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【発明の名称】 乗用装置を付設する野菜収穫機の制御機構
【発明者】 【氏名】福田 幸広

【氏名】遠部 博史

【要約】 【課題】機体の後部に人が乗る乗用装置を上下に回動可能に付設した収穫機において、乗用装置が下降位置にあるときには、機体に人が危険な目に遇うような動きをさせない。

【解決手段】機体の後部に乗用装置を付設した野菜収穫機において、この乗用装置を人が乗る下降位置と上方に収納する上昇位置とに亘って回動できるようにするとともに、乗用装置が下降位置にあるときには、旋回機構を構成するサイドクラッチブレーキ機構のブレーキによる旋回を不能とし、クラッチの切断による旋回のみを可能にしたことを特徴とする乗用装置を付設する野菜収穫機の制御機構。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 機体の後部に乗用装置を付設した野菜収穫機において、この乗用装置を人が乗る下降位置と上方に収納する上昇位置とに亘って回動できるようにするとともに、乗用装置が下降位置にあるときには、旋回機構を構成するサイドクラッチブレーキ機構のブレーキによる旋回を不能とし、クラッチの切断による旋回のみを可能にしたことを特徴とする乗用装置を付設する野菜収穫機の制御機構。
【請求項2】 サイドクラッチブレーキ機構を操作する操向レバーを規制装置によって中立位置にロックする請求項1の乗用装置を付設する野菜収穫機の制御機構。
【請求項3】 機体の後部に乗用装置を付設した野菜収穫機において、この乗用装置を人が乗る下降位置と上方に収納する上昇位置とに亘って回動できるようにするとともに、乗用装置が下降位置にあるときには、機体が前進のみできるようにしたことを特徴とする乗用装置を付設する野菜収穫機の制御機構。
【請求項4】 前後進の切換えを前後進切換えレバーで行い、牽制装置によって前後進切換えレバーが後進位置に入らないようにした請求項3の乗用装置を付設する野菜収穫機の制御機構。
【請求項5】 機体の後部に乗用装置を付設した野菜収穫機において、この乗用装置を人が乗る下降位置と上方に収納する上昇位置とに亘って回動できるようにするとともに、乗用装置が下降位置にあるときには、機体が低速の作業速のみで進行できるようにしたことを特徴とする乗用装置を付設する野菜収穫機の制御機構。
【請求項6】 作業速と高速との切換えを副変速レバーで行い、牽制装置によって副変速レバーが高速位置に入らないようにした請求項5の乗用装置を付設する野菜収穫機の制御機構。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、収穫した野菜を調製する補助者が乗ることができる乗用装置を付設する野菜収穫機の制御機構に関するものである。
【0002】キャベツや白菜等の結球野菜を収穫する野菜収穫機では、収穫した結球野菜の外葉や茎根部を切断して製品態様にする調製作業を必要とし、通常、補助者が野菜収穫機に付いて歩き、この作業をしている。しかし、付いて歩くのは疲れることから、調製作業をする個所に人が乗ることができる乗用装置を付設したものがある(特開平10−248354号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この先行例のものには、この乗用装置を付設したときに野菜収穫機がとらなければならない種々の安全策が示されていない。この野菜収穫機には操縦者が居て前を向いて操縦に専念しており、後方への注意は散漫になりがちである。このため、ついつい乗用装置を付設していることを忘れ、後進させたりすることがある。そうすると、後方に崖や塀がある場合はこれに衝突し、搭乗者の安全がおびやかれることがある。又、急旋回や高速走行を行うと、搭乗者は不安になるし、危険なこともある。本発明は、このような課題を解決するものであり、乗用装置を付設したときには、野菜収穫機が危険な動きをすることがないようにして搭乗者の安全を図ったものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】以上の課題の下、本発明は、請求項1に記載した、機体の後部に乗用装置を付設した野菜収穫機において、この乗用装置を人が乗る下降位置と上方に収納する上昇位置とに亘って回動できるようにするとともに、乗用装置が下降位置にあるときには、旋回機構を構成するサイドクラッチブレーキ機構のブレーキによる旋回を不能とし、クラッチの切断による旋回のみを可能にしたことを特徴とする乗用装置を付設する野菜収穫機の制御機構を提供する。
【0005】この種の作業機はサイドクラッチブレーキ機構と称される操向装置を有しており、通常は、クラッチを切断するとともに、ブレーキを効かせて旋回する。このブレーキ力如何によっては、信地旋回(ピボットターン)と呼ばれる旋回半径の小さい急旋回も可能なことから、これによる旋回は、収穫作業中に機体の収穫口を収穫野菜の植生条に合わせる、所謂、条合わせ等は適当でない。このため、レバーを操作している間だけ緩やかに旋回するクラッチの切断のみによる微旋回機能を組み込み、これを細かにジョグ操作をして条合わせ等を行っている。
【0006】本発明は、人が乗っていることがある乗用装置が下降位置にあるときには、サイドクラッチブレーキ機構のブレーキによる旋回を不能とし、クラッチを切断しての旋回のみを可能にしたものであるから、急旋回等は行われず、安全である。ブレーキによる旋回を不能とする具体的手段としては、請求項2に記載の、サイドクラッチブレーキ機構を操作する操向レバーを規制装置によって中立位置にロックする手段が考えられる。
【0007】又、本発明は、請求項3に記載した、機体の後部に乗用装置を付設した野菜収穫機において、この乗用装置を人が乗る下降位置と上方に収納する上昇位置とに亘って回動できるようにするとともに、乗用装置が下降位置にあるときには、機体が前進のみできるようにしたことを特徴とする乗用装置を付設する野菜収穫機の制御機構を提供する。
【0008】この手段は、乗用装置が下降位置にあるときには、機体が前進のみできるようにしたものであるから、不意に後進したりして乗用装置が後方の障害物等に当たって破損したり、搭乗者が危険な目に遇うことが避けられる。機体が前進のみできる具体的手段としては、請求項4に記載の、前後進の切換えを前後進切換えレバーで行い、牽制装置によって前後進切換えレバーが後進位置に入らないようにする手段が考えられる。
【0009】更に、本発明は、請求項5に記載した、機体の後部に乗用装置を付設した野菜収穫機において、この乗用装置を人が乗る下降位置と上方に収納する上昇位置とに亘って回動できるようにするとともに、乗用装置が下降位置にあるときには、機体が低速の作業速のみで進行できるようにしたことを特徴とする乗用装置を付設する野菜収穫機の制御機構を提供する。
【0010】乗用装置が下降位置にあるときには、機体が低速の作業速のみで進行できるようにしたものであるから、搭乗者に不安感を与えず、危険な目に遇わせることもない。作業速のみで進行できる具体的手段としては、請求項6に記載の、作業速と高速との切換えを副変速レバーで行い、牽制装置によって副変速レバーが高速位置に入らないようにする手段が考えられる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1はキャベツや白菜といった結球野菜を引き抜いて収穫する野菜収穫機の左側面図、図2は平面図、図3は背面図である。一般に、結球野菜は圃場に畝を形成して条植えされているから、この野菜収穫機(以下、収穫機)は、この条に沿って進行しながら収穫することになる。このために収穫機は、左右二列のクローラ走行装置1で懸架される機体2を有しており、この機体2に結球野菜を引き抜いて収穫するための作業部として、前部から引抜装置3、茎根部搬送装置4、前部支持装置5、縦搬送装置6、切断装置7、拾上装置8、箱載装置9等が設けられている。
【0012】このうち、引抜装置3、茎根部搬送装置4、前部支持装置5、縦搬送装置6及び切断装置7は、機体2に設けられる支持軸10を中心に前後に回動可能な作業部フレーム11に設けられており、この作業部フレーム11は、機体2との間に介設される油圧シリンダ12で支持軸10を中心に昇降させられるようになっている。これにより、収穫機が非収穫走行をするときには、油圧シリンダ12によって作業部フレーム11を上昇させ、収穫走行するときには、下降させることになる。この他、機体2には、収穫機を走行させるための装備として駆動部13や操縦部14等も設けられている。
【0013】引抜装置3は、機体2の最前部に設けられるものであり、前下がり傾斜平面内で対向面が共に後方に強制回転させられる左右一対の回転体(図示では花弁形ホイル)15を地上すれすれに設けたものである。機体2の進行に伴って花弁形ホイル15は結球部の両側の下面に進入してこれをすくい上げ、茎根部を土中から引き抜く。従って、野菜収穫機を操縦する場合、一対の花弁形ホイル15、15の中心を結球部の中心に合わせることになる。
【0014】茎根部搬送装置4は、引抜装置3の後方にこれと一部重合させて設けられるものであり、傾斜平面内で対向面が共に後方に強制回転させられる左右一対の搬送チェン16からなるものである。この茎根部搬送装置4は、引抜装置3で引き抜かれた結球野菜の茎根部をこの搬送チェン16で挟扼して後上方へ搬送するものであり、後述する縦搬送装置6が結球野菜の結球部を左右から挟扼して後上方へ搬送するのと合わせて結球野菜の姿勢を保つものである。
【0015】又、搬送チェン16の上方には、花弁形ホイル15の後端辺りから始まって搬送チェン16の終端付近まで続き、茎根部を間に通過させる左右一対の擦過板17が設けられている。これにより、引抜装置3で引き抜かれた結球野菜は、茎根部を搬送チェン16で挟扼され、結球部の下面を擦過板17で擦らされながら後上方へと搬送されて行く。このとき、擦過板17と搬送チェン16との上下間隔は、後方に漸拡して設けられているから、搬送される間、茎根部は擦過板17に対しては相対的に下方に引っ張られる状態となり、結球部は擦過板17に押し付けられ、姿勢及び高さ保持が確かなものとなる。尚、この保持が確かになれば、搬送ミス等は生じないし、後続する茎根部の切断に際しても、正確な位置を確実に切断できる。
【0016】前部支持装置5は、上記した茎根部搬送装置4の下方に設けられて結球野菜の植生条を挟んで畝の頂面を滑走する左右一対の橇体18を主体とするものであり、引抜装置3や茎根部搬送装置4等を地上一定高さに保つものである。作業部フレーム11は支持軸10からかなり前方にオーバーハングしており、かつ、圃場の起伏等に従ってピッチングするものであるから、これらを下から支え、地面下に潜り込むのを防ぐためである。尚、橇体18は高さが調整できるようになっている。
【0017】縦搬送装置6は、花弁形ホイル15の後部辺りから機体2の後部にかけて設けられるものであり、茎根部搬送装置4の上方で、茎根部搬送装置4とほぼ平行な前下がりの傾斜平面内で対向側が共に後方に強制回動させられる左右一対の挟持ベルト19からなる。この縦搬送装置6は、引抜装置3で引き抜かれた結球野菜の結球部を挟持してこれを機体2の後方まで搬送するものである。この場合の挟持ベルト19の挟持面は、結球部を傷めない軟らかい弾性材から構成されており、始端と後端とは、共に端側が開いた平面視八字形をしていて結球部の取込みや放出をスムーズにしている。
【0018】茎根部搬送装置4の後端付近には、以上のようにして搬送されて来た茎根部を切断する切断装置7が設けられている。本例の切断装置7は、一方が強制回転させられる二枚の円板刃を交錯させた円板カッター20からなり、これに作用するときに茎根部の付け根と結球部の周囲に存在する鬼葉とを切断するようになっている。尚、円板カッター20の回転平面は、茎根部搬送装置6の回動平面とほぼ平行に設定されており、このときの茎根部は下方を搬送チェン16で引っ張られており、確実に切断される。
【0019】拾上装置8は、機体2の後部で縦搬送装置6の下方に設けられるものであり、後方から見て機体2の右方向に移動しているベルトコンベア21を有するものである。この収穫機においては、通常、補助者(操縦者が兼ねることもある)がベルトコンベア21の後方に付いて歩行しており、補助者は、ベルトコンベア21に落下した結球部を拾い上げ、切断された鬼葉や不要部を取り除く調製作業をしてベルトコンベア21の上方位置で右側部分に設けられているローラコンベア22上に置く。ローラコンベア22は、機体2の右側を下にする傾斜に設けられており、左側に置かれた結球部は右方に滑動するが、右端には堰23が設けられていてそのまま下方に落下することはない。
【0020】尚、ローラコンベア22の終端(右端)は機体2から突出していて後述する箱詰めを容易にしているが、この状態であると、非収穫走行のときに邪魔になることがあるから、機体2内に収納できるように全体を左方に移動できるようにしてある。ところで、ベルトコンベア21は、右端までは至らず途中で終了しており、その終端右方は圃場に通ずるポケット24に形成されている。従って、調製作業で発生した鬼葉や不要部をこの上に載せておけば、そのままポケット24から圃場に放出され、わざわざの遺棄作業は必要ではない。
【0021】箱載装置9は、機体2の右側方に張出される水平な箱載板25からなり、収穫した結球部を詰める箱26を載せるものである。補助者は、上記した調製作業をしながらローラコンベア22上に溜まった結球部をこの箱26に収納して行く。結球部が詰められた箱26は適宜箱載板25の上に積んでおき、適当に溜まった時点で降ろす。尚、収穫機が非収穫走行をする際にこの箱載板25が邪魔になることもあるから、箱載板25を支持軸27の回りに上方回動できるようにして、上方に収納する。
【0022】以上の収穫機には、補助者が乗ることができる乗用装置30が機体2の後部に付設される。この乗用装置30は、左右二本のパイプ材等で左側面視逆L字形に形成したフレーム31と、フレーム31の水平部31aに渡し掛けられるステップ32と、水平部31aの後端から屈曲して上延する垂直部31bの角に取り付けられる一輪タイプの車輪33とからなる。図4はこの乗用装置30の一部断面側面図、図5は要部平面図であるが、この乗用装置30は、機体2の後端にフレーム31の前端を連結して付設される。
【0023】具体的には、機体2を構成する下フレーム34の後端にブラケット等35によって取付棒36を左右に渡設し、この取付棒36から取付板37を後延させ、この取付板37に左右それぞれのフレーム31の前端をピン(連結点)38で枢着している。従って、乗用装置30はピン38を中心に回動できるものとなり、非収穫走行のとき等には全体を上方回動させて収納するようにしている。
【0024】この収納操作を容易にするため、本例では、ガススプリング39で乗用装置30を上方に付勢している。即ち、各々のフレーム31の前端下面から張出板40を取付棒36との干渉を避けて前延させ、一方(中寄り)の張出板40に機体2に枢着されるガススプリング39を連結している。このガススプリング40は、張出板40の左右に二本設けられるが、その付勢力は、乗用装置30を下に降ろしたときにはこれを持ち上げるまでには至らないが、上方回動に伴って回転中心から作用点までの距離が長くなると、途中からは能動的に上方回動できるようになっている。従って、上方回動させるときには、この途中までを持ち上げればよく、その後は自分から進んで上方回動する。
【0025】乗用装置30の上方回動極限点は、ガススプリング40のストロークエンドで決まるようにしてあり、このときの乗用装置30の姿勢は、機体2に干渉しない範囲でもっとも機体2に接近した姿勢になっている。乗用装置30が下降位置にあるか、上昇位置にあるかは判別できなければならないから、張出板40の一方(外寄り)に、これに接離するマイクロスイッチ41を取り付け、乗用装置30が下降位置にあるときはオンになり、上昇位置にあるときとオフとなるようにして判別している。
【0026】乗用装置30の車輪33の接地面は、クローラ走行装置1の一方(左側)のクローラ42の踏面と重複する位置に設定してある。クローラ42の踏過面は押圧されて平坦になっているから、上記のようにすることで車輪33はこの平坦面を沈下や傾きを起こさずに転動でき、安定した姿勢を確保して小さい抵抗で移動できる。この点で、車輪33は方向を変えることができるキャスター機能を持つものが適する。
【0027】更に、乗用装置30は、縦搬送装置6の中心、即ち、搬送ライン(結球野菜の植生条と一致)の後方に取り付けられ、車輪33の接地面はこの搬送ラインを含むように設定してある。調製作業をする補助者はこの位置に立つのが作業がやり易くて姿勢のバランスがよいからであるが、更に、この収穫機では、上記したクローラ42の踏面の中心はこの搬送ラインに設定されているので、クローラ42は植生条を振り分けて畝の頂面を踏圧し、踏面を平坦化する。このことは、収穫機の姿勢を安定させることになり、ひいては結球部の搬送姿勢を安定させる。
【0028】この場合でも、地面には起伏があるが、フレーム31はピン38を中心に回動するから、車輪33はそれに追随して走行する。尚、車輪33の幅はできるだけ広い方が接地圧が小さくて好ましいから、クローラ42の踏面かそれ以上の幅にしておくのが適する。後者にすれば、車輪33の幅がクローラ42の踏面をはみ出ることになるが、大部分は重複しており、問題はない。尚、図示の車輪33は三個並設したものであるが、このようなものも、ここでいう一輪タイプのものであり、合計した幅が接地幅ということになる。この他、車輪33に代えて地面を滑走する橇(図示省略)であってもよい。
【0029】以上の乗用装置30によれば、補助者はステップ32の上に乗ることで、歩行することなく調製作業ができて楽である。この場合、ステップ32の幅は人が乗って作業できる範囲に設定されており、機体2の幅一杯には設けられていない。又、ステップ32にはこの上に付いた泥等を落とすために孔32aが形成されている。フレーム31の垂直部31bは背もたれを構成し、補助者が後方に倒れるのを防いだり、後方にある障害物から身を守るガードの役割も果たす。この意味から、垂直部31bの高さは調整できるものとなっている。
【0030】ところで、以上のステップ32は車輪33の外径ラインよりは低くして地上にできるだけ接近して設けられる(車輪33をフレーム31の水平部31aと垂直部31bの角に設けることでこれが可能になる)。一般に、車輪33は、小径にすれば圃場面の凹凸を拾って乗り心地が悪いものになり、しかも、接地圧が高くなって軟弱地に弱くなる。大径にするとこれらの点は改善されるが、ステップ32の位置が高くなる。そこで、ステップ32を車輪33の前方にかわすことで、比較的大径の車輪33を用いてもステップ32の位置が低くなるようにしたのである。その理由は、拾上装置8のベルトコンベア21の高さは、地面を歩いている補助者が拾い上げるのに適した位置に設定してあるから、この補助者が乗るステップ32の位置が高過ぎると、前かがみの姿勢が強化されて却って苦しいものになるし、振動や傾きも増大し、乗り心地の悪いものになるからである。更に、補助者は後述する箱詰め作業等をするために移動中に乗り降りすることもあるから、これが低いのは安全性にも寄与する。
【0031】収穫機に以上の乗用装置30を付設した場合、収穫機には種々の制御機構が組み込まれる。その一つは、操向装置を構成するサイドクラッチブレーキ機構49のブレーキを効かせての旋回動作は不能になり、クラッチの切断による微小な旋回動作だけが可能になることである。図6はサイドクラッチブレーキ機構49の模式図であるが、この収穫機における旋回は、ミッションケースに収容される左右の車軸50に駆動力を伝達される一つの駆動ギア51を遊嵌し、この駆動ギア51の駆動力を左右の車軸50にスライド可能に固嵌される各々のクラッチ体52を係脱して行うようにしている。そして、クラッチ体52の係脱を操縦部14に設けられる操向レバー53の左右への傾倒動作で行っている。
【0032】即ち、操向レバー53を左右に倒すと、当該側だけが回動動作をする二つの操作体54を設けるとともに、各々の操作体54と各クラッチ体52に係脱動作を与える操作アーム55とを操作ワイヤ56で連結している。これにより、例えば、操向レバー53を右に倒すと、左側の操作体54が回動してこれに繋がる操作ワイヤ56を引っ張って右側の操作アーム55を動かし、駆動ギア51とクラッチ体52の係合を解く。同時にクラッチ体52は駆動ギア51と反対側にあるミッションケースの壁等の固定部材57に押し付けられて車軸50にブレーキを効かせ、機体2は比較的小さな旋回半径で右旋回をするのである。この点で、操向レバー53の倒し量でブレーキ力が調整され、旋回半径が決まるものとなる。
【0033】これに対してクラッチの切断による旋回とは、サイドクラッチレバー58の左右への傾倒動作によって同じく該当する側の駆動ギア51とクラッチ体52との係合を解くものであるが、クラッチ体52をその位置に留めて固定部材57に押し付けない。従って、車軸50にはブレーキ力は付与されず、サイドクラッチレバー58の操作による旋回は、旋回半径の大きなものとなるが、実際の操作では、これを細かに左右に傾倒する動作を連続させて微旋回を繰り返すものとなる。又、サイドクラッチレバー58は常に中立位置側に付勢されており、手を離すと自然に中立位置に戻り、旋回は解消されるようになっている。尚、サイドクラッチレバー58の左右の傾きはマイクロスイッチ59が感知し、これによってソレノイドバルブ60を切り換えて油圧シリンダ61を作動させて操作アーム55を動かす電気式であり、小さな操作力で鋭敏に反応するものである。
【0034】サイドクラッチレバー58は、小さな傾倒角度で作動し、微旋回に多く用いられるものであるから、収穫作業中に頻繁に使用される。このため、サイドクラッチレバー58は、通常旋回レバー53に付設してある。又、本例では、拾上装置8の部分にも設けており、補助者が操作できるようにしている。操縦者が補助者を兼ねる、所謂、一人作業のときでも、これを操作して条合わせができるようにしたものである。
【0035】更に、乗用装置30を下降させたときには、ブレーキによる旋回動作は不能になり、クラッチの切断による微小な方向転換のみが可能になるようにして搭乗者の安全を図っている。このため、本例では、操向レバー53を中立位置にロックしてこれを操作できない規制装置62を設けている。図7はこの規制装置62の一例を示す操縦部14における操向レバー53の平面図であるが、操向レバー53は、ガイド孔63中を左又は右へ動かせるようになっているが、乗用装置30が下降しているときには、上記したマイクロスイッチ41がオンになっているから、これでソレノイド等64を働かせて操向レバー53を中立位置にホールドするロック体65を突出させる構造によっている(66は復帰用のばね)。
【0036】乗用装置30が下降しているときに行われる収穫機の制御機構の二つ目は、この状態のときには収穫機が後進できないようにすることである。操縦者は前を向いて操縦に専念していることから、乗用装置30が下降していることを往々にして忘れることがある。そこで、この状態のときには、乗用装置30に人が乗っているかいないかにかかわらず、後進操作ができないようにして安全を図ったものである。本例では、牽制装置67によって前後進を制御する前後進切換えレバー(主変速レバー)68を後進位置に操作できないようにしている。
【0037】図8はこの牽制装置67の一例を示す操縦部14に設けられる主変速レバー68の平面図であるが、この種の収穫機は、HST等の無段変速機を主変速装置として使用しており、主変速レバー68は、ガイド孔69中を中立(N)を挟んで前進位置(F)と後進位置(R)に動かせるようになっており、かつ、変位量が大きいほど高速になる構造である。そこで、上記したマイクロスイッチ41がオンになると、主変速レバー68の移動経路中にこれが後進位置に動かないようにソレノイド等70で牽制棒71を突出させている。
【0038】乗用装置30が下降しているときに行われる収穫機の制御機構の第三は、収穫機の速度を高速にはできないようにすることである。本例では、牽制装置72によって主変速装置に付設される副変速装置を制御する副変速レバー73を高速位置には操作できないようにしている。図9はこの牽制装置72の一例を示す副変速レバー73の平面図であるが、この種の収穫機では、HST等に入力又出力される伝動軸を高速と低速とに切り換えるギア変速機構からなる副変速装置(図示省略)を装備しており、収穫走行時には低速(作業速)、非収穫走行時には高速にできるようにして有用性を高めている。そこで、これも同じく、上記したマイクロスイッチ41がオンになると、ガイド孔74で案内される副変速レバー73の移動経路中にこれが高速位置に動かないようにソレノイド等75によって牽制棒76を突出させている。
【0039】
【発明の効果】以上、本発明によれば、乗用装置が下降しているときには、収穫機が急旋回や後進及び高速走行ができないようにしたものであるから、これに人が乗っているときでも、安全が図られる。
【出願人】 【識別番号】000005164
【氏名又は名称】セイレイ工業株式会社
【出願日】 平成13年3月9日(2001.3.9)
【代理人】 【識別番号】100088993
【弁理士】
【氏名又は名称】板野 嘉男
【公開番号】 特開2002−262638(P2002−262638A)
【公開日】 平成14年9月17日(2002.9.17)
【出願番号】 特願2001−66521(P2001−66521)