| 【発明の名称】 |
歩行型自走式作業機 |
| 【発明者】 |
【氏名】小林 隆夫
【氏名】飯田 哲生
【氏名】佐々木 裕光
【氏名】石川 智明
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| 【要約】 |
【課題】楽な操縦姿勢で歩行型自走式作業機を走行させながら、その走行速度の調整操作を容易に行えること。
【解決手段】歩行型自走式作業機10は、機体11に走行輪13、芝刈用刈刃14、これらを駆動するエンジン15、エンジンと走行輪に介設した無段変速装置30を備えるとともに、機体から後方へ操作用ハンドル50を延ばし、ハンドルに、エンジンから刈刃への駆動力を入り切りする作業切換レバー63、無段変速装置を操作して走行輪を停止から高速前進まで切換える走行切換レバー91、走行切換レバーの無段変速装置に対する作用を調整する回転摘み123を備える芝刈機である。作業切換レバー及び走行切換レバーを、ハンドルにおける握り部52の近傍に互いに独立させて設けた。回転摘みを、ハンドルの側部に且つ走行切換レバーの近傍に設けた。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 機体に走行輪、作業機、これらを駆動する駆動源並びにこの駆動源と前記走行輪に介設した無段変速装置を備えるとともに、前記機体から後方へ操作用のハンドルを延ばし、このハンドルに、前記駆動源から前記作業機への駆動力を入り切りする作業切換レバー、前記無段変速装置を操作して走行輪を停止から高速前進まで切換える走行切換レバー、並びに、この走行切換レバーの無段変速装置に対する作用を調整する速度調整用回転摘みを備えた歩行型自走式作業機であって、前記作業切換レバー及び前記走行切換レバーを、前記ハンドルにおける握り部の近傍に互いに独立させて設けるとともに、前記速度調整用回転摘みを、前記ハンドルの側部に且つ前記走行切換レバーの近傍に設けたことを特徴とする歩行型自走式作業機。 【請求項2】 前記作業切換レバー及び前記走行切換レバーは、支持軸を介して前記ハンドルにスイング可能に取付けたものであり、前記作業切換レバーの操作部分を、機体中心より左寄り位置又は右寄り位置に設け、前記変速値設定用回転摘みを、前記作業切換レバーの操作部分と左右反対側に、且つ、前記走行切換レバーを支持する支持軸に回転可能に取付けたことを特徴とする請求項1記載の歩行型自走式作業機。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は歩行型自走式作業機の改良に関する。 【0002】 【従来の技術】歩行型自走式作業機は、自走する作業機のハンドルを操縦しながら作業者が歩行する型式の、小型の作業機械である。この種の作業機械としては、例えば実公平5−13140号公報「芝草刈り機の操作装置」(以下、「従来の技術」と言う。)が知られている。 【0003】上記従来の技術は、同公報の第1図に示される通り、機体3(番号は公報に記載されたものを引用した。以下同じ。)に走行輪としての後輪7、芝草刈りカッター11、これらを駆動するエンジン9及びエンジン9と後輪7に介設した油圧式変速装置16を備え、さらに、機体3から後上方へ操作用の左右のパイプ13を延ばした、歩行型自走式芝草刈り機1に関する。 【0004】さらに上記従来の技術は、同公報の第1図及び第2図に示される通り、左のパイプ13の上端と右のパイプ13の上端との間にハンドル15(ハンドルの握り部に相当)を掛け渡すことで門型状ハンドルにするとともに、左のパイプ13の長手途中に変速レバー19を取付け、左のパイプ13の上端部にカッター用操作レバー21を取付け、左右のパイプ13,13の上端部に門型状ニュートラルレバー23の両端を取付けるというものである。 【0005】ハンドル15と共にカッター用操作レバー21を握ることで、クラッチ33をオン操作し、エンジン9の駆動力を芝草刈りカッター11に伝えて、芝刈り作業をすることができる。ハンドル15と共にニュートラルレバー23を握ることで、油圧式変速装置16を操作し、後輪7を回転させて、前進走行させることができる。変速レバー19を前後にスイング操作することで、油圧式変速装置16を操作し、後輪7の走行速度を調整することができる。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】上記従来の芝草刈り機1の一般的な使い方は、先ず、芝刈り作業前に変速レバー19を操作して後輪7の走行速度を調整し、その後に、カッター用操作レバー21やニュートラルレバー23を操作して芝刈り作業を実施する。平坦な地面に芝草しか生えていないような、比較的安定した芝刈り条件においては、このような一般的な使い方で十分である。 【0007】ところが、芝刈り条件は必ずしも一定ではない。例えば、起伏の大きい地面に芝草が生えていたり、花壇、庭石、庭木等のある地面に芝草が生えていることもある。このような安定していない場所においては、芝刈り条件が頻繁に変化する。このため、芝刈りの仕上りをきれいにするためには、芝草刈り機1の走行速度を頻繁に変えざるを得ないことがある。 【0008】芝草刈り機1の走行速度を途中で変更するには、次の2つの方法がある。第1の方法は、芝草刈り機1を走行させて芝刈りをしながら、ハンドル15を握っている右手を放して前に伸ばし、変速レバー19をスイング操作して油圧式変速装置16を調整することである。この方法では、走行中の速度変更であるから、左手だけでハンドル15を操縦しながら、右手をハンドル15の前に伸ばして変速レバー19を操作するという、不自然な操縦姿勢にならざるを得ない。従って、刈り残しや刈りムラ等の仕上り性に影響がでないようにレバー操作をするには、熟練を要する。 【0009】第2の方法は、芝刈り条件が変わる度に芝草刈り機1を一時停止させ、変速レバー19で油圧式変速装置16を調整した後に、再び走行させることである。この方法では、芝刈り条件が変わる度に芝草刈り機1の運転、停止を繰り返すことになり、作業効率が劣る。 【0010】そこで本発明の目的は、楽な操縦姿勢で歩行型自走式作業機を走行させながら、その走行速度の調整操作を容易に行うことができる技術を提供することにある。 【0011】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために請求項1は、機体に走行輪、作業機、これらを駆動する駆動源並びにこの駆動源と走行輪に介設した無段変速装置を備えるとともに、機体から後方へ操作用のハンドルを延ばし、このハンドルに、駆動源から作業機への駆動力を入り切りする作業切換レバー、無段変速装置を操作して走行輪を停止から高速前進まで切換える走行切換レバー、並びに、この走行切換レバーの無段変速装置に対する作用を調整する速度調整用回転摘みを備えた歩行型自走式作業機であって、作業切換レバー及び走行切換レバーを、ハンドルにおける握り部の近傍に互いに独立させて設けるとともに、変速度調整用回転摘みを、ハンドルの側部に且つ走行切換レバーの近傍に設けたことを特徴とする。 【0012】走行切換レバーの無段変速装置に対する作用を調整する部材は、回転摘みである。この回転摘みを、ハンドルの側部に且つ走行切換レバーの近傍に設けた。このようにして、歩行型自走式作業機を操縦する作業者の手元に、回転摘みを配置することができる。回転摘みを回すことで、歩行型自走式作業機の走行速度を調整することができる。 【0013】歩行型自走式作業機を走行させながら、その走行速度を調整するには、一方の手で、握り部と共に走行切換レバーを握り続けるとともに、握り部から放した他方の手で、走行切換レバーの近傍に有る回転摘みを回せばよい。このように、一方の手で作業切換レバーを操作するとともに、他方の手で回転摘みを操作することができる。従って、走行速度の調整操作性を高めることができる。 【0014】さらには、作業者の手元において、握り部からハンドルの側部に且つ走行切換レバーの近傍に手を移動させるだけなので、手の移動範囲が少なくてすむ。しかも、回転摘みを回すだけの操作であるから、手の操作範囲が少なくてすむ。この結果、楽な操縦姿勢で歩行型自走式作業機を走行させながら、その走行速度の調整操作を容易に行うことができる。従って、作業性を高めることができる。 【0015】さらにまた、ハンドルの側部に回転摘みを設けたのであるから、ハンドルの側部に手を添えながら回転摘みを回すことができる。従って、ハンドルから両手を放さなくてすむ。従って、歩行型自走式作業機の操縦性を高めることができる。 【0016】請求項2は、作業切換レバー及び走行切換レバーを、支持軸を介してハンドルにスイング可能に取付け、作業切換レバーの操作部分を、機体中心より左寄り位置又は右寄り位置に設け、変速値設定用回転摘みを、作業切換レバーの操作部分と左右反対側に、且つ、走行切換レバーを支持する支持軸に回転可能に取付けたことを特徴とする。 【0017】走行切換レバーと変速値設定用回転摘みとを1箇所に集約することによって、走行切換レバー並びに変速値設定用回転摘み周りの機構の小型化及び部品数の低減化を図ることができる。小型化できるので、ハンドル周りの大型化を抑制するとともに、機体幅の大きさを抑制することができる。この結果、狭い作業スペースでの作業を容易に行うことができる。 【0018】 【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、「前」、「後」、「左」、「右」は作業者から見た方向に従う。また、図面は符号の向きに見るものとする。 【0019】図1は本発明に係る歩行型自走式作業機の右側面図であり、歩行型自走式作業機10は、機体11の前部に左右の前輪12,12(この図では左右のうち左のみを示す。以下同じ。)を備え、機体11の後部に左右の走行輪としての後輪13,13を備え、機体11の中央内部に作業機としての芝刈用刈刃14を備え、機体11の上部に後輪13,13並びに刈刃14を駆動する駆動源としてのエンジン15を備え、機体11の後部内部にエンジン15と後輪13,13との間に介設した無段変速装置30を備えるとともに、機体11から後方へ操作用のハンドル50を延ばした、芝刈機である。この芝刈機は、芝草などの草を刈るものである。 【0020】エンジン15は、出力軸15aを下方へ延したバーチカルエンジンであり、出力軸15aに、作業切換クラッチ21を介して刈刃14を連結するとともに、伝動部品(駆動プーリ25、被動プーリ26並びにベルト27)を介して無段変速装置30の入力軸33を連結することができる。 【0021】ハンドル50は、機体11から後上方へ延びる左右のハンドルバー51,51と、これらのハンドルバー51,51の後端間に掛け渡した握り部52と、からなる背面視門型状の一体成形品である。このハンドル50に作業切換レバー63、走行切換レバー91並びに速度調整用回転摘み123(以下、単に「回転摘み123」と言う。)を備える。これらの操作部材の詳細については後述する。 【0022】作業切換レバー63は、ワイヤケーブル22を介して作業切換クラッチ21を切換え操作することで、エンジン15から刈刃14への駆動力を入り切りする操作部材である。 【0023】走行切換レバー91は、ワイヤケーブル42を引き操作することで無段変速装置30を操作して、走行輪としての後輪13,13を停止から高速前進まで切換える操作部材である。図中、17は刈った芝を収容する芝収容袋である。 【0024】ところで、上記作業切換クラッチ21は、作業切換レバー63にてワイヤケーブル22を引き操作している間だけ、エンジン15から刈刃14への駆動力を伝達可能に切換えるデッドマン型クラッチであり、通常状態においては刈刃14を常に停止状態に作用するとともに、ワイヤケーブル22を停止側(刈刃14を停止状態にする方向)に常に弾発する。 【0025】図2(a),(b)は本発明に係る無段変速装置の構成図であり、(a)は無段変速装置30の側面構造を示し、(b)は(a)のb−b線断面構造を示す。無段変速装置30は、オイルポンプ31と、オイルポンプ31の油圧で駆動するオイルモータ45と、オイルモータ45の出力側に連結する歯車減速機構(図示せず)と、オイルポンプ31からの油圧を解除する切換弁48と、を備える油圧無段変速装置である。このような油圧無段変速装置は、実用新案登録第2516480号公報「車両の油圧変速装置」や、特許第2812836号公報「無段変速装置」に示されるように、公知の装置である。 【0026】無段変速装置30の概要を説明する。オイルポンプ31はケース32と、ケース32から露出した一端に被動プーリ26を取付けた入力軸33と、入力軸33にスプライン結合したシリンダ部34と、シリンダ部34に出没自在に嵌合した複数のピストン35・・・(・・・は複数を示す。以下同じ。)と、これらのピストン35・・・の先端にスラスト軸受36を介して当る変速用斜板37と、変速用斜板37に一体に形成したスイング軸38と、スイング軸38の先端に取付けたアーム39と、アーム39を(a)に示す停止位置Nsに弾発するリターンスプリング41と、からなる。アーム39の先端に、ワイヤケーブル42のワイヤエンド42aを連結することができる。 【0027】アーム39は、(a)に示す停止位置Nsから高速前進位置Nhまでスイング可能である。ワイヤケーブル42を引いて、アーム39を(a)の図反時計方向へスイングさせることにより、スイング軸38を介して変速用斜板37をスイングさせることができる。変速用斜板37がスイングして傾くことで、ピストン35・・・が出没することにより、オイルポンプ31からオイルモータ45に作用する油圧が変化する。 【0028】アーム39が(a)に示す停止位置Nsにあるとき、変速用斜板37によって切換弁48が開き、オイルポンプ31からオイルモータ45へ作用する油圧を解除する。この結果、オイルモータ45の出力軸46はフリーになる、このとき、後輪13,13(図1参照)は自由に回転できる。アーム39が停止位置Nsにないときには、切換弁48は閉じている。 【0029】一方、アーム39が(a)に示す高速前進位置Nhにあるとき、変速用斜板37が大きく傾くので、オイルポンプ31からオイルモータ45へ作用する油圧は高まる。この結果、オイルモータ45の出力軸46は最高速で回転する。このとき、後輪13,13は最高速で前進方向に回転する。このように、ワイヤケーブル42でアーム39を停止位置Nsから高速前進位置Nhまでスイング操作することにより、後輪13,13を停止から高速前進まで切換えることができる。 【0030】図3は本発明に係るハンドル周りの背面図であり、作業切換レバー63及び走行切換レバー91を、ハンドル50における水平な握り部52の近傍に互いに独立させて設けるとともに、回転摘み123を、ハンドル50の右の側部に且つ走行切換レバー91の近傍に設けたことを示す。詳しくは、ハンドル50において、握り部52と平行な支持中心線Ca上に作業切換レバー63及び走行切換レバー91を、前後(図表裏方向)にスイング可能に取付けるとともに、回転摘み123を、作業切換レバー63の操作部分64とは左右反対側の右寄りの位置で、支持中心線Ca上に回転可能に取付ける。 【0031】より具体的に説明すると、作業切換レバー63は、ハンドル50の握り部52周りとほぼ同形の背面視略門型状に形成し、左右の基端部分65,69をハンドル50に前後スイング可能に取付けた操作部材であって、機体中心Cbより左寄り位置に操作部分64を一体に設ける。作業切換レバー63の操作部分64は、背面視で略上下逆L字状である。 【0032】走行切換レバー91は背面視略門型状レバーに形成し、左右の基端部分92,94を横向きに水平に延して、ハンドル50に前後スイング可能に取付けた操作部材である。作業切換レバー63の水平な握り部分及び走行切換レバー91の水平な握り部分は、ハンドル50の握り部52にほぼ沿わせた形状である。 【0033】図4は本発明に係るハンドル周りの左半部の背面断面図であり、作業切換レバー63の左側取付構造並びに走行切換レバー91の左側取付構造を具体的に示す。すなわち、支持中心線Ca上でハンドル50の上部に、ステー61を介して水平な支持軸62を取付け、この支持軸62に、作業切換レバー63の左の基端部分65を前後スイング可能に取付ける。支持軸62の内側端部に、走行切換レバー91の左の基端部分92を前後スイング可能に取付ける。同一の左の支持軸62に、作業切換レバー63並びに走行切換レバー91を取付けることができる。 【0034】なお、ステー61は膨出したストッパ61aを備える。このストッパ61aに走行切換レバー91のアーム93が当ることで、走行切換レバー91を中立位置にセットすることができる。 【0035】ところで本発明は、作業切換レバー63の左側取付部分に、作業切換機構70並びにレバー係合機構80を一体的に組込んだことを特徴とする。作業切換機構70は、支持軸62に回転可能に取付けた二股状の切換アーム71と、切換アーム71の先端部に取付けたピン部72とからなる。ピン部72にワイヤケーブル22のワイヤエンド22aを連結することで、切換アーム71をワイヤケーブル22を介して、上記図1に示す作業切換クラッチ21に繋げることができる。図中、101はスペーサ、103はブッシュである。 【0036】図5は本発明に係るハンドル周りの左半部の分解図であり、平面視コ字状ステー61の内部に作業切換レバー63の基端部分65を収納し、作業切換レバー63における機体幅方向に間隔をあけて配置した2つのレバー板66,66間に切換アーム71の基部を収納し、切換アーム71における機体幅方向に間隔をあけて配置した2つのアーム板73,73間に係合用カム82を配置したことを示す。 【0037】作業切換レバー63は、レバー板66,66間にピン81を取付けたものである。74は切換アーム71基部の支承管である。支持軸62に支承管74を嵌合することで、切換アーム71をスイング可能に支承できる。なお、レバー板66の規制用孔66aに切換アーム71の規制爪75を嵌合することで、作業切換レバー63に対する切換アーム71のスイング範囲を規制することができる。 【0038】図6は本発明に係るハンドル周りの左半部の左側面断面図であり、レバー係合機構80を表したものである。レバー係合機構80は、作業切換レバー63に取付けたピン81と、ピン81に回転可能に取付けた係合用カム82と、係合用カム82のカム溝83に嵌合可能に切換アーム71に設けた係合ピン84と、カム溝83を係合ピン84から外す方向に係合用カム82を弾発するリターンスプリング85と、カム溝83を係合ピン84に掛ける方向へ係合用カム82を回転させるロッド86と、ロッド86の先端に設けた係合操作釦87とからなる。係合操作釦87は、作業切換レバー63の操作部分64の上端に開けた孔64aに出没可能に嵌合したプッシュ釦である。 【0039】次に上記構成の作業切換レバー63、切換アーム71並びにレバー係合機構80の作用を図6〜図8に基づき説明する。図6は、作業切換レバー63並びに走行切換レバー91が中立位置にあるとともに、レバー係合機構80が非係合状態にあることを示す。すなわち、レバー係合機構80は、係合用カム82のカム溝83が係合ピン84から外れた状態にある。従って、作業切換レバー63をスイング操作しても切換アーム71は変位しない。このときには、上記図1に示す作業切換クラッチ21はオフであり、この結果、エンジン15から刈刃14への駆動力を切った状態にある。なお、レバー係合機構80の係合状態にかかわらず、作業切換レバー63並びに走行切換レバー91のスイング操作を自由に行うことができる。 【0040】図7は本発明に係る作業切換レバー、切換アーム並びにレバー係合機構の作用図(その1)であり、係合操作釦87を押した状態を、左側方から見たものである。係合操作釦87を押して(矢印■)ロッド86を押し下げることにより、係合用カム82を図反時計方向に回転させて(矢印■)、カム溝83を係合ピン84に掛けることができる。この結果、レバー係合機構80は係合状態になる。 【0041】次に、係合操作釦87を押し続けながら、作業切換レバー63を図反時計方向にスイングさせる(矢印■)。この結果、作業切換レバー63と共に係合用カム82並びに係合ピン84は図反時計方向にスイングする(矢印■)。このため、切換アーム71も同方向にスイングして(矢印■)、ワイヤケーブル22を引張る(矢印■)。 【0042】図8は本発明に係る作業切換レバー、切換アーム並びにレバー係合機構の作用図(その2)であり、係合操作釦87を押し続けながら、作業切換レバー63を握り部52と共に握った状態を、左側方から見たものである。ワイヤケーブル22を引張ることにより、上記図1に示す作業切換クラッチ21をオン作動させ、エンジン15から刈刃14への駆動力を入れることができる。 【0043】その後、作業切換レバー63から手を放すと、作業切換レバー63は、作業切換クラッチ21(図1参照)によってワイヤケーブル22を介して引き戻され、上記図6に示す中立位置に自動復帰する。また、リターンスプリング85の弾発力によって、レバー係合機構80は非係合状態に自動復帰する。 【0044】図9は本発明に係るハンドル周りの右半部の背面断面図であり、作業切換レバー63の右側取付構造、走行切換レバー91の右側取付構造並びに回転摘み123の取付構造を具体的に示す。すなわち、支持中心線Ca上でハンドル50の上部に、ステー67,67を介して水平な支持軸68を取付け、この支持軸68に、作業切換レバー63の右の基端部分69を前後スイング可能に取付ける。支持軸68の内側端部に、走行切換レバー91の右の基端部分94を前後スイング可能に取付ける。同一の右の支持軸68に、作業切換レバー63並びに走行切換レバー91を取付けることができる。また、支持軸68の外側端部に、回転摘み123を回転可能に取付ける。 【0045】このようにして、走行切換レバー91と回転摘み123とを1箇所に集約することができる。集約化によって、走行切換レバー91並びに回転摘み123周りの機構(後述する変速切換え機構110並びに変速値調整機構120)の小型化及び部品数の低減化を図ることができる。小型化できるので、ハンドル50周りの大型化を抑制するとともに、歩行型自走式作業機10(図1参照)の機体幅の大きさを抑制することができる。この結果、狭い作業スペースでの作業を容易に行うことができる。 【0046】ところで本発明は、走行切換レバー91の右側取付部分に、変速切換え機構110並びに変速値調整機構120を一体的に組込んだことを特徴とする。変速切換え機構110は、支持軸68の外側端部に回転可能に取付けた二股状の変速アーム111と、変速アーム111の側部から機体中心側へ延したステー112と、ステー112に取付けるべく走行切換レバー91の右端に設けた結合板113と、前記変速アーム111の先端部に連結ピン114にて連結した連結アーム115と、からなる。 【0047】連結アーム115にワイヤケーブル42のワイヤエンド42bを連結することで、連結アーム115をワイヤケーブル42を介して、上記図2に示す無段変速装置30のアーム39に繋げることができる。 【0048】変速値調整機構120は、支持軸68の外側端部に回転可能に取付けた二股状のディスク121と、ディスク121の外側面から右側方へ突出した係止爪部122と、係止爪部122に引掛けるべく回転摘み123に設けた係止溝124と、からなる。前記ディスク121の先端部を、連結ピン114にて変速アーム111並びに連結アーム115に連結する。係止爪部122に係止溝124を引掛けることで、ディスク121に回転摘み123を回転不能に取付けることができる。 【0049】なお、104は走行切換レバー91を中立位置に弾発するリターンスプリングである。図中、105はブッシュ、106,106は止めボルト、125は回転摘み止め用ナットである。 【0050】図10は本発明に係るハンドル周りの右半部の分解図である。ディスク121は、機体幅方向に間隔をあけて配置した2つのディスク板126,126に同一の円弧孔127,127を開けるとともに、機体中心側(図左側)のディスク板126に複数の節度用孔131・・・を開けたものである。 【0051】円弧孔127,127は、ディスク121の回転中心P1から機体前下方(図右下)へオフセットした位置を中心P2とし、半径をR1として、約180゜の範囲で設けた曲線孔であって、連結ピン114を連結する。複数の節度用孔131・・・は、ディスク121の回転中心P1を中心とする円弧軌跡上に、等ピッチで配列することで、節度機構130の構成要素となるものである。 【0052】節度機構130は、前記複数の節度用孔131・・・と、ハンドル50のステー67に取付けた嵌合パイプ132と、嵌合パイプ132に入れた節度ボール133と、節度ボール133を節度用孔131側へ向って弾発する圧縮ばね134と、圧縮ばね134の弾発力を調整する調整ビス135と、からなるクリック機構である。嵌合パイプ132は支持軸68に平行に設けた部材である。このような節度機構130によって、ディスク121の回転方向の位置を一定の力で保持するとともに、その力を越える回転力(すなわち回転摘み123の操作力)が作用したときには、ディスク121の回転を許容することができる。 【0053】変速アーム111は、機体幅方向に間隔をあけて配置した2つのアーム板116,116に同一の縦長状円弧孔127,127を開けたものである。これらの縦長状円弧孔127,127に連結ピン114を連結する。 【0054】図11は本発明に係る走行切換レバー、回転摘み、変速切換え機構及び変速値調整機構の作用図(その1)であり、想像線にて示す回転摘み123によってディスク121を低速側にセットした状態を、右側方から見たものである。この状態において、円弧孔127の中心P2は、ディスク121の回転中心P1から機体前下方(図右下)へオフセットした位置にあり、円弧孔127は、機体後下方(図左下)の位置にあり、連結ピン114の中心も、機体後下方の位置Q1にある。なお、作業切換レバー63及び走行切換レバー91は中立位置にある。この状態から作業切換レバー63を操作すると、次の図12の作用になる。 【0055】図12は本発明に係る走行切換レバー、回転摘み、変速切換え機構及び変速値調整機構の作用図(その2)であり、握り部52と共に走行切換レバー91を握った状態を、右側方から見たものである。走行切換レバー91が図時計回りにスイングするので、変速アーム111も同方向にスイングする。この結果、連結ピン114は円弧孔127に案内されつつ図時計回りに変位し、円弧孔127の先端に当って止る。このときの連結ピン114の中心は位置Q2にある。すなわち、連結ピン114は位置Q1から位置Q2までの距離(移動量)L1だけ移動する。この結果、ワイヤケーブル42は連結アーム115を介して、連結ピン114の移動量L1に応じた距離だけ引張られる。 【0056】従って、上記図2に示す無段変速装置30のアーム39をスイングさせて、無段変速装置30を低速にセットすることができる。上記図1に示す後輪13,13は低速前進する。その後、走行切換レバー91から手を放すと、走行切換レバー91が図11に示す元の中立位置に自動復帰するので、ワイヤケーブル42を引張る作用が解消され、この結果、無段変速装置30は停止する。 【0057】図13は本発明に係る走行切換レバー、回転摘み、変速切換え機構及び変速値調整機構の作用図(その3)であり、回転摘み123(図11参照)によりディスク121を図時計回りに回して、高速側にセットした状態を、右側方から見たものである。すなわち、回転摘み123を図時計回りに回すことで、円弧孔127の中心P2を、上記図11に示す位置からこの図13に示す位置P3まで後方に変位させた。この結果、円弧孔127の中心は、ディスク121の回転中心P1から機体後方(図左)へオフセットした位置P3にあり、円弧孔127は、機体後上方(図左上)の位置にあり、連結ピン114の中心は、機体後下方の位置Q3にある。なお、作業切換レバー63及び走行切換レバー91は中立位置にある。この状態から作業切換レバー63を操作すると、次の図14の作用になる。 【0058】図14は本発明に係る走行切換レバー、回転摘み、変速切換え機構及び変速値調整機構の作用図(その4)であり、握り部52と共に走行切換レバー91を握った状態を、右側方から見たものである。走行切換レバー91が図時計回りにスイングするので、連結ピン114は円弧孔127に案内されつつ図時計回りに変位する。このときの連結ピン114の中心は位置Q4にある。すなわち、連結ピン114は位置Q3から位置Q4までの距離(移動量)L2だけ移動する。移動量L2は移動量L1よりも大きい(L1<L2)。この結果、ワイヤケーブル42は連結アーム115を介して、連結ピン114の移動量L2に応じた距離だけ引張られる。 【0059】従って、上記図2に示す無段変速装置30のアーム39をスイングさせて、無段変速装置30を高速にセットすることができる。上記図1に示す後輪13,13は高速前進する。その後、走行切換レバー91から手を放すと、走行切換レバー91が図13に示す元の中立位置に自動復帰するので、ワイヤケーブル42を引張る作用が解消され、この結果、無段変速装置30は停止する。 【0060】次に、以上の図11〜図14の説明を整理し、移動量L2が移動量L1よりも大きくなる理由について、図15に基づき説明する。図15は本発明に係るディスク並びに連結ピンの作用図であり、回転摘み123によりディスク121を図時計回りに回した結果を示す。ここで、想像線にて示す円弧孔127並びに円弧孔127の中心P2は上記図11に示す元の位置を示す。この場合には、連結ピンの位置Q1は位置Q2まで移動量L1だけ移動可能である。 【0061】その後、想像線にて示す回転摘み123を図時計回りに回すことで、円弧孔127の中心P2は後方へ位置P3まで変位する。すなわち、円弧孔127の中心は、ディスク121の回転中心P1から機体後方(図左)へオフセットした位置P3にある。想像線にて示す円弧孔127は、実線にて示す円弧孔127のように、機体後上方(図左上)の位置へ変位する。連結ピンの位置Q1は位置Q3に変位する。この場合には、連結ピンの位置Q3は位置Q4まで移動量L2だけ移動可能である。 【0062】このように、ディスク121を図時計回りに回転させたときに、回転中心P1に対して前にオフセットされた円弧孔127の中心P2は、後方へ位置P3まで変位する。この結果、位置Q1から位置Q2までの円弧の傾きに対して、位置Q3から位置Q4までの円弧は起立する。従って、移動量L2は移動量L1よりも大きくなる(L1<L2)。 【0063】次に、上記構成の歩行型自走式作業機10の作用をまとめて、図1に基づき説明する。握り部52と共に作業切換レバー63を握ったり放したりすることで、エンジン15から刈刃14への駆動力を入り切りすることができる。また、握り部52と共に走行切換レバー91を握ったり放したりすことで、無段変速装置30を操作して後輪13を停止から高速前進まで切換えることができる。 【0064】走行切換レバー91の無段変速装置30に対する作用を調整する部材は、回転摘み123である。この回転摘み123を、ハンドル50の側部に且つ走行切換レバー91の近傍に設けた。このようにして、歩行型自走式作業機10を操縦する作業者の手元に、回転摘み123を配置することができる。回転摘み123を回すことで、歩行型自走式作業機10の走行速度を調整することができる。 【0065】歩行型自走式作業機10を走行させながら、その走行速度を調整するには、一方の手で、握り部52と共に走行切換レバー91を握り続けるとともに、握り部52から放した他方の手で、走行切換レバー91の近傍に有る回転摘み123を回せばよい。このように、一方の手で作業切換レバー63を操作するとともに、他方の手で回転摘み123を操作することができる。従って、走行速度の調整操作性を高めることができる。 【0066】さらには、作業者の手元において、握り部52からハンドルの側部に且つ走行切換レバー91の近傍に手を移動させるだけなので、手の移動範囲が少なくてすむ。しかも、回転摘み123を回すだけの操作であるから、手の操作範囲が少なくてすむ。この結果、楽な操縦姿勢で歩行型自走式作業機10を走行させながら、その走行速度の調整操作を容易に行うことができる。従って、作業性を高めることができるとともに、刈り残しや刈りムラ等の仕上り性に影響がでないように、走行速度の調整操作をすることができる。 【0067】さらにまた、ハンドルの側部に回転摘み123を設けたのであるから、ハンドルの側部に手を添えながら回転摘み123を回すことができる。従って、ハンドルから両手を放さなくてすむ。従って、歩行型自走式作業機10の操縦性を高めることができる。 【0068】なお、上記本発明の実施の形態において、歩行型自走式作業機10は芝刈機に限定されるものではなく、各種の作業機に適用することができ、例えば草刈機、耕耘機、除雪機であってもよい。また、駆動源はエンジン15に限定されるものではなく、例えば電動モータであってもよい。さらにまた、無段変速装置30は走行輪である後輪13,13を停止から高速前進まで無段階に切換えることができるできるものであればよく、油圧式のものに限定されるものではない。また、作業切換レバー63の操作部分64を、機体中心Cbより右寄り位置に設け、回転摘み123を、操作部分64と左右反対側に、且つ、走行切換レバー91を支持する支持軸68(又は支持軸62)に回転可能に取付けてもよい。 【0069】 【発明の効果】本発明は上記構成により次の効果を発揮する。請求項1は、走行切換レバーの無段変速装置に対する作用を調整する部材を、回転摘みにし、この回転摘みを、ハンドルの側部に且つ走行切換レバーの近傍に設けることで、歩行型自走式作業機を操縦する作業者の手元に、回転摘みを配置することができる。回転摘みを回すことで、歩行型自走式作業機の走行速度を調整することができる。 【0070】歩行型自走式作業機を走行させながら、その走行速度を調整するには、一方の手で、握り部と共に走行切換レバーを握り続けるとともに、握り部から放した他方の手で、走行切換レバーの近傍に有る回転摘みを回せばよい。このように、一方の手で作業切換レバーを操作するとともに、他方の手で回転摘みを操作することができる。従って、走行速度の調整操作性を高めることができる。 【0071】さらには、作業者の手元において、握り部からハンドルの側部に且つ走行切換レバーの近傍に手を移動させるだけなので、手の移動範囲が少なくてすむ。しかも、回転摘みを回すだけの操作であるから、手の操作範囲が少なくてすむ。この結果、楽な操縦姿勢で歩行型自走式作業機を走行させながら、その走行速度の調整操作を容易に行うことができる。従って、作業性を高めることができる。 【0072】さらにまた、ハンドルの側部に回転摘みを設けたのであるから、ハンドルの側部に手を添えながら回転摘みを回すことができる。従って、ハンドルから両手を放さなくてすむ。従って、歩行型自走式作業機の操縦性を高めることができる。 【0073】請求項2は、作業切換レバー及び走行切換レバーを、支持軸を介してハンドルにスイング可能に取付け、作業切換レバーの操作部分を、機体中心より左寄り位置又は右寄り位置に設け、変速値設定用回転摘みを、作業切換レバーの操作部分と左右反対側に、且つ、走行切換レバーを支持する支持軸に回転可能に取付けることで、走行切換レバーと変速値設定用回転摘みとを1箇所に集約することができる。集約化によって、走行切換レバー並びに変速値設定用回転摘み周りの機構の小型化及び部品数の低減化を図ることができる。小型化できるので、ハンドル周りの大型化を抑制するとともに、機体幅の大きさを抑制することができる。この結果、狭い作業スペースでの作業を容易に行うことができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005326 【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成13年4月20日(2001.4.20) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100067356 【弁理士】 【氏名又は名称】下田 容一郎 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−315416(P2002−315416A) |
| 【公開日】 |
平成14年10月29日(2002.10.29) |
| 【出願番号】 |
特願2001−123276(P2001−123276) |
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