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【発明の名称】 コンバインの警報装置
【発明者】 【氏名】足達 弘

【氏名】錦織 将浩

【氏名】石橋 俊之

【要約】 【課題】刈取りクラッチの入れ忘れにより前処理部が作動していない状態で刈取り作業を行ってしまう問題を解消する。

【解決手段】コンバイン1の前処理部5の作動状態を検出する回転センサ49、または刈取りレバー等に対設した刈取りクラッチスイッチからなる前処理部5の作動状態検知手段と、自動方向制御用の方向センサ20L,20Rが未刈り穀稈を検出することによって前処理部5が穀稈群に進入して刈取り作業を開始したことを検出する刈取り作業開始検出手段を設け、前記作動状態検知手段が前処理部5の作動状態を非検知の状態(オペレーターが刈取りクラッチを入れ忘れた状態)で、前記刈取り作業開始検出手段が刈取り作業の開始を検出するとオペレーターに警報を発するように構成した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 コンバイン(1)に前処理部(5)の作動状態を検知する作動状態検知手段と、前処理部(5)が穀稈群に進入して刈取り作業を開始したことを検出する刈取り作業開始検出手段を設け、前記作動状態検知手段が前処理部(5)の作動状態を非検知の状態で、前記刈取り作業開始検出手段が刈取り作業の開始を検出するとオペレーターに警報を発するように構成したことを特徴とするコンバインの警報装置。
【請求項2】 前処理部(5)の作動状態を検出する回転センサ(49)、または刈取りレバーの入り状態を検出する刈取りクラッチスイッチによって前処理部(5)の作動状態を検知すると共に、自動方向制御用の方向センサ(20L),(20R)が未刈り穀稈を検出することによって刈取り作業の開始を検出するように構成したことを特徴とする請求項1記載のコンバインの警報装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンバインの刈取り作業開始時における警報装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば実開昭59−182130号公報に開示されているように、コンバインの刈取り作業開始前に各作業クラッチ入切状態や各作業部の状態を確認できるように、複数の作業装置の作動状況を検出する作業条件センサと、複数種類の異常有無を警報モニターセンサとを具備し、前記作業条件センサの全てが作動状態であることを検出した時、及び、警報モニターセンサの全てが異常なしであることを検出した時、これらの検出結果に基づいて総合的に表示する1つの表示装置を設け、該表示装置により刈取り作業開始OKであることをオペレーターに表示するようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来のものは、実際の作業において刈始めにいちいち表示装置を見て確認しなくてはならず、つい確認を怠りがちになって、例えば刈取りクラッチが切の状態、即ち前処理装置が作動していない状態で刈取り作業を行ってしまうことがあり、その場合は気付くのが遅れてクローラで多くの穀稈を踏み倒してしまうという問題があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記のような実状に基づく課題を解決することを目的として創案したものであって、コンバインに前処理部の作動状態を検知する作動状態検知手段と、前処理部が穀稈群に進入して刈取り作業を開始したことを検出する刈取り作業開始検出手段を設け、前記作動状態検知手段が前処理部の作動状態を非検知の状態で、前記刈取り作業開始検出手段が刈取り作業の開始を検出するとオペレーターに警報を発するように構成したことを第1の特徴としている。
【0005】そして、前処理部の作動状態を検出する回転センサ、または刈取りレバーの入り状態を検出する刈取りクラッチスイッチによって前処理部の作動状態を検知すると共に、自動方向制御用の方向センサが未刈り穀稈を検出することによって刈取り作業の開始を検出するように構成したことを第2の特徴としている。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1はコンバイン1の右側面を示し、コンバイン1は左右の一対のクローラ走行装置2,2を備え、クローラ走行装置2,2上の機体フレーム3にはその一側前部に油圧シリンダ4によって上下昇降自在になした前処理部5を架設し、その後方に脱穀部(図示せず)を搭載している。また、機体フレーム3の他側には操縦部7と、運転席8の下方に設けるエンジン9と、穀粒排出用のオーガ10を備える穀粒タンク11を搭載し、前記脱穀部及び穀粒タンク11の後方の機体フレーム3には排藁処理装置(カッター)12を設けている。尚、前記穀粒タンク11は、籾袋に脱穀した穀粒を収納するホッパータイプの収納部に構成しても良い。そして、前記前処理部5は刈取フレーム13・・に分草体14・・、引起装置15・・、刈刃16、掻込搬送装置17等を取付けて構成しており、前処理部5は後部に設ける伝動軸を内装する伝動パイプ18と補助パイプフレーム(図示せず)とによって機体フレーム3に昇降自在に架設してある。
【0007】また、20R,20Lは左右両側の刈取フレーム13,13上に取り付けた方向センサであって、該方向センサ20R,20Lは図2に示すようにスプリング(図示せず)により付勢されているセンサバー21R,21Lを有し、該センサバー21R,21Lによって前処理部5の分草体14・・間に導入される穀稈の通過位置を検出し、クローラ走行装置2,2のサイドクラッチを電磁ソレノイドバルブで選択的に断続させ、機体が穀稈条列に倣うように自動方向制御が行われる。
【0008】図3に示すように、制御部22はマイクロコンピュータ(CPU、ROM、RAM等を含む)を用いて構成されており、その入力側には、方向自動制御を作動状態とする方向自動スイッチ23、方向自動制御の制御状態を標準と中割に切り替える切り替えスイッチ24、機体の前進走行及び速度を検出するミッション回転センサ25、前進走行中のみ方向自動制御を作動させるバックスイッチ26、機体の旋回及び方向修正等を行うマルチステアリングレバーMの手動操作を検出する操向ロータリスイッチ27、刈始めの条合わせや刈取り中の手動による方向微調整を検出するジャストスイッチ28、脱穀部の運転状態を検出する作業機クラッチスイッチ29、未刈り穀稈を検出する左側方向センサ20L及び右側方向センサ20R、前処理部5の作動状態を検出する回転センサ49、刈取り穀稈の手扱ぎ作業状態を検出する手扱ぎ検出スイッチ56等の入力機器が所定の入力インタフェース回路を介して接続される一方、出力側には、方向自動制御状態を表示する方向自動ランプ30、方向自動制御の作業状態(標準と中割)を表示する中割切替ランプ31、クローラ走行装置2,2の右側のサイドクラッチギヤを作動させる電磁ソレノイドバルブ32R、左側のサイドクラッチギヤを作動させる電磁ソレノイドバルブ32L、刈取り穀稈の手扱ぎ作業状態を表示する手扱ぎインジケータ33、及びブザー(警報)B等の出力機器が所定の出力インタフェース回路を介して接続されている。
【0009】次に、前処理部5の動力入力部の構造について説明する。図4に示すように、前処理部5の伝動パイプ18の基部を構成する伝動ギヤケース34に軸支した前処理入力軸35に取り付けた入力プーリ36と、トランスミッションの前処理駆動プーリ(図示せず)にVベルト37を巻き掛けることによって前処理部5の各装置に動力を伝達するように構成してある。そして、その動力は二方向に分岐されていて、一方は前記前処理入力軸35の略中間部に取り付けたギヤ38と噛み合うギヤ39を介して伝動軸40を駆動し、更に該伝動軸40に取り付けたベベルギヤ41と噛み合うベベルギヤ42を経て伝動軸43を駆動させることにより、扱ぎ深さ搬送部(図示せず)の株元搬送と穂先搬送を行う駆動スプロット44、45等に動力を伝達するように構成してある。もう一方は、前記前処理入力軸35の一端に取り付けたベベルギヤ46と噛み合うベベルギヤ47を経て伝動軸48を駆動させることより、引起装置15・・、刈刃16、掻込搬送装置17、株元搬送装置(図示せず)、横送り搬送装置(図示せず)等に動力を伝達するように構成してある。
【0010】また、前記伝動軸40の軸端には、本発明の前処理部5の作動状態検知手段である回転センサ49を伝動ギヤケース34の外側から装着すると共に、この回転センサ49の検出有(YES),無(NO)を刈取り穀稈の扱ぎ深さを自動制御する際の入力条件としている。そして、図5のフローチャートに示すように、コンバイン1の刈取り作業開始時にオペレーターが刈取りクラッチを入れ忘れている時は、前処理部5の作動状態検知手段である回転センサ49は前処理部5の作動を検出しないNOの状態となっている。上述の如くオペレーターが刈取りクラッチが切の状態、即ち前処理部5が作動していない状態に気付くことなく刈取り作業を行おうとしてコンバイン1を穀稈群に進入させてしまった場合は、機体の自動方向制御のために設けられた左右の方向センサ20L,20Rを刈取り作業開始検出手段として利用し、前記両方向センサ20L,20Rの何れかが穀稈を検出してONとなれば直ちにブザーBで警報を発してオペレーターに報知する構成としているので、誤って前処理部5が作動していない状態で刈取り作業を行ってクローラで穀稈を踏み倒してしまうという問題を解消することができる。しかも、上述した警報装置は、特別な装置を使用せずに既存の装備である左右の方向センサ20L,20Rを利用しながら安価に構成できると共に、誤った刈取り作業が続行されることを確実に防止することができる。尚、前処理部5の刈刃16に穀稈等が噛み込んで、前述したトランスミッションから前処理部5へ動力伝達するVベルト37がスリップした場合においても、前記回転センサ49の検出有(YES)、無(NO)を利用してVベルト37のスリップ警報を発するように構成してもよい。
【0011】また、前記刈取りクラッチの入切を検出する刈取りクラッチスイッチを、刈取りレバー等に対設(図示せず)することによって、前述した前処理部5の作動状態検知手段としてもよい。この場合は図6のフローチャートに示すように、前処理部5の作動の有無を刈取りクラッチスイッチのON・OFFで検知し、該刈取りクラッチスイッチがOFFの状態、即ちオペレーターが前処理部5が作動していない状態に気付くことなく刈取り作業を行おうとしてコンバインを穀稈群に進入させてしまった場合には、前記刈取り作業開始検出手段である機体の自動方向制御のために設けられた左右の方向センサ20L,20Rの何れかが一回でも穀稈を検出してONとなれば、方向センサONフラグがセットされると共に警報が発せられるようにすればよい。
【0012】また、刈取り作業中に前処理部5の前方に障害物を発見した時や、掻込搬送装置17等で稈詰まりが発生した時には、急遽刈取りレバーを操作して刈取りクラッチを切ることもあるので、図7のフローチャートに示すように、前処理部5の作動の有無を刈取りクラッチスイッチのON・OFFで検知すると共に、前述したミッション回転センサ25等によって機体の前進走行を検出し、前記刈取りクラッチスイッチがOFFで、左右の方向センサ20L,20Rの何れかが穀稈を検出してONの状態であっても、機体が前進走行状態になければ警報が鳴らないように構成してもよい。更に、警報と共にエンジン9が停止する構成にすれば誤った刈取り作業が続行されることを確実に防止することができる。
【0013】また、従来より畦畔沿いのコンバイン1による刈取り作業において、畦畔が邪魔になって通常の刈取りが困難な場合には畦畔沿いの穀稈を手刈りすると共に、刈取り穀稈を停車させたコンバイン1の脱穀部の導入部に手作業で供給することによって脱穀処理を行っていた。上述した手刈り穀稈の脱穀処理行うために、図8及び図9に示すように脱穀部6のフィードチェン50に対設された挟持レール51の前端部分にガイドレール52が上下揺動自在に支持され、該ガイドレール52をフィードチェン50に対して起立する手扱ぎ作業姿勢(二点鎖線で示す)と、前端を倒伏させる通常作業姿勢(挟持姿勢)とに切り換え可能に支持する支持部54とが備えてある。そして、前記ガイドレール52を通常作業姿勢にすることでコンバイン1の前処理部5側から搬送される穀稈を円滑に受け継いで脱穀部6に搬送することができ、また、ガイド杆52を起立させて手扱ぎ作業姿勢にすることによって、前記導入部に穀稈を手作業で挿入しながら手動の穀稈の脱穀作業(手扱ぎ作業)が行えるように構成してある。
【0014】前記ガイド杆52は、挟持レール51を弾発支持するレールベース55の前端部に設けた支持部材55aのP点を支点として回動し、ガイドレール52を起立させて手扱ぎ作業姿勢(図8の二点鎖線で示す)にすると、前記支持部材55aに取り付けた手扱ぎ検出スイッチ56がONとなり操縦部7に設けた手扱ぎインジケータ33が点灯すると共に、手扱ぎ作業時の選別精度を向上させるべく揺動選別体の処理物の漏下能力を低下させ、図10に示すフローチャートのような手扱ぎ専用の選別制御が行われるように構成してある。
【0015】ところで、上述した手扱ぎ作業が終了した後に、前記ガイドレール52を起立させた手扱ぎ作業姿勢の状態から前端を倒伏させた通常作業姿勢に復旧せずに通常の刈取り作業を行えば、前処理部5側から搬送されてくる穀稈は、前記フィードチェン50と挟持レール51の始端側に円滑に受け継がれないので、前記始端側に大量に蓄積されて稈詰まりが発生する問題がある。したがって、オペレーターがガイドレール52を起立させた手扱ぎ作業姿勢の状態に気付くことなく通常の刈取り作業を行おうとした場合は、何らかの警報を発してオペレーターに報知する必要がある。このような状況下においては、手扱ぎ検出スイッチ56がONとなり操縦部7に設けた手扱ぎインジケータ33が点灯するように構成してある一方、手扱ぎ検出スイッチ56がONの時、主変速レバー57を前進走行側へ傾倒させるとブザーBで警報を発するようにするか、または、前記手扱ぎ検出スイッチ56のONにより副変速レバー58が作業レンジから中立レンジへ自動的に切り換わるようにして、コンバイン1が走行できないように構成すればよい。また、前述した前処理部5の作動(回転)検知手段である前記回転センサ49の検出有(YES),無(NO)や、機体の自動方向制御のために設けた方向センサ20のON,OFFを制御手段として利用してもよい。即ち、前記手扱ぎ検出スイッチ56がONとなった手扱ぎ作業姿勢の状態において、オペレーターがガイドレール52を起立させた手扱ぎ作業姿勢の状態に気付かないで通常の刈取り作業を行った場合は、前記手扱ぎ検出スイッチ56がONであれば、前記前処理部5の回転センサ49の作動(回転)検出の有(YES),無(NO)にかかわらず、機体の自動方向制御のための方向センサ20に設けられた左側センサバー21か、右側センサバー22の何れかが穀稈を検出してONとなれば警報を発するように構成してもよい。
【0016】
【発明の効果】以上説明したように構成される本発明の請求項1の構成によれば、コンバイン1に前処理部5の作動状態を検知する作動状態検知手段と、前処理部5が穀稈群に進入して刈取り作業を開始したことを検出する刈取り作業開始検出手段を設け、前記作動状態検知手段が前処理部5の作動状態を非検知の状態で、前記刈取り作業開始検出手段が刈取り作業の開始を検出するとオペレーターに警報を発するように構成したので、仮にオペレーターが前処理部5の作動状態を確認することなく刈取り作業を行おうとしてコンバイン1を穀稈群に進入させてしまった場合でも、前記作動状態検知手段が前処理部5の作動状態を非検知の状態であれば、前記刈取り作業開始検出手段が刈取り作業開始を検出した時点で、直ちにオペレーターに前処理部5が作動していないことを警報によって報知するから、誤って前処理部5が作動していない状態で刈取り作業を行って、クローラで多くの穀稈を踏み倒してしまうという問題を解消することができる。
【0017】また、請求項2の構成によれば、前処理部5の作動状態を検出する回転センサ49、または刈取りレバーの入り状態を検出する刈取りクラッチスイッチによって前処理部5の作動状態を検知すると共に、自動方向制御用の方向センサ20L,20Rが未刈り穀稈を検出することによって刈取り作業の開始を検出するように構成したので、既存の装備を利用しながら上述した前処理部5の作動状態検知手段と、刈取り作業開始検出手段を安価に構成することができる。
【出願人】 【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱農機株式会社
【出願日】 平成13年3月29日(2001.3.29)
【代理人】
【公開番号】 特開2002−281814(P2002−281814A)
【公開日】 平成14年10月2日(2002.10.2)
【出願番号】 特願2001−94638(P2001−94638)