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【発明の名称】 苗植機
【発明者】 【氏名】玉井 利男

【要約】 【課題】従来、機体の全長を伸長及び縮小できる田植機があるが、機体が大きく傾斜している場合でも、機体の全長を伸長及び縮小できるものであって、安全性に欠けるものであった。

【解決手段】前輪9と後輪18との距離を変更できる構成とした苗植機において、機体に設けた傾斜センサー80が機体の所定角以上の傾斜を検出することにより、前記前輪9と後輪18との距離を変更することを阻止する手段を設けたことを特徴とする苗植機。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 前輪9と後輪18との距離を変更できる構成とした苗植機において、機体に設けた傾斜センサー80が機体の所定角以上の傾斜を検出することにより、前記前輪9と後輪18との距離を変更することを阻止する手段を設けたことを特徴とする苗植機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、前輪と後輪との距離を変更できる構成とした苗植機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】この種の従来技術としては、特開平11−18525号公報に示すような機体の全長を伸長及び縮小できる田植機がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】然乍、上記従来例の田植機は、機体が大きく傾斜している場合でも、機体の全長を伸長及び縮小できるものであって、例えば、圃場での畦越え時や機体をトラックに積込む為にアユミ上を走行している時に、作業者が誤って機体の全長を伸長若しくは縮小操作した場合、機体が転倒することがあって非常に危険であった。
【0004】
【課題を解決するための手段】前記の従来技術のもつ課題を解決すべく、請求項1記載の発明は、前輪9と後輪18との距離を変更できる構成とした苗植機において、機体に設けた傾斜センサー80が機体の所定角以上の傾斜を検出することにより、前記前輪9と後輪18との距離を変更することを阻止する手段を設けた苗植機としたものである。従って、圃場での畦越え時や機体をトラックに積込む為にアユミ上を走行している時に、作業者が誤って前輪9と後輪18との距離を変更する操作をしても、前輪9と後輪18との距離が変更されることが阻止され、機体が転倒することを未然に防止することができるので、安全な作業が行なえる。
【0005】
【発明の効果】請求項1記載の発明は、機体に設けた傾斜センサー80が機体の所定角以上の傾斜を検出することにより、前輪9と後輪18との距離を変更することを阻止する手段を設けた苗植機としたものであるから、機体が転倒することを未然に防止することができて、作業者は安心して安全な作業が行なえ、効率の良い良好な苗植作業が行なえる。
【0006】
【発明の実施の形態】この発明の一実施例である6条植え乗用型田植機を図面に基づき詳細に説明する。1は乗用型走行車体であって、機体を構成する左右フレーム2・2の後部上面にエンジン4を搭載し、左右フレーム2・2の前部に走行ミッションケース5を設けている。そして、この走行ミッションケース5には、エンジン4の回転駆動力が変速されるHST変速装置と前輪デフ装置と後輪デフ装置とが内蔵されおり、HST変速装置は、変速レバー6にて、後進と中立と前進(圃場内で植付け作業をする植付速・路上等で早く移動する為の移動速)とに変速操作される。
【0007】7・7は左右フロントアクスルケースであって、前記走行ミッションケース5の前輪デフ装置より左右駆動軸8・8を介して動力が伝動されるように構成されている。9・9は操向自在の左右駆動前輪であって、左右フロントアクスルケース7・7の下部に嵌合され後記操縦ハンドル10にて回動される操向ケース11・11に軸架されている。尚、走行ミッションケース5の前輪デフ装置の伝動上手側には後述の前輪クラッチSOL52で作動する前輪クラッチとブレーキが設けられており、1つのクラッチとブレーキで左右前輪両者への伝動の入切りと制動とが行なえるので、伝動構成を簡潔なものとすることができる。
【0008】12は内部に変速歯車を有する操縦用伝動ケースであって、左右フレーム2・2両者の前端部に固着されており、その上部にはハンドルポスト13が固着され、ハンドルポスト13の上端部には操縦ハンドル10が設けられている。そして、操縦用伝動ケース12の下部には、その後端が左右操向ケース11・11に連結された操向伝達機構としてのリンク14が設けられており、操縦ハンドル10を回すと操縦用伝動ケース12内の変速歯車・リンク14を介して左右操向ケース11・11が縦軸回りに回動し左右駆動前輪9・9が向きを変えるように構成されている。
【0009】3・3は左右フレーム2・2の後部の内側に平行に設けられた左右移動フレームであって、次の構成で左右フレーム2・2後部に前後移動自在に連結されている。即ち、左右フレーム2・2後端に基部を溶接固定して左右縦フレーム2a・2aを設け、その左右縦フレーム2a・2aより各々前方に向けて延設した左右支持体2b・2bに上部が各々枢支された左右の前後揺動アーム2c・2cを前後に2対設けて平行リンク構成とし、その2対の前後揺動アーム2c・2c下部と左右移動フレーム3・3とを枢支して連結している。尚、2d・2dは、左右の前後揺動アーム2c・2cの下端部を連結する補強ロッドである。
【0010】15・15は左右後輪駆動ケースであって連結枠16で一体に連結されており、該連結枠16が左右移動フレーム3にロリング軸17にてロリング自在に設けられており、その左右両側部に軸架された左右駆動後輪18・18が上下揺動できるように構成されている。
【0011】19・19は、走行ミッションケース5の後輪デフ装置から左右後輪駆動ケース15・15に動力を伝える伝動軸である。そして、後輪駆動ケース15内部の伝動機構中には左右駆動後輪18・18に対する左右サイドクラッチと左右サイドブレーキとが内蔵されており、エンジン4の前方に設けられた左右クラッチペダル20・20の踏込操作により該左右サイドクラッチが切れ且つ左右サイドブレーキが利くように構成されている。即ち、左右クラッチペダル20・20の踏込操作をした側の駆動後輪18・18の駆動が停止されブレーキが利くようになっている。
【0012】ここで、左右駆動後輪18・18に駆動力を伝達する伝動軸19・19の構成を詳述すると、機体が伸縮する為に、伝動軸19・19も伸縮する構成になっている。即ち、外軸19a内に6角の穴を形成し、その内部に外形が6角の内軸19bを勘合して摺動自在に構成している。そして、外軸19aの前後2ヵ所に貫通孔19c…を形成し、その貫通孔19c…にスチールボール19d…を入れてボルト19eにて抜け止めをして、図7にしめすように内軸19bの対向する3辺に該スチールボール19d…が接当する構成としている。このように外軸19aと内軸19bとの間にスチールボール19d…を入れておくと、機体を伸縮させる際に伝動軸19・19がスチールボール19d…の回転により円滑に伸縮し適正な機体の伸縮作動を行なうことができる(特に、機体伸縮時に左右駆動後輪18・18を駆動するものにおいては、伝動軸19・19に偏荷重がかかり易く、このスチールボール19d…の回転による摩擦抵抗の低減は効果的である)。尚、実施例では伝動軸が左右2本ある例を示したが、1本の伝動軸で左右駆動車輪を駆動する形態としたものでも同様の効果がある。
【0013】21はFRPにて成型された車体カバーであって、エンジン4の周囲を覆うエンジンカバー部21aと、前記エンジン4の前方及び左右側方に設けられたステップ21bと、ハンドルポストカバー21cと、エンジン4の後方に設けられたステップ21dとが一体形成され、左右フレーム2・2上に固定されている。尚、エンジン4の後方に設けられたステップ21dには2つの切欠き溝が形成されており、左右移動フレーム3・3が前後移動されるときに左右移動フレーム3・3と一体の支持フレーム24・24が該溝に嵌まり込むように構成されている。
【0014】22は操縦座席で、前記車体カバー21上面に設置固定されている。23は上部リンク23aと下部リンク23bとにより構成されるリンク機構であって、上部リンク23aと下部リンク23bの基端部は前記左右移動フレーム3・3に基部が固着された左右支持フレーム24・24に各々枢着され、後端部は後述の苗植装置25をローリング自在に支持するローリング軸26が設けられた縦枠27に枢着されている。
【0015】28は油圧シリンダーであって、シリンダーの基部が左右移動フレーム3・3に枢着され、ピストン28aの後端が上部リンク23aと一体の揺動アーム23cに枢着されている。苗植装置25は、前記縦枠27のローリング軸26にローリング自在に装着されたフレームを兼ねる植付伝動ケース29と、該植付伝動ケース29に設けられた支持部材に支持されて機体左右方向に往復動する苗載台30と、植付伝動ケース29の後端部に装着され前記苗載台30の下端より1株分づつの苗を分割して圃場に植え付ける苗植付け具31…と、植付伝動ケース29の下部にその後部が枢支されてその前部が上下揺動自在に装着された整地体である中央整地フロート32・左右整地フロート33・33等にて構成されている。
【0016】左右整地フロート33・33は、各々左右駆動後輪18・18の後方に配置されており、該左右駆動後輪18・18にて掻き乱された圃場を整地すると共に苗植付け具31にて苗が植付けられる圃場の前方を整地すべく設けられている。40は施肥装置であって、前記左右支持フレーム24・24の上端部に固着されており、施肥タンク41…と、該各施肥タンク41…の下部に装着され施肥タンク41内の粒状肥料を一定量づつ繰り出す肥料繰出装置42…と、該肥料繰出装置42にて繰り出された肥料を案内する透明の施肥パイプ43…と、中央整地フロート32・左右整地フロート33・33に固着され苗植付け位置側方の圃場に施肥溝を掘り施肥パイプ43にて案内された粒状肥料を該施肥溝内に落下案内する作溝器44…とにより構成されている。尚、45は肥料繰出装置42…を駆動する駆動アームであって、左右移動フレーム3・3上に固設の施肥駆動ケース46に連結されており、施肥駆動ケース46には走行ミッションケース5より駆動軸47にて動力が伝達されるように構成されている。
【0017】48は両端にユニバーサルジョイントを有するPTO伝動軸であって、施肥駆動ケース46の動力を苗植装置25の植付伝動ケース29に伝達すべく設けている。49は中央整地フロート32の前部上面と植付伝動ケース29との間に設けられた油圧バルブであって、中央整地フロート32の前部が外力にて適正範囲以上に持ち上げられた時には油圧ポンプ50にて走行ミッションケース5内から汲み出された圧油を油圧シリンダー28に送り込んでピストンを突出させリンク機構23を上動させて苗植装置25を所定位置まで上昇せしめ、また、中央整地フロート32の前部が適正範囲以上に下がった時には油圧シリンダー28内の圧油を走行ミッションケース5内に戻してリンク機構23を下動させて苗植装置25を所定位置まで下降せしめ、そして、中央整地フロート32の前部が適正範囲にあるとき(苗植装置25が適正な所定位置にある時)には油圧シリンダー28内の圧油の出入りを止めて苗植装置25を一定位置に保持せしめるべく設けられている。このように、中央整地フロート32を植付装置25の自動高さ制御のための接地センサーとして用いている。
【0018】51は車体カバー21より突出して操縦座席22の右側方に設けられた昇降レバーであって、走行ミッションケース5内に設けられた駆動軸47を駆動回転する動力を断接するPTOクラッチを操作して施肥装置40及び苗植装置25への動力を入切り操作できるように構成されていると共に、油圧バルブ49を操作して手動にて苗植装置25を上下動できるようにも構成されている。即ち、昇降レバー51を前方に倒して「自動位置」にすると、PTOクラッチが入り施肥装置40及び苗植装置25が駆動され且つ油圧バルブ49が中央整地フロート32の上下動にて切換えられる自動制御状態となる。逆に、昇降レバー51を後方に引いて「上昇位置」にすると、PTOクラッチが切れ施肥装置40及び苗植装置25の作動が停止し且つ油圧バルブ49が強制的に苗植装置25を上昇する側に切換えられ、苗植装置25が上昇される。そして、昇降レバー51をその操作ストロークの中間位置の「固定位置」にすると、PTOクラッチが切れ施肥装置40及び苗植装置25の作動が停止し且つ油圧バルブ49が油圧シリンダー28内の圧油の出入りを止めて苗植装置25を一定位置に保持せしめる位置に切換えられ、苗植装置25が昇降レバー51を「固定位置」に操作したときの位置に保持され苗植装置25は上昇も下降もしない。また、昇降レバー51を「下げ位置」にすると、PTOクラッチが切れ施肥装置40及び苗植装置25の作動が停止し且つ油圧バルブ49が中央整地フロート32の上下動にて切換えられる自動制御状態となる。
【0019】52は前輪クラッチSOL(ソレノイド)で、通電されると走行ミッションケース5内に設けた左右前輪クラッチを切りブレーキを作動させる構成になっている。54は主クラッチSOLで、通電されると走行ミッションケース5内に設けた主クラッチを切る構成になっている。
【0020】57はHST変速装置のトラニオン軸を操作する電動シリンダにより構成されるHST作動装置であり、変速レバー6を操作するとその操作位置を変速位置センサー6aが検出して、その検出により制御装置70の変速手段にて作動する構成となっている。尚、変速レバー6を中立から移動速の方向イへ操作するほど徐々に前進速度が早くなり、逆に、中立から後進の方向ロへ操作するほど徐々に後進速度が早くなる。
【0021】64は昇降レバー作動SOLで、通電されると昇降レバー51を自動位置から固定位置に切り換えるように構成されている。58は昇降レバー51が何れの位置に操作されているかを検出するポテンショメータにより構成される昇降レバー位置センサーである。
【0022】60は左右移動フレーム3・3が左右フレーム2・2内に嵌入して機体が短い所定の全長になったことを検出する縮小検出スイッチ、61は左右移動フレーム3・3が左右フレーム2・2から突出して機体が長い所定の全長になったことを検出する伸長検出スイッチである。
【0023】62は畦スイッチで、作業者が押した状態でオン出力し、押すのを止めると自動的にオフになるスイッチである。63はモードスイッチで、自動位置と伸長位置と縮小位置とに切り換えれる構成となっている。
【0024】67は前端部が左右フレーム2・2を連結する横連結部材2eに枢支され、後端部が前側の前後揺動アーム2c・2cに連繋されている油圧シリンダーであって、ソレノイド油圧バルブ66にて圧油が供給・排出されて伸縮動して、前後揺動アーム2c・2cを前後方向に実線の状態から仮想線の状態に揺動させることにより、前後揺動アーム2c・2c下部に連結された左右移動フレーム3・3を前後移動させて機体の前後長が変更できるものである。この油圧シリンダー67は、機体側面視で左右フレーム2・2の下側面よりも上方に位置し、機体平面視で左右フレーム2・2の間で機体の左右中央位置に配置されている。従って、油圧シリンダー67は機体側面視で左右フレーム2・2の下側面よりも上方に位置しているので、機体の地上高が高くなり(機体腹部下面が圃場面より離れる)、湿田等の耕盤が深い圃場でも油圧シリンダー67が泥面に浸かってしまうようなことがなく良好なる走行性能を得ることができ、作業性が良い。また、油圧シリンダー67が泥面に浸かってしまうようなことが少ないので、油圧シリンダー67が破損することも防止できる。然も、油圧シリンダー67は機体平面視で左右フレーム2・2の間で機体の左右中央位置に配置されているので、移動フレーム3・3に設けられている左右駆動後輪18・18を均等に前後移動させる作用をし、左右駆動後輪18・18への伝動軸19・19に不均一な回転動力が作用することも防止されて、良好に左右駆動後輪18・18が前後移動されて、機体の伸縮が良好に行なえる。
【0025】また、油圧シリンダー67の伸縮速度は、機体の前進速度(後輪18・18の進行速度)に合わせてあり、即ち、変速レバー6を植付速にした時のエンジン回転数に同期して油圧シリンダー67への圧油の供給及び排出を制御する構成としている。従って、油圧シリンダー67の伸縮速度が後輪18・18の進行速度に合わせてあるので、機体の伸縮時に後輪18・18の駆動前後進力と油圧シリンダー67の伸縮力とが適正に同調して、効率的な機体の伸縮作動が行なえる。また、縮小しながらの苗の植付けも、縮小前の移動速度と後輪18・18の進行速度とが同じになるので、苗の植付け株間が一定となり良好な苗の植付けが行なえる。
【0026】80は機体に設けた前後傾斜センサーであって、機体の前後傾斜が安全な所定角(通常田植作業時に傾斜する角度)であるか否かを検出する。ここで、制御装置70及び図4の制御動作のフローチャートについて、実際の田植作業に基づいて説明する。図5に示すような水田で田植作業を行うには、先ず、農道RDから圃場出入口ENTより圃場内に入り、反対側の畦A2際の植付け開始位置まで移動する。そして、モードスイッチ63を自動にし、苗載台30に苗を載置し、施肥タンク41に粒状肥料を入れて、エンジン4を始動し、変速レバー6を植付速にし、昇降レバー51を自動位置にして、各部を駆動し機体を前進せしめれば、苗植装置25は自動的に適正位置に上下制御され田植作業が行われる。そのとき、同時に施肥装置40により苗植付位置の側方の圃場中に粒状肥料が施肥される。そして、機体と畦との間に一行程の苗植付け間隔をあけて畦A2に沿って植付走行する。前記圃場にて畦A4側に機体の先端が一致するまで植付走行したら、畦スイッチ62を押すと(STEP1)、モードスイッチ63は自動・変速レバー6は植付速・昇降レバー51は自動位置・機体の前後傾斜角は通常作業角であるから(STEP2〜5)、制御装置70の機体縮小手段にて、前輪クラッチSOL52に通電され(STEP6)左右前輪クラッチが切れてブレーキが作動し、ソレノイド油圧バルブ66に通電され(STEP7)油圧シリンダー67は縮小する。すると、左右駆動前輪9・9が装着された左右フレーム2・2側の機体前部は停止するが、左右駆動後輪18・18が装着されている左右移動フレーム3・3側の機体後部は前進する。このとき、苗植装置25は駆動されているので、苗の植付けは行なわれる。そして、縮小検出スイッチ60が移動フレーム3・3が移動して機体が短い所定の全長になったことを検出して「入」になると(STEP8)、主クラッチSOL54に通電されて(STEP9)主クラッチが切られて機体の全駆動は停止し、ソレノイド油圧バルブ66への通電は停止され(STEP10)油圧シリンダー67は固定され、昇降レバー作動SOL64に通電されて(STEP11)昇降レバー51は自動位置から固定位置に切り換えられる(施肥装置40及び苗植装置25への駆動は停止状態になる)。このとき、機体前端から苗植付け位置Pまでの距離Bは、丁度、6条分の苗が植付けられる距離に設定されているので、畦際の枕地は丁度この田植機が走行して6条植えが行なえる間隔になる。
【0027】次に、作業者が、変速レバー6を後進に操作すると(STEP12)、制御装置70の後進連動リフト手段にて油圧バルブ49が強制的に苗植装置25を上昇する側に切換えられて苗植装置25は上昇してその位置に固定され(STEP13)、主クラッチSOL54への通電が停止されて(STEP14)主クラッチが入りとなる。そして、前輪クラッチSOL52は通電されて左右前輪クラッチが切れてブレーキが作動したままで、ソレノイド油圧バルブ66に通電され(STEP15)油圧シリンダー67は伸長する。すると、ブレーキが作動している左右駆動前輪9・9が装着された左右フレーム2・2側の機体前部は停止したままで、左右駆動後輪18・18が装着されている左右移動フレーム3・3側の機体後部は後進する。そして、伸長検出スイッチ61が移動フレーム3・3が移動して機体が長い所定の全長になったこと(縮小する前の元の長い状態)を検出して「入」になると(STEP16)、ソレノイド油圧バルブ66への通電は停止され(STEP17)油圧シリンダー67は固定され、前輪クラッチSOL52への通電が停止され(STEP18)左右前輪9・9は駆動状態となり、そのまま旋回できるだけ後進した後に(苗植装置25が上昇しているので、左右駆動後輪18・18の接地点と苗植付け位置Pとの間隔Cだけ後進しても支障はない)、操縦ハンドル10をいっぱい切って機体を旋回させて操縦ハンドル10を直進位置に戻し、作業者は既植付け苗条に対する適正な位置に進路を補正して(条合わせ)、昇降レバー51を固定位置から自動位置に切り換えて、前行程と同様に植付作業を行う。このようにして、畦A1側に向けて往復植付走行し、畦A1との間に残り一行程分までになったら、図6のように、出入口ENT側から畦A2に向かって前記植付け作業により丁度一行程分あけられている畦A3沿いに枕地植付し、次に、はじめに一行程分あけられていた行程を畦A3から畦A4に向かって植付走行し、更に、畦A2から畦A1に向かって前記植付け作業により丁度一行程分あけられている枕地植付し、最後に、畦A1との間に一行程分残されていた行程を出入口ENTに向かって畦A1沿いに植付走行して、出入口ENTから農道RD上に抜け出る。以上のようにすれば、圃場の四隅に未植付エリアが生じず効率の良い田植えができる。
【0028】以上のように、圃場での直進時の植付作業及び機体旋回時に車輪で荒らされた枕地での植付は、機体全長(ホイルベース)が長い状態で行なうので、水田のような走行基盤が良くない条件においても、きわめて安定した走行が行なえ良好な施肥田植え作業が行なえる。
【0029】そして、畦際で畦スイッチ62を押すのみで、左右移動フレーム3・3が前方向に移動して機体が短い状態となりながら、丁度この田植機が枕地走行して6条植えが行なえる距離まで苗の植付けが行なえ、且つ、機体旋回時には機体を後進させることにより、左右移動フレーム3・3が後方向に移動して機体が長い状態となり、安定した旋回が行なえる。
【0030】そして、畦スイッチ62を押した時に、モードスイッチ63が自動でない場合、変速レバー6が植付速でない場合、若しくは、昇降レバー51が自動位置でない場合には、モニター制御手段によりモニター65にエラー表示されて、機体の縮小は行なわれない。変速レバー6が植付速でのみ機体の縮小が行なえるようにしたのは、後輪18・18の駆動力を適正に利用して小さな油圧シリンダーでも機体の縮小が行なえるようにするためであり、また、後輪が前進状態でない場合に(後進状態等)油圧シリンダー67が縮小作動して破損するような事態を回避するためである。このようなチェック機能をいれることにより、より安全に且つ効率良く縮小させることができて作業性が良好となる。
【0031】更に、前輪デフをロックする操作具を設けた場合には、前輪デフをロックしている場合には、機体の伸縮作動が行なわれないようなチェック機能を入れてもよい。田植作業時には前輪デフをロックすることはなく、畦越え時等に前輪デフをロックするので、上記チェック機能を入れておくと、畦越え時等に(前輪デフをロックした時)作業者が誤って畦スイッチ62を押してしまっても、機体の縮小は行なわれないので機体の転倒等を防止でき、誤操作による事故が防止できて安全な作業が行なえる。
【0032】また、機体の前後傾斜が通常作業状態よりも大きく傾斜している場合も、モニター制御手段によりモニター65にエラー表示されて、機体の縮小は行なわれない。これは、例えば、機体をトラックに積込む為にトラックに架けたアユミ上を走行している場合とか、圃場で畦越えをしている場合とかに、機体が大きく前後傾斜した状態で、作業者が誤って畦スイッチ62を押してしまっても、機体の前後傾斜センサー80によりその大きな機体の前後傾斜を検出して機体の縮小は行なわないようにして、機体の転倒等を防止できるようにしている。従って、誤操作による事故が防止できて安全な作業が行なえる。
【0033】このように、機体の伸縮をソレノイド油圧バルブ66にて作動する油圧シリンダー67と後輪18・18の駆動力にて行なうと、簡潔な構成で機体の伸縮が行なえて軽量な田植機を得ることができ、軽量な構成であるから、水田での走行性能も向上し適正な田植作業が能率良く行なえる。また、モードスイッチ63を「伸長」又は「縮小」にすれば、機体を停止した状態でも任意に機体の伸縮が行なえて、手動による機体の伸縮が安全に行なえる。更に、例えば、モードスイッチ63を「伸長」にして機体を伸長している途中で「自動」にすると、その機体長さで油圧が固定されるので、任意の機体長に設定することができ、圃場の条件によっては、枕地や直進植え時に機体の全長を調節して、最も走行性の良い状態にして田植作業を行なうこともできる。
【0034】また、上記の実施例において、畦際で機体の伸縮作動をさせる場合に、左右前輪クラッチが切れてブレーキが作動して左右前輪9・9が制動されるのと同時に、後輪デフ装置をロックして左右駆動後輪18・18が同回転するようにすれば、左右駆動後輪18・18は左右同じ速度で前後進するので、左右駆動後輪18・18に駆動力を伝達する伝動軸19・19に偏荷重がかかることが防止できて、良好な伸縮作動が行なえると共に、左右移動フレーム3・3即ち苗植装置25が真直ぐに前進するので縮小時の苗の植付けが真直ぐに行なえて適正な作業が行なえる。
【0035】更に、上記の実施例では、畦スイッチ62を作業者が押すことにより、畦際での機体の縮小作動が開始するように構成したが、機体の前部に畦検出センサー(畦に接当して畦を検出するセンサー若しくは音波や光を前方に発して畦を検出する非接触型センサー)を設けて、機体が畦に接近すると自動的に畦際での機体の縮小作動が開始するように構成しても良い。そのようにすれば、より効率良い作業が行なえて便利である。
【出願人】 【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
【出願日】 平成13年5月28日(2001.5.28)
【代理人】
【公開番号】 特開2002−345313(P2002−345313A)
【公開日】 平成14年12月3日(2002.12.3)
【出願番号】 特願2001−158991(P2001−158991)