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【発明の名称】 苗の移植装置
【発明者】 【氏名】竹山 智洋

【要約】 【課題】苗横搬送ベルト7にて送られてくるポット苗bの圃場面33への植付けを、高速度で且つ安定して行うとともに、小型・軽量化を図り、且つ、ポット苗の植付け姿勢の安定化し欠株の発生を防止する。

【解決手段】苗横搬送ベルト7の下方に、先端に前記苗に対する苗受け入れ部21を備えた移植杆20を、当該移植杆の先端における苗受け入れ部が上下方向に長い略楕円状閉ループの運動軌跡25を描いて上下動するように設け、前記苗受け入れ部における上昇動の略上限位置でこれに前記苗横搬送ベルト7の一端からのポット苗bを受け入れ、前記苗受け入れ部の下降動の略下限位置で圃場面に植付けする一方、前記苗横搬送ベルト7の上面に苗受け部材9を設ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】走行機体に、苗を載せて横方向に搬送する苗横搬送ベルトを設けるとともに、この苗横搬送ベルトの下方に、先端に前記苗に対する苗受け入れ部を備えた移植杆を、当該移植杆の先端における苗受け入れ部が上下方向に長い略楕円状閉ループの運動軌跡を描いて上下動するように設け、前記苗受け入れ部における上昇動の略上限位置で当該苗受け入れ部内に前記苗横搬送ベルトの一端からの苗を受け入れ、前記苗受け入れ部における下降動の略下限位置で圃場面への植え付けを行うように構成し、更に、前記苗横搬送ベルトの上面のうち、少なくともこれに苗が最初に載せられる部分に、最初に載せられる苗の葉茎部が載るようにした苗受け部材を、前記苗横搬送ベルトに対して移動しないように設けたことを特徴とする苗の移植装置。
【請求項2】走行機体に、苗を載せて横方向に搬送する苗横搬送ベルトを設けるとともに、この苗横搬送ベルトの下方に、伝動ケースから横向きに突出する回転駆動軸に取付けた回転ケースを、前記回転駆動軸の回りに回転するように配設し、この回転ケースにおける少なくとも両端部に移植軸を回転自在に設けて、この各移植軸に、先端に前記苗に対する苗受け入れ部を備えた移植杆の基端を取付ける一方、前記回転ケース内に、当該回転ケースの一回転中に連動して前記各移植軸を逆方向にこれに取付けた前記移植杆の先端が上下方向に長い略楕円状閉ループの運動軌跡を描くように一回転する不等速回転伝達手段を設ける一方、各苗受け入れ部における上昇動の略上限位置で当該苗受け入れ部内に前記苗横搬送ベルトの一端からの苗を受け入れ、前記苗受け入れ部における下降動の略下限位置で圃場面への植え付けを行うように構成し、更に、前記苗横搬送ベルトの上面のうち、少なくともこれに苗が最初に載せられる部分に、最初に載せられる苗の葉茎部が載るようにした苗受け部材を、前記苗横搬送ベルトに対して移動しないように設けたことを特徴とする苗の移植装置。
【請求項3】前記請求項1又は2の記載において、前記苗受け部材を、前記苗横搬送ベルトの移動方向に延びる棒状の形態にしたことを特徴とする苗の移植装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、トレイのポットで成育されたポット苗等の苗を、圃場面に対して高速で移植するようにした移植装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】先行技術としての特開平7−155015号公報には、トレイの各ポット内で成育したポット苗を、各ポットから取り出して略水平方向に延びる苗横搬送ベルトの上面に並べて載置し、次いで、このポット苗を、前記苗横搬送ベルトの一端から縦方向に延びる苗下降搬送ベルトに受け継いで下向きに搬送し、次いで、この苗下降搬送ベルトから回転円板に受け継ぎ、そして、圃場面に予め溝掘削手段にて掘削されている溝に挿入・供給したのち、前記溝を埋め戻すようにしたポット苗に関する苗移植装置を提案している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この先行技術による苗移植装置は、略水平方向に延びる苗横搬送ベルトに加えて、その一端から下向きに延びる苗下降搬送ベルト、圃場面に対する溝掘削手段、及び溝の埋め戻し手段を必要とするから、構造が複雑で、重量がアップし、可成り大型化するばかりか、苗の植え付け速度が遅いという問題がある。
【0004】しかも、この先行技術による苗移植装置は、苗を複数回にわたって持ち替えるから、苗を損傷するおそれが大きいばかりか、圃場面に対する植え付け姿勢が不安定であり、その上、苗を苗横搬送ベルトから苗下降搬送ベルトに、この苗下降搬送ベルトから回転円板に受け継ぐときに、苗の間隔にずれが発生するので、圃場面に対する苗の植付け間隔(株間)が不揃いになり、更には、苗は、その葉茎部が根鉢部よりも広がっていることにより、この苗を前記苗横搬送ベルトの上面に載せるとき、当該苗における葉茎部が根鉢部よりも先に苗横搬送ベルトに接触することになり、これにより、前記苗横搬送ベルトの上面に載せられた各苗は、その葉茎部が根鉢部よりも苗横搬送ベルトの移送方向に先行して移送されるように傾くことになるから、前記苗横搬送ベルトからの苗の付け継ぎが不円滑になり、ひいては、圃場面に対する植付け姿勢の不安定化、欠株の発生を助長するという問題もあった。
【0005】本発明は、これらの問題を解消し、ポット苗等の苗を高速で植え付けるようにした苗移植装置を提供することを技術的課題とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】この技術的課題を達成するため本発明の請求項1は、「走行機体に、苗を載せて横方向に搬送する苗横搬送ベルトを設けるとともに、この苗横搬送ベルトの下方に、先端に前記苗に対する苗受け入れ部を備えた移植杆を、当該移植杆の先端における苗受け入れ部が上下方向に長い略楕円状閉ループの運動軌跡を描いて上下動するように設け、前記苗受け入れ部における上昇動の略上限位置で当該苗受け入れ部内に前記苗横搬送ベルトの一端からの苗を受け入れ、前記苗受け入れ部における下降動の略下限位置で圃場面への植え付けを行うように構成し、更に、前記苗横搬送ベルトの上面のうち、少なくともこれに苗が最初に載せられる部分に、最初に載せられる苗の葉茎部が載るようにした苗受け部材を、前記苗横搬送ベルトに対して移動しないように設けた。」ことを特徴としている。
【0007】また、本発明の請求項2は、「走行機体に、苗を載せて横方向に搬送する苗横搬送ベルトを設けるとともに、この苗横搬送ベルトの下方に、伝動ケースから横向きに突出する回転駆動軸に取付けた回転ケースを、前記回転駆動軸の回りに回転するように配設し、この回転ケースにおける少なくとも両端部に移植軸を回転自在に設けて、この各移植軸に、先端に前記苗に対する苗受け入れ部を備えた移植杆の基端を取付ける一方、前記回転ケース内に、当該回転ケースの一回転中に連動して前記各移植軸を逆方向にこれに取付けた前記移植杆の先端が上下方向に長い略楕円状閉ループの運動軌跡を描くように一回転する不等速回転伝達手段を設ける一方、各苗受け入れ部における上昇動の略上限位置で当該苗受け入れ部内に前記苗横搬送ベルトの一端からの苗を受け入れ、前記苗受け入れ部における下降動の略下限位置で圃場面への植え付けを行うように構成し、更に、前記苗横搬送ベルトの上面のうち、少なくともこれに苗が最初に載せられる部分に、最初に載せられる苗の葉茎部が載るようにした苗受け部材を、前記苗横搬送ベルトに対して移動しないように設けた。」ことを特徴としている。
【0008】更にまた、本発明の請求項3は、「前記請求項1又は2の記載において、前記苗受け部材を、前記苗横搬送ベルトの移動方向に延びる棒状の形態にした。」ことを特徴としている。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、歩行型の移植機に適用した場合の図1〜図12の図面について説明する。
【0010】この図において、符号1は、左右一対の前車輪2及び後車輪3にて支持され、後部に後方に延びる操縦ハンドル4を備えた走行機体を示し、この走行機体1は、その前部に搭載したエンジン5にて前記両後車輪3を駆動することによって、矢印aで示す方向に所定の速度で前進走行するように構成されている。
【0011】前記走行機体1の後部には、多数個のポット苗bを成育したトレイcを載せるトレイ載台6が設けられ、このトレイ載台6の下端前方には、横方向に延びる苗横搬送ベルト7が配設され、前記トレイ載台6に載せたトレイcにおける各ポット苗cは、突き出し棒8の後方からの突出動により、トレイcから押し出されて前記苗横搬送ベルト7の上面に載せられるように構成されている。
【0012】前記苗横搬送ベルト7は、その一端及び他端において前記走行機体1の前進方向に延びるローラ7a,7b間に巻掛けされ、その両ローラ7a,7bのうちいずれか一方のローラをエンジン5にて回転駆動することにより、その上面に載せたポット苗bを一端のローラ7aに向かって矢印dで示すように横方向に搬送するように構成されている。
【0013】また、前記苗横搬送ベルト7には、その長手方向に沿って適宜ピッチの間隔で突起7cを設けて、この各突起7cの間に、前記ポット苗bにおける根鉢部b1を載せるように構成され、この苗横搬送ベルト7の上面のうち前記ポット苗bの葉茎部b2側の部位には、前記ポット苗bの葉茎部b2が載る棒状の苗受け部材9が、苗横搬送ベルト7における搬送方向dに延びるように設けられている。
【0014】これにより、苗横搬送ベルト7の上面にポット苗を最初に載せるときにおいて、当該ポット苗bにおける葉茎部b2が先に苗横搬送ベルト7に対して接触することによって、葉茎部b2が根鉢部b1より先行して搬送されるように傾斜することを回避できる。
【0015】更にまた、前記苗横搬送ベルト7における一端のローラ7a側には、シャッター板10を略平行に設けて、前記ローラ7aから落下するポット苗bを、このシャッター板10と前記ローラ7aとによって一時的に保持するように構成されている。なお、このシャッター板10は、それ自体の弾性変形、又は上端を中心とするばね(図示せず)に抗しての回転によって、ローラ7aから離れるように逃げて、前記ポット苗bが下方に通過するように構成されている。
【0016】加えて、この苗横搬送ベルト7は、その上面のうちポット苗bにおける根鉢部b1が載せられる部分が低くなるように、側面視(図1、図2及び図3)で、水平面に対して適宜角度θだけ前方に向かって斜め上向きに傾斜している。
【0017】前記走行機体1に、前記苗横搬送ベルト7の下部を通って後方に延びるように構成した伝動ケース11を取付け、前記エンジン5から動力伝達される回転駆動軸12を、前記伝動ケース11の側面から横向きに突出して、この回転駆動軸12の突出端に、後述するように構成したロータリー式の移植機構13を取付けるのである。
【0018】この移植機構13は、前記回転駆動軸12の突出端に対して着脱可能に取付けられて矢印eで示す反時計方向に回転する中空状の回転ケース14を備え、この回転ケース14内の中心に太陽歯車15を、前記回転駆動軸12に回転自在に被嵌して配設し、この太陽歯車15を、当該太陽歯車15における伝動ケース11側の側面から一体的に突出したクラッチ部15aを前記回転ケース14内に嵌着したボールベアリング16内に嵌挿することにより、前記回転ケース14に対して回転自在に支持する。
【0019】また、前記回転駆動軸12の突出端には、伝動ケース12に対して回転不能に固着したスリーブ体17を回転自在に被嵌して、このスリーブ17に前記太陽歯車15におけるクラッチ部15aを前記ボールベアリング16内で噛合することにより、前記太陽歯車15を回転しないように構成する。
【0020】前記回転ケース14の両端部には、前記回転駆動軸12からの距離が等しい位置に前記回転駆動軸12と平行に延びる中空状の移植軸18を回転自在に軸支し、この各移植軸18の一端を、前記回転ケース14における伝動ケース11とは反対側の外側面から外向きに突出して、この突出端に着脱可能に取付けたブラケット19に、先端にスプーン状に形成した苗受け入れ部21を備えた移植杆20を後方、つまり、前進走行方向と逆の方向に延びるように取付ける。
【0021】この各移植杆20の先端における苗受け入れ部21は、薄金属板にて上下方向に延びる断面溝型にして、その溝における内幅寸法Wを、前記ポット苗bにおける根鉢部b1の直径Dより適宜寸法だけ小さく(例えば、根鉢部b1の直径Dが30mmのときには、溝内幅Wは、直径Dより2〜3mmだけ小さくする)、且つ、この苗受け入れ部21の先端21aを閉じて尖り先に形成することにより、以下に述べる圃場面33中への突き刺し進入が容易にできるように構成されている。
【0022】また、前記各移植杆20は、左右一対の移植杆片20′,20″にて構成されている一方、前記苗受け入れ部21は、前記一つの移植杆20を構成する両移植杆片20′,20″の各々に着脱可能に取付けた二つの苗受け入れ部片21′,21″に縦割りに構成されている。
【0023】また、前記回転ケース14内には、前記回転駆動軸12と移植軸18との中間位置に中間軸22を軸支し、この中間軸22には、前記太陽歯車15と同じ歯数の中間歯車23を太陽歯車15に噛合するように回転自在に被嵌する一方、前記各移植軸18には、前記太陽歯車15と同じ歯数の遊星歯車24を前記中間歯車23に噛合するようにスプライン嵌合にて嵌着することにより、前記回転ケース14の矢印e方向への回転に連動して、その一回転中に各移植軸18が矢印fで示す逆方向に一回転し、これにより、前記各移植軸18に設けた移植杆20が後方を向いた姿勢のままで上下方向に旋回するように構成する。
【0024】この場合において、前記太陽歯車15、各中間歯車23及び各遊星歯車24を、その各々の回転中心から適宜寸法Eだけ偏芯した偏芯歯車にして、前記各移植軸18に不等速回転を伝達することにより、前記移植杆20の先端における苗受け入れ部21が、図1に二点鎖線で、図2に点線で示すように、上下方向に長い略楕円状閉ループの運動軌跡25を描くように構成する。
【0025】従って、前記走行機体1を、矢印aの方向に前進走行しながら前記回転ケース14を回転駆動した場合、前記移植杆20の先端における苗受け入れ部21は、図1、図2及び図3に一点鎖線で示すように、走行運動軌跡26を描くことになる。
【0026】なお、前記中間歯車23及び遊星歯車24には、各歯車間のバックラッシュを取るためのシザーズ歯車23a,24aが設けられている。また、前記太陽歯車15、中間歯車23及び遊星歯車24を偏芯歯車に構成することに代えて、楕円歯車又は非円形歯車等のような不等速回転伝達の歯車機構にすることによって、符号25で示す運動軌跡及び符号26で示す走行運動軌跡を描くように構成しても良いことは勿論である。
【0027】そして、前記各移植杆20の先端における苗受け入れ部21を、当該苗受け入れ部21が上昇動における略上限位置に来たとき、前記苗横搬送ベルト7の一端のローラ7aの下部に、図3に示すように、当該苗受け入れ部21における溝部の底板21bがローラ7aの軸線と同じ傾斜方向にこれに近い傾斜角度に傾斜した姿勢(或いは、好ましくは、ローラ7aの軸線と略平行になる傾斜姿勢)で位置するようにし、換言すると、前記苗受け入れ部21におけるその上昇動の略上限位置での姿勢を、前記苗横搬送ベルト7の上面に近い姿勢(或いは、好ましくは、苗横搬送ベルト7の上面と略平行の姿勢)にして、この姿勢で前記苗受け入れ部21内に、前記ローラ7aとシャッター板10とによって一時的に保持されているポット苗bを受け入れて、ポット苗bの受け継ぎを行うようにして、この受け継ぎに際してポット苗bの姿勢ができるだけ変化しないように構成されている。
【0028】この苗受け入れ部21内へのポット苗bの受け入れ(受け継ぎ)は、図3及び図12に示すように、前記苗横搬送ベルト7におけるローラ7aとシャッター板10とで保持されているポット苗bにおける根鉢部b1を、その上方に上下動するように配設した押し下げ部材27の下降動にて押し下げることによって行うのである。
【0029】前記押し下げ部材27には、前記苗横搬送ベルト7における各突起7cが通過するスリット溝27aが設けられ、この押し下げ部材27の上下動は、以下のような構成で行う。
【0030】すなわち、前記押し下げ部材27の基端を走行機体1に回転自在にピン28にて枢着し、この押し下げ部材27の基端側と、伝動ケース11に回動自在に枢着したレバー29とをロッド30を介して連結して、レバー29に、前記押し下げ板27を上昇動の方向に付勢する復帰ばね31を設け、且つ、このレバー29を、前記回転駆動軸12の回転に同期して回転するカム32に接当して、このカム32の回転により、前記押し下げ部材27を、前記移植機構13における各移植杆20に動きに合わせて前記復帰ばね31に抗して下降動し、復帰ばね31にて上昇動するように構成する。
【0031】そして、前記押し下げ部材27における先端下面、つまり、当該押し下げ部材27のうち前記ポット苗bの根鉢部b1に接当する部分27bを、押し下げ部材27における上下動中において、前記苗横搬送ベルト7の上面と略平行を保つように構成することにより、この押し下げ部材27に下降動によるポット苗bの押し下げ中に、当該ポット苗bの姿勢が変化しないようにしている。
【0032】また、前記苗受け入れ部21内へのポット苗bの受け入れ(受け継ぎ)に際して、前記押し下げ部材27は、前記カム32の設定により、図12に示すように、苗受け入れ部21内に、適宜寸法Hだけ進入して、側面視で苗受け入れ部21内に適宜寸法Hだけラップすることにより、苗受け入れ部21内へのポット苗bの受け入れ(受け継ぎ)が安定して確実にできるように構成されている。
【0033】更にまた、前記押し下げ部材27は、前記苗受け入れ部21がその上昇動の略上限位置から少し下がった位置(この位置を、苗受け継ぎ完了位置と称する)まで下降動するとき、この苗受け入れ部21内に進入した状態のままで、当該苗受け入れ部21の下降動に追従して略同じ速度で下降動するように、前記カム32にて制御することにより、ポット苗bにおける根鉢部b1を上下方向に押し潰すことがないように構成されている。加えて、この押し下げ部材27の上下動は、これが上昇動するときの速度よりも遅い速度で下降動するように、前記カム32にて制御されている。
【0034】この押し下げ部材27の下降動は、前記苗受け入れ部21が前記苗受け継ぎ完了位置まで下降動した時点で停止し、その後において、押し下げ部材27は、元の位置まで上昇動する。
【0035】なお、前記押し下げ部材27は、前記カム32による手段以外の手段にて、前記した制御状態で上下動するように構成しても良いことは勿論である。
【0036】このようにして、各移植杆20における苗受け入れ部21内に、苗横搬送ベルト7からのポット苗bを受け入れると、この苗受け入れ部21は、圃場面33に向かって、当該圃場面33と略垂直になるように姿勢を順次変換しながら走行運動軌跡26に沿って下降動して、圃場面33中に突き刺さるように進入することにより、ポット苗bの圃場面33に対する植付けが行われる。
【0037】そして、前記苗受け入れ部21は、圃場面33中に突き刺し進入した状態において、当該苗受け入れ部21を構成する両苗受け入れ部21′,21″が、以下に述べるように、前進走行方向に対して左右方向に開いて、ポット苗bを離すように構成されている。
【0038】すなわち、前記苗受け入れ部21を構成する両苗受け入れ部21′,21″の各々が取付く移植杆片20′,20″の基端部の各々を、前記回転ケース14における移植軸18に取付くブラケット19に対してピン34,35にて回動自在に枢着し、この両移植杆片20′,20″のうち一方の移植杆片20″から突出した係合部36を、他方の移植杆片20′に設けた係合凹所37内に回転自在に嵌まり係合することにより、一方の移植杆片20″が外向きに開き回動するとこれに連動して他方の移植杆片20′が外向きに開き回動するように構成し、他方の移植杆片20′における枢着ピン35に、当該他方の移植杆片20′を閉じ方向に付勢する捩じりばね38を設ける。
【0039】一方、前記回転ケース14における各移植軸18内に、回転ケース14に対して回転しないように固着したカム軸39を挿入し、このカム軸39の一端を、前記ブラケット19側に突出して、この突出端に、開閉用カム40を固着する。
【0040】また、前記ブラケット19には、レバー41をピン軸42にて回動自在に枢着し、このレバー41を、その一端を前記カム軸39におけるカム40の外周面に接当して、前記カム40の形状により揺動回動するように構成する一方、前記レバー41の他端に、前記両移植杆片20′,20″のうち一方の移植杆片20″から一体的に突出のアーム片43に設けた調節ねじ44を接当する。
【0041】この構成において、前記回転ケース14の矢印e方向への回転に伴って、ブラケット19が、これと逆の矢印f方向に回転することにより、前記開閉用カム40に接当するレバー41が揺動回動し、このレバー41の揺動回動により、前記移植杆20における両移植杆片20′,20″、ひいては、前記苗受け入れ部21を構成する両苗受け入れ部片21′,21″が、前記開閉用カム40の形状に従って開閉作動される。
【0042】この苗受け入れ部21を構成する両苗受け入れ部片21′,21″の前記開閉用カム40による開閉作動を、このカム40の形状を図10に示すように設定することにより、以下に述べるように制御する。
【0043】すなわち、前記苗受け入れ部21が前記苗受け継ぎ完了位置(上昇動の上限位置から少し下がった位置)から下降動の下限位置まで下降動するときには、前記カム40の円周面のうち角度θ1の区間において、両苗受け入れ部片21′,21″を溝内幅W、つまり、ポット苗bにおける根鉢部bの直径Dよりも小さい間隔になるように完全に閉じるようにし、次いで、圃場面33に対してポット苗Bの植付けを行う角度θ2の区間、前記苗受け入れ部21が圃場面33中に略最大に突き刺し進入した状態から圃場面33より抜けるまでの間において、前記苗受け入れ部片21′,21″を、図5、図8及び図9に二点鎖線で示すように、大きく開き作動し、次いで、前記苗受け入れ部21が圃場面33から抜けて前記苗横搬送ベルト7に近づくまでの間を、角度θ3の区間によって前記開き状態に維持し、次いで、角度θ4の区間によって、前記両苗受け入れ部片21′,21″が、その間の溝内幅W′がポット苗bの根鉢部b1における直径Dと略等しくなる位置にまで閉じるか、或いは、この直径Dより適宜寸法だけ大きい(例えば、根鉢部b1の直径Dが30mmのときには、この溝内幅W′は、直径Dより3〜5mmだけ大きい)位置、つまり、根鉢部b1の直径Dに近づく位置にまで閉じるとともに、この溝内幅W′の状態を保持して、この間において、前記苗横搬送ベルト7からのポット苗bを受け入れるようにする。
【0044】更に、前記ポット苗bを受け入れから前記苗受け継ぎ完了位置までの間の角度θ5によって、前記苗受け入れ部片21′,21″を、受け入れ時における溝内幅W′から完全に閉じる溝内幅Wにまで閉じるように構成する。
【0045】このように、閉じている苗受け入れ部21を圃場面33中に略最大に突き刺し進入した状態で、その両苗受け入れ部片21′,21″を左右に開き作動するようにすることにより、ポット苗bを圃場面33内に残すように離すことが確実にできるのであり、また、前記苗受け入れ部21内に苗横搬送ベルト7からのポット苗bを受け入れるときにおいて、その両苗受け入れ部片21′,21″を、ポット苗bの根鉢部b1における直径Dと略等しくなる位置にまで閉じるか、或いは、この直径Dより適宜寸法だけ大きい(例えば、根鉢部b1の直径Dが30mmのときには、この溝内幅W′は、直径Dより3〜5mmだけ大きい)位置、つまり、根鉢部b1の直径Dに近づく位置にまで閉じることにより、前記ポット苗bを受け入れるときにおいて、その根鉢部b1が横方向にずれたり、これを横方向に潰し変形したりすることを少なくできるのであり、そして、前記両苗受け入れ部片21′,21″は、ポット苗bを受け入れたのち圃場面33まで下降動する間において最小の溝内幅Wに閉じることにより、ポット苗bを確実に保持することができるのである。
【0046】また、前記各苗受け入れ部21における両苗受け入れ部片21′,21″に、外向きに広がるように傾斜するガイド片21a′,21a″を一体的に設けて、前記苗横搬送ベルト7からのポット苗bを、この両ガイド片21a′,21a″に沿って両苗受け入れ部片21′,21″間に導入することにより、各苗受け入れ部21内へのポット苗bの受け入れが円滑にできるように構成している。
【0047】更にまた、前記苗受け入れ部21内には、当該苗受け入れ部21が圃場面33中に突き刺し進入したのち、その両苗受け入れ部片21′,21″が左右に開いてポット苗bを離すとき、ポット苗bを、前進走行方向に対して後ろ方向に押し出すようにした押し出し部材45が設けられている。
【0048】この押し出し部材45は、その基端を前記ブラケット19にピン46にて回動自在に枢着し、前記苗受け入れ部21の先端に向かって延びて両苗受け入れ部片21′,21″の間に挿入した形態であり、且つ、各ブラケット19との間に装架したばね47にて、苗受け入れ部21における底板21bに密着する状態に付勢され、更に、その基端部に、前記一方の移植杆片20″に固着した突起カム48を接当することにより、一方の移植杆片20″の外向きへの開き回動に連動して、図4及び図9に二点鎖線で示すように、前進走行方向に対して後ろ方向に回動するように構成されている。
【0049】このように、両苗受け入れ部片21′,21″が左右に開いてポット苗bを離すとき、ポット苗bを、前記押し出し部材45にて前進走行方向に対して後ろ方向に押し出すことにより、ポット苗bの離しを確実に行うことができ、これにより、前記押し出し部材45における両苗受け入れ部片21′,21″の左右への開き寸法を小さくでき、従って、この開きによって圃場面33中に掘削する孔を小さくできるから、圃場面33中に対するポット苗bの植付け姿勢をより大幅に安定化することができるのである。
【0050】なお、前記押し出し部材45は、前記一方の移植杆片20″の開閉回動に連動して押し出し作動するように構成することに代えて、前記カム40に接当するレバー41の回動に連動して押し出し作動するように構成するか、或いは、その他の手段にて押し出し作動するように構成しても良いことはいうまでもない。
【0051】次に、図13〜図15は、前記実施の形態における苗横搬送ベルト7の変形例を示す。
【0052】この変形例は、矢印dの方向に移動する苗横搬送ベルト7′の上面に、前記トレイ載台6におけるトレイcから取り出したポット苗bを、当該ポット苗bにおける根鉢部b1の大部分が苗横搬送ベルト7′における一端縁7c′からはみ出すように載せることにより、各ポット苗bのうち葉茎部b2が成育されていないか或いは葉茎部b2が殆ど成育されていない不完全なポット苗b′を、図14に示すように、その根鉢部b1の重量にて苗横搬送ベルト7′の上面から落下するようにし、換言すると、成育が不完全なポット苗b′を、苗横搬送ベルト7′の上面から除外するように選別し、良好なポット苗bのみを、一端のローラ7a′の箇所より前記移植機構13における苗受け入れ部21に送り出すように構成したものであり、この構成により、圃場面33に対して成育が不完全なポット苗b′を植付けることを回避できる。
【0053】前記苗横搬送ベルト7′の上面のうち、不完全なポット苗b′が除外された部分には、当該箇所に設けた苗補給機構50によりポット苗bを補充することにより、欠株の発生を防止するように構成されている。
【0054】前記苗補給機構50は、例えば、図15に示すように、ポット苗bの多数本のストックするホルダー50aと、この下部に設けたロータ50bとから成り、ホルター50a内におけるポット苗bを、ロータ50bの間欠回転によって、前記苗横搬送ベルト7′の上面に補給するように構成したものである。
【0055】なお、この苗補給機構50は、図15に二点鎖線で示すように、苗横搬送ベルト7′の一端部に位置している苗受け入れ部21の略真上に配設し、ポット苗bを、前記苗受け入れ部21に対して直接的に補給するように構成しても良い。
【0056】また、前記苗補給機構50を設けることに代え、又はこれに加えて、図16に示すように、ポット苗bの多数本のストックするホルダー50a′と、この下部に設けたロータ50b′とから成る苗ストック繰り出し機構50′を設けることによって、欠株の発生を防止するように構成することもできる。
【0057】そして、図17及び図18は、前記実施の形態における苗横搬送ベルト7の更に別の変形例を示す。
【0058】この別の変形例は、矢印dの方向に移動する苗横搬送ベルト7″における一端縁7c″に沿って、第1補助ベルト71及び第2補助ベルト72を、一列に並べ、且つ、この間の隙間73を形成するように配設して、前記トレイ載台6におけるトレイcから取り出したポット苗bを、その根鉢部b1が前記第1補助ベルト71の上面に、その葉茎部b2が前記苗横搬送ベルト7″の上面に各々載せ、このポット苗bを、前記苗横搬送ベルト7″における一端のローラ7a″に移送するように構成する一方、前記苗横搬送ベルト7″の上面のうち前記第1補助ベルト71と第2補助ベルト72との間に、ポット苗bにおける葉茎部b2に対する押さえベルト74を配設したものである。
【0059】この構成によると、葉茎部b2が十分に成育された完全なポット苗bは、その葉茎部b2が苗横搬送ベルト7″と押さえベルト73とで挟まれ支持された状態で前記第1補助ベルト71から第2補助ベルト72に受け継がれるように移送される一方、葉茎部b2が十分に成育されていない不完全なポット苗b′は、前記第1補助ベルト71と第2補助ベルト72との間の隙間73の箇所において、苗横搬送ベルト7″の上面から除外するように選別され、良好なポット苗bのみを、一端のローラ7a″の箇所より前記移植機構13に送り出すことができるから、圃場面33に対して成育が不完全なポット苗b′を植付けることを回避できる。
【0060】また、前記苗横搬送ベルト7″の上面のうち、不完全なポット苗b′が除外された部分には、当該箇所に設けた前記構成による苗補給機構50によりポット苗bを補充することにより、欠株の発生を防止するか、或いは、前記した苗ストック繰り出し機構50′を設けることによって、欠株の発生を防止するように構成することもできる。なお、ポット苗bの補給は、前記図15の場合と同様に、前記苗受け入れ部21に対して直接的に行うようにしても良い。
【0061】
【発明の作用・効果】本発明は、以上のように構成したことにより、苗横搬送ベルトにおける一端からの苗を、各移植杆の先端における苗受け入れ部に受け継いだのち、苗受け入れ部がそのまま圃場面に植付けることができ、従来のような、苗下降搬送ベルトを省略することができ、また、場合によっては、圃場面に対する溝堀手段及び溝埋め戻し手段をも廃止することができるから、大幅に軽量・小型化を図ることができるとともに、苗の移植速度を大幅にアップすることができ、且つ、苗を苗横搬送ベルトから苗受け入れ部に受け継ぐときに間隔のずれがないので、圃場面に対するポット苗の植付け間隔の不揃いを大幅に小さくできる。
【0062】しかも、苗横搬送ベルトの上面に苗を最初に載せるときにおいて、当該苗における葉茎部が先に苗横搬送ベルトに対して接触することを、苗受け部材にて防止でき、これにより、苗横搬送ベルトの上面に載せる苗が、その葉茎部が根鉢部より先行して搬送されるように傾斜することを回避できるから、前記苗横搬送ベルトからの苗の受け継ぎが円滑になり、ひいては、圃場面に対する植付け姿勢の安定化を図ることができるとともに、欠株の発生を低減できる。
【0063】特に、前記請求項2のように構成することにより、前記移植杆を、その先端における苗受け入れ部が上下方向に長い略楕円状閉ループの運動軌跡を描くように上下動することが、回転ケースの回転にて確実に実現することができるとともに、一つの回転ケースに複数個の移植杆を設けることかできるから、圃場面に対する苗移植速度を更にアップできる。
【0064】また、請求項3に記載したように、前記苗受け部材を、前記苗横搬送ベルトの移動方向に延びる棒状の形態にしたことにより、これに苗の葉茎部が接触するときに、当該葉茎部を損傷することを最小限にとどめることができる利点がある。
【出願人】 【識別番号】000006851
【氏名又は名称】ヤンマー農機株式会社
【出願日】 平成13年6月1日(2001.6.1)
【代理人】 【識別番号】100079131
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 暁夫 (外2名)
【公開番号】 特開2002−354911(P2002−354911A)
【公開日】 平成14年12月10日(2002.12.10)
【出願番号】 特願2001−166059(P2001−166059)