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【発明の名称】 歩行型根菜類収穫機および歩行型根菜類収穫機用の補助車輪装置
【発明者】 【氏名】田中 稔

【氏名】関 常俊

【氏名】池田 哲男

【氏名】千葉 博之

【氏名】伊藤 宰

【氏名】阪辻 隆雄

【要約】 【課題】マルチ掛けされた畝で栽培された根菜類を機械的に収穫するのに有効に活用することのできる操縦性に優れた収穫機を得る。

【解決手段】幅広の平畝を跨ぐ左右一対の駆動車輪2に対して収獲部Bを横一側方に偏らせある歩行型根菜類収穫機において、マルチシートSから突出している葉茎Wbを挟持して後方上方に搬送する挟持引上げ搬送装置12を、地面近くから後方上方に向けて傾斜配備し、この挟持引上げ搬送装置12の始端部の下方近傍に葉切り装置60を配備するとともに、畝の横外側から根菜Wの下方にまで突入される土切り崩し体41を、葉切り装置60の切断箇所より後方箇所に配備し、収獲部が偏在する側の駆動車輪2に、走行地面にくい込み作用する複数のスパイク部材71を出退可能に備えた補助車輪装置70を取付けてある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 幅広の平畝を跨ぐ左右間隔をもって機体後部に配備された左右一対の駆動車輪に対して機体前部の収獲部を横一側方に偏らせて配置してある歩行型根菜類収穫機であって、前記収獲部に、畝に掛けられたマルチシートの植付け孔から突出している葉茎を挟持して後方斜め上方に向けて搬送する挟持引上げ搬送装置を、地面近くから後方上方に向けて傾斜配備し、この挟持引上げ搬送装置における始端部の下方近傍に葉切り装置を配備するとともに、マルチシートが掛けられた畝の横外側から突入されて畝に植付けられている根菜の下方にまで入り込まれる土切り崩し体を、前記葉切り装置の切断箇所より後方箇所に配備し、前記収獲部が偏在する側の前記駆動車輪に、走行地面にくい込み作用する複数のスパイク部材を備えてあることを特徴とする歩行型根菜類収穫機。
【請求項2】 前記スパイク部材を、車輪回転方向に板面を向かわせた板片で構成してしてあることを特徴とする請求項1記載の歩行型根菜類収穫機。
【請求項3】 前記スパイク部材を、車輪外径より突出する作用姿勢と、車輪外径より中心側に退入する格納姿勢とに切換え可能に構成してあることを特徴とする請求項1または2記載の歩行型根菜類収穫機。
【請求項4】 前記土切り崩し体の前方に、畝に掛けられたマルチシートの裾に作用するシートめくり上げ用補助具を配備してあることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の歩行型根菜類収穫機。
【請求項5】 幅広の平畝を跨ぐ左右間隔をもって機体後部に配備された左右一対の駆動車輪に対して機体前部の収獲部を横一側方に偏らせて配置した根菜類収獲機に用いる補助車輪装置であって、前記駆動車輪の横外側に、周方向に並ぶ複数の分割ホイール部材を取付け、各分割ホイール部材のそれぞれに複数のスパイク部材を備えるとともに、各分割ホイール部材を車輪軸心に対して半径方向に位置変更および固定自在に構成し、分割ホイール部材が半径方向外側の作用位置にある時、前記スパイク部材が駆動車輪の外径から突出するとともに、分割ホイール部材が半径方向内側の格納位置にある時、前記スパイク部材が駆動車輪の外径より内側に退入するよう構成してあることを特徴とする歩行型根菜類収穫機用の補助車輪装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、玉ねぎ、人参、大根、ニンニク、などの根菜類の収穫に利用する歩行型の収穫機、およびこれに装備されるゲージ輪の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】上記収穫機の一例である玉ねぎ収穫機としては、例えば、特開平9−191741号公報で開示されたものが知られている。この玉ねぎ収穫機は、係止爪を前方側に向けて突出させた姿勢で地面近傍から後方斜め上方に向けて移動させて圃場にある玉ねぎの葉茎を引き上げる縦回し型の葉茎引上げ装置と、この葉茎引上げ装置によって引き上げられた葉茎を、係止爪を横方向に向けて突出した姿勢で後方斜め上方に向けて移動させて掻き上げる横回し型の葉茎掻上げ装置と、この葉茎掻上げ装置によって掻き上げられた葉茎を挟持して後方斜め上方に向けて挟持搬送する挟持引上げ搬送装置とを備え、機体を玉ねぎ条に沿って前進移動させることで、先ず、倒れ込んでいる葉茎を葉茎引上げ装置によって引き上げ、次いで、引き上げられた葉茎を左右の葉茎掻上げ装置で掻上げて挟持引上げ搬送装置の始端部に導き、この挟持引上げ搬送装置で葉茎を挟持して後方斜め上方に向けて搬送することで、玉ねぎを圃場から抜き上げ、その後、葉切り処理、等を施して玉ねぎ本体を圃場面に放出してゆくよう構成されており、4条の玉ねぎが植付けられた幅広の平畝をまたいで往復走行することで、進行方向左側の2条づつを収穫することができるものとなっている。また、この玉ねぎ収穫機においては、玉ねぎの抜き上げを容易にするために、一行程で収穫すべき2条の玉ねぎの周辺土壌を膨軟化する土切り崩し体が、畝の左側および畝上の中央から畝に突入されている。
【0003】上記構成は、畝の土壌が露出された、いわゆる露地栽培された玉ねぎの収穫に対応して構成されたものであり、畝にマルチシートを掛けて栽培する形態の圃場においては、畝に掛けられたマルチシートによって根菜の抜き上がりが阻止されるので、所望の引上げ搬送を行うことができないものであり、また、マルチシートの掛けられた畝上の中央から土切り崩し体を畝に突入することもできないものであった。
【0004】そこで、従来では、マルチ掛けされた畝での収穫に際しては、収穫機による収穫を行う前に、マルチシートを人手によって除去していた。しかし、マルチシートの植付け孔から出た葉茎は周囲に広く張り出しており、マルチシートだけを簡単にめくり上げるわけにはゆかず、マルチシートを切り破りながら除去することになり、このシート除去作業に多大な労力と時間を必要とするものであった。
【0005】そこで、特開2000−270641号公報で示されるように、従来の歩行型玉ねぎ収獲機の構成を少し改造することで、マルチ栽培された玉ねぎの収獲を容易に行える手段が提案された。この提案手段では、機体を畝に沿って走行させることで、マルチシートの上に出ている葉茎を葉茎引上げ装置によって引き上げ、挟持引上げ搬送装置に受け継いで直ちに切断し、切断した葉茎を挟持引上げ搬送装置によって後方に搬出し、その後、葉茎が切断除去されてめくり易くなったマルチシートをめくり取ることで、葉切りされて畝上に残し置かれている玉ねぎを回収してゆくことができるものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記手段を用いてマルチ栽培された玉ねぎを収獲するに当たり、新たな不具合が発生することが判明した。つまり、畝を跨いで機体を走行させてマルチシートの上に出ている葉茎を切り取る行程において、収獲部が畝に対して横一側に偏在しているので、収穫部に働く前進抵抗が左右の駆動車輪に対しては偏ったものになるのみならず、マルチシートの掛けられた畝の上からは土切り崩し体を突入させることができないので、畝の横外側から長い土切り崩し体を突入させることになり、この土切り崩し体に働く前進抵抗も左右の駆動車輪に対しては偏って作用し、機体全体は収獲部が偏在する側に斜行する傾向がでる。特に、畝底に枯葉や雑草が溜まっていたり、ぬかるんでいたりすると、駆動車輪がスリップしやすくなって一層斜行しやすくなるものであった。従って、機体後部から歩行追従しながら機体操縦を行う運転作業者は、頻繁に向き修正操作を行ったり、操縦ハンドルに力をかけて機体の振れを阻止しなければならず、操縦に多大な労力を必要とすることがあった。
【0007】本発明は、このような実情に着目してなされたものであって、マルチ掛けされた畝で栽培された根菜類を機械的に収穫するのに有効に活用することのできる操縦性に優れた収穫機、および、この収獲機に好適に使用することのできる補助車輪装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】〔請求項1に係る発明の構成、作用および効果〕
【0009】(構成) 請求項1に係る発明は、幅広の平畝を跨ぐ左右間隔をもって機体後部に配備された左右一対の駆動車輪に対して機体前部の収獲部を横一側方に偏らせて配置してある歩行型根菜類収穫機であって、前記収獲部に、畝に掛けられたマルチシートの植付け孔から突出している葉茎を挟持して後方斜め上方に向けて搬送する挟持引上げ搬送装置を、地面近くから後方上方に向けて傾斜配備し、この挟持引上げ搬送装置における始端部の下方近傍に葉切り装置を配備するとともに、マルチシートが掛けられた畝の横外側から突入されて畝に植付けられている根菜の下方にまで入り込まれる土切り崩し体を、前記葉切り装置の切断箇所より後方箇所に配備し、前記収獲部が偏在する側の前記駆動車輪に、走行地面にくい込み作用する複数のスパイク部材を備えてあることを特徴とする。
【0010】(作用) 上記構成によると、機体を畝に沿って走行させると、マルチシート上に突出した葉茎は挟持引上げ搬送装置で挟持されて後方上方へ引上げ搬送され、これに伴ってマルチシート下方の根菜本体は、マルチシートとともに畝から引き上げられ、大きく引き上げられるまでに葉茎がマルチ用の葉切り装置の切断箇所に到達して切断され、切断された葉茎は引き続き挟持引上げ搬送装置で挟持搬送されてゆくとともに、葉切りされた根菜本体はマルチシートの下において畝上に残し置かれる。その後、突出していた葉茎が切断除去された状態のマルチシートを人手あるいは巻取り装置によってめくり上げ除去し、畝上に残し置かれた根菜本体を適宜手段で回収してゆく。
【0011】この場合、少なくとも収獲部が偏在している側の駆動車輪はスパイク部材を介して地面をしっかりとらえてスリップすることなく均等に推進力を発揮するので、左右駆動車輪に対して偏って配置された収獲部や土切り崩し体に作用する前進抵抗で機体が収獲部が偏在している側に振られようとしても、スパイク部材付きの駆動車輪がこれに耐えながら機体を直進させてゆく。
【0012】(効果) 従って、請求項1に係る発明によると、マルチ掛けされた畝で栽培された根菜類の収穫において、土切り崩し体に働く偏った前進抵抗などによって機体が横に振られることを駆動車輪自体で抑制することができ、頻繁な機体向き修正操作や大きい力を掛けながらのハンドル操作が不要となり、操縦性を向上することができた。
【0013】〔請求項2に係る発明の構成、作用および効果〕
【0014】(構成) 請求項2に係る発明は、請求項1の発明において、前記スパイク部材を、車輪回転方向に板面を向かわせた板片で構成してしてあることを特徴とする。
【0015】(作用・効果) 上記構成によると、車輪回転方向に板面を向かわせた板片からなるスパイク部材は大きい推進力を発揮するとともに、地面にくい込んだスパイク部材は機体の横振れに対して抵抗をもたらし、請求項1の発明の上記効果を助長する。
【0016】〔請求項3係る発明の構成、作用および効果〕
【0017】(構成) 請求項3に係る発明は、請求項1または2の発明において、前記スパイク部材を、車輪外径より突出する作用姿勢と、車輪外径より中心側に退入する格納姿勢とに切換え可能に構成してあることを特徴とする。
【0018】(作用 効果) 上記構成によると、圃場での収獲作業時には、スパイク部材を作用姿勢にと突出させることで、機体の横振れを抑えた直進性に優れた走行を行うことができ、また、圃場外での移動走行時には、スパイク部材を格納姿勢に切換えることで、不快な振動のない円滑な走行を行うことができ、走行条件によってスパイク部材付き車輪とスパイク部材を備えない一般的な車輪とを交換するような煩わしい操作を行わなくても、駆動車輪にスパイク部材を装着したままで、走行条件に適した接地形態を簡単に得ることができ、取り扱い性で優れたものとなる。
【0019】〔請求項4に係る発明の構成、作用および効果〕
【0020】(構成) 請求項4に係る発明は、請求項1〜3のいずれか一項の発明において、前記土切り崩し体の前方に、畝に掛けられたマルチシートの裾に作用するシートめくり上げ用補助具を配備してあることを特徴とする。
【0021】(作用・効果) 上記構成によると、前もってシートめくり上げ用補助具がマルチシートの裾をめくり上げて土切り崩し体に導くので、土切り崩し体の畝への突入箇所にマルチシートが引っ掛かって引きずられてしまうようなことが未然に回避され、土切り崩し体を円滑に前進させることができる。この場合、シートめくり上げ用補助具の導入によって機体を斜行させる前進抵抗が一層大きくなるおそれがあるが、スパイク部材を備えた駆動車輪の確実な推進力によって機体の直進性が確保される。
【0022】〔請求項5に係る発明の構成、作用および効果〕
【0023】(構成) 請求項5に係る発明は、幅広の平畝を跨ぐ左右間隔をもって機体後部に配備された左右一対の駆動車輪に対して機体前部の収獲部を横一側方に偏らせて配置した根菜類収獲機に用いる補助車輪装置であって、前記駆動車輪の横外側に、周方向に並ぶ複数の分割ホイール部材を取付け、各分割ホイール部材のそれぞれに複数のスパイク部材を備えるとともに、各分割ホイール部材を車輪軸心に対して半径方向に位置変更および固定自在に構成し、分割ホイール部材が半径方向外側の作用位置にある時、前記スパイク部材が駆動車輪の外径から突出するとともに、分割ホイール部材が半径方向内側の格納位置にある時、前記スパイク部材が駆動車輪の外径より内側に退入するよう構成してあることを特徴とする。
【0024】(作用) 上記構成によると、圃場での収獲作業時には、各分割ホイール部材を半径方向外方に位置変更してスパイク部材が突出する作用姿勢に切換え、圃場外での移動走行時には、各分割ホイール部材を半径方向内方に位置変更してスパイク部材が退入する格納姿勢に切換えればよく、駆動車輪にスパイク部材を装着したままで、走行状態に適した形態を簡単に得ることができる。
【0025】(効果) 請求項5の発明によると、数少ない分割ホイール部材を駆動車輪の横外側において位置変更するだけで、数多くのスパイク部材を出退することができ、車輪交換のような手間をかけることなく、圃場内での使用に適した状態と、路上走行などに適した状態とに簡単に変更することができ、偏った前進抵抗が発生する根菜類収獲機の補助車輪装置として有効に利用することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明を歩行型玉ねぎ収穫機に適用した実施形態の一例を図面に基づいて説明する。
【0027】この玉ねぎ収穫機は、基本的には露地栽培時の収獲用の仕様(露地仕様)に構成されており、その露地仕様に設定された玉ねぎ収穫機が図17〜図24に示されている。また、その基本構成に一部改造を加えることで、マルチ掛けされた畝での収獲用の仕様(マルチ仕様)に設定することができるようになっており、マルチ仕様に設定された玉ねぎ収穫機が図1〜図11に示されている。
【0028】先ず、基本構成である露地仕様の構成を図17〜図24に基づいて説明する。この玉ねぎ収穫機は、幅広の平畝上に栽培された4条の玉ねぎ(根菜)Wの内の進行方向右側2条を収穫するよう構成されたものであり、ループ状の操縦ハンドル1が備えられた3輪走行式の走行機体Aの前部に2条堀り仕様の収穫部Bが装備された構造となっている。
【0029】前記走行機体Aは、畝をまたぐ左右一対の駆動車輪2と右側の畝底を移動する一つのゲージ輪3が備えられており、機体後部に搭載したエンジン4からの動力がミッションケース5で変速された後、車軸ケース6よびチェーンケース7を介して左右の駆動車輪2に伝達されるようになっている。駆動車輪2自体は、リムにラグを焼き付けて一体形成したゴム車輪が利用されており、畝幅に応じて車輪トレッドを変更できるように、左側の車軸ケース6を伸縮して左側の駆動車輪2を左右に位置変更できるよう構成されている。またゲージ輪3は、手元ハンドル8を回転操作することで無段階に上下位置を調節可能に構成されており、この調節によって収穫部Bの対地高さを畝高さ等に応じて任意に決めることが可能となっている。
【0030】収穫部Bには、収穫すべき2条の玉ねぎWの葉茎Wbの両脇に位置する縦回し型の葉茎引上げ装置10、その後方に位置する横回し型の葉茎掻上げ装置11、さらにその後方に位置する挟持引上げ搬送装置12、挟持引上げ搬送装置12の始端側の下方に位置する土崩し装置13、挟持引上げ搬送装置12の下方に位置する位置揃え装置14、挟持引上げ搬送装置12と位置揃え装置14との間に位置する葉切りカッタ15、位置揃え装置14の後部に位置する姿勢揃え装置16、が基本的に備えられており、以下に各部の詳細な構成および機能を説明する。
【0031】〔葉茎引上げ装置10(露地仕様)〕
【0032】縦回し型の葉茎引上げ装置10は、ケース21の上下に備えたスプロケット間に巻回されて縦回し駆動されるチェーン22に多数の係止爪23を起伏自在に連結して、係止爪23を前方側に向けて突出させた姿勢で地面近傍から後方斜め上方に向けて移動させて玉ねぎWの葉茎Wbを引き上げるよう構成されたものであり、2条の玉ねぎWそれぞれの左右両脇で作用するように配備されている。
【0033】ここで、葉茎引上げ装置10は以下のように駆動されている。つまり、図24の伝動系統図に示すように、ミッションケース5の前部に設けた作業用動力出力部24に、PT0クラッチ25を介して動力伝達が断続されるPTO軸26が横架され、このPTO軸26の左端から前方に向けて延出された前向き伝動軸27の前端に、葉茎引上げ装置駆動用の横向き伝動軸28が横架され、この横向き伝動軸28によって3本の葉茎引上げ装置10が駆動さるようになっている。
【0034】〔葉茎掻上げ装置11(両仕様共用)〕
【0035】横回し型の葉茎掻上げ装置11は、ケース31の上下に備えたプーリ間に巻回されて横回し駆動されるベルト32に多数の係止爪33を連設し、この係止爪33を横方側に向けて突出させた姿勢で地面近傍から後方斜め上方に向けて移動させて、玉ねぎWの葉茎Wbを掻き上げるよう構成されたものであり、左右一対のベルト32が、互いのの係止爪33が重複するように対向して配備され、葉茎引上げ装置10によって引き上げられた2条の玉ねぎWの葉茎Wbが、両ベルト32の始端部で左右から掻き集められた後、後方上方へへ掻き上げられるようになっている。
【0036】この場合、葉茎掻上げ装置11は、係止爪33を横回し移動させて葉茎Wbを掻上げるので、前後方向に向いている葉茎Wbに対しては係止爪33が大きく交差するようにして確実に係止するので、葉茎引上げ装置10によって引き上げられられなかっても、上記したように前向きに倒れた姿勢に修正されることで、葉茎掻上げ装置11による掻き上げ作用を確実に受けることができ、全ての葉茎Wbがもれなく掻き上げられる。
【0037】〔挟持引上げ搬送装置12(両仕様共用)〕
【0038】挟持引上げ搬送装置12は、上下のプーリ間に巻回されて横回し駆動される左右一対の幅広の挟持ベルト34を対向配備して構成されたものであり、葉茎掻上げ装置11によって掻き集められたた2条の玉ねぎWの葉茎Wbを左右の挟持ベルト34で強く挟持して後方上方に移動することで、畝上にある2条の玉ねぎWを引き上げて後方上方に吊り下げ搬送するよう構成されている。
【0039】なお、図24に示すように、PTO軸26からウオーム減速機構36およびチェーン37を介して取出された動力で、挟持引上げ搬送装置12における左側の挟持ベルト34が駆動されるとともに、この左側の挟持ベルト34の前端から取出された動力で葉茎掻上げ装置11における左側のベルト32が駆動される。また、前記チェーン37の中間に連動連結した伝動軸38を介して取出された動力で、挟持引上げ搬送装置12における右側の挟持ベルト34が駆動されるとともに、この右側の挟持ベルト34の前端から取出された動力で葉茎掻上げ装置11における右側のベルト32が駆動されるようになっている。
【0040】〔位置揃え装置14(露地仕様専用)〕
【0041】位置揃え装置14は、露地仕様において使用されるものであって、前後のプーリ間に巻回されて横回し駆動される左右一対の案内ベルト47を対向配備して構成され、前後方向に略水平に設置されている。従って、この位置揃え装置14とその上方の挟持引上げ搬送装置12との間隔が、搬送方向後方側ほど大きくなっており、挟持引上げ搬送装置12で葉茎を挟持されて斜め後方上方に搬送される玉ねぎWの葉茎Wbを左右の案内ベルト47の間に導入することで、挟持引上げ搬送装置12によって上方に引き上げられようとする玉ねぎ本体を案内ベルト47の下面で受け止めて、それ以上の上方移動を阻止することで、玉ねぎ本体Waの高さを一定に揃えるように構成されているのである。なお、図24に示すように、この位置揃え装置14における左右の案内ベルト47は、葉茎掻上げ装置11における左右のベルト32の後端から取出した動力でそれぞれ駆動されるようになっている。
【0042】ここで、挟持引上げ搬送装置12における左右の挟持ベルト34による葉茎挟持力は、圃場からの玉ねぎ引上げを行う搬送前端側では強く、位置揃え装置14との協働で玉ねぎ本体Waの高さを揃える搬送領域では挟持力を弱くして、位置揃え装置14によって上方移動が阻止された玉ねぎWの葉茎Wbが挟持引上げ搬送装置12から相対的に下方に引き抜かれるようになっている。
【0043】〔葉切りカッター15(露地仕様専用)〕
【0044】葉切りカッター15は、露地仕様において使用されるものであって、前記PTO軸26から屈伸可能に連設された一対のチェーン伝動機構48,49の前端部に装備された単一の円盤カッタとして構成され、直線スライド案内機構50に沿って上下に位置調節することが可能となっている。従って、前記位置揃え装置14によって玉ねぎ本体Waの高さが揃えられた玉ねぎWの葉茎Wbを切断するとともに、その作用位置を調節することで、玉ねぎ本体Waに切り残される葉茎Wbの長さを調節することができるようになっている。
【0045】〔土崩し装置13(露地仕様)〕
【0046】図19〜図23に示すように、土崩し装置13は、挟持引上げ搬送装置12による玉ねぎWの畝からの引抜きを容易にするものであり、畝肩の裾近くおよび畝の上面から機体進行方向右側の2条の玉ねぎWの下方にまで入り込むよう正面視L字状に屈折された左右一対の土切り崩し体41によって構成されている。各土切り崩し体41は、機体フレーム9の前部に支点a周りに前後揺動可能に枢支されるとともに、その上方延出端と前記PTO軸26の右端に備えた偏心クランク部43とがロッド44で連動連結され、偏心クランク部43を介してロッド44が押し引き駆動されることで、土切り崩し体41が支点a周りに一定の小ストロークで前後に揺動駆動され、玉ねぎWの下方の土を崩して膨軟化することで、挟持引上げ搬送装置12によって葉茎Wbを挟持されて引上げられる玉ねぎWが無理なく抜き上げられるようになっている。
【0047】〔姿勢揃え装置16(露地仕様専用)〕
【0048】姿勢揃え装置16は、位置揃え装置14の終端側に搬送経路を挟んで配備されたガイドバー51およびガイド板52と、左側の案内ベルト47の終端から取出した動力で駆動される突起付きベルト53とからなり、葉切りされた後、切り残された葉茎Wbを左右の案内ベルト47によって挟持されて後方に搬送されてきた玉ねぎ本体Waを、ガイドバー51とガイド板52とのよって回収しやすい横向き姿勢に修正して畝上に強制放出してゆくように構成されている。
【0049】露地仕様の玉ねぎ収穫機は以上のように構成されており、平畝に露地栽培されている4条の玉ねぎWに対して、一行程の前進で進行方向右側の2条の玉ねぎWを引き抜いて所定の長さで葉切り処理し、畝の上に放置してゆくことになる。そして、その後、葉切りされて畝上に残し置かれた玉ねぎWを機械式あるいは人手によって回収してゆく。
【0050】次に、マルチ仕様の玉ねぎ収獲機の構成を図1〜図11に基づいて説明する。このマルチ仕様の基本的な構成は、上記した露地仕様と同様であり、露地仕様のものと同一の部品および機能部位には同一の符号を付して、重複した説明を省略し、構造が相違している部位について以下に説明する。
【0051】〔葉茎引上げ装置10(マルチ仕様)〕
【0052】このマルチ仕様においては、右側の玉ねぎ条の右外側に2本の葉茎引上げ装置10が並列配備され、全体として4本の葉茎引上げ装置10が使用されている。図11の伝動系統図に示すように、横向き伝動軸28によって左側2本の葉茎引上げ装置10(1) ,10(2) が駆動されるとともに、右側2本の葉茎引上げ装置10(3) ,10(4) は、補助チェーン伝動装置29を介して後端駆動位置を順次ずらして駆動されている。そして、右側の玉ねぎ条の直右側に位置する葉茎引上げ装置葉茎引上げ装置10(3) は、左側2本の葉茎引上げ装置10(1) ,10(2) よりも後傾斜され、ケース前端が左側2本の葉茎引上げ装置10(1) ,10(2) のケース前端よりも前方下方に突出されている。また、最右側の葉茎引上げ装置10(4) は、その内側の葉茎引上げ装置10(3) よりも更に大きく後傾斜され、そのケース前端が内側の葉茎引上げ装置10(3) のケース前端よりも更に前方下方に突出されている。なお、各葉茎引上げ装置10の係止爪23は、弾性変形が容易な軟質の樹脂で成形されたものに構成されている。
【0053】〔葉切り装置60(マルチ仕様専用)〕
【0054】マルチ仕様においては、挟持引上げ搬送装置12の始端部の下方に、挟持引上げ搬送装置12によって挟持搬送され始めた玉ねぎWの葉茎Wbを切断する葉切り装置60が配備されている。この葉切り装置60は、位置揃え装置14を構成する左右の案内ベルト47を巻回した前部プーリ39からチェーン61を介して取出した動力で左右の円盤状の回転刃62を駆動するよう構成されている。また、各回転刃62の下には、ゴム製の厚肉円盤状の回転体63がそれぞれ連結され、各回転刃62と一体に回転駆動されるようになっており、葉茎Wbを左右から挟持して後方へ搬送するとともに、玉ねぎ本体Waが引き上げられて回転刃62に接触するのを回転体63で受け止め阻止することで、玉ねぎ本体Waが傷つくことが回避されるようになっている。
【0055】また、回転体63の外周面には掻込み突起64が突設されており、葉切り装置60に導入されかかる玉ねぎWの葉茎Wbを左右から掻き込んで回転体63で挟持搬送するようになっている。ここで、回転刃62は、チェーン61による伝動において増速されて駆動されており、これに伴って回転体63も高速で回転駆動される。この場合、回転体63の周速度、つまり、回転体63による後方への挟持搬送速度は、挟持引上げ搬送装置12および位置揃え装置14による後方への搬送速度よりも速くなるように設定されている。
【0056】〔土崩し装置13(マルチ仕様)〕
【0057】図5および図7に示すように、マルチ仕様における土崩し装置13は、葉切りされて畝に残された玉ねぎ本体Waの周辺の土を切り崩して、後の引上げ回収を容易に行えるようにするものであり、畝肩の裾近くから右2条の玉ねぎWの下方にまで入り込むよう正面視L字状に屈折されたの土切り崩し体41と、この土切り崩し体41の直前方位置の若干外側において畝肩の裾近くに突入するシートめくり上げ用補助具42とからなり、土切り崩し体41は機体フレーム9の前部に支点a周りに前後揺動可能に枢支されるとともに、その上方延出端と前記PTO軸26の右端に備えた偏心クランク部43とがロッド44で連動連結され、偏心クランク部43を介してロッド44が押し引き駆動されることで、土切り崩し体41が支点a周りに一定の小ストロークで前後に揺動駆動され、玉ねぎWの下方の土を崩して膨軟化することで、玉ねぎWが無理なく抜き上げられるようになっている。
【0058】また、シートめくり上げ用補助具42も支点b周りに前後揺動可能に枢支されるとともに、連係ロッド45を介して土切り崩し体41に連動連結され、土切り崩し体41の前後揺動に同期して前後に揺動駆動されるようになっており、畝肩の裾部を切り崩しながら前進移動することで、後続の土切り崩し体41の土中への突入抵抗を軽減するとともに、畝に掛けられたマルチシートSの右側の裾を少し押し上げてめくり上げながら前進する。このように、シートめくり上げ用補助具42によってマルチシートSの右側の裾を自由にしてめくり上げが容易な状態にしておくことで、後続する土切り崩し体41によるマルチシートSのめくり上げが無理なく円滑に行われる。また、このシートめくり上げ用補助具42からは、このシートめくり上げ用補助具42ですくい上げたマルチシートFの裾を土切り崩し体41にまで案内して、マルチシートSが土切り崩し体41に引っ掛けられるのを回避するためのシート案内部46が延出されている。
【0059】このように葉切りを行いながら機体が通過した後は、切り残された短い葉茎がマルチシートSの栽培孔から突出している状態となり、マルチシートSは切り残された葉茎Wbに邪魔されることなく簡単にめくり上げることができる。そして、マルチシートSをめくり取ると、畝上には短く葉切りされた根菜本体Waが浮き上がった状態で並んでおり、これを適宜手段で回収すればよい。
【0060】〔推進構造〕
【0061】収獲部が左右の駆動車輪2に対して横方向に偏在しているこの玉ねぎ収獲機は収獲部の偏在側(この例では右側)に斜行しやすいものであり、その上に、マルチ仕様においては、収獲部の偏在側から横に長い土切り崩し体41を畝に突入させるので、この土切り崩し体41に働く前進抵抗などで一層機体が収獲部の偏在側に振られやすいものとなるが、前記駆動車輪2に補助車輪装置70を付設することで、機体の斜行が抑制されている。
【0062】つまり、図9〜図11に示すように、補助車輪装置70は、複数(この例では4個)のスパイク部材71を放射状に固着した同一仕様の3枚の分割ホイール部材72を、駆動車輪2の横外側に周方向に並べて取付けるよう構成されたものであり、分割ホイール部材72は、数mm程度の厚さの金属板で部分円弧形状に形成されるとともに、スパイク部材71は、その板面が周方向に向かう厚さ数mmの板片で形成されて、分割ホイール部材72に直交して溶接固定されている。
【0063】上記補助車輪装置70が取付けられる駆動車輪2は、ボス2aとリム2bとを3本のスポーク2cで連結するとともに、リム2b全周に焼き付け形成したゴム被覆2dに多数の推進ラグ2eを一体形成したものが利用されており、各スポーク2cに補助車輪装置70を装着するための取付け座73が設けられている。他方、補助車輪装置70の分割ホイール部材72の両端近くには、一対の長孔74,75が形成され、この長孔74,75に挿通したボルト76によって分割ホイール部材72を隣接するスポーク2cの取付け座73に亘って締め付け固定するようになっている。
【0064】前記長孔74,75は、車輪軸心を通過する半径線と平行に形成されており、ボルト76を弛めることで、各分割ホイール部材72を半径方向に一定範囲で移動し、長孔74,75の限界においてボルト76を締め込むことで、分割ホイール部材72外方に移動させた作用位置と、内方に移動させた格納位置に切換え固定可能となっている。そして、図8,図10に示すように、前記作用位置では、全分割ホイール部材72が一連の円弧状に並ぶとともに、全スパイク部材71が駆動車輪2の外径よりも突出し、また、図9に示すように、前記格納位置では、全スパイク部材71が駆動車輪2の外径内に退入されて、駆動車輪2だけが接地するように長孔74,75の範囲が設定されている。
【0065】また、分割ホイール部材72における各長孔74,75の内側のエンドは、車輪前進回転方向Fに向けて屈曲延長されており、作用状態では、この延長部74a,75aにボルト76が位置するように分割ホイール部材72を少し周方向に回動しておく。このように分割ホイール部材72を位置設定しておくと、前進走行時に分割ホイール部材72には前進回転方向Fと逆方向の推進反力が作用して、ボルト76が相対的に長孔延長部74a,75aの奥に押し込められ、分割ホイール部材72が作用位置に安定保持されるのである。
【0066】マルチ仕様の玉ねぎ収穫機は以上のように構成されており、マルチ掛けされた平畝に栽培されている4条の玉ねぎWに対して、一行程の前進で進行方向右側の2条の玉ねぎWの葉茎Wbを葉切り装置60によって切断し、一往復移動することで一畝4条の葉切りを行い、次に、マルチシートFを巻取り除去、あるいは、めくり上げ除去して畝面を露出させ、葉切りされて畝上に残し置かれた玉ねぎWを機械式あるいは人手によって回収してゆくのである。
【0067】本発明は、以下のような形態で実施することもできる。
【0068】(1)圃場の具合によっては左右の駆動車輪2に前記補助車輪装置70をそれぞれ装着して実施することもできる。
【0069】(2)畝底の葉茎や雑草、あるいは、ぬかるみによって駆動車輪2がスリップしやすい圃場条件では、通常の露地仕様の収獲の際にも前記補助車輪装置70を好適に利用することができる。
【0070】(3)図12,図13に示すように、前記分割ホイール部材72を、一方の連結点pを支点にして内外方向に揺動することで、突出作用位置と格納位置とに切換え可能に構成するとともに、分割ホイール部材72に形成した2つのボルト孔77にボルト76を差し替えることで、分割ホイール部材72を各位置で固定するように構成して実施することもできる。これによると、補助車輪装置70の出退切換え操作を3個所だけで行えばよく、取扱いが容易となる。
【0071】(4)図14に示すように、硬質ゴム材を成形してなるスパイク部材71を分割ホイール部材72にボルト連結して実施することもできる。
【0072】(5)図15に示すように、寸法切りした短尺の金属パイプ材の先端部を偏平に潰して形成したスパイク部材71を分割ホイール部材72に溶接固定して実施することもできる。これによると、スパイク部材71を安価な素材で構成することができる。
【0073】(6)図16に示すように、分割ホイール部材72の外周に一体連設した舌片をひねり変形して、車輪回転方向に面するスパイク部材71を構成することもできる。これによると、溶接加工あるいはボルト連結操作、等を要することなくスパイク部材71を備えることができ、補助車輪装置70の加工コスト低減に有効となる。
【0074】(7)スパイク部材71としては、板片状のものを使用する他、棒状のものを利用することもできる。
【0075】(8)分割ホイール部材72の半径方向での固定位置を多段あるいは無段階段に変更可能して、スパイク部材71の駆動車輪2外周からの突出代を調節できるようにして実施することもできる。
【0076】(9)上記実施形態では、露地仕様の構成において、葉茎引上げ装置10、土崩し装置13の仕様を上記のように変更するとともに、葉切り装置60を付設することでマルチ仕様に変更することができるのであるが、葉切り装置60を常備したままで、作用位置と非作用位置とに位置変更するように構成して、露地仕様とマルチ仕様の変更を行うように構成することも可能である。
【出願人】 【識別番号】000217240
【氏名又は名称】田中工機株式会社
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成13年3月7日(2001.3.7)
【代理人】 【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
【公開番号】 特開2002−262630(P2002−262630A)
【公開日】 平成14年9月17日(2002.9.17)
【出願番号】 特願2001−62945(P2001−62945)