| 【発明の名称】 |
さし木の発根促進方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】井上 唯師
【氏名】井上 猛
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| 【要約】 |
【課題】さし木において、さし穂の切断基部からの多量潅水によって生じる発根促進剤の溶脱およびさし床からの流亡を防止し、発根促進剤の濃度低下からなる発根率の低下および作用効率を改善および向上させる新規なさし木の発根促進方法を提供する。
【解決手段】木本類・草本類・被子植物類から切断した枝をさし穂とし、切断基部を発根促進剤(オーキシン類)およびキトサンで処理した後、処理部をケイソウ土で被覆、あるいは発根促進剤(オーキシン類およびキトサン)を多孔性物質であるケイソウ土に含有させ切断基部に塗布することにより、多量潅水による発根促進剤の溶脱を防止することができる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 さし穂の切断基部を被覆し、切断基部に塗布した発根促進剤の潅水による溶脱を防止することを特徴とするさし木の発根促進方法。 【請求項2】 切断基部に塗布した物質がオーキシン類およびキトサンである請求項1記載の発根促進剤。 【請求項3】 切断基部に塗布あるいは多孔性物質に含有させ塗布した発根促進剤の溶脱を防止する物質が、多孔性のケイソウ土である請求項1記載の資材。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、さし木増殖における発根の促進方法に関する発明である。更に詳しくは、さし木増殖の栽培管理において、多量潅水によって生じる発根促進剤の溶脱およびさし床からの流亡を防止し、発根促進剤の濃度低下からなる発根率の低下を改善および向上させるさし木増殖方法に関する。 【0002】 【従来の技術】さし木とは、植物の増殖方法の分野では無性繁殖法に属し、さし木の他に接ぎ木、とり木、株分け等が区分される。無性繁殖法におけるさし木の特徴は、種子による増殖法である有性繁殖法と異なり、親株から切り離した枝をさし穂として苗を増殖させることから、親と同じ形質(特徴)の植物体を増殖できることである。 【0003】このようなさし木技術は林業の分野では、優良な植物個体から優良な苗木を大量に生産する技術として、極めて発根性の良い木本植物の繁殖において一般に行われているが、それでも発根率は例えばスギ、ヒノキで約60〜70%程度であり、発根率を高くするさし木方法の開発が望まれている。 【0004】又、さし木増殖の林業以外での利用については、園芸の分野ではキク、バラ等の発根性の良い植物に利用されているが、果菜類(例えば、トマト・ナス・ピーマン等)のようにさし木増殖における栽培管理が困難で実用的な発根率を得られない植物も多い。 【0005】次に、さし木方法の従来技術について説明する。 【0006】挿し床の環境として用土、温度、湿度、照度等の管理、調整により発根率を上げる手法もあり、用土としては、粒径および保水性、排水性を考慮し、鹿沼土、砂、火山礫、ビートモス、パーライト、バーク、バーミキュライト等を単独あるいは混合して適宜併用して用いられ、温度、湿度、照度等については挿し穂を採取した親株(木本類・草本類)の林齢、苗齢および採取部位(休眠枝、塾枝、緑枝等)を考慮した上、用土も含め総合的に検討された条件下で行われている。しかしながら、被子植物類(双子葉類)に属するトマト、ナス、ピーマン等の果菜類については、ピーマンのように不定根がほとんど形成せれず発根が極めて困難な種類も多いことから、あまり研究されず明確なさし床環境、採取部位についての定義およびさし木方法はまだ知られていない。 【0007】また、さし木による発根が困難な植物(木本類・草本類)の場合は、発根促進剤としてナフタレン酢酸(NAA)、インドール酢酸(IAA)、インドール酪酸(IBA)等の植物ホルモン系物質(オーキシン類)を切断した枝基部に処理した後、挿し木増殖を行うなどの方法が必須とされ使用されているが、前記方法を用いても樹種及び品種によっては発根が極めて困難な植物もあり、被子植物類(双子葉類)に属するトマト、ナス、ピーマン等の果菜類についても同様で、決定的に発根率を上げる方法はまだ知られていない。 【0008】さし木増殖では発根に要する期間(例えば1〜2ヶ月)、さし穂の生存率を確保するために、長期間さし床に多量の水を潅水する他、さし床に通気性の良い土を用いることから、さし穂の切断基部に塗布した発根促進剤が溶脱あるいはさし床から流亡しやすく、タルクあるいは展着剤を用いても切断基部における発根促進剤の適量を維持することは困難であり、発根率を低下させる大きな原因の一つであることから、発根促進剤の保持に有効な方法および資材の開発が強く望まれている。 【0009】しかし、さし木は優良な親株の形質(特徴)を継承しうる増殖技術であることから、優良個体の選別および生産歩留まりの低下を阻止するといった種苗産業における生産、経済面での重要な要素の改善に貢献することから、さらに有効なさし木増殖方法の開発が望まれている。 【0010】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、さし木増殖の栽培管理において、さし穂の切断基部からの多量潅水によって生じる発根促進剤の溶脱およびさし床からの流亡を防止し、発根促進剤の濃度低下からなる発根率の低下および作用効率を改善および向上させる新規なさし木の発根促進方法を提供することを目的とする。 【0011】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、さし穂の切断基部に塗布した発根促進剤の多量潅水による溶脱防止に、多孔性物質のケイソウ土が有効であるとの知見を見出し、本発明を完成した。 【0012】すなわち、本発明者は、木本類・草本類・被子植物類から切断した枝をさし穂とし、切断基部を発根促進剤(オーキシン類)およびキトサンで処理した後、処理部をケイソウ土で被覆、あるいは発根促進剤(オーキシン類およびキトサン)を多孔性物質であるケイソウ土に含有させ切断基部に塗布することにより、多量潅水による発根促進剤の溶脱を防止することを特徴とするさし木の発根促進方法を提供する。 【0013】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について説明する。 【0014】本発明に係わるケイソウ土は、水中に棲息する植物性プランクトンの1種である珪藻の化石であり、珪藻殻由来で、直径100〜1000nm程度の無数のマクロ細孔をその表面に有し、同時に珪藻殻独特の複雑な形状と相まって非常に起伏に富んだ表面を形成し、さらに60〜90%程度の高い空隙率を有する。これにより、水分、肥料、発根促進剤等の成分の吸収保持を本発明の目的に最適な状態で実施することが可能となる。 【0015】ケイソウ土の形態は、ケイソウ土原鉱を精製加工したもので、粉砕し必要に応じて組成調整および粘度調整した未焼成粉末、これを焼成処理した焼成粉末、フラックスを添加して焼成処理した融剤焼成粉末、必要に応じてバインダー等の添加剤を用いて円柱、リング、球、板等の種々の形状にした成形体、成形体を粉砕した不定形粒、さらに他の物質で構成される物体表面に担持したこれらケイソウ土の粉末や粒などがある。これらのうち、植物の種類、さし穂の条件、さし床の環境に応じて、いずれかを単独、あるいは2種類以上を組み合わせて用いることが好ましい。 【0016】本発明に係わるオーキシン類(例えば、ナフタレン酢酸(NAA)、インドール酢酸(IAA)、インドール酪酸(IBA)、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸等)およびキトサン等の発根促進剤の濃度は、植物の発根の難易度によって、オーキシン類で1〜2000ppm、キトサンで1〜50000ppmの範囲内で適宜調整することが好ましい。 【0017】また、ケイソウ土と混合可能な発根促進剤(オーキシン類およびキトサン)以外の担体成分としては、バーミキュライト、タルク、炭酸カルシウム、白土、鹿沼土、水酸化カルシウム等の無機質や小麦粉、澱粉等の固体担体および、水、キシレン等の芳香族炭化水素類等の液体担体を用いることができる他、PHを安定に保持するために種々の緩衝液を用いることもできる。 【0018】補助剤としては、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヘキシタン脂肪酸エステル等の非イオン界面活性剤、アルキルベンゼンスルホン酸塩、リグニンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩等の陰イオン界面活性剤、ゼラチン、カゼイン、アラビアゴム等を増粘剤、増量剤、展着剤として適宜配合することができる他、植物成長生理調節剤として安息香酸、コリン酸、ニコチン酸、サリチル酸等についても発根誘導効果を損ねない範囲で適宜配合することができる。 【0019】さし木容器用土が貯えられ、適当に水切りが可能な容器であれば材質、大きさ等は問わないが、さし穂の発根までの保存状態を良好に保つためには、用土中の酸素が不足ぎみにならないような通気性のよい容器が望ましい。 【0020】さし木基床用土さし木基床用土としては、保水性の持続および排水性に優れた1〜3mmの粒径の砂、バーミキュライト、パーライト、鹿沼土、水こけ、ピートモス等が用いられる。 【0021】さし穂の条件長さ、太さは問わないが、長さ5〜15cm、太さ3〜10mmのもので、定植後3〜4.5ヶ月内に親株から採取したものが最も良好である。そして、このさし穂にさし木後伸長可能な芽が1個以上あることが必要である。 【0022】発根促進の方法さし穂の切断基部を1〜7cmだけ発根促進剤(オーキシン類)およびキトサンで処理した後、処理部をケイソウ土で被覆、あるいは発根促進剤(オーキシン類およびキトサン)を多孔性物質であるケイソウ土に含有させ切断基部に塗布し、鹿沼土等のさし木基床に枝さしして、粗放的な自動ミスト装置(自動散水機)付きのガラス室あるいはビニールハウス内にて、室度:15〜35℃、湿度:20〜100%の範囲で調節された環境下で1〜2ヶ月間育成する。 【0023】 【実施例】次に、本発明を実施例によって説明するが、本発明は以下の例のみに限定される物ではない。 【0024】実施例1供試植物として発根に1〜2ヶ月と長い期間を要し、葉の水分の蒸散により枯死しやすいナス科、ピーマン(定植後5.5ヶ月経過した株)の萌芽枝の先端部を約15cm程度、切断位置の節の下5〜10mm程度残し切断し、葉の枚数を3〜5枚に調整、残された葉をそれぞれ1/2切除した後、茎の切り口を斜め切り返し法で整え、水に5時間さらした。 【0025】次いで、水と鹿沼土を合わせて磨り潰した液体100gに、18dPa・s程度の粘度になるまで撹拌しながらケイソウ土を混入し、表1に示した配合になるように発根促進剤(IBAおよびキトサン)を混入した後、再度撹拌、ピーマンのさし穂の切断基部に前記調整した塗布液を3.5cm程度塗布し、鹿沼土、赤玉土を敷き詰めた容器に十分潅水した後、あらかじめ案内棒を用いて3.5cmの深さの穴をあけておき、処理済みの上記さし穂をさし付けた。 【0026】これを昼間温度(28〜35℃)、夜間温度(18〜20℃)、相対湿度(60〜80%)の多湿度条件下におき、毎日3回と多めの潅水を行った。1ヶ月後全て掘り取って発根の状態を調査した。 【0027】発根率は植え替えに十分な発根を示したものの数をさし穂の数で割ったものである。対象はタルク希釈のIBAおよびキトサンとし、内、発根における実用的なキトサンの濃度は実用濃度の半分とし、各試験はそれぞれ10本のさし穂を用いて行った。 【0028】 【表1】
【0029】表1に示すように、さし木1ヶ月後の時点で、タルクおよびケイソウ土を使用した中で、ケイソウ土を使用したものが平均95%の発根率を示し、発根促進剤の溶脱防止に極めて高い効果を示した。 【0030】 【発明の効果】以上述べた如く、本発明によって、さし木増殖におけるさし穂切断基部からの発根促進剤の溶脱を防止することにより、発根促進剤の濃度低下からなる発根率の低下および作用効率を改善および向上させることが可能となった。
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| 【出願人】 |
【識別番号】396005841 【氏名又は名称】有限会社岡山応用化学 【識別番号】000186968 【氏名又は名称】昭和化学工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成13年2月5日(2001.2.5) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2002−223632(P2002−223632A) |
| 【公開日】 |
平成14年8月13日(2002.8.13) |
| 【出願番号】 |
特願2001−27716(P2001−27716) |
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