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【発明の名称】 豆刈取機
【発明者】 【氏名】岡本 善嗣

【氏名】幡上 宏政

【要約】 【課題】豆作物の刈り取り作業時の脱粒を低減し、刈取性の向上を図る。

【解決手段】機体11の前輪12に、前輪12の前方の頂点20aから前輪12の側方および上方へ末広がりに延出する棒部材21a〜21dで形成される前輪デバイダー20を取り付けると共に、機体11の略中央左右に設けられた刈刃18の前方に、外デバイダー部31、中デバイダー部34、内デバイダー部37よりなる刈刃デバイダー30を取り付けている。刈取作業時には、豆作物を各デバイダーで衝撃を与えることなく刈刃18へ案内し、脱粒および刈り残しを防いでいる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 機体の前輪の斜め後方となる地表面付近に円盤形状の刈刃を略水平方向で回転自在に設け、上記前輪の前方周囲に前輪デバイダーと、上記刈刃の前方周囲に刈刃デバイダーとを備える豆刈取機において、上記前輪デバイダーは、前輪の前方を頂点として前輪の両側面へそれぞれ略斜め上方あるいは略水平方向で末広がりに延出する複数の棒部材で形成されると共に、これら棒部材は、前輪の両側の各側面では、それぞれ上下方向に間隔を開けて、地面に対して垂直な同一の仮想平面上に位置するように配置され、上記機体の前進により、畝に作付けされた豆作物を上記前輪デバイダーの棒部材で刈刃へ導く構成としていることを特徴とする豆刈取機。
【請求項2】 上記刈刃デバイダーは、上記機体の下部に上下動可能に取り付けられて機体左右に延出する形状の作業フレームの外側端部に位置する外デバイダー部と、該作業フレームに取り付けられた上記刈刃の前方に位置する中デバイダー部と、該作業フレームの中央側に位置する内デバイダー部と、からなり、上記外デバイダー部は、上記作業フレームの外側端部の前方を頂点として後方へ末広がりに延出する少なくとも3本の棒部材で形成されると共に、これら各棒部材の一本は作業フレームの外方に向けて、他の一本は作業フレームの上方に向けて、別の他の一本は機体側に向けてそれぞれ配置される一方、上記中デバイダー部は、上記作業フレームから刈刃の前方へ延在する板フレーム部より、前後に間隔をあけて斜め後方かつ機体側へ向けて延出する複数の棒部材で形成され、上記内デバイダー部は、刈刃の斜め内側前方を頂点として後方の刈刃へ向けて延出する複数の棒部材で形成され、上記各デバイダー部で畝の左右に広がって生育した豆作物を刈刃へ案内する構成とする請求項1に記載の豆刈取機。
【請求項3】 上記外デバイダー部の機体側に向けて配置された棒部材と、上記中デバイダー部の複数の棒部材の全てあるいは一部は、地面に対して傾斜した同一の仮想平面上に位置するように配置されている請求項2に記載の豆刈取機。
【請求項4】 上記内デバイダー部の複数の棒部材の全てあるいは一部は、上記前輪デバイダーの各棒部材が位置する同一の仮想平面上に配置されている請求項2または請求項3に記載の豆刈取機。
【請求項5】 上記前輪デバイダーは、前輪前方の頂点より前輪の接地面上方へ延出する棒部材を設けている請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の豆刈取機。
【請求項6】 上記前輪デバイダーは、上記頂点部分に従動輪を設けている請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の豆刈取機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は豆刈取機に関し、詳しくは、刈取対象作物が畝上に広がって生育していても、脱粒を低減して確実に刈取を行うものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、圃場の畝に条植された小豆や大豆等の豆作物の刈り取り作業に使用される豆刈取機には種々のものが存在している。これら刈取機は、通常、円盤状の刈刃を回転させて刈取を行っており、刈刃へ刈取対象の豆作物を案内するために、デバイダーを取り付けていることが多い。
【0003】図8(A)(B)(C)は、従来の豆刈取機1を示しており、この豆刈取機1はトラクタ等に取り付けて使用するタイプのものである。豆刈取機1はフレームとなる機体2の両端部より延出する機体フレーム部2aの内側に円盤状の刈刃3を上下動可能に設けると共に、機体フレーム2aの外側には前輪4を設けている。機体フレーム2aの先端部分には、棒部材で形成された前輪デバイダー5を設けて前輪4の前方周囲を被っており、刈刃3の前方には刈刃デバイダー6を設けて、刈取作業時に豆作物を刈刃3へ導いて刈り取るようにしている。
【0004】また、図9は、乗用型の従来の豆刈取機1’であり、中央に位置する機体2’を支持する前輪4’の前方に前輪デバイダー5’を設けており、機体2’の下部に設けた作業フレーム9’に取り付けた刈刃3’の前方には、複数の棒部材からなる刈刃デバイダー6’を設けている。さらに、豆刈取機1’は後輪7’の前方にも後方デバイダー8’を設けている。なお、前輪デバイダー5’は、機体2’の取り付け箇所2a’を中心に上方へ持ち上げ可能として、豆刈取機1’の方向転換時に前輪デバイダー5’が邪魔にならないようにしている。
【0005】こられ豆刈取機1、1’による刈取作業は、先ず、圃場の畝Uの間隔に合わせて左右の刈刃3、3’の間の寸法を調整し、畝に沿って機体1、1’を前進することにより、各デバイダー5,5’,6,6’で豆作物を刈刃3、3’へ案内し、刈刃3、3’の回転で刈取を行っている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】刈取対象となる豆作物は、通常、周囲に広がるように枝を伸ばして生育している。よって、豆刈取機1で刈取作業を行うと、刈刃3の位置より機体フレーム2a側へ伸びている枝は前輪デバイダー5あるいは刈刃デバイダー6で案内することができるが、各刈刃3を中心にしてに機体フレーム2aと反対側にはデバイダーが存在しないため、デバイダーが存在しない側に伸びた枝は刈取時に案内できない問題がある。よって、これら案内できない枝が刈取時に絡まったり、あるいは、枝同士が衝突したりするため、枝の莢が落下したり莢から豆が脱粒して圃場損失が増加し、刈り残しも生じるおそれがある。
【0007】また、前輪デバイダー5は、刈刃3側を一本の棒部材で形成している上に、刈刃デバイダー6も一本の棒部材で形成しているので、案内時に豆作物を安定した姿勢で後方へ送るのが困難である。特に、豆作物の枝が長く伸びている場合は、枝が畝を被うように左右に広がったり、倒伏したりしているので、これらの枝を各デバイダーで引き起こし案内するのが更に困難となる問題がある。さらに、各デバイダーで案内する際は、枝が長いため各デバイダーで支持された箇所より先側の枝部分が、垂れ下がったり前後左右に振れたりするので、莢の落下や脱粒等も生じやすくなる問題がある。
【0008】その上、前輪デバイダー5から刈刃デバイダー6へ案内している枝を引き渡す際にも、前輪デバイダー5と刈刃デバイダー6の配置状況によっては、デバイダー間に段差が生じて、枝に衝撃を与える場合があり、この点においても脱粒等が生じる要因になっている。
【0009】一方、乗用型の豆刈取機1’においても、前輪デバイダー5’は、前輪5’の側方では一本の棒部材のみなので、上記と同様の問題が生じると共に、前輪デバイダー5’より上方へ抜け出た枝の先端部分等が前輪5’と絡まりやすい問題もある。また、刈刃デバイダー6’は複数の棒部材で形成されているが、配置状況によっては、各棒部材間に段差が生じ、案内する枝に衝撃が加わり、脱粒等を引き起こすおそれも含んでいる。
【0010】本発明は、上記した問題に鑑みてなされたものであり、刈取対象の豆作物がどのような状況で生育していても、スムーズかつ確実に刈刃への案内を行うと共に、案内時に豆作物へ加わる衝撃を緩衝し、脱粒および刈り残し等の圃場損失を低減することを課題としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、本発明は、機体の前輪の斜め後方となる地表面付近に円盤形状の刈刃を略水平方向で回転自在に設け、上記前輪の前方周囲に前輪デバイダーと、上記刈刃の前方周囲に刈刃デバイダーとを備える豆刈取機において、上記前輪デバイダーは、前輪の前方を頂点として前輪の両側面へそれぞれ略斜め上方あるいは略水平方向で末広がりに延出する複数の棒部材で形成されると共に、これら棒部材は、前輪の両側の各側面では、それぞれ上下方向に間隔を開けて、地面に対して垂直な同一の仮想平面上に位置するように配置され、上記機体の前進により、畝に作付けされた豆作物を上記前輪デバイダーの棒部材で刈刃へ導く構成としていることを特徴とする豆刈取機を提供している。
【0012】上記のように前輪の前方を頂点として末広がりで前輪デバイダーを形成すると、畝に条植された豆作物の枝が前輪側の畝間に広がったり、倒伏等している場合であっても、前輪デバイダーで引き起こして確実に刈刃へ導いて刈取を行うことができる。また、豆作物を導く際に前輪デバイダーと豆作物が当接することになるが、前輪の片側面は複数の棒部材で形成しているため、安定した姿勢で豆作物を案内することができる上に、棒部材であるため接触箇所は点接触となり接触面積も少なくて済み、接触による衝撃も低減できる。
【0013】さらに、前輪の側面では、複数の棒部材が、同一の仮想平面上に位置するため、前輪デバイダーに当接した豆作物が、棒部材で構成される面に沿ってスムーズに導かれると共に、各棒部材間は上下に間隔が開いているので、各棒部材に莢等が押し付けられるようになっても、棒部材間の間隔へ逃げることができる上に、複数の棒部材で豆作物の枝を安定した姿勢で刈刃へ案内できる。また、各棒部材間は後端側では開放されているので、案内された枝がデバイダーに引っ掛かったり絡まったりする事態も防止できる。なお、棒部材が前輪の両側にそれぞれ3本程度設けるのが好ましい。
【0014】上記刈刃デバイダーは、上記機体の下部に上下動可能に取り付けられて機体左右に延出する形状の作業フレームの外側端部に位置する外デバイダー部と、該作業フレームに取り付けられた上記刈刃の前方に位置する中デバイダー部と、該作業フレームの中央側に位置する内デバイダー部と、からなり、上記外デバイダー部は、上記作業フレームの外側端部の前方を頂点として後方へ末広がりに延出する少なくとも3本の棒部材で形成されると共に、これら各棒部材の一本は作業フレームの外方に向けて、他の一本は作業フレームの上方に向けて、別の他の一本は機体側に向けてそれぞれ配置される一方、上記中デバイダー部は、上記作業フレームから刈刃の前方へ延在する板フレーム部より、前後に間隔をあけて斜め後方かつ機体側へ向けて延出する複数の棒部材で形成され、上記内デバイダー部は、刈刃の斜め内側前方を頂点として後方の刈刃へ向けて延出する複数の棒部材で形成され、上記各デバイダー部で畝の左右に広がって生育した豆作物を刈刃へ案内する構成としている。
【0015】上記のように刈刃デバイダーを形成すると、機体の外方の畝間へ枝が伸びている豆作物や倒伏した豆作物も刈刃デバイダーの外デバイダー部及び中デバイダー部で、確実に刈刃へ導くことができる。即ち、豆作物の倒伏した枝等を最初に外デバイダー部で引き起こすと共に、その後、複数の構成部材からなる中デバイダー部で支持することにより安定して刈刃へ案内できる。
【0016】一方、外デバイダー部の棒部材は機体の外側にも配置されているので、隣の畝に条植された豆作物が、刈取側の畝にまで伸びたりしている場合でも、機体外側の棒部材で払いのけるので、刈取対象の豆作物と絡みついて脱粒したりする事態も防げ、隣の畝の豆作物に妨害されることなく刈取作業を行える。
【0017】また、内デバイダー部も刈刃の斜め前方より後方へ延出しているので、前輪デバイダーで案内された枝を、引き継いで確実に刈刃へ案内できる。さらに、各デバイダー部の棒部材はそれぞれ間隔をあけて配置されると共に、後端側では各棒部材間は開放されているので、後端まで案内された豆作物の枝が各棒部材に絡まるようなことも生じない。よって、前輪デバイダーと刈刃デバイダーの両方を機体に取り付けると、刈取対象の豆作物の枝がどの方向に伸びても確実に刈取を行え、圃場損失を低減できる。
【0018】上記外デバイダー部の機体側に向けて配置された棒部材と、上記中デバイダー部の複数の棒部材の全てあるいは一部は、地面に対して傾斜した同一の仮想平面上に位置するように配置されている。このように、外デバイダー部と中デバイダー部の各棒部材を同一の仮想平面上に位置させると、案内する豆作物を安定した姿勢で外デバイダー部から中デバイダー部へスムーズに送ることができる。また、案内時に接触は、前輪デバイダーと同様に、極力接触箇所を減らした点接触となるので、莢等にかかる負担も軽減できる。
【0019】上記内デバイダー部の複数の棒部材の全てあるいは一部は、上記前輪デバイダーの各棒部材が位置する同一の仮想平面上に配置されている。このように内デバイダー部を配置すると、前輪デバイダーで案内された豆作物を、一段とスムーズに刈刃へ案内できると共に、前輪デバイダーから内デバイダー部への引き渡し時の豆作物に加わる衝撃もおさえることができ、脱粒の発生を低減できる。
【0020】上記前輪デバイダーは、前輪前方の頂点より前輪の接地面上方へ延出する棒部材を設けている。このように、前輪デバイダーに前輪の上方を被う棒部材を設けると、枝が長く伸びている豆作物であっても、前輪に枝が絡みつくことを確実に防止でき、莢の落下や脱粒等を防止できる。さらに、上記前輪デバイダーは、上記頂点部分に従動輪を設けている。前輪デバイダーは、前輪の前方に頂点を設け、そこから各棒部材を延出する形状としているため、機体の移動中、畝に対して適正な高さに維持することが、前輪デバイダーの重量等により大変困難となるが、上記のように従動輪を設けることで、安定して適正な高さを維持できる。なお、方向転換時等に、前輪デバイダーが畝等に干渉する場合は、前輪デバイダーを持ち上げられるようにするのが好ましい。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明にかかる豆刈取機の実施形態を図面を参照して説明する。図1は、本発明にかかる豆刈取機10を示し、豆刈取機10は乗用型であり、中央の前後にわたり剛性を確保した機体11を配置し、この機体11を前輪12および二つの後輪13が支持している。運転席14は機体11の後部に設けられ、運転席14の下部に機体11の駆動源としてエンジン(図示せず)を設置している。
【0022】さらに、前輪12と後輪13との間には、機体11と直交する方向に作業フレーム15を油圧シリンダー16およびリンク機構17を介して上下動可能に機体11に取り付けている。この作業フレーム15は機体11の左右方向に延出する形状をしており、下方に位置した状態で左右側の地表面位置付近に、即ち、前輪12の斜め後方となる位置に駆動用のシャフト29を介し、豆作物の刈り取りを行う円盤形状で周囲に多数の刃を設けた刈刃18を回転自在に取り付けている。
【0023】刈刃18は、図5にも示すように、中心となる機体11側の内側部分を刈取箇所18aとして下方に少し傾斜した状態で取り付けられている。また、刈刃18の回転用の駆動源として、刈刃用エンジン19を作業フレーム15の左右上面に取り付けて、刈刃用エンジン19と刈刃18をシャフト29で連結している。なお、刈刃18の回転方向は左右では異なり、図4の白矢印に示すように右側の刈刃18は反時計方向であり、左側の刈刃18は、図5にも示すように、右側と反対方向である。また、豆刈取機10は、前輪12の前方周囲にデバイダー20を機体11に取り付けると共に、左右の刈刃18の前方周囲に刈刃デバイダー30を取り付けている。
【0024】図2に示すように、前輪デバイダー20は、多数の棒部材21a〜21dで前輪12を被う形状に形成されており、前輪12の前方を頂点20aとして前輪12の両側の各側面へそれぞれ延出する3本の棒部材21a、21b、21cと、前輪12の接地面上方を被うように延出する2本の棒部材21dにより形成されている。なお、本実施形態では、これら各棒部材21a等には、剛性および可撓性を確保するため鋼材を使用している。
【0025】前輪12の側面側で最も上側の棒部材21aは、頂点20aから斜め上方に延出し、前輪12の前端で一度屈曲した後、略水平方向に前輪12の後端付近まで外方へ広がるように延出している。一方、前輪12の側面側で最も下側の棒部材21cは、頂点20aから水平方向で前輪12の前端側面方向へ延出し、前輪12の前端付近で一度屈曲した後、前輪12の後端付近まで外方へ広がるように略水平に延出している。また、上下の棒部材21a、21cに挟まれた中側の棒部材21bは、棒部材21aの頂点20aから延出した箇所より途中で枝分かれして、上側の棒部材21aと下側の棒部材21cとの略中間位置を通るように延出し、棒部材21a、21cと同様に、前輪12の前端付近で一度屈曲してから後端付近まで外方へ広がるように延出している。
【0026】さらに、図3に示すように、これら棒部材21a、21b、21cは、屈曲後の前輪12の側面における箇所では、上下方向にほぼ等間隔で、地面に対して垂直方向で仮想の同一平面H1上に位置するように配置されている。なお、この仮想平面H1の平面方向は刈刃18の方へ向いている。また、前輪12の接地面の上方を被う棒部材21dも頂点20aより斜め上方へ延出してから屈曲した形状に形成されている。
【0027】さらに、前輪デバイダー20の頂点20a付近には、従動輪23を回転自在に取り付けて、前輪12より前方に突出する前輪デバイダー20の先端の垂れ下がりを防止して、機体11の移動と共に安定して前輪デバイダー20が所定位置になるようにしている。
【0028】これら棒部材21a〜21dは前輪デバイダーフレーム22を介して機体11に取り付けられている。前輪デバイダーフレーム22は、上方プレート部22bと下方プレート部22cとを2本のパイプフレーム部22aで連結して形成されている。上方プレート部22bは、機体11の前輪アーム部11aに上下方向へ回転可能に取り付けられており、一方、下方プレート部22cは棒部材21a、21bと溶接されることで、各棒部材21a〜21dと前輪デバイダーフレーム22とを一体にしている。
【0029】なお、前輪デバイダー20は、刈取作業時は従動輪23が地面に接地した状態となっているが、パイプフレーム部22aの上方に取り付けられた運転席14より連続するワイヤー24を引っ張ると、前輪デバイダー20が前輪デバイダーフレーム22の取付端11bを中心に上方へ回転して持ち上がるようにしている。
【0030】一方、刈刃デバイダー30は、図3、4に示すように、作業フレーム15の外側端部に位置する外デバイダー部31と、刈刃18の前方に位置する中デバイダー部34と、作業フレーム15の中央側に位置する内デバイダー部37より形成されている。外デバイダー部31は、作業フレーム15の外側端部の前方となる水平方向の棒フレーム部33の前端33aに、3本の棒部材32a、32b、32cを溶接で取り付けて形成されている。棒部材32aは棒フレーム部33の前端33aを頂点として作業フレーム15の外側の斜め上方へ広がるように延出し、棒部材32bは作業フレーム15端部の真上側の斜め上方に延出し、棒部材32cは前端33aより機体11の内側の斜め上方に屈曲して角度を少し上方へ変化させて延出している。なお、真ん中の棒部材32bは棒フレーム部33の前端33aより斜め下方に先端32b−1を突出させている。
【0031】また、中デバイダー部34は、略三角形状の板フレーム部36の機体11の内側となる一辺に4本の棒部材35a、35b、35c、35dを前後に間隔をあけて斜め後側の上方へ機体11側に向けて取り付けている。これら棒部材35a〜35dは、それぞれ長さが相違し取付間隔も異なっており、最前の棒部材35aは、先端35a−1を板フレーム部36より斜め下方に突出させている。なお、板フレーム部36の下面には樹脂板40を取り付けて刈取作業時の地面との接触抵抗を軽減している。
【0032】さらに、内デバイダー部37は、2本の棒部材38a、38bで横倒しの略Y字形状に形成されている。即ち、上側の棒部材38aは、刈刃18の機体11側の斜め前方に位置する先端38a−1より斜め後方に延在して屈曲した後、角度を変えて斜め後方に延在し、再度屈曲後、略水平方向に延在している。下側の棒部材38bは棒部材38aの最初の屈曲箇所より略水平方向で外方向へ延在している。なお、棒部材38aと棒部材38bとの間には補強板41を取り付けると共に、この補強板より取付用のフレーム部39を機体11の内側方向に延在させている。
【0033】上述の外デバイダー部31は、作業フレーム部15の外側の端部15aより下方に垂下する第一支柱部15bと斜め前下方に伸びる第二支柱部15cに、棒フレーム部33に突設した第一ブラケット部33bと第二ブラケット部33cをボルト止めすることで取り付けている。また、中デバイダー部34は、第一ブラケット部33bの内側面より前方へ水平に延出する第三ブラケット部15dに板フレーム部36をボルト止めにより取り付けている。さらに、内デバイダー部37は、作業フレーム部15の略中央部より垂下する第三支柱部15eの下端に設けた水平ブラケット15fにフレーム部39をボルト止めにより取り付けている。なお、これら外、中、内デバイダー部31、34、37の取付角度は、ボルト穴とボルトとの位置を変位することで、作業状況に合わせて調整可能である。
【0034】上記のように取り付けられた外デバイダー部31の機体11側に向けて配置された棒部材32cの屈曲箇所から後端部分にかけては、図3に示すように、内デバイダー部34の各棒部材35a〜35dと、地面に対して傾斜した同一の仮想平面H2上に位置する関係となっており、この仮想平面H2は刈刃18の方へ向いている。一方、内デバイダー部37の上方の棒部材38aは、前輪デバイダー20の前輪12の側面における棒部材21a、21b、21cで構成される仮想平面H1と同一平面上に位置している。よって、豆刈取機10は、前輪デバイダー20および刈刃デバイダー30の各棒部材21a等により形成される仮想平面H1、H2で刈取対象を刈刃18の刈取箇所18aへ導くようにしている。
【0035】また、上記した以外のデバイダーとしては、図1に示すように、後輪13の前方から外側側面を被うように、3本の棒部材41a、41b、41cよりなる後輪デバイダー40を取り付けている。なお、上記説明した各デバイダーは機体11の右側部分を例に挙げて説明したが、機体11の左側も、機体11を中心に右側部分と対称に形成している。
【0036】次に、上記した豆刈取機10による豆刈取作業を説明する。最初に、図5に示すように、作業対象となる畝U1、U2の幅や畝間の寸法にあわせて、刈刃18の位置を調整する。即ち、豆刈取機10の前輪12を畝間Uaに位置させると共に、左右の後輪12を左右の畝U1、U2の外側に配置した状態で、刈刃18の機体11の内側となる刈取箇所18aが、畝U1、U2の頂点で少し埋まる箇所に位置するように、作業フレーム15両端の調整レバー45を回転させて位置調整をしている。
【0037】また、外デバイダー部31、中デバイダー部34、内デバイダー部37の取付角度を調整して、各デバイダー部の棒部材32b、35a、38aの先端32b−1、35a−1、38a−1の位置を圃場や作付け状況等にあわせて接地させたり、地中に埋まらせたり、地面より浮かせたりしている。これらの調整が完了すると、機体11の駆動用のエンジン、刈刃用のエンジン19をそれぞれ始動して、図6に示すように豆刈取機10の機体11を畝U1、U2に沿って進行させ刈取作業を行う。機体11の進行により、畝U1等に作付けされた刈取対象の豆作物S1等は前輪デバイダー20、刈刃デバイダー30で案内されて刈刃18により刈り取られている。
【0038】図7に示すように、畝U1に基づいて説明すると、畝U1に作付けされた豆作物S1は、多数の枝E1〜E7を有しており、畝U1の前輪12側へ生育したり、前輪12側の畝U1の上面に倒伏している枝E1〜E4は前輪デバイダー20により引き起こされている。即ち、機体11が前進すると、倒伏している枝E1は前輪デバイダー20の頂点20aで地面より拾い上げられ、棒部材21a、21dで徐々に引き起こされている。このように持ち上げられた枝E1は機体11が進行するにつれて、棒部材21a等と接触しながら前輪12の側面方向へ送られている。なお、枝E1が長い場合でも、枝E1の先端は前輪12の前面を被う棒部材21dで案内されるので、前輪12と枝E1の先端等が絡みつくようなこともない。また、頂点20a近辺には従動輪23が位置しているので、頂点20aの畝U1に対する高さを適切に保って、確実に枝を拾い上げている。
【0039】前輪12の側方へ送られた枝E2は、機体11の前進により棒部材21a〜21cで構成される仮想平面H1に沿ってスムーズに後方へ送られている。上記のように、枝E1,2は、各棒部材に沿って後方へ案内されるので枝E1、2自体や莢等には衝撃等も与えられず、豆等の脱粒も大幅に削減している。
【0040】さらに、畝U1から前輪12側の斜め上方へ広がって生育した枝E3,4は、機体11の進行に伴い、前輪デバイダー20の前輪側方に位置する各棒部材21a〜21cといきなり接触することになるが、これら接触箇所は面接触ではなく点接触となるので、枝E3,4自体や枝E3,4の莢に加わる衝撃は、最小限におさえられ、ここでも脱粒の発生を防止している。これら各棒部材21a〜21cと接触した枝E3,4は、機体11の前進に伴い後方へ送られている。なお、枝E1〜4は、各棒部材21a〜21cの後端まで送られても、各棒部材21a〜21c間は上下に間隔をあけて後端側を開放しているので、棒部材21a〜21cとは絡まらない。
【0041】枝E1〜4が前輪デバイダー20の各棒部材21a〜21cの後端まで送られると、刈刃デバイダー30の内デバイダー部37が引き続き枝E1〜4を案内して確実に刈刃18の刈取箇所18aへ導き、刈り残しがないようにしている。なお、前輪デバイダー20から内デバイダー部37へは、前輪12の側方の各棒部材21a〜21cと内デバイダー部37の棒部材38aは、同一の仮想平面H1上に位置しているので、枝E1〜4に衝撃を与えたり、各棒部材21a〜21c間に枝E1〜E2が絡まったりすることなくスムーズに連続して引き渡されている。
【0042】一方、畝U1から機体11の反対側へ倒伏している豆作物S1の枝E5は、機体11の前進により、刈刃デバイダー30における外デバイダー部31の先端32a―1が突出している棒部材32bにより地面より拾い上げられ、更に機体11が前進することで、棒部材32b、32cに沿って徐々に引き起こされていく。その後、棒部材32cの屈曲点を通過して棒部材32cから中デバイダー部34へ引き渡され刈刃18へ導かれている。なお、この引き渡しの際も棒部材32cと中デバイダー部34の各棒部材35a〜35dが同一の仮想平面H2上に位置するため、枝E5が引っ掛かることなくスムーズに送られている。
【0043】さらに、畝U1から機体11の反対側の斜め上方へ伸びて生育した豆作物S1の枝E6、E7は、機体11の進行に伴い、刈刃デバイダー30の外デバイダー部31の棒部材32cや中デバイダー部34の各棒部材35a〜35dと、点接触で触れることになり、枝E6,E7等に加わる衝撃は最小限におさえられた状態で脱粒の発生を防止している。これら枝E6,E7も機体11の前進により仮想平面H2に沿って後方へ送られるが、接触は各棒部材35a〜35dに限られるので、接触抵抗も少なくなめらかに刈刃18へ導かれている。
【0044】このように、畝U1に条植された豆作物S1は、何れの方向に枝が伸びても各デバイダーで衝撃を最小限におさえて確実に刈刃18へ案内されるので、脱粒や刈り残し等が生じない。また、各デバイダーの棒部材間は、後端側で間隔をあけて開放されているので、枝が棒部材に絡まり付くこともなく、圃場損失を低減しスムーズな刈取作業を行っている。また、上記のように各枝を案内する際に、枝が各棒部材へ押し付けられるようになっても、各棒部材の間には間隔があるので、莢が上記間隔へ逃げるように入り込み、脱粒等も防止される。
【0045】さらに、畝U1の機体11の外方向に隣接する畝U3に条植された豆作物S3の枝E1’が畝U1まで伸びていても、刈刃デバイダー30の外デバイダー部31の外側に位置する棒部材32aが、機体11の前進により枝E1’を畝U3側へ戻すように誘導するので、刈取対象の豆作物S1の枝E5〜7等と絡みつくような事態を防止している。さらに、豆刈取機10は、棒部材32aにより払いのけた枝E1’が棒部材32aを通過後、再度、畝U1側へ戻ろうとしても、後輪デバイダー40の各棒部材41a、41b、41cにより、畝U3側へ誘導され枝E1’が後輪13と絡まったりすることを防止している。
【0046】なお、上記刈取作業は、畝U1、U3側で説明したが、機体11を中心にして反対側となる畝U2、U4においても同様に刈取作業が行われている。よって、本発明にかかる豆刈取機10を用いると、圃場を畝の一端側から他端側へ移動すると、一度に二つの畝に対して刈取作業を行うことになる。また、端まで移動すると方向転換することになるが、各デバイダーと地面との干渉を避けるため、運転席のワイヤー24を引っ張って前輪デバイダー20を上方に持ち上げると共に、作業フレーム15を油圧操作で上昇させている。
【0047】また、本発明は上記形態以外にも種々の変形例が可能であり、例えば、刈取の対象作物が相違して枝の長さが異なる場合等は、前輪デバイダー20や刈刃デバイダー30を形成する各棒部材の本数を適宜増減してもよい。さらに、作業フレーム15を左右に延長して刈刃18を更に多く設けるようにしてもよく、この場合は、各刈刃の前に刈刃デバイダーを取り付けて、一度に刈取作業のできる畝数を増加するようにしてもよい。また、各デバイダーの棒部材は、作業状況等にあわせて適宜配置等を変位させてもよく、例えば、内デバイダー部37の全ての棒部材を仮想平面H1上に配置するようにしてもよく、中デバイダー部34の各棒部材は一部のみを仮想平面H2上に位置させるようにしてもよい。その上、上記各デバイダーは、機体にエンジン等の駆動源を備える自走型以外にも、トラクタ等に取り付けて移動する型の刈取機にも適用可能である。
【0048】
【発明の効果】上記した説明より明らかなように、本発明にかかる豆刈取機を用いると、前輪デバイダーおよび刈刃デバイダーにより、畝に作付けされた刈取対象の豆作物がどのような状態で生育していても、引き起こして確実に刈刃へ案内するので、刈り残しを防止できる。また、豆作物を各デバイダーで案内する際は、各デバイダーを形成する棒部材で行うため、豆作物との接触面積も少なくスムーズに刈刃へ導くことができるので、刈取作業時の莢の落下や豆の脱粒を低くおさえることができる。
【0049】前輪デバイダー部の前輪の側方部分や、刈刃デバイダーの中デバイダー部では、各棒部材が同一の仮想平面上に位置するように配置されているため、案内される作物の姿勢変化を安定させると共に案内時に付加される衝撃を最小限におさえて脱粒等の圃場損失を低減できる。しかも、前輪デバイダーおよび刈刃デバイダーの各棒部材の先端より末広がりに配置されているので、後端側では各棒部材間は間隔が開いており、案内された豆作物がデバイダーに絡まることも防止できる。よって、刈取作業はスムーズかつ確実に行えるので、刈取にかかる作業効率も向上できる。
【出願人】 【識別番号】000100469
【氏名又は名称】みのる産業株式会社
【出願日】 平成12年11月2日(2000.11.2)
【代理人】 【識別番号】100072660
【弁理士】
【氏名又は名称】大和田 和美
【公開番号】 特開2002−136213(P2002−136213A)
【公開日】 平成14年5月14日(2002.5.14)
【出願番号】 特願2000−335463(P2000−335463)