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【発明の名称】 コンバインの運転部構造
【発明者】 【氏名】稲田 俊寛

【氏名】尾崎 徳宗

【氏名】大谷 利克

【氏名】竹中 満

【要約】 【課題】コンバインの運転部構造において、キャビン及びドアを備えた場合、ドアの上部及び下部での開放範囲を大きなものに設定する。

【解決手段】キャビン17におけるボンネット6と操縦部8との間に配置されたドア21を、ボンネット21の上方のヒンジ部23の縦軸芯P1周りに開閉自在に支持する。操縦部8の上部よりも操縦部8の下部が前方に出るように操縦部8を形成し、ドア21の閉位置においてドア21の下部前端21aが操縦部8の横側部に沿うように、ドア21の上部前端21bよりもドア21の下部前端21aを前方に出している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 機体の右又は左横側部に配置されたボンネットの上部に運転座席を備え、上部に計器部を備えた操縦部を前記ボンネットの前方に備えて、運転部を構成すると共に、前記運転部を覆うキャビンを備え、前記キャビンにおける前記ボンネットと操縦部との間に配置されたドアを、前記ボンネットの上方のヒンジ部の縦軸芯周りに開閉自在に支持して、前記操縦部の上部よりも操縦部の下部が前方に出るように前記操縦部を形成し、前記ドアの閉位置において前記ドアの下部前端が前記操縦部の横側部に沿うように、前記ドアの上部前端よりもドアの下部前端を前方に出してあるコンバインの運転部構造。
【請求項2】 機体の右又は左横側部に配置されたボンネットの上部に運転座席を備え、上部に計器部を備えた操縦部を前記ボンネットの前方に備えて、運転部を構成すると共に、前記運転部を覆うキャビンを備え、前記キャビンにおける前記ボンネットと操縦部との間に配置されたドアを、前記ボンネットの上方のヒンジ部の縦軸芯周りに開閉自在に支持して、前記操縦部の上部よりも操縦部の下部が前方に出るように前記操縦部を形成し、且つ、前記運転部の左右中央側に入り込む切欠部を前記操縦部の横側部に備えて、前記ドアの閉位置において前記ドアの下部前端が前記操縦部の横側部及び切欠部に沿うように、前記ドアの上部前端よりもドアの下部前端を前方に出し、且つ、前記運転部の左右中央側に出してあるコンバインの運転部構造。
【請求項3】 前記ドアの下部に窓部を備え、前記窓部の縁部が前記ドアの下部前端に近接するように前記窓部を延出してある請求項1又は2に記載のコンバインの運転部構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンバインにおける運転部の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】コンバインにおいては、機体の右又は左横側部にボンネットを配置して、ボンネットの上部に運転座席を備え、上部に計器パネルを備えた操縦部をボンネットの前方に備えて、運転部を構成したものが多くある。この場合、近年では例えば特開平10−80226号公報に開示されているように、運転部を覆うキャビンを備えたものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】コンバインにおいて前述のように運転部をキャビンで覆うと、キャビンにおけるボンネットと操縦部との間にドアを配置する必要がある。前述の特開平10−80226号公報に記載された構造では、ドアの前端部に備えられたヒンジ部によりドアの後部が開放されるように構成されている。
【0004】前述の特開平10−80226号公報のような比較的大型のコンバインに対して、比較的小型のコンバインではボンネットと操縦部とが比較的接近したものになる。この場合、前述の特開平10−80226号公報に記載された構造のように、ドアの前端に備えられたヒンジ部によりドアの後部が開放されるように構成すると、ボンネットの上方の範囲でドアの上部を後方に延出し、ドアの上部での横幅を大きなものにして、ドアの上部での開放範囲を大きなものに設定できる。これに対して、ドアの下部はボンネットを横側部前端を越えて後方に延出することはできないので、ドアの下部での横幅を大きなものにできず、ドアの下部での開放範囲を大きなものに設定することが困難である。本発明はコンバインの運転部構造において、キャビン及びドアを備えた場合、ドアの上部及び下部での開放範囲を大きなものに設定することができるように構成することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】[I]機体の右又は左横側部に配置されたボンネットの上部に運転座席を備え、上部に計器部を備えた操縦部をボンネットの前方に備えて運転部を構成し、運転部を覆うキャビンを備えて、キャビンにおけるボンネットと操縦部との間にドアを備えた場合、請求項1(請求項2)の特徴によると、ドアの前端部にヒンジ部を備えるのではなく、ボンネットの上方のヒンジ部の縦軸芯周りに、ドアを開閉自在に支持して、ドアの前部が開放されるように構成しているので、ドアの前端部を直線状に形成しなくても支障なくドアの開閉が行える。
【0006】これにより、請求項1の特徴のように、操縦部の上部よりも操縦部の下部が前方に出るように操縦部を形成し、ドアの閉位置においてドアの下部前端が操縦部の横側部に沿うように、ドアの上部前端よりもドアの下部前端を前方に出すことにより、ボンネットと操縦部の上部とが比較的接近したものになっていても、ドアの下部での横幅を大きなものにして、ドアの下部での開放範囲を大きなものに設定することが可能になる。
【0007】請求項2の特徴のように、操縦部の上部よりも操縦部の下部が前方に出るように操縦部を形成し、且つ運転部の左右中央側に入り込む切欠部を操縦部の横側部に備えて、ドアの閉位置においてドアの下部前端が操縦部の横側部及び切欠部に沿うように、ドアの上部前端よりもドアの下部前端を前方に出し、且つ運転部の左右中央側に出すことにより、ボンネットと操縦部の上部とが比較的接近したものになっていても、ドアの下部での横幅をさらに大きなものにして、ドアの下部での開放範囲をさらに大きなものに設定することが可能になる。
【0008】[II]請求項1(請求項2)の特徴によると、ボンネットの上方のヒンジ部の縦軸芯周りにドアを開閉自在に支持しており、ボンネットの上方の範囲でドアの上部を後方に延出した状態(ヒンジ部の位置を後方に移動させた状態)となっているので、ドアの上部での横幅を大きなものにして、ドアの上部での開放範囲を大きなものに設定することが可能になる。
【0009】[III]コンバインにおいては、操縦部の上部に計器部(例えばエンジンの回転数を表示する回転計や燃料の残量を表示する燃料計)を備えることが多く、機体の操向操作を行う操作レバーや操縦ハンドルを備えることもある。
【0010】この場合、操縦部の全体をボンネット(運転座席)から前方に遠く離すと、ボンネット(運転座席)から操縦部の上部(計器部)が不適切に離れてしまう。請求項1(請求項2)の特徴によると、操縦部の上部よりも操縦部の下部が前方に出るように操縦部を形成しているので、ボンネット(運転座席)と操縦部の上部との距離が不適切なものにならない。
【0011】[IV]請求項3の特徴によると、請求項1又は2の場合と同様に前項[I]〜[III]に記載の「作用」を備えており、これに加えて以下のような「作用」を備えている。前項[I]〜[III]に記載のように、運転部を覆うキャビンを備えて、キャビンにおけるボンネットと操縦部との間にドアを備えた場合、運転座席に着座した運転者にとっての下方の視界を確保する為に、ドアの下部に窓部を備えることがある。この場合、請求項3の特徴によると、ドアの下部に窓部を備え、窓部の縁部がドアの下部前端に近接するように窓部を延出している。
【0012】これにより、請求項3の特徴によると、ドアの下部と同様に窓部の横幅を大きなものにすることができるのであり、窓部の縁部を操縦部の横側部(操縦部の横側部及び切欠部)に近接するように前方に延出した状態となっているので、運転座席に着座した運転者にとって、窓部を通しての下方及び下方前方の視界を広いものにすることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】図1に示すように、右及び左のクローラ走行装置1で支持された機体の前方に刈取部2が昇降駆動自在に支持されて、機体の後部の左横側部に脱穀装置3、機体の後部の右横側部にグレンタンク4が備えられて、コンバインが構成されている。
【0014】図1及び図2に示すように、機体の前部の右横側部にエンジン5が配置され、エンジン5を覆うボンネット6が備えられており、ボンネット6の上部に運転座席7が備えられている。ボンネット6の前方に操縦部8が備えられており、ボンネット6と操縦部8との間の下部にフロア9が配置されて、ボンネット6と操縦部8との間で運転部12が構成されている。
【0015】図1及び図2に示すように、操縦部8は樹脂により中空状にブロー成型されて構成されており、操縦部8が側面視でく字状に折り曲げられて、操縦部8の上部よりも操縦部8の下部が前方に出るように構成されている。操縦部8の上部の左右中央に計器パネル10が備えられている。計器パネル10に、エンジン5の回転数を表示する回転計、燃料の残量を表示する燃料計、現在のエンジン5の回転数でのエンジン5に掛かる負荷を表示する負荷モニタランプ、及び液晶パネルが備えられており、液晶パネルでは脱穀装置3での脱穀状態、グレンタンク4の充填状態、エンジン5の回転数、機体の走行速度等の各種の表示、脱穀クラッチや刈取クラッチ等の各種の操作の指示、各部の異常の表示等が行われる。
【0016】図2に示すように、操縦部8の上部の右側部に、操作レバー11が備えられ、運転座席7に着座した運転者が右手を載せる手載せ部13が備えられている。操作レバー11は前後及び左右方向に操作自在に構成されており、運転座席7に着座した運転者が手載せ部13に右手(手首付近)を載せながら操作レバー11を持つ。操作レバー11を前方に操作すると刈取部2が下降駆動され、操作レバー11を後方に操作すると刈取部2が上昇駆動される。操作レバー11を右方に操作すると機体が右に旋回し、操作レバー11を左方に操作すると機体が左に旋回する。
【0017】図2に示すように、操縦部8の左側部とボンネット6の左側部とに亘って配置された横操縦部14に、走行用で前進側及び後進側に変速自在な静油圧式無段変速装置(図示せず)を操作する変速レバー15、及びクラッチレバー16が備えられている。刈取部2に動力を伝達する刈取クラッチ(図示せず)及び脱穀装置3に動力を伝達する脱穀クラッチ(図示せず)が備えられており、刈取及び脱穀クラッチが切り操作される第1位置、刈取クラッチが切り操作されて脱穀クラッチが入り操作される第2位置、刈取及び脱穀クラッチが入り操作される第3位置に、クラッチレバー16を操作することができる。
【0018】図1,2,3に示すように、運転部12を覆うキャビン17がボンネット6、操縦部8、及び横操縦部14に亘って取り付けられている。キャビン17は、操縦部8の上方に配置されたフロントガラス18、横操縦部14の上方に配置されたサイドガラス(図示せず)、ボンネット6の右及び左側部の上方に配置されてサイドガラス19aを備えた右及び左の横壁部19、ボンネット6の後側部の上方に配置されたリヤガラス20、ドア21及び天井部22を備えて構成されている。
【0019】図2,3,4に示すように、ボンネット6の右側部の上方において、右の横壁部19の前端部にヒンジ部23が備えられ、ヒンジ部23の縦軸芯P1周りに,ドア21(上部後端21d)が開閉自在に支持されている。ドア21の下部前端21aがドア21の上部前端21bよりも前方に出ており、ドア21の閉位置において(図3参照)、ドア21の下部前端21aが操縦部8の横側部に沿っており、ドア21の上部前端21bがフロントガラス18の横側部に沿っている。ドア21の下部後端21cがドア21の上部後端21dよりも前方に出ており、ドア21の閉位置において(図3参照)、ドア21の下部後端21cがボンネット6の右側部の前部に沿っており、ドア21の上部後端21dが右の横壁部19に沿っている。
【0020】図3及び図4に示すように、ドア21の上部に長方形状のサイドガラス24が備えられている。ドア21の下部に長方形状のサイドガラス25が備えられており、サイドガラス25の縁部がドア21の下部前端21aに近接するように、サイドガラス25が前方に延出されている。ドア21の前側においてフロントガラス18の横側部に、乗降時に運転者が持つ為の把手28が備えられている。
【0021】[発明の実施の第1別形態]前述の[発明の実施の形態]に代えて、図5及び図6に示すように構成してもよい。図5及び図6に示すように、操縦部8の上部よりも操縦部8の下部が前方に出るように操縦部8が形成され、運転部12の左右中央側(図6の紙面右方)に入り込む切欠部8aが操縦部8の横側部に備えられている。ドア21の閉位置において、ドア21の下部前端21aが操縦部8の横側部及び切欠部8aに沿うように(入り込むように)、ドア21の上部前端21bよりもドア21の下部前端21aが前方に出ており、ドア21の下部前端21aが運転部12の左右中央側(図6の紙面右方)に出ている。これにより、ドア21を縦軸芯P1周りに開き操作した場合、ドア21の下部での開放範囲(ドア21の下部前端21aの付近及び操縦部8の切欠部8aの付近)の開放範囲が、前述の[発明の実施の形態]に示す状態よりも大きなものになる。
【0022】[発明の実施の第2別形態]前述の[発明の実施の形態]及び[発明の実施の第1別形態]において、図7に示すような構造を追加してもよい。図7に示すように、キャビン17において右の横壁部19の前端部から、右の横壁部19に沿って後方にヒンジ部26を延出し、ドア21の上部後端21dからヒンジ部27を延出して、ヒンジ部26の縦軸芯P1周りにドア21(ヒンジ部27)を開閉自在に支持するように構成する。本発明は、機体の前部の左横側部にエンジン5、運転部12及びキャビン17を配置したコンバインにも適用できる。
【0023】
【発明の効果】請求項1(請求項2)の特徴によると、コンバインの運転部構造において、キャビン及びドアを備えた場合に、ドアの下部及び上部での横幅を大きなものにして、ドアの下部及び上部での開放範囲を大きなものに設定することが可能になって、乗降性を良いものにすることができた。請求項1(請求項2)の特徴によると、操縦部の上部よりも操縦部の下部が前方に出るように操縦部を形成しており、ボンネット(運転座席)と操縦部の上部との距離が不適切なものにならないので、操縦性の低下を伴うものではない。
【0024】請求項3の特徴によると、請求項1又は2の場合と同様に前述の請求項1又は2の「発明の効果」を備えており、この「発明の効果」に加えて以下のような「発明の効果」を備えている。請求項3の特徴によると、ドアの下部に窓部を備えた場合、窓部の横幅を大きなものにして、窓部の縁部を操縦部の横側部(操縦部の横側部及び切欠部)に近接するように前方に延出した状態とすることができ、運転座席に着座した運転者にとって、窓部を通しての下方及び下方前方の視界を広いものにすることができるようになって、操縦性を良いものにすることができた。
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成13年6月1日(2001.6.1)
【代理人】 【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
【公開番号】 特開2002−354929(P2002−354929A)
【公開日】 平成14年12月10日(2002.12.10)
【出願番号】 特願2001−166371(P2001−166371)