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【発明の名称】 コンバインにおける前処理部の昇降装置
【発明者】 【氏名】細木 俊男

【要約】 【課題】コンバインの前処理部の下降下限位置を設定するストッパーボルトの調節作業を容易に行えるようにする。

【解決手段】機体フレーム4と支持フレーム2を連繋する油圧シリンダ7の伸縮作動により前処理部1を昇降可能に架設したコンバインにおいて、前処理部1の下降下限位置を設定するストッパーボルト14を螺装した支持部材15を、油圧シリンダ7に上下位置切り換え自在に取付け、前記支持部材15を上方に切り換えてストッパーボルト14を油圧シリンダ7の上方位置にした状態で、ストッパーボルト14が前処理部1の下降下限位置を設定する作用姿勢となるように構成した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 前処理部(1)を構成する支持フレーム(2)を後方に延出し、該支持フレーム(2)の後端を機体フレーム(4)の前側で回動自在に軸支すると共に、前記機体フレーム(4)と支持フレーム(2)を連繋する油圧シリンダ(7)の伸縮作動により前処理部(1)を昇降可能に架設したコンバインにおいて、前処理部(1)の下降下限位置を設定するストッパーボルト(14)を螺挿した支持部材(15)を、油圧シリンダ(7)に上下位置切り換え自在に取付け、支持部材(15)を上方に切り換えると、ストッパーボルト(14)が油圧シリンダ(7)の上方に位置して前処理部(1)の下降下限位置を設定する作用姿勢となり、支持部材(15)を下方に切り換えると、ストッパーボルト(14)が油圧シリンダ(7)の下方に位置する非作用姿勢になると共に、該下方位置で油圧シリンダ(7)と支持フレーム(2)との連繋を解除した状態では、前記支持部材(15)を介して油圧シリンダ(7)が機体フレーム(4)上に支持されることにより、油圧シリンダ(7)が支持フレーム(2)に連繋する際の待機状態となるように構成したことを特徴とするコンバインにおける前処理部の昇降装置。
【請求項2】 支持部材(15)を油圧シリンダ(7)のシリンダチューブ(7a)に上下回動自在に装着したパイプ部(15a)と、ストッパーボルト(14)を螺挿する支持部(15b)とにより形成したことを特徴とする請求項1記載のコンバインにおける前処理部の昇降装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンバインの前処理部の昇降装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、コンバインの前処理部は、機体フレームの前側に回動自在に軸支した支持フレームを介して取り付けられると共に、該支持フレームと機体フレームに亘って架設した油圧シリンダの伸縮作動により機体フレームに対して昇降可能に構成したものが知られている。そして、前記前処理部を機体フレームから取り外すことによって、前処理部と機体フレームの接続部付近に位置する諸装置の点検、整備及び掃除等が行えるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来のものは、前処理部の下降下限位置を調節するためのボルト形状をなすストッパーを、油圧シリンダの下方部に支持部材を介して螺挿する構成を採用していたので、前記ストッパーの出量を調節する作業は、油圧シリンダの下方部の非常に狭い空間で行なわなければならず作業性に問題があった。また、前記油圧シリンダのピストンロッドを前処理部の支持フレームに連結する際は、重量物である油圧シリンダを手で保持しながら作業しなくてはならず面倒であった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記のような実状に基づく課題を解決することを目的として創案したものであって、前処理部を構成する支持フレームを後方に延出し、該支持フレームの後端を機体フレームの前側で回動自在に軸支すると共に、前記機体フレームと支持フレームを連繋する油圧シリンダの伸縮作動により前処理部を昇降可能に架設したコンバインにおいて、前処理部の下降下限位置を設定するストッパーボルトを螺挿した支持部材を、油圧シリンダに上下位置切り換え自在に取付け、支持部材を上方に切り換えると、ストッパーボルトが油圧シリンダの上方に位置して前処理部の下降下限位置を設定する作用姿勢となり、支持部材を下方に切り換えると、ストッパーボルトが油圧シリンダの下方に位置する非作用姿勢になると共に、該下方位置で油圧シリンダと支持フレームとの連繋を解除した状態では、前記支持部材を介して油圧シリンダが機体フレーム上に支持されることにより、油圧シリンダが支持フレームに連繋する際の待機状態となるように構成したことを第1の特徴としている。
【0005】そして、支持部材を油圧シリンダのシリンダチューブに上下回動自在に装着したパイプ部と、ストッパーボルトを螺挿する支持部とにより形成したことを第2の特徴としている。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1に示すようにコンバインの前処理部1には、前処理部1を構成するフレームの一部をなす支持フレーム2が後方に延出して設けられており、該支持フレーム2の後端はクローラ走行装置3に支持された機体フレーム4の前側に支点軸5を介して回動自在に軸支してある。そして、機体フレーム4側には連結ピン6を介して油圧シリンダ7のヘッド側が取り付けられると共に、該油圧シリンダ7のピストンロッド8の先端部は前記支持フレーム2に取り付けられたホルダー9と連結され、前記前処理部1は油圧シリンダ7の伸縮作動によって機体フレーム4に対して昇降可能に架設されている。また、前記支持フレーム2の前方に連結されている刈取フレーム10・・には、分草体11・・、引起装置12・・、刈刃13等が取り付けてある。
【0007】また、図1から図4に示すように、前記油圧シリンダ7の前側には、前処理部1の下降下限位置を調節するストッパーボルト14を螺挿してなる支持部材15が、油圧シリンダ7のシリンダチューブ7aに上下回動自在に装着されている。即ち、前記支持部材15は、シリンダチューブ7aに上下回動自在に装着するパイプ部15aと、ストッパーボルト14を螺挿する支持部15bとを溶接して一体化すると共に、図3に示すようにシリンダチューブ7aの外周を支持部材15が自在に回動するように構成してある。そして、前記パイプ部15aの外周にナット16,16を溶接し、止めボルト17及びロックナット18によって、前記支持部材15の支持部15bの上下位置を反転させて位置決め固定がなされるように構成してある。また、前記支持部材15の前後方向の位置決めは、シリンダチューブ7aに溶接したストッパー19と、止め輪20によってなされる。
【0008】そして、前記油圧シリンダ7のピストンロッド8の先端部には、ガイドピン21がピストンロッド8の左右両側に突出するように溶接してあり、該ガイドピン21を、前記支持フレーム2に取着したホルダー9との連結部9aに形成した楔形の切り欠きにより所定の装着位置まで案内し、かつホルダー9の左右両側から前記ガイドピン21を保持する側板22,22を装着すると共に、該側板22,22をボルト23,23で固定することによって、前記ピストンロッド8とホルダー9とを連結している。
【0009】次に、前処理部1と機体フレーム4の接続部付近に位置する諸装置の点検、整備等のために前処理部1を一旦機体フレーム4から取り外し、前記作業が完了した後に再び前処理部1を機体フレーム4に連結する場合の作業手順について説明する。この場合は図2に示すように、まず油圧シリンダ7のシリンダチューブ7aに上下回動自在に装着してある支持部材15の支持部15bを下方に回動させ、パイプ部15aを止めボルト17とロックナット18によって位置決め固定すると共に、前記支持部材15の支持部15bを機体フレーム4の前側に横設してある角パイプ4a上に載置して油圧シリンダ7を支持することによって、油圧シリンダ7を支持フレーム2に連繋する際の待機状態となるように構成してある。
【0010】また、前記前処理部1は支持フレーム2の前端部下方を架台B等で支持した状態で機体フレーム4から取り外されており、前処理部1の後方からコンバインの機体を低速で近づけ、次いで前処理部1の支持フレーム2後端の支点軸5を若干持ち上げながら、機体フレーム4の前側の下部ホルダー24と上部ホルダー25によって支点軸5を支承する。尚、車高調節機能を有する水平自動制御装置を具備したコンバインであれば、前記車高調節機能を利用して機体フレーム4の前側の下部ホルダー24の高さを調節し、前記支持フレーム2後端の支点軸5を支承してもよい。この時、上述したような待機状態にある油圧シリンダ7のピストンロッド8の先端部に溶接されているガイドピン21と、前記支持フレーム2に取着したホルダー9の連結部9aに形成されている楔形の切り欠きは、略同一高さとなるように構成してあるのでピストンロッド8を徐々に伸長させていくと、前記ガイドピン21は連結部9aに形成されている楔形の切り欠きによって所定の装着位置まで案内される。
【0011】次に、前記ホルダー9の左右両側から前記ガイドピン21を保持する側板22,22を装着し、該側板22,22をボルト23,23で固定することによってピストンロッド8とホルダー9とを連結すればよい。したがって、従来のように重量物である油圧シリンダ7を手で保持しながら、該油圧シリンダ7のピストンロッド8と前処理部1の支持フレーム2との連結作業を行なわなくても済むようになり一人作業も可能となる。
【0012】上述の如く、前処理部1と機体フレーム4の連結が完了すれば、油圧シリンダ7のシリンダチューブ7aに回動自在に装着した支持部材15のロックナット18を緩め、前記ストッパーボルト14が前処理部1の下降下限位置を設定する作用姿勢切り換える。即ち、前記支持部材15の支持部15bを油圧シリンダ7の上方に回動させ、前記止めボルト17とロックナット18によって再び支持部材15を位置決めする。そして、前記支持部15bに螺挿されているストッパーボルト14と、前記支持フレーム2に取着したホルダー9の上側角部Kとの接当タイミングを、前記ストッパーボルト14の出量調節によって調整し、前処理部1の最適な下降下限位置を設定すればよい。即ち、本発明は従来のように油圧シリンダの下方の非常に狭い空間において、前処理部1の最適な下降下限位置をボルト形状をなすストッパーで調整しようとするものではなく、前記ストッパーボルト14の出量調節を油圧シリンダ7の上方の広い空間において実施することができるので作業性が向上する。
【0013】また、前処理部1を機体フレーム4から取り外す場合の他の実施例として、図5及び図6に示すように油圧シリンダ7のピストンロッド8の先端に溶接したガイドピン21と、機体フレーム4側に設けた固定部材31とを回動規制具32で連繋すると共に、前記油圧シリンダ7を伸長させて前処理部1を図中矢印方向に離脱させるような構成にしてもよい。即ち、前記回動規制具32の中間部を外筒33と該外筒33に内挿されてスライドする内筒34とで形成すると共に、該内筒34に穿孔した孔34a,34bと外筒33に穿孔した孔33aとの位置合わせによって、前記前処理部1を離脱させる際に前方への移動量が調節できるようになっている。例えば、前述した孔33aと孔34b孔の位置合わせが終われば、両孔を貫通するクレビスピン35を嵌挿すると共に、該クレビスピン35の抜け止め策であるスナップピン36を装着して前記外筒33と内筒34を連結状態とすることができる。そして、前記外筒33の端部には機体フレーム4に設けた固定部材31と連結する取り付け金具37を設けると共に、前記内筒34の端部には筒状の支承部38が設けてあり、該支承部38はピストンロッド8の先端のガイドピン21に連結する連結金具39を回動可能に支持している。また、前記支承部38には、回動規制具32と連結金具39の回り止め手段であるボルト40を螺挿すべくナット41が溶接してあり、前処理部1を機体フレーム4から取り外す場合は、前記ボルト40とロックナット42によって回動規制具32と連結金具39の回り止めがなされる。
【0014】尚、通常の刈取り作業に復帰する時は図7に示すように、前記回動規制具32の中間部を形成する外筒33と、内筒34とを連結しているクレビスピン35を取り外すと共に、回動規制具32と連結金具39の回り止め手段であるボルト40を取り外すだけの簡単な作業を行えばよい。即ち、前記油圧シリンダ7の伸縮に伴って、前記回動規制具32の中間部の外筒33に内挿されている内筒34は図中矢印方向に自由にスライドし、かつ前記回動規制具32と連結金具39も図中矢印方向に滑らかに回動するので、前記前処理部1の支点軸5回りの回動が規制されることはない。
【0015】
【発明の効果】以上説明したように構成される本発明の請求項1の構成によれば、前処理部1を構成する支持フレーム2を後方に延出し、該支持フレーム2の後端を機体フレーム4の前側で回動自在に軸支すると共に、前記機体フレーム4と支持フレーム2を連繋する油圧シリンダ7の伸縮作動により前処理部1を昇降可能に架設したコンバインにおいて、前処理部1の下降下限位置を設定するストッパーボルト14を螺挿した支持部材15を、油圧シリンダ7に上下位置切り換え自在に取付け、支持部材15を上方に切り換えると、ストッパーボルト14が油圧シリンダ7の上方に位置して前処理部1の下降下限位置を設定する作用姿勢となり、支持部材15を下方に切り換えると、ストッパーボルト14が油圧シリンダ7の下方に位置する非作用姿勢になると共に、該下方位置で油圧シリンダ7と支持フレーム2との連繋を解除した状態では、前記支持部材15を介して油圧シリンダ7が機体フレーム4上に支持されることにより、油圧シリンダ7が支持フレーム2に連繋する際の待機状態となるように構成したことによって、前記ストッパーボルト14の出量調節による前処理部1の最適な下降下限位置の設定作業を、油圧シリンダ7の上方の広い空間において実施することができるようになるので作業性が向上する。しかも、前記支持部材15の上下動によって、ストッパーボルト14を作用姿勢と非作用姿勢とに容易に切り換え可能であり、前記非作用姿勢では、支持部材15を機体フレーム4上に載置して油圧シリンダ7を支持することによって、油圧シリンダ7を前処理部1の支持フレーム2に連繋する際の待機状態とすることができ、油圧シリンダ7のピストンロッド8と前処理部1の支持フレーム2との連結作業を容易に行なうことができる。
【0016】また、請求項2の構成によれば、支持部材15を油圧シリンダ7のシリンダチューブ7aに上下回動自在に装着したパイプ部15aと、ストッパーボルト14を螺挿する支持部15bとにより形成したことによって、前記支持部材15を簡単で安価な構造とすることができる。
【出願人】 【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱農機株式会社
【出願日】 平成13年4月12日(2001.4.12)
【代理人】
【公開番号】 特開2002−305940(P2002−305940A)
【公開日】 平成14年10月22日(2002.10.22)
【出願番号】 特願2001−113334(P2001−113334)