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【発明の名称】 乗用型芝刈り機
【発明者】 【氏名】鮫島 和夫

【氏名】藤原 修身

【氏名】戸越 義和

【氏名】島村 輝郎

【氏名】川原 好博

【氏名】江崎 善幸

【要約】 【課題】乗用走行機体に昇降リンク機構を介してモーアを昇降可能に吊り下げ連結した乗用型芝刈り機において、モーアの連結支持構造を工夫することで、デッキ自体に大きい応力が働くのを抑制できるようにして、モーアの耐久性を高めることができるようにする。

【解決手段】昇降リンク機構5を、機体フレーム8に枢支連結された前リンク21および後リンク22と、これら前リンク21と後リンク21の遊端部同士に亘って枢支連結された前後向きリンク23とからなる四連リンク構造に構成し、この昇降リンク機構5にモーア4の前後を上下方向の融通をもって吊り下げ連結してある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 乗用走行機体に昇降リンク機構を介してモーアを昇降可能に吊り下げ連結した乗用型芝刈り機において、前記昇降リンク機構を、機体フレームに枢支連結された前リンクおよび後リンクと、これら前リンクと後リンクの遊端部同士に亘って枢支連結された前後向きリンクとからなる四連リンク構造に構成し、この昇降リンク機構にモーアの前後を上下方向の融通をもって吊り下げ連結してあることを特徴とする乗用型芝刈り機。
【請求項2】 請求項1記載の乗用型芝刈り機であって、前記モーアの前後の連結箇所における吊り下げ高さを調節可能に構成してあることを特徴とする乗用型芝刈り機。
【請求項3】 請求項1記載の乗用型芝刈り機であって、四連リンク構造の前記昇降リンク機構を左右2組装備し、前記モーアの前後を左右2個所づつ左右の前記昇降リンク機構に連結するとともに、前後左右の各連結箇所における吊り下げ高さを調節可能に構成してあることを特徴とする乗用型芝刈り機。
【請求項4】 請求項1〜3のいずれか一項に記載の乗用型芝刈り機であって、前記前リンクと後リンクの遊端部と前後向きリンクとを枢支連結する連結ピンに、前記モーアの前後を連結してあることを特徴とする乗用型芝刈り機。
【請求項5】 請求項1〜4のいずれか一項に記載の乗用型芝刈り機であって、前記昇降リンク機構を昇降作動させるペダルを乗用走行機体の運転部に備えてあることを特徴とする乗用型芝刈り機。
【請求項6】 請求項5記載の乗用型芝刈り機であって、前記ペダルで、昇降リンク機構を昇降作動させる油圧シリンダの制御バルブを切換え操作するよう構成してあることを特徴とする乗用型芝刈り機。
【請求項7】 請求項1〜6のいずれか一項に記載の乗用型芝刈り機であって、前記乗用走行機体に左右の駆動後輪とキャスタ型の遊転前輪を備え、駆動後輪と遊転前輪との間に前記モーアを配備するとともに、左右の前記駆動後輪を独立して正逆転変速可能に構成してあることを特徴とする乗用型芝刈り機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、乗用走行機体に昇降リンク機構を介してモーアを昇降可能に吊り下げ連結した乗用型芝刈り機に関する。
【0002】
【従来の技術】上記乗用型芝刈り機としては、例えば、特開2000−53032号公報や特開2000−351330号公報に開示されているように、昇降リンク機構は前リンクと後リンクとからなり、これら前後のリンクの遊端にモーアの前後が連結され、機体、前後リンク、および、モーアのデッキによって平行四連リンク構造が構成されていた。また、前記前リンクに備えたネジ伸縮調節部を操作してモーアの姿勢を調整している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記構成の平行四連リンク構造は、モーアのデッキ自体がリンクの一部として機能するものでるために、作業走行時には、モーアの重量と牽引負荷に基づく大きい応力がデッキに働くことになり、耐久性の面で改良の余地があった。もちろん、デッキを厚肉に構成したり、補強リブを多く備える、等の対策を講じることによってデッキの強度アップを図ることも行われているが、モーア全体の重量増大や製作コストの増大、等の問題が発生するものであった。
【0004】本発明は、このような実情に着目してなされたものであって、モーアの連結支持構造を工夫することで、デッキ自体に大きい応力が働くのを抑制できるようにして、モーアの耐久性を高めることができるようにすることを主たる目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】〔請求項1に係る発明の構成、作用および効果〕
【0006】(構成) 請求項1に係る発明は、乗用走行機体に昇降リンク機構を介してモーアを昇降可能に吊り下げ連結した乗用型芝刈り機において、前記昇降リンク機構を、機体フレームに枢支連結された前リンクおよび後リンクと、これら前リンクと後リンクの遊端部同士に亘って枢支連結された前後向きリンクとからなる四連リンク構造に構成し、この昇降リンク機構にモーアの前後を上下方向の融通をもって吊り下げ連結してあることを特徴とする。
【0007】(作用) 上記構成によると、前リンク、後リンク、および、前後向きリンクとからなる昇降リンク機構は、それ自体で四連リンク構造をなすので、昇降リンク機構に、モーアの荷重および牽引負荷に耐える強度を与えておけばよく、この昇降リンク機構に単に吊り下げ支持されたモーアには、リンク構造を維持するための負荷応力が作用することはない。従って、モーアのデッキを四連リンク構造の一部としている従来構造のように、デッキの強度を特別に大きくする必要はない。
【0008】また、前後の連結部の融通によってモーアは上方へは退避移動することができ、モーアが地面との接触しても無理なく上方後退して損傷を回避する。
【0009】(効果) 従って、請求項1に係る発明によると、デッキにはモーアとしての機能を維持するに足る強度を確保しておけばよく、モーア全体の軽量化やコスト低減を図りながら、芝刈り機としての耐久性を確保することができるようになった。
【0010】〔請求項2に係る発明の構成、作用および効果〕
【0011】(構成) 請求項2に係る発明は、請求項1記載の発明において、前記モーアの前後の連結箇所における吊り下げ高さを調節可能に構成してあることを特徴とする。
【0012】(作用) 上記構成によると、前後の連結箇所における融通の下限高さを変更調節することで、モーアの前後方向での姿勢を調整することができ、例えば、モーアを地面と平行にセットしたり、あるいは、前進方向に対して若干前下がり傾斜する姿勢にセットしたりできる。しかも、このような調整を行っても昇降リンク機構の仕様に何らの変化もなく、所期のモーア支持機能、および、強度を発揮する。
【0013】(効果) 従って、請求項2に係る発明によると、請求項1の上記効果をもたらすとともに、モーアの姿勢を任意に調整して、仕上がり具合などを任意に調整して好みの芝刈りを行うことができる。
【0014】〔請求項3に係る発明の構成、作用および効果〕
【0015】(構成) 請求項3に係る発明は、請求項1記載の発明において、四連リンク構造の前記昇降リンク機構を左右2組装備し、前記モーアの前後を左右2個所づつ左右の前記昇降リンク機構に連結するとともに、前後左右の各連結箇所における吊り下げ高さを調節可能に構成してあることを特徴とする。
【0016】(作用) 上記構成によると、前後左右の連結箇所における融通の下限高さを変更調節することで、モーアの前後方向姿勢と左右方向姿勢とを自由に調整することができる。しかも、このような調整を行っても昇降リンク機構の仕様に何らの変化もなく、所期のモーア支持機能、および、強度を発揮する。
【0017】(効果) 従って、請求項3に係る発明によると、請求項1の上記効果をもたらすとともに、モーアの姿勢を任意に調整して、仕上がり具合などを任意に調整して好みの芝刈りを行うことができる。
【0018】〔請求項4に係る発明の構成、作用および効果〕
【0019】(構成) 請求項4に係る発明は、請求項1〜4のいずれか一項の発明において、前記前リンクと後リンクの遊端部と前後向きリンクとを枢支連結する連結ピンに、前記モーアの前後を廉潔してあることを特徴とする。
【0020】(作用・効果) 上記構成によると、前リンクと後リンクの遊端部と前後向きリンクとを枢支連結する連結ピンを、モーアを吊り下げ支持する支持ピンに共用でき、部品の節減によるコスト低減に有効となる。
【0021】〔請求項5に係る発明の構成、作用および効果〕
【0022】(構成) 請求項5に係る発明は、請求項1〜4のいずれか一項の発明において、前記昇降リンク機構を昇降作動させるペダルを乗用走行機体の運転部に備えてあることを特徴とする。
【0023】(作用・効果) 上記構成によると、搭乗運転する作業者は、両手で機体操縦を行いながら、足操作によってモーアを昇降することができ、操作性および作業性の向上に有効となる。
【0024】〔請求項6に係る発明の構成、作用および効果〕
【0025】(構成) 請求項6に係る発明は、請求項5の発明において、前記ペダルで、昇降リンク機構を昇降作動させる油圧シリンダの制御バルブを切換え操作するよう構成してあることを特徴とする。
【0026】(作用・効果) 上記構成によると、制御バルブを切換えを行うペダル操作は軽いものとなり、一層、操作性および作業性が向上する。
【0027】〔請求項7に係る発明の構成、作用および効果〕
【0028】(構成) 請求項7に係る発明は、請求項1〜6のいずれか一項の発明において、前記乗用走行機体に左右の駆動後輪とキャスタ型の遊転前輪を備え、駆動後輪と遊転前輪との間に前記モーアを配備するとともに、左右の前記駆動後輪を独立して正逆転変速可能に構成してあることを特徴とする。
【0029】(作用) 上記構成によると、左右の駆動後輪を同方向に同速で作動させることで直進走行を行い、左右の速度差をつけることで機体の操向を行うことができ、特に、左右の駆動後輪を互いに逆方向に作動させることで、機体を駆動後輪の間を旋回中心とした一点旋回、いわゆる、スピンターンを行うことができる。
【0030】(効果) 従って、請求項7に係る発明によると、請求項1〜6のいずれかの発明における上記効果をもららすことができるとともに、多様な走行あるいは機体旋回を行って、ゴルフ場などの複雑な形状の芝地、あるいは、立木の多い芝地での草刈り作業を軽快に行うことができる。
【0031】
【発明の実施の形態】図1に、本発明に係る乗用型芝刈り機の全体側面が、また、図2に、その平面がそれぞれ示されている。この乗用型芝刈り機は、乗用走行機体1の前部にキャスタ式に向き変更自在かつ左右一対の遊転前輪2が、また、機体後部に向き固定の左右一対の駆動後輪3がそれぞれ配備されるとともに、前輪2と駆動後輪3との間の機体下腹部に、バーブレード式のモーア4が昇降リンク機構5を介して吊り下げ連結された構造となっており、駆動後輪3およびモーア4を駆動するエンジン6が機体後部に搭載され、その前方に運転座席7が配備されている。
【0032】図 に示すように、エンジン6からの動力はカウンターケース11に伝達された後、カウンターケース11の左右に配備した正逆転可能な2組の静油圧式無段変速装置(以下HSTと略称する)12に分配入力され、各HST12からの変速出力が減速ケース13を介して左右の駆動後輪3に伝達されるようになっている。各HST12を変速操作する変速レバー14が運転座席の左右両脇に前後揺動可能に配備されており、両変速レバー14を共に前方に同量だけ揺動操作することで直進前進走行を、また、共に後方に同量だけ揺動操作することで直進後進走行を行うことができ、さらに、左右の変速レバー14の同方向への操作量に差をつけることで、その差に応じた速度差をもたらして前進操向あるいは後進操向を行うことができる。特に、左右の変速レバー14を互いに逆方向に操作することで、左右の駆動後輪3を互いに逆方向に作動させて、駆動後輪3の間を旋回中心とした一点旋回、いわゆる、スピンターンで機体を旋回させることができる。
【0033】前記昇降リンク機構5は、乗用走行機体1を構成する左右の主フレーム8の前後2個所に枢支連結された前リンク21および後リンク22と、これらの遊端に亘って枢支連結された前後向きリンク23とからなる左右2組の平行四連リンク機構によって構成されている。そして、左右の後リンク22の基端を繋ぐ支点軸24から突設した駆動アーム25に単動型の油圧シリンダ26が連結され、圧油供給によって油圧シリンダ26が駆動伸長作動することで昇降リンク機構5全体が平行に上昇駆動され、排油によって油圧シリンダ26が短縮作動することで昇降リンク機構5全体が平行に自重下降するようになっている。そして、この油圧シリンダ26の作動を司る制御バルブ27を操作する昇降レバー28が運転座席7の右横外側に配備されている。
【0034】なお、駆動アーム25の揺動限度を調節することで、昇降リンク機構5の下降限度を調節する下限調節機構30が備えられている。この下限調節機構30は、図6に示すように、運転座席7の下方に配備された調節ノブ31を回転して回転階段状のストッパ32を回転調節することで、駆動アーム25に備えた牽制ピン33に作用するストッパ面の高さを選択し、これによって駆動アーム25の下方への揺動限度を調節するように構成されている。
【0035】モーア4におけるデッキ41の上面の前後左右の4個所には、上下長孔42を備えたブラケット43が立設されており、前後のリンク21,22と前後向きリンク23とを枢支連結する連結ピン35,36が各ブラケット43の長孔42に挿通連結され、もって、モーア4が所定範囲の上下融通を持った状態で吊り下げ支持されている。図7、図8に示すように、各ブラケット43の上部には、長孔42の上端位置を制限する調節ボルト44が装着されており、各調節ボルト44を進退調節して固定することで、モーア4のおける前後左右の各支持点での吊り下げ高さを微調節し、モーア4の前後方向および左右方向での姿勢を調節することが可能となっている。
【0036】図5に示すように、モーア4は、板金プレス製のデッキ41の内部に、3枚の回転バーブレード45を並列装備した横放出型のものが利用されており、デッキ上面の中央に備えたベベルギヤケース46の後ろ向き入力軸47と、前記カウンタケース11から前方に突出されたPTO軸48とが伝動軸49および一対の自在接手50を介して連動連結されるとともに、ベベルギヤケー46に入力された動力が、中央ブレード45に軸伝達されるとともに、左右のブレード44にベルト51を介して伝達されるようになっている。なお、前記PTO軸48からの動力取出しを断続するPTOクラッチ(図示せず)を操作するPTOクラッチレバー52が運転座席7の右横側に配備されている。
【0037】前記遊転前輪2は主フレーム8の前端部に前後軸心x周りに揺動可能に連結した前輪支持フレーム55の両端部に装着されており、手動によって伸縮操作されるネジジャッキによって前輪支持フレーム55を前後軸心x周りに大きく起立回動させることで、機体前部を持上げることができるようになっている。このように、前輪支持フレーム55を利用して機体前部を大きく持上げるようにすることで、モーア4を機体に装着したままで、デッキ底面を開放してブレード交換やデッキ内の清掃を容易に行えるようになっている。
【0038】なお、図中の符号57は、エンジン6を調速するハンドアクセルレバー、58は駐車時に使用するハンドブレーキレバーである。
【0039】〔別実施形態〕図9に示すように、前記昇降レバー28に代えて、昇降用の制御バルブ27を切換えるペダル60を運転座席7の前方足元に配備しておくと、両手を操縦などに使いながら足操作でモーア4を上げ下げすることができ、操作性の向上に有効となる。この場合、ペダル60を爪先と踵で前後に踏み分け可能にして、単一のペダルで昇降操作を行うもよく、あるいは、上昇用のペダルと下降用のペダルを別体とし、それらを踏み替えて昇降操作を行うようにすることもできる。
【0040】なお、前記ペダル60と昇降リンク機構5とを機械的に連係して、ペダル60の踏み込みによって昇降リンク機構5を昇降操作するように構成することもできる。
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成13年2月15日(2001.2.15)
【代理人】 【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
【公開番号】 特開2002−238325(P2002−238325A)
【公開日】 平成14年8月27日(2002.8.27)
【出願番号】 特願2001−38331(P2001−38331)