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【発明の名称】 作業車等の傾斜制御装置
【発明者】 【氏名】十亀 治光

【氏名】吉邨 文夫

【氏名】堀 俊男

【氏名】菊池 和幸

【氏名】是久 正喜

【要約】 【課題】作業車等における機体のピッチング制御時の阻害要因の改善、及び収穫作業車等における穀粒の水分値又は層厚値による選別性能の阻害要因の改善。

【解決手段】機体1の前後傾斜状態を傾斜検出手段2により検出した検出信号aによって水平状態に揺り戻しを行わせるピッチング制御時に、該検出信号aの各種要因による時間遅れにより過剰となる傾斜修正側への揺り戻しを抑制するため、予め設定した傾斜補正値により水平基準値bを補正する作業車等の傾斜制御装置と、脱穀物を受けて揺動選別する揺動選別棚3上を流れる穀粒の水分を穀粒水分検出手段4により検出した水分検出値と、層厚を穀粒層厚検出手段5により検出した層厚検出値に応じて機体1の前後傾斜角度を補正する収穫作業車等の傾斜制御装置の構成とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 機体1の前後傾斜状態を傾斜検出手段2により検出した検出信号aによって水平状態に揺り戻しを行わせるピッチング制御時に、該検出信号aの各種要因による時間遅れにより過剰となる傾斜修正側への揺り戻しを抑制するため、予め設定した傾斜補正値により水平基準値b(又は前後傾斜角度)を補正することを特徴とする作業車等の傾斜制御装置。
【請求項2】 脱穀物を受けて揺動選別する揺動選別棚3上を流れる穀粒の水分を穀粒水分検出手段4により検出した水分検出値に応じて、ピッチング制御時の機体1の前後傾斜角度を補正することを特徴とする収穫作業車等の傾斜制御装置。
【請求項3】 脱穀物を受けて揺動選別する揺動選別棚3上を流れる穀粒の層厚を穀粒層厚検出手段5により検出した層厚検出値に応じて、ピッチング制御時の機体1の前後傾斜角度を補正することを特徴とする請求項2記載の収穫作業車等の傾斜制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、作業車等の傾斜制御装置に関し、作業車及び収穫作業車等において機体の前後傾斜を修正調節するピッチング制御を行うときに、各種の条件に応じた傾斜補正角度により前後傾斜角度を補正するもの等の分野に属する。
【0002】
【従来の技術】従来、軟弱な土壌面における前進走行時の駆動反力により機体が後傾斜状態となるとき等、作業車及び収穫作業車等の走行時に生じる前後側への傾斜状態を、傾斜検出手段等により検出した検出値によって水平状態に揺り戻しを行うピッチング制御については、既に周知である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、作業車等において、機体の前後傾斜状態を傾斜検出手段等の検出値により水平状態に揺り戻しするピッチング制御を行わせるとき、この検出値には圃場の凹凸等その他による各種のノイズを含んでいると考えられるから、例えば、移動平均処理等により平準化する必要があるため、この処理による時間遅れが生じた分だけ傾斜修正側への揺り戻しが持続されて過剰となり、水平状態への揺り戻しが阻害されるという不具合が発生していた。
【0004】また、収穫作業車等において、収穫した穀粒はその水分値によって脱穀部の揺動選別棚上を流れる状態が異なると共に、作業能率や作柄等によって揺動選別棚上を流れる穀粒の層厚が異なることにより選別性能が阻害されるという不具合が発生していた。
【0005】そこでこの発明は、作業車等におけるピッチング制御時の阻害要因の改善、及び収穫作業車等における選別性能の低下要因の改善を行う。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、機体1の前後傾斜状態を傾斜検出手段2により検出した検出信号aによって水平状態に揺り戻しを行わせるピッチング制御時に、該検出信号aの各種要因による時間遅れにより過剰となる傾斜修正側への揺り戻しを抑制するため、予め設定した傾斜補正値により水平基準値b(又は前後傾斜角度)を補正することを特徴とする作業車等の傾斜制御装置の構成とする。
【0007】請求項2の発明は、脱穀物を受けて揺動選別する揺動選別棚3上を流れる穀粒の水分を穀粒水分検出手段4により検出した水分検出値に応じて、ピッチング制御時の機体1の前後傾斜角度を補正することを特徴とする収穫作業車等の傾斜制御装置の構成とする。
【0008】請求項3の発明は、脱穀物を受けて揺動選別する揺動選別棚3上を流れる穀粒の層厚を穀粒層厚検出手段5により検出した層厚検出値に応じて、ピッチング制御時の機体1の前後傾斜角度を補正することを特徴とする請求項2記載の収穫作業車等の傾斜制御装置の構成とする。
【0009】
【作用】請求項1の発明では、上記の構成により、軟弱な土壌面における前進走行時の駆動反力により機体1が後傾斜状態となるとき等、作業車等の走行時に生じる前後側への傾斜状態を傾斜検出手段2により検出した検出信号aにより水平状態に揺り戻しするピッチング制御を行わせるとき、この検出信号aには圃場の凹凸等その他による各種のノイズを含んでいると考えられるから、例えば、移動平均処理等により平準化を行わせるが、この処理による時間遅れが生じた分だけ予め設定した傾斜補正値により水平基準値b(又は前後傾斜角度)を補正することにより、傾斜修正側への過剰な揺り戻しを抑制することができる。
【0010】請求項2の発明では、上記の構成により、収穫作業車等の脱穀部において、脱穀された処理物を受けて揺動選別する揺動選別棚3上を流れる穀粒の水分値を、例えば、グレンタンク等内部の適宜位置に配設した穀粒水分検出手段4により検出し、この検出水分値に応じてピッチング制御時の機体1の前後傾斜角度の補正を行わせる。
【0011】請求項3の発明では、上記の構成により、収穫作業車等の脱穀部において、脱穀された処理物を受けて揺動選別する揺動選別棚3上を流れる穀粒の層厚値を、例えば、揺動選別棚3の上方近傍位置に配設した接触又は非接触形式の穀粒層厚検出手段5により検出し、この層厚検出値に応じてピッチング制御時の機体1の前後傾斜角度の補正を行わせる。
【0012】
【発明の効果】請求項1の発明では、上記作用の如く、作業車等の走行時に生じる前後側への傾斜状態を傾斜検出手段2による検出信号aにより水平状態に揺り戻しするピッチング制御時に、各種のノイズを含んだ検出信号aを移動平均処理等により平準化を行わせるが、この処理による時間遅れが生じた分だけ、予め設定した傾斜補正値により水平基準値b(又は前後傾斜角度)を補正することにより、傾斜修正側への過剰な揺り戻しを抑制して、水平状態への揺り戻しが阻害されるという不具合を防止することができる。
【0013】請求項2の発明では、上記作用の如く、収穫作業車等の脱穀部において揺動選別棚3上を流れる穀粒の水分値を、例えば、グレンタンク等に配設した穀粒水分検出手段4により検出し、この水分検出値に応じてピッチング制御時の機体1の前後傾斜角度を補正することにより、穀粒の水分によって変化する揺動選別棚3上の穀粒の流れを常に最適状態に保持して、選別性能の低下を防止することができる。
【0014】請求項3の発明では、上記作用の如く、収穫作業車等の脱穀部において揺動選別棚3上を流れる穀粒の層厚値を、例えば、揺動選別棚3の上方に配設した穀粒層厚検出手段5により検出し、この層厚検出値に応じてピッチング制御時の機体1の前後傾斜角度を補正することにより、作業能率や作柄によって変化する揺動選別棚3上の穀粒の流れを常に最適状態に保持して、選別性能の低下を防止することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下に、この発明の実施例を作業車及び収穫作業車等としてのコンバインについて図面に基づき説明する。図18はコンバインの全体構成を示すもので、車台6の下部側に土壌面を走行する左右一対の走行クローラ7を有する走行装置8を配設すると共に、該車台6上に、フィードチェン9に挟持して供給される穀稈を脱穀し、この脱穀された穀粒を選別回収して一時貯留するグレンタンク10と、このタンク10に貯留された穀粒を機外へ排出する排穀オーガ10aを備えた脱穀装置11を載置し、この脱穀装置11の後端部に排藁処理装置12を装架構成している。
【0016】該脱穀装置11の前方側に、前端位置から未刈穀稈を分草する分草体13と、分草された穀稈を引き起こす引起部14と、引き起こされた穀稈を刈り取る刈刃部15と、この刈り取られた穀稈を後方へ搬送して該フィードチェン9へ受け渡しする穀稈搬送部16等を有する刈取装置17を、油圧駆動による刈取昇降シリンダ17aにより土壌面に対して昇降自在なるよう該車台6の前端部へ懸架構成している。
【0017】該刈取装置17の一側にコンバインの操作制御を行う操作装置18と、この操作のための操作席19とを設け、この操作席19の後方側に該グレンタンク10を配置し下方側にエンジン20を搭載し、該操作装置18と操作席19を覆うキャビン21を配設すると共に、これらの走行装置8,脱穀装置11,刈取装置17,操作装置18,エンジン20,キャビン21等によってコンバインの機体1を構成している。
【0018】該走行装置8は、図2及び図3に示す如く、角パイプ等によって形成される略方形状の外周フレーム6aに対し、縦方向中央寄りに左右の縦中フレーム6bと横方向に複数個の横中フレーム6cを各々配置して前記車台6を構成させる。以下、左右の構成は略同じであり片側(例えば左側)についてのみ説明する。
【0019】該縦中フレ−ム6bの前側下部に設けた支持枠23にローリングメタル24を固定し、このローリングメタル24に回動可能に軸支した前部ローリング軸25の該メタル24を挟んだ内端部と外端部に、前部ローリングアーム26を各々上部と下部に分割し側面視く字状に軸止すると共に、該アーム26の下端部と、縦中フレ−ム6bの外側下方に位置する転輪フレーム27の前部側位置とを回動可能にピン連結して構成させる。
【0020】該縦中フレ−ム6bの後側下部に各々固定したピッチングメタル28にピッチング軸29を回動可能に軸支し、このピッチング軸29の左端側にピッチングアーム30の一端部を軸止すると共に、その他端部と、平面視H字状の連結アーム31の左側一端部とを回動可能にピン連結して構成させる。
【0021】後部ローリング軸32の内端部と外端部に、各々後部ローリングアーム33を上部と下部に分割し側面視く字状に軸止すると共に、後部ローリング軸32の該アーム33の上部と下部の間に該連結アーム31の左側他端部を回動可能に軸支し、該アーム33の下端部と、該転輪フレーム27の後部側位置とを回動可能にピン連結して構成させる。
【0022】該ピッチングアーム30の上端部に、油圧等によって伸縮作用するピッチングシリンダ34のピストン先端部をピン連結すると共に、このシリンダ34の固定側を横中フレ−ム6cから上方に延長した取付部35に回動可能にピン連結し、前記前部ローリングアーム26の上端部と、該後部ローリングアーム33の上部側中間位置とを各々4点平行リンクを形成可能に連結杆36によって回動可能にピン連結して構成させる。
【0023】該後部ローリングアーム33の連結杆36による連結位置より上方側へ延長した上端部と、油圧等によって伸縮作用するローリングシリンダ37のピストン先端部をピン連結すると共に、このシリンダ37の固定側と、該ピッチングアーム30の他端突起部とを帯状の保持板38により各々両側より挾む状態で回動可能にピン連結し、この保持板38のピン連結部をリンク39を介して揺動可能に該横中フレーム6cに各々連結して構成させる。
【0024】前記転輪フレーム27の後端部に後部転輪41を回動可能に支持する後部転輪受42と、この後部転輪受42を前後調節可能に保持する支持ア−ム43とを後方に向け固着すると共に、転輪フレーム27の外側面下部側に、各々所定の間隔をおいて複数個の接地転輪44を遊転自在に軸支して構成させる。
【0025】これらの後部転輪41及び複数個の接地転輪44と、車台6の前端部に装架した走行用ミッションケ−ス45から動力を伝達する駆動輪46とに、前記走行クロ−ラ7を巻掛け張設して構成させる。47は補助転輪を示す。前記ピッチングシリンダ34の伸縮ストロークを検出する前後ストロークセンサ48を該シリンダ34の下部側に設け、このセンサ48の作用アームと前記ピッチングアーム30の上端部近傍とをロット49により連結すると共に、前記ローリングシリンダ37の伸縮ストロークを検出する左右ストロークセンサ50を該シリンダ37の上部側に設け、このセンサ50の作用アームと前記後部ローリングアーム33の上端連結部とをロット51により連結して構成させる。
【0026】該ピッチングアーム30とピッチングシリンダ34の作動により機体1を前後傾斜させるピッチング機構を構成させると共に、前記左右の前部及び後部ローリングアーム26,33と左右のローリングシリンダ37の作動により機体1を昇降又は左右傾斜させるローリング機構を構成させる。
【0027】図4に示す如く、機体1の前後傾斜を検出する傾斜検出手段2としての前後傾斜センサ2aと、機体1の左右傾斜を検出する傾斜検出手段2としての左右傾斜センサ2bとを前記グレンタンク10の下部側空間の車台6部分に配置させると共に、機体1の水平制御作用をON・OFFさせる水平制御スイッチ52を配置して構成させる図5に示す如く、CPUを主体的に配しローリング機構とピッチング機構の演算制御を行うコントローラ53を設け、このコントローラ53の入力側に、前記前後ストロークセンサ48,左右ストロークセンサ50,前後傾斜センサ2a,左右傾斜センサ2b,水平制御スイッチ52等を各々接続して構成させる。
【0028】該コントローラ53の出力側に、前記ピッチングシリンダ34を作動させる伸長側及び短縮側のピッチング電磁弁54a,54bと、左右のローリングシリンダ37を作動させる伸長側及び短縮側の左右のローリング電磁弁55a,55bを各々接続して構成させる。
【0029】機体1の前後・左右の水平制御を行うときに、機体1がピッチングを起こして前後側に傾斜するときは、水平制御スイッチ52のONと前後傾斜センサ2aによる傾斜の検出によって、コントローラ53の制御によりピッチングシリンダ34を作動して、ピッチングアーム30の上下回動作用により、連結アーム31を介して左右の後部ローリングアーム33を昇降させる。
【0030】該後部ローリングアーム33により左右の転輪フレーム27の後部側を前部ローリング軸25を支点として上下動させて、車台6に対して左右の走行クロ−ラ7を同時に昇降させることにより、相対的に機体1を前後傾斜させて水平状態に調整することができる。
【0031】また、機体1がローリングを起こして左右側に傾斜するときは、水平制御スイッチ52のONと左右傾斜センサ2bによる傾斜の検出によって、コントローラ53の制御により左又は右のローリングシリンダ37を作動して、前部及び後部ローリングアーム26,33と連結杆36による平行リンク作用により左又は右の転輪フレーム27を平行に上下動させて、車台6に対して左又は右の走行クロ−ラ7を昇降させることにより、相対的に機体1を左右傾斜させて水平状態に調整することができる。
【0032】また、機体1を走行クロ−ラ7に対して平行に昇降させるときは、水平制御スイッチ52のONにより左右のローリングシリンダ37を同時に同量作動させ、左右のローリングアーム26,33の上下回動作用により、左右の転輪フレーム27を平行に上下動させて、機体1に対し左右の走行クロ−ラ7を同一に昇降させることにより、相対的に機体1を平行に昇降させることができる。
【0033】このように、機体1の前後傾斜を水平状態に調整するピッチング制御を行うものにおいて、軟弱な土壌面における前進走行時の駆動反力により機体1の後傾斜状態を前後傾斜センサ2aにより検出したときは、図1aに示す如く、機体1の傾斜作用に対し検出信号aが時間的に遅れるため、実祭には前傾斜側へ揺り戻しを行っているにもかかわらず後傾斜への検出を持続し、前傾斜側へ過剰な揺り戻しを行うことになるから、この前傾斜状態の姿勢により作業者は疲れ易くなる。
【0034】この過剰な揺り戻しを調整するため、図1bに示す如く、水平基準値bにおけるニュートラル幅nを必要量cだけ後傾斜側へずらすか、又は必要な量だけ前後傾斜角度を後傾斜側へ補正することにより適正な前後傾斜角度の修正を行うことができるから、機体1を水平状態に維持して作業者の疲労を軽減できる。
【0035】前記脱穀装置11は、図6に示す如く、上部側に脱穀室56と処理室57を下部側に選別室58を各々配置し、該脱穀室56には穀稈を脱穀処理する扱胴59を入口側となる前部から出口側となる後部に向けて軸架内装すると共に、処理室57には、その前半部分に還元された二番物を前方に送りながら選別室58へ漏下させる撹拌胴と、後半部分に脱穀物を再処理する処理胴を連接した撹拌処理胴60を扱胴59と平行して軸架内装して構成させる。
【0036】穀稈の搬送通路に沿って穀稈を挟持搬送する前記フィードチェン9と、扱胴59の略下半部を包囲する扱網61と、この扱網61の出口側端部に脱穀排塵物を排出する脱穀排塵口62とを設けて構成させる。該選別室58には、脱穀処理されて扱網61から漏下した脱穀物を揺動移送しながら選別を行う縦長の揺動選別棚3を、該扱胴59の軸方向に沿ってその入口側部を上手側として出口側に向け架設すると共に、この揺動選別棚3の上手側下方に羽根の回転により選別風を起風する唐箕63を配設して構成させる。
【0037】該揺動選別棚3と唐箕63によって選別された一番穀粒を収容して横送り集穀する一番螺旋64と、二番物を収容して横送り集積する二番螺旋65とを各々揺動選別棚3の下方に配設すると共に、揺動選別棚3の下手側上方にシロッコファン等により脱穀排塵を機外へ排塵する排塵ファン66を、脱穀装置11の出口側壁11aに装架した前記排藁処理装置12の適宜位置に開口して構成させる。
【0038】図7に示す如く、前記グレンタンク10内部の上部適宜位置に穀粒の水分値を検出する穀粒水分検出手段4としての穀粒水分センサ4を配設すると共に、図8に示す如く、該揺動選別棚3の上方適宜位置に該選別棚3上を移送される穀粒の層厚値を検出する接触又は非接触形式の穀粒層厚検出手段5としての穀粒層厚センサ5を配設して構成させる。
【0039】分草体13を土壌面に近接させ走行装置8によって機体1を前進させ刈取装置17により未刈穀稈の刈取りを行い、この刈取りによりフィードチェン9に挟持搬送された穀稈は脱穀室56において扱胴59により脱穀され、この脱穀物の一部は処理室57の撹拌処理胴60へ送り込まれ処理される。
【0040】この間扱網61及び処理室57から漏下した脱穀物及び処理物は選別室58の揺動選別棚3上に落下し、該選別棚3の揺動移送作用と、選別風路における選別風の送風作用により精選された一番穀粒は一番螺旋64へ収容移送され機外へ搬出されると共に、選別された二番物は二番螺旋65へ収容移送され撹拌処理胴60へ還元される。
【0041】このような脱穀作業時に、機体1の前後傾斜を修正調節するピッチング制御を行うものにおいて、図9のフローチャートに示す如く、該グレンタンク10に貯留された穀粒の水分値を穀粒水分センサ4によって検出測定を行い、この水分測定値により、図10の線図に示す如く機体1の後傾斜補正角度の算出を行い、この算出値により傾斜角度を測定し、機体1が後傾斜のときは前傾斜側への揺り戻し出力を行うと共に、前傾斜のときは後傾斜側への揺り戻し出力を行わせる。
【0042】このように、該揺動選別棚3上を流れる穀粒の水分値に応じてピッチング制御時の前後傾斜角度を修正調節することができるから、穀粒の水分によって異なる該選別棚3上の穀粒の流れを常に最適に保持することができると共に、ピッチング制御を利用して該選別棚3の角度の変更が可能であり棚角度制御用の機構が不要となり、低コストで実施することができる。
【0043】また、前記の如き脱穀作業時に、機体1の前後傾斜を修正調節するピッチング制御を行うものにおいて、図11のフローチャートに示す如く、該揺動選別棚3上を流れる穀粒の層厚値を穀粒層厚センサ5によって検出測定を行い、この層厚測定値により、図12の線図に示す如く機体1の後傾斜補正角度の算出を行い、この算出値により傾斜角度を測定し、機体1が後傾斜のときは前傾斜側への揺り戻し出力を行うと共に、前傾斜のときは後傾斜側への揺り戻し出力を行わせる。
【0044】このように、該揺動選別棚3上を流れる穀粒の層厚値に応じてピッチング制御時の前後傾斜角度を修正調節することができるから、作業能率や作柄によって異なる該選別棚3上の穀粒の流れを常に最適に保持することができると共に、ピッチング制御を利用して該選別棚3の角度の変更が可能であり棚角度制御用の機構が不要となり、低コストで実施することができる。
【0045】また、収穫作業時に早生刈り,朝刈り,露付着刈り等を行うときは、穀稈が高水分のため前記グレンタンク10に貯留された穀粒を機外へ排出する際に、該タンク10内部の下部側コーナー位置や、その他穀粒排出時の流下を阻害される部位にブリッジが発生し排出残りが生じ易くなる。
【0046】このため、図13に示す如く、前記グレンタンク10内部の下部側コーナー位置や、その他穀粒排出時の流下阻害部位に撥水性又は親水性を有する、例えば、セラミック,フイルム,塗料等による適宜大きさの流滑部材67を貼付又は塗ることにより、穀粒の滑りを良好にし穀粒排出時に発生するブリッジを防止することができるから穀粒の機外排出時に排出残りを生じることがない。なお、機械的振動等によりブリッジを防止する方法に比べ低コストで実施することができる。
【0047】また、収穫作業時に作業が夕方にずれ込んだ場合、作業内容の視認性が悪く、特に該脱穀装置11に供給される穀稈の穂先位置が見え難くなるため、供給位置が深くなったときは過負荷となり急いでいるにも関わらず作業が中断されるというトラブルが発生する。
【0048】このため、図14に示す如く、該脱穀装置11の穀稈供給部における穂先部近傍の穀稈通過面に、蓄光により暗い状態においても自己発光する処理を施した適宜大きさの蓄光部材68を貼付することにより、夕方や夜間の作業においても視認性が良好となり、穀稈の穂先位置を容易に認識できるから作業性を向上させることができる。なお、昼間の光をエネルギーとして発光するため照明部材や配線等の必要がなく低コストで実施することができる。
【0049】また、前記蓄光部材68を、図15a,bに示す如く、該刈取装置17の分草体13の前面に適宜大きさの帯状態等で取り付けることにより、夕方や夜間の作業においても視認性が良好となり分草体13の位置を容易に認識できるから、未刈穀稈に対する条合わせを十分に行うことができ、穀稈を踏み付ける等のトラブルを防止することができる。
【0050】また、前記蓄光部材68を、図16に示す如く、該刈取装置17の左右両側の分草体13に取り付けることにより、夕方や夜間の作業においても視認性が良好となり刈取方向に影響されず分草体13の位置を容易に認識できると共に、夜間の路上走行においても対向車等から当方の機体1幅が分かるため安全性の向上を図ることができる。
【0051】また、収穫作業を行う圃場の地形計測とこの計測による刈取制御を行う方法として、従来から、GPS等を利用した無人の自動運転制御を行う方法があるが、これらの装置は何れも大がかりで高価であり、特に出入りの著しい不定形の圃場では精度が劣る等の難点があった。
【0052】そこで、これらの難点を改善するため少なくとも3点以上の計測点から簡便に土地形状を算出する手法として、例えば、図17aに示す如く、実祭の圃場において適宜な位置として設定した基準点にレーザ発信器69を設置し、この発信器69に基づき交差しない位置で圃場地形を形成する近似個所に各々反射鏡70を1番から12番まで12個配置し、該発信器69と各反射鏡70との間の距離を各々レーザにより計測する。
【0053】次に、図17bに示す如く、該発信器69及び反射鏡70の各点間を順次直線で結ぶ閉ループdにより圃場地形の作成を行い、この閉ループdから一定距離e内側を実際に刈取を行う被刈取部Aの近似値とし、刈取りを行うコンバインの機種から算出される必要な手刈り部fを設定すると共に、この手刈り部fによって方向を変えながら最短時間の刈取軌跡hを策定する。
【0054】このように、該発信器69と各反射鏡70との間をレーザで計測し閉ループdによる圃場地形を作成することにより、GPSを利用する場合に比べ自動ではないが、区画整理が行われていないような複雑な圃場地形でも精度よく簡便に地形計測を行い、低コストで無人自動化を図ることができる。
【出願人】 【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
【出願日】 平成13年1月22日(2001.1.22)
【代理人】
【公開番号】 特開2002−218828(P2002−218828A)
【公開日】 平成14年8月6日(2002.8.6)
【出願番号】 特願2001−13134(P2001−13134)