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【発明の名称】 排藁切断装置
【発明者】 【氏名】西浦 雅仁

【氏名】田路 光洋

【要約】 【課題】従来、排藁切断装置には回転刃を有する高速カッター軸と低速カッター軸と、スパイラを有する搬送軸が平行に配置され、排藁切断装置をコンパクト化するには限界があった。

【解決手段】高速カッター軸11と低速カッター軸12を平行に配置し、該高速カッター軸上に複数の高速回転刃21・21・・・を固定し、低速カッター軸上に複数の低速回転13・13・・・を固定して、対向する高速回転刃と低速回転刃の間に排藁を投入して切断する排藁切断装置において、少なくとも一方のカッター軸上にスパイラ23を設け、前記カッター軸方向の回転刃と回転刃の間隔を、スパイラによる搬送方向上流側よりも下流側を狭くした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 高速カッター軸と低速カッター軸を平行に配置し、該高速カッター軸上に複数の高速回転刃を固定し、低速カッター軸上に複数の低速回転刃を固定して、対向する高速回転刃と低速回転刃の間に排藁を投入して切断する排藁切断装置において、少なくとも一方のカッター軸上にスパイラを設けたことを特徴とする排藁切断装置。
【請求項2】 前記カッター軸上の回転刃と回転刃の間隔を、スパイラによる搬送方向上流側よりも下流側を狭くしたことを特徴とする請求項1記載の排藁切断装置。
【請求項3】 前記回転刃近傍のスパイラの羽根端部を、正面視及び側面視で半径方向に対して斜めに形成したことを特徴とする請求項1記載の排藁切断装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンバインの後部に配置したカッター(排藁切断装置)の構成に関し、特に、カッターの性能を維持しつつ、コンパクト化を図る技術に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のコンバインの排藁切断装置は、左右方向に切断用の高速軸と低速軸と、拡散用または排出用のスパイラ軸を平行に設け、該高速軸と低速軸上にそれぞれ円板状の回転刃を一定間隔をあけて配置し、スパイラ軸をその下方に配置して、該スパイラ軸上に螺旋状羽根を配置し、前記高速軸の回転刃と低速軸上の回転刃は先端が側面視で一部重複するように配置し、回転させた高速軸と低速軸の間に排藁を投入することで、回転刃により排藁が切断されるようにしていた。そして、この切断後の排藁はスパイラ軸上に落下して螺旋羽根の回転により圃場面上に拡散され、或いは一側に寄せられるようにした技術が公知となっている。例えば、特開平4−48671号の技術である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の構成であると、高速軸と低速軸とスパイラ軸が平行に配置され、側面視でその軸心が三角形状に配置されるため、コンバインの本体の後部にはある程度の空間が必要となる。また、それぞれ駆動力を必要とするため、各軸の一側方には駆動伝達用のギヤまたはプーリー等が配置されることになり、側面にもこれらを収納するための空間が必要となる。これらの空間はコンバインを小型化しようとする場合に難点となっていたのである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0005】即ち、請求項1においては、高速カッター軸と低速カッター軸を平行に配置し、該高速カッター軸上に複数の高速回転刃を固定し、低速カッター軸上に複数の低速回転刃を固定して、対向する高速回転刃と低速回転刃の間に排藁を投入して切断する排藁切断装置において、少なくとも一方のカッター軸上にスパイラを設けたものである。
【0006】請求項2においては、前記カッター軸上の回転刃と回転刃の間隔を、スパイラによる搬送方向上流側よりも下流側を狭くしたものである。
【0007】請求項3においては、前記回転刃近傍のスパイラの羽根端部を、正面視及び側面視で半径方向に対して斜めに形成したものである。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の解決すべき課題及び手段は以上の如くであり、次に添付の図面に示した本発明の一実施例を説明する。図1は本発明の排藁切断装置の正面図、図2は同じく側面図、図3は高速軸の取付部の分解平面図、図4はスパイラを取り付けた調節管の正面図、図5は同じく側面図、図6は切換カバーの開閉を示す側面図、図7は排藁切断装置の取付位置と排出位置を示すコンバインの平面図である。
【0009】図1、図2において、排藁切断装置1の構成を説明する。排藁切断装置1はコンバインの脱穀装置の後工程側に配置され、通常機体後部に配置される。脱穀後の排藁は排藁チェーン2より排藁切断装置1へ搬送されて切断され、圃場面上に放出される。この機体後部の左右のカッター側板10L・10Rの後部上には切換カバー4の両側に配置した支点軸3・3が枢支され、該支点軸3の一端に操作アームを固定して、運転席近傍に配置した操作レバーを回動することにより切換カバー4を回動して、排藁の切断と非切断を切り換えられるようにしている。
【0010】つまり、図2、図6において、切換カバー4の支点軸3の一側または両側には切換ストッパー31が設けられ、該切換ストッパー31には凹部31a・31bが設けられて、該凹部31a・31bには付勢アーム32のローラー32aが当接可能に配置され、該付勢アーム32はバネ33にて付勢されている。そして、該切換ストッパー31の先端に切換カバー4がノブボルト34により固定されて、該ストッパー31は支点軸3に枢支されている。35は把手である。36はスイッチ等よりなる検知手段であり、該検知手段36は切換ストッパー31に設けて、作業時、非作業時にかかわらず切換ストッパー31と切換カバー4の間に隙間ができると作動してエンジンを停止するようにしている。よって、切換カバー4を後方へ回動する時やメンテナンス等の時にノブボルト34を弛めると検知手段36が作動してエンジンが停止し、安全に作業ができるようにしている。
【0011】このような構成において、図6で示すように、前記切換カバー4を前方へ回動して排藁切断装置1上方を閉じた状態が非切断位置となり、ローラー32aが凹部31aに嵌合してその位置を維持し、排藁は切換カバー4上を後方へ滑り落ち、切断されずに後端から圃場上に落下する。また、切換カバー4を垂直方向に回動すると(4’の位置)、ローラー32aが凹部31bに嵌合した位置で止められてその位置を維持し、排藁切断装置1の上方を開放した状態が切断位置となり、排藁チェーン2で搬送された排藁は後述する高速カッター軸11と低速カッター軸12の間に落下投入されて切断される。そして、ノブボルト34を外すと、切換カバー4は切換ストッパー31は規制されることがなくなり、4”で示すように後方へ回動することが可能となり、排藁切断装置1の上方を完全に開放した状態となり、メンテナンスや清掃等が容易にできるようになるのである。そして、検知手段36がONしてエンジンが停止され、排藁切断装置1の駆動も停止されて安全にメンテナンスができるようにしている。但し、検知手段36は排藁切断装置1の駆動クラッチを切断するように構成することもできる。
【0012】前記左右のカッター側板10L・10Rの間には軸受を介して高速カッター軸11と低速カッター軸12が回転自在に左右水平方向に横架され、低速カッター軸12が高速カッター軸11よりも高い位置で、低速カッター軸12は高速カッター軸11よりも後方(排藁チェーン2から離れる位置)に平行に配置される。ただし、低速カッター軸12が高速カッター軸11よりも高い位置であり、後述する低速回転刃13と高速回転刃21の先端が重複する位置であれば図2の位置に限定するものではない。
【0013】前記左右のカッター側板10L・10Rの間の低速カッター軸12上には複数の円板状の低速回転刃13・13・・・がそれぞれ所定間隔をおいて平行に外嵌され、該低速回転刃13と低速回転刃13の間隔を設定するために、低速回転刃13と低速回転刃13の間の低速カッター軸12上には調節管19・19’・・・が配置されている。この低速回転刃13と低速回転刃13の間隔、つまり、調節管19の長さは、左側の調節管19の長さをL1、右側の調節管19’の長さをL2とするとL1>L2としている。言い換えれば、矢印Aを排出方向としており、排出側程間隔が狭くなるようにしている。なお、本実施例では部品の製作コストを考慮して2種類の長さの調節管19・19’を使用しているが、調節管19を長さが異なる調節管を用いして、排出側が徐々に短くなるように構成することもできる。
【0014】また、低速カッター軸12の一端には排出用の羽根14を固定したパイプ15が固定され、図3に示すように、羽根14上にはネジ孔14a・14a・・・が開口され、外端側のパイプ15外周との間には切欠14bが設けられている。一方、カッター側板10Rに低速カッター軸12の一端を回転自在に支持するための軸受16が設けられ、該軸受16の回転自在側には、前記パイプ15の端部を外嵌する嵌合部16aと、前記羽根14の大きさ及び位置を合わせた羽根16bが設けられ、該羽根16bには前記ネジ孔14aの位置に合わせて長孔16cが設けられ、該長孔16cとネジ孔14aを合わせてボルト20を貫通してナットで締め付けて両者を固定できるようにしている。そして、他側の低速カッター軸12の他端はパイプ17が固定され、該パイプ17はカッター側板10Lに取り付けた軸受18に嵌合できるようにしている。
【0015】このように構成することによって、低速カッター軸12を外す場合、長孔16cとネジ孔14aに貫通したボルト20を外し、低速カッター軸12を右側(軸受16側)へスライドさせることにより、低速カッター軸12左側のパイプ17が軸受18より外れ、低速カッター軸12右側のパイプ15を軸受16の嵌合部16aから抜くことにより低速カッター軸12を取り外すことができる。
【0016】逆に、装着する場合には、低速カッター軸12の右側のパイプ15を軸受16の嵌合部16aに挿入してから、低速カッター軸12左側のパイプ17を軸受18に嵌合し、長孔16cとネジ孔14aの位置を合わせてからボルト20を貫通してナットを締め付けて固定することができる。このようにして低速カッター軸12は簡単に着脱でき、メンテナンスが容易にできるようにしている。なお、ボルト20を弛めることにより、長孔16cの長さだけ低速カッター軸12は摺動でき、この長孔16cにより低速回転刃13と後述する高速回転刃21との間隔を調整できるようにしている。
【0017】そして、前記高速カッター軸11上には複数の高速回転刃21・21・・・が所定間隔をおいて平行に配置され、側面視において、図2に示すように、高速回転刃21と低速回転刃13の外周の一部が重複するように配置し、該高速回転刃21と高速回転刃21の間には調節管22・22’・・・が配置されて前記同様に間隔を設定している。該調節管22・22’の長さは対向する前記低速カッター軸12上に配置した調節管19・19’と同じ長さとして、間隔を合わせるとともに、低速回転刃13と高速回転刃21の隙間も一定となるようにしている。従って、この調節管22の長さも排出側ほど短く構成している。そして、排藁は図1において、左側を穂先側、右側を株元側に設定しており、排藁の切断長は、穂先側が長く、株元側は短くなるようにしている。
【0018】そして、前記調節管22・22’・・・の外周上にはそれぞれスパイラ(螺旋羽根)23・23’・・・が固定され、高速カッター軸11の回転により切断藁を排出側へ搬送するようにしている。スパイラ23・23’の左右中央の半径方向の長さは、高速回転刃21の半径方向の長さよりも長くしている。
【0019】そして、該スパイラ23(23’)は図4、図5に示すように、高速回転刃21近傍に位置する両側の羽根端部23a・23bを斜めにカットしている。つまり、スパイラ23を軸心方向に対して直角な面で切断すると、図4、図5の二点鎖線で示すように、羽根端部は半径方向に向き、高速回転刃21の側部に位置して切断の邪魔となったり、取り込みが悪くなり切断及び搬送の効率を低下させたり、詰まりの原因となったりしていた。そこで、スパイラ23の端面が調節管22の外周面に交わるときの角度が半径方向ではなく側面視及び正面視において斜め方向となるように形成している。但し、スパイラ23・23’の半径方向の長さを施釉中央部から徐々に短くして両端において調節管22・22’の外周と一致するようにすることもできる。
【0020】このように構成することによって、搬送上流側のスパイラ23の羽根端部23aと低速回転刃13の間にV字状の空間を形成することができ、排藁をこの空間に取り込み易くなり、確実に切断が行なえる。また、搬送下流側の羽根端部23bと高速回転刃21の間にV字状の空間を形成するので、詰まりを生じることがないのである。但し、スパイラ23・23’は低速カッター軸12上に配置することも可能である。また、低速回転刃13と高速回転刃21の左右位置は逆に配置することもできる。そして、高速カッター軸11の排出側に排出羽根24を固定し、該排出羽根24下方を排出口8としている。そして、図2に示すように、排出口8以外のスパイラ23先端の下部外周と低速回転刃13の下方をケーシング27によって覆っている。
【0021】そして、前記カッター側板10Rの外側の高速カッター軸11端部に入力スプロケット(またはプーリ)30を固定して、チェーン(またはベルト)を介して駆動源(エンジン)から動力が伝達されるようにしている。そして、他側のカッター側板10L外側の高速カッター軸11及び低速カッター軸12上にそれぞれギヤ25・26が固設されて、互いに噛合するように配置されて高速カッター軸11と低速カッター軸12が矢印で示すように、互いに反対方向に回転するように構成している。
【0022】このような構成において、入力スプロケット30にエンジンからの動力を伝達して、高速カッター軸11を回転駆動し、同時に、該高速カッター軸11からギヤ25・26を介して低速カッター軸12を駆動する。この高速カッター軸11と低速カッター軸12の回転により、高速回転刃21・21・・・と低速回転刃13・13・・・が回転され、排藁チェーン2によって搬送された排藁が高速カッター軸11と低速カッター軸12の間に落下し、高速回転刃21・21・・・と低速回転刃13・13・・・により切断される。この排藁の切断長さは搬送方向上流側が長く、下流側の排出口8側が短く切断される。
【0023】そして、切断された排藁は高速回転刃21の外径より大きくしたスパイラ23・23・・・の回転によりケーシング27に沿って排出口8側へ搬送される。この搬送時において、切断長の長い排藁が排出口8に至る途中で再度切断されることになり、更に短く切断され、排出口8側の短く切断された排藁の長さと殆ど変わらなくなる。こうして、従来の回転刃の数に比べて本発明では回転刃の数を減少することができるのである。そして、排藁が排出口8に至ると、羽根14・16b及び排出羽根24の回転により圃場へ排出されるのである。
【0024】上記の排藁切断装置1では、図7に示すように、コンバイン5の機体後部に配置され、排出口8は左側となっいるが、脱穀装置の扱胴の方向または排藁チェーンの排出方向を変更することで、排藁切断装置1を1’の如く機体右側に配置することもできる。また、前記スパイラ23・23’の巻き方向を前記と逆にすることで、左右反対方向に排出するように構成することができ、排出口8’の如く右側にすることもできる。また、1”の如く、左側に排藁切断装置を装着することもできる。また、カッター軸上におけるスパイラ23・23’の巻き方向を左右反対方向とすることにより、8”の如く中央に排出するように構成することもでき、両側に排出するように構成することもできる。
【0025】
【発明の効果】本発明は、以上のように構成したことにより、次のような効果が得られる。即ち、請求項1に示す如く、高速カッター軸と低速カッター軸を平行に配置し、該高速カッター軸上に複数の高速回転刃を固定し、低速カッター軸上に複数の低速回転刃を固定して、対向する高速回転刃と低速回転刃の間に排藁を投入して切断する排藁切断装置において、少なくとも一方のカッター軸上にスパイラを設けたので、排藁の切断と切断藁の搬送を同時に行なうことが可能となり、搬送用のスパイラを設けた軸を省くことができ、排藁切断装置をコンパクトに構成することができる。
【0026】また、請求項2に示す如く、前記カッター軸上の回転刃と回転刃の間隔を、スパイラによる搬送方向上流側よりも下流側を狭くしたので、上流側で切断された排藁は下流側への搬送途中で再度切断されることになり、排出口に至ると略均一の切断長となる。よって、従来のように等間隔で回転刃を配置する構成に比べて、回転刃の数を減少でき、コスト低減化を図ることができる。
【0027】また、請求項3に示す如く、前記回転刃近傍のスパイラの羽根端部を、正面視及び側面視で半径方向に対して斜めに形成したので、回転刃とスパイラの間に切断されて搬送された排藁が詰まることがなく、スパイラが排藁の切断を邪魔することもなく、確実に排藁を切断できるようになる。また、排藁を回転刃側に取り込み易くなり、確実に排藁を切断できるようになる。
【出願人】 【識別番号】391025914
【氏名又は名称】八鹿鉄工株式会社
【出願日】 平成13年2月8日(2001.2.8)
【代理人】 【識別番号】100080621
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 寿一郎
【公開番号】 特開2002−233232(P2002−233232A)
【公開日】 平成14年8月20日(2002.8.20)
【出願番号】 特願2001−32924(P2001−32924)