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【発明の名称】 脱穀装置
【発明者】 【氏名】川畑 豊和

【要約】 【課題】より一層の小型化や製造コストの削減を図りながら選別精度の向上を図れる脱穀装置を提供する。

【解決手段】扱室18内の受網20上に搬送された刈取穀稈に対して脱穀処理を施す扱胴19を、脱穀処理後の処理物に対して選別処理を施す揺動選別機構21の選別方向上手側上方箇所に、揺動選別機構21の選別方向と直交する軸心P1周りに回転する姿勢で配設し、扱室18の穀稈搬送方向下手側端部に、受網20から漏下しなかった処理物の揺動選別機構21側への放出を可能にする送塵口23を形成し、揺動選別機構21の選別方向上手側下方箇所に、揺動選別機構21に向けて流動する選別風を生起する唐箕24を配備し、送塵口23の対向箇所に、送塵口23から放出された処理物を、扱室18の穀稈搬送方向上手側に相当する揺動選別機構21の一端側に向けて案内する案内板31を配備した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 フィードチェーンにより扱室内の受網上に搬送された刈取穀稈に対して脱穀処理を施す扱胴を、脱穀処理後の処理物に対して選別処理を施す揺動選別機構の選別方向上手側上方箇所に、該揺動選別機構の選別方向と直交する軸心周りに回転する姿勢で配設するとともに、前記扱室の穀稈搬送方向下手側端部に、前記受網から漏下しなかった処理物の前記揺動選別機構側への放出を可能にする送塵口を形成し、前記揺動選別機構の選別方向上手側下方箇所に、前記揺動選別機構に向けて流動する選別風を生起する唐箕を配備してある脱穀装置であって、前記送塵口の対向箇所に、前記送塵口から放出された処理物を、前記扱室の穀稈搬送方向上手側に相当する前記揺動選別機構の一端側に向けて案内する案内板を配備してある脱穀装置。
【請求項2】 前記送塵口の対向箇所に、前記送塵口から放出される処理物が衝突することによる該処理物の拡散を可能にする拡散板を配備してある請求項1記載の脱穀装置。
【請求項3】 前記扱室の穀稈搬送方向上手側に相当する前記揺動選別機構の一端側への前記処理物の流動を規制する規制板を設けてある請求項1又は2記載の脱穀装置。
【請求項4】 前記規制板を、その下端側ほど前記扱室の穀稈搬送方向下手側に位置する傾斜姿勢に設定してある請求項3記載の脱穀装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フィードチェーンにより扱室内の受網上に搬送された刈取穀稈に対して脱穀処理を施す扱胴を、脱穀処理後の処理物に対して選別処理を施す揺動選別機構の選別方向上手側上方箇所に、該揺動選別機構の選別方向と直交する軸心周りに回転する姿勢で配設するとともに、前記扱室の穀稈搬送方向下手側端部に、前記受網から漏下しなかった処理物の前記揺動選別機構への放出を可能にする送塵口を形成してある脱穀装置に関する。
【0002】
【従来の技術】上記のような脱穀装置は、ハーベスタに搭載される比較的小型で安価に構成されたものであり、従来、このような脱穀装置においては、特開平8−103146号公報で開示されているように、揺動選別機構の選別方向上手側下方箇所に唐箕を装備するとともに、扱室の穀稈搬送方向上手側端部に吸引ブロワを配設し、唐箕により生起される選別風によって、揺動選別機構上の処理物のうちの比重の軽いワラ屑などの揺動選別機構の下方に配設された回収部への流下を防止する風選別処理に加えて、吸引ブロワにより生起される渦流風によって、扱室の穀稈搬送方向下手側端部に形成された送塵口から放出された処理物を、扱室の穀稈搬送方向上手側端部に配設された吸引ブロワに向けて流動させながら、その処理物のうちの比重の重い穀粒は、その自重により失速させて流動途中で落下させることで揺動選別機構上に拡散させ、比重の軽いワラ屑などは吸引ブロワに吸引させて機外に排出し、ワラ屑などよりも比重が重く穀粒よりは比重の軽い粃は、吸引ブロワよりも低い位置に形成された排出口まで浮上させて機外に排出する渦流選別処理を施すことで、選別精度の向上を図るようにしていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで近年では、このような脱穀装置を山間地などの圃場で使用される小型機種のコンバインなどに搭載して、コンバインの小型化や製造コストの削減を図ることが考えられているのであるが、この脱穀装置においては選別精度の向上を図るために、吸引ブロワ、吸引ブロワの配設空間、及び、渦流選別空間を要することから、より一層の小型化や製造コストの削減を図る上において改善の余地があった。
【0004】本発明の目的は、より一層の小型化や製造コストの削減を図りながら選別精度の向上を図れる脱穀装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】〔構成〕上記目的を達成するため、本発明のうちの請求項1記載の発明では、フィードチェーンにより扱室内の受網上に搬送された刈取穀稈に対して脱穀処理を施す扱胴を、脱穀処理後の処理物に対して選別処理を施す揺動選別機構の選別方向上手側上方箇所に、該揺動選別機構の選別方向と直交する軸心周りに回転する姿勢で配設するとともに、前記扱室の穀稈搬送方向下手側端部に、前記受網から漏下しなかった処理物の前記揺動選別機構側への放出を可能にする送塵口を形成し、前記揺動選別機構の選別方向上手側下方箇所に、前記揺動選別機構に向けて流動する選別風を生起する唐箕を配備してある脱穀装置において、前記送塵口の対向箇所に、前記送塵口から放出された処理物を、前記扱室の穀稈搬送方向上手側に相当する前記揺動選別機構の一端側に向けて案内する案内板を配備した。
【0006】〔作用〕上記請求項1記載の発明によると、送塵口から放出された処理物は、案内板の案内により扱室の穀稈搬送方向下手側に相当する揺動選別機構の他端側から扱室の穀稈搬送方向上手側に相当する揺動選別機構の一端側に向けて流動することで、揺動選別機構の選別方向と直交する方向に拡散された状態になることから、唐箕により生起された選別風が送塵口から放出された処理物に対して効果的に作用するようになり、これによって、その処理物のうちの比重の軽いワラ屑や粃などの排除が行い易くなり、ワラ屑や粃などに紛れて穀粒が排出される穀粒ロスの発生を抑制できるようになる。
【0007】又、比重の重い穀粒は、その自重により失速して揺動選別機構の選別方向と直交する方向に拡散された状態で揺動選別機構上や二番回収部に落下するようになることから、揺動選別機構による選別処理や二番回収部による回収処理も行い易くなり、これによって、送塵口から放出された処理物が、そのまま扱室の穀稈搬送方向下手側に相当する揺動選別機構の他端側や二番回収部の他端側に集中放出される場合に比較して、選別精度、選別効率、及び回収効率などの向上を図れるようになる。
【0008】つまり、渦流選別を行わなくても選別精度や作業効率の向上を図ることができるのであり、これによって、渦流選別を行う上で必要となっていた吸引ブロワや渦流選別空間などを不要にすることができるようになる。
【0009】〔効果〕従って、より一層の小型化や製造コストの削減を図りながらも選別精度や作業効率の向上を図ることのできる脱穀装置を提供し得るようになった。
【0010】〔構成〕本発明のうちの請求項2記載の発明では、上記請求項1記載の発明において、前記送塵口の対向箇所に、前記送塵口から放出される処理物が衝突することによる該処理物の拡散を可能にする拡散板を配備した。
【0011】〔作用〕上記請求項2記載の発明によると、送塵口から放出された処理物は、拡散板に衝突することで放射状に拡散された状態になることから、唐箕により生起された選別風が送塵口から放出された処理物に対してより効果的に作用するようになり、これによって、その処理物のうちの比重の軽いワラ屑や粃などの排除が更に行い易くなり、ワラ屑や粃などに紛れて穀粒が排出される穀粒ロスの発生をより効果的に抑制できるようになる。
【0012】又、比重の重い穀粒は、その自重により失速して放射状に拡散された状態で揺動選別機構上に落下するようになることから、揺動選別機構による選別処理がより一層行い易くなり、これによって、選別精度や選別効率の向上を更に図れるようになる。
【0013】〔効果〕従って、拡散板を付加するだけの簡単な改良を施すことで選別精度や選別効率の向上を更に図れるようになった。
【0014】〔構成〕本発明のうちの請求項3記載の発明では、上記請求項1又は2記載の発明において、前記扱室の穀稈搬送方向上手側に相当する前記揺動選別機構の一端側への前記処理物の流動を規制する規制板を設けた。
【0015】〔作用〕上記請求項3記載の発明によると、送塵口から揺動選別機構の一端側への処理物の流動過多が規制板によって抑制されることから、その流動過多によって、唐箕からの選別風が処理物に対して有効に作用しなくなる、あるいは、処理物が揺動選別機構の一端側に片寄って供給されることに起因した選別精度や選別効率の低下を回避できるようになる。
【0016】〔効果〕従って、送塵口から揺動選別機構の一端側への処理物の流動過多に起因した選別精度や選別効率の低下を防止できるようになった。
【0017】〔構成〕本発明のうちの請求項4記載の発明では、上記請求項3記載の発明において、前記規制板を、その下端側ほど前記扱室の穀稈搬送方向下手側に位置する傾斜姿勢に設定した。
【0018】〔作用〕上記請求項4記載の発明によると、規制板によって、送塵口から揺動選別機構の一端側への処理物の流動過多が抑制される上に、送塵口から揺動選別機構の一端側に向けて流動する処理物の一部が揺動選別機構の他端側に還元されるようになり、これによって、揺動選別機構の選別方向と直交する方向に処理物がより均等に拡散されるようになることから、唐箕により生起された選別風が送塵口から放出された処理物に対してより一層効果的に作用するようになる。
【0019】これによって、その処理物のうちの比重の軽いワラ屑や粃などの排除がより一層行い易くなり、ワラ屑や粃などに紛れて穀粒が排出される穀粒ロスの発生を更に抑制できるようになる。
【0020】又、比重の重い穀粒は、より均等に拡散された状態で揺動選別機構上に落下するようになることから、揺動選別機構による選別処理が更に行い易くなり、これによって、より一層の選別精度や選別効率の向上を図れるようになる。
【0021】〔効果〕従って、より一層の選別精度や選別効率の向上を図れるようになった。
【0022】
【発明の実施の形態】図1には自脱形コンバインの全体側面が、図2にはその全体平面がそれぞれ示されており、このコンバインは、左右一対のクローラ式走行装置1を備えた走行機体2の前部左側に、刈取搬送部3を左右向きの軸心周りに昇降揺動可能に連結し、走行機体2の前部右側に操縦レバー4や運転座席5などを備えた搭乗運転部6を形成し、走行機体2における刈取搬送部3と搭乗運転部6の後方箇所に、刈取搬送部3からの刈取穀稈が供給される脱穀装置7を搭載し、走行機体2における脱穀装置7の左後方箇所に、脱穀装置7からの排ワラを松葉状に二つ折りにして細断するシリンダカッター形式の排ワラ切断装置8を装備し、走行機体2における脱穀装置7の右後方箇所に、脱穀装置7から揚送コンベヤ9を介して搬送される穀粒を籾袋10に詰め込む袋詰め装置11を配設して構成されている。
【0023】刈取搬送部3は、走行機体2に支持された刈取フレーム12に、倒伏した植立穀稈をすくい上げる3つのデバイダ13、倒伏した植立穀稈をすき起こす左右の引起装置14、植立穀稈の株元側を切断するバリカン形の刈取装置15、及び、刈取穀稈を後方に向けて搬送しながら縦向き姿勢から株元側が機体左方に位置する横向き姿勢に姿勢変更する搬送装置16、などを備えて2条分の刈り取り搬送を行うように構成されている。
【0024】図3及び図4に示すように、脱穀装置7は、その左外側部に配設されたフィードチェーン17が、搬送装置16により搬送された刈取穀稈の株元側を挟持して後方に向けて搬送し、その左上部に形成された扱室18内に装備された扱胴19が、その下方にその下半部に沿って湾曲する状態で配設された受網20と扱胴19との間にフィードチェーン17の搬送によって案内された刈取穀稈の穂先側に対して、前後向きの軸心P1周りに回転することで脱穀処理を施し、受網20の下方から機体右側部に向かう状態で配備された揺動選別機構21が、前後向きの駆動軸22の回転で左右方向に揺動駆動されることで、受網20から漏下した脱穀処理後の処理物や、受網20から漏下せずに扱室18の穀稈搬送方向下手側端部に形成された送塵口23から放出された脱穀処理後の処理物に対して篩い選別処理を施し、揺動選別機構21の選別方向上手側下方箇所に配備された唐箕24が、前後向きの軸心P2周りに回転して右上方に向けて流動する選別風を生起することで、揺動選別機構21上の処理物や送塵口23から放出された処理物に対して風選別処理を施し、揺動選別機構21の下方における選別方向上手側に形成された一番回収部25の一番スクリュー26が前後向きの軸心P3周りに回転することで、揺動選別機構21から漏下して一番回収部25に回収された一番物としての穀粒を揚送コンベヤ9に向けて搬送し、揺動選別機構21の下方における選別方向下手側に形成された二番回収部27の二番スクリュー28が前後向きの軸心P4周りに回転することで、揺動選別機構21から漏下せずに揺動選別機構21の後端から排出されて二番回収部に回収された二番物としての穀粒と切れワラなどとの混在物や、送塵口23から放出されることで二番回収部に回収された二番物としての処理物をスロワ式の二番還元搬送機構29に向けて搬送し、二番還元搬送機構29のスロワ羽根30が二番スクリュー28と一体回転することで、二番物を受網20上に還元して再処理するように構成されている。
【0025】図3〜5に示すように、扱室18の穀稈搬送方向下手側に形成された送塵口23の対向箇所には、送塵口23から放出された処理物を扱室18の穀稈搬送方向上手側に相当する揺動選別機構21の一端側(脱穀装置7における機体前部側)に向けて案内する案内板31と、送塵口23から放出された処理物が衝突する拡散板32とが配設され、拡散板32における機体前後方向の略中間位置には、案内板31により案内される処理物の揺動選別機構21の一端側への流動を規制する規制板33が、その下端側ほど扱室18の穀稈搬送方向下手側に相当する揺動選別機構21の他端側(脱穀装置7における機体後部側)に位置する傾斜姿勢で装備されている。
【0026】これによって、送塵口23から放出された処理物のうち、案内板31によって流動案内される処理物は、扱室18の穀稈搬送方向下手側に相当する揺動選別機構21の他端側から扱室18の穀稈搬送方向上手側に相当する揺動選別機構21の一端側に向けて、その一端側への流動過多が抑制されるとともに、一部が揺動選別機構21の他端側に還元される状態で流動するようになることから、揺動選別機構21の選別方向と直交する方向に均等に拡散された状態となり、又、拡散板32に衝突する処理物は、その衝突によって放射状に拡散された状態になることから、唐箕24により生起された選別風が送塵口23から放出された処理物に対して効果的に作用するようになり、その結果、その処理物のうちの比重の軽いワラ屑や粃などを、脱穀装置7の右側壁に形成された排出口34から円滑に排出させることができるようになる。
【0027】又、比重の重い穀粒は、その自重により失速して揺動選別機構21の選別方向と直交する方向に均等に拡散された状態で揺動選別機構21上や二番回収部27に落下するようになることから、揺動選別機構21による選別処理や二番回収部27による回収処理が行い易くなり、これによって、選別精度、選別効率、及び回収効率などの向上を図れるようになっている。
【0028】〔別実施形態〕以下、本発明の別実施形態を列記する。
(1)上記の実施形態では、脱穀装置7を自脱形コンバインに搭載したものを例示したが、歩行形コンバインやハーベスタに搭載するようにしてもよい。
(2)脱穀装置7としては、案内板31のみが装備されたものや、案内板31と拡散板32、又は、案内板31と規制板33とが装備されたものであってもよい。
(3)案内板31、拡散板32、及び規制板33の寸法や配置関係などは種々の変更が可能なものであり、又、規制板33を垂直姿勢で装備するようにしてもよい。
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成13年1月18日(2001.1.18)
【代理人】 【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
【公開番号】 特開2002−209425(P2002−209425A)
【公開日】 平成14年7月30日(2002.7.30)
【出願番号】 特願2001−9690(P2001−9690)