トップ :: A 生活必需品 :: A01 農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業




【発明の名称】 パイプ型水耕栽培ユニット及びその利用方法
【発明者】 【氏名】藤本 治生

【要約】 【課題】水、土壌の使用を最小限にとどめ太陽熱、風波等の自然エネルギーを多面的に利用した多様性、多機能生に富んだ植物栽培装置及びその方法の提供。

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】図1に示すように上部に栽培穴3を設けたパイプ管の両端を閉じ水密構造としその一端に給水用チューブ1を反対側(設置状況によっては同一端)且つ給水管差込口の下(圧送する場合は下でなくても良い)に排水用チューブ5を取り付け、給水用チューブより液肥となるような液体を連続的または非連続的に流し込みパイプ内に一定量の液体を保持し余剰分を排水用チューブ5を経て排出するもので前記栽培穴に直接苗や切り枝を差し込んだり図3,図4のような土壌保持方法を用いて植物を種子から水耕栽培することが出来るだけでなく図10が示すような保温と防鳥害となる器具のアタッチが出来る事と特徴とするパイプ型水耕栽培ユニット。
【請求項2】前記植栽穴3にロックウールにくるんだ種子や苗を入れたり、縦に切れ込みを入れたウレタンの隙間の部分に種子や苗を入れ水耕栽培を行うことを特徴とするパイプ型水耕栽培ユニット。
【請求項3】請求項1のパイプ管の断面形状に図1に示す円形以外の任意形状、色(透明を含む)を用いることを特徴とするパイプ型水耕栽培ユニット。
【請求項4】請求項1及び請求項3のパイプ管内部に礫、セラミック片、木炭等またはこれらを混ぜたもの入れパイプ内での根の活着状況を強化することを特徴とする前記パイプ型水耕栽培ユニット。
【請求項5】請求項1のパイプ型水耕栽培ユニットを図6のように牧柵状に配置し液肥栽培による生け垣を構成する事を特徴とするパイプ型水耕栽培ユニット利用生け垣及びその方法。
【請求項6】請求項1のパイプ型水耕栽培ユニットを図7のように屋根上に配置したり、ベランダのフェンス部分(図示せず)、屋上のコンクリート面(図示せず)に設置することによる屋根、屋上、ベランダで土壌の使用を押さえた事を特徴とする水耕栽培兼緑化装置及び方法。
【請求項7】請求項1のパイプ型水耕栽培ユニットを図8のようにビル、その他建造物の側面にワイヤー等によりすだれ状に配置し給水、排水チューブを連結し上下を固定し、使用出来ることを特徴とする建造物緑化装置及びその方法。
【請求項8】請求項1のパイプ型水耕栽培ユニット管内部に図9の22のような温水保持管を入れ、屋根上またはコンクリートの屋上、その他蓄熱しやすい場所等に設置し、温水を回収し同時に植物体や建物の高温化を防ぐことを特徴とする太陽熱温水器を兼ねたパイプ型水耕栽培ユニットによる温水取得装置及びその方法。
【請求項9】ハウス内部での水耕栽培において請求項7のようにパイプ型水耕栽培ユニットをすだれ状に垂らし、且つ、すだれ全体を上げ下ろしできる構造とすることによるハウスの立体的利用と作業性の向上を可能とする請求項1のパイプ型水耕栽培ユニット及びその利用法。
【請求項10】パイプ型水耕栽培ユニットを接続するに当たり、図5のような植裁パイプ・ジョイント(水平面での角度は直角でもよくその場合パイプを四角形にも設置できる。)の下部を密閉し汚泥排水用バルブ15を取り付けたものを用いこの水深の深くなった部分に空気を送り込むための空気管を通しエアレーションを行えると同時に汚泥の引き抜きや他の植栽パイプへの移動を行えるパイプ型水耕栽培ユニットの利用法であって、図11に示すように植栽用生け垣支柱16に組み込んで使用することもできる事を特徴とするジョイント装置及びその使用法。
【請求項11】各種廃水、富栄養化河川、湖沼水等を専ら液肥としてパイプ内に導き、チッ素、リン等を回収後排水するを特徴とする水質浄化装置としてのパイプ型水耕栽培ユニット。
【請求項12】植栽が行われたパイプ型水耕栽培ユニットを任意の手段(風、波等を含む)で揺らすことにより植物の根域に於ける酸素と養分の接触機会の増加及び有機性廃水投入時に於ける好気的分解を活性化させる一方、葉でのガス交換を活発化させ植栽植物の成長を促し且つ請求項11に於ける水質浄化効果を高めることを特徴とするパイプ型水耕栽培ユニットの設置法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は液肥または廃水を用いて行う水耕栽培と建造物の緑化、生け垣、太陽熱温水器等複数の目的を兼ねた植物栽培装置及びその応用分野に関する物である。
【0002】
【従来の技術】従来の水耕栽培は植物の栽培のみをその目的とし、本発明の様にパイプ型水耕栽培ユニットにより生け垣や屋根、屋上、ベランダ、建造物側壁等の緑化に応用するようなものはなかった。緑化技術においても本発明のようなパイプを用いた密閉式の水耕栽培技術はなかった。
【0003】またハウス内での水耕においてもその植栽方法はほぼ画一的であり本発明のようにハウス内の熱分布による効率や作業性により栽培装置その物を上下移動させる機能等は存在しなかった。
【0004】また、日中、植物栽培用パイプ管内に蓄積された熱エネルギーを温水という形で回収利用し、熱の撤去を行うため植栽用パイプの中に別のパイプを入れ温水を回収する装置などは存在しなかった。
【0005】また、植物を用いた水質浄化法は多数存在したが本発明のように前記植栽パイプを生け垣状に敷設し家庭廃水等の処理を平行して行う技術は存在しなかった。
【0006】また、植物の植栽が行われたパイプ型水耕栽培ユニットに風力、波力その他の自然エネルギーを作用させ動揺を与え栽培速度を上げる技術もこれまで例を見なかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】設置及び管理が簡単で利用法、機能面の双方に於ける多様性、多機能性があり、かつ、水資源の使用量を極限まで押さえられる植物栽培装置及びその応用法の提供である。
【0008】
【課題を解決するための手段】図1に示すような中空且つ水密構造のパイプ管に給水口を設け液肥となる液体を流し込む。パイプは通常ほぼ水平に設置し(状況によっては若干の角度を付けてもよい)、流し込む方法は位置エネルギーによるものでもポンプ等の動力によるものでも良い。流入した液体は排出口の高さまでパイプ管内部に保持され、余剰の液体は排水用チューブ5を通りそのままは排出しても良いし第2,第3の植栽パイプへと移動させても良い。最終液肥はそのまま排水しても良いがタンク等に貯めポンプで再循環させることもできる。一方、パイプ上部には植物を栽培するための栽培穴3が開けてあり、図3,図4及び図10が示すような土壌保持方法と植栽方法を用いて野菜、花器類を種子、苗から栽培する事が出来る。空心采、クレソン、柳のような植物であれば植栽穴3に苗を直接差し込みその根域が保持している液体に沈む一方、葉の部分が管の外に出るようにする事で液肥による栽培が十分可能となる。
【0009】この様な構造の植栽パイプを図6に示すように牧柵状に様に組み合わせ生け垣としたり、図7、図8が示す様に屋根面や建造物の側面に設置し緑化を行ったりする事も出来る。ベランダや屋上等も同様の方法で緑化することが可能である。
【0010】また、植栽パイプのジョイントの部分に図5の13にあるような装置を付けることによるパイプ内の液体を任意の深さに貯水し、ここに汚泥を落とし込みその後汚泥排出用バルブ15を通し引き出すこともできる。また、ジョイント底部にエアレーションパイプ等を差し込みばっきすいることにより液肥全体を好気化することも、逆にばっきしないことにより兼気状態とする事も出来る。植栽パイプを直列に並べジョイントごとにエアレーションを行う好気的ジョイントと行わない兼気的ジョイントを取り混ぜることにより窒素の硝酸化反応と脱窒反応の両反応を複数回繰り返すことも出来る。また、ジョイントは生け垣状に植栽パイプを敷設した場合、植栽用生け垣支柱16内部に組み込むことも出来る。
【0011】また、図8のように植栽パイプをすだれ状に吊り下げる方法をハウス内で用いることによりハウスを立体的に活用することが可能となる。この場合吊り下げているワイヤーを上下可動式とすることにより作業性を確保すると同時にハウス内の熱分布に合わせた植栽が可能となる。
【0012】また、すだれ状に植栽パイプを垂らし風波等により揺れをある程度許容する構造にすることにより葉でのガス交換と水中酸素濃度上昇及び液肥中の肥料成分の攪拌とそれに伴う根との接触機会増加等の効果をもたらす。
【0013】瓦屋根や屋上などの場所は夏場など50度以上の高温になる。この様な場所では植栽パイプ内の液体に多量の熱エネルギーが蓄積されるのが本発明においてはこの熱回収と建造物の冷却を促すため植栽パイプ内に図9に示すように給水管21、温水取り出し管24、温水保持管22、温水排水バルブ23等からなる簡単な装置を組み込み水道水等を別途供給し風呂などの温水供給に利用することもできる。この場合、植栽パイプに断熱性の高い素材を用い温水の冷却を押さえる事もできる。また、温水保持管は図9に示すように植栽パイプ内部で若干の角度を付けて設置することにより排水速度を増すこともできる。また、エア抜きパイプ20を用いることにより温水排水バルブ23が閉じた状態で給水することが可能になる。上下の位置関係で複数の植栽パイプが用いられている場合このエア抜きパイプは最も下位にある植栽パイプに取り付けられ、同エア抜きパイプの最上部は最も上位の植栽パイプ中温水保持管の最高水面より上にもってくる。
【0014】また、冬季や鳥類の被害が多い地域においては図10に示すような方法で透明ケース25を取り付け保温性と防鳥対策の両方を行うことが出来る。本発明においてはペットボトルの底の部分とキャップの上部を切り取り、ストッキングのような素材の極薄ネットをキャップとペットボトル本体の間に挟みこみキャップを締めてネットを固定し、これを植栽穴に逆さに突っ込み土壌材を入れ簡単に作ることが出来た。
【0015】いずれの場合もそうであるが土壌を用いる場合土壌保持ネットの一部は図10の様に絶えず液肥中にあり植物に水分と養分の両方を供給するものとしなければならない。
【0016】植栽パイプ内部の清掃は給水口から水道水等を流しつつ開閉可能な非常排水口6を開けここからの汚泥を排出させることもできるし、図2のようにパイプ両端を外して簡単に水洗することもできる。以上の様にして構造、設置及び管理が簡単で多機能、且つ多目的なパイプ型水耕栽培栽培ユニットおよびその応用技術としての方法を提供するものである。
【0017】
【発明の実施の形態】図1に示すような中空且つ水密構造のパイプ管(パイプ管断面の形状は任意である。)を水平に設置して給水用チューブ1を通し液肥となるような液体を送り込む。送水方法は位置エネルギーによるものでもポンプ等の動力によるものでも良い。液肥として流入した液体は流入口の反対側にある排出口の高さまでパイプ管内部に保持され、それを上回る分は排水口に取り付けられた排水用チューブ5から排出される。通常はこの排水用チューブを次のパイプの給水口に繋ぎ一部保水と余剰水排水を繰り返す。最終的にはそのまま排水しても良いし排水溜タンク26に貯めポンプで再循環させることもできる。一方、パイプ上部には植物を栽培するための穴を開け、図3,4が示すような土壌保持方法を用いて土壌材等を保持し野菜、花器類を種子から栽培する。図4のような下部が若干閉じた形状の土壌保持キャップ9の内側に土壌保持ネット10を取り付け土壌材を入れ植栽穴3に差し込みネット下部が保持されている液体に接触するようにセットすることで土壌の乾燥を防ぐと共に植物に対する養分の供給を行うことが可能となる。
【0018】当然、通常の水耕栽培で用いられているようなロックウール等の素材に種を埋め込んでも植栽穴に丁度入るようなウレタン片を切断し種を挟み込んでから重ね合わせ植栽穴に挿入しておくといった方法で発芽させることも可能である。空心采、クレソンのような水性の植物であれば植栽穴3に苗を直接差し込みその根域がパイプ内に保持している液体に浸かり葉の部分が管の外に出るように植栽する事で液肥による栽培が可能である。
【0019】この様な構造の植栽パイプを図6に示すように植栽用生け垣支柱16により複数本を牧柵状に組み合わせ給水と排水チューブを直列に接続することにより水耕栽培による生け垣を構成することが出来る。この場合、最上段の植栽パイプからの排水を第2段の植栽パイプの給水口に接続する方法を用いることで複数の植栽パイプを自由に配置することが可能である。また、排水口と給水口の高さを同じにすれば同一の水平レベルに設置された植栽パイプへの給水も可能であり生け垣を連続的に横に延ばすことも出来る(図示せず)。
【0020】一方、図7の様に屋根面に設置し屋根緑化を行ったりする事も出来るし、屋上であればフェンス下部に植栽パイプを設置しツル科のアサガオ、豆等をフェンスを支え棒に利用して栽培することもできる。
【0021】また、図8のようにパイプ型水耕栽培ユニットをワイヤー等ですだれ状に連結し、植栽を施し南面のベランダなどに吊り下げ夏場の日除けに利用したり、ビルなどであればコンクリートの壁面に沿って固定する事も出来る。いずれの場合上部固定フック21と下部固定フック23の両方で固定し風による極度な動揺を抑える必要がある。
【0022】しかし、液肥として有機性廃水等を多量に流す場合などは攪拌による酸素供給とそれにともなう好気的水処理能力向上や植物の根域への酸素供給の為にも適度な動揺は必要である。また、適度な動揺は植物の葉を通して行われるガス交換を活発かしその成長を早める効果もある。本発明の様な水耕栽培であれば揺れを積極的に利用することで栽培速度を速めることが出来る。
【0023】瓦屋根や屋上など夏場の気温が50度以上になるような場所においては植栽パイプ内の液体に熱エネルギーが多量に蓄積され夜間の高温化と植物への弊害なども考えられる。その対策としての熱回収と建造物の夜間温度の低下を促すため、植栽パイプ内部に図9に示すように給水管21、温水排水管24、温水保持管22、温水排水バルブ23等からなる簡単な太陽熱温水装置を組み込み液肥ではなく水道水等を別途供給し風呂などへの給水に利用することもできる。
【0024】図9は植栽パイプをハウス内での通常の栽培に利用した際の使用方法に関するものである。通常ハウス内では様々な野菜が水耕栽培によって作られているが冬場などは適温を得るためにヒーターを使っている場合が非常に多い。この場合、栽培される植物の高さは人間の作業性で決められているが最も熱が蓄積するのはハウスの上部である。この様なことから任意の方法で前記すだれ状に連結した植栽パイプを上下させる事により熱エネルギーの効率的な利用を同時に作業性を確保できる。
【0025】植栽パイプ内部の清掃は給水口から水道水等を流し非常排水口6からの汚泥を排出させることもできるし、図2が示すようにパイプ両端を外し傾けて汚泥等の取り出しをすることも出来る。
【0026】水処理装置的な用いで家庭廃水等を流す場合は流入口から入り植物が多数植栽された植栽パイプの上段から下段にジグザグに流れる落ちる。各パイプは一定量の廃水を保持する仕組みになっており新たな廃水が入った場合その分との混合液が押し出される。この様な回分式による処理によりパイプの中の廃水は下段に行くほど植物の根域、微生物担体を入れた場合は担体に付着したバクテリアによる分解と植物の根からの養分吸収等により浄化される。栽培穴にはヘデラ、柳等の植物を直接挿し木形式で栽培することが出来るが挿し木時期には夏場を避け、又、植裁パイプ内での蚊の繁殖を押さえるため不織布、ロックウールのような物を枝の間に詰めることも出来る。
【0027】
【発明の実施例】実験においては図1に示すように上部に栽培穴3を設けた塩ビ菅を用意し、その両端を市販の塩ビ製蓋で閉じた。水密性を上げるためシリコーンコーキング材を若干用いた。そしてこの蓋にホルソーで穴を開け真鍮性のジョイントをねじ込み、硬質のホースを接続し図に示すような給水用チューブ1及び排水用チューブ5を形成した。実施例に於いては流入側を流出側より1cm程高く設置し段差を付けた。これにより流入した液肥は排出用チューブの高さまで保持されそれ以上の水量が入った場合は排出用チューブから流れ出る構造とした。給水用、及び排出用にはチューブを用いたが規模や設置場所によってはパイプ管、ホース等を使うこともできる。さらに塩ビ管上部に直径30mm程の穴を25cm間隔で開け、0.5mm厚のプラスティック板を図4が示すように上の径が下の径より大きくなる様に筒状に丸め接着剤で固定し土壌保持キャップとした。ナイロン製の薄手のストッキングを適当な大きさに切り土壌保持キャップ内部に入れ抜け落ちないように接着剤で固定し土壌保持ネット10とした。ここに土壌材を入れ植裁パイプの栽培穴に差し込み土壌保持ネット内の土壌が植裁パイプ内の液肥に浸る図3が示すような状態を作り上げた。栽培穴の大きさ、及び間隔、プラスティック板(材質は金属でも他の物でも良い)の厚み等は植栽する植物により任意に変えることが出来る。以上のようなパイプ型水耕栽培ユニットを図6のように3本生け垣上に連結した。この用にして作られたパイプ型水耕栽培ユニットに米のとぎ汁等の廃水を流し込み土壌保持部分図3の土壌中に10月上旬、中華野菜の紅菜帯の種を入れたところ約1週間ほどで発芽し、1ヶ月で5cmほどの草丈となり、土壌保持キャップを引き抜いたところ土壌保持ネットの編み目から出根していることが確認された。前記栽培穴3にヘデラや柳の枝を数本束ねたものを直接入れたところ順調に成長することが確認出来た。種からでなく苗からの栽培であれば土壌を使わず直接水耕栽培が可能であることも判明した。また、ペットボトルのキャップの上部とボトルの底部全て、または一部を切り取り、キャップとボトル本体の間に極薄ネット28を挟んで固定しこれを植栽穴3に逆さまにして差し込み土壌を入れ図10の様な構造とすることにより防鳥害と保温の両効果をもたらすことが出来た。また、春から秋にかけては湿地を好み害虫の被害が少なく且つ短期間で成長するエンサイ(空心采)などをこの様な栽培法で栽培すれば非常に良く成長し水質浄化効果がもたらされることが判明した。以上の様にしてパイプ型水耕栽培ユニットを用いての各種植物の栽培が効率よく行えることが実証できた。
【0028】前記植栽穴3に直接苗を差し込む方法においてその隙間から蚊が入りボウフラが繁殖したり、液肥の蒸発、揺れによるこぼれ、あるいは植栽穴の縁の部分で苗の痛み等の問題に対応するためロックウールや脱脂綿、不織布その他の緩衝剤を用いることが出来る。
【0029】パイプの断面形状は円形でなくてもよく特に屋上、ベランダ等に直置きするような場合は三角形とした方が安定性が計られ当然施工も簡単である。また、植裁する植物が高温を好むか低温を好むかで植裁パイプの色を黒や白とアルベドを考慮したものにする事も出来る。例えばアルベドが正反対のカバーを被せ季節に応じカレンダーをまくるようにワンタッチで変えることも考えられる。
【0030】植栽パイプの管内には礫、セラミック片、木炭、貝殻またはそれらをミックスしたものを入れた方が有機性の廃水などを液肥として用いる場合などには有効であり、pH調整にも重要であることが判明した。当然、植物の根部はパイプ管内に繁殖するわけであるからこの様なものを入れる事はパイプ管から外に出ている部分が大きい植物ほど植物体と植栽パイプへの固着度を高めると言う物理的意義も持つ。
【0031】以上のようなパイプ栽培型水耕栽培ユニットを図6のように連結すれば水耕栽培による生け垣を構成でき、本発明ではここに一般家庭排水を流し込んだところ流入口と流出口の水質に大きな違いが見られ本発明が廃水を処理し、野菜等の栽培が可能であることが判明した。植裁用生け垣支柱16は垂直に立てても良いが、受光面積を増やすため斜めにしても良い。
【0032】同様にパイプ型水耕栽培ユニットを図7のように屋根上に配置したり、ベランダのフェンス部分(図示せず)、屋上のコンクリート面(図示せず)に設置することによる屋根、屋上、ベランダにおいて土壌を殆ど使用せず、当然その分土壌からの水分の蒸散を押さえた緑化・水耕栽培装置となった。
【0033】また、図8のように十分強度のあるワイヤー等ですだれ状に連結し、少なくとも上部と下部の2ヶ所を固定し屋上等に固定した液肥供給タンク19より給水チューブを通し液肥を供給することによりビルの側面の緑化を簡単に行える事も判明した。
【0034】屋上や屋根面などにパイプ型水耕栽培ユニットを設置する場合夏場の温度上昇による植物への悪影響が考えられる。また、日中パイプ管内の液肥に蓄えられた熱が夜まで蓄熱され建造物の高温化を維持することも考えられる。この様な問題に対処すると同時に温水を回収するため図9のように植栽パイプ管内部に温水保持管22に給水管パイプ21を繋ぎ水道水等を供給する。温水排水バルブ23を開くことにより温水取水管24を通し温水が必要なところに供給される。温水を効率よく取り出すため温水保持管を植栽パイプ内で図9が示すように若干角度を付ける事も出来る。また、温水を回収後バルブを閉めた空の状態から新たに水を供給するためエア抜きパイプ20を取り付ける。このエア抜きパイプは屋根上での設置の場合のように植栽パイプを上下差を設け直列的につなぐ場合最も下の温水保持管にのみ取り付け、エア抜きパイプ上部の高さが最上部の植栽パイプ管内の温水保持管の設定水面より上に来るようにする事により全温水保持管に一気に給水を行うことが出来る。屋上面等の水平な場所に並べる場合は任意の管の任意の場所に取り付ければよい。
【0035】パイプ型水耕栽培ユニットはハウス内ですだれ状に設置することにより栽培スペースを立体酌に利用出来る一方、冬季に暖房を行う場合に於いては専らハウス上部に溜まりがちな熱の有効利用も出来る。また、すだれ状に垂らしたパイプ型水耕栽培ユニットを支える上部ワイヤーに滑車を用い上下移動を行えるようにする事により作業性の向上を図る事も出来る。
【0036】パイプ型水耕栽培ユニットを水平に接続するに当たり、図5のようなT字型の植裁パイプ・ジョイント(上方から見た角度角度は直線でも良いし、直角でもよく直角の場合パイプを四角形に設置できる。)の下部を密閉し排水用バルブ15を取り付けたものを用い、水深の深くなった部分に送気管を入れエアレーションを行うことにより水中に酸素を供給したり、逆に行わないことにより兼気状態にしたりする事が出来る。つまり酸化、脱窒の両反応がこの部分で行える。また、廃水を導入する場合この様な場所には汚泥が溜まりやすく排水用バルブを通し汚泥回収、下段植裁パイプへの移動などを行う事も出来る。また、パイプ型水耕栽培ユニットを生け垣として用いる場合このジョイントを図11が示すように生け垣の支柱16内部に納める事も出来、こうする事により外部から見た目では通常の生け垣となり違和感を無くすことが出来る。
【0037】パイプ型水耕栽培ユニットの液肥代わりに家庭廃水を供給したところ流入口と流出口では目視に於いても大きな改善が見られることが判明した。家庭排水よりBODの低い汚濁河川又は湖沼等の水を液肥代わりに通し都市周辺の河川の浄化、都市緑化及び食糧生産等が同時に行える。
【0038】植栽が行われたパイプ型水耕栽培ユニットを外部に於いて壁等にぶつからないところですだれ状に吊し上部はしっかり固定するが下部はある程度植栽パイプ群が自由に揺れるように自由度を持たせる。植栽パイプは風により前後左右に揺れ植栽パイプ内の液肥の撹拌と液肥への酸素供給、植物の葉周辺でのガス交換を促し植物の生長を助長することが判明した。栽培穴の部分を土壌もしくはロックウールのようなもので密閉状態にしておけばある程度の揺れであっても液肥の飛散がないことも明らかになった。揺れ発生のメカニズムはモーター等自然エネルギー以外の物であっても良い。また、この原理はすべての溶液栽培に用いることが可能であり、その場合、従来のように培養液に酸素を供給するため薄い溶液をポンプにより循環させるのと同様の効果をもたらす。
【0039】以上のようなパイプ型水耕栽培ユニットに供給する液肥は水耕栽培に用いる市販のものでも良いが植物性廃棄物や鶏糞、油粕を水を貯めたタンク等に入れ腐敗いさせたものの上澄み液を供給する事も出来る。一例としてタンクには定期的に枯れ葉、植物性の残飯などを入れておき雨水などを導き、固形物は沈殿させ上澄み液をオーバーフローとして給水用パイプにつなぐ構造にしておくと降雨の度に液肥の供給が計られつつ有機物は徐々に水中で分解される。降雨がない場合は前記タンクに水道水等を供給しても良い。この方法によればゴミの減量と雨水利用の両方の効果がもたらされるもので規模を拡大すれば現在各地で問題になっている畜産廃棄物である糞尿の処理にも利用できる。その場合、糞尿をその規模に応じた大きさのタンクに集め牛舎屋根上より集めた降雨をここに導き液肥化し、牧柵を兼ねた前記パイプ型水耕栽培ユニットに導き牧草の栽培と糞尿処理の両方を行うことが可能であり全体として循環型システムを構築するものである。
【0040】
【発明の効果】本発明によれば以下のよう効果がもたらされる。
1.生け垣、牧柵に廃水処理と緑化機能を持たせることが出来、野菜、花器類以外に牧草等も栽培することも可能となり循環型システムとして利用出来る。
2.本発明を都市部で多用することにより緑化によるヒートアイランド対策となる。
3.実施例のように枯れ葉や植物性の残飯等を液肥作りに用いての野菜、花器類等の有価物の生産が可能となりゴミの減量としての効果がある。
4.屋上緑化として用いる際、土壌を殆ど用いず、水の節約効果がある。
5.ハウス内で水耕栽培を行う場合スペースと熱分布の効率的利用と作業性向上としての効果がある。
6.富栄養化河川・湖沼水を導入することによる水質浄化効果がある。
7.屋根、屋上等に溜まる熱エネルギーから温水回収を行える。
8.パイプ型水耕栽培ユニットであれば揺れによる植物成長効果がある。
【出願人】 【識別番号】597033889
【氏名又は名称】藤本 治生
【出願日】 平成13年1月31日(2001.1.31)
【代理人】
【公開番号】 特開2002−223648(P2002−223648A)
【公開日】 平成14年8月13日(2002.8.13)
【出願番号】 特願2001−62644(P2001−62644)