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【発明の名称】 苗箱押圧機
【発明者】 【氏名】尾嶋 勝

【氏名】本田 孝一

【要約】 【課題】育苗施設内に並べられた苗箱を押圧するにあたり、作業者が苗箱に均等に体重を掛けるべく苗箱の上方で移動しなければならず、広い育苗施設内において略全範囲に及んで移動することが作業者に疲労感を与えるものであり、この苗箱の押圧作業においては作業者が快適に行えるものとはいい難い。

【解決手段】育苗施設B内の苗箱aに上方から接触する押圧具6と該押圧具6の上方に横移動体10とを設け、横移動体10の自重が作用する押圧具6上の位置を変更させるべく前記横移動体10を横方向に移動可能に構成したことを特徴とする苗箱押圧機の構成。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 育苗施設B内の苗箱aに上方から接触する押圧具6と該押圧具6の上方に横移動体10とを設け、横移動体10の自重が作用する押圧具6上の位置を変更させるべく前記横移動体10を横方向に移動可能に構成したことを特徴とする苗箱押圧機。
【請求項2】 育苗施設B内の苗箱aに上方から接触する押圧具6と、該押圧具6に振動を伝えるべく振動発生装置とを設けたことを特徴とする苗箱押圧機。
【請求項3】 機体を走行させる走行部5の左右両側に育苗施設B内の苗箱aに上方から接触する押圧具91をそれぞれ設け、前記左右の押圧具91を別個に走行駆動可能に構成したことを特徴とする苗箱押圧機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、育苗施設において並べられた苗箱を上方から押圧する技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】水稲や野菜等の苗の育苗方法として、育苗ハウス等の育苗施設内に苗箱を敷き詰めるように並べて育苗することが知られている。そして、育苗施設内に並べられた苗箱で苗を育苗するにあたり、苗の根を苗箱の下方の置床(育苗施設の土壌内)にまで伸長させて苗が前記置床内の養分を吸収して良好に生育するように、並べられた苗箱の上方に踏み板を敷き、この踏み板上を作業者が移動しながら該作業者の体重を前記踏み板を介してそれぞれの苗箱に掛け、苗箱を上方から押圧し、苗箱と置床とを密着させて苗の根を置床内に円滑に伸長させるようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術によると、育苗施設内に並べられた苗箱を押圧するにあたり、作業者が苗箱に均等に体重を掛けるべく苗箱の上方で移動しなければならず、広い育苗施設内において略全範囲に及んで移動することが作業者に疲労感を与えるものであり、この苗箱の押圧作業においては作業者が快適に行えるものとはいい難い。
【0004】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記課題を解決すべく次の技術的手段を講じた。すなわち、請求項1に係る発明は、育苗施設B内の苗箱aに上方から接触する押圧具6と該押圧具6の上方に横移動体10とを設け、横移動体10の自重が作用する押圧具6上の位置を変更させるべく前記横移動体10を横方向に移動可能に構成したことを特徴とする苗箱押圧機とした。
【0005】また、請求項2に係る発明は、育苗施設B内の苗箱aに上方から接触する押圧具6と、該押圧具6に振動を伝えるべく振動発生装置とを設けたことを特徴とする苗箱押圧機とした。また、請求項3に係る発明は、機体を走行させる走行部5の左右両側に育苗施設B内の苗箱aに上方から接触する押圧具91をそれぞれ設け、前記左右の押圧具91を別個に走行駆動可能に構成したことを特徴とする苗箱押圧機とした。
【0006】
【発明の効果】請求項1に記載した苗箱押圧機によると、横移動体を横方向に移動させることにより該横移動体の自重が作用する押圧具上の位置を変更させることができるので、横移動体の横方向の移動により押圧具が上方から接触する苗箱を略均等に押圧することができ、苗箱を均等に押圧するべく作業者が移動する必要がなく、苗箱の押圧作業を楽に行うことができる。
【0007】請求項2に記載した苗箱押圧機によると、振動発生装置が発生する振動を押圧具に伝えることができるので、押圧具による苗箱の押圧作用を促すことができ、苗箱の押圧作用を向上させるべく作業者が移動する動作を軽減したりあるいは移動する動作を不要としたりすることができ、苗箱の押圧作業を楽に行うことができる。
【0008】請求項3に記載した苗箱押圧機によると、機体の自重の少なくとも一部を前記走行部で受けることができ、押圧具による苗箱の押圧力を適正にすることができ、また左右の押圧具を別個に走行駆動可能に構成したので、機体を進行させながら苗箱を押圧することができて苗箱を押圧するべく作業者が移動する必要がなく、苗箱の押圧作業を楽に行うことができるばかりでなく、左右の押圧具の走行駆動量を異ならせることにより機体の進行方向を変更することができて所望の方向に機体を進行させることができ、苗箱の押圧作業を能率良く行うことができる。
【0009】
【発明の実施の形態】この発明の実施の一形態を図面に基づき説明する。図1乃至図5は苗箱押圧機1を示したものであり、この苗箱押圧機1は、育苗ハウスB内の地面に並行に敷設された2本の走行レ−ル2上を走行する前後左右計4個の走行車輪3,4を備える走行部5と、該走行部5の左右にそれぞれ設けた押圧具となる押圧板6と、該押圧板6を支持するべく前記走行部5の左右両側に延びる押圧板支持フレーム7と、押圧板6の上方に左右方向に設けた2本の左右移動用レール8と、該2本の左右移動用レール8上を走行する計4個の左右移動用車輪9を備える横移動体となる左右移動体10とを備えて構成される。尚、この苗箱押圧機1は、走行部5を中心に左右対称な構成となっている。
【0010】前記走行部5には電動の走行用モータ11を設けており、この走行用モータ11の駆動により駆動スプロケット12、チェーン13及び従動スプロケット14を介して後輪車軸15へ伝動し、左右の後輪4を駆動して走行するようになっている。尚、前記後輪車軸15上には前記従動スプロケット14から該後輪車軸15への伝動を断つことができる走行クラッチ16を設けており、この走行クラッチ16により左右の後輪4を遊転させられるようにして作業者が走行部5を押して機体を進行させることもできる。尚、前記走行用モータ11は正逆転可能なモータであり、走行部5が前後進可能になっている。走行部5の前部には、走行部コントローラ17及び走行用バッテリー18を設けている。尚、前記走行用バッテリー18から供給される電力により、走行用モータ11が駆動するようになっている。また、走行部5には平面視で矩形状の走行部フレーム19を設けており、平面視で該走行部フレーム19内に走行車輪3,4、走行用モータ11、走行部コントローラ17及び走行用バッテリー18を配置している。
【0011】押圧板支持フレーム7は、前後に2本設けられており、走行部5から左右に離れるにつれて高位となるように(走行部5から離れた左右両端が高くなるように)設けられている。尚、該押圧板支持フレーム7は、走行部5と一体に設けられている。
【0012】押圧板6は、左右方向に長い長方形状に構成されており、左右方向の長さが苗箱aの長手方向の4倍で前後方向の長さが苗箱aの短手方向の2倍であり、長手方向を左右に向けて敷き詰めるように並べた苗箱4枚に同時に上方から接触して押圧できるようになっている。そして、押圧板6の上側には左右方向に延びる前後2枚のプレート20を押圧板6に対して垂直に固着して設けており、この2枚のプレート20の上端部で前後2本の左右移動用レール8を構成している。尚、この前後のプレート20の間には、左右方向で適宜の位置に前後方向のフレーム21を設けている。また、前記前後のプレート20と前後の押圧板支持フレーム7とはそれぞれの前後方向の連結軸22により連結されており、押圧板6が押圧板支持フレーム7に対して前記連結軸22回りに回動するようになっている。尚、前後のプレート20それぞれに設けた前後の連結軸22は、正面視又は背面視(図3,図5視)で同位置で押圧板6の左右中央より走行部5から離れた位置に設けられている。尚、前記前後のプレート20は、それぞれ前後の押圧板支持フレーム7の前後方向で近い位置で該フレーム7と平行に設けられている。
【0013】押圧坂6の走行部5寄りの左右方向の端部にはワイヤ23が取り付けられており、このワイヤ23が引張スプリング24を介して走行部5の左右の押圧板6を繋いでいる。尚、前記ワイヤ23は、滑車を介して前記引張スプリング24に繋がれている。前記引張スプリング24により左右の押圧板6の走行部5側の端部が共に連結軸22回りに押圧板6の上面が押圧板支持フレーム7に当接するまで上方へ付勢されており、押圧板6の上面が押圧板支持フレーム7に当接するとき押圧板6が育苗ハウスBの地面から浮き上がった状態となる。
【0014】左右移動体10は、走行部5の左右の押圧板支持フレーム7を走行部フレーム19の上側で繋ぐ前後それぞれの乗り継ぎレール25上に計4個の左右移動用車輪9により載るようになっている。左右移動体10には電動の左右移動用モータ26を設けており、この左右移動用モータ26の駆動により駆動スプロケット27、チェーン28及び2個の従動スプロケット29を介して2本の前後方向の車軸30へ伝動し、4個の左右移動用車輪9を駆動して左右移動体10が左右移動するようになっている。尚、前記チェーン28の張力を調節できるテンションスプロケット31を備えている。尚、前記左右移動用モータ26は正逆転可能なモータであり、左右移動体10が左右に移動可能になっている。左右移動体10の前部には、左右移動体コントローラ32及び左右移動用バッテリー33を設けている。尚、前記左右移動用バッテリー33から供給される電力により、左右移動用モータ26が駆動するようになっている。また、左右移動体10の上部には載置台34が構成されており、必要に応じて前記載置台34上に肥料の入った肥料袋f等を載せることにより左右移動体10全体の重量を大きくすることができる。尚、前記載置台34上に市販されている重りを載せて左右移動体10全体の重量を大きくするようにしてもよい。
【0015】左右移動体10の左右移動により左右移動用車輪9が乗り継ぎレール25あるいは押圧板支持フレーム7上を走行して走行部5の左右一方側に肥料袋f等を含む左右移動体10の重心が移動すると、走行部5及び押圧板支持フレーム7は左右移動体10が移動した側の走行部5の走行車輪3,4の接地点(いいかえると走行レール2)を支点に前記移動した側に左右傾動する。このとき、他側の走行部の走行車輪3,4が走行レール2上から浮き上がる。すると、移動した側の押圧板6が引張スプリング24に抗して育苗ハウスBの地面に接地し、押圧板支持フレーム7に近い位置にある左右移動用レール8に乗り移るようになっている。尚、左右移動用車輪9は、前後位置の異なる押圧板支持フレーム7及び左右移動用レール8上を走行できるように幅広に構成されている。また、前後の左右移動用レール8は前後方向で前後の押圧板支持フレーム7間に設けられており、押圧板支持フレーム7及び左右移動用レール8のどちらを走行していても左右移動用車輪9の脱輪防止鍔35により前後位置が規制され、左右移動用車輪9を幅広に構成しても左右移動体10が前後位置を安定させて左右移動することができるようになっている。逆に、左右移動体10の左右移動により左右方向で走行部5の左右の走行車輪3,4間に左右移動体10の重心が移動すると、走行部5及び押圧板支持フレーム7が左右傾動して走行部5の左右の車輪3,4が共に走行レール2上に載り、押圧板6が育苗ハウスBの地面から浮き上がる。
【0016】ところで、左右移動体10には、右端に右端リミットスイッチLS1、左端に左端リミットスイッチLS2及びその間の下部に中央リミットスイッチLS3を備えている。一方、走行部5とは左右反対側となる押圧板6の端部には、リミットスイッチ検出用プレート36を設けている。また、走行部5には、メインスイッチ37を設けている。これらのスイッチLS1,LS2,LS3,37からの入力に基づいて走行用モータ11及び左右移動用モータ26を駆動制御するようになっている。その制御について図6に基づいて説明すると、先ず作業者がメインスイッチ37を「ON」にすると、その信号が走行部コントローラ17に入力されて該走行部コントローラ17から左右移動体コントローラ32を介して左右移動用モータ26に出力され、走行部5の上方にある左右移動体10が右方向へ移動する。そして、左右移動体10の右端リミットスイッチLS1が右側の押圧板6に設けたリミットスイッチ検出用プレート36に接触すると、該右端リミットスイッチLS1からの信号が左右移動体コントローラ32を介して左右移動用モータ26に出力され、左右移動用モータ26が一旦停止してから逆回転駆動し左右移動体10が左方向へ移動する。その後、左端リミットスイッチLS2が左側の押圧板6に設けたリミットスイッチ検出用プレート36に接触すると、該左端リミットスイッチLS2からの信号が左右移動体コントローラ32を介して左右移動用モータ26に出力され、左右移動用モータ26が一旦停止してから更に直前とは逆方向に回転駆動し左右移動体10が右方向へ移動する。その後、中央リミットスイッチLS3が乗り継ぎレール25の中途部に接触すると、該中央リミットスイッチLS3からの入力信号により左右移動体コントローラ32を介して左右移動用モータ26を停止させて左右移動体10を走行部5の上方で停止させ、更に走行部コントローラ17を介してタイマー(1)及びタイマー(2)をセットすると共に走行用モータ11に出力して走行部5を前進させる。そして、タイマー(1)がタイマーアップすると、走行部コントローラ17からの出力信号により走行用モータ11を停止させ走行部5の走行を停止させる。尚、前記タイマー(1)により、走行部5が苗箱aの短手方向の一枚分の長さと同じ距離前進して走行停止するようになっている。その後、タイマー(2)がタイマーアップし、走行部コントローラ17から左右移動体コントローラ32を介して左右移動用モータ26に出力され、走行部5の上方にある左右移動体10が右方向へ移動する。尚、タイマー(2)は、タイマー(1)がタイマーアップしてから1秒後にタイマーアップするようになっており、走行部5が停止してから左右移動体10が左右移動し始めるまでの時間間隔を設けている。
【0017】次に、苗箱aを育苗ハウスB内に並べ、並べた苗箱aを苗箱押圧機1で上方から押圧する作業について説明する。ところで、前記苗箱aは、図9に示すように、マット状の水稲苗を栽培するものであり、長手方向約60cm、短手方向約30cmの長方形の形状のマット苗を育苗できるように四方の側壁40,41及び底板42が設けられ上部が開放された構成となっている。尚、前記四方の側壁40,41は、前記底板42の上面からの高さが29〜30mmとなるように設けられている。前記底板42には無数の排水孔43を設けており、育苗培土に保持されず苗箱aの底部に降下した水を前記排水孔43から排水し、灌水により生じた苗箱aの底部に降下した過分な水分を苗箱a内から排出するようになっている。また、この苗箱aの外周部は、前記側壁40,41が上端の外側で下方に折り曲げた鈎型に構成されている。そして、複数の苗箱aを上下に段積みするとき、互いの苗箱aの一部が側面視で重複するようにして該苗箱aが段積みされる。
【0018】育苗ハウスB内において、播種、覆土した苗箱aを並べて出芽させ苗が所定の大きさになるまで育苗するため、運搬車輌44により育苗ハウスBまで苗箱a…を運搬し該苗箱aの積み降ろし作業を行う。尚、場合によっては、出芽した苗箱aを苗箱運搬車輌44により育苗ハウスBまで運搬して該苗箱aを並べることもある。床土を詰めて種籾を播種、覆土した苗箱aを複数枚(20枚)づつ段積みした苗箱群Aを軽四輪トラック等の運搬車輌44の荷台45に載せて育苗ハウスB内に運搬する。そして、苗箱群Aを運搬車輌44の昇降台46に供給すると、前記昇降台46を苗箱並べ補助器具50の苗箱トロッコ51の高さまで下降させる。そして、作業者がステップ52の上に乗って苗箱並べ補助器具50の走行台車53を走行させると共に前記苗箱トロッコ51を左右移動させ、該苗箱トロッコ51を昇降台46と接続させる。そして、前記昇降台46上の苗箱群Aを苗箱トロッコ51上へ押し出して供給する。苗箱並べ補助器具50による苗箱並べ作業に伴って前記苗箱トロッコ51が空になると、苗箱群Aの積み降ろし作業を行う。
【0019】育苗ハウスB内において、図11、図12に示すように、苗箱並べ補助器具50を使用して地面に敷き詰めるように苗箱aを並べていく。この苗箱並べ補助器具50は、育苗ハウスB内の2本の走行レ−ル2上を走行する走行台車53、該走行台車53に支持された左右の苗箱位置決め枠54及び前記苗箱位置決め枠54上を移動する苗箱トロッコ51を備えており、前記左右の苗箱位置決め枠54の前記レール2側にはそれぞれ苗箱aの左右位置を決めるための左右位置決めディスク55、及び前記左右の苗箱位置決め枠54の前部には苗箱aの前後方向の位置決めをするための前後位置決めプレート56を設けている。この苗箱並べ補助器具50により、レール2の左右にそれぞれ左右1列につき4枚づつ苗箱aを並べるようになっている。尚、育苗ハウスB内の2本の走行レ−ル2間には苗箱aは並べず、この部分が作業者が通行できる通路となる。前記苗箱トロッコ51は、車輪57により苗箱位置決め枠54上を左右方向に移動するようになっており、該トロッコ51上に苗箱群Aを載置するようになっている。また、前記苗箱トロッコ51には、移動用のハンドル58を設けている。また、苗箱並べ補助器具50は、前記走行台車53の後側のステップ52に作業者が乗ることにより左右の苗箱位置決め枠54を地面から浮き上がらせ、この状態で走行台車53を走行させるようになっている。尚、前記苗箱位置決め枠54は中途部でそれぞれ左右に分割され、苗箱並べ補助器具50の非使用時や育苗ハウスB外への搬出時には左右端部分54aを取り外して該苗箱並べ補助器具50の左右幅を縮小できるようになっている。
【0020】苗箱並べ作業に際しては、予め地面に根切りネット(図示せず)を敷いておく。そして、苗箱トロッコ51上の苗箱群Aから図13、図14に示すような苗箱把持具60を用いて1枚づつ苗箱aを取り出して地面に並べる。前記苗箱把持具60は、苗箱aの長手方向に沿う両端部の側壁40に係合する固定係合体61及び可動係合体62と作業者が把持するグリップ63と前記可動係合体62を可動させる可動係合体操作レバ−64とを備えて構成される。そして、前記苗箱把持具60は、苗箱aの長手方向に沿う両端部の側壁40の一方の鈎型に固定係合体61の円棒を苗箱aの下方からひっかけると共に、可動係合体操作レバ−64を握って可動係合体62を苗箱aの固定係合体61が係合している側壁40の反対側の側壁40上端の鈎型の下方に入り込ませて、苗箱aを把持するようになっている。また、苗箱aを把持した状態から苗箱aの下面を地面等に接地させ苗箱aを支持させた状態で可動係合体操作レバ−64を放して可動係合体62を苗箱aから退避させ、固定係合体61を苗箱aの長手方向に沿う側壁40の鈎型から外して、苗箱aの把持を解除するようになっている。
【0021】そして、前記苗箱把持具60により、一枚目の苗箱aの短手方向の側壁41を前記左右位置決めディスク55に当接させながら上方から苗箱位置決め枠54内を通して苗箱aを地面に置くように苗箱把持具60を降ろして苗箱aを地面上に並べる。そして、前述の左右位置決めディスク55を使用して左右位置決めした苗箱aと短手方向の側壁41が互いに当接するように次の苗箱aを前に並べた苗箱aの左右外側に苗箱把持具60により地面に並べ、以下同様に前に地面に並べた苗箱aとの隙間を空けないように並べていき、苗箱a…を左右方向に並べる。尚、苗箱トロッコ51が左右に移動可能であるので、常に作業者の近くで苗箱トロッコ51を停車させておくことができ、苗箱並べ作業の作業性が向上する。
【0022】左右方向の計8枚の苗箱aの並べ作業が完了したならば、作業者はステップ52の上に乗る。すると、苗箱位置決め枠54が地面から浮き上がる。この状態で、苗箱位置決め枠54が適当な位置に移動するまで走行台車53を走行させる。そして、ステップ52から作業者が降りることで苗箱位置決め枠54が地面上に下降し、作業者が次列の苗箱並べ作業を行って行く。そして、前行程と同様に一枚目の苗箱aを左右位置決めディスク55を使用して左右位置決めして並べる。このとき、前後位置決めプレート56に苗箱把持具60の苗箱移動用ローラ66を当接させて前記前後位置決めプレート56に沿って苗箱把持具60を下降させて、該苗箱aを地面上に置いた状態で苗箱把持具60の可動係合体62が苗箱aとの係合を解除できるように前行程列の苗箱aと前後方向にスペースをとって地面上に置く。そして、苗箱把持具60の可動係合体操作レバ−64を放して前記可動係合体62の係合を解除した状態で、前後位置決めプレート56に苗箱移動用ローラ66を当接し下降させながら固定係合体61で苗箱aを後方に押して地面上を移動させ、後方の苗箱aとの前記スペースを無くして苗箱aを並べる。以下同様に、左右方向において前に地面に並べた苗箱aの左右外側に互いに隙間を空けないように並べると共に後方の苗箱aとの間を詰めて苗箱aを並べていくことにより、育苗ハウスB内の地面に敷き詰めるように苗箱aを並べていく。
【0023】その後、並べた苗箱aを上方から押圧して地面j(置床)に密着させるべく、苗箱押圧機1を育苗ハウスB内に搬入する。尚、走行部5の走行車輪3,4は、苗箱並べ補助器具50の走行台車53が通った走行レ−ル2を走行するようになっている。また、左右それぞれの押圧板支持フレーム7は、走行部5寄りの中途部で左右に分割可能に構成され、苗箱押圧機1の非使用時や育苗ハウスB内への搬入時や育苗ハウスB外への搬出時には左右に分割して一部を取り外して機体の左右幅を縮小できるようになっている。そして、押圧板6の前後中央で育苗ハウスB内の最端列に並べられた苗箱aを押圧するように、走行部5の走行クラッチ16により走行車輪の後輪4を遊転するようにして作業者が走行部5を押して前後位置を合わせる。そして、メインスイッチ37を「ON」にし、左右移動体10を移動させて右側の押圧板6を走行レ−ル2の右側の苗箱aの上端部に接触させ、左右移動体10を右側の押圧板6上で左右往復移動させ、走行レ−ル2の右側の苗箱aを均等な荷重で押圧していく。その後、同様に、左右移動体10が走行部5の左側に移動して左側の押圧板6を走行レ−ル2の左側の苗箱aの上端部に接触させ、左右移動体10を左側の押圧板6上で左右往復移動させ、走行レ−ル2の左側の苗箱aを均等な荷重で押圧していく。走行レ−ル2の左右で苗箱aの押圧作業が終わると、左右の押圧板6が浮き上がり、自動的に走行部5が苗箱1枚分前進し、同様に隣接して並べられている次列の苗箱aの上方で左右移動体10を往復移動させて苗箱aを上方から押圧していく。この作業行程を繰り返し、育苗ハウスB内に並べられた苗箱aを押圧していく。作業者は、走行部5の後方の走行レ−ル2間の通路を必要に応じて歩きながら、苗箱押圧作業を監視する。そして、育苗ハウスB内の最終列の苗箱aの押圧作業が完了すると、作業者がメインスイッチ37を「OFF」にして苗箱押圧機1の運転を停止する。以上により、育苗ハウスB内の苗箱aの押圧作業が終了する。
【0024】よって、この苗箱押圧機1は、育苗ハウスB内の苗箱aに上方から接触する押圧板6と該押圧板6の上方に左右移動体10とを設け、左右移動体10を押圧板6と一体の左右移動用レール8上で左右移動させることにより、左右移動体10の自重が作用する押圧板6上の位置を変更できるようになっている。
【0025】従って、左右移動体10を左右方向に移動させることにより該左右移動体10の自重が作用する押圧板6上の位置を変更させることができるので、左右移動体10の左右方向の移動により押圧板6が上方から接触する苗箱aを略均等に押圧することができ、苗箱aを均等に押圧するべく作業者が移動する必要がなく、苗箱aの押圧作業を楽に行うことができる。また、複数の苗箱aにわたって略均等に押圧することができるので、苗の成育状態も各苗箱aで揃って安定し、良好に育苗することができる。また、苗箱aの押圧状況に応じて左右移動体10の載置台34上の肥料袋fの数を変える等して載置台34上の重りの重量を変えることにより、適正な押圧力でa苗箱を押圧することができる。また、タイマー(1)により走行部5が苗箱aの短手方向の一枚分の長さと同じ距離づつ前進する構成となっているが、押圧板6の前後方向の長さは苗箱aの短手方向の2倍であるので、多少前進距離がずれても苗箱aを確実に押圧することができる。
【0026】また、図16に示す左右移動体80は、他の構成は前述と同様であるが、載置台を設けずに左右移動用モ−タ26の駆動によりチェ−ン81を介して伝動されて回転する偏重心回転体82を設けたものである。この偏重心回転体82は、図16に示す斜線部分の幅を大きくして重心が回転軸83上に位置しないように構成している。この偏重心回転体82を回転させることにより、左右移動体80に上下方向の振動が発生し、その振動が左右移動用車輪9及び左右移動用レ−ル8を介して押圧板6に伝わるようにしている。そして、左右移動体10が左右移動して左右移動体80の自重が作用する押圧板6上の位置を変更しながら、押圧板6に振動を伝えるようになっている。従って、前記偏重心回転体82及び左右移動用モ−タ26等により振動発生装置を構成している。
【0027】よって、前記振動発生装置が発生する上下方向の振動を押圧板6に伝えることができるので、押圧板6による苗箱aの押圧作用を促すことができ、苗箱aの押圧作用を向上させるべく従来の踏み板上で作業者が上下に加勢して移動する動作を不要としたりすることができ、苗箱aの押圧作業を楽に行うことができる。また、左右移動体10が左右移動しながら上下方向の振動を押圧板6に伝えるので、並べられた複数の苗箱aの押圧力を略均等に作用させることができ、苗の成育状態も各苗箱aで揃って安定し、良好に育苗することができる。また、左右移動用モ−タ26の駆動により上下方向の振動を発生させているので、仮に左右移動用モ−タ26の駆動速度を変更して左右移動体10の左右移動速度を変更することがあっても、左右移動速度の変化に伴って上下方向の振動の周期が変更され、苗箱aを群なく略均一に押圧することができる。尚、偏重心回転体82により発生させる振動の周期は、さほど短くしなくてもよく、実用上3〜5秒程度でもよい。
【0028】また、図17乃至図20は、異なる苗箱押圧機90を示したものである。この苗箱押圧機90は、2本の走行レ−ル2上を走行する走行部5に対して左右に押圧具である押圧ロ−ラ91をそれぞれ設けた構成となっている。そして、この左右それぞれの押圧ロ−ラ91は、前後に計8本配列しており、その上側に設けた左右それぞれの押圧駆動モ−タ92によりチェ−ン93等を介して伝動され駆動回転する構成となっている。尚、前記押圧駆動モ−タ92は、正逆転可能なモ−タである。また、前記押圧ロ−ラ91は、左右の長さが苗箱aの長手方向の長さの約2倍であり、左右に長手方向を向けて敷き詰めるように並べた2枚の苗箱aを同時に上方から押圧できるようになっている。そして、走行部5に対して上下方向の軸94回りに回動可能な押圧ロ−ラ支持フレ−ム95を走行部5の左右にわたって設けており、この押圧ロ−ラ支持フレ−ム95上を走行する計4個の車輪96を備えるパンタグラフ機構97を走行部5の左右に設けている。前記パンタグラフ機構97の下端部に左右それぞれの押圧ロ−ラ91を連結して支持すると共に、該パンタグラフ機構97を操作して押圧ロ−ラ支持フレ−ム95に対して押圧ロ−ラ91を上下動させられる上下調節用回動ハンドル98を左右それぞれに設けている。そして、走行部5には左右にそれぞれ右押圧ロ−ラ駆動用スイッチ99L、左押圧ロ−ラ駆動用スイッチ99Rを設けると共に、走行部5に対して押圧ロ−ラ支持フレ−ム95が上下方向の軸94回りに回動することにより前記右押圧ロ−ラ駆動用スイッチ99L及び左押圧ロ−ラ駆動用スイッチ99Rに当接してこれらのスイッチ99L,99Rを操作するレバ−100を押圧ロ−ラ支持フレ−ム95側に設けている。また、押圧ロ−ラ支持フレ−ム95の左右両端部には、接地スタンド101を設けている。尚、前記接地スタンド101の接地部102は、接地した状態で地面に沿ってスム−ズに移動できるようにそり状に構成されている。
【0029】苗箱aの押圧作業を行うにあたっては、左右の上下調節用回動ハンドル98をそれぞれ操作して左右それぞれの押圧ロ−ラ91を上下動させ、左右それぞれの苗箱aへの押圧力を調整する。そして、メインスイッチ103を「前進」にすると、左右の押圧駆動モ−タ92が駆動して左右の押圧ロ−ラ91を等速度で駆動回転させ、走行部5を走行レ−ル2に沿って前進させるべく機体を前進させながら押圧ロ−ラ91により苗箱aを上方から押圧していく。押圧ロ−ラ91の走行駆動においてスリップが生じて左右の押圧ロ−ラ91の位置が前後方向に相違すると、走行部5に対して押圧ロ−ラ支持フレ−ム95が上下方向の軸94回りに回転して、該フレ−ム95に設けたレバ−100が右押圧ロ−ラ駆動用スイッチ99L及び左押圧ロ−ラ駆動用スイッチ99Rを操作する。押圧ロ−ラ支持フレ−ム95の右側の進行が先行して左押圧ロ−ラ駆動用スイッチ99Rが操作されるときには、左側の押圧駆動モ−タ92が増速されると共に右側の押圧駆動モ−タ92が減速され、右側の押圧ロ−ラ91に対して左側の押圧ロ−ラ91が速く進行するようにして、左右の押圧ロ−ラ91の位置(すなわち押圧ロ−ラ支持フレ−ム95の左右の位置)が前後方向で同位置となるよう修正する。同様に、押圧ロ−ラ支持フレ−ム95の左側の進行が先行して右押圧ロ−ラ駆動用スイッチ99Lが操作されるときには、右側の押圧駆動モ−タ92が増速されると共に左側の押圧駆動モ−タ92が減速され、左側の押圧ロ−ラ91に対して右側の押圧ロ−ラ91が速く進行するようにして、左右の押圧ロ−ラ91の位置(すなわち押圧ロ−ラ支持フレ−ムの左右の位置)が前後方向で同位置となるよう修正する。
【0030】そして、走行レ−ル2の左右の苗箱2枚分づつの押圧作業が終了すると、作業者がメインスイッチ103を「停止」にして左右の押圧駆動モ−タ92の駆動を停止し、上下調節用回動ハンドル98を操作して左右それぞれの押圧ロ−ラ91を苗箱から浮き上がらせると共に、図19,図20に示すように、パンタグラフ機構97の車輪96により左右移動させて押圧ロ−ラ91が残りの苗箱2枚分に作用するようにし、同様に左右の上下調節用回動ハンドル98をそれぞれ操作して左右それぞれの押圧ロ−ラ91を上下動させ、左右それぞれの苗箱aへの押圧力を調整する。そして、メインスイッチ103を「後進」にすると、左右の押圧駆動モ−タ92が逆回転して機体を後進させながら押圧ロ−ラ91により苗箱aを上方から押圧していく。押圧ロ−ラ支持フレ−ム95の右側の進行が先行して右押圧ロ−ラ駆動用スイッチ99Lが操作されるときには、左側の押圧駆動モ−タ92が増速されると共に右側の押圧駆動モ−タ92が減速され、右側の押圧ロ−ラ91に対して左側の押圧ロ−ラ91が速く進行するようにして、左右の押圧ロ−ラ91の位置(すなわち押圧ロ−ラ支持フレ−ム95の左右の位置)が前後方向で同位置となるよう修正する。同様に、押圧ロ−ラ支持フレ−ム95の左側の進行が先行して左押圧ロ−ラ駆動用スイッチ99Rが操作されるときには、右側の押圧駆動モ−タ92が増速されると共に左側の押圧駆動モ−タ92が減速され、左側の押圧ロ−ラ91に対して右側の押圧ロ−ラ91が速く進行するようにして、左右の押圧ロ−ラ91の位置(すなわち押圧ロ−ラ支持フレ−ム95の左右の位置)が前後方向で同位置となるよう修正する。そして、苗箱aの押圧作業が終了すると、作業者がメインスイッチ103を「停止」にして機体を停止させる。
【0031】よって、この苗箱押圧機90は、機体を走行させる走行部5の左右両側に育苗ハウスB内の苗箱aに上方から接触する押圧ロ−ラ91をそれぞれ設け、左右の押圧ロ−ラ91を左右それぞれの押圧駆動モ−タ92により走行駆動可能に構成しているので、機体の自重の一部を前記走行部5ひいては走行レ−ル2が受け、押圧ロ−ラ91による苗箱aの押圧力を適正に調節することができ、また左右の押圧駆動モ−タ92により左右の押圧ロ−ラ91を別個に走行駆動可能に構成したので、機体を進行させながら苗箱aを押圧することができて苗箱aを押圧するべく作業者が移動する必要がなく、苗箱aの押圧作業を楽に行うことができるばかりでなく、左右の押圧ロ−ラ91の走行速度を異ならせることにより押圧ロ−ラ91の進行方向を修正することができて走行レ−ル2に沿って走行部5を走行させることができて所望の方向に機体を進行させることができ、苗箱aの押圧作業を能率良く行うことができる。また、押圧ロ−ラ91を押圧ロ−ラ支持フレ−ム95に沿って左右移動可能に設けているので、左右に広い範囲に苗箱aが並べられていても苗箱aの押圧作業をすることができると共に、左右の押圧ロ−ラ91の走行部5からの左右方向の距離を等しくすることによって押圧ロ−ラ91の進行方向が所望の方向から変位するのを抑えることができる。また、苗箱aの押圧状況に応じて上下調節用回動ハンドル98を操作して押圧ロ−ラ91の押圧力を変更することにより、適正な押圧力で苗箱を押圧することができる。
【0032】尚、この発明の実施の形態は苗箱並べ補助器具50により並べられた苗箱aを上方から押圧する場合について詳述したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、前記苗箱並べ補助器具50の代わりに、自動的に育苗ハウスB内に苗箱aを並べる自動苗箱並べ機で並べられた苗箱を上方から押圧するものであってもよい。
【0033】尚、この発明の実施の形態は水稲用の苗箱aを押圧する場合について詳述したが、複数のセルを備える野菜苗用の苗箱を押圧してもよい。
【出願人】 【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
【識別番号】597007101
【氏名又は名称】有限会社ピポリー技研製作所
【識別番号】591070990
【氏名又は名称】本田農機工業株式会社
【出願日】 平成12年11月2日(2000.11.2)
【代理人】
【公開番号】 特開2002−136225(P2002−136225A)
【公開日】 平成14年5月14日(2002.5.14)
【出願番号】 特願2000−336142(P2000−336142)