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【発明の名称】 検知板の退避構造を具えた茶畝跨走型茶刈装置
【発明者】 【氏名】杉本 虎雄

【要約】 【課題】茶刈機ユニット交換の作業性を低下させてしまうことがなく、更に検知板等の損傷を招いてしまうことのない、新規な検知板の退避構造を具えた茶畝跨走型茶刈装置の開発を技術課題とした。

【解決手段】茶畝センサ6によって検出された茶畝Tの状況に応じて、装置の走行方向を制御することのできる茶畝跨走型茶刈装置1において、前記茶畝センサ6は、センサユニット61に接続された回動軸62に対して茶畝Tと接触する検知板60を具えて成るものであり、茶刈機ユニット3の交換作業を行う際には、交換作業に要する空間から検知板60が退避できるように構成したことを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 茶畝を跨いで走行する走行体を左右独立的に駆動することのできる走行機ユニットと、この走行機ユニットに搭載され摘採作業または剪枝作業を実質的に行う茶刈機ユニットと、茶畝の曲がり具合を検出するための茶畝センサとを具えて成り、前記茶畝センサによって検出された茶畝の状況に応じて、装置の走行方向を制御することのできる茶畝跨走型茶刈装置において、前記茶畝センサは、センサユニットに接続された回動軸に対して茶畝と接触する検知板を具えて成るものであり、前記茶刈機ユニットの交換作業を行う際には、交換作業に要する空間から前記検知板が退避できるように構成したことを特徴とする検知板の退避構造を具えた茶畝跨走型茶刈装置。
【請求項2】 前記回動軸と検知板とを接続する支持杆を曲折自在に構成し、茶刈機ユニットの交換作業を行う際には、検知板が前方に退避するように構成したことを特徴とする請求項1記載の検知板の退避構造を具えた茶畝跨走型茶刈装置。
【請求項3】 前記支持杆は、曲折部に外嵌される固定管をスライドさせることにより曲折可能となるように構成したことを特徴とする請求項2記載の検知板の退避構造を具えた茶畝跨走型茶刈装置。
【請求項4】 前記回動軸と検知板とを接続する支持杆を分断自在に構成し、茶刈機ユニットの交換作業を行う際には、検知板を取り外すことができるように構成したことを特徴とする請求項1記載の検知板の退避構造を具えた茶畝跨走型茶刈装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は自動操舵機構を具えた茶畝跨走型茶刈装置に関するものであって、特に茶刈機ユニットの交換を容易に行うことができるとともに、検知板、センサユニット等の損傷を回避することのできる構造に係るものである。
【0002】
【発明の背景】例えば茶葉の摘採作業、茶樹の剪枝作業、肥料や農薬等を散布する施肥・防除作業等の茶園管理作業を行うにあたり、省力化とともに、これらの作業の効率化を図るために、茶畝を跨いで走行するタイプの種々の管理装置が提供されている。これらは、大別すると茶園にあらかじめ敷設されたレール上を走行するレール走行式のものと、クローラ等を走行体に適用した接地走行式のものとがある。このうち接地走行式のものは、レール走行式のものに比べ、レール等のガイド部材がないため茶畝に沿った正確な走行を省力的に行うための自動操舵機構を具えたものが実用化されている。
【0003】前記自動操舵機構の一例は、本出願人による特許出願である特開2000−316315「茶畝跨走型茶園管理機における操舵機構」にも開示されている。この発明の適用対象である茶畝跨走型茶園管理機は、茶畝を跨ぐように形成した門型状のフレーム部下部に、左右一対のクローラを含んで成る走行体を具えるとともに、油圧ポンプと油圧モータとを主要部材として前記走行体を左右、独立的に駆動できる油圧駆動系統を具えて成るものである。更に前記走行体の左右の走行状態と、茶畝の両側部位置を検出する茶畝センサと、左右の油圧ポンプの出力量をコントロールするアクチュエータとを具え、前記茶畝センサによって検出された茶畝の状況に応じて左右の油圧ポンプの出力量がアクチュエータによって変更され、走行方向が制御されるものである。
【0004】ところで茶園管理機の一例である茶畝跨走型茶刈装置には、茶葉の摘採作業及び茶樹の剪枝作業等、複数の作業を行うことが要求されるものであり、この装置に対し作業態様に応じた茶刈機ユニットとして摘採機ユニットまたは剪枝機ユニットが取り付けられる。しかしながら前記茶刈機ユニットの交換の際には、茶畝の両側部位置を検出するために設けた茶畝センサを構成する部材が邪魔になり、交換作業性を低下させてしまったり、取り外した茶刈機ユニットと茶畝センサとが接触した場合には茶畝センサの損傷を招いてしまう危険性があった。具体的に前記茶畝センサを構成する部材のうち、特に直接茶畝の両側部に接触する検知板は、門型状のフレーム部下部において常時その内側(茶畝側)且つ茶刈機ユニットの前方(進行方向側)に位置するものであり、茶畝の幅方向全域に渡る巾寸法を有する茶刈機ユニットを前方に引き出そうとした場合には、どうしても前記検出板が邪魔になってしまう。
【0005】
【開発を試みた技術的課題】本発明はこのような背景を認識してなされたものであって、茶刈機ユニットの前方に位置する検知板を、茶刈機ユニットの交換の際に退避することができる構成を採ることにより、茶刈機ユニット交換の作業性を低下させてしまうことがなく、更に検知板等の損傷を招いてしまうことのない、新規な検知板の退避構造を具えた茶畝跨走型茶刈装置の開発を試みたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち請求項1記載の検知板の退避構造を具えた茶畝跨走型茶刈装置は、茶畝を跨いで走行する走行体を左右独立的に駆動することのできる走行機ユニットと、この走行機ユニットに搭載され摘採作業または剪枝作業を実質的に行う茶刈機ユニットと、茶畝の曲がり具合を検出するための茶畝センサとを具えて成り、前記茶畝センサによって検出された茶畝の状況に応じて、装置の走行方向を制御することのできる茶畝跨走型茶刈装置において、前記茶畝センサは、センサユニットに接続された回動軸に対して茶畝と接触する検知板を具えて成るものであり、前記茶刈機ユニットの交換作業を行う際には、交換作業に要する空間から前記検知板が退避できるように構成したことを特徴として成るものである。この発明によれば、茶刈機ユニット交換時の作業性を低下させてしまうことがなく、更に検知板及びこのものに接続されるセンサユニット等の損傷を回避することができる。
【0007】また請求項2記載の検知板の退避構造を具えた茶畝跨走型茶刈装置は、前記請求項1記載の要件に加え、前記回動軸と検知板とを接続する支持杆を曲折自在に構成し、茶刈機ユニットの交換作業を行う際には、検知板が前方に退避するように構成したことを特徴として成るものである。この発明によれば、分解作業を伴うことなく検知板の退避を行うことができるので、茶刈機ユニットの交換作業を迅速に行うことができる。また部品の紛失を防ぐことができる。
【0008】更にまた請求項3記載の検知板の退避構造を具えた茶畝跨走型茶刈装置は、前記請求項2記載の要件に加え、前記支持杆は、曲折部に外嵌される固定管をスライドさせることにより曲折可能となるように構成したことを特徴として成るものである。この発明によれば、工具類を要することなく、ワンタッチで検知板の退避を行うことができるので、茶刈機ユニットの交換作業を迅速に行うことができる。
【0009】更にまた請求項4記載の検知板の退避構造を具えた茶畝跨走型茶刈装置は、前記請求項1記載の要件に加え、前記回動軸と検知板とを接続する支持杆を分断自在に構成し、茶刈機ユニットの交換作業を行う際には、検知板を取り外すことができるように構成したことを特徴として成るものである。この発明によれば、茶刈機ユニットの交換作業等に、より広いスペースが必要とされる場合であっても、検知板及びこのものに接続されるセンサユニット等の損傷を確実に回避することができる。そしてこれら各請求項に記載した発明の構成を手段として前記課題の解決が図られる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下本発明の検知板の退避構造を具えた茶畝跨走型茶刈装置について図示の実施の形態に基づいて説明する。なおこの説明にあたっては、まず茶畝跨走型茶刈装置1の全体構成について説明した後、検知板60の退避構造について説明する。またこの実施の形態では、茶畝跨走型茶刈装置1として作業者が搭乗する乗用型の装置について説明するが、この他にも例えば作業者が搭乗することなく装置のみが走行して行くいわゆる自走式の装置であっても本発明の適用対象となる。
【0011】前記茶畝跨走型茶刈装置1は、一例として図1、2に示すように、茶畝Tを跨ぐように走行する走行機ユニット2と、この走行機ユニット2によって支持される茶刈機ユニット3と、この茶刈機ユニット3の後方に設けられ摘採茶葉を収容するコンテナ型の収容部4と、茶刈機ユニット3から収容部4まで刈取茶Aを移送する中継移送装置5と、茶畝Tの曲がり具合を検出するための茶畝センサ6とを主要部材として具えて成る。そして茶畝跨走型茶刈装置1は、前記茶刈機ユニット3を適宜取り替えることによって剪枝作業または摘採作業が選択的に行えるようにしたものであり、剪枝作業を行う際には茶刈機ユニット3として剪枝機ユニットが取り付けられ、一方、摘採作業を行う際には茶刈機ユニット3として摘採機ユニットが取り付けられる。このように本明細書中において、茶刈機ユニット3とは、樹形を整え樹勢の回復を図るため枝幹を剪除する剪枝機ユニットと、茶葉の摘採を行う摘採機ユニットとを総称するものとする。また本明細書中において部材を左右区別する必要がある場合には、符号に左右それぞれL、Rを付して区別する。以下茶畝跨走型茶刈装置1を構成する各構成要素について具体的に説明する。
【0012】まず前記走行機ユニット2について説明する。この走行機ユニット2は、茶畝Tを跨いで走行できるようにするために走行方向から見てほぼ門形を成すフレーム20を機枠部材とする。このフレーム20は畝間スペースS上に立ち上がるように位置する左右の脚部フレーム20Aと、その脚部フレーム20Aの上端を水平に結ぶような上部フレーム20Bと、更に脚部フレーム20Aに対し昇降自在に取り付けられる昇降フレーム20Cとを具えて成る。そして前記脚部フレーム20Aの下端には一例としてクローラを適用した走行体21を設ける。
【0013】前記走行体21は、図3示すように右側の走行体21Rを駆動する油圧駆動系統210Rと、左側の走行体21Lを駆動する油圧駆動系統210Lとにより左右がそれぞれ独立して駆動されるものである。そしてこの二つの油圧駆動系統210L、210Rは、後述する原動機22によって回転駆動される可変容量型の油圧ポンプ211L、211Rと、この油圧ポンプ211L、211Rから圧油が供給されて走行体21L、21Rを直接駆動する油圧モータ212L、212Rとをそれぞれ具えて成るものである。そして前記油圧ポンプ211L、211Rの容量を変化させるにあたっては、図4に示すように各油圧ポンプ211に設けられているコントロールレバー213L、213Rを開閉させることによって、圧油の出力量を調節可能に構成する。この実施の形態では、前記コントロールレバー213L、213Rをアクチュエータ214L、214Rによって開閉し、最終的に左右の走行体21L、21Rの回転数を変化させ、走行方向を制御するようにしている。
【0014】なおこの実施の形態では、一例として図4(a)に示すように摺動子を伸縮させることによって、コントロールレバー213L、213Rを開閉させるシリンダタイプのアクチュエータ214L、214Rを適用するものであるが、例えば図4(b)に示すようにモータタイプのアクチュエータ214L、214Rを適用し、これを回転させて油圧ポンプ211L、211Rの出力量そのものを変更させる形態等も採り得る。
【0015】更に前記上部フレーム20Bの上部には茶畝跨走型茶刈装置1に乗車した作業者が座る操縦席25や、操縦のためのコントロールボックス26を具えるものである。そして操縦席25の側傍には、例えばディーゼルエンジン等を適用した原動機22を搭載するものであり、一例としてこの原動機22により前記油圧ポンプ211を駆動し、これら油圧ポンプ211により供給される作動油により前記走行体21の駆動や茶刈機ユニット3における刈刃30の駆動、更には前記昇降フレーム20Cの昇降シフトのためのシリンダ(図示略)の駆動を行う。更に茶刈機ユニット3によって刈った刈取茶Aを風送するためのファン23を前記上部フレーム20B上に設けるものであって、このものは一例として原動機22の回転により駆動されるものとした。そしてファン23からは送風ダクト24を通じて圧力風が茶刈機ユニット3側に供給される。
【0016】次に前記茶刈機ユニット3について説明すると、このものは茶葉の摘採や枝幹の剪除を行うものであり、上述したように仕様に応じてロータリーカッター型またはバリカン型の刈刃30を具えた剪枝機ユニットまたは摘採機ユニットを用いる。そして茶刈機ユニット3は、前記昇降フレーム20Cに対して着脱自在に具えられることによって昇降動され、実質的な刈り取り作用高さが調整可能に構成される。なお茶刈機ユニット3を着脱自在に取り付ける昇降フレーム20Cには、適宜のコロが設けられ、このものが脚部フレーム20Aに沿って転接するように構成され、茶刈機ユニット3、収容部4、中継移送装置5を全体的にチェーン等により吊持した状態で昇降動するものである。
【0017】次に前記収容部4について説明すると、このものは摘採作業時に収穫された摘採茶葉を収容する部位であり、この実施の形態においては上方が開口されたコンテナ41を主要部材として構成される。
【0018】次に前記中継移送装置5について説明すると、このものは刈取茶Aを茶刈機ユニット3の後方から収容部4の上部まで上昇移送するものであり、図2に示すように、茶刈機ユニット3から収容部4の上部まで立ち上げられた中継ダクト51を主要部材として構成される。この中継ダクト51には前記ファン23による移送風が吹き込まれて、刈取茶等を収容部4まで上昇移送する。
【0019】次に茶畝センサ6について説明すると、このものは茶畝Tの両側部位置を検知して茶畝Tの曲がり具合を検出するための装置であって、茶畝Tの側部に対して接触する検知板60の動きに応じた電気信号を出力するいわゆるポテンショメータ等を適用したセンサユニット61を具えて成る。具体的には図1、5に示すように前記脚部フレーム20Aに対して、回動軸62をほぼ鉛直状に左右一対で具え、この回動軸62に対して固定した二本の支持杆63に対して前記検出板60を具えるものである。この検知板60は一例として金属板を略半円筒形状に形成して成るものであり、適宜半円筒内側に補強材が設けられる。そしてスプリングの作用によって回動軸62に一定方向の回転力を与え、常時、検出板60を内側(茶畝T側)に回動する状態とするものである。なおこの検出板60の回動は、回動軸62に具えた規制杆65と、脚部フレーム20Aに具えたフック66とが係合状態となることにより制限されるものである。
【0020】このように検知板60は、走行機ユニット2の下部に水平面内で回動自在に取り付けられ、茶畝T側部との接触の度合いに応じて回動するため、茶畝Tの曲がり具合によって左右の検知板60R、60Lの回動角度が異なり、この回動角度差をセンサユニット61R、61Lが変動値として出力し、これを利用して茶畝Tの曲がり具合を検出するものである。そして茶畝跨走型茶刈装置1の自動操舵を行う際には、上記茶畝センサ6によって検出された回動角度差と、コントロールレバー213R、213Lの開閉変位量とが電気信号として出力され、これらの値がコントローラ215によって比較されて、茶畝センサ6の検出値に応じたコントロールレバー212A、212Bの開閉量が設定されるものである。
【0021】そして前記支持杆63を曲折自在に構成するものであり、図5(b)に示すように支持杆63を支持杆63aと支持杆63bとの二部材に分け、各部材をピン631で接続することにより、ピン631を軸に曲折自在に構成する。そしてこのような支持杆63に対して一回り大きめの固定管632を外嵌するものであり、この固定管632を図5(a)に示すように支持杆63aと支持杆63bとにまたがって位置させることにより、回動杆63を曲折しない状態に維持することができる。なお前記固定管632をこのような個所に留めるための構造としては、支持杆63aと支持杆63bとの接続部分周辺の径を太く設定するとともに、図には表れていないが固定管632の内側に板バネを具えることにより、支持杆63a及び支持杆63bと、固定管632とを密接状態にして、固定管632が容易にスライドしないような構造を採った。この他、支持杆63側にピンを設け、一方、固定管632側に切り欠きを設ける等して双方がバヨネット結合するような係止構造を取ることもできる。そして茶刈機ユニット3の交換作業を行う際には、図5(b)に示すように、曲折部に外嵌される固定管632をスライドさせることにより支持杆63を曲折可能な状態とし、検知板60を前方側に退避するものである。
【0022】また前記検知板60を退避させる構造としては、前記回動軸62と検知板60とを接続する支持杆63を分断自在とし、検知板60を取り外すことができるような構成を採ることもできる。具体的には図6に示すように、前記支持杆63を支持杆63aと支持杆63bとの二部材に分け、各部材を一回り大きめの接続管633を外嵌することにより一体化するものである。なお支持杆63a、支持杆63bと接続管633との固定は、ボルトナット634によって行うものであり、このボルトナット634として蝶ボルト、蝶ナットを用いれば、格別工具を要することなく、着脱を行うことができる。また支持杆63a、支持杆63bと接続管633との接続を、バヨネット構造等適宜の係止構造により行うことにより簡易に着脱できるようにしてもよい。そして茶刈機ユニット3の交換作業を行う際には、接続管633と支持管63aとの接続を解除して検知板60を前方側に退避するものである。
【0023】
【発明の効果】本発明によれば、茶刈機ユニット3の前方に位置する検知板60を、茶刈機ユニット3の交換の際に退避することができるので、茶刈機ユニット3交換の作業性を低下させてしまうことがなく、更に検知板60等の損傷を招いてしまうことがない。
【出願人】 【識別番号】000104386
【氏名又は名称】カワサキ技研株式会社
【出願日】 平成13年2月9日(2001.2.9)
【代理人】 【識別番号】100086438
【弁理士】
【氏名又は名称】東山 喬彦
【公開番号】 特開2002−233225(P2002−233225A)
【公開日】 平成14年8月20日(2002.8.20)
【出願番号】 特願2001−34441(P2001−34441)