| 【発明の名称】 |
乾燥物貯蔵方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】梅津 透
【氏名】土井 猛
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| 【要約】 |
【課題】殺虫作業を繰り返し行う必要がなく、またバイオ農薬の大量養殖を行うことなく、農作物等の乾燥物を有害虫から守る貯蔵方法を提供することを目的とする。
【解決手段】貯蔵する前の乾燥物に、有害虫を不妊化することができる程度の放射線を照射することにより、当該乾燥物内に存在する有害虫を不妊化せしめ、前記有害虫が乾燥物の貯蔵中に交配を繰り返しても繁殖できないようにし、バイオ農薬としての効力を発揮させることを特徴とする乾燥物貯蔵方法を提供する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 貯蔵する前の乾燥物に、有害虫を不妊化することができる程度の放射線を照射することにより、当該乾燥物内に存在する有害虫を不妊化せしめ、前記有害虫は乾燥物の貯蔵中に交配を繰り返しても繁殖できないようにしたことを特徴とする乾燥物貯蔵方法。 【請求項2】 前記乾燥物が農作物であることを特徴とする請求項1に記載の乾燥物貯蔵方法。 【請求項3】 前記有害虫が昆虫綱または蛛形綱に分類される虫であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の乾燥物貯蔵方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は農作物等の乾燥物の貯蔵方法に関する。 【0002】 【従来の技術】農作物等の乾燥物を食料貯蔵倉庫などに保管、貯蔵する際には、貯蔵中の乾燥物を有害虫から保護する必要がある。 【0003】従来から、乾燥物を有害虫から保護する方法として、食料貯蔵庫内を殺虫性の薬剤や気体等を用いて殺虫、消毒する方法が用いられている。 【0004】しかしながら、通常の場合当該食料貯蔵庫を完全に密封することは不可能であるため、また完全に密封されている場合であっても、有害虫を一匹残らず死滅させることは困難であるため、せっかく殺虫や消毒をしても、その後食料貯蔵庫内で有害虫が繁殖してしまうという問題が生じていた。 【0005】この問題を解決するためには、前記殺虫性の薬剤や気体等を用いた殺虫作業を一定の期間をとって繰り返し行う必要があるが、殺虫作業を繰り返して行うことは、直接的経済負担、有毒性薬剤残留による農作物等の商品価値の低下、作業従事者の労働安全性の損失、薬剤散逸による地球環境破壊、薬剤残留農作物喫食による人体や家畜等の二次的被害影響等の様々な問題を生じさせる。 【0006】一方、安全無害な有害虫駆除の一手段としてバイオ農薬がある。地中海ミバエに汚染された孤島に放射線で不妊化した養殖地中海ミバエを放し、自然界の地中海ミバエと交配を繰り返すことにより、環境中から完全除去した例がある。 【0007】しかしながら、この方法は、大量の不妊化虫を養殖し、長期間連続して行う必要があり、大きな労力と時間を要する。また有害虫死滅後においては、再度有害虫がその領域に侵入しないように厳格に管理する必要があり、乾燥物貯蔵庫においては、経済的にみてもこのような方法を導入することは不可能である。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題に鑑みなされたものであり、殺虫作業を繰り返し行う必要がなく、またバイオ農薬の大量養殖を行うことなく、農作物等の乾燥物を有害虫から守る貯蔵方法を提供することを目的とする。 【0009】 【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成するために、請求項1において、貯蔵する前の乾燥物に、有害虫を不妊化することができる程度の放射線を照射することにより、当該乾燥物内に存在する有害虫を不妊化せしめ、前記有害虫が乾燥物の貯蔵中に交配を繰り返しても繁殖できないようにしたことを特徴とする乾燥物貯蔵方法を提供する。 【0010】本発明により、食料貯蔵庫等に乾燥物、例えば穀物等を貯蔵している間に有害虫により当該乾燥物が侵されることがないようにすることができる。つまり、本発明の乾燥物貯蔵方法によれば、食料貯蔵庫等に搬入、貯蔵される前の乾燥物に放射線を照射することにより、同時に当該乾燥物中に存在する有害虫に放射線を照射することとなり、放射線を浴びた有害虫は、染色体に異常をきたし不妊化されることとなる。このようにして不妊化された有害虫は、食料貯蔵庫に前記乾燥物と一緒に搬入せしめられることとなるが、これにより、当該不妊化された有害虫は、食料貯蔵庫内においていわゆるバイオ農薬として機能することとなり、当該有害虫と同種の有害虫が繁殖することを防止することができる。 【0011】ここで、本発明の方法においては、従来からのバイオ農薬を用いた有害虫の駆除方法とは異なりバイオ農薬自体を培養することなく、貯蔵目的物たる乾燥物に放射線を照射することのみでバイオ農薬と同様の効果を奏することができ、不妊化された有害虫のみならず、例えば食料貯蔵庫内に予め有害虫が存在していた場合や新たに有害虫が侵入した場合であっても、このような正常な有害虫と前記乾燥物中に存在しており既に不妊化されている有害虫との間では交配しても子孫を残すことができないため、食料貯蔵庫内で爆発的に有害虫が繁殖することを防止することができる。 【0012】また、本発明の方法においては、貯蔵される乾燥物中の有害虫を死滅させる必要はないため、死滅させる場合に比べ照射する放射線量を軽減することができ、経済的効果もある。 【0013】つまり、本発明の方法においては、上述のように有害虫を死滅させる必要はないため、貯蔵庫内に搬入、貯蔵される乾燥物中には、不妊化された有害虫が生存することとなるが、一般に有害虫の一世代は短いため、繁殖できない場合には自然に死滅するので特に問題となることはなく、逆に不妊化されている有害虫を生きたまま貯蔵庫内へ搬入することにより、貯蔵庫内に予め存在している正常な有害虫との間においても子孫をつくることができず、よって貯蔵庫内全体としての有害虫の数をコントロールすることができるため効果的である。 【0014】前記請求項1に記載の発明においては、請求項2に記載するように、前記乾燥物が農作物であることが好ましい。 【0015】乾燥物の中でも特に農作物は、有害虫の被害を受けることが多く関係者間において大きな問題となっているからである。 【0016】前記請求項1又は請求項2に記載の発明においては、請求項3に記載するように、前記有害虫が昆虫綱または蛛形綱に分類される虫であることが好ましい。 【0017】これらの有害虫は、特に農作物等の乾燥物に大きな被害を与えており、また当該有害虫は、過去の様々な研究により、放射線の照射により不妊化されることが確認されているからである。 【0018】 【発明の実施の形態】以下に本発明の乾燥物貯蔵方法についてさらに具体的に説明する。 【0019】本発明の乾燥物貯蔵方法は、貯蔵する前の乾燥物に、有害虫を不妊化することができる程度の放射線を照射することにより、当該乾燥物内に存在する有害虫を不妊化させて、バイオ農薬として機能させることに特徴を有する。 【0020】有害虫を放射線により不妊化せしめることにより、貯蔵庫内での当該有害虫の繁殖を抑制することができ、当該有害虫を乾燥物に影響がでない程度の数でコントロールすることができる、換言すれば、有害虫が許容数以上に増殖することを防止することができ、バイオ農薬として効力を発揮することができる。 【0021】本発明の貯蔵方法においては、当該方法の対象たる乾燥物を特に限定するものではなく、従来から貯蔵の際に有害虫に被害を受けていた乾燥物の全てについて本発明の貯蔵方法を用いることができる。本発明の方法の対象たる乾燥物としては、例えば、乾燥した穀類や豆類等の農作物や乾燥した魚貝類等の海産物などを挙げることができる。 【0022】その中でも、本発明の貯蔵方法においては、当該乾燥物が農作物であることが好ましい。農作物は、出荷時期の調整や一時的保管、さらには流通過程において食料保存庫や冷蔵室、又は単なる倉庫等に貯蔵される場合が多く、また食品であるが故に有害虫の問題が特に大きいからである。 【0023】また、本発明の貯蔵方法において不妊化せしめる有害虫についても、本発明の方法は特に限定するものではなく、本発明の作用効果を奏し得る有害虫であれば、つまり放射線を浴びることにより不妊化される有害虫であればいかなる有害虫であっても、本発明の方法を適用することが可能である。なお、本発明においては、後述するが、放射線を有害虫にのみ選択的に照射するのではなく、乾燥物全体に照射するため、当該乾燥物中に前記の有害虫が存在する場合には、本発明の作用効果を奏し得ることとなる。 【0024】本発明の貯蔵方法を特に有効に利用できる有害虫としては、昆虫綱や蛛形綱を挙げることができ、更に具体的には、昆虫綱としては、クワコナカイガラムシ、マメハモグリバエ、ミナミキイロアザミウマ、ネギアザミウマ、ハスモンヨトウ、モモアカアブラムシ、イモゾウムシ、ラセンウジバエ、ミカンコミバエ、ウリミバエ等を挙げることができ、蛛形綱としては、ナミハダニ等を挙げることができる。これらの有害虫は、放射線により不妊化されることが実験により立証されており、かつ乾燥物、特に農作物にとって非常に有害な虫だからである。 【0025】ここで、本発明における不妊化とは、放射線の照射により有害虫が子孫を残せなくなること全てをいい、雄雌の別を問わず、例えば、雌が卵自体を産むことができなくなる変化、卵自体を産むことはできるがその卵はふ化しないようになる変化や、雄が受精をできなくなる変化等を挙げることができる。 【0026】次に本発明の方法において用いられる放射線について説明する。 【0027】本発明の方法においては、放射線の種類を特に限定するものではなく、α線やβ線のような粒子線であっても、γ線やX線のような電子線であってもよい。中でもγ線やX線のような電子線は粒子線と比して透過性があるため、乾燥物の内部に存在する有害虫へ照射をすることが容易であり、また乾燥物がダンボールやその他の容器に詰められている場合であっても、当該容器の外側から照射することも可能であるため好ましい。 【0028】また、本発明の方法においては、照射せしめる放射線の量についても特に限定するものではなく、対象となる有害虫が不妊化される程度の放射線の量を任意に決定することができる。この際、過剰な放射線の照射は、乾燥物自体にも影響を与える場合があるため(例えば、乾燥物の味の変化等)、対象となる有害虫に合わせて適当な量を選択して照射することが好ましい。 【0029】例えば、2.5MeVの電子線(X線)を使用して照射する場合には、不妊化させる対象となる有害虫が、ナミハダニ、クワコナカイガラムシ、ミナミキイロアザミウマ、およびネギアザミウマ等の場合には、400Gy程度の放射線の量が必要である。また、対象となる有害虫が、モモアカアブラムシの場合には、200Gy程度の放射線の量が必要である。さらに、対象となる有害虫が、アメハモグリバエやハスモンヨトウの場合には100Gy以下の放射線の量で充分に不妊化することができる。 【0030】次に本発明の方法の使用方法について説明する。 【0031】本発明の方法は、乾燥物を貯蔵する前の段階に放射線を照射することにより、上述のような有害虫を不妊化せしめ、バイオ農薬として効力を発揮することに特徴を有するものである。本発明の方法においては、前記乾燥物に放射線を照射するタイミングについては、乾燥物を貯蔵する前の段階であればいかなるタイミングであってもよく、特に限定するものではなく、乾燥物が貯蔵される場所に搬入される段階で当該乾燥物中に存在している有害虫が不妊化されていればよい。こうすることにより、乾燥物が貯蔵される場所に存在する有害虫は全て不妊化されていることになり、したがって乾燥物とともに有害虫が貯蔵場所内へ搬入された場合であっても、貯蔵中に有害虫が繁殖することはない。また、有害虫は一般的にその一世代は非常に短いため、搬入された有害虫自体は特に問題となることはない。 【0032】また、乾燥物の貯蔵場所が完全な密閉状態になっていない場合には、当該貯蔵場所内へ、外部から有害虫が侵入することが考えられるが、この場合であっても、初めから貯蔵場所に存在している有害虫は全て不妊化されているため、これらとの間においては交配を繰り返しても繁殖することが不可能であり、有害虫が爆発的に繁殖することはない。 【0033】また、本発明においては、乾燥物の搬入の頻度や、貯蔵場所の密閉状態に合わせて、乾燥物の搬入後事後的に放射線を再度照射してもよい。例えば、頻繁に乾燥物が搬入される場合においては、搬入されてくる乾燥物は放射線照射されているので、貯蔵場所内には絶えず不妊化された有害虫が供給されていることになり、したがって有害虫が繁殖することはないが、逆に乾燥物の搬入の頻度が少ない場合には、乾燥物を搬入する際に不妊化された有害虫は全て死滅してしまい、その後に当該貯蔵場所内に有害虫が侵入した場合には、当該有害虫は不妊化されていないため、繁殖してしまうことになる。したがってこのような状況においては、例えば、一定期間が経過したら、貯蔵場所内の乾燥物に再度放射線照射してもよい。このように再度放射線照射することにより、新たに貯蔵場所に侵入した有害虫を不妊化することができるため、貯蔵場所の有害虫の数を継続的にコントロール(つまり、乾燥物に影響を与えない程度の数、最初に存在した数以下に)することができる。 【0034】 【発明の効果】本発明により、食料貯蔵庫等に乾燥物、例えば穀物等を貯蔵している間に有害虫により当該乾燥物が侵されることがないようにすることができる。つまり、本発明の乾燥物貯蔵方法によれば、食料貯蔵庫等に搬入、貯蔵される前の乾燥物に放射線を照射することにより、同時に当該乾燥物中に存在する有害虫に放射線を照射することとなり、放射線を浴びた有害虫は、染色体に異常をきたし不妊化されることとなる。このようにして不妊化された有害虫は、食料貯蔵庫に前記乾燥物と一緒に搬入せしめられることとなるが、当該食料貯蔵庫内において有害虫が交配を繰り返しても繁殖することはない。 【0035】また、本発明の方法においては、貯蔵される乾燥物中の有害虫を死滅させる必要はないため、死滅させる場合に比べ照射する放射線量を軽減することができ、さらに食料貯蔵庫内に新たに有害虫が侵入した場合であっても、当該新たな有害虫と前記乾燥物中に存在しており既に不妊化されている有害虫との間では子孫を残すことができないため、食料貯蔵庫内で爆発的に有害虫が繁殖することはない。
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| 【出願人】 |
【識別番号】595162334 【氏名又は名称】セティカンパニーリミテッド 【識別番号】593141481 【氏名又は名称】エヌケ−ケ−プラント建設株式会社
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| 【出願日】 |
平成13年1月23日(2001.1.23) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100083839 【弁理士】 【氏名又は名称】石川 泰男
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| 【公開番号】 |
特開2002−233233(P2002−233233A) |
| 【公開日】 |
平成14年8月20日(2002.8.20) |
| 【出願番号】 |
特願2001−13993(P2001−13993) |
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