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【発明の名称】 採種タマネギの収穫装置
【発明者】 【氏名】山浦 浩ニ

【氏名】西村 融典

【氏名】十川 和士

【氏名】荒木 正勝

【氏名】多田 康正

【要約】 【課題】タマネギの茎部の、刈り取りから回収までの収穫作業を能率的に行なえる装置を提供することを目的とする。

【解決手段】走行装置を有する車台前部に、畝に植わっているタマネギの茎部を中央部に寄せる掻込案内体を設け、この掻込案内体の後方には茎部の上下中間部を切断する第一切断刃と、切断された茎部を左右から挾持しながら後方へ移送する搬送体と、花球付きの茎部を回収する回収台を設ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】走行装置を有する車台前部に、畝に植わっているタマネギの茎部を中央部に寄せる掻込案内体を設け、この掻込案内体の後方には茎部の上下中間部を切断する第一切断刃と、切断された茎部を左右から挟持しながら後方へ移送する搬送体と、花球付きの茎部を回収する回収台とを設けたことを特徴とする採種タマネギの収穫装置。
【請求項2】前記搬送体は互いに逆向きに回転する左右一対の搬送ベルトからなり、この搬送ベルトを少なくとも上下2段に設け、これら搬送ベルトの下方には第一切断刃によって切断されて後方へ搬送中の茎部を下方に引込む引込手段を設け、この引込手段により下方に引き込まれた花球付きの茎部を所定長さに切断する第三切断刃を設けたことを特徴とする前記1項記載の採種タマネギの収穫装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、採種タマネギの収穫装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、タマネギの種を採取する収穫装置はなく、採種農家は夏の暑い日中に人海戦術に頼って収穫作業を行なっていた。一般に、ネギ坊主と言われる花球部にはタマネギの種が実っており、採種農家はこの種を収穫するために例年7月中旬頃にタマネギの茎を切断してこれを持ち帰り、所定本数毎に束ねて10日程度軒先等に吊るして乾燥させ、乾燥後に花球部分を解して種だけを採取していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】こうした収穫作業は、夏の一番暑い時期に行なわれ、しかも、茎部の切断回収作業には多くの人手を要するほか、腰を屈めてタマネギの茎の刈り取り作業をしなければならず、高齢者や婦女子にとってはきわめて過酷な重労働であり、生産現場では機械化による刈取収穫作業が望まれていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】この発明は上記課題に鑑みて提案するものであって、以下のように構成した。即ち、請求項1では、走行装置1,1を有する車台前部に、畝に植わっているタマネギの茎部Kを中央部に寄せる掻込案内体30,30を設け、この掻込案内体30,30の後方には茎部Kの上下中間部を切断する第一切断刃34と、切断された茎部Kを左右から挟持しながら後方へ移送する搬送体32,32と、花球F付きの茎部Kを回収する回収台83とを設けたことを特徴とする採種タマネギの収穫装置とする。
【0005】また、請求項2では、前記搬送体32,32は互いに逆向きに回転する左右一対の無端搬送ベルト44,44からなり、この無端搬送ベルト44,44を少なくとも上下2段に設け、これら搬送ベルト44,44の下方には第一切断刃34によって切断されて後方へ搬送中の茎部Kを下方に引込む引込手段38を設け、この引込手段38により下方に引き込まれた花球F付きの茎部Kを所定長さに切断する第三切断刃48を設けたことを特徴とする前記1項記載の採種タマネギの収穫装置とした。
【0006】
【作用】作業者は、運転席に座って収穫車両2を前進させ、畝Sを跨ぐようにして車両2を圃場に乗り入れさせる。エンジン4を駆動させて各回転部を駆動させて刈り取り作業を行なう。機体の前進に伴って畝Sに植え付けられた茎部Kが掻込案内体30,30によって中央部に寄せられ、地上から所定高さのところを第一切断刃34によって切断され、分離された茎部Kは挟持搬送体32,32に引き継がれて後方へ搬送される。
【0007】そして、切断された茎部Kは搬送途中に引込手段38,38によって下方へ引き込まれ、搬送体32,32を構成する無端搬送ベルト44,44に花球F部が当たるまで引き込まれて首揃えされた後、第三切断刃48によって花球F部から所定の長さの部分が切断され、前記搬送体32,32の後端から回収台83に向けて放出される。
【0008】
【発明の効果】請求項1の発明は、走行装置1,1を有する車台前部に、畝Sに植わっているタマネギの茎部Kを中央部に寄せる掻込案内体30,30を設け、この掻込案内体30,30の後方には茎部Kを切断する第一切断刃34と、切断された茎部Kを左右から挟持しながら後方へ移送する搬送体32,32と、花球F付きの茎部Kを回収する回収台83とを設けたものであるから、タマネギの茎部Kの刈り取りから回収までの収穫作業を何ら労力を要することなく簡単に行なうことができ、作業の能率を大幅に向上させることができる。
【0009】また、請求項2の発明では、前記搬送体32,32は互いに逆向きに回転する左右一対の無端搬送ベルト44,44からなり、この無端搬送ベルト44,44を少なくとも上下2段に設け、これら無端搬送ベルト44,44の下方には第一切断刃34によって切断されて後方へ搬送中の茎部Kを下方に引込む引込手段38,38を設け、この引込手段38,38により下方に引き込まれた花球F付きの茎部Kを所定長さに切断する第三切断刃48を設けたものであるから、切断された茎部Kの長さが略揃い、後工程である結束作業や結束後の乾燥処理作業が容易になるものである。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の一形態を図面に基づいて説明する。まず、その構成について説明すると、左右の走行クローラ1,1を有する収穫車両2の車体上部右側に操縦部3を設け、反対側にはエンジン4を搭載し、エンジン4の回転動力をプーリ6、7及びベルト8からなるベルト伝動機構10を介して機体左後部に配設したミッションケース12の入力軸13に伝えている。14はこのミッションケース12の横側部に取り付けられた油圧式無段変速装置(HST)であって、操縦部3に設けられた走行クラッチレバー16をクラッチ入側に倒した後に、主変速(HST)レバー17をガイド溝18に沿わせて前後方向に移動操作すると機体はその倒し角度に略比例した前進または後進速度が得られる。この主変速レバー17をガイド溝18の略中間位置のニュートラル位置に保持すると機体は停止する。
【0011】19,20は従来周知のサイドクラッチレバーであり、これらのサイドクラッチレバー19,20を前方に倒すとミッションケース12内に組み込まれたサイドクラッチ(図示省略)が入りとなり、後方に引くと引いた側のサイドクラッチが切れてその切れた側に機体が旋回するようにしている。
【0012】ミッションケース12の下部には走行軸22,22が軸架され、その端部にはクローラ1,1を駆動するスプロケット24,24が固着されている。なお、図1において、符号25,25は複数個の転輪26、26…と前側1個の遊輪27,27を支持するトラックフレームである。クローラ1,1はこれらの遊輪27,27と、スプロケット24,24と、転輪26、26…間に巻き回されている。
【0013】次にタマネギの茎Kの中間部を切断して花球F付きの茎Kを収穫する作業部の構成について説明する。収穫車両2の機体前部には畝Sに植わっているタマネギの茎Kを中央部に寄せ集める掻込案内体30,30が設けられ、その後方には中央部に集められた茎Kを左右から挟持しながら後方に移送する挟持搬送体32と、この挟持搬送体32で挟持搬送されている茎Kの上下中間部を切断する第一切断刃34と、畝Sに残っている残茎をさらに短く切断する第二切断刃36と、前記挟持搬送体32で挟持している茎Kを下方に引き込む引込装置38が設けられている。前記掻込案内体30,30は、図6に示すように前後に間隔をあけて設けられた2本の縦軸39,39上下に固着のプーリ40,40に巻き回されたラグ付きの搬送ベルト41,41を有し、これらが左右に設けられ、図3に示すように左右の搬送ベルト41,41の前端側間隔が後端側間隔より広くなる平面視逆ハ字状に形成されている。また、前記挟持搬送体32は前後のプーリ42,43間に巻き回された左右一対の無端ベルト44,44を上下に備え、左右のベルト44,44同士は互いに接近して相互に逆向に回転し、タマネギの茎Kをこれら左右一対の無端ベルト44,44で挟持しながら後方へ搬送するようにしている。無端ベルト44を巻き掛けている前側プーリ42のうち外側のプーリ42と掻込案内体30の後側プーリ40とは、プーリ40が上側となるようにして同一軸芯上に設けられている。
【0014】そして、挟持搬送体32は左右方向にもう1組設けられ合わせて2条分のタマネギの茎Kが後方へ搬送されるように構成している。なお、この実施例では、前記掻込案内体30,30の回転動力は挟持搬送体32,32の前部に設けた前側プーリ42,42支持部から取るものであるが、別の経路から動力を取るようにしても良い。また、畝Sの条数に応じて掻込案内体30,30の開き角度を任意に調節できるようにしても良い。
【0015】また、図1から明らかなように第一切断刃34は側面から見て遊輪27よりやや後方の高い位置にあり、挟持搬送体32,32の無端ベルト44,44によって挟持されているタマネギの茎Kの上下中間部を切断する。これより後方でやや低い位置に設けられた第二切断刃36は畝Sに残された茎Kの残稈部をさらに短く切断する。第一切断刃34、第二切断刃36ともレシプロ式の従来周知の刈刃構成であって、左右のクローラ1,1の内幅に相当する長さを有する。
【0016】第一切断刃34の後方に設けられた茎Kの引込装置38は一対のロール45,45を前後方向に沿わせてかつ水平状に並べたもので一方のロール45には前後方向に沿う複数個の突条45aが設けてあり、先端には丸棒46が巻き掛けてある。これらのロール45,45は逆向きに回転し、前記の無端ベルト44,44が搬送中の茎Kを挟み込んで下方に引き込むものである。引込装置38も挟持搬送体32,32に対応させて左右に2組設けている。なお、前記ロールの突条45aは、タマネギの茎Kを円滑、かつ確実に引き込むために設けたものであって、その突条45aの数やロール45,45の回転径、回転数等はタマネギの品種や使用の形態に応じて適宜設定する。
【0017】図1において符号48,48は引込装置38,38によって引き込まれたタマネギの茎Kの長さを所定長さに切断する第三切断刃である。この切断刃48,48はデイスク状に構成されており、前記無端ベルト44,44の後側プーリ43,43を支持する縦軸50,50の下部に取り付けられている。従って、無端ベルト44,44が回転中はこのデイスク型の第三切断刃48,48も回転することができる。
【0018】図4は作業部の動力伝達系を線図で表したものである。同図を用いて動力伝達系を簡単に説明する。ミッションケース12の内側部には作業部を駆動するための出力軸51が軸架され、その内端部にプーリ52が固着されている。このプーリ52と中間軸54上のプーリ55との間にはベルト56を巻き掛け、中間軸54外端に取り付けたギヤ57と第一駆動軸58外端のギヤ59とを噛合わせ、第一駆動軸58を回転させることによって前記引込装置38,38と第一切断刃34及び第二切断刃36を駆動するようにしている。符号60,61,62は2枚のベベルギヤが直交状態に噛合って動力伝達の向きを変更するベベルギヤ機構、64,65,66,67は引込装置38,38のロール45,45軸端に固着されたギヤである。ギヤ64とギヤ65が噛合い、ギヤ66とギヤ67が噛合い、1組のロール45,45は相互に逆回転する。69は機体の右側にあって前後方向に沿わせて設けられた刈刃駆動軸でこの刈刃駆動軸69の前部にはクランク杆70が取り付けられており、刈刃駆動軸69が回転すると第一切断刃34と第二切断刃36の可動刃を左右方向に往復移動させる。72は掻込案内体30を駆動する第二駆動軸であり、機体後上部に水平横向きに軸架され、この軸72の外端部にはスプロケット73が取り付けられており、このスプロケット73と第一駆動軸58に取り付けたスプロケット74との間にチェーン75を巻き掛けている。77,78はベベルギヤ機構で、第二駆動軸72の回転を前記挟持搬送体32の後側プーリ43,43を支持している縦軸50に伝達する。各縦軸50,50…上部には夫々ギヤ93,94,95,96が固着されており、ギヤ93とギヤ94が噛合い、ギヤ95とギヤ96が常時噛合っていて、無端ベルト44,44は互いに逆向きに回転する。
【0019】なお、前記した作業部の動力の入切は、操縦部3に設けたPTOレバー80を前方に倒してクラッチを接続すると実行されるものであって、このPTOレバー80をクラッチ入り側に操作すると、前記引込装置38,38、挟持搬送体32,32、第一、第二、第三の各切断刃34,36,48が同時に回転駆動される。
【0020】図1において、符号82は座席、83は花球Fが付いた収穫用の茎Kを回収する台、84はステップである。このステップ84は不使用時には上方へ回動させて収納退避させることができる。また、前記回収台83は底板が平坦な盤面であっても良いが、こぼれた種子を回収しやすくするために、左右の底板85を傾斜させ、中央部に種子が溜まるような構成としても良い。
【0021】図3において、符号86は収穫物を強制的に回収台83側へ送る補助搬送体で、プーリ43,87間に巻き回したベルト88で構成される。89は機体前部に設けた分草体、99はバッテリーである。次に上例の作用について説明する。
【0022】エンジン4を駆動して走行クラッチレバー16をクラッチ入り側に倒し、更に主変速レバー17を操作して機体を畝Sの端に移動させる。この状態でPTOクラッチレバー80をクラッチ入り側に倒し、作業部の各回転部を駆動させる。PTOクラッチレバー80を入りにすると、ミッションケース12の出力軸51から取り出された回転動力は、プーリ52、ベルト56、プーリ55を順次介して中間軸54に伝達されると共に、ギヤ57、59を介して第一駆動軸58に伝達され、更にベベルギヤ60、61、ギヤ64,65及びギヤ66,67を介して引込装置38の各ロール45,45を互いに逆向きに回転させる。このとき、第一駆動軸58の軸端に設けたベベルギヤ62により刈刃駆動軸69も駆動されて第一切断刃34、第二切断刃36の可動刃を往復摺動させる。
【0023】更に第一駆動軸58の回転動力はチェン75、スプロケット73、74を介して第二駆動軸72に伝達され、この第二駆動軸72の途中に介装したベベルギヤ77,78により挟持搬送体32,32の後側プーリ43,43を支持している縦軸50,50を回転駆動する。縦軸50,50にはギヤ93,94,95,96が取り付けられているからこれらのギヤ93,94,95,96を介して挟持搬送体32,32の無端ベルト44,44が駆動される。
【0024】図7は作業中の様子を示すものである。機体を前進させながら作業部を駆動させると回転している掻込搬送体30,30のラグ付搬送ベルト41,41によって茎は中央に寄せ集められ、左右一対の挟持搬送体32,32の始端側に誘導されていく(図6参照)。
【0025】そして、これら挟持搬送体32,32を構成する無端ベルト44,44によって茎Kは挟持されながら後方へ移送され、第一切断刃34によってその上下方向の中間部が切断され、そのまま後方へ移送される。更に花球部(所謂ねぎ坊主)が引込装置38,38により上段の無端ベルト44のガイド板90に当たる位置まで下方へ引き込まれて首揃えされる。図5はその状態を示すもので、仮想線イが首揃え前の状態、実線ロが引き込まれた状態を示す。この発明においては、タマネギの茎Kに対して掻込案内体30を構成する搬送ベルト41、挟持搬送体32を構成する無端ベルト44がタマネギの茎Kに対して略垂直に作用するので首揃えに有効である。
【0026】そして、この後に、花球部から所定長さの部分が第三切断刃48によって切断され、図8に示すように花球F部を2本のガイド棒92,92に支持させながら後方へ押し出して回収台83の上に放出させる。作業者はこの回収台83の上に放出された花球F付きの茎Kをコンテナ等の容器に手で掴んで移し変える。同時に回収台83の上に零れた種子を掃き集めて別の容器に回収する。
【0027】なお、図示は省略したが、回収台83上に放出される茎Kを適当な搬送手段を介してコンテナに自動的に集めたり、あるいは適当個数の茎Kを紐やテープで結束し、これら結束後の茎Kを回収する構成としても良い。
【出願人】 【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
【識別番号】592167411
【氏名又は名称】香川県
【出願日】 平成13年1月31日(2001.1.31)
【代理人】
【公開番号】 特開2002−223619(P2002−223619A)
【公開日】 平成14年8月13日(2002.8.13)
【出願番号】 特願2001−23958(P2001−23958)