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【発明の名称】 育苗ポットの分離整列治具及び分離方法
【発明者】 【氏名】安藤 直三

【要約】 【課題】枠状ケースに縦横方向に整列させた育苗ポットを枠状ケースから選択的に抜き取る作業を簡便ならしめる治具と方法の提供。

【解決手段】樹脂製育苗ポット1を出し入れ可能に収納保持する有底上端開口のポット収納部11と、育苗ポット1が貫通する開口枠部12を縦横方向に交互に整列させて連設した樹脂製品の分離整列治具10を枠状ケース30に載置し、分離整列治具10の各ポット収納部11を枠状ケース30の縦横方向に定ピッチ配列された有底の凹部31の1つ置きの凹部31aに嵌挿して、分離整列治具10の各ポット収納部11と枠状ケース30の空状態にある凹部31bの各々に育苗ポット1を収納し、各育苗ポット1で植物を生育させ、ある程度生育した段階で枠状ケース30から分離整列治具10をポット収納部11の育苗ポット1と共に引き上げて枠状ケース30の育苗ポットを半分ずつに分離させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 カップ状の樹脂製育苗ポットを出し入れ可能に収納保持する有底上端開口のポット収納部と、前記育苗ポットの上端開口形状とほぼ同一形状で育苗ポットが貫通する開口枠部とが、縦横方向に交互に整列状態で連設された樹脂成形品であることを特徴とする育苗ポットの分離整列治具。
【請求項2】 請求項1記載の分離整列治具の上部周縁に、分離整列治具全体を補強する補強枠を配設したことを特徴とする育苗ポットの分離整列治具。
【請求項3】 請求項1又は2記載の分離整列治具を平坦なポット整列面に置き、この分離整列治具のポット収納部に育苗ポットを収納し、及び、開口枠部に育苗ポットを挿通してポット整列面上に整列させる行程と、必要時に分離整列治具をポット収納部の育苗ポットと共に引き上げてポット収納部の育苗ポットをポット整列面上の育苗ポットと分離する行程を有することを特徴とする育苗ポットの分離方法。
【請求項4】 請求項1又は2記載の分離整列治具のポット収納部が出し入れ可能に収納保持される有底の凹部を分離整列治具のポット収納部と開口枠部の縦横配列に合わせて整列配置した硬質の枠状ケースに分離整列治具を位置決め載置して、枠状ケースの縦横方向1つ置きの凹部に分離整列治具のポット収納部を嵌挿する工程と、分離整列治具の開口枠部に位置する枠状ケースの凹部と分離整列治具のポット収納部の各々に育苗ポットを嵌挿する工程と、枠状ケースと分離整列治具に嵌挿された各育苗ポットに土壌を供給して種苗の生育をする過程において枠状ケースから分離整列治具をポット収納部の育苗ポットと共に引き上げる工程を有することを特徴とする育苗ポットの分離方法。
【請求項5】 上記枠状ケースに載置された分離整列治具のポット収納部と分離整列治具の開口枠部に位置する枠状ケースの凹部に育苗ポットを嵌挿する工程において、複数の育苗ポットが縦横方向に整列配置された状態で連設一体化された樹脂成形体と、この樹脂成形体を複数の育苗ポット毎に一括して分断するポットカッターを使用し、枠状ケースに載置された分離整列治具の真上で前記樹脂成形体を前記ポットカッターで切断して分断された複数の育苗ポットを一括して対応する分離整列治具のポット収納部と枠状ケースの凹部に挿入することを特徴とする請求項4記載の育苗ポットの分離方法。
【請求項6】 請求項4記載の枠状ケースから分離整列治具をポット収納部の育苗ポットと共に引き上げて分離する工程後に、枠状ケースの育苗ポット収納済み凹部以外の残りの空状態の凹部に分離整列治具の育苗ポットを戻す工程を有することを特徴とする育苗ポットの分離方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、野菜や花等の植物の種苗を生育させる柔軟な樹脂製育苗ポットの複数個を整列させてから、互いに分離させる用途に好適な分離整列治具と、この分離整列治具を使って複数の整列された育苗ポットを選択的に抜き取る際の育苗ポット分離方法に関する。
【0002】
【従来の技術】植物の種苗を生育させる用途の育苗ポットは、ポリプロピレンやポリエチレン等の樹脂シートをブロー成形して量産される。この育苗ポットは薄くて変形し易いため、通常では育苗ポットを個々に収容する複数の凹部を有する硬質の枠状ケースの各凹部に育苗ポットを収納した状態で、各育苗ポットに土壌や肥料を入れて種苗の生育をするようにしている。また、枠状ケースに収納した複数の育苗ポットを枠状ケースと共に保管し、出荷して各育苗ポットで生育される野菜や花等の植物の店頭販売を行うようにしている。
【0003】枠状ケースに縦横方向に定ピッチ配列で形成された多数の凹部に育苗ポットを手作業で挿入する場合、薄い樹脂製の育苗ポットを多段に積み重ねた状態から1つ1つ抜き取って枠状ケースの凹部に挿入することで行われるが、この手作業は時間と労力を要して作業能率が悪く、また、積み重ねられた育苗ポットの2個取りや3個取りが生じて枠状ケースの凹部に育苗ポットが2個重ね、3個重ねで収納される不具合が発生することがある。
【0004】そこで、多数個の育苗ポットを縦横方向に定ピッチで配列した状態で連設一体化した樹脂成形体を製作し、この樹脂成形体の各育苗ポットを枠状ケースの対応する凹部に一括して挿入することが行われている。この場合、枠状ケースの凹部に収納されて保持された樹脂成形体の各育苗ポットに土壌を入れて植物の生育をし、必要時に樹脂成形体を個々の育苗ポット毎に分断している。また、前記の樹脂成形体から各育苗ポットを順に、或いは、一括して個々に分断するポットカッターを使用し、このポットカッターで分断された育苗ポットを枠状ケースの各凹部に挿入して、個々の育苗ポットに土壌を入れて植物を生育することが行われている。
【0005】また、硬質の枠状ケースに縦横配列で形成された多数の凹部に収納された育苗ポットに土壌を入れて植物の生育をする際に、植物がある程度まで生育すると隣接する育苗ポットの植物同士が接触し、そのまま成長させると植物同士が互いに傷付け合って成長阻害され、品質劣化を引き起こすことがある。
【0006】そこで、枠状ケースに縦横方向に定ピッチで整列保持された多数の育苗ポットで植物がある程度まで生育して、隣接する育苗ポット間で植物が接触する少し前の生育初期段階に至ると、定ピッチで連続して並ぶ育苗ポットを1つ置きに枠状ケースから手動で抜き取り(ポット間引き)、枠状ケースに残った育苗ポットの配列ピッチを2倍に増大させて隣接する育苗ポット間で植物が接触しないようにして生育を継続させている。さらに、1つの枠状ケースから抜き取った育苗ポットは、別の枠状ケースに植物同士が接触しない配列ピッチで収納して生育を継続させている。
【0007】以上のように2つの枠状ケースを使って植物の生育を継続させ、植物が店頭販売に適する程度まで生育すると、一方の枠状ケースの育苗ポットを他方の枠状ケースに移して、この他方の枠状ケースの全ての凹部に満杯になるよう育苗ポットを収納して出荷し、店頭販売するようにしている。
【0008】尚、枠状ケースに満杯に育苗ポットを収納して店頭販売する場合、隣接する育苗ポット間で植物同士が接触するが、このときの植物は成長初期段階を過ぎて互いに接触しても品質劣化を引き起こす心配のない段階にあって問題はない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記のように枠状ケースに満杯に収納された育苗ポットを1つ置きに作業員の手で抜き取る作業は工数が多くて作業能率が悪く、而も、抜き取った育苗ポットを別の枠状ケースに手作業で挿入する作業も加わって、1つの枠状ケースに対するポット間引き作業の開始から終了までに要する時間、労力が長大化していた。また、育苗ポットの1つ1つを手にして枠状ケース間に移動させる際に、生育初期段階の植物を傷付ける可能性が大で、取り扱いが難しく、これがポット間引きの作業性を尚一層に悪くしている。
【0010】このようなポット間引き上の問題から、枠状ケースに縦横方向に伸縮する伸縮ケースを使用して、縦横方向に整列保持された隣接する育苗ポットの間隔を伸縮ケースの伸縮動作で任意に変えるようにすることが考えられている。この伸縮ケースを使用すれば、ポット間引きの手間が省けるが、伸縮ケースが構造複雑で高価となり、また、構造が複雑であるゆえに故障も多くなって、種苗生育業者や販売業者にとって実用的でない。
【0011】本発明の目的は、枠状ケースに縦横に定ピッチで収納された育苗ポットを1つ置きに抜き取るポット間引き作業を簡便にする分離整列治具と、この分離整列治具を使用した分離方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的を達成する分離整列治具は、カップ状の柔軟な樹脂製育苗ポットを出し入れ可能に収納保持する有底上端開口のポット収納部と、育苗ポットの上端開口形状とほぼ同一形状で育苗ポットが貫通する開口枠部が、縦横方向にに交互に整列状態で連設一体化された樹脂成形品であることを特徴とする。
【0013】この分離整列治具の全体構造は、従来の柔軟な樹脂製育苗ポットの多数個を縦横方向に定ピッチで連設一体化した既存の樹脂成形体から縦横方向の育苗ポットを1つ置きに除去した構造に似る。このような薄くて柔軟な樹脂成形体の分離整列治具は、硬質の枠状ケースに比べて軽量で取り扱いに便利であり、また、材料費安くて低コストで量産性良く製造できて有利である。また、薄い柔軟な分離整列治具は、そのポット収納部に1個ずつ育苗ポットを収納して植物の生育と店頭販売に使用するか、既存の硬質枠状ケースから育苗ポットを分離する専用品として利用される。
【0014】また、本発明は、上記の分離整列治具の取り扱いをより簡便にする目的で、分離整列治具の上部周縁に分離整列治具全体を補強する補強枠を配設したことを特徴とする。この補強枠は硬質の金属枠、プラスチック枠、木質枠が可能であり、樹脂製の分離整列治具の上部周縁に形成した鍔状の突出部分等に固定、或いは、着脱自在に連結される。
【0015】また、上記分離整列治具を使用した本発明方法は、分離整列治具を平坦なポット整列面に置き、この分離整列治具のポット収納部に育苗ポットを収納し、及び、開口枠部に育苗ポットを挿通してポット整列面上に整列させる行程と、必要時に分離整列治具をポット収納部の育苗ポットと共に引き上げてポット収納部の育苗ポットをポット整列面上の育苗ポットと分離する行程を有することを特徴とする。
【0016】ここでのポット整列面は、平坦な地面やトレイ等の平板面であり、分離整列治具の複数のポット収納部と開口枠部に1個ずつ育苗ポットを挿入して分離整列治具を引き上げると、分離整列治具側とポット整列面側の各複数の育苗ポットが一括して分離される。
【0017】また、本発明方法は、上記分離整列治具のポット収納部が出し入れ可能に収納保持される有底の凹部を分離整列治具のポット収納部と開口枠部の縦横配列に合わせて整列配置した硬質の枠状ケースに分離整列治具を位置決め載置して、枠状ケースの縦横方向1つ置きの凹部に分離整列治具のポット収納部を嵌挿する工程と、分離整列治具の開口枠部に位置する枠状ケースの凹部と分離整列治具のポット収納部の各々に育苗ポットを嵌挿する工程と、枠状ケースと分離整列治具に嵌挿された各育苗ポットに土壌を供給して種苗の生育をする過程において枠状ケースから分離整列治具をポット収納部の育苗ポットと共に引き上げる工程を有することを特徴とする。
【0018】また、本発明方法は、上記枠状ケースに載置された分離整列治具のポット収納部と分離整列治具の開口枠部に位置する枠状ケースの凹部に育苗ポットを嵌挿する工程において、複数の育苗ポットが縦横に整列配置された状態で連設一体化された柔軟な樹脂成形体と、この樹脂成形体を複数の各育苗ポット毎に一括して分断するポットカッターを使用し、枠状ケースに載置された分離整列治具の真上で前記樹脂成形体を前記ポットカッターで切断して分断された複数の育苗ポットを一括して対応する分離整列治具のポット収納部と枠状ケースの凹部に挿入することを特徴とする。
【0019】さらに、本発明方法は、枠状ケースから分離整列治具をポット収納部の育苗ポットと共に引き上げて分離する工程の後に、枠状ケースの育苗ポット収納済み凹部以外の残りの空状態の凹部に分離整列治具の育苗ポットを戻す工程を有することを特徴とする。
【0020】この枠状ケースから分離された分離整列治具から育苗ポットを枠状ケースに戻す工程は、分離整列治具から育苗ポットを1つずつ取り出して枠状ケースの凹部に戻す方法、或いは、分離整列治具のポット収納部に育苗ポットを収納したまま分離整列治具を枠状ケースの元の位置に戻す方法のいずれかで行えばよい。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明の実施形態を図1乃至図13を参照して、以下に詳述する。図1(A)(B)と図2(A)(B)(C)は分離整列治具10が示され、図3(A)(B)は複数の育苗ポット1を縦横方向に定ピッチPで整列配置して一体化した樹脂成形体20が示される。
【0022】先に図3の樹脂成形体20を説明すると、同図の1つの育苗ポット1は円形の底部1aと略正方形の角筒状側壁部1bを有する有底上端開口コップ状の薄い柔軟な樹脂容器である。なお、育苗ポット1の底部1aを円形としたが、略矩形のものも可能であり、さらに、底部1aには水抜き穴1cや補強用凹凸等が形成される。
【0023】この育苗ポット1の複数個、例えば図3(A)に示すように横6個×縦4個の計24個が縦横方向に定ピッチPで連設されて矩形の柔軟な樹脂成形体20が形成される。縦横方向で隣接する育苗ポット1,1は、各々の上端開口縁の例えば中央1点の連接部1dだけが一体に連結される。連接部1dは、手で簡単に引き千切れる程度の厚さ、幅を有するが、刃物等で切断されるミシン目等の構造であってもよい。また、樹脂成形体20は、ポリエチレン等の厚さ0.2mm程度の薄い樹脂シートから量産される。
【0024】図1の分離整列治具10は、図3の樹脂成形体20と同質の樹脂成形品で、1個の育苗ポット1が出し入れ自在に収納され保持される有底のポット収納部11と、1個の育苗ポット1の上端開口形状とほぼ同形状で育苗ポット1が容易に貫通する開口枠部12が縦横方向に交互に定ピッチPで配列される。
【0025】1つのポット収納部11は、底部11aと側壁部11bを有するコップ形状を成し、底部11aには水抜き穴11cが形成され、開口上端には鍔部11dが一体成形される。複数のポット収納部11の鍔部11dが一連に連設されて、分離整列治具10の全体が格子状の鍔部11dで補強される。格子状の鍔部11dで囲まれる略正方形の空間が、開口枠部12の開口である。
【0026】分離整列治具10は、図3の樹脂成形体20の計24個の育苗ポット1、…を縦横方向に1つ置きに除去した形状にほぼ相当する形状であり、この場合、樹脂成形体20から除去された育苗ポットの開口跡が開口枠部12に相当し、樹脂成形体20から除去されずに残存した育苗ポットがポット収納部11に相当する。この分離整列治具10は、樹脂成形体20と同様にポリエチレン等の厚さ0.2mm程度の薄い樹脂シートから製造すれば、既存の製造設備を利用して設備的有利に製造できるが、分離整列治具10の厚さ、材質、製造方法は限定されない。
【0027】なお、分離整列治具10を硬質の樹脂成形品とすることも考えられるが、図3の樹脂成形体20と同じ薄い柔軟な樹脂成形品とすることが次の理由で有利であり実用的である。即ち、分離整列治具10を樹脂成形体20と同じ薄い柔軟な樹脂成形品とすると、上記したように薄い樹脂シートを既存の製造設備を使用して量産性良く製造できて、製造コストが安くできる。また、薄い分離整列治具10は軽量で取り扱いに便利であり、多数枚を重ねて保管しても嵩張らず保管費や運搬費が低減される。
【0028】また、薄い柔軟な樹脂成形品の分離整列治具10においては、例えば図2(A)(B)に示すように補強枠15を一体に取り付けることが望ましい。この補強枠15は矩形の金属枠で、分離整列治具10の矩形の上端周縁に突出する矩形鍔部11dに、この鍔部11dの上下面を挟持させる形で固定される。補強枠15は分離整列治具10の上部周縁全体を補強することで、分離整列治具全体を補強して、分離整列治具10の変形を抑制し、分離整列治具10で多数の土壌入り育苗ポットを運ぶ等の取り扱い時における分離整列治具10の取り扱いを容易なものにする。
【0029】なお、補強枠15は金属枠に限らず、硬質のプラスチック枠や木質枠等であってもよい。また、図2(C)に示すように、分離整列治具10の上端周縁の矩形鍔部11dの上下面のいずれかに補強枠15を接着や加締め、ビス止め等で固定するか或いは脱着自在に取り付けるようにしてもよい。分離整列治具10に補強枠15を固定する場合は、補強枠15を薄形にして嵩張らないようにすることが分離整列治具10の取り扱いを便利にする上で望ましい。また、分離整列治具10に補強枠15を着脱自在に取り付ける場合は、分離整列治具10で土入り育苗ポット等の重量物を運ぶようなときだけに補強枠15を取り付けて分離整列治具10の変形量を小さく抑制し、重量物を運ばない平常時は補強枠15を外しておくようにしてもよい。
【0030】本発明方法は、図1の分離整列治具10又は図2の補強枠付分離整列治具10を使用した育苗ポット分離方法である。この分離整列治具10を使用する分離方法は、図示しないが平坦な地面やトレイ等のポット整列面上に分離整列治具10を置き、この分離整列治具10の複数の各ポット収納部11に育苗ポット1を収納し、さらに、複数の各開口枠部12に育苗ポット1を挿通してポット整列面上に整列させて置いて、各育苗ポット1に土壌等入れて植物の生育をし、必要時に分離整列治具10をポット収納部11の育苗ポット1と共に引き上げて、この複数のポット収納部11の育苗ポット1を一括してポット整列面上の複数の育苗ポット1と分離する。このように分離整列治具10を利用することで、例えば縦横24個の育苗ポット1,…の半分ずつの分離作業が分離整列治具10を引き上げる1作業行程で短時間に実行される。
【0031】また、本発明方法は、上記分離整列治具10と図3の樹脂成形体20の他に、例えば図13に示すような硬質の枠状ケース30,図14に示すようなポットカッター40を使用して、枠状ケース30に育苗ポット1を能率良く供給し、枠状ケース30から育苗ポット1を能率良く分離させる作業工程での方法であり、この本発明方法の実施形態が図4乃至図12に示される。
【0032】図13(A)(B)に示される枠状ケース30は図3の樹脂成形体20に対応させた既存品で、硬質樹脂で型成形される。枠状ケース30は、1個の育苗ポット1が収納される有底の凹部31の24個(横6個×縦4個)を縦横方向に定ピッチPで連設一体化した構造である。凹部31は、矩形枠状の底部支持部32と、底部支持部32の4隅から上方に延在する側部支持部33と、多数の凹部31の側部支持部33の上端を一体に連結する格子状の上部支持部34を有する。1箇所の凹部31に1個の育苗ポット1が、又は、分離整列治具10の1箇所のポット収納部11が出し入れ可能に収納され保持される。かかる硬質樹脂の枠状ケース30の形状は図13に限定されるものではなく、育苗ポット1の多数個を縦横配列で整列保持する有底のケース、トレイであればよい。
【0033】図14(A)(B)(C)に示されるポットカッター40は、底板41と支柱42と枠体43を備える。ポットカッター40は、図5に示す押し込み部材50と協働して樹脂成形体20から24個の育苗ポット1を一度に分断する。ポットカッター40の枠体43は、24個(横6個×縦4個)の区画枠44を格子状に組み込んだ構造で、枠体43の2隅が底板41上に支柱42で連結される。底板41と枠体43が枠状ケース30の高さより少し大きな間隔で平行に対向する。枠体43の各区画枠44は縦横方向に定ピッチPで配列され、1つの区画枠44に樹脂成形体20の1個の育苗ポット1が挿通される。区画枠44の上縁は、区画枠44に挿通された育苗ポット1の連接部1dを切断分離しやすい形状、例えば、作業員が手に触れても怪我しない程度の尖端形状にしてある。
【0034】図1の分離整列治具10を使用した本発明による育苗ポット分離方法の一実施形態を説明する。まず、図4に示すように枠状ケース30に真上から分離整列治具10を載置して、枠状ケース30の24箇所の凹部31の内の縦横方向で1つ置きに在る12箇所の凹部31に分離整列治具10の12箇所全てのポット収納部11を一括して収納する。
【0035】次に、図5に示すように分離整列治具10が載置された枠状ケース30をポットカッター40の底板41上に挿入して位置決め載置する。この位置決め載置は、底板41上に突設したストッパー(図示せず)に枠状ケース30を当接させる等して行われる。底板41上に位置決め載置された枠状ケース30の24箇所の凹部31は、枠体43の24箇所の区画枠44の真下に位置する。この枠体43の真上に樹脂成形体20と押し込み部材50を配置する。押し込み部材50は水平なベース板51の下面に縦横方向に24本の棒材52を突設したもので、各棒材52は育苗ポット1に挿通される太さであり、育苗ポット1の高さより長い硬質の棒で、樹脂成形体20の24箇所の育苗ポット1と同じ配列で24本がベース板51に固定される。
【0036】図5の状態でまず樹脂成形体20を枠体43上に載置し、樹脂成形体20の24箇所全ての育苗ポット1を枠体43の24箇所の区画枠44の中に嵌挿する。この状態で樹脂成形体20の真上から押し込み部材50を下降させて24本の棒材52でポットカッター40の枠体43に載置された樹脂成形体20の24箇所の育苗ポット1の底部1aを押し下げると、24箇所の育苗ポット1の連接部1dが枠体43の区画枠44の上縁で切断されて、樹脂成形体20が24個の育苗ポット1に一括して分断される。
【0037】さらに押し込み部材50を下降させて、図6に示すように各棒材52で個々に分断された育苗ポット1を枠状ケース30の各凹部31内に積極的に押し込む。すると、図7(A)(B)に示すように枠状ケース30に載置された分離整列治具10の12箇所のポット収納部11と、枠状ケース30の分離整列治具10の開口枠部12に位置する12箇所の凹部31に1個ずつの計24個の育苗ポット1が一括して収納される。この後、押し込み部材50が引き上げられ、ポットカッター40から枠状ケース30のユニットが取り出され、この取り出した枠状ケースユニットが図7に示される。
【0038】図6と図7の状態の枠状ケース30の縦横方向に定ピッチPで配列された24箇所の凹部31の縦横方向1つ置きに在る12箇所の凹部31には、分離整列治具10のポット収納部11と、このポット収納部11に挿入された育苗ポット1が二重に嵌挿される。以下、この二重に薄い樹脂成形品が嵌挿される凹部を必要に応じて第1凹部31aと称する。また、枠状ケース30の第1凹部31aを除く残り半分の12箇所の凹部31は、分離整列治具10の12箇所の開口枠部12の位置に在って、この凹部31には開口枠部12を貫通して1個の育苗ポット1が嵌挿される。以下、この単品の樹脂成形品が嵌挿される凹部を必要に応じて第2凹部31bと称すると、枠状ケース30における第1凹部31aと第2凹部31bは縦横方向に交互に並ぶ。
【0039】図7に示すように枠状ケース30に満杯状態で計24個の育苗ポット1が収納されると、図8(A)(B)に示すように24個全ての育苗ポット1に土壌2が肥料と共に定量ずつ自動で、或いは、手動で投入されて、各育苗ポット1で植物3の種苗の生育が行われる。また、通常において枠状ケース30の24個全ての育苗ポット1で生育される植物3は同一種であり、同じような速度で生育する。隣接する育苗ポット1,1の植物3,3が互いに接触し始める時期を生育初期段階とすると、この生育初期段階に入る少し前の時期に枠状ケース30から育苗ポット1を選択的に抜き取るポット間引き作業が行われる。本発明方法においては図9に示すように枠状ケース30から分離整列治具10を作業員の手で引き上げて、12個の育苗ポット1を枠状ケース30から一括して抜き取るポット間引き作業を行う。
【0040】すなわち、枠状ケース30から分離整列治具10を引き上げると、分離整列治具10の12箇所のポット収納部11に収納された12個の育苗ポット1が分離整列治具10と共に枠状ケース30から一括して分離され、枠状ケース30には12箇所の第2凹部31bに収納された育苗ポット1だけが残る。枠状ケース30に残った12個の育苗ポット1の配列ピッチは元の配列ピッチPの2倍のピッチ2Pとなり、枠状ケース30から離脱させた分離整列治具10に保持された12個の育苗ポット1も元の2倍の配列ピッチ2Pで並ぶ。
【0041】なお、図9に示すように枠状ケース30から分離整列治具10を作業員の手で引き上げるポット間引き作業時に、分離整列治具10に収納された12個の土壌入り育苗ポット1の重みで分離整列治具10が撓むことがある。この撓み量が少なくて問題ないと予想される場合は、図1の補強枠無しの分離整列治具10を使用すればよい。また、12個の土壌入り育苗ポット1の総重量が増大してポット間引き時の撓み量が大きくなると予想される場合は、図2の補強枠15で補強された分離整列治具10を使用する。このように分離整列治具10をポット間引き作業時の治具総重量の大小で補強枠無し治具と補強枠有り治具とに使い分けると、いずれの分離整列治具であっても持ち上げたときに撓むことが少なくなって、ポット間引き作業性が良くなる。
【0042】図10に示すように分離させた枠状ケース30と分離整列治具10の双方で12個ずつの育苗ポット1を支持して、植物3の生育が継続して行われる。この場合、隣接する育苗ポット1,1の配列ピッチが2Pと倍増しているので、隣接する植物3,3同士は接触せずに成長する。枠状ケース30と分離整列治具10の計24個の育苗ポット1で植物3が出荷できる程度まで生育すると、図11に示すように分離整列治具10の12個の育苗ポット1を枠状ケース30の空の第1凹部31aに移送して、枠状ケース30の全ての凹部31に育苗ポット1を収納した状態で出荷し、店頭販売する。
【0043】分離整列治具10から枠状ケース30への育苗ポットの移送は、図12(A)に示すように分離整列治具10から育苗ポット1を1個ずつ手動で取り出して枠状ケース30の第1凹部31aに収納する方法と、図12(B)に示すように分離整列治具10を12個の育苗ポット1と共に枠状ケース30に戻す方法が可能である。図12(A)の前者方法では、12個の育苗ポット1の移送に多少の時間と労力を要するが、種苗生育業者にとっては分離整列治具10が残って回収の手間が省け、分離整列治具10の再使用が容易となる。図12(B)の後者方法では、種苗生育業者にとって出荷先からの分離整列治具10の回収の手間が掛かるが、12個の育苗ポット1の一括した移送が可能となる。
【0044】
【発明の効果】本発明のように、育苗ポットを収納保持するポット収納部と育苗ポットを貫通させる開口枠部を縦横方向に交互に連設した分離整列治具を使用することで、分離整列治具の複数のポット収納部と開口枠部に育苗ポットを挿入して分離整列治具を引き上げる作業で、育苗ポットを複数ずつに一括して分離することが容易になり、薄い柔軟な育苗ポットの分離作業性が一段と向上する。
【0045】また、樹脂製の分離整列治具の上部周縁を金属枠等の補強枠で補強することで、分離整列治具に土壌入り育苗ポットの多数を収納して持ち運ぶような場合に分離整列治具が大きく変形するようなことが無くて、分離整列治具の取り扱いが容易となる。また、補強枠で補強されるために樹脂成形品の分離整列治具の肉厚をより薄くすることが可能となり、このように薄く成形した分離整列治具は通常の薄い柔軟な樹脂製育苗ポットと同様に製造コストを安くして製造できる。
【0046】また、育苗ポットを縦横方向に定ピッチで整列させる硬質の枠状ケースに分離整列治具を介して多数の育苗ポットを整列させた後、枠状ケースから分離整列治具を引き上げることで枠状ケースに残す育苗ポットと分離整列治具と共に引き上げる育苗ポットの双方を一括して分離することが可能となって、枠状ケースから複数の育苗ポットを抜き取るポット間引き作業が簡単迅速に行えるようになる。また、このポット間引き作業では分離整列治具に直接手を触れるが育苗ポットに手を触れないので、育苗ポットで生育される植物を傷付けず、店頭販売される植物の品質保持が容易になる。
【0047】また、枠状ケースに載置した分離整列治具の真上に、縦横方向に育苗ポットを連設した樹脂成形体とこの樹脂成形体から育苗ポットを分断するポットカッターを配置して、樹脂成形体からポットカッターで一括して分断された育苗ポットを枠状ケースの空の凹部と分離整列治具のポット収納部に一括して挿入することで、枠状ケースから育苗ポットを抜き取る作業前の育苗ポット整列収納作業が簡単迅速に行えるようになる。
【0048】また、枠状ケースから分離整列治具を育苗ポットと共に引き上げて、枠状ケースと分離整列治具の双方の育苗ポットで植物の生育を行い、植物がある程度生育してから分離整列治具の育苗ポットを枠状ケース側に戻すように分離整列治具と既存の枠状ケースを使い分けすることで、育苗ポットの植物をその生育段階に適した環境で生育させることが容易となり、枠状ケースに収納されて店頭販売される植物の品質を向上させることが容易になる。
【出願人】 【識別番号】591268368
【氏名又は名称】アンドウケミカル株式会社
【出願日】 平成12年12月12日(2000.12.12)
【代理人】 【識別番号】100064584
【弁理士】
【氏名又は名称】江原 省吾 (外3名)
【公開番号】 特開2002−136228(P2002−136228A)
【公開日】 平成14年5月14日(2002.5.14)
【出願番号】 特願2000−377921(P2000−377921)