トップ :: A 生活必需品 :: A01 農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業




【発明の名称】 コンバインにおける前処理部
【発明者】 【氏名】杉山 隆夫

【氏名】牧野 英二

【氏名】市川 友彦

【氏名】小松 正寛

【氏名】藤井 孝典

【氏名】野脇 慎二郎

【要約】 【課題】全長が短いコンバインにおける前処理部を提供することを課題としている。

【解決手段】前処理部2の刈刃8の上方に穀稈を左右前方から後方に集合させるように掻込搬送する掻込搬送体9から穀稈を受け継ぎ、脱穀部3側に搬送する扱深さ搬送体11の株元搬送体13の前端部分を、掻込搬送体9の穀稈の搬送経路上に平面視で重複せしめた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 走行機体の前方に前処理部(2)を、該前処理部(2)の後方に脱穀部(3)を各設けるとともに、上記前処理部(2)の刈刃(8)の上方に穀稈を左右前方から後方に集合させるように掻込搬送する掻込搬送体(9)を設け、該掻込搬送体(9)から穀稈を受け継ぎ、脱穀部(3)側に搬送する扱深さ搬送体(11)を設け、該扱深さ搬送体(11)が、穀稈の株元側を受け継ぐ株元搬送体(13)を備えたコンバインにおいて、株元搬送体(13)の前端部分を、掻込搬送体(9)の穀稈の搬送経路上に平面視で重複せしめたコンバインにおける前処理部。
【請求項2】 掻込搬送体(9)側に、穀稈を左右方向から挟持して掻込搬送体(9)に案内する左右一対の掻込ガイド(26),(27)を設け、一方のガイド(26)を両掻込ガイド(26),(27)間に穀稈を弾力的に付勢する弾性ガイドとしたコンバインにおける前処理部。
【請求項3】 株元搬送体(13)が、株元搬送チェーン(18)と、該チェーン(18)に対向して配置される挟持レール(19)とを備え、弾性ガイド(26)を挟持レール(19)側に沿わせ、他方のガイド(27)を株元搬送チェーン(18)に沿わせた請求項2のコンバインにおける前処理部。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明はコンバインにおける前処理部に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】従来コンバインは、走行機体の前方に前処理部が、該前処理部の後方に脱穀部が各設けられており、上記前処理部が、刈刃の後方に穀稈を左右前方から後方に集合させるように掻込搬送する掻込搬送体と、該掻込搬送体側から穀稈を受け継ぎ、脱穀部側に搬送する扱深さ搬送体とを備え、該扱深さ搬送体が、穀稈の株元側を受け継ぐ株元搬送体を備えたものが公知となっている。しかし通常は掻込搬送体と扱深搬送体との間には、掻込搬送体から扱深搬送体へ穀稈を中継して搬送する中継搬送部が備えられており、前処理部の全長が比較的長くなり、重量も大きくなるという欠点があった。
【0003】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するための本発明のコンバインにおける前処理部は、走行機体の前方に前処理部2を、該前処理部2の後方に脱穀部3を各設けるとともに、上記前処理部2の刈刃8の上方に穀稈を左右前方から後方に集合させるように掻込搬送する掻込搬送体9を設け、該掻込搬送体9から穀稈を受け継ぎ、脱穀部3側に搬送する扱深さ搬送体11を設け、該扱深さ搬送体11が、穀稈の株元側を受け継ぐ株元搬送体13を備えたコンバインにおいて、株元搬送体13の前端部分を、掻込搬送体9の穀稈の搬送経路上に平面視で重複せしめたことを第1の特徴としている。
【0004】第2に掻込搬送体9側に、穀稈を左右方向から挟持して掻込搬送体9に案内する左右一対の掻込ガイド26,27を設け、一方のガイド26を両掻込ガイド26,27間に穀稈を弾力的に付勢する弾性ガイドとしたことを特徴としている。
【0005】第3に株元搬送体13が、株元搬送チェーン18と、該チェーン18に対向して配置される挟持レール19とを備え、弾性ガイド26を挟持レール19側に沿わせ、他方のガイド27を株元搬送チェーン18に沿わせたことを特徴としている。
【0006】
【発明の実施の形態】図1,図2は本発明を応用したコンバインの前方側の側面図,平面図を示し、従来同様図示しない走行装置に支持された走行機体の前方に横軸1を支点軸(軸芯)として前処理部2が昇降自在に取り付け支持されているとともに、該前処理部2の後方に脱穀部3が設けられた構造となっている。
【0007】このとき上記前処理部2は、前後方向の複数のディバイダフレーム4,該ディバイダフレーム4の先端に取り付けられるディバイダ,穀稈の引起装置7,圃場内の穀稈の株元を刈り取る刈刃8,該刈刃8の上方から後方にわたり、刈取り穀稈を左右前方から中央後方に集合させるように、矢印A方向に回転して掻込搬送する左右一対のスターホイール(掻込搬送体)9,該スターホイール9から穀稈を受け継ぎ、後方(脱穀部側)に搬送する扱深さ搬送体11等から構成されている。
【0008】このとき上記扱深さ搬送体11は従来同様、略U字状をなすU字管45をフレームとし、後方の横軸1を支点に上下回動し、稈長に応じて穀稈の受け継ぎ位置を自動的又は手動で変更することにより、扱ぎ深さを調節するように構成されている。なお脱穀部3側には扱深さ搬送体11から穀稈を受け継ぎ、穀稈を扱胴に案内するフィードチェーン12が備えられている。
【0009】これにより走行装置により走行機体が走行せしめられると、まずディバイダにより穀稈が分草され、引起装置7により倒れている穀稈が立ちあげられ、次に穀稈がスターホイール9により掻き込まれながら、刈刃8により刈り取られ、さらに刈り取られた穀稈がスターホイール9により掻き込まれて、扱深さ搬送体11に扱ぎ深さを調節されて受け継がれ、フィードチェーン12を介して脱穀部(扱胴)に送られる。
【0010】一方上記扱深さ搬送体11は、平面視で上記左右のスターホイール9の対向部分の後方からフィードチェーン12の前端部に向けて設けられており、穀稈の株元側を受け継ぎ搬送する株元搬送体13と、穂先側を受け継ぎ搬送する穂側搬送体14等から構成されている。
【0011】このとき株元搬送体13は、前後のスプロケット16,17の間に巻き掛けられた搬送用の株元搬送チェーン18と、該株元搬送チェーン18とフィードチェーン12側(左側)で対向するようにU字管45により支持された挟持レール19とを備えており、穀稈の株元を株元搬送チェーン18と挟持レール19との間で挟持し、スプロッケット16,17による株元搬送チェーン18の回転によって穀稈(株元)を後方に搬送する構造となっている。
【0012】すなわち後方側のスプロケット17が回転駆動自在に支持されているとともに、挟持レール19が株元搬送チェーン18側に弾力的に支持されており、スターホイール9側から穀稈を受け継ぐ際に、穀稈の量に応じて穀稈により挟持レール19が弾力的に株元搬送チェーン18の外側(フィードチェーン12側)に移動せしめられ、挟持レール19の上記付勢力によって穀稈を株元搬送チェーン18と挟持レール19の間に弾力的に挟み込み、スプロケット17の回転によって株元搬送チェーン18を回転駆動して穀稈を搬送する構造となっている。
【0013】なお穂先搬送体14は従来同様、上記株元搬送体13の駆動側のスプロケットと同様に駆動されるスプロケット21と、該スプロケット21の前方に配置されるスプロケット22との間に、多数の搬送タイン23が適当な間隔をおいて起伏自在に装着されている穂側搬送部24を回しかけて構成されており、従来同様U字管45に支持された搬送レール14aとタイン23との間において、タイン23により穀稈の穂側を後方に搬送する構造となっている。
【0014】また穂側搬送体14及び株元搬送体13の前方側のスプロケット22,16は、ともに両スターホイール9の対向部分の後方上部に設けられており、これにより株元搬送体13及び穂側搬送体14の前端部は、スターホイール9による穀稈の搬送経路上に平面視で重複せしめられ、後述するようにスターホイール9から直接容易に穀稈の受け継ぎを行うことができるように構成されている。
【0015】一方両スターホイール9の上方側には、穀稈を両スターホイール9間に案内する掻込ガイド26,27が設けられており、両掻込ガイド26,27はスターホイール9間において、スターホイール9の回転軌跡に概ね沿うように湾曲せしめられている。すなわち両掻込ガイド26,27は、スターホイール9の対向部分の上方において、湾曲部分がスターホイール9の回転軌跡に沿って対向して、前処理フレーム2a側に取り付けられている。
【0016】そして両掻込ガイド26,27の後方側は、略平行に対向して株元搬送体13の前方側に概ね沿い、両掻込ガイド26,27による穀稈のガイドの軌跡が平面視で株元搬送体13の前方側の穀稈の搬送軌跡に重複している。また左側(株元搬送体13の挟持レール19側)の掻込ガイド26は板バネ等の弾性部材により形成されており、両掻込ガイド26,27により穀稈を案内する際に、穀稈を両掻込ガイド26,27間に弾力的に付勢して挟み込むように構成されている。
【0017】このとき板バネにより形成された掻込ガイド(弾性ガイド)26の後端側が株元搬送体13の挟持レール19に、他方の掻込ガイド27の後端側が株元搬送体13の株元搬送チェーン18に概ね沿うように各配置されている。
【0018】なお弾性ガイド26は前後端側は前処理フレーム2aに取り付けられているが、後端は前処理フレーム2a側に取り付けられたブラケット28を介して、該ブラケット28に形成された長孔28aを介して左右スライド自在(長孔28aの範囲で)に取り付けられており、案内する穀稈の量に応じて穀稈により弾性変形してスライドせしめられ、両掻込ガイド26,27間の間隙を調節する。
【0019】すなわち穀稈が多い場合は左側にスライドして両掻込ガイド26,27間の間隙を大きくし、穀稈が少ない場合は右側にスライドして両掻込ガイド26,27間の間隙を小さくして穀稈の量に関係なく穀稈を無理なく安定して両掻込ガイド26,27間に挟持して案内するように構成されている。このとき他方の掻込ガイド27は、弾性ガイドに比較して硬い(剛体な)部材により構成された剛体ガイドとなっており、穀稈による弾性変形がほとんど発生しないように形成されている。
【0020】以上に示される構造により刈刃8により切断される穀稈は、両掻込みガイド26,27により、両掻込みガイド26,27間に案内されるとともに、株元側がスターホイール9により掻き込まれて後方に案内され、扱深さ搬送体11に受け継がれる。このとき扱深さ搬送体11(株元搬送体13)が前述のようにスターホイール9の搬送経路に平面視で重複するため、スターホイール9から扱深さ搬送体11に穀稈を直接且つ安定して受け継がせることができ、これにより前処理部1の前後長が短く構成されている。
【0021】そしてスターホイール9から扱深さ搬送体11への穀稈の受け継ぎが上記のように容易に行われるため、スターホイール9の上方に補助搬送体等を設ける必要が無く、前処理部2は軽量化されている。これによりコンバインをコンパクト且つ軽量に構成することができ、乗用型のコンバインの後方に機体操縦用の後方操作部を設け、当該コンバインを該後方操作部により歩行型のコンバインとして扱うことができるタイプのコンバインに採用することにより、該コンバインを軽量且つコンパクトにすることができる。
【0022】例えば図3に示されるように、前処理部2及び脱穀部3の側方に運転席32を設け、運転席32内において前処理部2の側方に機体操縦用の前方操作部33を、該前方操作部33の後方且つ脱穀部3の側方に座席34を各配置し、座席34の後方に籾受け部36を設けると共に、該籾受部36の上方後方に機体37を操縦する後方操作部38を設けたタイプのコンバインにおいても、前処理部2の前後長を短くすることができるため、機体サイズを比較的小さくすることができ、全幅約1.2m,全長約2.3m,全高約1.3m程度とすることが可能となり、山間地域等の比較的狭い農道や圃場等でより容易に取り扱う(使用する)ことができる。
【0023】また穀稈の後方への搬送及び受け継ぎの際に、穀稈の量に応じて弾性ガイド26及び挟持レール19が同方向(フィードチェーン12側)に共に移動又はスライドせしめられ、この際剛体ガイド27と株元搬送チェーン18がほぼ位置で固定される。これにより穀稈は、穀稈の量に関係なくほぼ同じ位置を基準として、この基準位置(剛体ガイド27と株元搬送チェーン18の位置)に弾性ガイド26又は挟持レール19により付勢されて挟持搬送されるため、掻込み搬送時の稈の乱れや、稈の送り残し等が少なくなり、安定した掻き込み搬送動作が行われ、穀稈の掻込ガイド26,27側(スターホイール9側)から掻込搬送体11(株元搬送体13)への受け継ぎが円滑に行われる。
【0024】一方本実施形態においては、左右のデバイダフレーム4L,4R側から刈刃面8aの上部に、両スターホイール9間に向かって至る穀稈ガイド41を設けており、左右のデバイダフレーム4L,4R内に収容される穀稈は上記穀稈ガイド41により両スターホイール9間に向け案内される。
【0025】このとき上記左右の穀稈ガイド41はそれぞれ、上下1組のガイド42,43により構成されており、下方側がコンバインの進行に伴う穀稈の進入により、該穀稈の株元側によって弾力的に湾曲せしめられる弾性部材からなる弾性穀稈ガイド42となっているとともに、上方側が上記穀稈の進入によっても概ね変形することがない固定穀稈ガイド43となっている。
【0026】これにより圃場での作業走行時には刈り取りの対象となる穀稈(機体の走行に伴い前処理部2の左右のディバイダフレーム4L,4R間に入る穀稈)が両スターホイール9間に安定して案内され、掻き込み効率が向上するとともに、刈り取られた稈の株元が弾性穀稈ガイド42によってスターホイール9の作用位置近傍となる内側に移動せしめられ、最終稈の送り残しが防止され、稈の送り残し等がさらに少なくなるように構成されている。
【0027】また前記のように挟持レール19及び搬送レール14aを支持して、扱深さ搬送体11とフレームとして一体揺動するU字管45のフィードチェーン12側の端部側には、扱深さ搬送体11の略側方位置に、フィードチェーン12に対して略平行に沿った取付面40aを有するブラケット40が設けられており、該ブラケット40には、フィードチェーン12の上面側に延出して穀稈を扱深さ搬送体11側からフィードチェーン12側に案内する案内ガイド44が取り付けられている。
【0028】このとき上記案内ガイド44は、上下2つの杆状のガイド46,47からなり、下方側が案内される穀稈によって弾力的に湾曲せしめられる弾性部材からなる弾性案内ガイド47となっているとともに、上方側が上記穀稈による変形が概ね発生しない剛体からなる剛体案内ガイド46となっている。
【0029】そして両案内ガイド46,47は平面視において重複しており、つまり左右方向は略同一位置に配置されている。また剛体案内ガイド46はブラケット40に回動自在に、弾性案内ガイド47はブラケット40に固定的に取り付けられている。
【0030】これにより扱深さ搬送体11側からフィードチェーン12側への穀稈の搬送時に、両案内ガイド46,47が上下方向に補充しあい、扱深さ搬送体11と一体で上下揺動(扱深さ調節)するため、ガイド44の追従性が高く、安定したガイドを行うことができ、搬送の乱れ等も防止することができる。
【0031】なお案内ガイド44はU字管45にブラケット40を介して取り付けられているため、案内ガイド44用の支持機構等を独立して設ける必要が無く、案内ガイド44の取付構造をシンプルにし、コストダウンを図っている。
【0032】
【発明の効果】以上のように構成される本発明の構造によれば、株元搬送体が掻込搬送体の搬送経路に平面視で重複するため、前処理部の前後長を短くすることができる他、掻込搬送体から株元搬送体への穀稈の受け継ぎが容易となり、掻込搬送体の上方に補助搬送体等を設ける必要が無く、軽量化することもできる。
【0033】また掻込ガイドの一方のガイドが弾性ガイドであり、穀稈を弾力的に左右のガイド間に付勢するため、比較的少ない量の穀稈を掻き込む場合は両ガイド間が狭まり、比較的多い量の穀稈を掻き込む場合は両ガイド間が広がり、穀稈を挟持するため掻込み搬送時の稈の乱れや、稈の送り残し等が少なくなり、安定した掻き込み動作を行うことができるという利点がある。
【0034】一方株元搬送体を株元搬送チェーンと挟持レールとから構成すると穀稈の流通量に応じて挟持レールがチェーンに対して移動して穀稈の株元を挟持して搬送するため、弾性ガイドを挟持レール側に、他方のガイドを株元搬送チェーンに沿わせることにより、穀稈の流通量に応じて挟持レール及び弾性ガイドが、チェーン又は他方のガイドに対して同方向に移動して、穀稈の受け継ぎを行う。これにより穀稈のガイドから掻込搬送体(株元搬送体)への受け継ぎが円滑に行われるという利点がある。
【出願人】 【識別番号】000195568
【氏名又は名称】生物系特定産業技術研究推進機構
【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱農機株式会社
【出願日】 平成13年1月25日(2001.1.25)
【代理人】 【識別番号】100081673
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 誠
【公開番号】 特開2002−218820(P2002−218820A)
【公開日】 平成14年8月6日(2002.8.6)
【出願番号】 特願2001−17667(P2001−17667)