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【発明の名称】 植物栽培用空調装置
【発明者】 【氏名】樫村 俊正

【要約】 【課題】CO2を無駄に消費することなく外気冷房ができ、かつ設備費が嵩むこともない植物栽培用空調装置を提供する。

【解決手段】植物を栽培する植物栽培室1と、植物栽培室1にCO2を供給するCO2供給手段4と、植物栽培室1外に室外機7が、また植物栽培室1内に室内機8が設置され、かつ圧縮機冷凍サイクルにより植物栽培室1内を空調する空調装置6とより構成された植物栽培用空調装置であって、室外機7内に設けられたアキュムレータ10及び圧縮機11の直列回路19と並列にバイパス回路20を設けて、圧縮機11が停止された状態でも、圧縮機冷凍サイクル内を冷媒が自然循環できるようにしたもので、植物栽培室1内に直接外気を導入せずに植物栽培室1内を外気冷房できるため、CO2が無駄に消費されることがない上、HEPAフィルタや冷水冷却凝縮器、凝縮器ファン、冷水搬送ポンプなどを必要としないので、設備費が嵩むこともない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 植物を栽培する植物栽培室と、前記植物栽培室にCO2を供給するCO2供給手段と、前記植物栽培室外に室外機が、また前記植物栽培室内に室内機が設置され、かつ圧縮機冷凍サイクルにより前記植物栽培室内を空調する空調装置とより構成された植物栽培用空調装置であって、前記室外機内に設けられたアキュムレータ及び圧縮機の直列回路と並列にバイパス回路を設けて、前記圧縮機が停止された状態でも、圧縮機冷凍サイクル内を冷媒が自然循環できるようにしたことを特徴とする植物栽培用空調装置。
【請求項2】 前記アキュムレータの入口側に電磁弁を、また前記バイパス回路にバイパス弁を設けて、外気温度と植物栽培室内の温度差が予め設定した設定値になったときに、前記電磁弁及びバイパス弁を切換えることにより、圧縮機冷凍サイクルによる空調運転と、冷媒自然循環空調運転が自動的に切換えられるようにしてなる請求項1に記載の植物栽培用空調装置。
【請求項3】 前記室外機に設けられた凝縮器に、冷却水をスプレーまたは滴下する冷却水供給管と、冷却フアンよりなる凝縮器冷却手段を設けてなる請求項1または2に記載の植物栽培用空調装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は植物栽培室を空調する植物栽培用空調装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来植物工場や、植物苗生産設備などでは、光や温度、湿度などの環境管理を容易とするため図3に示すように、空調装置を設置した植物栽培室が使用されている。図3に示す植物栽培施設では、外気と遮断された植物栽培室aの外部に空調装置の室外機bを、そして内部に室内機cを設置して、植物栽培室a内の温度や湿度を管理しており、植物栽培室a内には、植物栽培棚dと、植物を人工的に照明する人工照明eなど設置されている。
【0003】また植物の生育を促進するため、CO2供給手段fより植物栽培室a内に適当な濃度のCO2を供給すると共に、省エネルギー化を図るため、中間期や冬期などの外気温度が低い場合は、外気導入ダクトgにより植物栽培室aに外気を導入して、外気冷房を行うように構成されている。
【0004】一方空調装置により植物栽培室内を空調するようにした空調システムとしては、例えば特開平11−257883号公報に記載された「熱源併用冷媒自然循環冷房システム」が公知である。前記公報の冷房システムは、空気冷却凝縮器と冷水冷却凝縮器とからなる凝縮器を有していて、空気冷却凝縮器には、凝縮器用ファンによって低温外気が供給され、冷水冷却凝縮器には、冷水搬送ポンプにより冷水が搬送されるように構成されており、凝縮器で熱媒体を冷却する冷熱源に、低温外気と冷水とを併用することにより、外気温が上昇する中間期や夏期でも十分な冷却性能が得られるため、クリーンルーム内を常に一定の温度で冷房することができる効果を有している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし図3に示す植物栽培設備にように、外気温度が低い場合植物栽培室a内に外気を導入して外気冷房を行うようにしたものでは、外気により植物栽培室a内のCO2濃度が希釈されて植物の生育促進効果が低下したり、植物栽培室a内に供給したCO2が外気とともに植物栽培室a内より排出されてしまうため、CO2が無駄に消費されて不経済であるなどの問題がある。
【0006】また外気中の微生物や塵埃などが植物栽培室aに侵入しないようHEPAフィルタなどを設置して外気を濾過する必要があるため、設備費が嵩むと共に、フィルタを定期的に清掃しなければならないため、保守管理に手間がかかるなどの問題もある。
【0007】一方前記公報に記載された冷房システムでは、植物の生育を促進するCO2供給手段が設置されていないため、植物の生育促進効果は得られないが、もしCO2供給手段を設置して植物の生育促進効果が得られるようにした場合でも、低温外気により冷却された冷水冷却凝縮器内の冷水を冷水搬送ポンプにより植物栽培室内の凝縮器へ搬送して植物栽培室内を冷房する構成のため、冷水冷却凝縮器や凝縮器ファン、冷水搬送ポンプなどの設備が必要となり、設備費が嵩むなどの問題がある。
【0008】本発明はかかる従来の問題点を解消するためになされたもので、CO2を無駄に消費することなく外気冷房ができ、かつ設備費が嵩むこともない植物栽培用空調装置を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため本発明の植物栽培用空調装置は、植物を栽培する植物栽培室と、植物栽培室にCO2を供給するCO2供給手段と、植物栽培室外に室外機が、また植物栽培室内に室内機が設置され、かつ圧縮機冷凍サイクルにより植物栽培室内を空調する空調装置とより構成された植物栽培用空調装置であって、室外機内に設けられたアキュムレータ及び圧縮機の直列回路と並列にバイパス回路を設けて、圧縮機が停止された状態でも、圧縮機冷凍サイクル内を冷媒が自然循環できるようにしたものである。
【0010】前記構成により、中間期や冬期のように外気温が低い場合、圧縮機を運転しなくとも、冷媒の相変化と重力作用により冷媒が自然循環して、植物栽培室内を外気冷房することができるため、電力を消費することが殆どなく、これによって大幅な省エネルギー化が図れると共に、植物栽培室内に直接外気を導入せずに植物栽培室内を外気冷房することができるため、植物栽培室内のCO2が希釈されて植物の生育促進効果が低下されたり、CO2が外気とともに植物栽培室外へ排出されて、CO2が無駄に消費されるなどの問題を解消することができる。またHEPAフィルタや冷水冷却凝縮器、凝縮器ファン、冷水搬送ポンプなどの設備を必要としないことから、設備費の大幅な削減が図れると共に、HEPAフィルタを定期的に掃除するなどの作業も必要としないので、保守管理も容易となる。
【0011】前記目的を達成するため本発明の植物栽培用空調装置は、アキュムレータの入口側に電磁弁を、またバイパス回路にバイパス弁を設けて、外気温度と植物栽培室内の温度差が予め設定した設定値になったときに、電磁弁及びバイパス弁を切換えることにより、圧縮機冷凍サイクルによる空調運転と、冷媒自然循環空調運転が自動的に切換えられるようにしたものである。
【0012】前記構成により、外気温度と植物栽培室内の温度差が予め設定した設定値になると、自動的に冷媒自然循環空調運転に切換えられるため、植物栽培用空調装置の無人化運転が可能になると共に、植物栽培室内の温度や湿度などの管理も容易となるため、省力化もは図れるようになる。
【0013】前記目的を達成するため本発明の植物栽培用空調装置は、室外機に設けられた凝縮器に、冷却水をスプレーまたは滴下する冷却水供給管と、冷却ファンよりなる凝縮器冷却手段を設けたものである。
【0014】前記構成により、夏期や中間期のように、外気温度があまり下がらない場合でも、凝縮器冷却手段により凝縮器を冷却することにより、冷媒自然循環空調運転による外気冷房が可能になると共に、夏期の異常高温時に凝縮器冷却手段により凝縮器を冷却することにより、高圧カットの防止も図れるようになる。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図1及び図2に示す図面を参照して詳述する。図1は本発明の空調装置を採用した植物栽培室の概略断面図、図2は空調装置の構成図である。
【0016】図1に示す植物栽培室1は、周囲が断熱壁1aにより外気と遮断された密閉構造となっており、内部に植物を育成する植物栽培棚2が、そして植物栽培棚2の上方には人工照明手段3が設置されている。なお断熱壁1aが透明か、半透明で、太陽光などの外部光が利用できる構造の場合や、人工照明による植物の生育促進を実施しない場合は、人工照明手段3を省略してもよい。
【0017】植物栽培室1の外側には、CO2を収容したガスボンベなどのCO2供給手段4が設置されていて、このCO2供給手段4より電磁弁などのCO2供給弁5を介して植物栽培室1内に適正な濃度のCO2が供給されるようになっている。また植物栽培室1内を空調する空調装置6は、植物栽培室1の例えば屋上に設置された室外機7と、植物栽培室1内に設置された室内機8とより構成されていて、室外機7と室内機8の間は、冷媒供給管9a及び冷媒戻り管9bよりなる冷媒配管9により接続されている。
【0018】室外機7内には図2に示すように、アキュムレータ10と圧縮機11及び凝縮器12が設置されていて、圧縮機11により圧縮された冷媒ガスを凝縮器12で冷却することにより、冷媒ガスが液化されるようになっており、凝縮器12には、冷水をスプレーまたは滴下する冷水供給管13aと、冷風を送風する冷却ファン13bよりなる凝縮器冷却手段13が設置されている。凝縮器冷却手段13により冷却されて凝縮器12内で液化された冷媒は、冷媒供給管9aにより室内機8内に設置された蒸発器14へ電磁弁15及び減圧手段16を介して供給されるようになっている。
【0019】蒸発器14に供給された冷媒は、蒸発器14内で気化されて冷媒ガスとなり、その際蒸発器14により周囲の空気が冷却されると共に、冷却された空気は送風ファン17により植物栽培室1内全体に送風されて、植物栽培室1内全体が冷房されるようになっている。そして蒸発室14内で気化された冷媒ガスは、冷媒戻り管9bにより電磁弁18及びアキュムレータ10を介して圧縮機11へと送られ、圧縮機11により再び圧縮された後、凝縮器12へと循環されるようになっている。
【0020】一方室外機7内に設置された電磁弁18とアキュムレータ10及び圧縮機11の直列回路19には、これと並列にバイパス回路20が設けられている。バイパス回路20の途中には、電磁弁よりなるバイパス弁21が設けられていて、アキュムレータ10の入口側に設置された電磁弁18を閉鎖し、同時にこのバイパス弁21を開放することにより、冷媒の自然循環を利用して低温外気により植物栽培室1内を冷房する冷媒自然循環空調運転が行えるようになっている。
【0021】次に前記構成された植物栽培用空調装置の作用を説明すると、外気の温度が高く、圧縮機冷凍サイクルにより植物栽培室1内を冷房する場合は、アキュムレータ10の入口側に設けられた電磁弁18を開、バイパス回路20に設けられたバイパス弁21を閉にして、空調装置6の運転を開始する。これによって圧縮機11により圧縮され、凝縮器12により冷却されて液化された冷媒は、冷媒供給管9aにより植物栽培室1内に設置された室内機8へ送られ、室内機8内に設けられた蒸発器14内で気化されることにより、周囲の空気が冷却される。
【0022】蒸発器14により冷却された空気は、送風ファン17により植物栽培室1内へ送風されて、植物栽培室1内全体が予め設定された温度や湿度になるまで冷房されると共に、CO2供給手段4によりCO2が植物栽培室1内へ供給されて、CO2による植物の生育促進が図られる。また必要に応じて人工照明手段3が点灯されて、人工照明による植物の生育促進も図られる。
【0023】一方中間期や冬期、夏期であっても外気温が低く、外気温度taと植物栽培室1内の温度tbが、設定値△t0以上の温度差△t1(△t1=tb−ta>△t0)となった場合には、自動的に冷媒自然循環空調運転に切換えられる。冷媒自然循環空調運転に当っては、空調装置6の圧縮機11が停止された状態で、アキュムレータ10入口側の電磁弁18が閉に、そしてバイパス回路20のバイパス弁21が開に自動的に切換えられる。
【0024】これによって低温外気により凝縮器11内の冷媒が冷却されて、ガスから液体に相変化し、冷却により低温となった冷媒は、重力作用により冷媒供給管9aを自然流下して、室内機8内に設置された蒸発器14に達する。そして蒸発器14内で冷媒と植物栽培室1内の空気が熱交換されて、植物栽培室1内の空気が冷却され、冷却された空気は送風ファン17により植物栽培室1へ循環されて、植物栽培室1内全体がほぼ均一に冷房される。
【0025】また蒸発器14内で熱交換されて温度が上昇した冷媒は、冷媒戻り管9bよりバイパス回路20を介して凝縮器12へと循環され、凝縮器12で低温外気に再び冷却されて前記循環動作を繰り返すもので、圧縮機11を運転することなく植物栽培室1内を冷房することできると共に、低温外気を直接植物栽培室1内へ導入しないため、植物栽培室1内のCO2が希釈されたり、外気とともに植物栽培室1外へ排出されることがないので、CO2が無駄に消費されることもない。
【0026】一方中間期や冬期の外気温度が低い時期でも、外気温度ta′と、植物栽培室1内の温度tbの温度差△t2が△tより小さい場合、すなわち(△t2=tb−ta′<△t,tb>ta′>ta)となった場合は、冷却供給管13aより冷水を凝縮器12へスプレーし、同時に冷却ファン13bを回転させて凝縮器12の冷却を行うことにより、植物栽培室1内の温度tbと外気温度ta´の温度差△t2が設定値△tより高い場合でも、圧縮機11を運転せずに植物栽培室1内の冷房が可能となる。
【0027】また冷媒自然循環空調運転中に、外気温度と植物栽培室1内の温度差が設定値△t0以下の場合は、自動的に冷媒自然循環空調運転から、圧縮機冷凍サイクルによる冷房運転に切換えられる。なお圧縮機冷凍サイクルによる冷房運転については前述したので、その説明は省略する。
【0028】
【発明の効果】本発明は以上詳述したように、圧縮機冷凍サイクルにより植物栽培室内を空調する空調装置の室外機内に設けられたアキュムレータ及び圧縮機の直列回路と並列にバイパス回路を設けて、圧縮機が停止された状態でも、圧縮機冷凍サイクル内を冷媒が自然循環できるようにしたことから、中間期や冬期のように外気温が低い場合、圧縮機を運転しなくとも、冷媒の相変化と重力作用により冷媒が自然循環して、植物栽培室内を外気冷房することができるため、電力を消費することが殆どなく、これによって大幅な省エネルギー化が図れると共に、植物栽培室内に直接外気を導入せずに植物栽培室内を外気冷房できるため、植物栽培室内のCO2が希釈されて植物の生育促進効果が低下されたり、CO2が外気とともに植物栽培室外へ排出されて、CO2が無駄に消費されるなどの問題を解消することができる。
【0029】またHEPAフィルタや冷水冷却凝縮器、凝縮器ファン、冷水搬送ポンプなどの設備を必要としないことから、設備費の大幅な削減が図れる上、HEPAフィルタを定期的に掃除するなどの作業も必要としないので、保守管理も容易となると共に、アキュムレータの入口側に電磁弁を、またバイパス回路にバイパス弁を設けて、外気温度と植物栽培室内の温度差が予め設定した設定値になったときに、電磁弁及びバイパス弁を切換えることにより、圧縮機冷凍サイクルによる空調運転と、冷媒自然循環空調運転が自動的に切換えられるようにしたことから、外気温度と植物栽培室内の温度差が予め設定した設定値になると、自動的に冷媒自然循環空調運転に切換えられるため、植物栽培用空調装置の無人化運転が可能になると共に、植物栽培室内の温度や湿度などの管理も容易となるため、省力化もは図れるようになる。
【0030】さらに室外機に設けられた凝縮器に、冷却水をスプレーまたは滴下する冷却水供給管と、冷却ファンよりなる冷却手段を設けたことから、夏期や中間期のように、外気温度が余り下がらない場合でも、冷却手段により凝縮器を冷却することにより、冷媒自然循環空調運転による外気冷房が可能になるため、さらに省エネルギー効果が向上すると共に、夏期の異常高温時に冷却手段により凝縮器を冷却することにより、高圧カットの防止も図れるようになる。
【出願人】 【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
【出願日】 平成12年11月2日(2000.11.2)
【代理人】 【識別番号】100093872
【弁理士】
【氏名又は名称】高崎 芳紘
【公開番号】 特開2002−136229(P2002−136229A)
【公開日】 平成14年5月14日(2002.5.14)
【出願番号】 特願2000−335639(P2000−335639)