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【発明の名称】 走行ミッション装置の刈取動力取出装置
【発明者】 【氏名】釘宮 啓

【氏名】菊澤 尋正

【要約】 【課題】従来の遊星歯車伝動系と無段変速ベルト伝動系とを有する走行ミッション装置は、コンバインの走行速度に連動して変速した刈取速度(能率)、搬送速度(能率)が得られない課題があった。

【解決手段】本発明は、走行ミッション装置に、無段変速ベルト伝動装置4と遊星歯車伝動装置5とを装備して、走行出力軸6に、中立Nから正転・前進F、及び逆転・後進Rの無段変速回転動力を伝動する構成とした。前記遊星歯車伝動装置5を経由した変速回転動力を刈取前処理装置7に伝動可能に構成した走行ミッション装置の刈取動力取出装置としている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ミッションケ−ス1に軸架した入力軸2から変速軸3に無段変速ベルト伝動装置4と遊星歯車伝動装置5とを装備して、中立Nから正転・前進F、及び逆転・後進Rの無段変速回転動力を走行出力軸6に伝動する構成の走行ミッション装置であって、前記遊星歯車伝動装置5を経由した変速回転動力を刈取前処理装置7に伝動可能に構成した走行ミッション装置の刈取動力取出装置。
【請求項2】 刈取動力取出プ−リ−8を有する動力取出軸9は、遊星歯車伝動装置5を経由した変速回転動力を受継ぐ刈取出力歯車10を一体に形成したことを特徴とする請求項1記載の走行ミッション装置の刈取動力取出装置。
【請求項3】 入力軸2に軸架して遊星歯車伝動装置5のリングギヤ11に回転動力を伝達する伝動歯車12に、前記入力軸2に軸架して遊星歯車伝動装置5を経由した変速回転動力を受継ぐ刈取出力歯車10を接近させて並設したことを特徴とする請求項1、又は2記載の走行ミッション装置の刈取動力取出装置。
【請求項4】 刈取出力歯車10に噛合する刈取動力取出歯車13は、遊星歯車伝動装置5に接続した変速歯車14より大径にして、しかも側部に取り付けたことを特徴とする請求項1、乃至3のいずれかに記載した走行ミッション装置の刈取動力取出装置。
【請求項5】 刈取出力歯車10に噛合する刈取動力取出歯車13は、変速歯車14に着脱自由に取り付けたことを特徴とする請求項4記載の走行ミッション装置の刈取動力取出装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、走行ミッション装置の刈取動力取出装置であって、コンバインの走行ミッション装置に関する技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】従来の走行ミッション装置は、例えば特開平7−17304号公報に記載されているように、走行クラッチ40を経て駆動される入力軸1から遊星歯車伝動系A、及び無段変速ベルト伝動系Bを有し、変速レバ−32による操作で無段変速ベルト伝動系Bの無段変速によって出力走行軸7を、中立Nから正転F、及び逆転Rに無段変速する走行伝動装置において、該変速レバ−32の中立N位置操作によって、走行クラッチ40を切りにするように連動構成してなる変速操作装置が公開されている。
【0003】そして、上記従来例は、刈取装置をベルト伝動する動力取出プ−リ18は、入力軸1に軸着され、エンジンE側からプ−リ17に入力された動力を直接刈取側へ伝動する構成としている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来の構成例では、上述の公開公報に示されているように、刈取装置49を、走行速度に連動して変速される回転動力によって伝動することができず、エンジンE側から入力軸1のプ−リ17に伝達された回転動力が、刈取装置49をベルト伝動する動力取出プ−リ18に伝達される構成になっている。したがって、この従来型の刈取装置49は、コンバインの低速走行時でも、高速走行時でも同じ刈取速度、穀稈搬送速度のままで変化がなく、走行速度に連動した刈取能率、搬送能率を発揮できない課題がある。
【0005】そこで、本発明は、上記課題を解消して刈取搬送速度を、走行速度に連動して伝動する構成の採用によって、コンバイン作業の能率向上を図るものでありながら、刈取動力を取出すための最終軸の曲げ荷重の高い伝動部分を、一体化構成によって剛性を増した刈取動力取出機構を提供し、しかもその機構のコンパクト化と、メンテナンスの向上を図らんとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述した課題を解決するために、つぎの如き技術手段を講ずるものである。まず、請求項1の発明は、ミッションケ−ス1に軸架した入力軸2から変速軸3に無段変速ベルト伝動装置4と遊星歯車伝動装置5とを装備して、中立Nから正転・前進F、及び逆転・後進Rの無段変速回転動力を走行出力軸6に伝動する構成の走行ミッション装置であって、前記遊星歯車伝動装置5を経由した変速回転動力を刈取前処理装置7に伝動可能に構成した走行ミッション装置の刈取動力取出装置としている。
【0007】つぎに、請求項2の発明は、刈取動力取出プ−リ−8を有する動力取出軸9は、遊星歯車伝動装置5を経由した変速回転動力を受継ぐ刈取出力歯車10を一体に形成したことを特徴とする請求項1記載の走行ミッション装置の刈取動力取出装置としている。
【0008】つぎに、請求項3の発明は、入力軸2に軸架して遊星歯車伝動装置5のリングギヤ11に回転動力を伝達する伝動歯車12に、前記入力軸2に軸架して遊星歯車伝動装置5を経由した変速回転動力を受継ぐ刈取出力歯車10を接近させて並設したことを特徴とする請求項1、又は2記載の走行ミッション装置の刈取動力取出装置としている。
【0009】つぎに、請求項4の発明は、刈取出力歯車10に噛合する刈取動力取出歯車13は、遊星歯車伝動装置5に接続した変速歯車14より大径にして、しかも側部に取り付けたことを特徴とする請求項1、乃至3のいずれかに記載した走行ミッション装置の刈取動力取出装置としている。
【0010】つぎに、請求項5の発明は、刈取出力歯車10に噛合する刈取動力取出歯車13は、変速歯車14に着脱自由に取り付けたことを特徴とする請求項4記載の走行ミッション装置の刈取動力取出装置としている。
【0011】
【発明の効果】本発明は、以上のように構成するものであるから、請求項1の発明は、無段変速ベルト伝動装置と遊星歯車伝動装置とを装備して、中立から正転・前進、及び逆転・後進の無段変速回転動力をクロ−ラに伝動する構成の走行ミッション装置を搭載したコンバインの作業能率を、走行速度の増減速によって選択できる利点がある。すなわち、本発明の刈取搬送速度(能率)は、クロ−ラの低速走行から高速走行に連動して変速できるように動力取出機構を構成したから、従来のように低速走行時に、不必要な高速刈をして乱したり、高速走行時に、刈取搬送速度が間に合わないように低速になる等の弊害が起きない特徴がある。
【0012】つぎに、請求項2の発明は、剛性を増した刈取動力取出機構を提供したものである。通常、刈取動力を取り出すための最終軸に相当する動力取出軸は、曲げ荷重が高くなり、伝動上、強い剛性を必要とするが、本発明は、動力取出軸に、遊星歯車伝動装置を経由した変速回転動力を受継ぐ刈取出力歯車を一体に形成したものであるから、剛性が著しく増大し、回転動力を適確に受け継ぐことができる効果がある。
【0013】つぎに、請求項3の発明は、入力軸上に遊星歯車伝動装置のリングギヤに回転動力を伝達する伝動歯車と、その遊星歯車伝動装置を経由した変速回転動力を受継ぐ刈取出力歯車を接近させて並設・軸着することにより、機構のコンパクト化を実現したものである。
【0014】つぎに、請求項4の発明は、クロ−ラ側に伝動される変速回転動力を狭いスペ−スで分岐して刈取側に取り出すことのできる特徴がある。しかも、本発明の構成によれば、刈取側への出力回転数を入力回転数より低く取り出せるため、刈取動力取出プ−リ−を大径化することが可能となり、刈取側への伝動が安定する利点もある。
【0015】つぎに、請求項5の発明は、変速歯車に刈取動力取出歯車を、着脱自由に取り付けた構成であるから、遊星歯車伝動装置側の変速歯車の加工が容易になり、メンテナンスが向上した特徴がある。更に、変速歯車は、走行動力の中立操作時に伝動下手側の停止を確保するためのブレ−キ機構を、刈取動力取出歯車との間に介装し易い構成となった利点も併せて有する。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を具体的に説明する。まず、コンバインの走行ミッション装置15は、図1、乃至図3に示すように、ミッションケ−ス1に入力軸2と変速軸3とを軸架し、更に、その伝動下手側に、中間軸16、操向クラッチ軸17、及び左右の走行出力軸6の順に軸架し、一連のミッション機構を内装して構成している。そして、ミッションケ−ス1は、図4、及び図5に示すように、コンバインの走行車体18の前部に連結して搭載している。そして、入力軸2と変速軸3との一側端部は、プ−リ軸部2B、3Bとし、ベルトケ−ス19を開閉可能に設けて、無段変速ベルト20、及びこれを張設する割型変速プ−リ21、22とを内装している。
【0017】そして、入力プ−リ23は、図1、及び図2に示すように、上記入力軸2の外側端に軸着してエンジン24(図4参照)からベルト25によって回転動力が入力される構成としている。そして、動力取出軸9は、図1に示すように、パイプ軸として前記入力軸2の外周に遊嵌して設け、上記入力プ−リ23側に刈取動力取出プ−リ8を並べて軸着し、ミッションケ−ス1内にまで延長した部位には、刈取出力歯車10を一体に形成して伝動可能に構成している。この場合、刈取動力取出プ−リ8は、図面から解るように、入力プ−リ23より大径に構成している。
【0018】そして、伝動歯車12は、図1に示すように、入力軸2の中間部に軸着して設け、後述する遊星歯車伝動装置5のリングギヤ11に噛合して伝動可能に構成している。実施例の構成では、伝動歯車12は、刈取出力歯車10に接近した位置に配置している。
【0019】そして、無段変速ベルト伝動装置4は、前述した割型変速プ−リ21、22がそれぞれプ−リ軸部2B、3Bにスプライン嵌合によって軸方向に摺動自由に設けられ、無段変速ベルト20の伝動径が調節されて無段に変速される構成としている。なお、変速カム機構については後述する。
【0020】つぎに、遊星歯車伝動装置5は、図1、及び図2に示すように、前記伝動歯車12に噛合して回転される外側のリングギヤ11と、このリングギヤ11の内歯に噛合する遊星歯車26と、変速軸3に軸着された太陽歯車27とから構成している。このように、遊星歯車伝動装置5は、変速軸3を介して太陽歯車27に伝えられる無段変速ベルト伝動装置4の変速回転動力と、伝動歯車12側からリングギヤ11に伝動される回転動力とによって遊星歯車26が伝動され、正・逆転無段階に変速される回転動力が遊星歯車26の軸28を通して変速歯車14に伝動される構成としている。
【0021】そして、走行側への伝動は、図2に示すように、中間軸16の中間歯車30が、伝動上手側にある上記変速歯車14と、下手側のセンタ−ギヤ31とに噛合して回転動力を伝動する構成としている。そして、サイドクラッチ32、32’は、図2で解るように、操向クラッチ軸17上に設けられ、上記センタ−ギヤ31の両側にクラッチギヤ33、33’を係脱自由に設けて構成している。34、34’はサイドブレ−キである。
【0022】そして、走行出力軸6は、図面に示すように、ミッションケ−ス1の下部両側に軸架して外側へ延長して設け、上記クラッチギヤ33、33’からホイルギヤ35を介して伝動された走行動力を、軸端に軸着した駆動スプロケット36によってクロ−ラ37に伝動する構成としている。
【0023】そして、刈取側への伝動は、図2に示すように、刈取動力取出歯車13を変速歯車14の側面にねじによって着脱自由に取り付けて一体的に回転する構成としている。そして、刈取動力取出歯車13は、刈取出力歯車10に噛合し、遊星歯車伝動装置5を経由した変速回転動力を刈取側に伝動する構成としている。
【0024】つぎに、変速レバ−38は、図4、及び図5に示すように、操縦座席39の側方に設けられ、正転・前進Fと、中立Nと、逆転・後進Rとに操作でき、無段階に走行速度が選択できる構成としている。そして、この実施例で、上記変速レバ−38が無段変速ベルト伝動装置4を変速する機構は、割型プ−リ21、22を軸方向に移動するカム40、41を有したア−ム42、43の間をロット44で連結して、図4の戻りばね45、連動ア−ム46、ロット47を介して無段変速できる構成としている。
【0025】48、49は定位置のカムロ−ラであって、前記カム40、41をそれぞれ摺動案内する構成としている。つぎに、刈取前処理装置7は、走行車体18の前部に、上端基部を支持して前方下部に延長した刈取フレ−ム50に、刈刃装置51、穀稈引起し装置52、穀稈掻込装置53、穀稈搬送装置54を設けて構成している。そして、刈取前処理装置7は、図4に示すように、刈取動力取出プ−リ8からベルト伝動によって刈取動力が伝動される構成としている。そして、刈取前処理装置7は、従来から公知の構成であるから図面上具体的には示さないが、走行ミッション装置15から逆転・後進Rの動力が出力したときには、逆転動力が伝動されないように、刈取動力取出プ−リ8にワンウエイクラッチを介装して構成している。この構成に関連して、実施例の無段変速ベルト伝動装置4は、中立Nを基準にして前進域(後進域では刈取を駆動しない)で、刈取駆動に要する必要トルクを余裕を持って発揮できるように連動する構成としている。
【0026】以上のように、本発明の実施例は、無段変速ベルト伝動装置4と遊星歯車伝動装置5とを装備して、中立Nから正転・前進F、及び逆転・後進Rの無段変速回転動力をクロ−ラ37に伝動しながらコンバイン作業を行なっているとき、刈取前処理装置7は、走行動力に連動して変速される刈取動力が、変速歯車14、刈取動力取出歯車13、刈取出力歯車10、動力取出軸9、刈取動力取出プ−リ8を経由して伝動される。したがって、コンバインの刈取搬送速度(能率)は、クロ−ラ37の低速走行から高速走行に連動して変速され、特開平7−17304号公報の従来技術のように低速走行時に、不必要な高速刈をして乱したり、高速走行時に、刈取搬送速度が間に合わないように相対的に低速になる等の弊害を未然に防止できる特徴がある。
【0027】そして、刈取動力取出機構は、刈取動力取出プ−リ−8を有する動力取出軸9に、遊星歯車伝動装置5を経由した変速回転動力を受継ぐ刈取出力歯車10を一体に形成しているから、剛性を著しく増大することができた。通常、刈取動力を取り出すための最終軸に相当する動力取出軸9は、曲げ荷重が高くなり、伝動上、強い剛性を必要とするが、本発明の実施例は、動力取出軸9の軸端部に刈取出力歯車10を一体に形成しているから、剛性が著しく増大し、遊星歯車伝動装置5を経由した変速回転動力を適確に受け継ぐことができる効果がある。
【0028】そして、遊星歯車伝動装置5のリングギヤ11に回転動力を伝達する伝動歯車12と、その遊星歯車伝動装置5を経由した変速回転動力を受継ぐ刈取出力歯車10とを、入力軸2上に接近させて並設・軸着している。このように、本発明に係る実施例は、入力側と出力側との一連の機構を、極力、コンパクトに製作することが可能になった。
【0029】そして、クロ−ラ37側に伝動される回転動力を、変速の最終段階で分岐して刈取側に取り出すことのできる機構を、限られた狭いスペ−スに設けた特徴と、併せて、刈取側への出力回転数を入力回転数より低く取り出せるため、刈取動力取出プ−リ−8を大径化することが可能となり、刈取側への伝動を安定することができる利点もある。
【0030】更には、変速歯車14に刈取動力取出歯車13を、実施例の場合、ねじにより着脱自由に取り付けた構成であるから、遊星歯車伝動装置5側の変速歯車14が単体になって加工が容易になると共に、メンテナンスを向上することができた特徴がある。その上に加えて、変速歯車14は、上記のように刈取動力取出歯車13と別構成のために、走行動力の中立操作時に伝動下手側の停止を確保するブレ−キ機構を、刈取動力取出歯車13との間に介装し易い構成となった特徴を有する。
【出願人】 【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
【出願日】 平成13年2月14日(2001.2.14)
【代理人】
【公開番号】 特開2002−238333(P2002−238333A)
【公開日】 平成14年8月27日(2002.8.27)
【出願番号】 特願2001−37113(P2001−37113)