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【発明の名称】 コンバインの前処理部スライド装置
【発明者】 【氏名】松谷 俊一

【要約】 【課題】コンバインの前処理部を左右方向へスライド操作するに当たり、搬送中の穀稈が乱れて、脱穀・選別作業に悪影響を及ぼしたりすることがなく、安定した状態でスライド操作を行うことが出来るコンバインの前処理部スライド装置を得る。

【解決手段】左右方向にスライド固定自在としたコンバインの前処理部のスライド操作を、前処理部の非駆動状態でのみ許容した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 左右方向にスライド固定自在としたコンバインの前処理部2において、該前処理部2のスライド操作を、前処理部2の非駆動状態でのみ許容したことを特徴とするコンバインの前処理部スライド装置。
【請求項2】 前処理部2のスライド操作を、コンバイン機体1の走行停止且つ水平状態で行うように構成した請求項1記載のコンバインの前処理部スライド装置。
【請求項3】 前処理部2のスライドの固定及び解除をピン(37)の出没操作で行い、該ピン(37)の出没操作部を前処理部2のスライド取手部に設けた請求項1又は2記載のコンバインの前処理部スライド装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、前処理部を左右方向にスライド固定自在としたコンバインの前処理スライド装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、前処理部の横幅がコンバイン機体の横幅より狭い小型のコンバインにおいては、作業の内容に応じて、前処理部を左右方向にスライドさせて未刈り穀稈の踏代を出来る丈少なくする必要があるが、この種のコンバインの前処理スライド装置では、前処理部を左右方向にスライドさせたい時には、例え機体が走行中で前処理部が駆動中であっても、スライド操作が出来る構成となっていた。しかも、上記操作は走行部が不安定な傾斜地でも可能であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】その為、機体の走行中や前処理部の駆動中、または機体が不安定な傾斜状態にある時等に、前処理部のスライド操作を行ったりすると、搬送中の穀稈が乱れると共に、その後の脱穀・選別作業に悪影響を及ぼしたり、機体の左右バランスが変動したりして運転操作上も好ましくなかった。本発明の目的は、上記従来の各種不具合を改善する点にある。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明においては、左右方向にスライド固定自在としたコンバインの前処理部において、該前処理部のスライド操作を、前処理部の非駆動状態でのみ許容したことを第1の特徴とするものである。
【0005】また、前処理部のスライド操作を、コンバイン機体の走行停止且つ水平状態で行うように構成したことを第2の特徴とするものである。
【0006】更に,前処理部2のスライドの固定及び解除をピン(37)の出没操作で行い、該ピン(37)の出没操作部を前処理部2のスライド取手部に設けたことを第3の特徴とするものである。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について、以下図面の例に基づいて説明する。図1は、本発明を実施したコンバインの全体概略側面図であり、1はコンバインの機体、2は前処理部であって、該前処理部2には通常のコンバインと同様に、ディバイダ3、ディバイダ支持フレーム4、穀稈引起し装置5、刈刃6、左右の引起しホルダ7,7′等が備えられ、その後方の運転席には、座席8や前処理レバー9等各種の操作レバーが設けられている。10はエンジン部、11はその後方に設けられた集穀部、12は藁処理部、13は機体1下方に備えられ、左右別々の走行クローラよりなる走行部である。なお、図中14は機体前進方向視で右側(運転席側)の引起しホルダ7の上部に、その上辺を機体1の長手方向と平行となるように構成した側面視略コ字型の取手、15は上記前処理レバー9の検知スイッチ、16は上記走行部13への動力を感知するT/M回転センサ、17は機体1の傾斜を感知する傾斜センサである。
【0008】また、図2は前処理部の概略側面図、図3は同上要部の概略平面図、図4は位置決め機構の断面図であり、18は上記取手14の先端に設けたスライド解除スイッチであって、前処理部2をスライドさせる時に取手14を握ったままで、スライド解除スイッチ18を同時に操作出来るようになっている。20は機体前部に左右方向を向いて配設される筒状の刈取駆動ケースであって、該刈取駆動ケース20に内装される刈取駆動軸21は、トランスミッション(図示せず)から入力プーリ22を介して入力した動力を、屈曲自在な刈取動力伝動軸23を介して前処理部2に伝動するが、上記刈取駆動ケース20は刈取駆動軸21を回動中心として回動自在に支持されている。
【0009】更に、24は機体1の前部から前方下方に延出する刈取支持フレームであって、該刈取支持フレーム24は回動自在な上記刈取駆動ケース20に基端部が一体的に連結されると共に、中間部に連結されるリフトシリンダ25の伸縮に基づいて上下に昇降作動するが、刈取支持フレーム24の先端部には、図3に示すように左右方向に延出するリンク支持フレーム26が一体的に設けられている。
【0010】一方、27は前処理部2に左右方向を向いて配設される刈取動力分配ケースであって、該刈取動力分配ケース27に内装される刈取動力分配軸(図示せず)は、上記刈取動力伝動軸23を介して刈取駆動軸21から入力した動力を、刈取動力分配ケース27の左右両端部に立設される筒状の引起しホルダ7,7′内を経由して前記穀稈引起し装置5に伝動すると共に、刈取動力分配ケース27の中間部から株元搬送装置等に動力伝達するが、前処理部2のメインフレームを兼ねる刈取動力分配ケース27には、前方に延出する複数のディバイダ支持フレーム4等が一体的に組み付けられている。
【0011】29,29′は平行リンク機構30を構成する左右一対のリンクアームであって、該リンクアーム29,29′の基端側ボス部29a,29′aは、上記リンク支持フレーム26の左右両端部に固設されるコ字状のリンクブラケット31,31′にリンク支軸32,32′を介して左右方向へ揺動自在に連結される一方、リンクアーム29,29′の先端側ボス部29b,29′bは、前処理部2側に固設されるコ字状のリンクブラケット33,33′にリンク支軸34,34′を介して左右揺動自在に連結されている。即ち、機体1の前部から前方下方に延出する刈取支持フレーム24の先端部に、平行リンク機構30を介して前処理部2を左右移動自在に連結しているため、左側を未刈り地側とした通常の刈取作業においては、左側の走行クローラをできる丈未刈り穀稈から離間させるべく前処理部2を左側位置に移動させるが、未刈り地内を走行する中割作業においては、右側走行クローラによる未刈り穀稈の踏み倒しを防止すべく前処理部2を右側位置に移動させられるようになっている。
【0012】次に、前処理部2の位置決め機構について説明するに、35は右側のリンクブラケット33に設けられる位置決め機構であって、該位置決め機構35は、上記リンクブラケット33に上下方向を向いて貫通状に固着される筒形状ソレノイド36で構成され、電源に連結したソレノイド36の0N,0FF作用によりソレノイド36の可動鉄芯37が上下方向へ移動して、前処理部2の位置の固定,解除を行うようになっている。
【0013】一方、リンクアーム29の先端側ボス部29bには、水平方向に突出する扇形状のフランジ部29cが一体形成されると共に、該フランジ部29cには、前処理部2の各左右切替え位置に対応して上記可動鉄芯37を係合保持可能な複数の係合凹部29d・・が形成されている。即ち、前処理部2の左右方向への位置を切換える際、前記取手14を握ると同時に指で前記スライド解除スイッチ18を押した時に、図5で詳述する他の各条件が揃った場合、ソレノイドがONとなって可動鉄芯37が上動して上記フランジ部29cとの係合固定が解除され、そのまま前処理部2を所定の切替え位置まで移動させた時、上記スライド解除スイッチ18から指を離して、ソレノイドをOFF操作すると上記可動鉄芯37が対応する係合凹部29d・・に係合して前処理部2を位置決め固定する。
【0014】更に、39は前処理部2の上側を走行機体側で支持するための補強フレームであって、該補強フレーム39の基端側は、前記刈取駆動ケース20にフレーム支軸40を介して左右揺動自在に連結されると共に、先端側は、右側の引起しホルダ7に左右揺動自在に設けられる揺動パイプ41に前後方向スライド自在に連結されている。即ち、前処理部2の下側を平行リンク機構30で支持し、且つ前処理部2の上側を伸縮自在な補強フレーム39で支持するため、平行リンク機構30に十分な支持力が得られると共に、前処理部2のガタつきも減少させることが出来る。そして、補強フレーム39は、前処理部2の上下昇降、左右移動及びリンクの特性による前後への変位に追従出来るため、前処理部2の各種動作も円滑に行うことが出来るものである。
【0015】次に、図5は位置決め機構の入出力制御を示すフローチャートであって、機体1の走行スイッチ(走行クラッチレバーの入切を感知するスイッチ)又はT/M回転センサ16による走行又は停止、前処理レバー検知スイッチのON,OFF、機体1の傾斜センサ17の傾斜又は水平、スライド解除スイッチ18のOFF,ONを夫々感知し、これらの条件の総てをクリアー、即ち機体1の走行が停止し、前処理部2の駆動も停止しており、且つ機体1が水平でスライド解除スイッチ18が0Nの時のみ前記ソレノイドが通電して前処理部2の係合固定が解除されて、前処理部2のスライド操作を許容するものであるが、これら各条件の一つでもクリアーされない時にはソレノイドがOFFとなって、前処理部2のスライド操作が出来ないことを示している。
【0016】以上のように構成されたものにおいて、圃場内で刈取収穫作業を行うが、先ず作業の開始時に、圃場の中間部で中割り作業や畦際刈り作業を行う場合、機体1下部の走行部13にある左右の走行クローラが、機体1の左右にある未刈穀稈の株元を出来る丈踏代が少なくなる位置、即ち、前述のように右側走行クローラによる未刈り穀稈の踏み倒しを防止すべく前処理部2の位置を右側に移動する必要がある。この時には作業者は、機体1の走行を停止させると共に、前処理レバー9をOFF状態とし、更に機体1が水平状態であることを確認してから取手14を握りながら指でスライド解除スイッチ18を押せば(スイッチON状態)、ソレノイドが通電して可動鉄芯37が上動しフランジ部29cの係合凹部29dとの係合が解除されることにより前処理部2の固定が解除される。そこでスライド解除スイッチ18を押したままの状態で前処理部2を中割り作業用の適宜位置に移動させ、目的の位置に達した時、スライド解除スイッチ18を解除(スイッチOFF状態)すると、可動鉄芯37が下降してフランジ部29cの別の係合凹部29dに係合し、前処理部2の位置が固定される。この状態で各種操作レバー等を刈取作業状態にセットして、中割り作業や畦際刈り作業を行うものである。そして、中割り作業や畦際刈り作業が終了した段階で通常の刈取作業に入るが、この時には、前処理部2の位置を今度は左側にスライドさせる必要があり、上述と同様の操作を繰返し行って、圃場作業を行うものである。
【0017】従って、前処理部2のスライド操作を、機体1の走行や前処理部2の駆動が停止した状態で行うため、安全性が向上すると共に、搬送中の穀稈が乱れたり、その後の脱穀・選別作業に支障を来すようなこともなく、安定した状態でスライド操作を行えるので、前処理部2スライドのための力も入れやすく操作がやり易い。しかも、スライド解除スイッチ18が、取手14に装着されているので、前処理部2をスライドさせながらの同時操作が容易に行えるものである。なお、この際、傾斜地等不安定な場所での前処理部2のスライド操作が不可能な時には、水平な場所に機体1を移動させて行えば良く、この場合には、機体1の若干の左右バランスの変動があっても、より安定した状態で操作が可能となるものである。また、本実施例においては、前処理部2の駆動の感知を、前処理レバー検知スイッチ15のON,OFFで行うようにしたが、これに限らず、前処理伝動軸の回転の有無を感知しても良く、更に、前処理部2のスライド操作を手動でなく、モータ等の動力で行っても良いことは言うまでもない。
【0018】次に、図6の例について説明するに、これらはコンバインに用いる刈刃の詳細を示し、図6(a)は下刃の部分平面図、(b)は(a)のA−A線断面図、(c)は(b)の拡大図であって、図(a)の如く下刃6aに複数のスリット43・・を設けて、該スリット43の断面形状が、図(b)及び(c)図示の如く、上側の寸法を、下側の寸法より小さくすることにより、下刃6aを機体にセットして上刃と対抗させて動かすことにより、該スリット43・・から刈取穀稈中に含まれていた土砂等の異物が溜まることがなく、下方に落下して上下両刃のスライド面に異物がなくなるので、両刃のスライド面に磨滅による隙間が生じて切れ味が悪くなるようなことがなく、長期間の使用に耐え得るものである。
【0019】また、図7の例について説明するに、この例の物も、コンバイン等に用いる刈刃6に関し、平面視で(a)は従来のもの、(b)は第1実施例、(c)は第2実施例を夫々示す。従来の図(a)のものは、重量が重く、大きな駆動力が必要であると共に、駆動時の反力で機体への振動が大きかった。そこで、図(b)及び(c)に示す如く、刈刃の内部を刃部6bと取付部6cを除き、図(b)は大幅にくり抜いて切欠部43aを形成したもの、(c)は刈刃先端と同じ山形形状として小さくくり抜いて切欠部43bを形成したものであって、このことにより、刈刃の重量が軽減されるので、駆動力の低減が出来、駆動時の反力も低減するため、振動が減少してその分エンジンの回転数を上げられて切断性能が向上するものである。しかも、図6の例と同様に上記切欠部43a,43bによる効果が期待出来るものである。更に、図(c)の例の場合には、型切断時の材料歩留りを向上出来ると共に、切欠部43b形状がV状となることにより、土砂等の異物を後方へ排出できる効果を併せ持つ。
【0020】更にまた、図8の刈刃6の平面視の例について説明するに、このものはV字形状の刃の両面に刃部6b・・を設け、この刈刃6をステー44にボルト等の緊締具45・・・にて取り付けたもので、このものは、当初取付けた刃部6b側が使用により磨滅した時には、一旦緊締具45・・・を外し、刈刃6の前後を逆転させてから再度ステー44に取り付けることにより、単一の刈刃で有り乍ら、穀稈への作用位置を変えることにより、長期の使用に耐え得るものであり、刃部6bがV字形状であることから、上述の例と同様に央部が中空となるので、重量が軽く駆動力が低減出来るものである。
【0021】
【発明の効果】本発明は、左右方向にスライド固定自在としたコンバインの前処理部2において、該前処理部2のスライド操作を、前処理部2の非駆動状態でのみ許容したことにより、前処理部2のスライド操作を、前処理部2の駆動が停止した状態で行うため、搬送中の穀稈が乱れて、脱穀・選別作業に支障を来すようなこともなく、安定した状態でスライド操作を行える。
【0022】また、上記構成に加え、前処理部2のスライド操作を、コンバイン機体1の走行停止且つ水平状態で行うように構成したことにより、前処理部2のスライド操作がより安定した状態で可能となるものである。
【0023】更に、前処理部2のスライドの固定及び解除をピン(37)の出没操作で行い、該ピン(37)の出没操作部を前処理部2のスライド取手部に設けたことにより、前処理部2をスライドさせながらの同時操作が容易に行えるものである。
【出願人】 【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱農機株式会社
【出願日】 平成13年3月28日(2001.3.28)
【代理人】
【公開番号】 特開2002−281815(P2002−281815A)
【公開日】 平成14年10月2日(2002.10.2)
【出願番号】 特願2001−91800(P2001−91800)