| 【発明の名称】 |
植物用給・保水材及びそれを使用した植栽用キット |
| 【発明者】 |
【氏名】多田 秀
【氏名】佐々木 幸治
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| 【要約】 |
【課題】鉢植え植物だけでなく大型植栽にも利用可能な、簡易で吸水性に富み、採算性や実用性に優れた植物用給・保水材を提供する。
【解決手段】この発明は、少なくとも吸水性繊維からなるものがシート体に形成され、該シート体の一面に不透水性シート又は透水性シートがラミネートされ、さらにその上に適度な通気性及び強度を備えた外殻部材が設けられた積層体からなる植物用給・保水材である。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】吸水性繊維を含有するものがシート体に形成され、該シート体の一面に不透水性シート又は透水性シートがラミネートされ、さらにその上に適度な通気性及び強度を備えた外殻部材が設けられた積層体であることを特徴とする植物用給・保水材。 【請求項2】前記不透水性シート又は前記透水性シートが、前記シート体の他方の一面にもラミネートされたことを特徴とする請求項1に記載の植物用給・保水材。 【請求項3】請求項1又は請求項2に記載の植物用給・保水材を枠体に装着したことを特徴とする植物用給・保水材を使用した植栽用キット。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、鉢植えされた植物や、屋上緑化及び壁面緑化等の大型植栽への水やりとそれらの植物の生育に有効な植物用給・保水材及び植物用給・保水材と枠体とを組み合わせて形成する吊り下げタイプのハンギングバスケットや、壁面タイプのヘゴ材代替品等を使用した植栽用キットに関するものである。 【0002】 【従来の技術】植物に給水する場合、貯水タンクから給水用管を配管しポンプの駆動力を利用して給水する散水装置、給水エレメントの毛細管現象を利用して給水する装置、キャップに工夫を加えたペットボトルやゲル状タイプのものを利用する給水装置等が従来から知られている。 【0003】また、植物がハンギングバスケットで吊り下げられる場合や、ヘゴ材代替品で直線状あるいは面状に配設される場合は、水苔や保水材を配合した保水性の良好な用土や、吸水ポリマーを応用した給水資材等を用いることが知られている。 【0004】さらに、近年ヒートアイランド現象の打開やエネルギー対策の観点から効用が期待されている屋上緑化、壁面緑化等の大型植栽に給水する場合には軽量化用土や軽量化保水資材、効率的な潅水設備等が開発されている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、植物が吊り下げられたり直線状や面状に配設されたりする場合では、上記のような貯水タンクや給水エレメントの設置は非常に困難であり、ペットボトルやゲル状タイプのものは配置するスペースが少なかったり重量が重かったりする問題があった。 【0006】また、保水性が良好な用土や給水ポリマー応用の給水資材等は標榜するほどの給水効果はなかった。 【0007】屋上緑化、壁面緑化等の大型植栽の場合では、用土及び保水資材の軽量化、蒸散を防いだ効果的な給水、給水時の植物や用土の飛散等未解決の問題があった。 【0008】そこで、この発明は、鉢植え植物だけでなく大型植栽にも利用でき、簡易で有効な給水性能を備え、採算性や実用性に優れた植物用給・保水材を提供するとともに、それを使用した植栽用キットを提供することを課題としている。 【0009】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、請求項1の発明は、吸水性繊維を含有するものがシート体に形成され、該シート体の一面に不透水性シート又は透水性シートがラミネートされ、さらにその上に適度な通気性及び強度を備えた外殻部材が設けられた積層体であることを特徴としている。 【0010】請求項1に係る発明によれば、不透水性シートをラミネートした場合、吸水性繊維を含有するシート体に保水させ、不透水性シートで蒸散を防いで保水性を上げるとともに、シート体及び不透水性シートが外殻部材に保護されているので、植物への給水はシート体を内側にして用土を充填したり丸めたりすれば、この植物用給・保水材の上に植栽するだけで完了し、鉢植え植物だけでなく大型植栽にも利用できる簡易で有効な給水が可能で、さらに、特別な設備や設置スペースが必要なく採算性や実用性に優れている。 【0011】透水性シートがラミネートされた場合、透水性シートからの適度な蒸散で用土の温度上昇が抑えられるとともに、シート体に蓄えられた水分量を透水性シートで調整して余計な水分が排出され、根腐れを起こしにくく、水抜き用の穴を植物用給・保水材に設ける必要もなくて用土が穴からこぼれることもなく、さらに実用的である。 【0012】請求項2の発明は、請求項1に記載の植物用給・保水材において、不透水性シート又は透水性シートが、シート体の他方の一面にもラミネートされたことを特徴としている。 【0013】請求項2に係る発明によれば、不透水性シートがシート体の他方の一面にもラミネートされた場合、シート体の両面に不透水性シートがラミネートされて保水されるとともに、適度な強度を備えた外殻部材が植物の茎を支えてシート体に根付くように植物を支持して、直接この植物用給・保水材に植物を植えることが可能となり、壁面緑化などの用土の確保が難しい場合に特に有用で実用性に優れている。 【0014】透水性シートがシート体の他方の一面にもラミネートされた場合、シート体の両面に透水性シートがラミネートされて、水分量が調整され、必要以上の水分が蒸散されるとともに、外殻部材に支えられシート体に直接植えられた植物は、その根が透水性シートと絡まって水分の浸透性がよくなり、植物用給・保水材から抜けにくくなり、大型植栽の場合でも安定した給水が可能で実用的である。 【0015】請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の植物用給・保水材を植物枠体に装着して植栽用キットを形成したことを特徴としている。 【0016】請求項3の発明によれば、吊り下げタイプのハンギングバスケットや、壁面タイプのヘゴ材代替品等の枠体に植物用給・保水材を装着するだけで植物の水やりに必要な水分が保水され、簡易で有効な給水性能を備えて植物への水やりが軽減される植栽用キットとなり、装着方法によっては用土を使用することなく植物を直接植えられ、シート体の両面に不透水性シート又は透水性シートをラミネートした植物用給・保水材が装着されれば、さらに簡単に用土不要で植栽可能なので、屋上緑化や壁面緑化といった大型植栽でも軽量化や用土の飛散防止が図れて採算性に優れ、実用的な植栽用キットとなる。 【0017】 【発明の実施の形態】以下、図面に基づいてこの発明を説明する。図1はこの発明の植物用給・保水材をハンギングバスケットに適用した状況を示している。 【0018】図中、1は植物用給・保水材で、シート体2の一面に不透水性シート3a又は透水性シート3bがラミネートされ、さらにその上に外殻部材4が設けられた積層体である。 【0019】植物用給・保水材1は、吸水性繊維を含有するものがシート体2に形成され、そのシート体2の一面でここでは下面となる側に不透水性シート3a又は透水性シート3bがラミネートされ、さらにその上に適度の通気性及び強度を備えた外殻部材4が設けられて積層体に形成されている。この植物用給・保水材1は、ここではハンギングバスケットの形状をなすフレーム5の内部に外殻部材4が外表面となるように装着され、シート体2のここでは上面となる椀型に形成された内側に用土6が入れられて、植物7が植えられている。 【0020】植物用給・保水材1は、成形型を用いて図のように椀型に形成されたり、あるいは円形、半円形、楕円形、正方形、長方形、菱形等任意の形状にされているものに切込み、切欠をして枠体であるフレーム5の内部に隙間のないように装着して椀型に形成される。ここでは円形にされた後、外周部に複数の半径方向の切込みを入れ、中央部に図示しない水抜き用の穴部を有している植物用給・保水材1を、ハンギングバスケットの形状をなすフレーム5の内側に装着している。植物用給・保水材1は、円形の底部と長方形の側面部とに二分割されたものでも、複数の扇形形状にされたものでもよい。また、水抜き用の穴部が形成されるのは中央部でなくてもよく、透水性シート3bがラミネートされていれば形成されなくてもよい。 【0021】シート体2は、吸水性繊維を含有するものから形成されていて、吸水性繊維単独をシート状に形成してもよいし、吸水性繊維と他の繊維と混合したものをシート状に形成したものであってもよい。 【0022】ここで、吸水性繊維とは、水膨潤度(自重に対して吸収する水の割合)が3倍以上、好ましくは5倍以上であり、かつ繊維形態を有する限り使用することができるものである。例えば、アクリロニトリル(以下、ANという。)−アクリル酸塩共重合体、ポリアクリル酸塩−多価アルコール共重合体熱処理物、デンプン−アクリル酸もしくはその塩グラフト共重合体、デンプン−ANグラフト共重合体ケン化物、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体ケン化物、酢酸ビニル−不飽和ジカルボン酸共重合体ケン化物等を繊維状にしたもの;アクリル繊維、セルロース繊維、ポリビニルアルコール維持等を吸水変性処理(ヒドロゲル化)したもの;繊維表面を親水性重合体で被覆したもの等が挙げられる。なかでも、ヒドロゲル化(吸水性でかつ水不溶性の重合体)外層とAN系重合体内層とで形成されたランシール(東洋紡績(株)製)に代表される複合吸水性繊維は、優れた吸水能とともに引張強度などの物性も実用水準を維持していることから、多層の不織布、立体成形品、糸などの繊維形成体の形成も容易であり望ましい。 【0023】また、吸水性繊維に混用される他の繊維としては、公知の合成繊維、再生繊維、天然繊維の中から任意に選択使用されるが、ポリプロピレン、ポリエチレン、低融点ポリエステル等の比較的低温で熱溶着可能な合成繊維(熱溶着性繊維)を一成分として使用すれば、吸水時においても形態安定性を備えたシート体2として工業的に有利に形成させることができるので望ましい。なお、上記吸水性繊維に混用される他の繊維としての熱溶着性繊維の使用割合としては、給・保水材に求められる吸水能、使用する吸水性繊維の水膨潤度、繊維成型体の形成性等を勘案して適宜選択されるが、概ね10〜70重量%の範囲内であることが望ましい。 【0024】そして、上記シート体2の望ましい形態としては、不織布、編織物等が挙げられ、場合によっては複数枚の不織布を積層した積層体、不織布と編織物との混積層体、不織布と防水シートとの混積層体等であってもよい。 【0025】さらに、シート体2の目付けとしては、シート体1の吸水能に応じて設定されるが、シート体2の3倍以上、好ましくは5〜200倍の水膨潤度を有する場合には、概ね20〜1000g/m2、好ましくは50〜500g/m2であることが望ましい。 【0026】不透水性シート3aは、実質的に水分を透過させない材料であり、積層体の一面として作製可能であるとともに、適度な強度を有すれば如何なる材料であってもよい。また、この不透水性シート3aは、吸水材の保水性能を向上させるため、水の蒸散を防止する不透水性を有する他、太陽熱吸収による高温蒸発を防ぐため不透光性能を有することが望ましい。このような性能を有するものとしては、例えば高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、飽和ポリエステル樹脂(PET)などの熱可塑性合成樹脂フィルムやシート状発泡体、セロファン、アルミ箔などが挙げられる。なお、紙、不織布などでも処理によって水不透過性が保たれるならば使用してもよい。また、アルミ箔にポリエチレンをコートしたポリエチレン−アルミ箔などの積層体や、上述のフィルムにアルミや銅などを蒸着したラミネートフィルムなどを使用してもよい。 【0027】透水性シート3bは、積層される吸水シート2と外殻部材4との間で水分の蒸散や熱の発散が行えるようなものである。積層体の一面として作成するものであり、吸水シート2を保持するのに適度な強度を有すれば上述の条件において如何なる材料でもよい。例えば、水分蒸散のための孔(パーホレーション)が施された各種フィルムや不織布などの素材が例示される。ここで用いられる繊維として種々のものが例示されるが、ポリエチレン繊維、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維などの合成繊維、レーヨンなどの再生繊維、天然繊維などの中から適宜選択され、これらを混合させて不織布の形態を保持してもよい。また、透水性シート3bは外殻部材4と同じ素材である椰子殻繊維シートや麻布でもよい。 【0028】外殻部材4は、シート体2と不透水性シート3a又は透水性シート3bとを組み合わせてラミネートしたものを覆って外表面を形成するものである。この外殻部材4は、ハンギングバスケットの形状を保持しながら外表面を形成できるとともに、植物がシート体2に直接植栽された場合に植物の茎を支え得る適度な強度と、透水性シート3bがラミネートされたときに水分の蒸散や熱の発散の障害とならない通気性を有すれば、如何なる素材でもよい。また、外観上の見栄えをよくするために植物植栽用資材として違和感のないものであることが望ましい。例えば椰子殻繊維シートや麻布、印刷を施した布や紙及び不織布などの素材が挙げられる。さらに、外殻部材4に開口部を施して植物を植え付けたり、枠体であるフレーム5の形状に合わせて変形したりできるように、容易に切断できる程度の加工性を有するものでなければならない。 【0029】なお、上記植物用給・保水材1は抗菌剤や忌避材等を添加して使用してもよく、適宜所望の色彩に着色してもよい。 【0030】枠体であるフレーム5は、ここではハンギングバスケットの外枠をなし、植物用給・保水材1と一体となってハンギングバスケットを形成している。この場合フレーム5の開口部周辺に鎖が形成され、その鎖、ここでは三本の鎖である、がリングによってまとめられて所望の場所に吊り下げられる。また、図2にも使用されているように、植物用給・保水材1が植物を植栽できる形状をなすための支持ができれば形状はいかなるものでよい。 【0031】図2はこの発明の植物用給・保水材を枠体であるヘゴ材代替品に適用した状況を示している。 【0032】ここでは、植物用給・保水材1は、シート体2の両面に不透水性シート3a又は透水性シート3bがラミネートされ、その両面に外殻部材4が設けられた積層体である。 【0033】植物用給・保水材1は、吸水性繊維を含有するものがシート体2に形成され、そのシート体2の両面に不透水性シート3a又は透水性シート3bがラミネートされ、さらにその両面にシート体2と不透水性シート3a又は透水性シート3bとを挟むように適度の通気性及び強度を備えた外殻部材4が設けられて積層体に形成されている。この植物用給・保水材1は、ここでは枠体である棒状のヘゴ材5´の内部に積層体が環状をなすように丸められて装着され、植物7が用土を用いずに直接植物用給・保水材1に植えられている。 【0034】植物用給・保水材1は、外殻部材4が外表面となる状態で図のように枠体であるヘゴ材5´の内部に充填されていればよく、長方形や正方形等のシート形状にされた後丸められて棒状枠体に嵌装されてもよく、面状枠体に広げて装着してもよい。なお、植栽が可能なように任意の個所に切込みを入れ、植物を挿入し、植え付けている。 【0035】次にこの発明の植物用給・保水材の作用を説明する。 【0036】シート体2の一面に不透水性シート3aがラミネートされ、さらにその上に外殻部材4が設けられた場合では、シート体2に保持された水分が不透水性シート3aで覆われて蒸散は防止され、他面で水分の供給は行われる。不透水性シート3aの上に設けられた外殻部材4は、植物を植栽できる容器、この場合ではハンギングバスケットを形成し、外殻部材4が型を用いて作られた形状を保持できる材質であればフレーム5を用いずに植物が植栽できる容器を形成することも可能となる。 【0037】シート体2の一面に透水性シート3bがラミネートされ、さらにその上に外殻部材4が設けられた場合では、シート体2に保持される水分量は、透水性シートの透水度の高低によって調節ができる上、水分の蒸散が完全に防止されることがないので水抜き用の孔を設ける必要がなく、用土の流出が防止できる。また、適度な水分の蒸散により用土の熱が下げられて、直射日光にさらされても外殻部材4によって形成された植物が植栽できる容器、この場合ではハンギングバスケットの温度上昇が抑えられる。 【0038】シート体2の両面に不透水性シート3aがラミネートされ、さらにその両面の不透水性シート3aの上に、外殻部材4が設けられた場合では、水分を保持したシート体2が不透水性シート3aと外殻部材4とに挟まれて、水分の蒸散は完全に防止されるとともに、外殻部材4が両面を覆って用土の代替となる。植物を植物用給・保水材1に直接植栽し、給水しながら外殻部材4で植物を支え、用土がなくても植物を植栽することが可能となる。なお、シート体2への保水及び水抜き用の孔は適宜必要である。 【0039】シート体2の両面に透水性シート3bがラミネートされ、さらにその両面の透水性シート3bの上に、外殻部材4が設けられた場合では、外殻部材4が植物を支え、植物用給・保水材1に直接植栽が可能である上、植えられた植物が透水性シート3bから水分を吸収できるので、植物の根が透水性シート3bに絡まって生育し、植物が植物用給・保水材1から抜けにくくなる。 【0040】 【実施例 1】以下に、この発明の実施例について、シート体の片面に不透水性・不透光性材料をラミネートし、その上に椰子殻繊維シートを設けた3層構造からなるシート状繊維形成体を用いて詳細に説明する。 【0041】[給・保水材の調製]不透水性シートとして発泡ポリエチレン(東レ(株)製ペフ)、外殻部材として椰子殻繊維シート(小泉製麻(株)製)、シート体として東洋紡績(株)製ランシール・F50重量%とユニチカ(株)製ポリエステル50重量%を混用した目付け300g/m2のサーマルボンド法により製造した不織布(以下SD−300と称する。)を用い、三者をシート体、不透水性シート、外殻部材の順に接合して積層の給・保水体を作成した。この給・保水体(以下ペフ・椰子殻シート・ラミネート・SD−300シートと称する。)は460mmφの円形で、その外周縁の四箇所を中心に向かって高さ10cm、円弧5cmの扇型に切り取って作成されており、その中心部に水抜き用の孔(1cmφ)があけられている。このときの乾燥重量は98gであった。 【0042】[試験方法]市販されているハンギングバスケット(直径32cm、高さ15.6cmの円形、アイリスオーヤマ(株)製)と、用土の量及び植物体の大きさを同一に調整した市販の植物(ポットマム1株、ペペロミア1株、アメリカンブルー2株、アイビー1株、ヘデラ1株、ポトス1株)を用いて試料とする。このものにつき、下記の条件にて植物植付け後十分に水を与えてから、日光の当たる風通しのよい場所に吊り下げ、ハンギングバスケットに使用したペフ・椰子殻シート・ラミネート・SD−300シートの給水性能評価を行う。 【0043】《条件》ペフ・椰子殻繊維シート・ラミネート・SD−300シート使用(試験品) ハンギングバスケットに添付されている椰子殻繊維シートをそのまま使用(通常品) [結果]上記の2条件による試験結果を図3に示す。 【0044】給水直後、ペフ・椰子殻繊維シート・ラミネート・SD−300シートは、水抜き用の穴をあけたため保持水量は1855gと総重量と比較して少ない程度に留まった。しかし、その後の保持水量を見ると、通常品では等差級数的に減少するのに対し、試験品では水分の減少が緩やかである。 【0045】4日目において、試験品は最初の保持推量を下回ることはなかったが、通常品は最初の保持水量を大きく割り込み、植物の一部(ペペロミア)は萎れ始めた。 【0046】この試験時では、一日の水分消費量は約500g程度と考えられるが、このペフ・椰子殻繊維シート・ラミネート・SD−300シートを使用すると、上から用土や植物の圧力を受けた状態で1000g近くの水を保持し、その80%程度を4日間で放出しているため、通常品と比較し2日程度水やりが省けることとなる。 【0047】[結論]以上の結果から、この発明の給・保水材はシート体に自重の数倍から数十倍の水膨潤度を備え、しかもこの実施例1のように上方から圧力を受けた状態でも多量に吸収した水を強力に保持する能力を備えているので、使用時の急激な水分の放出はなく、長時間にわたり植物に水を供給できるものであり、シート体の一面に不透水性シートを有しているために、無駄な水分の蒸散が抑えられ、さらに長時間にわたって水分は保持される。 【0048】なお、この実施例1では不透光性も有した不透水性シートを使用しているため、直射日光にさらされてもそれに伴う給・保水材の温度上昇を抑えることができて、水分の蒸散をさらに効果的に防ぐことが可能となる。 【0049】また、ここでは外殻部材に椰子殻繊維シートを使用しているので、ハンギングバスケットの質感に合致しており、本用途に対して実用性に優れている。 【0050】 【実施例 2】以下に、この発明の実施例について、シート体の片面に不透水性材料をラミネートし、その上に外殻部材として不織布を設けた3層構造からなるシート状繊維形成体を用いて詳細に説明する。 【0051】[給・保水材の調製]不透水性シートとしてナイロンフィルム・クリスパー(東洋紡績(株)製)、外殻部材としてポリエステルスパンボンド・エクーレ(東洋紡績(株)製)、シート体として実施例1に使用したSD−300を用い、三者をシート体、不透水性シート、外殻部材の順に接合して積層し給・保水体を作成した。この給・保水体(以下不織布・フィルム・ラミネート・SD−300シートと称する。)は長さ50cm、幅1mの長方形の積層体で、そのうちの長さ18cm、幅60cmを切り取って円筒状に丸めて棒状とし、上端部及び底端部はシート体に水が透過するように穴が設けられている。 【0052】[試験方法]市販されているプラスチック製ヘゴ代替品(直径7cm、高さ60cmの円筒形、クラーク(株)製、以下プラヘゴと称する。)を、直径23cmのスチール製ポットに立て、プラヘゴ内部に棒状にされた不織布・フィルム・ラミネート・SD−300シートを充填し、市販の植物(ペニュチア3株、ベゴニア3株、松葉ボタン6株)をプラヘゴの目に合わせて隙間を開けた不織布・フィルム・ラミネート・SD−300シートに挿し込んで試料とする。 【0053】このものにつき、下記の条件にて植物の生育状態の観察を行う。 【0054】《条件》 1. 一日一回、上端部穴より十分に給水する2. 直射日光の当たる屋外に放置する[結果]試験開始当初の9日間は、連日最高気温が35度を上回る状態であったが、一日一回の給水ですべての植物は健常であり、毎日直射日光を受けていたことで花の数、色ともに順調に生育し、植物の鮮度保持だけでなく通常の露地植え植物同様の生育も観察できた。 【0055】さらに45日間観察を続けたが、例年になく苛酷な高温環境の中、植物は順調に生育した。 【0056】[結論]以上の結果から、この発明の給・保水材は用土を用いずに植物を直接植えることが可能な上、この実施例2のように垂直に立てた場合でも吸収した水を強力に保持する能力を備えているので、水分が自重によって流出してしまうのを防いで植物に水を供給できるものである。 【0057】さらに、直射日光にさらされても保持された水分は蒸散せず、一日1回の水やりでも植物は生育することができる。 【0058】なお、供給する水分中に液体肥料を混入すれば、さらなる植物の生育を望むことが可能となる。 【0059】以上説明してきた植物用給・保水材を使用した植栽用キットについて説明する。 【0060】この植栽用キットは、フレーム5の内側に外殻部材4が最も外側になるように、密着して並べられて形成されている。図1ではフレーム5はハンギングバスケット形状、また図2ではヘゴ材代替品形状をなしているが、植物が植栽できる形状であればよく、通常のプランタータイプや面状をなすネットのような形状でもよい。面状のネットに装着する場合、紐や針金などでこの植物用給・保水材1を縛り付けて固定してもよく、壁面緑化に非常に有効である。また、ヒートアイランド現象の打開等からニーズが高まっており、環境に配慮した植栽用キットとなっている。 【0061】また、外殻部材4の材質によっては、枠体であるフレーム5を使用しなくても植物を植栽できる形状に形成でき、その場合には植物用給・保水材1を外殻部材4が最も外側になるように所望の形状に形成し、植物を植栽する。 【0062】所望の形状に形成したら、図1のように不透水性シート3a又は透水性シート3b上に用土を入れ、植物を植栽する。図2のように用土を使用せずに植物用給・保水材に直接植物を植栽してもよい。この場合、外殻部材4は植物を支えることができる強度を備える必要がある。 【0063】また、実施例2のように外殻部材がシート体と不透水性シート又は透水性シートとの積層体の一面に設けられている場合でも、用土を使用しないで植物を植栽することも可能である。 【0064】水を供給し、シート体2に十分な水を保水させると、植物が消費する水はシート体2から供給され、植物への水やりは軽減される。なお、実施例1によれば、植物用給・保水材を使用しない場合に比べて二日程度の水やりが軽減される。 【0065】また、直射日光にさらされても透水性シート3bをラミネートしてある植物用給・保水材を使用すれば適度な水分の蒸散が熱を下げ、植栽用キット全体の温度上昇を抑えることができる。 【0066】なお、シート体、不透水性シート又は透水性シート、外殻部材の積層方法は、本発明の請求項に記載のものに限らず、シート体の一面に不透水性シート又は透水性シートがラミネートされ、その両面に外殻部材が設けられる場合、シート体の両面に不透水性シート又は透水性シートがラミネートされ、その片面の上に外殻部材が設けられる場合、シート体の一面に不透水性シートがラミネートされ、他面に透水性シートがラミネートされ、その不透水性シートの上に外殻部材が設けられる場合やその両面に外殻部材が設けられる場合などがある。これらは植栽される植物の種類や量、必要水分量、植栽形態などによって選択することができる。 【0067】 【発明の効果】以上説明したように、請求項1の植物用給・保水材は、吸水性繊維を含有するものがシート体に形成され、該シート体の一面に不透水性シート又は透水性シートがラミネートされ、さらにその上に適度の通気性及び強度を備えた外殻部材が設けられて形成された積層体であるので、自重の数倍から数十倍の水膨潤度を備え、植物への水やりには十分な適正を有しており、さらに、外殻部材によって植物がこの植物用給・保水材に植栽可能なので、その使用方法は簡易で、植栽方法にとらわれず使用可能であって採算性や実用性に優れている。 【0068】また、透水性シートがラミネートされた場合では、植物への給水量を調節するとともに余分な水分を蒸散させ、根腐れや植物用給・保水材の温度上昇を抑えることができる。 【0069】請求項2の植物用給・保水材は、請求項1において、不透水性シート又は透水性シートが、シート体の他方の一面にもラミネートされたので、シート体には植物に給水するのに十分な水を蓄えながら用土が不要な状態で植物を生育でき、用土の確保が困難な大型植栽等に有効であり、さらに、雨や風で用土が飛散したり、流出したりせず、実用的である。 【0070】また、透水性シートが両面にラミネートされた場合では、余分な水分を蒸散させて植物用給・保水材の温度上昇を防ぐとともに、シート体のみならず透水性シートにも植物の根が張って植栽が安定し、壁面緑化でも有効に使用できる。 【0071】請求項3の植栽用キットは、請求項1又は請求項2の植物用給・保水材を自由な形状の枠体と組み合わせて使用しているので、植栽用キット自体に水を蓄え、長時間、植物に適度な給水をすることができ、直射日光にさらされる状態や垂直に立てられた棒状態でも有効な給水性能を備えていて、鉢植え植物や大型植栽でも使用でき実用的である。 【0072】したがって、この発明は、鉢植え植物だけでなく大型植栽にも利用でき、簡易で有効な給水性能を備え、採算性や実用性に優れた植物用給・保水材を提供するとともに、それを使用した植栽用キットを提供することが可能となっている。
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| 【出願人】 |
【識別番号】591286270 【氏名又は名称】株式会社伏見製薬所 【識別番号】000003160 【氏名又は名称】東洋紡績株式会社
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| 【出願日】 |
平成13年1月16日(2001.1.16) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100082670 【弁理士】 【氏名又は名称】西脇 民雄 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−209446(P2002−209446A) |
| 【公開日】 |
平成14年7月30日(2002.7.30) |
| 【出願番号】 |
特願2001−7298(P2001−7298) |
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