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【発明の名称】 成形苗を用いた緑地造成方法とこの緑地造成方法に使用される緑化部材
【発明者】 【氏名】渡辺 嗣彦

【要約】 【課題】本発明は、緑地の迅速な造成や成形苗の適正、かつ迅速な移植等を達成することができ、しかもメンテナンスを軽減可能にする緑地造成方法およびこの緑地造成方法を提供すること目的とするものである。

【解決手段】本発明は、敷設面に防根膜を敷き、前記防根膜上の所望領域を縁囲い材で包囲した上、海綿構造のシート状部片を、前記包囲領域に敷きつめて保水層を形成し、繊維構造のシート状部片を、前記保水層上に敷きつめて活着層を形成し、所要の間隔で植孔を備え、且つ植孔を除く表面に小凹凸が形成された透水皮膜で被覆され、平面寸法が前記海綿構造のシート状部片と前記繊維構造のシート状部片と同寸法の透水性支持盤を前記活着層上に敷き詰めた上、隣接するそれぞれの端部を固定用ピンで連結固定し、前記透水性支持盤に備えられた植孔に、該植孔に相応する逆錐形の成形苗の根部を植え込むという緑地造成方法を特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 屋上等のコンクリート床面に防根膜を敷く第1工程と、前記防根膜上の所望領域を縁囲い材で包囲した上、下面から余剰水の排出を容易にするための溝が設けられた海綿構造のシート状部片を、前記包囲領域に敷きつめて保水層を形成する第2工程と、植物の根は伸長するが、土は容易に流出しない微細な連続空隙を有する繊維構造のシート状部片を、前記保水層上に敷きつめて活着層を形成する第3工程と所要の間隔で植孔を備え、且つ植孔を除く表面に小凹凸が形成された透水皮膜で被覆され、平面寸法が前記海綿構造のシート状部片と前記繊維構造のシート状部片と同寸法の透水性支持盤を前記活着層上に敷き詰めた上、隣接するそれぞれの端部を固定用ピンで連結固定する第4工程と、前記透水性支持盤に備えられた植孔に、該植孔に相応する逆錐形の成形苗の根部を植え込む第5工程とから構成されたことを特徴とする緑地造成方法。
【請求項2】 屋上等のコンクリート床面に防根膜を敷く第1工程と、前記防根膜上の所望領域を縁囲い材で包囲した上で、該領域内に、細粒軽石等の多孔質材を投入して一様の厚さの保水層兼排水層を造成する第2工程と、植物の根は伸長するが、土は容易に流出しない微細な連続空隙を有する繊維構造のシート状部片を、前記保水兼排水層上に敷設して活着層を形成する第3工程と所要の間隔で植孔を備え、且つ植孔を除く表面に小凹凸が形成された透水皮膜で被覆され、平面寸法が前記繊維構造のシート状部片と同寸法の透水性支持盤を前記活着層上に敷きつめた上、隣接するそれぞれの端部を固定用ピンで連結固定する第4工程と、前記透水性支持盤に備えられた植孔に、該植孔に相応する逆錐形の成形苗の根部を植え込む第5工程とから構成されたことを特徴とする緑地造成方法。
【請求項3】 屋上等のコンクリート床面に防根膜を敷いた上で、該防根膜上の所望領域を縁囲い材で縁囲いを形成した後、上、下面から余剰水の排出を容易にするための溝が設けられた海綿構造のシート状部片を、前記包囲領域の部分的な領域に敷きつめて保水層を形成する第1工程と、植物の根は伸長するが、土は容易に流出しない微細な連続空隙を有する繊維構造のシート状部片を、前記保水層上に敷きつめて活着層を形成する第2工程と所要の間隔で植孔を備え、且つ植孔を除く表面に小凹凸が形成された透水皮膜で被覆され、平面寸法が前記海綿構造のシート状部片と前記繊維構造のシート状部片と同寸法の透水性支持盤を前記活着層上に敷き詰めた上、隣接するそれぞれの端部を固定用ピンで連結固定する第3工程と、前記透水性支持盤に備えられた植孔に、該植孔に相応する逆錐形の成形苗の根部を植え込む第4工程とによって緑化し、かつ、前記部分的な領域以外の他の領域に、細粒軽石等の多孔質材を投入して一様の厚さの保水層兼排水層を造成する第1工程と、植物の根は伸長するが、土は容易に流出しない微細な連続空隙を有する繊維構造のシート状部片を、前記保水兼排水層上に敷設して活着層を形成する第2工程と所要の間隔で植孔を備え、且つ植孔を除く表面に小凹凸が形成された透水皮膜で被覆され、平面寸法が前記繊維構造のシート状部片と同寸法の透水性支持盤を前記活着層上に敷きつめた上、隣接するそれぞれの端部を固定用ピンで連結固定する第3工程と、前記透水性支持盤に備えられた植孔に、該植孔に相応する逆錐形の成形苗の根部を植え込む第4工程とによって緑化し、所望領域全域を緑化するように構成したたことを特徴とする緑地造成方法。
【請求項4】 前記透水性支持盤は、逆円錐形の植孔を備えており、該植孔に、外周に形成された前記逆円錐形の内周よりやや大きい逆角錐形に形成された成形苗の根部を植えこむようにしたことを特徴とする請求項1、2、3の何れか一項に記載の緑地造成方法に使用される透水性支持盤。
【請求項5】 前記透水性被膜は、透水性の不織紙で形成されていることを特徴とする請求項1、2、3の何れか一項に記載の緑地造成方法に使用される透水性支持盤。
【請求項6】 ペレット状発泡スチロールとセメントを主材料とし、更にセメントの付着力を強化するための増粘材を加えた上、加水混合し、加圧形成したことを特徴とする請求項1、2、3の何れか一項に記載の緑地造成方法に使用される透水性支持盤。
【請求項7】 小粒砕石とセメントを主材料とし、増粘材を加えた上、加水混合して形成したことを特徴とする請求項1、2、3の何れか一項に記載の緑地造成方法に使用される透水性支持盤。
【請求項8】 連続空隙を有する高透水性の発泡スチロールからなることを特徴とする請求項1、2、3の何れか一項に記載の緑地造成方法に使用される透水性支持盤。
【請求項9】 連続空隙を有さない発泡スチロール又は他の合成樹脂成形物gに無数の透水孔を設けたことを特徴とする請求項1、2、3の何れか一項に記載の緑地造成方法に使用される透水性支持盤。
【請求項10】 天然又は人工的に加圧固形化されたピートモス等の有機成形物、又はこれにバーミキュライト、パーライト等の無機質組成物が混合された形成物に透水孔を設けたことを特徴とする請求項1、2、3の何れか一項に記載の緑地造成方法に使用される透水性支持盤。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、草・花等の植物の成形苗を用いた緑地造成に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、透水性支持基盤に備えられた植孔に成形苗を移植したものを、例えば、屋上等のコンクリート床面に敷設する緑地造成方法が知られている。この従来方法では成形苗の根部の形状と合致しない植孔が用いられているため、移植する際に成形苗の根部の土をほぐしたり、別途の土を埋め合わせたりする手間のかかる作業が必要となっている。また、移植当初での植孔内の土は十分には締まっていず、成形苗の風に対する抵抗力が弱く、風圧で成形苗が飛ばされたりする恐れがあり、このような事態の発生を防止するために植孔内の根が伸びて透水性支持基盤の内部に根付くようになるまでの期間、例えば温室のような無風環境下に置いて養生させなければならなかった。
【0003】このような従来方法での養生は、成形苗が疎らに植え込まれた透水性支持基盤が使用されるため、該透水性支持基盤を平坦状に敷き並べ得る広さの温室が必要となる。前記の広い養生用地は長期間に亘って占有されることとなり、かつ緑化された透水性支持基盤を直に積み重ねたり、縦にしたりすることができないことから、農園等からの搬送には大掛かりな載置装置等の装備が必要となり、緑化された透水性支持基盤はコストの高いものとになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、これらの従来の緑地造成方法の有する問題に鑑みてなされたもので、通常、凹部を網目状に備えた合成樹脂製の形成容器を使用することによって、狭小な温室地でも大量に作製されている低コストな成形苗と、積み重ねて搬送できる透水性支持基盤とを採用することにより、養生や搬送装備等にかかる費用を抑制し、かつ成形苗の根部に相応する形状の植孔を備えた透水性支持基盤の採用によって、緑地の迅速な造成や成形苗の適正、かつ迅速な移植等を達成することができ、しかもメンテナンスを軽減可能にする緑地造成方法およびこの緑地造成方法に適用され、成形苗の育成に寄与する緑化部材を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる目的を達成するものであって、本発明の請求項1は、屋上等のコンクリート床面に防根膜を敷き、前記防根膜上の所望領域を縁囲い材で包囲した上、下面から余剰水の排出を容易にするための溝が設けられた海綿構造のシート状部片を、前記包囲領域に敷きつめて保水層を形成し、植物の根は伸長するが、土は容易に流出しない微細な連続空隙を有する繊維構造のシート状部片を、前記保水層上に敷きつめて活着層を形成し、所要の間隔で植孔を備え、且つ植孔を除く表面に小凹凸が形成された透水皮膜で被覆され、平面寸法が前記海綿構造のシート状部片と前記繊維構造のシート状部片と同寸法の透水性支持盤を前記活着層上に敷き詰めた上、隣接するそれぞれの端部を固定用ピンで連結固定し、前記透水性支持盤に備えられた植孔に、該植孔に相応する逆錐形の成形苗の根部を植え込むという緑地造成方法を採用しており、適用される各シート状部片や透水性支持盤が小面積であるため、必要とされる緑化領域が、大領域のみならず、小領域や部分的な領域の場合でも、屋上等のコンクリート床面が水平面かまたは斜面であっても、自在に造成が可能となり、また、植孔と根部の大きさが相応するので成形苗の迅速な移植作業がなされ得るとともに、活着層での主たる根這えにより成形苗の堅固な自立が得られ、さらに、個別に取り寄せ得る各部材と成形苗であるので緑地を低コストに造成できる。
【0006】本発明の請求項2は、屋上等のコンクリート床面に防根膜を敷き、前記防根膜上の所望領域を縁囲い材で包囲した上で、該領域内に、細粒軽石等の多孔質材を投入して一様の厚さの保水層兼排水層を造成し、植物の根は伸長するが、土は容易に流出しない微細な連続空隙を有する繊維構造のシート状部片を、前記保水層兼排水層上に敷設して活着層を形成し、所要の間隔で植孔を備え、且つ植孔を除く表面に小凹凸が形成された透水皮膜で被覆され、平面寸法が前記繊維構造のシート状部片と同寸法の透水性支持盤を前記活着層上に敷きつめた上、隣接するそれぞれの端部を固定用ピンで連結固定し、前記透水性支持盤に備えられた植孔に、該植孔に相応する逆錐形の成形苗の根部を植え込むという緑地造成方法を採用しており、特に、水平な屋上等のコンクリート床面の緑地造成に好適で、細粒軽石等の多孔質材の投入という簡易な作業によって保水層兼排水層が造成される点で、緑地造成が迅速化される。
【0007】本発明の請求項3は、屋上等のコンクリート床面に防根膜を敷いた上で、該防根膜上の所望領域を縁囲い材で縁囲いを形成した後、上、下面から余剰水の排出を容易にするための溝が設けられた海綿構造のシート状部片を、前記包囲領域の部分的な領域に敷きつめて保水層を形成し、植物の根は伸長するが、土は容易に流出しない微細な連続空隙を有する繊維構造のシート状部片を、前記保水層上に敷きつめて活着層を形成し、所要の間隔で植孔を備え、且つ植孔を除く表面に小凹凸が形成された透水皮膜で被覆され、平面寸法が前記海綿構造のシート状部片と前記繊維構造のシート状部片と同寸法の透水性支持盤を前記活着層上に敷き詰めた上、隣接するそれぞれの端部を固定用ピンで連結固定して、前記透水性支持盤に備えられた植孔に、該植孔に相応する逆錐形の成形苗の根部を植え込むことによって緑化し、かつ、前記部分的な領域以外の他の領域に、細粒軽石等の多孔質材を投入して一様の厚さの保水層兼排水層を造成し、植物の根は伸長するが、土は容易に流出しない微細な連続空隙を有する繊維構造のシート状部片を、前記保水層兼排水層上に敷設して活着層を形成し、所要の間隔で植孔を備え、且つ植孔を除く表面に小凹凸が形成された透水皮膜で被覆され、平面寸法が前記繊維構造の板状部片と同寸法の透水性支持盤を前記活着層上に敷きつめた上、隣接するそれぞれの端部を固定用ピンで連結固定し、前記透水性支持盤に備えられた植孔に、該植孔に相応する逆錐形の成形苗の根部を植え込むことによって緑化し、所望領域全域を緑化するようにした緑地造成方法を採用しており、傾斜面を含んだ屋上等のコンクリート床面、荷重の加わり易い部分領域を含んだ屋上等のコンクリート床面、根這えの深さが異なる品種の成形苗を領域毎に区分して植えこむ場合等であっても迅速な緑地造成を可能にする。
【0008】本発明の請求項4では、前記請求項1、2、3の何れか一項に記載の緑地造成方法に使用される透水性支持盤が、逆円錐形の植孔を備えており、該植孔に、外周に形成された前記逆円錐形の内周よりやや大きい逆角錐形に形成された成形苗の根部を植えこむようにした構成を備えており、より確実な移植を行うことができる。
【0009】本発明の請求項5では、前記請求項1、2、3の何れか一項に記載の緑地造成方法に使用される透水性支持盤の透水性被膜を透水性の不織紙で形成するという手段が採用されており、被膜層の形成が低コスト化できる。本発明の請求項6は、前記請求項1、2、3の何れか一項に記載の緑地造成方法に使用される透水性支持盤が、ペレット状発泡スチロールとセメントを主材料とし、更にセメントの付着力を強化するための増粘材cを加えた上、加水混合し、加圧形成した構成であることを特徴とするものであって、発泡スチロールa、a相互に間隙が形成されるため、透水し得、極く軽量であるので荷重を嫌うビル屋上の床面を緑化するのに好適である。本発明の請求項7は、前記請求項1、2、3の何れか一項に記載の緑地造成方法に使用される透水性支持盤が、小粒砕石とセメントを主材料とし、増粘材を加えた上、加水混合して形成した構成であることを特徴とするもので、採取し易い小粒砕石の採用によりコストを低減できるものである。本発明の請求項8は、前記請求項1、2、3の何れか一項に記載の緑地造成方法に使用される透水性支持盤が、連続空隙を有する高透水性の発泡スチロールからなる構成であることを特徴とするもので、産業廃棄物の再利用が図られ、しかも極く軽量であるので荷重を嫌うビル屋上の床面を緑化するのに好適である。本発明の請求項9は、前記請求項1、2、3の何れか一項に記載の緑地造成方法に使用される透水性支持盤が、連続空隙を有さない発泡スチロール又は他の合成樹脂成形物gに無数の透水孔を設けた構成であることを特徴とするもので、一定の硬さと強度を備えており、敷設作業時に損傷する危険性なく、気軽な敷設作業をなすことができる。本発明の請求項10は、前記請求項1、2、3の何れか一項に記載の緑地造成方法に使用される透水性支持盤が、天然又は人工的に加圧固形化されたピートモス等の有機成形物、又はこれにバーミキュライト、パーライト等の無機質組成物が混合された形成物に透水孔を設けた構成であることを特徴とするもので、軽量化が図られ、しかも有機物が肥料の代替となって成形苗の自然で長期的な育成が図られるものである。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を、添付した図面に基づいて詳細に説明する。
【0011】図1は、屋上等のコンクリート床面において、緑化を必要とする領域が水平面かまたは斜面でも自在に造成が可能となる小面積の緑化部材を用いて緑地造成する施工手順例の説明図であり、断面図が示されている。
【0012】第1手順図1のA)では、コンクリート床面1に防根膜(例えば、ビニール製等のシート)2を敷き、植物の根這えを防いで前記コンクリート床面1の劣化を抑制する。この後、前記防根膜2上の所望領域を、下面に溝32を備えた縁囲い材(例えば、レンガ等の縁石、木材、金属材料等)31で包囲して縁囲い3を形成し、流水の排水効率を促して植物の根腐れ等の不具合を防止する。第2手順図1のB)では、前記縁囲い3内の所望領域に、下面から余剰水の排出を容易にするための溝(例えば、十文字状)42Aが設けられた海綿構造のシート状部片41Aを、前記包囲領域に敷きつめて保水層4Aを形成する。第3手順図1のC)では、植物の根は伸長するが、土は容易に流出しない微細な連続空隙を有する繊維構造のシート状部片51を、前記保水層4A上に敷きつめて活着層5を形成する。第4手順図1のD)では、所要の間隔で植孔62を備え、且つ植孔62を除く表面に小凹凸71が形成された透水皮膜7で被覆され、前記海綿構造のシート状部片41Aや前記繊維構造のシート状部片51と同平面寸法の透水性支持盤61を前記活着層5上に敷き詰めた上、隣接するそれぞれの端部を固定用ピン8で連結固定して成形苗の植込み層6を形成する。第5手順(図2参照)において成形苗の根部を透水性支持盤61の植孔62に植えこんで緑地造成が終了する。
【0013】図2は、前記第5手順の詳細な説明図であり、第5手順の図2のE)では、施工現場に準備された成形苗容器10から抜き出した成形苗9の根部91を、透水性支持盤61に形成した植孔62に挿入する。この植孔62は逆円錐形であるのに対して成形苗9の根部91は逆角錐形に形成されており、前記逆円錐形の内周よりも前記逆角錐形の外周に形成される角部がやや大きく形成してあり、前記植孔62への挿入に際しては、成形苗9の茎部92を摘んで軽く押し込むもので、根部91の土は適宜圧縮され、前記根部91は前記植孔62内に密着されて移植が終了する。そして、散水が行われると根部91の上部がさらに締まり、前記根部91は植孔62内での密着が高められ、次いで該散水は表面被覆膜7と透水性支持盤61を通って繊維構造のシート状部片51からなる活着層5に貯えられ、その許容量外の水は保水層4Aに貯えられる。そして前記保水層4Aの許容量外の水はシート状部片41Aに備えた溝42Aと防根膜を通じて縁囲い材に至り、該縁囲い材の溝から外部に排出される。このため、過剰な水によって根腐れ等の不具合が生じることはない。なお、前記植孔62を成形苗9の根部91形状よりやや小さい逆円錐形とした点は、一般に市販されている成形苗9の根部91が逆角錐形であるため、植孔62に挿入して移植する上で最も密着しやすいからであって、植孔62が成形苗9の根部91と同角度からなる逆円錐形であれば、前記植孔62が前記根部91形状よりもやや小さい逆円錐形であっても該根部91を密着して移植できる。また、根部91の形状が逆円錐形の場合には、植孔62が前記根部91と同角度からなる逆錐形であれば、前記根部91形状よりやや小さな逆角錐又は逆円錐の植孔62形状であっても、該植孔62に成形苗9の根部91を移植することができる。
【0014】さらに、前記第5手順の図2のF)に示すように、所要期間経過後、成長する根は水を求めて繊維構造のシート状部片51からなる活着層5中で該繊維の隙間を縫いながら拡大していく。また、植物の種類によっては表面被覆膜(例えば、透水性の不織紙)7の小凹凸71に付着した土やホコリに根付いてさらに繁茂するものもある。
【0015】なお、前記保水層4Aを構成する海綿構造のシート状部片41Aとしては、粒径が約300ミクロンのセルが互いに癒着した構造(ファインセル構造)である、例えば、「アクアフォーム(松村工芸(株)、松村アクア(株)による開発、販売品名)」を採用可能であり、微多孔が存在する前記素材の、「水は入り易いが出にくいため、大量の保水を可能する」という機能を活かすものである。また、前記活着層5を構成する繊維構造のシート状部片51は、保水性や透水性等の機能を備えている化繊による厚手の不織布で、緑化材の「保護マット(通称)」や土木工事に使用される「土木シート(通称)」が採用可能である。
【0016】図3は、図1に示した緑地造成方法とは異なり、必要とされる緑化領域がほぼ水平である場合の緑地造成に、特に効果的な方法に関する施工手順例の説明図である。
【0017】第1手順図3のA)では、ほぼ水平なコンクリート床面1に防根膜(例えば、ビニール製等のシート)2を敷いた後、前記防根膜上の所望領域を、下面に水抜き溝32を備えた縁囲い材(例えば、レンガ等の縁石、木材、金属材料等)31で包囲して縁囲い3を形成し、さらに、ネット33を、前記縁囲い材31の水抜き溝32を塞ぐように敷設する。第2手順図3のB)では、前記防根膜2上の所望領域を縁囲い材(例えば、レンガ等の縁石や間伐材等)31で包囲した縁囲い3内に、細粒軽石等の多孔質材41Bを投入して一様の厚さの保水層兼排水層4Bを造成する。この際、ネット33は前記細粒軽石等の多孔質材41Bを堰き止めるので、前記縁囲い3の水抜き溝32が目詰まりすることはない。第3手順図3のC)では、植物の根は伸長するが、土は容易に流出しない微細な連続空隙を有する繊維構造のシート状部片51を、前記保水層兼排水層4B上に敷きつめて活着層5を形成する。第4手順図3のD)では、所要の間隔で植孔62を備え、且つ植孔62を除く表面に小凹凸71が形成された透水皮膜7で被覆され、平面寸法が前記繊維構造のシート状部片51と同寸法の透水性支持盤61を前記活着層5上に敷き詰めた上、隣接するそれぞれの端部を固定用ピン8で連結固定して成形苗の植込み層6を形成する。第5手順(図4参照)において成形苗の根部を透水性支持盤61の植孔62に植えこんで緑地造成が終了する。
【0018】図4は、前記第5手順の詳細な説明図であり、第5手順の図4のE)では、施工現場に準備された成形苗容器10から抜き出した成形苗9の根部91を、透水性支持盤61に形成した植孔62に挿入する。この植孔62は逆円錐形であるのに対して成形苗9の根部91は逆角錐形に形成されており、前記逆円錐形の内周よりも前記逆角錐形の外周に形成される角部がやや大きく形成してあり、前記植孔62への挿入に際しては、成形苗9の茎部92を摘んで軽く押し込むもので、根部91の土は適宜圧縮され、前記根部91は前記植孔62内に密着されて移植が終了する。そして、散水が行われると根部91の上部がさらに締まり、前記根部91は植孔62内での密着が高められ、次いで前記散水は表面被覆膜7と透水性支持盤61を通って活着層5に貯えられ、その許容量外の水は保水層兼排水層4Bに貯えられる。そして前記保水層兼排水層4Bの許容量外の水は防根膜を通じて縁囲い材に至り、該縁囲い材の溝から外部に排出される。このため、過剰な水によって根腐れ等の不具合が生じることはない。
【0019】さらに、前記第5手順の図4のF)に示すように、所要期間経過後、成長する根は水を求めて繊維構造のシート状部片51からなる活着層5の中で該繊維の隙間を縫いながら拡大して行くとともに、保水層兼排水層4Bに拡大して行き、大きな根這えを得ることができる。また、植物の種類によっては表面被覆膜(透水性の不織布又は不織紙)7の小凹凸71に付着した土やホコリに根付いてさらに繁茂するものもある。
【0020】図5は、図1および図3に示した各緑地造成方法を併用する緑地造成方法に関する説明図であり、断面図が示される。図5のA)は、下り傾斜する面と該傾斜の上端に連通するほぼ水平な面で構成される造成面を緑化する場合の造成方法であって、傾斜領域部イと水平領域部ロに防根膜(図1および図3の符号2を参照のこと。)を敷き、次いで傾斜領域部イと水平領域部ロを囲い材(図1および図3の符号3を参照のこと。)の敷設により仕切る。その後、図1に示した緑地造成方法における第2工程〜第5工程の手順を適用して、傾斜領域部イの緑地造成を行う一方、図2に示した緑地造成方法における第2工程〜第5工程の手順を適用して、水平領域部ロの緑地造成を行い、所望の全領域を緑化するものである。
【0021】なお、前記併用する緑地造成方法の縁囲い材において、傾斜領域部イと水平領域部ロの隣接部に使用されている縁囲い材を不要にして、両者イ、ロを直接隣接させてもよい。前記併用方法は、図2の方法で使用される細粒軽石等の多孔質材(図2中、符号41Bを参照のこと)が傾斜面に沿った平面状態を維持するのに不具合を生じる場合があるため、傾斜領域部イには海綿構造のシート状部片(図1中、符号41Aを参照のこと)を適用して傾斜面に沿った緑化を確立するものであり、他方、水平領域部ロには、細粒軽石等の多孔質材(図2中、符号41Bを参照のこと)の投入による簡易な敷設作業を介した図2の方法を採用することによって、早期の造成を図るものである。
【0022】図5のB)は、ほぼ水平な面で構成される造成面において、荷重(外圧)の受け易い領域(例えば、人の踏み込み易い通路側領域等)または根這えが浅い性質の植物を植えこむ(又は、根這えが深い性質の植物を植えこむ)領域イと荷重(外圧)を殆ど受けない領域または根這えが深い性質の植物を植えこむ(又は、根這えが浅い性質の植物を植えこむ)領域ロとが存在する場合の緑地造成方法であって、初めに、前記の各領域部イ、ロに防根膜(図1および図3の符号2を参照のこと。)を敷いた後、これらの全領域を包囲するように縁囲い(図1および図3の符号3を参照のこと。)を形成する。次いで、図1に示した緑地造成方法における第2工程〜第5工程の手順を適用して、荷重(外圧)領域部イの緑地造成を行う一方、図2に示した緑地造成方法における第2工程〜第5工程の手順を適用して、非荷重(外圧)領域部ロの緑地造成を行い、所望の全領域を緑化するものである。
【0023】なお、前記各領域部イ、ロのいずれを優先して造成するかは適宜選択できるものである。前記併用方法では、前記領域部イには容易には型崩れせず、ある程度復元性のある海綿構造の緑地造成状部片(図1中、符号41Aを参照のこと)等を適用した図1の方法により丈夫な緑化を確立するものであり、他方の領域部ロには細粒軽石等の多孔質材(図2中、符号41Bを参照のこと)等を適用する図2の方法により、簡易な敷設作業に基いた早期の造成を図るものである。
【0024】図6は、図1、図3、図5に示した緑地造成方法に使用される透水性支持盤61に係る断面図である。図6のA)に示す複数の逆錐形の植孔62、62が備えられた透水性支持盤61は、ペレット状発泡スチロールaとセメントbを主材料とし、更にセメントの付着力を強化するための増粘材cを加えた上、加水混合し、加圧形成したものであって、発泡スチロールa、a相互に間隙が形成されるため、透水し得、極く軽量であるので荷重を嫌うビル屋上の床面を緑化するのに好適である。図6のB)に示す複数の逆錐形の植孔62、62が備えられた透水性支持盤61は、小粒砕石dとセメントbを主材料とし、増粘材cを加えた上、加水混合して形成したもので、採取し易い小粒砕石dの採用によりコストを低減できるものである。図6のC)に示す複数の逆錐形の植孔62、62が備えられた透水性支持盤61は、連続空隙fを有する高透水性の発泡スチロールeからなるもので、産業廃棄物の再利用が図られ、しかも極く軽量であるので荷重を嫌うビル屋上の床面を緑化するのに好適である。図6のD)に示す複数の逆錐形の植孔62、62が備えられた透水性支持盤61は、連続空隙を有さない発泡スチロール又は他の合成樹脂成形物gに無数の透水孔hを設けたもので、一定の硬さと強度を備えており、敷設作業時に損傷する危険性なく、気軽な敷設作業をなすことができる。図6のE)に示す複数の逆錐形の植孔62、62が備えられた透水性支持盤61は、天然又は人工的に加圧固形化されたピートモス等の有機成形物、又はこれにバーミキュライト、パーライト等の無機質組成物が混合された形成物に透水孔hを設けたもので、軽量化が図られ、しかも有機物が肥料の代替となって成形苗の自然で長期的な育成が図られるものである。
【0025】
【発明の効果】以上の説明から理解できるように、本発明の緑地造成方法では、成形苗の根部に相応する形状の植孔を備えた透水性支持盤および成形苗が採用されて堅固な移植がなされるため、初期育成期間に生じ易い成形苗の倒伏等への管理を大幅に削減し得るとともに、移植作業の高効率化が図られ、しかも個別に調達可能な透水性支持盤および成形苗が採用されることから、透水性支持盤の低廉な搬送コストおよび成形苗の低廉な製造コストによる緑地造成コストの低減化が図られる。また、本発明の緑地造成方法では軽量な各種緑化部材が適用され、造成作業性が向上し、特におおきな荷重を好まないビルの屋上等にきわめて有効である。そして本発明の緑地造成に採用される基盤構造は、透水、活着、保水、排水等の機能毎の素材からなり、かつ該機能毎の素材が多種採用可能となるため、顧客の広範なニーズに応じた緑地造成の設計が容易となる。
【出願人】 【識別番号】000218052
【氏名又は名称】渡辺 嗣彦
【出願日】 平成13年1月29日(2001.1.29)
【代理人】 【識別番号】100065260
【弁理士】
【氏名又は名称】谷山 守
【公開番号】 特開2002−223630(P2002−223630A)
【公開日】 平成14年8月13日(2002.8.13)
【出願番号】 特願2001−20767(P2001−20767)