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【発明の名称】 揺動選別装置
【発明者】 【氏名】里路 久幸

【要約】 【課題】揺動選別棚に付着している湿った被処理物を除去して、効率良く作業を実行するようにする。

【解決手段】扱胴1を有する扱室2下方の選別室30に揺動選別棚3を設けた脱穀装置4において、前記揺動選別棚3の左右両側部には、発熱手段46を所定間隔毎に複数個設けたことを特徴とする揺動選別装置の構成とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 扱胴1を有する扱室2下方の選別室30に揺動選別棚3を設けた脱穀装置4において、前記揺動選別棚3の左右両側部には、発熱手段46を所定間隔毎に複数個設けたことを特徴とする揺動選別装置。
【請求項2】 前記脱穀装置4内には被処理物の水分値を検出する水分値検出手段47を設け、該水分値検出手段47が所定値以上の水分値を検出すると、前記発熱手段46を入り状態とする制御手段100を設けたことを特徴とする請求項1に記載の揺動選別装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、コンバインやハーベスタ等の脱穀装置に設ける揺動選別装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の脱穀装置の揺動選別装置において、特開平10ー313666号公報に記載されているように、揺動選別装置の揺動回転数の変速や、唐箕の回転数を変速して、濡れ扱ぎ状態に対応する構成であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前述のような脱穀装置では、次のような欠点がある。即ち、前述のように、揺動選別装置の揺動回転数を変速したり、唐箕の回転数を変速したりすると、選別棚に付着している藁屑類は少しは剥がれるが、一部は選別棚に付着した状態となってしまうので、選別性能が低下してしまう。特に、シーブにも付着していると、穀粒は下方へと落下せずに、他の藁屑類と一緒に後方へと搬送されてしまい、最終的には機外へと排出されて3番ロスとなってしまう。さらに、湿った被処理物は水分を含んでいるので、重量が重くなり、その重みが揺動棚の揺動駆動機構に悪影響を与えてしまい、最悪の結果、揺動棚やその駆動機構が破損してしまうという不具合が発生していた。
【0004】本発明の課題は、前述のような不具合を防止する脱穀装置の揺動選別装置を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の上記課題は次の構成によって達成される。すなわち、請求項1記載の発明では、扱胴1を有する扱室2下方の選別室30に揺動選別棚3を設けた脱穀装置4において、前記揺動選別棚3の左右両側部には、発熱手段46を所定間隔毎に複数個設けたことを特徴とする揺動選別装置としたものである。
【0006】請求項2記載の発明では、前記脱穀装置4内には被処理物の水分値を検出する水分値検出手段47を設け、該水分値検出手段47が所定値以上の水分値を検出すると、前記発熱手段46を入り状態とする制御手段100を設けたことを特徴とする請求項1に記載の揺動選別装置としたものである。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1には、本発明の脱穀装置4を搭載したコンバインが示されている。走行装置14を有する車台15の前方には植立穀稈を刈り取る刈取装置16を設け、車台15上には前記刈取装置16で刈り取った穀稈をフィードチェン17にて挾持搬送しながら脱穀選別する脱穀装置4と、コンバインを操作する操作部18と、前記脱穀装置4にて脱穀選別した穀粒を一時貯溜するグレンタンク19とを設けている。
【0008】また、グレンタンク19内下方には、一時貯溜している穀粒を機外へ排出する下部ラセン(図示せず)があり、該下部ラセンから搬送されてきた穀粒を引き継いでコンバインの機体上方へと搬送する縦オーガ20が車台15に対して旋回可能に設けられ、さらに、縦オーガ20には横オーガ21が昇降可能に設けられている。
【0009】前記脱穀装置4について、図2〜図4に基づいて説明する。図2は脱穀装置4の側面図、図4は脱穀装置4の平面図である。脱穀装置4内には、扱網22を有する扱胴1を扱胴軸23で軸架した扱室2と、該扱室2の一側には、扱室2からの処理物を受け入れて処理する排塵処理網24を有する排塵処理胴25を排塵処理胴軸25aで軸架した排塵処理室19が設けられている。そして、扱室2と排塵処理室26の下方には揺動選別棚3を設けている。
【0010】また、排塵処理胴25の前方には、二番処理胴27と二番処理胴受樋28(網や格子状のものでもよい。)からなる二番処理室29が構成されている。二番処理胴27は、本実施例では扱胴1の一側であって、排塵処理胴25の前方に設けられていて、基本的には二番物を処理するものである。さらに、図4は図3にて示すS1―S1断面であるが、扱網22から漏れた被処理物は二番処理室29内に取り込まれる構成であるので、前記二番処理胴27は二番物の他に、扱室2内から入り込んできた被処理物も一緒に処理する構成となっている。前記扱網22と二番処理胴受樋28(網や格子状でもよい)と排塵処理網24は、それぞれ扱胴1と二番処理胴27と排塵処理胴25の下方に設けられている。
【0011】前記扱室2と二番処理室29と排塵処理室26の下方には、落下してくる被選別物を受けて選別する揺動選別棚3が設置されていて、該揺動選別棚3の下方には、選別風送り方向始端側に唐箕5を設け、該唐箕5から送風される選別風の送り方向下手側には一番ラセン6を設け、該一番ラセン6の選別風送り方向下手側には二番ラセン7を設けている。
【0012】揺動選別棚3の構成について説明する。揺動選別棚3は、選別送り方向の始端側から順番に、落下した脱穀物を後方に移送する移送棚3a,脱穀物を選別するグレンシーブ3b,二番物を選別するチャフシーブ3c,排塵を機外に移送して放出するストローラック3dとから構成されている。該ストローラック3dの下方は、二番物を二番ラセン7内へ案内する二番棚先7aで構成されていて、この二番棚先7aの終端部近傍まで前記排塵処理胴25が延出している構成である。横断流ファン8は、選別室30内の軽い塵埃を機外に排出するためのもので、ストローラック3dの上方に設けられている。
【0013】前述のごとく構成された脱穀装置4を搭載したコンバインにおいて、エンジン(図示せず)からの動力を走行伝動装置31に入力して、任意の速度に変速して走行装置14を駆動する。すると、コンバインは前進を開始する。刈取脱穀作業を行なうには、さらに、刈取装置16,供給搬送装置32及び脱穀装置4に、エンジンからの動力を伝達駆動して作業を行なう。このような状態でコンバインが前進すると、植立穀稈は分草具33により分草されて、引起しケース34の引起しラグ35にて引き起こされる。その後、刈刃36にて刈り取られ、刈り取られた穀稈は、株元搬送装置37により後方の供給搬送装置32の始端部に向かって搬送される。
【0014】そして、株元搬送装置37の終端部まで搬送された穀稈は、後方の供給搬送装置31の始端部に引き継がれる。その後、供給搬送装置31の終端部まで搬送された穀稈は、脱穀装置4のフィードチェン17の始端部に引き継がれると共に、該フィードチェン17に引き継がれた穀稈は、後方に搬送されながら、扱胴1と扱網22により脱穀される。脱穀された脱穀物の一部は揺動選別棚3上に落下して、該揺動選別棚3の揺動作用と唐箕5からの風選作用により選別され、一番ラセン6内へと取り込まれていく。該一番ラセン6に取り込まれた穀粒は、グレンタンク19内に一時貯溜され、脱穀後の排稈はフィードチェン17の終端部から、排稈チェン38の始端部に引き継がれて搬送されていく。その後、カッター39に送られて切断されて、下方の圃場上に放出されていく。
【0015】扱室2内の残りの脱穀物は、後方へと搬送されていくが、その途中において一部の脱穀物は二番処理室29内に取り込まれていく。該二番処理室29内に取り込まれた脱穀物は、選別風送り方向上手側に搬送されながら、二番処理胴27と二番処理胴受樋28との相互作用で脱穀(特に、枝梗粒が処理される)されて、下方の揺動選別棚3上に落下していく。扱胴1と二番処理胴27と排塵処理胴25は、共に選別風上手側から下手側を見た状況(脱穀装置4の正面視)において、時計回りで回転する構成であるので、従って、二番処理胴27の処理歯27aの向きは、脱穀物を選別風送り方向の上手側方向に送るような向きに固着しておく必要がある。
【0016】即ち、該処理歯27aには被処理物を選別風送り方向上手側に搬送する作用があり、さらに、被処理物を処理する作用も併せ持っている。即ち、処理歯27aは螺旋の一部であり、また、その円周方向の先端部と二番処理胴受樋28との間の相互作用にて被処理物を処理する構成となっている。二番処理胴27の搬送終端部に設けられている羽根27bは、被処理物を揺動選別棚3上に強制的に送り出すようにする。
【0017】前記排塵処理胴25の排塵処理歯25bは、脱穀物を選別風送り方向の下手側方向に送るような向きに固着しておく必要がある。本実施例では、該排塵処理歯25bは、排塵処理胴25の外周面に巻回いされているラセン形状となっている。
【0018】しかし、本実施例では、排塵処理網24の目合いが荒い(格子状)ので、一部の短い藁屑は揺動選別棚3上に落下して、落下しなかった長い藁屑は排塵処理室26の終端部まで搬送されて、排塵処理胴25の終端部の羽根40にてストローラック3d上に強制的に排出される。そして、このように被処理物が排塵処理室26内にて搬送される間に、排塵処理胴25と排塵処理網24との相互作用で、さらに脱穀されるとともに、脱穀物はほぐされて中に混在している穀粒(いわゆるササリ粒)が取り出されて、下方の揺動選別棚3上に落下して、さらに、二番ラセン7内へと回収されていく。
【0019】前述のように、扱室2内の脱穀物で、揺動選別棚3上に落下せず、二番処理室29内にも取り込まれなかった残りの脱穀物は、扱室1の終端部まで搬送される。この扱室1の終端部まで搬送されてきた脱穀物は、排塵処理室26内に取り込まれ、取り込まれた脱穀物は、選別風送り方向下手側に搬送されていく。
【0020】扱室2内の終端部から排塵処理室26内に脱穀物を送る際において、脱穀物が詰まらないように、扱室2から排塵処理室26への引継ぎ部分においても、排塵処理胴25の外周にラセン形状の排塵処理歯25bを設けていて、該排塵処理歯25bの送り作用で引継ぎ部に脱穀物が詰まらないようにしている。
【0021】このような、揺動選別棚3の揺動作用と唐箕5からの選別風の作用にもかかわらず、一番ラセン6内に取り込まれなかった残りの穀粒は、他の排塵物と共にさらに後方に送られ、二番ラセン7内へと取り込まれていく。該二番ラセン7内に取り込まれた二番物は、二番揚穀筒41にて前記二番処理室29の選別風送り方向下手側に還元されて、扱室2からの脱穀物と合流し、その後、選別風送り方向の上手側に搬送されながら、二番処理胴受樋28との相互作用で脱穀処理されながら搬送され、終端部の羽根27bにより下方の揺動選別棚3上に強制的に落下させられていく。
【0022】次に、図5〜図7について説明する。前述のように、コンバインにて刈取作業を実行する場合において、濡れ扱ぎの脱穀作業が続くと、脱穀装置4内の各部分に被処理物が付着してくる。特に、揺動選別棚3に付着すると、選別性能が低下してくると共に、水分を含んでいる被処理物の重みにより、揺動選別棚3やその駆動機構が破損してしまう。
【0023】そこで、揺動選別棚3の左右両側端部に設けている、左側板44と右側板45に発熱手段46(以下、発熱装置という)を設ける構成とする。具体的には、発熱装置46を所定間隔毎に複数個設ける構成とする。これにより、揺動選別棚3に付着している藁屑類は乾燥して除去できるので、清掃のために作業を中断することなく効率良い作業が可能となる。そして、1個から数個破損しても、他の発熱装置46により作業は続行可能となる。また、発熱装置46自体がコンパクトなものとなるので、該発熱装置46の保守管理が容易に実行可能となる。さらに、必要な部分のみ加熱すればよいので、効率良くバッテリ48の電気を使用できる。この発熱装置46は、電熱方式であり、バッテリ48からの電流が流れることによって、発熱する構成である。バッテリ48は、エンジンが作動している状態においては、ダイナモから常時充電されているので、バッテリ48が上がることはない。
【0024】前記発熱装置46は、電流値が大きくなると発熱量も多くなり、その発熱量は、左右の両側板44,45が赤くなるほどである。しかしながら、左右の両側板44,45が赤くなるほど発熱すると、付着している藁屑は乾燥状態を越えて燃えてしまうので、発熱装置46の発熱量は、付着している藁屑が乾燥して落下する程度が望ましい。これにより、揺動選別棚3に付着している藁屑は乾燥して下方へと落下して、該揺動選別棚3の揺動作用と、唐箕5からの選別風の作用により、後方へと搬送されていき、脱穀装置4の後部から機外へと排出されていく。
【0025】従って、選別性能の低下を防止できると共に、揺動選別棚3やその駆動機構の破損を防止できるようになる。また、揺動選別装置3は金属である鉄や、合金であるステンレスにて構成されているので、熱伝導効率が良く、従って、前記左右の両側板44,45に亘って掛け渡されているグレンシーブ3bやチャフシーブ3cにも熱が伝導するので、該グレンシーブ3bとチャフシーブ3cに付着している藁屑類も乾燥されて、下方へと落下していく。これにより、揺動選別棚3上の被処理物は、グレンシーブ3bとチャフシーブ3cにて効率良く選別されていく。
【0026】前記発熱装置46は、操作部18に設けているスイッチ49にて作業者が手動にて操作してもよいが、自動にて作動するように構成してもよい。この自動の構成について図6に基づいて説明する。脱穀装置4内の任意の場所に水分検出手段47(以下、水分センサという)を設け、該水分センサ47が所定値以上の水分値を検出すると、前記発熱装置46を駆動する構成とする。水分センサ47を設ける位置は、被処理物の水分量を検出可能な場所であればどこでもよい。水分センサ47の具体的構成は、水分吸収波長帯を含む電磁波を照射して測定する。水分に吸収される波長として、1450nm(ナノメートル)を照射するよい。即ち、水分の多い被処理物に前記波長の電磁波を照射すると、水分は1450nmの波長を吸収してしまうので、反射で帰って来る1450nmを測定し、その量が少なければ、被処理物は水分を多く含んでいることになる。
【0027】このような水分センサ47の設置位置として、具体的には揺動選別棚3の移送棚3aの上方,一番ラセン6の近傍,二番ラセン7の近傍,グレンタンク19内,グレンシーブ3bとチャフシーブ3cの上方が良い。この水分センサ47の配置は、図2と図5に示している。前述のごとく、発熱装置46を自動的に入り切り可能な構成としたので、作業者は揺動選別棚3の清掃作業のために刈取作業を途中で中断することなく、効率良く作業が続行可能となる。
【0028】前記発熱装置46は、揺動選別棚3に複数個設置する構成としているので、発熱装置46の設置場所により、該発熱装置46の発熱量を変えると、効率良くバッテリ48のエネルギーを使用することが可能となる。その具体的な方法としては、揺動選別棚3の移送棚3a部分は面積が広く、また、グレンシーブ3bとチャフシーブ3cの部分は面積が狭いので、水分センサ47による水分の検出値が同じ水分値であれば、移送棚3aの方の発熱量を多く発生するようにする。この発熱量の差は、基本的には面積の差を比で換算して多くするようにするとよい。また、同様に水分センサ47による水分値が同じであれば、堆積している被処理物の量によって、発熱装置46の発熱量を変えるようにしてもよい。
【0029】別の実施例としては、水分センサ47の検出値の差によっても、発熱装置46の発熱量を変えるようにしてもよい。これにより、効率良く揺動選別棚3に付着している被処理物を除去することが可能になると共に、バッテリ48の電気エネルギーを効率良く使用可能となる。
【0030】
【発明の効果】本発明は上述のごとく、請求項1記載の発明においては、揺動選別棚3の左右両側部には、発熱手段46を所定間隔毎に複数個設ける構成としたので、揺動選別棚3に付着している藁屑類は乾燥して除去可能となり、清掃のために作業を中断することなく効率良い作業が可能となる。そして、1個から数個破損しても、他の発熱手段46により作業は続行可能となる。また、発熱手段46自体がコンパクトなものとなるので、該発熱手段46の保守管理が容易に実行可能となる。さらに、必要な部分のみ加熱すればよいので、効率良くエネルギーを使用できるようになる。
【0031】請求項2記載の発明においては、水分値検出手段47が所定値以上の水分値を検出すると、前記発熱手段46を入り状態とする制御手段100を設ける構成としたので、作業者は揺動選別棚3の清掃作業のために刈取作業を途中で中断することなく、効率良く作業が続行可能となる。
【出願人】 【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
【出願日】 平成13年4月6日(2001.4.6)
【代理人】
【公開番号】 特開2002−305950(P2002−305950A)
【公開日】 平成14年10月22日(2002.10.22)
【出願番号】 特願2001−108774(P2001−108774)