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【発明の名称】 刈払機
【発明者】 【氏名】小林 隆夫

【氏名】児嶋 淳

【氏名】平綱 賢二郎

【氏名】高野 昭人

【要約】 【課題】

【解決手段】刈払機11に、スロットルレバー32に一端を連結させたメインワイヤ38と、このメインワイヤ38の他端に連結するとともに第1ハンドルグリップ14内に空間に配置した中継部材45と、この中継部材45からスロットルバルブに設けたスロットル軸72へ渡したスロットルケーブル43と、中継部材45から制動装置65を解除するためのブレーキアーム96へ渡したブレーキケーブル44とを備えた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 操作杆の後端に原動機を取付け、操作杆の前端に前記原動機で駆動する刈刃を取付け、操作杆の途中にハンドルを取付け、このハンドルにハンドルグリップを取付け、このハンドルグリップに原動機のスロットルバルブの開度を調整するスロットルレバーを取付け、原動機から刈刃に至る動力伝達経路に刈刃の回転を制動する制動装置を備えた刈払機において、この刈払機は、前記スロットルレバーに一端を連結させたワイヤと、このワイヤの他端に連結するとともに前記ハンドルグリップ内の空間へ配置した中継部材と、この中継部材から前記スロットルバルブに設けたスロットル軸へ渡したスロットルケーブルと、前記中継部材から前記制動装置を解除するためのブレーキアームへ渡した制動解除用ケーブルとを備えたことを特徴とする刈払機。
【請求項2】 前記中継部材は、前記スロットルレバーを操作して前記ワイヤを引いたときに、前記制動解除用ケーブルよりも前記スロットルケーブルを遅らせて引くようにしたディレイ機構を備えたことを特徴とする請求項1記載の刈払機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スロットル調整や刈刃の制動又は制動解除を行うために、レバー操作性を高め、操作レバーやハンドル周りの構造を簡素にし、組立性をも高めた刈払機に関する。
【0002】
【従来の技術】原動機で刈刃を駆動する刈払機には、刈刃の回転数を調整するために原動機にスロットル調整装置を備え、刈刃を制動させるために刈刃と原動機との間の動力伝達経路に制動装置を備えたものがある。このような刈払機としては、例えば、■実開昭51−53248号公報「刈払機に於ける回転カッター停止装置」、■特開昭52−145135号公報「刈取作業機における刈刃の制動安全装置」に記載されたものが知られている。
【0003】上記公報■の技術は、同公報の第1図〜第3図に示されるように、原動機2(符号は公報に記載されたものをそのまま使用した。以下同様。)に駆動軸5、クラッチ7及び従動軸6を介して回転カッター3を連結し、ハンドル10にブレーキレバー16を取付け、このブレーキレバー16にワイヤー18を介して制動装置としてのブレーキシュー11を連結し、ブレーキレバー16の握りを解放することによりブレーキシュー11を従動軸6の外周面に押し付けて回転カッター3の制動を行うようにしたものである。
【0004】上記公報■の技術は、同公報の第1図に示されるように、エンジンE(符号は公報に記載されたものをそのまま使用した。以下同様。)に回転軸1を介して刈刃10を連結し、回転軸1を挿入した操作杆2にハンドル杆5を取付け、このハンドル杆5にブレーキレバーB及びスロットルレバーDを取付けた刈取作業機が記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記公報■の技術では、回転カッター3の回転数の調整をスロットルレバーで行う場合、作業者は、刈り払い作業中に、スロットルレバー及びブレーキレバー16のそれぞれの操作を、例えば、ブレーキレバー16を握って回転カッター3の制動を解除しつつスロットルレバーを操作して回転カッター3の回転数を高めていくというように、タイミングよく行わなければならず、レバー操作に熟練を要する。
【0006】また、作業者は、作業中は手でレバー操作を行うだけでなく、刈払機の姿勢を保持する必要があるため、作業性向上及び疲労軽減の点からできるだけレバー操作は簡単であることが望ましい。
【0007】上記公報■の技術において、例えば、左手でブレーキレバーBを操作し、右手でスロットルレバーDを操作する場合に、左手と右手とでレバー操作をスムーズに連係させるのは難しく、上記公報■の技術と同様に、2つのレバーB,Dを操作するのに熟練が必要になる。
【0008】そこで、本発明の目的は、刈払機のスロットル調整や刈刃の制動又は制動解除を行うために、レバー操作を簡単にして刈払機の操作性及び作業性を向上させることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために請求項1は、操作杆の後端に原動機を取付け、操作杆の前端に原動機で駆動する刈刃を取付け、操作杆の途中にハンドルを取付け、このハンドルにハンドルグリップを取付け、このハンドルグリップに原動機のスロットルバルブの開度を調整するスロットルレバーを取付け、原動機から刈刃に至る動力伝達経路に刈刃の回転を制動する制動装置を備えた刈払機において、この刈払機に、スロットルレバーに一端を連結させたワイヤと、このワイヤの他端に連結するとともにハンドルグリップ内の空間へ配置した中継部材と、この中継部材からスロットルバルブに設けたスロットル軸へ渡したスロットルケーブルと、中継部材から制動装置を解除するためのブレーキアームへ渡した制動解除用ケーブルとを備えたことを特徴とする。
【0010】スロットルレバーを操作することで、ワイヤを介して中継部材を移動させ、更に、中継部材の移動により、スロットルケーブルを介してスロットル軸を回転させるとともに、制動解除用ケーブルを介してブレーキアームを作動させることで、スロットルバルブの開度調整と制動装置の作動又は解除とを簡単に行うことができる。
【0011】請求項2は、中継部材に、スロットルレバーを操作してワイヤを引いたときに、制動解除用ケーブルよりもスロットルケーブルを遅らせて引くようにしたディレイ機構を備えたことを特徴とする。
【0012】中継部材にディレイ機構を備えたことにより、スロットルレバーの操作で、制動装置の作動又は解除とスロットルバルブの開度調整とを一連の動作でスムーズに行うことができる。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。図1は本発明に係る刈払機を使用中の状態を示す側面図であり、作業者10が刈払機11を肩から吊りベルト12で吊り下げ、刈払機11のハンドル13に設けた第1ハンドルグリップ14を右手15で握り、ハンドル13に設けた第2ハンドルグリップ16を左手17で把持して刈払い作業を行っている状態を示す。
【0014】刈払機11は、原動機としてのエンジン21と、このエンジン21で駆動する刈刃22と、この刈刃22にエンジン21からの動力を伝えるための伝動軸23と、エンジン21及び刈刃22のそれぞれの間に渡すとともに伝動軸23を収納した操作杆24と、エンジン21より刈刃22側の操作杆24に取付けたU字状のハンドル13と、このハンドル13の一端に取付けた第1ハンドルグリップ14と、ハンドル13の他端に取付けた第2ハンドルグリップ16とからなる。なお、26は伝動軸23の先端と刈刃22との間に介在させたギヤケース、27は切刃22のエンジン21側を覆うカバー、28は雑草である。
【0015】図2は本発明に係る刈払機の第1ハンドルグリップの断面図であり、第1ハンドルグリップ14は、ハンドルケース31と、このハンドルケース3にエンジン21(図1参照)の回転数を調整するためにスイング可能に取付けたスロットルレバー32と、このスロットルレバー32を一時的にスイングを規制するためにハンドルケース31にスイング可能に取付けたロックレバー33と、スロットルレバー32に時計周りの回転力を与えるためのねじりコイルばね34と、ロックレバー33に反時計周りの回転力を与えるためのねじりコイルばね35と、エンジン21を停止させるためのキルスイッチ36とからなる。
【0016】ハンドルケース31は、ハンドル13を挟み込む2つのケースから構成し、ビス41,41(断面のみ示す。)でハンドル13に固定する。また、ハンドルケース31は、スロットルレバー32の時計回りのスイングを規制するためのスロットルレバーストッパ部31aと、ロックレバー33の反時計回りのスイングを規制するためのロックレバーストッパ部31bと、ねじりコイルばね35の一端を掛けるばね掛け部31cと、手で握るためのグリップ部31dとを備える。
【0017】スロットルレバー32は、指(例えば、人差し指、中指)を掛けて操作する操作部32aと、メインワイヤ38に連結したワイヤ連結アーム32bと、ハンドルケース31に設けた支軸31eを受ける軸受部32cと、ロックレバー33側に延ばした突出部32dと、ねじりコイルばね34の一端を挿入するばね挿入部32eとからなる。なお、32fは突出部32dの側面である。
【0018】ロックレバー33は、手のひらで押さえる押さえ部33aと、スロットルレバー32の突出部32dに近接させることでスロットルレバー32のスイングを規制するスイングストッパアーム33bと、ハンドルケース31に設けた支軸31fを受ける軸受部33cと、ねじりコイルばね35の他端を挿入するばね挿入部33dとからなる。なお、33eはスイングストッパアーム33bの端部から側方(手前側)に突出させた側方凸部、33fは側方凸部33eの円弧面である。
【0019】また、第1ハンドルグリップ14は、メインワイヤ38と後述するキャブレタまで延びるスロットルケーブル43とを中継するとともにメインワイヤ38と後述する制動装置まで延びる制動解除用ケーブルとしてのブレーキケーブル44とを中継する中継部材45を内部に配置したものである。
【0020】メインワイヤ38は、一端にワイヤ端部部材38aを取付けて中継部材45に連結し、他端にワイヤ端部部材38bを取付けてスロットルレバー32のワイヤ連結アーム32bに連結したものである。
【0021】スロットルケーブル43は、アウタチューブ43aと、このアウタチューブ43a内に移動可能に挿入したインナワイヤ43bと、このインナワイヤ43bの一端に取付けたワイヤ端部部材43cと、アウタチューブ43aの一端に取付けたチューブ端部部材43dとを備える。
【0022】ブレーキケーブル44は、アウタチューブ44aと、このアウタチューブ44a内に移動可能に挿入したインナワイヤ44bと、このインナワイヤ44bの一端に取付けたワイヤ端部部材44cと、アウタチューブ44aの一端に取付けたチューブ端部部材44dとを備える。なお、31gはチューブ端部部材43d,44dを支持するためにハンドルケース31に設けたケーブル支持部である。
【0023】中継部材45は、断面コ字状の部材であり、端部に設けた起立部45aにメインワイヤ38のワイヤ端部部材38aを掛け、端部に設けた起立部45bにスロットルケーブル43のワイヤ端部部材43cを掛け、同じく起立部45bにブレーキケーブル44のワイヤ端部部材44cを掛けるものである。
【0024】図では、スロットルケーブル43におけるインナワイヤ43bのアウタチューブ43aからの突出量を、ブレーキケーブル44におけるインナワイヤ44bのアウタチューブ44aからの突出量より大きくして、しかもブレーキケーブル44のワイヤ端部部材44cをほぼ中継部材45の起立部45bに当てるようにするとともに、スロットルケーブル43のワイヤ端部部材43cを起立部45bから離した。即ち、ワイヤ端部部材43cから起立部45bまでの距離を、ワイヤ端部部材44cから起立部45bまでの距離よりも大きくした。
【0025】このように、本発明の中継部材45は、中継部材45の起立部45bに対して、インナワイヤ43bのワイヤ端部部材43cをインナワイヤ44bのワイヤ端部部材44cよりも離した状態で配置することで、メインワイヤ38を引いて中継部材45を移動させた時に、インナワイヤ43bをインナワイヤ44bよりも遅らせて引くようにしたディレイ機構47を備えたものである。
【0026】図3は図2の3−3線断面図であり、ハンドルケース31を第1ケース半体31j及び第2ケース半体31kから構成し、第1ケース半体31jに支軸31eを設け、第1ケース半体31kに支軸31mを設け、これらの支軸31e,31mをスロットルレバー32の軸受部32cで受け、この軸受部32cからワイヤ連結アーム32bを延ばし、このワイヤ連結アーム32bの先端にメインワイヤ38(図2参照)のワイヤ端部部材38bを掛けた状態を示す。なお、48は第1ケース半体31j及び第2ケース半体31kを締結するビスである。
【0027】図4は図2の4−4線断面図であり、第1ケース半体31jに支軸31fを設け、第2ケース半体31kに支軸31nを設け、これらの支軸31f,31nをロックレバー33の軸受部33cで受け、この軸受部33cからスイングストッパアーム33bを延ばし、このスイングストッパアーム33bの先端、詳しくは側方凸部33eをスロットルレバー32の突出部32dの先端に近接させた状態を示す。
【0028】図5は本発明に係る刈払機のエンジン前部の断面図であり、エンジン21の前方に、エンジン21の出力軸(不図示)から伝動軸23への動力を断続する遠心クラッチ51を設け、この遠心クラッチ51をエンジン21前部に取付けたクラッチケース52に収納し、このクラッチケース52の前部に操作杆24を取付け、エンジン21の側部にキャブレタ53を取付け、このキャブレタ53にスロットルケーブル43の端部を連結し、クラッチケース52の下部に支軸58を回転自在に取付け、この支軸58に制動装置を構成するブレーキシュー61を取付けたことを示す。
【0029】遠心クラッチ51は、エンジン21の出力軸に取付けたウェイト(不図示)と、このウェイトを内部に収納するとともに、出力軸が所定回転数になったときに遠心力で外方に移動したウェイトが接するカップ状のドラム63とからなる。ドラム63は、底部に伝動軸23の端部を取付けたものであり、また、前述のブレーキシュー61を外面63aに押付けることで伝動軸23ひいては刈刃22(図1参照)を制動する制動装置65を構成するものである。伝動軸23は一端をクラッチケース52にベアリング67で回転自在に支持し、他端をギヤケース26(図1参照)内で回転自在に支持したものである。
【0030】図6は図5の6矢視図であり、キャブレタ53は、ケース71と、このケース71内に開けた吸気通路を開閉するためのスロットルバルブ(不図示)と、このスロットルバルブに取付けたスロットル軸72と、このスロットル軸72に取付けたスロットルアーム73と、このスロットルアーム73の端部に回転自在に取付けた円柱状のワイヤ取付部74と、前述のスロットルアーム73がスロットル軸72を中心にして反時計回りに回転したときにスロットルバルブの全開位置を規制するストッパ部75と、スロットルアーム73に先端を当てることでスロットルバルブの全閉位置を調整するビス76とからなる。
【0031】ワイヤ取付部74は、円柱の側面から底を有する横穴78を開け、上面81に横穴78に一部を貫通する横溝82を形成したものである。横溝82の幅は、横穴78の内径より小さく、スロットルケーブル43のインナワイヤ43bの線径より大きい。
【0032】スロットルケーブル43は、インナワイヤ43bの先端に取付けた円柱部材43eと、アウタチューブ34aの端部をエンジン21(図5参照)側に設けたブラケット84に取付けるためのチューブ端部部材43fとからなる。
【0033】キャブレタ53のワイヤ取付部74にインナワイヤ43bを連結するには、まず、インナワイヤ43bの先端近くを、ワイヤ取付部74の上面81にほぼ平行にしながらワイヤ取付部74の横溝82内へ移動させ、次に円柱部材43eを横穴78内に挿入すればよい。
【0034】インナワイヤ43bの張り具合を調整するには、チューブ端部部材43fに形成したおねじにねじ結合するナット85,85を回して弛め、チューブ端部部材43fを軸方向に移動させ、再びナット85,85を締め付ければよい。
【0035】図7は図5の7−7線断面図であり、刈払機の制動装置65を説明する図である。制動装置65は、ブレーキケーブル44(図2参照)と、このブレーキケーブル44のアウタチューブ44a(図2参照)の先端をクラッチケース52に取付けるためのケーブル固定金具95と、このケーブル固定金具95の端部内側から引出したインナワイヤ44bの先端に連結したブレーキアーム96と、このブレーキアーム96に取付けた前述の支軸58と、この支軸58に取付けた前述のブレーキシュー61と、このブレーキシュー61を押し付けることで伝動軸23を制動するためのドラム63と、ブレーキシュー61をドラム63に押し付ける方向に弾性力を発生する引張コイルばね97とからなる。なお、44eはインナワイヤ44bをブレーキアーム96に連結するためにインナワイヤ44bの先端に取付けたワイヤ端部部材である。図では、ブレーキケーブル44のインナワイヤ44bを引いていないので、ブレーキシュー61は引張コイルばね97の弾性力でドラム63を押し付けた状態にある。
【0036】ケーブル固定金具95は先端におねじ部95aを形成したものであり、クラッチケース52に設けた起立壁101に溝部101aを形成し、この溝部101aにおねじ部95aを挿入し、起立壁101の両側からナット102,102で締めて固定したものである。引張コイルばね97は、一端をブレーキシュー61に設けたばね掛け部103に掛け、他端をクラッチケース52に取付けたばね掛けピン104に掛けたものである。
【0037】図ではクラッチケース52の外側に配置したケーブル固定金具95とブレーキアーム96とを覆うケースカバー105(図5参照)を外した状態を示した。インナワイヤ44bの張り具合を調整するには、ナット102,102を回して弛め、ケーブル固定金具95を軸方向に移動させ、再びナット102,102を締め付ければよい。
【0038】以上に述べた刈払機11の作用を次に説明する。図8(a),(b)は本発明に係る刈払機の作用を説明する第1作用図である。まず、エンジンを始動させ、アイドリング状態とする。この時、図5で説明したように遠心クラッチ51はエンジン回転数が所定値を下回っているために切れた状態にあり、しかも、図7で説明したようにドラム63をブレーキシュー61が押し付けているため、刈刃は回転しない。
【0039】この状態で、図8(a)において、ハンドルケース31のグリップ部31dを握りながら図の矢印aのようにロックレバー33の押さえ部33aを手のひらで押さえる。これによって、ロックレバー33のスイングストッパアーム33bをスロットルレバー32の突出部32dの前方から上方へ移動させ、スロットルレバー32のロックを解除する。従って、スロットルレバー32の操作が可能になる。
【0040】(b)において、スロットルレバー32の操作部32aを指で操作して矢印bのようにスロットルレバー32の全ストロークの中間までスイングさせ、メインワイヤ38を矢印cのように引いて、中継部材45を上方へ移動させる。
【0041】これにより、ブレーキケーブル44のインナワイヤ44bを、矢印dのようにメインワイヤ38の動きとほぼ同時に引く。このときには、スロットルケーブル43のワイヤ端部部材44cと中継部材45の起立部45bとの間にはクリアランスCLが存在するため、中継部材45はスロットルケーブル43のインナワイヤ43bを引かない。
【0042】図9は本発明に係る刈払機の作用を説明する第2作用図である。ブレーキケーブルのインナワイヤ44bを矢印dのように引いて、ブレーキアーム96を支軸58を中心にして矢印eのようにスイングさせ、ブレーキアーム96と一体のブレーキシュー61を引張コイルばね97の弾性力に抗して矢印fのようにスイングさせてブレーキシュー61をドラム63から離す。
【0043】図10(a),(b)は本発明に係る刈払機の作用を説明する第3作用図である。(a)において、スロットルレバー32を矢印gのように更にスイングさせ、メインワイヤ38を矢印hのように更に引いて中継部材45を更に上方に移動させる。これによって、ブレーキケーブル44のインナワイヤ44bを矢印jのように更に引くとともに、図8(b)では引いていなかったスロットルケーブル43のインナワイヤ43bを矢印kのように引く。
【0044】(b)において、スロットルケーブル43のインナワイヤ43bを矢印kのように引いて、キャブレタ53のスロットルアーム73をスロットル軸72を中心にして矢印mの方向に回転させる。
【0045】これにより、スロットル軸72に取付けたスロットルバルブを開け、エンジンに供給する空気量及び燃料量を増やしてエンジン回転数を高める。エンジン回転数が所定値以上になると、図5において、遠心クラッチ51が接続し、エンジン21から刈刃に動力が伝わり、刈刃が回転する。
【0046】図11は本発明に係る刈払機の作用を説明する第4作用図である。図10の状態から、ハンドルケース31を握っている手の手のひら側をハンドルケース31からやや離し、ねじりコイルばね35の弾性力でロックレバー33の押さえ部33aを矢印nのようにスイングさせる。
【0047】これにより、ロックレバー33の側方凸部33eの円弧面33fがスロットルレバー32の突出部32dの側面32fに当たり、円弧面33fと側面32fとの摩擦力によってスロットルレバー32の操作部32aから指を離してもスロットルレバー32を静止状態に保持することができる。
【0048】図に示したスロットルレバー32の位置に限らず、円弧面33fと側面32fとが接する位置であれば、どの位置においてもスロットルレバー32を静止させておくことができる。これによって、スロットルレバー32から指を解放することができ、レバー操作の負担を軽減することができる。
【0049】以上の図1、図2、図6及び図7で説明したように、本発明は第1に、操作杆24の後端にエンジン21を取付け、操作杆24の前端にエンジン21で駆動する刈刃22を取付け、操作杆24の途中にハンドル13を取付け、このハンドル13に第1ハンドルグリップ14を取付け、この第1ハンドルグリップ14にエンジン21のスロットルバルブの開度を調整するスロットルレバー32を取付け、エンジン21から刈刃22に至る動力伝達経路に刈刃22の回転を制動する制動装置65を備えた刈払機11において、この刈払機11に、スロットルレバー32に一端を連結させたメインワイヤ38と、このメインワイヤ38の他端に連結するとともに第1ハンドルグリップ14内の空間へ配置した中継部材45と、この中継部材45からスロットルバルブに設けたスロットル軸72へ渡したスロットルケーブル43と、中継部材45から制動装置65を解除するためのブレーキアーム96へ渡したブレーキケーブル44とを備えたことを特徴とする。
【0050】スロットルレバー32を操作することで、中継部材45を介してスロットルケーブル43に連結するスロットル軸72及びブレーキケーブル44に連結するブレーキアーム96の両方を作動させることができ、スロットルバルブの開度調整と制動装置の作動又は解除とを簡単に行うことができる。従って、刈払機11の操作性及び作業性を向上させることができる。
【0051】本発明は第2に、図2において、中継部材45に、スロットルレバー32を操作してメインワイヤ38を引いたときに、ブレーキケーブル44のインナワイヤ44bよりもスロットルケーブル43のインナワイヤ43bを遅らせて引くようにしたディレイ機構47を備えたことを特徴とする。
【0052】中継部材45にディレイ機構47を備えたことにより、スロットルレバー32の操作で、制動装置65(図7参照)の作動又は解除とスロットルバルブの開度調整とを一連の動作でスムーズに行うことができる。
【0053】図12は本発明に係る刈払機の別の実施の形態を使用中の状態を示す側面図であり、図1〜図11で説明した実施の形態と同一構成については同一符号を付け、詳細説明は省略する。刈払機120は、作業者10が肩から吊りベルト12で吊り下げ、右手15で操作レバー装置121を握り、左手17でハンドル122を把持して刈払い作業が行えるようにしたものである。なお、この図では、作業者10の右側に配置した刈払機120を理解しやすくするために作業者10に対して刈払機120を透視するように描いた。
【0054】刈払機120は、原動機としてのエンジン21と、このエンジン21で駆動する刈刃22と、この刈刃22にエンジン21からの動力を伝えるための伝動軸23と、エンジン21及び刈刃22のそれぞれの間に渡すとともに伝動軸23を収納した操作杆24と、エンジン21より刈刃22側の操作杆24に取付けた前述の操作レバー装置121と、この操作レバー装置121より更に刈刃22側に取付けたループ状のハンドル122とからなる。
【0055】図13は本発明に係る刈払機の別の実施の形態の操作レバー装置の断面図であり、操作レバー装置121は、ハンドルケース126と、このハンドルケース126にエンジン21(図2参照)の回転数を調整するためにスイング可能に取付けたスロットルレバー127と、スロットルレバー127を一時的に固定するためにハンドルケース126にスイング可能に取付けたロックレバー128と、エンジン21を停止させるためのキルスイッチ131とからなる。なお、134はスロットルレバー127に時計回りの弾性力を与えるねじりコイルばね、135はロックレバー128に反時計回りの弾性力を与えるねじりコイルばねである。
【0056】ハンドルケース126は、操作杆24を挟み込む2つのケースから構成したものであり、一端は2つのケースから突出させた突出片126a,126a(奥側の突出片126aは不図示)をボルト137で締め付け、他端側は図示せぬボルトで締め付けて操作杆24に固定する。
【0057】スロットルレバー127は、指を掛けて操作する操作部127aと、メインワイヤ38に連結したワイヤ連結アーム127bと、ハンドルケース126に設けた支軸126bを受ける軸受部127cとからなる。
【0058】ロックレバー128は、例えば、エンジン21(図1参照)のアイドリング状態で刈刃22(図1参照)を制動している場合に、スロットルレバー127の操作を規制する部材であり、手のひらで押さえる押さえ部128aと、スロットルレバー127のワイヤ連結アーム127bに結合させるアーム結合部128bと、ハンドルケース126に設けた支軸126cを受ける軸受部128cとからなる。
【0059】また、操作レバー装置121は、メインワイヤ38とキャブレタ53(図5参照)まで延びるスロットルケーブル43とを中継するとともにメインワイヤ38と制動装置65(図5参照)まで延びるブレーキケーブル44とを中継する中継部材138を内部に配置したものである。
【0060】メインワイヤ38は、ワイヤ端部部材38aを中継部材138に連結し、ワイヤ端部部材38bをワイヤ連結アーム127bに連結したものである。ハンドルケース126は、スロットルケーブル43のアウタチューブ43aを支持するためのケーブル支持部126dと、ブレーキケーブル44のアウタチューブ44aを支持するためのケーブル支持部126eとを備える。
【0061】中継部材138は、操作杆24の延びる方向の断面がコ字状で、操作杆24に直交する断面が操作杆24の表面に沿う円弧状の部材であり、端部に設けた起立部138aにメインワイヤ38のワイヤ端部部材38aを掛け、端部に設けた起立部138bにスロットルケーブル43のワイヤ端部部材43cを掛け、同じく起立部138bにブレーキケーブル44のワイヤ端部部材44cを掛けるものである。
【0062】図では、スロットルケーブル43におけるインナワイヤ43bのアウタチューブ43aからの突出量を、ブレーキケーブル44におけるインナワイヤ44bのアウタチューブ44aからの突出量より大きくして、しかもブレーキケーブル44のワイヤ端部部材44cをほぼ中継部材138の起立部138bに当てるようにするとともに、スロットルケーブル43のワイヤ端部部材43cを起立部138bから離した。即ち、ワイヤ端部部材43cから起立部138bまでの距離を、ワイヤ端部部材44cから起立部138bまでの距離よりも大きくした。
【0063】このように、本発明の中継部材138は、中継部材138の起立部138bに対して、インナワイヤ43bのワイヤ端部部材43cをインナワイヤ44bのワイヤ端部部材44cよりも離した状態で配置することで、メインワイヤ38を引いて中継部材138を移動させた時に、インナワイヤ43bをインナワイヤ44bよりも遅らせて引くようにしたディレイ機構141を備えたものである。上記の中継部材138の作用は、図2に示した中継部材45の作用と同一であり、説明は省略する。
【0064】インナワイヤ43bの張り具合を調整するには、アウタチューブ43a端部のケース取付部材43gに形成したおねじにねじ結合するナット143,143を回して弛め、ケース取付部材43gを軸方向に移動し、再びナット143,143を締め付ければよい。
【0065】インナワイヤ44bの張り具合を調整するには、上記と同様にして、アウタチューブ44a端部のケース取付部材44gに形成したおねじにねじ結合するナット143,143を回して弛め、ケース取付部材44gを軸方向に移動し、再びナット143,143を締め付ければよい。
【0066】尚、本実施の形態では、中継部材45を、断面コ字状としたが、これに限らず、1枚の板状部材としてメインワイヤ、スロットルケーブルのインナワイヤ、ブレーキケーブルのインナワイヤを連結してもよい。
【0067】
【発明の効果】本発明は上記構成により次の効果を発揮する。請求項1の刈払機は、スロットルレバーに一端を連結させたワイヤと、このワイヤの他端に連結するとともにハンドルグリップ内の空間へ配置した中継部材と、この中継部材からスロットルバルブに設けたスロットル軸へ渡したスロットルケーブルと、中継部材から制動装置を解除するためのブレーキアームへ渡した制動解除用ケーブルとを備えたので、スロットルレバーを操作することで、中継部材を介してスロットルケーブルに連結するスロットル軸及び制動解除用ケーブルに連結するブレーキアームの両方を作動させることができ、スロットルバルブの開度調整と制動装置の作動又は解除とを簡単に行うことができる。従って、刈払機の操作性及び作業性を向上させることができる。
【0068】請求項2の刈払機は、中継部材に、スロットルレバーを操作してワイヤを引いたときに、制動解除用ケーブルよりもスロットルケーブルを遅らせて引くようにしたディレイ機構を備えたので、スロットルレバーの操作で、制動装置の作動又は解除とスロットルバルブの開度調整とを一連の動作でスムーズに行うことができる。
【出願人】 【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
【出願日】 平成13年1月15日(2001.1.15)
【代理人】 【識別番号】100067356
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 容一郎 (外1名)
【公開番号】 特開2002−209419(P2002−209419A)
【公開日】 平成14年7月30日(2002.7.30)
【出願番号】 特願2001−6314(P2001−6314)