トップ :: A 生活必需品 :: A01 農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業




【発明の名称】 農業用マルチ
【発明者】 【氏名】小川 俊夫

【氏名】大澤 敏

【要約】 【課題】

【解決手段】天然産業副生成物又は澱粉60〜90重量%と生分解性ポリマー40〜10重量%を含有する組成物を成形してなる農業用マルチ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】天然産業副生成物又は澱粉60〜90重量%と生分解性ポリマー40〜10重量%とを含有する組成物から形成されたことを特徴とする農業用マルチ。
【請求項2】天然産業副生成物が米ぬか又は最中の皮の粉砕物であることを特徴とする請求項1記載の農業用マルチ。
【請求項3】農業用マルチがシート又はネットであることを特徴とする請求項1又は2に記載の農業用マルチ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、天然産業副生成物又は澱粉と生分解性ポリマーを含有する組成物から形成された農業用マルチに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、農業の分野では土壌の保温、雑草種子の発芽の防止等にマルチフィルムが大量に使用されている。かかる農業用マルチフィルムとしては、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル等のプラスチックフィルムが主流をなしているが、プラスチックフィルムは難分解性であるため、使用後の廃棄処理に焼却処理や埋立処理が一般的に採用されている。しかし、前記ポリオレフィン、ポリ塩化ビニルの焼却処理では、焼却の際に高い熱を発生し焼却炉を損傷したり、或は有害性ガスを発生するなどの問題があり、また、埋立処分では土壌中にプラスチックフィルムが永久的に埋設され環境汚染の原因となるなどの問題があった。そこで、天然素材系のバイオセルロースや澱粉主体のプラスチック、低置換度セルロース系エステル、微生物による天然ポリエステル樹脂等が農業用マルチフィルムの素材として提案されているが、いずれも製品コストが高い上に、含有する非分解性のプラスチックが壌中にそのまま残存し環境汚染の原因となるなど、農業用マルチとしては満足できるものではなかった。
【0003】その一方、近年、段ボール等の古紙を原料とする再生紙マルチを稲の栽培などに使用する再生紙マルチ栽培方法が提案されている。ところが、この再生紙マルチフィルムは濡れに弱く作業性が悪い上に、腐食することがなく田畑にそのまま残存する等の欠点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】こうした現状に鑑み、本発明者等は、鋭意研究を続けた結果、農業用マルチを天然産業副生成物又は澱粉と生分解性ポリマーを含有する組成物で形成することで、生分解が容易な上に、濡れに強く作業性がよく、かつ製造コストも低くできることを見出した。さらに、前記天然産業副生成物又は澱粉の含有量を変えることで生分解期間を自由に制御でき、栽培植物の成育に合わせた保護が容易となることをも見出して本発明を完成したものである。すなわち、【0005】本発明は、生分解が容易である上に、作業性に優れ、かつ低コストの農業用マルチを提供することを目的とする。
【0006】また、本発明は、使用目的に応じて生分解期間を任意に選択できる農業用マルチを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発明は、天然産業副生成物又は澱粉60〜90重量%と生分解性ポリマー40〜10重量%とを含有する組成物から形成されたことを特徴とする農業用マルチに係る。
【0008】本発明の農業用マルチは、主成分を天然産業副生成物又は澱粉とし、それに生分解性ポリマーをバインダーとして混合した組成物から製造されるが、前記天然産業副生成物としては米ぬか、最中の皮の粉砕物などが挙げられ、また、生分解ポリマーとしては、ポリ乳酸、乳酸単位が60モル%以上の乳酸と他のヒドロキシカルボン酸との共重合体、乳酸単位が60モル%以上の乳酸、脂肪族多価カルボン酸及び脂肪族グリコールからなる脂肪族ポリエステル共重合体などのポリ乳酸系樹脂、脂肪族ポリエステル、脂肪族ポリエステルアミド、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。前記ポリ乳酸としては、具体的にL−乳酸、D−乳酸、あるいはL−乳酸とD−乳酸の混合物を脱水縮合した樹脂が挙げられる。前記ポリ乳酸は、乳酸の環状二量体であるラクチドを開環重合するなどの方法で製造され、その数平均分子量は20,000〜1,000,000、好ましくは50,000〜500、000の範囲がよく、数平均分子量が20,000未満では、実用的な製品が得られず、また1,000,000を超えると成型加工性が悪く好ましくない。
【0009】また、乳酸と共重合する他のヒドロキシカルボン酸としては、例えばグリコール酸、ジメチルグリコール酸、2−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシプロパン酸、3−ヒドロキシプロパン酸、2−ヒドロキシ吉草酸、3−ヒドロキシ吉草酸、4−ヒドロキシ吉草酸、5−ヒドロキシ吉草酸、2−ヒドロキシカプロン酸、3−ヒドロキシカプロン酸、4−ヒドロキシカプロン酸等が挙げられる。
【0010】さらに、脂肪族ポリエステル共重合体を形成する脂肪族多価カルボン酸としては、例えばマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸及びこれらの無水物などが、また脂肪族グリコールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンチルジオール、1.6−ペンチルジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、テトラメチレングリコールなどが挙げられる。
【0011】脂肪族ポリエステルとしては、ポリラクチドなどのポリ(α−ヒドロキシカルボン酸)、ポリ−ε−カプトラクトン、ポリ−β−プロピオラクトンが挙げられ、また脂肪族ポリエステルアミドとしては、ポリ−ε−カプトラクトンとナイロン6との共縮重合体などが挙げられる。
【0012】本発明の農業用マルチは、上記のように天然産業副生成物又は澱粉と生分解性ポリマーとからなる組成物で形成したシート、ネット又は円筒体であり、天然産業副生成物又は澱粉が60〜90重量%、生分解性ポリマーが40〜10重量%と、高価な生分解性ポリマーの使用量が少ないことから製造コストを低くできる。また、この農業用マルチを田圃や畑に付設する、或は植物の周囲に配設することで土壌の保温や雑草種子の発芽が防止ができ、除草の重労働から農業従事者を開放できる上に、天然産業副生成物又は澱粉が分解して肥料となることから無農薬有機農業の推進が容易となる。さらに、本発明の農業用マルチは、バインダーとして生分解ポリマーを用いていることから濡れに対しても強く作業性がよく、家庭園芸用材料としても有効に使用できる。
【0013】上記農業用マルチは、天然産業副生成物又は澱粉60〜90重量%に生分解性ポリマー40〜10重量%を配合し、溶剤に溶解して懸濁液とし、それを離型性のあるシート用型又はネット用型に流し込む、あるいはアプリケータを用いて前記型に塗布したのち、溶剤をシートに気泡が混在しないように徐々に揮発し、厚さ20〜1000μmのシート又はネットとして型から剥離して製造される。使用する溶剤としては、水又はクロロホルム、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、ジオキサン、シクロヘキサン等の有機溶剤が挙げられ、中でも水、クロロホルム、ジオキサンが好適である。
【0014】上記懸濁液には、必要に応じて各種の添加剤、例えば分散剤、充填剤、可塑剤、安定剤、滑剤、剥離剤、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などを配合してもよい。
【0015】
【実施例】以下に本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、実施例の引張強度はJISに規定する測定方法に準拠する。
【0016】実施例数平均分子量38000のポリ乳酸と米ぬかとを図1に示す割合で混合し、クロロホルム溶剤に溶解して懸濁液に調製する。次いで、該懸濁液をアプリケーターを用いて、フッ素系樹脂を被覆した板上に塗布し、溶剤を揮発させて厚さ500μmのシートを製造した。得られたシートの引張強度を図1に示す。また、該シートの土壌中の重量の減少割合を図2に示す。
【0017】上記図1から明らかなように本発明の農業用マルチは、米ぬかを90重量%含有しても引張り強度は約2.5MPaと実用的にも十分通用する強度を有し、かつポリ乳酸がバインダーとして均一に分散していることから濡れに対しても安定で再生紙マルチのように雨に濡れて破損することがない。この農業用マルチはまた、図2にみるように米ぬかの混合割合で、分解速度に大きな差があり、混合量を変えることでシートの分解期間を任意に制御できる。例えば、ポリ乳酸100重量%では、土壌中に30日埋設しても全く重量変化がないが、米ぬかを80重量%含有するシートは15日の埋設から急激に分解が進行する。
【0018】
【発明の効果】本発明の農業用マルチは、産業副生成物である米ぬかなどを主成分とし、それに生分解性ポリマーをバインダーとして混合することから、マルチが安価に製造できる上に、生分解期間を任意に制御でき、しかも作業性がよく、分解成分がそのまま肥料となることから農業用マルチとしてもまた、家庭園芸用材料としても有効に使用できる。
【出願人】 【識別番号】593165487
【氏名又は名称】学校法人金沢工業大学
【出願日】 平成12年6月29日(2000.6.29)
【代理人】 【識別番号】100101960
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 平八
【公開番号】 特開2002−10714(P2002−10714A)
【公開日】 平成14年1月15日(2002.1.15)
【出願番号】 特願2000−195472(P2000−195472)