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【発明の名称】 コンバイン
【発明者】 【氏名】森広 忠光

【氏名】広瀬 薫

【要約】 【課題】コンバインの前処理部において、株元搬送装置が引き継いだ茎稈に対し、穂側掻込体が干渉することを回避し、株元搬送装置における茎稈姿勢の乱れを防止する。

【解決手段】コンバイン1は、茎稈を刈取る前処理部2に、刈取茎稈の株元部を所定の搬送経路に沿って搬送する株元搬送装置14と、該株元搬送装置14の始端部で刈取茎稈の株元部を掻込む株元側掻込体18と、該株元側掻込体18の上方で刈取茎稈を掻込む穂側掻込体19とを備えて構成され、前記穂側掻込体19の終端軌跡位置が、株元側掻込体18の終端軌跡位置よりも前側となるように設定される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 茎稈を刈取る前処理部に、刈取茎稈の株元部を所定の搬送経路に沿って搬送する株元搬送装置と、該株元搬送装置の始端部で刈取茎稈の株元部を掻込む株元側掻込体と、該株元側掻込体の上方で刈取茎稈を掻込む穂側掻込体とを備えるコンバインにおいて、前記穂側掻込体の終端軌跡位置を、株元側掻込体の終端軌跡位置よりも前側に設定したことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】 請求項1において、前記穂側掻込体の終端軌跡位置を、株元搬送装置の搬送経路よりも前側に設定したことを特徴とするコンバイン。
【請求項3】 請求項1又は2において、茎稈掻込経路の左右両側に前記穂側掻込体を設けると共に、各穂側掻込体を、前後一対のプーリ間に懸回される爪付きベルトで構成し、さらに、一方の穂側掻込体を構成する爪付きベルトの終端軌跡位置を、他方の穂側掻込体を構成する爪付きベルトの終端軌跡位置よりも前側に設定するにあたり、前記一方の穂側掻込体に設けられる後側プーリを、他方の穂側掻込体に設けられる後側プーリよりも小径にしたことを特徴とするコンバイン。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、茎稈を刈取る前処理部に、株元搬送装置、株元側掻込体および穂側掻込体を備えるコンバインの技術分野に属するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、この種コンバインは、茎稈を刈取る前処理部に、刈取茎稈の株元部を脱穀部(扱深さ搬送体)に向けて搬送する株元搬送装置(株元フィードチェン)を備えている。株元搬送装置の始端部には、刈取茎稈の株元部を掻込む株元側掻込体(スターホイール)が設けられており、該株元側掻込体が掻込んだ刈取茎稈を株元搬送装置が引き継ぎ搬送する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、上記株元側掻込体のみで刈取茎稈を掻込むと、刈取茎稈の姿勢が不安定になるため、刈取茎稈の姿勢が乱れて脱穀精度が低下したり、稈こぼれが発生する可能性がある。そこで、従来においては、上記株元側掻込体の上方に、株元側掻込体と同期的に掻込動作する穂側掻込体を並設しているが、従来の穂側掻込体は、株元搬送装置に引き継がれた茎稈にも作用するため、茎稈の搬送姿勢を乱す可能性がある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、茎稈を刈取る前処理部に、刈取茎稈の株元部を所定の搬送経路に沿って搬送する株元搬送装置と、該株元搬送装置の始端部で刈取茎稈の株元部を掻込む株元側掻込体と、該株元側掻込体の上方で刈取茎稈を掻込む穂側掻込体とを備えるコンバインにおいて、前記穂側掻込体の終端軌跡位置を、株元側掻込体の終端軌跡位置よりも前側に設定したことを特徴とするものである。つまり、穂側掻込体の終端軌跡位置を、株元搬送装置の茎稈引き継ぎ位置である株元側掻込体の終端軌跡位置よりも前側にしたため、株元搬送装置が引き継いだ茎稈に対し、穂側掻込体が干渉することを回避でき、その結果、株元搬送装置における茎稈姿勢の乱れを防止し、脱穀精度等の向上を図ることができる。また、前記穂側掻込体の終端軌跡位置を、株元搬送装置の搬送経路よりも前側に設定したことを特徴とするものである。つまり、株元搬送装置が引き継いだ茎稈に対し、穂側掻込体が干渉する可能性を更に低下させることができる。また、茎稈掻込経路の左右両側に前記穂側掻込体を設けると共に、各穂側掻込体を、前後一対のプーリ間に懸回される爪付きベルトで構成し、さらに、一方の穂側掻込体を構成する爪付きベルトの終端軌跡位置を、他方の穂側掻込体を構成する爪付きベルトの終端軌跡位置よりも前側に設定するにあたり、前記一方の穂側掻込体に設けられる後側プーリを、他方の穂側掻込体に設けられる後側プーリよりも小径にしたことを特徴とするものである。つまり、後側プーリの前方への移動量を可及的に小さくすることができるため、左右の爪付きベルトによる茎稈合流位置が大きくズレる不都合がなく、その結果、合流位置における茎稈姿勢の乱れを防止することができる。
【0005】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態の一つを図面に基づいて説明する。図面において、1はコンバインであって、該コンバイン1は、茎稈を刈取る前処理部2と、刈取茎稈から穀粒を脱穀して選別する脱穀部3と、選別した穀粒を貯溜する穀粒タンク4と、脱穀済みの茎稈を機外に排出する後処理部5と、運転席および各種の操作具が設けられる操作部6と、左右一対のクローラ走行体からなる走行部7とを備えて構成されている。
【0006】前処理部2は、未刈り茎稈を刈取り条数分の茎稈導入経路Aに導くデバイダ(分草体)8と、茎稈を引起す引起装置9と、引起された茎稈の株元を切断する刈刃装置10と、茎稈の株元側を掻込み搬送する株元側掻込装置11と、茎稈の穂先側を掻込み搬送する穂先側掻込装置12と、両掻込装置11、12の中間で茎稈を掻込み搬送する中間掻込装置13と、掻込まれた刈取り茎稈の株元部を後方上方に向けて挟持搬送する株元搬送装置14と、該株元搬送装置14の終端部で引き継いだ茎稈を脱穀部3まで搬送する扱深さ搬送装置15とを備えて構成されている。
【0007】4条刈り仕様である本実施形態のコンバイン1においては、4つの茎稈導入経路Aから茎稈を導入し、該導入される茎稈の株元側を、4つの株元側掻込装置11でそれぞれ掻込む。4つの株元側掻込装置11のうち、左側の2つは、左側2条分の茎稈を第一掻込経路B1に合流状に掻込むように動作し、また、右側の2つは、右側2条分の茎稈を第二掻込経路B2に合流状に掻込むように動作する。第一掻込経路B1に掻き込まれた茎稈は、株元搬送装置14を構成する第一株元フィードチェン16に引き継がれ、扱深さ搬送装置15まで挟持搬送される。一方、第二掻込経路B2に掻き込まれた茎稈は、株元搬送装置14を構成する第二株元フィードチェン17に引き継がれ、第一株元フィードチェン16の終端側合流位置まで挟持搬送される。また、株元フィードチェン16、17は、左右両端の株元側掻込装置11に対して動力供給を行う伝動チェンにも兼用されている。左右両端の株元側掻込装置11には、入力スプロケット(図示せず)が設けられており、該入力スプロケットに懸回された各株元フィードチェン16、17が、隣接する株元側掻込装置11の後方近傍を通って合流位置に至るように平面視V(八)字状に配置される。
【0008】株元側掻込装置11は、茎稈の株元を掻込む株元側掻込体18と、その上方で茎稈を掻込む穂側掻込体19とを備えて構成される。株元側掻込体18は、平面視星形状のスターホイール20で構成されており、隣接する株元側掻込体18に対して動力供給を行う伝動ギヤにも兼用される。スターホイール20は、株元フィードチェン16、17の直下に配置されると共に、その終端側が平面視で株元フィードチェン16、17とオーバーラップする。これにより、スターホイール20による掻込茎稈の株元部が株元フィードチェン16、17に引き継がれることになる。
【0009】穂側掻込体19は、株元側掻込体18の上方に設けられる掻込ケース21と、該掻込ケース21内に設けられる前後一対のプーリ22、23と、該プーリ22、23に懸回される爪付きベルト24とを備えて構成される。爪付きベルト24の爪部24aは、掻込ケース21から突出し、後側プーリ23の駆動に伴って掻込動作する。複数設けられる穂側掻込体19のうち、後方近傍に株元フィードチェン16、17が位置する穂側掻込体19においては、爪付きベルト24の終端軌跡位置が、その下方に設けられるスターホイール20の終端軌跡位置よりも前側になるように設定されており、言い換えると、爪付きベルト24は、その終端軌跡位置が株元フィードチェン16、17の搬送経路よりも前側になるように配置される。これにより、スターホイール20から株元フィードチェン16、17に引き継がれた茎稈に対し、爪付きベルト24が干渉することが回避される。その結果、株元フィードチェン16、17に引き継がれた茎稈が、爪付きベルト24との干渉によって穂先先行姿勢になったり、搬送姿勢を乱して搬送経路から脱落する不都合が防止される。
【0010】本実施形態では、掻込経路B1、B2の左右両側に穂側掻込体19を設けると共に、一側方の穂側掻込体19を構成する爪付きベルト24の終端軌跡位置を、他側方の穂側掻込体19を構成する爪付きベルト24の終端軌跡位置よりも前側に設定するにあたり、一側方の穂側掻込体19に設けられる後側プーリ23の径dを、他側方の穂側掻込体19に設けられる後側プーリ23の径Dよりも小径にしている。これにより、後側プーリ23の前方移動量Lを可及的に小さくすることが可能になり、その結果、左右の爪付きベルト24による茎稈合流位置が大きくズレる不都合が回避される。しかも、爪付きベルト24の掻込動作方向を変えることなく、後側プーリ23を前方に移動させることができるので、他側方の爪付きベルト24と共に茎稈をスターホイール20の噛合部(合流部)に向けて掻き込み、良好な株元揃えが可能になる。
【0011】後側プーリ23の駆動力は、下方のスターホイール20から伝動される。スターホイール20から上方に延出する伝動軸25の上端部は、掻込ケース21内に突出すると共に、チェン伝動機構26を介して後側プーリ23の支軸27に駆動力を伝動する。チェン伝動機構26は、平面視で後側プーリ23の内側下方に位置し、後側プーリ23によって保護される。これにより、専用の保護カバーが不要になり、構造の簡略化を図ることが可能になる。また、チェン伝動機構26の伝動比は、後側プーリ23の径dを考慮して設定される。つまり、後側プーリ23を小径にしたものでありながら、他側方の爪付きベルト24と同速度で掻込動作するようにチェン伝動機構26の伝動比を設定することにより、掻込速度差による茎稈の乱れを防止することが可能になる。
【0012】叙述の如く構成されたものにおいて、コンバイン1は、茎稈を刈取る前処理部2に、刈取茎稈の株元部を所定の搬送経路に沿って搬送する株元搬送装置14と、該株元搬送装置14の始端部で刈取茎稈の株元部を掻込む株元側掻込体18と、該株元側掻込体18の上方で刈取茎稈を掻込む穂側掻込体19とを備えて構成され、前記穂側掻込体19の終端軌跡位置が、株元側掻込体18の終端軌跡位置よりも前側となるように設定される。つまり、穂側掻込体19の終端軌跡位置を、株元搬送装置14の茎稈引き継ぎ位置である株元側掻込体18の終端軌跡位置よりも前側にすることができるため、株元搬送装置14が引き継いだ茎稈に対し、穂側掻込体19が干渉することを回避でき、その結果、株元搬送装置14における茎稈姿勢の乱れを防止し、脱穀精度等の向上を図ることができる。
【0013】また、穂側掻込体19の終端軌跡位置は、株元搬送装置14の搬送経路よりも前側になるように設定されるため、株元搬送装置14が引き継いだ茎稈に対し、穂側掻込体19が干渉する可能性を更に低下させることができる。
【0014】また、茎稈掻込経路の左右両側に穂側掻込体19を設けると共に、各穂側掻込体19を、前後一対のプーリ22、23間に懸回される爪付きベルト24で構成し、さらに、一方の穂側掻込体19を構成する爪付きベルト24の終端軌跡位置を、他方の穂側掻込体19を構成する爪付きベルト24の終端軌跡位置よりも前側に設定するにあたり、一方の穂側掻込体19に設けられる後側プーリ23を、他方の穂側掻込体19に設けられる後側プーリ23よりも小径にしたため、後側プーリ23の前方への移動量を可及的に小さくすることができ、その結果、左右の爪付きベルト24による茎稈合流位置が大きくズレる不都合を回避し、合流位置における茎稈姿勢の乱れを防止することができる。
【出願人】 【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱農機株式会社
【出願日】 平成13年5月25日(2001.5.25)
【代理人】 【識別番号】100085394
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
【公開番号】 特開2002−345318(P2002−345318A)
【公開日】 平成14年12月3日(2002.12.3)
【出願番号】 特願2001−157321(P2001−157321)