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【発明の名称】 苗移植機
【発明者】 【氏名】浅野 士郎

【氏名】松浦 憲夫

【氏名】玉井 利男

【氏名】井関 秀夫

【氏名】加藤 哲

【要約】 【課題】茎や葉の一部が苗ホルダに引っ掛かって苗が連れ戻されることを防止する。

【解決手段】苗ホルダ90に苗を収容して搬送する苗搬送装置34と、該苗搬送装置によって搬送された苗を苗ホルダから取り出す苗取出装置35と、該苗取出装置によって苗ホルダから取り出された苗を載せて搬送する苗送りベルト36と、該苗送りベルトによって搬送された苗を圃場に植付ける苗植付装置37とを備えた苗移植機において、前記苗ホルダが苗を取り出されてから元の位置へ戻る戻り行程時に、当該苗ホルダの移動軌跡Kの下側近傍に位置して苗ホルダに連れ戻される苗を受け止めるとともに、その苗に振動を与える苗取除具130を設ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 苗ホルダに苗を収容して搬送する苗搬送装置と、該苗搬送装置によって搬送された苗を苗ホルダから取り出す苗取出装置と、該苗取出装置によって苗ホルダから取り出された苗を載せて搬送する苗送りベルトと、該苗送りベルトによって搬送された苗を圃場に植付ける苗植付装置とを備えた苗移植機において、前記苗ホルダが苗を取り出されてから元の位置へ戻る戻り行程時に、当該苗ホルダの移動軌跡の下側近傍に位置して苗ホルダに連れ戻される苗を受け止めるとともに、その苗に振動を与える苗取除具を設けたことを特徴とする苗移植機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、苗トレイの育苗ポットから苗を取り出して圃場に植付ける苗移植機に関する。
【0002】
【従来の技術】苗入りの育苗ポットが縦横並列に並ぶ苗トレイを所定の搬送路に沿って搬送し、その搬送途中で育苗ポットから苗を取り出して圃場に植付ける苗移植機がある。育苗ポットからの苗の取り出し方として、育苗ポットの底部に形成されている切れ目から苗押出ピンをポット内に挿入し、苗を葉の側に押し出す方法が知られている。この方法で押し出された苗は、苗ホルダに苗を収容して搬送する苗搬送装置と、該苗搬送装置によって搬送された苗を苗ホルダから取り出す苗取出装置と、該苗取出装置によって苗ホルダから取り出された苗を載せて搬送する苗送りベルトとによって苗植付装置に供給される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前記苗押出ピンは育苗ポットの左右並び数だけ設けられており、左右一列分の苗が一斉に押し出される。そして、押し出された苗の床土部が、各苗ごとに仕切られた苗ホルダの苗保持部にそれぞれ収容される。この苗押し出しの際、茎や葉が横に広がっていたり折れ曲がっていたりすることにより、茎や葉の一部が隣の苗保持部に引っ掛かってしまうことがある。特に、茎葉が放射状に生えるイ草の苗はこの現象が起きやすい。上記のような状態で苗ホルダに収容された苗は、苗取出装置による苗取り出し時に、苗保持部から床土部が抜けても茎や葉の一部が苗ホルダに引っ掛かったままで苗ホルダに連れ戻されることがある。すると、圃場に苗が植付けられない欠株が生じるとともに、次回取り出される苗にも悪影響を及ぼし、適正な苗植付けが行えなくなる。本発明は、このような事態を防止することを目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明は次のように構成した。すなわち、本発明にかかる苗移植機は、苗ホルダに苗を収容して搬送する苗搬送装置と、該苗搬送装置によって搬送された苗を苗ホルダから取り出す苗取出装置と、該苗取出装置によって苗ホルダから取り出された苗を載せて搬送する苗送りベルトと、該苗送りベルトによって搬送された苗を圃場に植付ける苗植付装置とを備えた苗移植機において、前記苗ホルダが苗を取り出されてから元の位置へ戻る戻り行程時に、当該苗ホルダの移動軌跡の下側近傍に位置して苗ホルダに連れ戻される苗を受け止めるとともに、その苗に振動を与える苗取除具を設けたことを特徴としている。
【0005】茎や葉の一部が苗ホルダに引っ掛かって苗ホルダから正常に取り出されなかった苗は、苗ホルダから吊り下がった状態になっている。したがって、苗ホルダの戻り行程時に当該苗ホルダの移動軌跡の下側近傍に苗取除具を位置させることにより、苗取除具が苗ホルダに連れ戻される苗を受け止める。そして、その状態で苗取除具が苗に振動を与えると、苗ホルダに対するの茎や葉の引っ掛かりがほぐされて苗ホルダから苗が完全に分離されるとともに、苗取除具から茎や葉が外れる。
【0006】
【発明の効果】上記のように、本発明にかかる苗移植機は、苗取除具を設けたことにより、苗ホルダに苗が連れ戻される不都合が生じても、その苗を苗ホルダから分離して取り除き、それを苗送りベルトの上に供給し直すことができるので、欠株の発生を防止するとともに、以後の苗植付けを適正に行えるようになった。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、図面に表された好ましい実施の形態について説明する。この苗移植機1はイ草用で、乗用走行車体2の後側にリンク装置3を介して6条植えの植付部4が昇降可能に装着され、また、走行車体2の後部には、側条施肥装置5の肥料ホッパ5aと、各条ごとに肥料を繰り出す肥料繰出装置5b,…が配設されている。
【0008】走行車体2は、駆動回転する左右一対の操向可能な前輪6,6及び駆動回転する左右一対の後輪7,7を備え、フレーム8上の前側にミッションケース9、その後側にエンジンEが搭載され、エンジンEの回転動力はベルト伝動装置10によりミッションケース9の上部に取り付けた油圧ポンプに一旦伝動され、そこから、無段変速操作可能なベルト伝動装置11によりミッションケース9内に伝動される。そして、ミッションケース9内のトランスミッションで変速された動力が、前輪6,6及び後輪7,7に伝動されるとともに、伝動軸9a、中間ギヤケース9b、伝動軸9cを介して植付部4に伝動される。なお、図中の12は前輪6,6を操向操作するためのハンドル、13は操縦者が座る座席、14は操縦者が走行車体上を移動するためのステップフロア、15は予備の苗を載せておく予備苗載台、16は次行程における走行車体2の進路を圃場面に線引きする線引きマーカである。
【0009】リンク装置3は、走行車体2のフレーム8の後端部に固着のリンクベース20に上リンク21,21及び下リンク22,22が回動自在に取り付けられ、これら上下リンクの後端部に連結枠23が連結されている。そして、その連結枠23の下端部に、植付部4側に回転自在に支持されたローリング軸24の前端部が挿入連結される。これにより、植付部4は進行方向に対してローリングに装着される。また、リンク装置3を駆動するための油圧シリンダ26が、基部側をフレーム8に取り付けて設けられていて、そのピストンロッド側が上リンク21,21の基部から下向きに一体的に固着されたアーム27の先端部にスプリングを介して連結されている。この油圧シリンダ26が伸縮作動すると、上下のリンク21,21,22,22がリンクベース20側の支軸回りに回動し、植付部4が昇降動するようになっている。
【0010】この苗移植機には苗トレイで育成された苗が使用される。苗トレイTは可撓性を有するプラスチック製で、図4に図示されているように、複数の育苗ポットTaが所定のピッチpで縦横に連設されている。苗トレイTの左右中央部には、育苗ポットの間隔が広い広間隔部Tbが設けられている。また、苗トレイTの左右両縁部には、苗送り用の角孔Tcが育苗ポットと同ピッチで形成されている。
【0011】植付部4の上部に後下がりに傾斜した上下2段の苗載台30,30が左右並列に3組設けられ、これら各組の苗載台の後端部に苗トレイ搬送路31が接続されている。各苗トレイ搬送路31は、上下の苗載台30,30から1個づつ供給される苗トレイを前半は下向きに搬送し、途中で搬送方向を徐々に変え、後半は上向きに搬送する側面視略U字状に形成されている。この苗トレイ搬送路31に対応して、苗トレイを苗トレイ搬送路31に沿って搬送させる苗トレイ送り装置32と、苗取出位置Pで苗トレイから横一列分の苗を押し出して取り出す苗押出装置33と、取り出された苗を後述する苗ホルダに収容して下側前方に弧を描くような軌跡で搬送する苗搬送装置34と、苗搬送装置によって搬送された苗を苗ホルダから取り出す苗取出装置35と、苗ホルダから取り出された横一列分の苗を半分づつ左右両側に横送りする左右一対の苗送りベルト36と、該苗送りベルトによって搬送されてくる苗を受け取って圃場に植え付ける苗植付装置37とが設けられている。また、苗トレイ搬送路31の終端部には、苗を取り出された後の空の苗トレイを複数個上下に重ねた状態で収容することのできる空箱収容枠38が設けられている。
【0012】上記苗トレイ搬送路31及び各装置を支持するとともにこれら装置への伝動機構を内蔵する植付部フレーム40は、苗トレイ搬送路31のU字の内側に配した駆動ケース41と一体に組み付けられている。そして、植付部フレーム40の背面部から4個の植付伝動フレーム45が後方に延ばされ、その後端部に苗植付装置37が設けられている。また、駆動ケース41の上面に苗載台支持フレーム46の基部が固着され、これで上下2段の苗載台30,30を支持している。前記ローリング軸24は、植付部フレーム40の前面左右中央部に固着の植付部支持ブラケット48に取り付けた軸受ケース50に回転自在に挿入されている。これにより、植付部全体がローリング自在に支持されている。
【0013】植付部4の下部にはセンターフロート52と左右一対のサイドフロート53,53が設けられており、植付作業時は、これらフロートが圃場面を整地しながら滑走する。これら各フロート52,53,53には、各条の苗植付位置の近傍の圃場面に施肥用の溝を形成する作溝器54が取り付けられ、その後側に平面視断面が後方開口のU字状の施肥ガイド5cが取り付けられ、そこに肥料繰出装置5bから繰り出される肥料を移送する施肥ホース5dが各条ごとに連結されている。
【0014】次に、植付部4の各部の構成について説明する。図5に苗トレイ送り装置32の構成を示す。苗トレイ送り装置32は、苗押出位置Pで作用する各左右一対の送り爪60及び係止爪61を備えている。送り爪60は、主送り爪60aと、これに回動自在に取り付けられトルクスプリング60cによって苗トレイ搬送路側に付勢された副送り爪60bとからなっており、苗トレイ搬送路に沿って上下に往復動し、下動するときには苗トレイTの前記角孔Tcに係合し、上動するときは角孔との係合が外れて次の角孔まで乗り越すように作動する。係止爪61は、送り爪60の動作と連動し、送り爪60が下動するときには角孔から外れ、送り爪60が上動するときには角孔に係合して苗トレイを支えるように作動する。
【0015】これら送り爪60及び係止爪61の作動により、苗トレイ搬送路31に沿って苗トレイがポット配列の1ピッチ分づつ間欠的に送られる。図5に示されているように苗トレイが切り替わるときには、主送り爪60aは先行の苗トレイT(1)の角孔Tcに係合し、副送り爪60bは後続の苗トレイT(2)の角孔Tcに係合することとなり、両方の苗トレイT(1),T(2)を確実に送ることができる。副送り爪60bが後続の苗トレイT(2)の角孔Tcにうまく入らない場合は、鎖線で示すように副送り爪60bが後方に回動して逃げるので、主送り爪60aは先行の苗トレイT(1)の角孔Tcに間違いなく入る。このため、苗トレイ送りに支障が生じない。
【0016】送り爪の作動機構は以下の構成となっている。すなわち、駆動ケース41の下部に支承された左右方向のカム軸64に苗トレイ送りカム65を設け、ローラ支持アーム66に回転自在に支持されたローラ67を上記カム65の外周面に常時当接するようにローラ支持アーム66をスプリング68で付勢している。ローラ支持アーム66は、駆動ケース41の上部に設けた苗トレイ送り駆動軸69にこれと一体回動するように取り付けられている。また、苗トレイ送り駆動軸69に苗トレイ送り作動アーム70を取り付け、該苗トレイ送り作動アームと送り爪60を支持する苗トレイ送り駆動アーム71とを連結ロッド72を介して連結している。苗トレイ送り駆動アーム71は、回転自在に支持された回転軸73に取り付けられてている。この構成により、苗トレイ送りカム65が回転すると、ローラ支持アーム66が揺動し、そのローラ支持アーム66の揺動が苗トレイ送り駆動アーム71に伝えられ、送り爪60が上下に往復動する。75は手動送りレバーで、苗トレイ送り駆動軸69との連結を解除した状態でこれを反復回動させることにより苗トレイ移送路31に残った苗トレイを取り出すことができる。
【0017】苗トレイ搬送路31の上部には、横方向に隣接する苗同士による葉の絡み付きを分離する分離櫛77が設けられている。この分離櫛77は横列の各苗の経路の間に棒状の歯77a,77b,…を並列に配置したもので、図3及び図4に示すように、苗トレイ搬送路に対する角度が小さい歯77aと大きい歯77bとが交互に配列してあり、分離櫛77を通過する時に苗にかかる抵抗を少なくしている。これは、苗に大きな抵抗がかかることにより、苗トレイ送りが阻害されたり、苗トレイのポットから苗が抜けてしまうことを防止するためである。
【0018】また、苗押出位置Pの少し上の位置には、苗が後記苗ホルダ90に良好に嵌り込むように苗の茎葉を上方に持ち上げておく抵抗棒78が設けられている。この抵抗棒78は、図8に示すように、上死点に位置する苗ホルダ90の後端よりも少し後方で、比較的苗ホルダ90に近い高さに設けるのが好ましい。
【0019】図6に苗取出装置33の構成を示す。苗トレイの育苗ポット内に挿入して苗を押し出す苗押出ピン80が、育苗ポットと同数同ピッチで配置されている。苗押出ピン80を保持する保持体81の左右端部は、前後方向に摺動自在な左右一対のスライド軸82に取り付けられている。スライド軸82に形成されたラック82aに、苗取出駆動軸83に取り付けた扇形ギヤ84が噛み合っている。また、苗取出駆動軸83には円形ギヤ85が取り付けられ、それにギヤアーム86の外周面に形成された円弧状ギヤ部86aが噛み合っている。ギヤアーム86の中間部にはローラ87が回転自在に支持されており、このローラ87が溝カム88の溝88aに摺動自在に嵌合している。
【0020】この構成により、溝カム88が回転すると、スライド軸82が前後にスライドし、苗押出ピン80が育苗ポットTaに対し突出及び退避動作を行う。後記苗ホルダ90が移動軌跡Kの上死点で停止している時に苗押出ピン80が突出作動し、育苗ポットの底部に形成された切れ目から該ポット内に挿入され、苗を後方に押し出す。押し出された苗は苗ホルダに収容される。その後、苗押出ピン80が退避作動し、苗を収容した苗ホルダが下方へ移動する。
【0021】苗押出ピン80の突出作動は初速は遅く次第に速くなるように溝カム88の形状が設定されているので、苗押出ピン80が苗の床土部に当たるときの衝撃が和らげられ、柔らかい床土部の場合でも穴が開きにくい。また、仮に苗押出ピン80が苗の床土部に突き刺さったとしても、苗押出ピン80が苗から離れてから苗ホルダが下方へ移動するように苗押出ピン80の退避作動を速くしているので、床土部が崩れることはない。なお、従来の溝カムは鎖線で示す形状をしており、苗押出ピン80がほぼ等速度で突出及び退避動作を行うようになっていた。図7は実線で示す溝カムによる苗押出ピンの突出作動と鎖線で示す溝カムによる苗押出ピンの突出作動とを比較するグラフで、A点で苗押出ピンが突出作動を開始し、B点で突出作動を停止する。
【0022】苗搬送装置34は、図8及び図9に示す苗ホルダを備えている。苗ホルダ90は、前後に開口し上方が切り欠かれた形状の苗保持部90aが苗トレイの横一列のポット数と同数の形成されており、その内部に床土部が嵌合する状態で苗を保持するようになっている。苗保持部90aを構成する本体仕切壁90bは、前上部が側面視で斜めに切り取られ、苗ホルダ90が苗押出位置Pと同じ高さにあるとき前記抵抗棒78と苗押出位置Pにある育苗ポットTaの中心を結ぶ線よりも後ろ側に位置するようになっている。これにより、抵抗棒78に持ち上げられた苗の茎葉が絡んでいても、本体仕切壁90bには引っ掛からない。本体仕切壁90bの背面部から後方に向け、本体仕切壁90bよりも壁厚が薄い延長仕切壁90cが延びている。また、苗保持部90aの底部にはロック爪90dが設けられ、苗搬送時にこのロック爪90dが苗保持部90a内に突出して苗の床土部に食い込み苗がずれないように固定するようになっている。ロック爪90dの作動機構については後述する。
【0023】苗ホルダ90は左右各上下一対の揺動リンク91,92に支持されている。平行リンクである揺動リンク91,92の後端部同士を連結する連結リンク93の延長部に取付プレート95を一体に取り付け、左右の取付プレート95同士を連結する連結棒96の左右中央部に固着した支持体97の前端部に苗ホルダ90が支持されている。揺動リンク91,92が揺動することにより、苗ホルダ90は一定姿勢のまま円弧状の移動軌跡Kを描いて往復移動する。
【0024】苗ホルダ90が移動軌跡Kの上端で停止しているとき、苗トレイ送り作動により横一列の苗の茎葉が苗保持部90aに上から入り込む。その際、茎葉の根元部分は本体仕切壁90bの間を通り、それよりも先端側部分は延長仕切壁90cの間を通る。本体仕切壁90bの前上部が側面視で斜めに切り取られた形状となっているので、苗の茎葉が本体仕切壁90bに引っ掛からない。また、延長仕切壁90cは肉厚が薄いので、葉の先端側が広がった状態で生えているイ草の苗であっても、葉が延長仕切壁90cに引っ掛かることなく苗保持部90aに入りやすい。葉茎部を延長仕切壁90cの間に通すことにより、苗を前後真っ直ぐにさせられる。そして、苗取出位置Pに位置する苗トレイの横一列の育苗ポットから苗が後方に押し出され、その苗の床土部が苗ホルダの各苗保持部90aに嵌り込む。苗を保持した苗ホルダ90は移動軌跡Kの下端まで移動し、苗取出装置35により苗が取り出される。
【0025】ロック爪の作動機構に図10乃至図12に示すようになっている。各苗保持部のロック爪90dは共通の爪軸101に取り付けられていて、この爪軸101の左右中央部にロック爪90dと一体に回動するように爪軸アーム102が取り付けられている。一方、前記苗ホルダ支持体97の後端部には、両端にロック作動用ローラ103とロック解除用ローラ104とがそれぞれ回転自在に支承されたロックアーム105が回動自在に設けられている。そして、このロックアーム105と爪軸アーム102とが連結ロッド107で連結されている。ロックアーム105は引っ張りスプリング108で付勢されて、外力が加わっていないときはストッパ109によって規制される位置(図11に示す位置)まで回動するようになっている。
【0026】前記ロック作動用ローラ103に作用するロック作動カム111が、苗トレイ移送路31から後方に突設した支持枠110に回動自在に支持されている。このロック作動カム111は、トルクスプリング112によって前方に回動する方向に付勢されているとともに、苗押出ピン80の突出作動に連動して回動する回動アーム113の動作がロッド114を介して伝達され、苗トレイから苗が押し出されるときトルクスプリング112の張力に抗して後方に回動するようになっている。
【0027】苗ホルダ90が移動軌跡Kの上端へ移動すると、ロック作動カム111にロック作動用ローラ103が押されてロックアーム105が左回動して、図10に示す状態となる。このとき、ロック爪90dが苗保持部90aから引っ込んだ規制解除状態となっている。次いで、苗押出ピン80が突出作動して、苗トレイの苗が苗ホルダ90の苗保持部90aに押し込まれる。
【0028】上記苗押出ピン80が突出作動に連動し、図11に示すように、ロック作動カム111が後方に回動し、ロックアーム105が引っ張りスプリング118に引っ張られて右回動する。これにより、ロック爪90dが苗保持部内に突出する規制状態となる。つまり、苗ホルダの苗保持部90aに苗が収容されるのとほぼ同じタイミングで、ロック作動カム111が苗の床土部に食い込んで苗をロックするのである。このため、苗ホルダ90が下動を開始するときには既にロック爪90dが苗を保持した状態となっており、下動開始時に苗が苗ホルダ90から脱落することがない。
【0029】また、前記ロック解除用ローラ104に作用する解除作用部としてのロック解除カム115が、植付部フレーム40から後方に突設した支持棒116に固定して設けられている。このロック解除カム115は、ロックアーム105の移動軌跡K′に合わせて上面が弓状に形成されていて、図12において二点鎖線で示すように、ロック解除用ローラ104がロック解除カム115に当接すると、ロック解除用ローラ104が押し上げられてロックアーム105が左回動し、ロック爪90dが苗保持部90aから引っ込み規制解除となる。苗ホルダ90が後記苗叩き120のすぐ近く(例えば約10〜15mmの距離)に接近した時点からロック解除カム115がロック解除用ローラ104に作用するようになっているので、苗取出装置35により苗ホルダ90から苗が取り出される時にはロック爪90dは苗から完全に抜けた状態となる。このため、苗取り出しの際に苗の床土部が崩れることがない。
【0030】図12において実線で示すように、苗ホルダ90が移動軌跡Kの下端まで移動して苗ホルダ90から苗Nが押し出されるまで、規制解除状態のまま維持される。戻り行程でロック解除用ローラ104がロック解除カム115から外れると、引っ張りスプリング108の張力でロックアーム105が右回動する。
【0031】図13乃至図15に苗取出装置35の構成を示す。また、図16は苗取出装置35の動作説明図である。苗取出装置35は、移動軌跡Kの下死点直前に到達した苗ホルダ90の苗保持部90aを前後に通り抜け可能な櫛状の苗叩き120が上下回動するように設けられており、苗ホルダ90の各苗保持部に保持されている苗を苗叩き120が受け止め苗ホルダ90のみを通過させて苗を取り出す(図16a)とともに、苗叩き120が下向きに回動し、該苗叩きの背面から突出している突起120が取り出された苗を苗送りベルト36上に叩き落す(図16b)ようになっている。
【0032】苗叩き120は、回動自在に設けた左右方向の苗叩き取付軸121に一体的に取り付けられている。苗叩き取付軸121に固定の回動アーム122にローラ123が回転自在に支持され、該ローラが苗叩きカム軸124に取り付けられた苗叩きカム125のカム面に当接するように、スプリング126にて回動アーム122を付勢している。苗叩きカム125が回転すると、該カムの凹部にローラ123が嵌り込むとき苗叩き120が素早く下向きに回動し、すぐに元の位置に復帰するように作動する。
【0033】苗叩き120には、苗を取り出した後の苗ホルダ90から苗保持部内に挿入されて苗ホルダ90に付着した泥を除去する泥落しブラシ127が取り付けられている。この泥落しブラシ127は、図16に示すように、苗搬送ベルト140よりも前方位置に設けられ、除去された泥が苗送りベルト36の上に落下しないようになっている。なお、苗ホルダの往き行程では苗ホルダの移動軌跡の上方に位置し、戻り行程になってから移動軌跡の位置まで下降するように泥落しブラシを苗叩き120と別に設けると、泥落しブラシによって掻き落とされる泥が前方に飛ばされるようになるので、苗送りベルト36の上に泥が落下するのを確実に防げる。
【0034】また、苗取出装置35には、苗叩き120によって苗ホルダからうまく取り出せなかった苗を取り除く左右一対の苗取除具130が設けられている。この苗取除具130は、平面視鋸刃状の前端縁130aが形成され、下面に側面視半円形の突起130bが形成された板体で、支持体131を介して苗叩き取付軸121に回動自在に嵌合する取付アーム132と一体に取り付けられている。左右の取付アーム132,132は連結軸132aを介して連結されている。右側の取付アーム132と一体に回動するローラ支持アーム133にローラ134が回転自在に支持され、該ローラが苗叩きカム軸124に取り付けられた苗取除具作動カム135のカム面に当接するように、スプリング136にてローラ支持アーム133を付勢している。
【0035】苗叩きカム125と同期して苗取除具作動カム135が回転し、苗ホルダ90が往き行程を移動するときは苗ホルダの移動軌跡Kの上方で待機していた苗取除具130が、苗ホルダ90が戻り行程を移動するときに苗ホルダの移動軌跡Kの下側近傍まで下動する(図16c)。苗の茎葉が苗ホルダ90に引っ掛かっていることにより苗ホルダ90から苗が完全に取り出されなかった場合、苗Nは苗ホルダ90から吊り下がった状態になって連れ戻される。この連れ戻される苗を苗取除具130がその鋸刃状の前端縁130aで受け止めて、苗ホルダ90から引き離す。このとき、苗取除具130に引っ掛かっていない茎葉が上に広がらないように突起130bによって押えられている。
【0036】苗取除具130の上方を苗ホルダ90が通過すると、苗取除具130は上動する。この上動位置では、ローラ134が苗取除具作動カム135の凹凸面に当接するので、苗取除具130は上下に小刻みに反復動して、苗に振動を与える(図16d)。これにより、苗ホルダ90に連れ戻される苗Nが苗ホルダ90から確実に分離されるとともに、苗取除具130から苗の茎や葉が外れる。
【0037】苗送りベルト36は左右一対設けられ、それぞれ作用部が外側へ移動するようになっている。苗取出装置35により取り出された横一列分の苗Nは、左右一対の苗送りベルト36の上に整列状態で落下し、これを受けた苗送りベルト36が左右半分づつの苗をそれぞれ左右両側に搬送する。苗送りベルト36で搬送された苗Nは、適当な隙間を開けて設けられている一対の植付ガイド143の間に落とし込まれる。
【0038】苗植付装置37は、植付伝動フレーム45の後端部に設けられた植付駆動軸140と一体回転する回転ケース141に一対の苗植込具142,142が取り付けられ、苗植込具142,142が閉ループの先端軌跡を描いて移動する。各苗植込具142は、一対の植付ガイド143の間に落とし込まれた苗を交互に一株づつ取り、それを一対の植付ガイド143の間を移動させて圃場に植付ける。
【0039】図17は異なる苗ホルダを表している。この苗ホルダ150は、苗保持部150aの形状を苗Nの床土部よりも縦横共に広い正面視長方形とし、その底面及び左右壁面に苗保持用の爪板151,152,152を固定して設けている。各爪板151,152,152は、前部ほど底面又は壁面からの突出量が少なく後部ほど突出量が多い楔状をしている。底面の爪板151は左右壁面の爪板152,152よりも少し前側に配置されている。また、左右壁面の爪板152,152は、苗が苗保持部150aに挿入されたときその床土部の中心よりも少し上側になるように配置されている。
【0040】この苗ホルダによれば、前記可動ロック爪90d及びその作動機構が不要となり、苗搬送装置の構成が簡略になる。また、苗保持部150aが広いので、苗が入りやすい。各爪板151,152,152を上記のように配置することにより、苗押出ピン80に押し出された苗が苗保持部150aに挿入しやすく、しかも苗押出ピン80が苗を連れ戻りにくくなる。
【出願人】 【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
【出願日】 平成13年5月31日(2001.5.31)
【代理人】 【識別番号】100083611
【弁理士】
【氏名又は名称】菅原 弘志
【公開番号】 特開2002−354910(P2002−354910A)
【公開日】 平成14年12月10日(2002.12.10)
【出願番号】 特願2001−165681(P2001−165681)