多数の穴を空けたビニル袋に入れて処理する方法が挙げられる。
【0020】(5)工程(e)について工程(e)は、上記切片を、培地上に配置して、該切片を乾燥させない条件下、28℃〜32℃で培養し、これにより不定芽を形成させる工程である。該工程に用いる培地は、一般に植物の萌芽に用いられる培地であればいかなるものであってもよく、特に制限されないが、好ましくは、水分を含ませた保湿性培地である。本明細書において、「保湿性培地」とは、一旦水分を含ませるとその水分をある程度の期間保持することのできる培地をいう。このような培地は当業者に公知であり、特に制限されないが、好ましくはバーミキュライトが挙げられる。
【0021】切片を乾燥させない条件は、該切片の周囲の環境を高湿に保つことにより達成することができる。その手段は特に制限されないが、例えば、バーミキュライト等の上記の水分を含ませた保湿性培地を培地として用いると、このような条件を満たすことができる。上記培養は28℃〜32℃で行うことができるが、好ましくは30℃で行う。また、培養期間は不定芽形成に十分な期間とすることができ、その具体的期間の長さは特に制限されないが、好ましくは14〜22日間、より好ましくは20日間とする。
【0022】該工程においては、上記切片及び形成された不定芽の腐敗を防止するため、殺菌剤を散布することが望ましい。殺菌剤としては、腐敗菌の増殖を防止し、又は腐敗菌を死滅させることのできる薬剤であって、甘しょの生育を妨げないものであればいかなるものを用いてもよい。このような殺菌剤としては、例えば、ストレプトマイシンサルフェイト等のストレプトマイシン系の薬剤を用いることができる。殺菌剤の散布は、1回であってもよいし(例えば、該工程の処理の開始時に1回)、何回かに分けて(例えば、定期的に)行ってもよい。
【0023】(6)工程(f)について工程(f)は、上記工程(e)により不定芽を形成した切片を、培地を充填した容器中において、該切片を乾燥させない条件下、甘しょの生育に適した温度で培養し、これにより甘しょの苗を生育させる工程である。該工程に用いる培地は、一般に植物の育苗に用いられる培地であればいかなるものであってもよく、特に制限されないが、好ましくは、水分を含ませた保湿性培地である。このような培地は当業者に公知であり、特に制限されないが、好ましくはバーミキュライトが挙げられる。
【0024】切片を乾燥させない条件は、該切片の周囲の環境を高湿に保つことにより達成することができる。その手段は特に制限されないが、例えば、バーミキュライト等の上記の水分を含ませた保湿性培地を培地として用いると、このような条件を満たすことができる。甘しょの培養温度は、甘しょの生育に適した温度であればよく、特に制限されないが、好ましくは20℃〜30℃、より好ましくは25℃〜30℃である。
【0025】上記培養の期間は、苗が圃場又は畑への移植に適した形状となるのに十分な期間とすることができ、その具体的日数は特に制限されないが、好ましくは10日間以上、より好ましくは30日間以上、さらに好ましくは50日間以上である。上記培養においては、必要に応じて、潅水、施肥等を適宜行ってもよい。このような潅水及び施肥は、当業者であれば適切に行うことができるため、その具体的手段については特に制限されない。例えば、ハイポネックス等の液肥を用いて、潅水と施肥を同時に行うことができる。該工程において得られる甘しょ苗の形状は特に制限されないが、その芽長は、好ましくは3cm〜22cm、より好ましくは6cm〜22cm、最も好ましくは約20cmであり、その節数は、好ましくは5〜15節、より好ましくは10〜15節である。
【0026】2.本発明の方法によって得られる甘しょ苗及び該甘しょ苗を用いる甘しょの栽培方法本発明は、上記の苗の生産方法によって得られる甘しょの苗に関する。該甘しょ苗の形状は特に制限されないが、その芽長は、好ましくは3cm〜22cm、より好ましくは6cm〜22cm、最も好ましくは約20cmであり、その節数は、好ましくは5〜15節、より好ましくは10〜15節である。
【0027】本発明の甘しょ苗は、従来の蔓苗とは異なり、硬い蔓を有しているため、その圃場、畑等への移植を機械化することが可能となる。また、本発明の甘しょ苗はその端部に甘しょイモ切片を有しており、該切片から水分及び栄養分を補充することができるため、移植によるストレスを受けないか、又はこれを軽減する。さらに、本発明は、上記の甘しょ苗を用いることを特徴とする甘しょの栽培方法に関する。
【0028】該栽培方法は、甘しょの栽培に常用されている方法、例えば、圃場、畑等に苗を移植し、潅水、施肥、除草剤散布等を適宜行い、収穫する方法において、本発明の甘しょ苗を移植することにより行うことができる。移植の時期は、栽培を行う地域の気候によって異なり、当業者であれば適切に設定することができる。収穫の時期もまた、栽培を行う地域の気候によって異なり、当業者であれば適切に設定することができる。上記栽培方法によれば、甘しょの旺盛な生育が得られ、収穫される甘しょイモの収量が増加し、その品質(例えば、形状等)の向上が可能となる。
【0029】
【実施例】以下に実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。ただし、これらの実施例は説明のためのものであり、本発明の技術的範囲を制限するものではない。
〔実施例1〕甘しょの塊根小切片からの不定芽形成本実施例において、甘しょとしてはジェイレッド、高系14号、ベニアズマ、トサベニ、ベニオトメ、アヤムラサキ、九州132号及びコガネセンガンの8品種を用いた。
【0030】これら8品種の甘しょイモを丸イモのまま25℃の水に3日間浸漬した。これらの丸イモを、表面の皮を付けた状態で約10gの切片に切断した。切断後、直ちに該切片を水洗し、水が濁らなくなるまで洗浄を繰り返した。該切片を、多数の穴を空けたビニル袋(縦38cm×横27cm)に入れ、30℃で3日間インキュベートすることによりキュアリング処理した。ここまでの処理は、3月〜5月に行った。
【0031】以上のようにして得られた各品種の切片を、四角形のプラスチックトレイ(縦42cm×横29cm×深さ5cm)中、十分に水分を含ませたバーミキュライト上に置き、30℃で20日間培養した。その際に、切片の腐敗を防ぐために、時々、殺菌剤であるストレプトマイシンサルフェイト溶液(30mg/L,シグマ社製)を散布した。その結果、全ての品種において、図1に示すように、不定芽の形成が認められた。また、以下の表1に示すように、全ての品種について供試切片の70%以上が萌芽し、特に、ベニオトメを除く7品種では80%以上、アヤムラサキではほぼ100%の萌芽率を示した。
【0032】
【表1】

【0033】〔実施例2〕不定芽を形成した切片による苗の調製実施例1で得られたコガネセンガンの萌芽切片を、十分に水分を含ませたバーミキュライト210ml容紙コップ中、十分に水分を含ませたバーミキュライト上に移植し、天然光の下、25℃で50日間生育させた。その間、1/1000ハイポネックス溶液(ハイポネックス・ジャパン社製)を時々与えることにより、潅水及び施肥を行った。その結果、図2に示すように、芽長約20cm、節数14節の苗が得られた。
【0034】以上のようにして得られた苗を圃場に移植したところ、該苗の活着が速やかに起こり、その生育は顕著に旺盛であった。その際、従来の方法により調製した蔓苗を対照として用いて、50日間、30日間及び10日間生育させて得られた切片苗の、地上部の生育、上イモ(50g以上のイモ)の収量及びイモの形状を比較した。その結果を図3及び以下の表2に示した。
【0035】
【表2】

【0036】図3において、縦軸は1ヘクタールあたりの収量(t)を示す。また、各カラムの上部の縦線は標準誤差を示す。図3によれば、切片苗の地上部の生育は蔓苗区に比べて良好であり、上イモ収量は、30日苗区及び50日苗区において、蔓苗区に比べて多収となることがわかる。また、表2によれば、切片苗区では、蔓苗区に比べて良形イモ率、長径比及びイモ重のいずれもが高く、従って品質が良好であることがわかる。
【0037】
【発明の効果】本発明により、効率的な増殖が可能であり、良好に生育し、収穫されるイモの収量及び品質が向上する甘しょ苗が提供される。該苗は、機械を用いた移植にも適用可能である。
【出願人】 【識別番号】501203344
【氏名又は名称】独立行政法人 農業技術研究機構
【出願日】 平成13年2月5日(2001.2.5)
【代理人】 【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔 (外1名)
【公開番号】 特開2002−233236(P2002−233236A)
【公開日】 平成14年8月20日(2002.8.20)
【出願番号】 特願2001−28621(P2001−28621)