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【発明の名称】 田植機の植付部
【発明者】 【氏名】加藤 祐一

【氏名】土井 邦夫

【要約】 【課題】田植機の植付部において、植付伝動フレームの組立工程を簡易にするための植付伝動フレームの構造を提案し、さらには、組立工程の簡易化だけでなく、様々な形態の田植機の植付部において部品を共用化できるようにする。

【解決手段】植付部15へ入力された動力を、伝動軸91L・91Rを介して植付駆動軸92に伝達し、該植付駆動軸92よりロータリ植付装置21を駆動する植付アーム軸93へ動力を伝達するよう構成した伝動機構を植付伝動フレーム20に内装した田植機の植付部15において、該伝動機構の植付駆動軸92より後方をそれよりも前方とフレームと共に分割できるように構成し(矢印Xで分割)、植付駆動軸92より後方に安全クラッチ61を設けた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 植付部へ入力された動力を伝動軸を介して植付駆動軸に伝達し、該植付駆動軸より植付アーム軸を介して植付爪を駆動するよう構成した伝動機構を植付伝動フレームに内装した田植機の植付部において、左右水平方向に横架する伝動軸を内装する連結パイプを管継手で連結し、前後方向に配置した植付駆動軸を内装する伝動パイプを管継手後部に連結して植付伝動フレームを構成し、該植付伝動フレームの伝動パイプより後部を分割可能に構成したことを特徴とする田植機の植付部。
【請求項2】 前記分割部分に安全クラッチを設けたことを特徴とする請求項1に記載の田植機の植付部。
【請求項3】 前記植付伝動フレームにおいて、植付駆動軸、植付アーム軸及びこれらを内装するフレームを一つのユニットとし、該ユニットに安全クラッチを配設したことを特徴とする請求項1に記載の田植機の植付部。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、田植機の植付部の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ロータリ式植付装置を具備した植付部を機体後部に昇降自在に配設した田植機は周知となっている。ロータリ式植付装置に動力を伝達するための植付伝動フレームは、例えば、左右方向に横架された連結パイプの両端に十字管継手を溶接固定し、さらに、該十字管継手から後方へ向かって伝動パイプを溶接固定し、該伝動パイプの後端に十字管継手を溶接固定し、該十字管継手にロータリ式植付装置を配置したものが存在する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述の従来技術における植付伝動フレームは、溶接によって各部材を連結して構成されており、該植付伝動フレームの外枠を組み上げた上で、その内部に動力を伝達するための軸等を組み込まねばならないために、作業が難しくなってしまっていた。そこで、本発明は植付伝動フレームの組立工程を簡易にするための植付伝動フレームの構造を提案しようとするものである。さらには、組立工程の簡易化だけでなく、様々な形態の田植機の植付部において部品を共用化できるようにして汎用性を高めてコスト削減を図ろうとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0005】即ち、請求項1においては、植付部へ入力された動力を伝動軸を介して植付駆動軸に伝達し、該植付駆動軸より植付アーム軸を介して植付爪を駆動するよう構成した伝動機構を植付伝動フレームに内装した田植機の植付部において、左右水平方向に横架する伝動軸を内装する連結パイプを管継手で連結し、前後方向に配置した植付駆動軸を内装する伝動パイプを管継手後部に連結して植付伝動フレームを構成し、該植付伝動フレームの伝動パイプより後部を分割可能に構成したものである。
【0006】請求項2においては、前記分割部分に安全クラッチを設けたものである。
【0007】請求項3においては、前記植付伝動フレームにおいて、植付駆動軸、植付アーム軸及びこれらを内装するフレームを一つのユニットとし、該ユニットに安全クラッチを配設したものである。
【0008】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施例について説明する。図1は本実施例に係る田植機の全体的な構成を示した側面図、図2は同じく平面図、図3は本発明に係る植付部を示す側面図、図4は同じく平面図である。図5は植付伝動フレームを示す平面断面図、図6は植付伝動フレームの左部を示す平面断面図、図7は植付伝動フレームの中央部を示す平面断面図、図8は植付伝動フレームの右部を示す平面断面図である。図9は苗取り量調節レバーを示す側面図、図10は同じく斜視図、図11は植付部に設けられた複数の植付駆動軸へ伝達される回転動力の方向が異なる一例を示す平面断面図、図12は植付伝動フレームの右部を示す平面図、図13はバンパーを示す斜視図、図14は図12におけるY−Y矢視図である。図15は植付駆動軸前部を示す平面断面図、図16は植付駆動軸前部後部を示す平面断面図、図17は条止めクラッチを示す植付アーム軸周辺部の背面図、図18は同じく平面図、図19は同じく側面図である。
【0009】まず、本発明に係る田植機の全体構成について説明する。なお、本実施例において田植機は六条植え式の植付部を搭載した乗用田植機としているが、これに限定されるものではなく、歩行式の田植機にも適応することができる。また、植付部は六条植え式としているがこれに限定されない。
【0010】図1及び図2に示す如く、乗用田植機は走行部1の後部に昇降リンク機構27を介して植付部15が配置され、該走行部1は機体フレーム3前部上方にエンジン2を搭載し、前下部にフロントアクスルケース5を介して前輪6を支持させると共に、後部にリアアクスルケース7を介して後輪8を支持している。そして、前記エンジン2はボンネット9に覆われ、該ボンネット9の両側には予備苗載台30が配設され、該ボンネット9の後部には操向ハンドル14が配置されている。該操向ハンドル14の下部には操作パネル4等が配置されている。また、走行部1の機体フレーム3を覆う機体カバー12は、ボンネット9後部から座席13前部に渡ってメインステップ10を形成し、該メインステップ10後部では高く盛り上がってその上に座席13が設けられている。操向ハンドル14の左右両側方に主変速レバー、植付部昇降及びマーカ操作レバー、アクセルレバー等が配設され、前記メインステップ10の前方には油圧式無段変速装置を操作するための副変速ペダル32及びブレーキレペダル33等が配設されている。
【0011】また、前記植付部15は、図1乃至図5に示す如く、苗載台16や植付爪17・17・・・やセンターフロート34やサイドフロート35等から構成されており、前記苗載台16は前高後低に配設して、苗載台16の下部は下ガイドレール18、前面の上部は上ガイドレール19によって左右往復摺動自在に支持し、該下ガイドレール18及び上ガイドレール19は植付伝動フレーム20に連設したフレーム等を介して支持されている。そして、植付伝動フレーム20内には伝動軸91L・91R、植付駆動軸92・92・92、植付アーム軸93・93・93を介して一方向に回転する回転ケース22・22・・・を植付アーム軸93・93・93の左右両側に一つずつ配置し、該回転ケース22・22・・・夫々に植付爪17・17・・・を二つずつ配置している。
【0012】また、前記植付伝動フレーム20の前部にローリング支点軸を介してヒッチを設け、トップリンク25及びロワーリンク26を含む昇降リンク機構27の後部にヒッチ24を連結し、前記昇降リンク機構27を昇降駆動させる昇降シリンダ(図示せず)をロワーリンク26に連結したリフトアーム28に連結して植付部15を昇降できるようにしている。そして、前記前輪6・6及び後輪8・8を走行駆動して移動すると同時に、左右に往復摺動可能な苗載台16から一株分の苗を各植付爪17・17・・・によって取り出し、連続的に苗植え作業を行うように構成している。
【0013】次に、植付部15の植付伝動フレーム20の構成について説明する。図4及び図5に示す如く、本実施例において植付部15を六条植え式としており、従って回転ケース22と二本の植付爪17・17からなるロータリ式植付装置21・21・・・を六組備え、計十二本の植付爪17・17・・・を有している。従って、前記植付爪17・17・・・を回転駆動させる機構を備えた回転ケース22・22・・・に動力を伝達する植付駆動軸92・92・92を内装する伝動パイプ55・55・55が三本配設されている。なお、該伝動パイプ55・55・55より後方を植付ユニット29と表現することにする。
【0014】前記植付ユニット29・29・29の前部に位置する伝動パイプ55・55・55が十字管継手41L・41C・41R及び入力十字管継手40を介して連結パイプ57L・57C・57Rで連結され、平面視櫛型の植付伝動フレーム20が形成されている。この伝動パイプ55・55・55と連結パイプ57L・57C・57Rの内部には伝動軸91L・91Rや植付駆動軸92・92・92等が軸支される。なお、本実施例においては中央十字管継手41Cと右側十字管継手41Rの間に植付伝動フレーム20への入力部である入力十字管継手40が配設されて、中央十字管継手41Cと入力十字管継手40、入力十字管継手40と右側十字管継手41Rが夫々連結パイプ57C・57Rで連結されている。このように構成された植付伝動フレーム20は、櫛型の開放側を後方に向け、左右の開放側端部の左右両側及び中央にロータリ植付装置21・21・・・を具備する植付ユニット29・29・29を夫々配している。
【0015】前記植付伝動フレーム20前部には、上部支持フレーム116や苗載台16の縦送り機構及び横送り機構を支持する支持部が設けられている。左側の連結パイプ57Lと右側の連結パイプ57Rには上部支持フレーム116を支持するための支持部材115・115が、左側の連結パイプ57Lには縦送り機構の縦送りカム86の回動軸である縦送りカム軸88を支承する支持部材121・121が、また、入力十字管継手40と右側十字管継手41Rには横送り軸47を支承する支持部材122・122が、夫々前上方向きに突出した状態に固設されている。
【0016】次に、上述の如く構成した植付伝動フレーム20の動力伝達構成について説明する。
【0017】図5乃至図8に示す如く、田植機の走行部1から後方に延出したPTO軸の後端にはユニバーサルジョイントを具備したPTO取出軸90(図1)を介して入力ベベルギア49が連結され、該入力ベベルギア49は入力十字管継手40に回動自在に支承されている。入力ベベルギア49は入力十字管継手40の内部に回動自在に支承されたベベルギア72と噛合し、該ベベルギア72に嵌合している右伝動軸91Rへ動力を伝達している。右伝動軸91Rの右端は、図8に示す如く、右側十字管継手41R内部に回動自在に設けられたベベルギア70に嵌合して、右伝動軸91Rとベベルギア70は一体的に回転し、該ベベルギア70は右側の植付ユニット29の前方に位置する植付入力ベベルギア75と噛合して該植付ユニット29へ動力を伝達している。
【0018】一方、図7に示す如く、前記右伝動軸91Rの左端には筒状部材91Raがスプライン嵌合され、中央十字管継手41Cの内部で該筒状部材91Laに左伝動軸91Lの右端がスプライン嵌合して、右伝動軸91Rから左伝動軸91Lへ動力を伝達している。そして、同じく中央十字管継手41Cに回動自在に支承されて左伝動軸91Lに嵌合しているベベルギア77と、中央の植付ユニット29の前方に位置する植付入力ベベルギア75とが噛合して、該植付ユニット29へ動力を伝達している。前記左伝動軸91Lの左端は、図6に示す如く、左側十字管継手41Lに回動自在に支承されたベベルギア74に嵌合しており、該ベベルギア74は左側の植付ユニット29の前方に位置する植付入力ベベルギア75と噛合して該植付ユニット29へ動力を伝達している。
【0019】上述の如く、植付ユニット29・29・29へ伝達された動力は、植付駆動軸92・92・92を介して伝動パイプ55・55・55後部に固設された十字管継手96・96・96内で植付アーム軸93・93・93に動力が伝達され、十字管継手96・96・96側部に配するロータリ植付装置21・21・・・を駆動し、植付爪17・17・・を回転し、苗の植付けを行っている。
【0020】さらに、前記左伝動軸91Lの左端に嵌合しているベベルギア74の左側には横送り変速ケース46への入力軸である変速入力軸78が摺動自在に嵌合している。該変速入力軸78にはシフター78aが備えられていて、該シフター78aによって変速摺動体78bが左右に摺動して、変速入力軸78と何れかの変速ギア131・131・131と係合して横送り変速できるようにしている。
【0021】前記横送り変速ケース46内において、変速入力軸78には三個の径の異なる変速ギア131・131・131が外嵌されている。変速ギア131・131・131はその上方に位置する三個の変速出力ギア134・134・134と夫々噛合し、変速出力ギア134・134・134に内嵌された変速出力軸79はジョイントパイプ135を介して縦送り機構の構成部材である縦送りカム軸88の左端と連結している。そして、図5に示す如く、縦送りカム軸88の右端はジョイントパイプ136を介して横送り機構の構成部材である横送り軸47と連結しており、すなわち、縦送りカム軸88と横送り軸47とは同一軸上に一体的に連結されて、これらの軸には前記横送り変速ケース46によって調整された等しい回転動力が伝達されることになる。
【0022】なお、変速ギア131・131・131は、主に樹脂素材で構成されており、変速入力軸78の貫入する内周部は金属素材で構成された補強部材131a・131a・131aを嵌入して補強している。変速ギア131・131・131を樹脂素材で構成することにより変速ギア131・131・131の軽量化を図ることができ、また、樹脂素材であるが補強部材131a・131a・131aで内周部を補強しているので変速ギア131・131・131に必要な剛性を備えている。さらに、変速ギア131・131・131の樹脂素材で構成されている部分と金属素材で構成した補強部材131a・131a・131aとは嵌め込みによる嵌合であるので、解体するときには夫々の素材毎に容易に分解することができるので、分別回収が可能である。また、前記変速出力ギア134・134・134も、主に樹脂素材で軽量に構成されて、そして、変速出力ギア134・134・134に必要な剛性を備えるようにしている。
【0023】前記横送り変速ケース46内で変速された動力が伝達される横送り軸47には滑り子摺動用の溝47aが穿設されており、横送り軸47の外周面上に滑り子受け137が遊嵌され、該滑り子受け137内に付設されている滑り子138が溝47aに嵌入され、横送り軸47の回動に伴われて滑り子138が溝47a内を摺動し、滑り子受け137が横送り軸47上を左右に往復動する。該滑り子受け137後部には図示せぬ連結部を介して苗載台16が連結され、横送り軸47の回動によって苗載台16が左右往復動される。
【0024】また、前記縦送りカム軸88には縦送りカム86が固設されており、縦送りカム軸88の回転に伴い該縦送りカム86・86も回転して、縦送りカム86・86に苗搬送ベルト85の回転軸上に設けられた従動カム81が当接して、所定量だけ従動カム81が回転して苗搬送ベルト85を間欠的に駆動するように構成し、所定量だけ苗マットが間欠的に下方へ搬送される。
【0025】なお、苗マットから植付爪17・17・・・によって取られる苗の量は、苗取り量調節レバー139で苗載台の下部に位置する下ガイドレール18及び苗載台16を上下させて調整する。すなわち、図9及び図10に示す如く、苗取り量調節レバー139と苗取り量調節軸142が連結され、該苗取り量調節軸142に固設したアーム143・143・143には下ガイドレール18が連結されており、苗取り量調節レバー139を操作することによって苗取り量調節軸142を回動させると、これに連動して下ガイドレール18及び苗載台16が上下移動するのである。本実施例では縦送りカム軸88と横送り軸47とが同一軸上に構成されているため、従来のように苗取り量調節軸142に苗取り量調節レバー139が支承されるよう構成すると、これらの軸に干渉しないようにするためには非常に複雑な構造となってしまうため、苗取り量調節軸142と苗取り量調節レバー139をリンク144を介して連結している。このようにリンク144を介することで、図3に示す如く、無理なく縦送りカム軸88や横送り軸47や植付伝動フレーム20との干渉を避けることができて、最も部品点数を少なくシンプル且つ軽量な構造で縦送りカム軸88及び横送り軸47に干渉しない苗取り量調節レバー139を構成することができる。
【0026】上述の植付伝動フレーム20の動力伝達構成では、左・右・中央の植付ユニット29・29・29への動力の伝達を一本の伝動軸ではなく、中途部で分割して左伝動軸91Lと右伝動軸91Rの二本の伝動軸で伝達していることを特徴としている。従って、組立工程において長尺の一本の伝動軸を扱うよりもそれよりも短尺の二本の伝動軸(左伝動軸91Lと右伝動軸91R)を扱う方が作業がし易く、作業性を向上する。また、メンテナンス時においても同様の理由から作業が簡易となり作業性を向上する。
【0027】そして、左伝動軸91Lと右伝動軸91Rの連結位置は、左伝動軸91Lと右伝動軸91Rの回転方向が等しくなる位置で分割して、左伝動軸91L及び右伝動軸91Rによって伝達される動力を用いて作動する複数の装置を略同一に構成できるようにしている。本実施例においては、左伝動軸91Lと右伝動軸91Rの連結位置を入力ベベルギア49と噛合するベベルギア72よりも左側として、左伝動軸91Lと右伝動軸91Rが同方向に回転するようにして、左伝動軸91L及び右伝動軸91Rにより伝達される動力によって作動する複数の植付ユニット29・29・29を略同一に構成できるようにしているのである。
【0028】なお、左伝動軸91Lと右伝動軸91Rの回転方向が等しくならない構造の一例として、図11に示す如く、左伝動軸91L' と右伝動軸91R' の連結位置を入力ベベルギア49の周辺として、入力ベベルギア49を介して左伝動軸91L' と右伝動軸91R' とを対峙させるように構成したものが挙げられるが、このような構造では左伝動軸91L' と右伝動軸91R' の回転方向が違いに反対となり、ロータリ植付装置21・21・21の植付爪17・17・・・を同方向に回動させるために、複数の植付ユニット29・29・29の伝動構造を左伝動軸91L' 或いは右伝動軸91R' の何れから伝動されるかによって違える必要が生じてしまうのである。
【0029】ここで、前記植付ユニット29・29・29について詳細に説明する。但し、上述の如く左・右・中央の十字管継手41L・41R・41Cから夫々一本ずつ連結された伝動パイプ55・55・55やロータリ植付装置21・21・21等により構成された植付ユニット29・29・29は、全て略等しい構成としているので、右側十字管継手41Rに連結された植付ユニット29について説明し、他は省略する。
【0030】まず、植付ユニット29のフレーム構成について説明する。図8及び図12に示す如く、植付駆動軸92を内装する伝動パイプ55の前端にはカラー58を介して連結フランジ83が固設され、同じく伝動パイプ55の後端には植付アーム軸93が貫入する十字管継手96が固設されている。そして、該十字管継手96の左右両側にはロータリ植付装置21の回転ケース22・22を取り付けるためのフランジ95・95が形成されており、該フランジ95・95に回転ケース22・22を螺結することができるようにしている。そして、右側十字管継手41Rの後端に固設された連結フランジ82と、伝動パイプ55の上端に固設された連結フランジ83を締結部材84・84・・によって締結することで、右側十字管継手41Rに植付ユニット29が連結される。
【0031】なお、図14に示す如く、右側十字管継手41Rの後端に固設された連結フランジ82のフランジ部82aにはノックピン147が設けられており、また、伝動パイプ55側に設けられた連結フランジ83のフランジ部83aには該ノックピン147を嵌入するための孔148が穿設されて、十字管継手41Rと伝動パイプ55とを連結するときには、ノックピン147を連結フランジ83の孔148に嵌入させて、十字管継手41Rと伝動パイプ55との相対位置を決定することができる。従って、植付ユニット29の取付作業においてその取付位置を簡易に決定することができ、作業効率を良好にしている。
【0032】なお、伝動パイプ55後端の十字管継手96の後方には、着脱自在にバンパー80を設けることができる。すなわち、図12及び図13に示す如く、十字管継手96に設けられたフランジ95・95に取付ステー59をボルト59aで螺結して、該取付ステー59にバンパー80を螺設できるようにしている。バンパー80は植付爪17・17・・の周囲を保護するために備えられる部材であるが、バンパー80を装備するために特別な部材を植付伝動フレーム20に設ける必要が無く、回転ケース22・22を螺設するためのフランジ95・95を共用することで、コンパクト且つ低コストにバンパー80を設けることができる。そして、バンパー80を植付伝動フレーム20に溶接固定するのではなく螺設しているので、溶接部品を削減することができて完成品を精度の高いものとすることができる。
【0033】次に、植付ユニット29の伝動構成について説明する。右側十字管継手41Rに回動自在に設けられた右伝動軸91R右端のベベルギア70から回転動力が植付入力ベベルギア75に伝達される。そして、植付入力ベベルギア75にスプライン嵌合した固定側クラッチ爪39と、植付駆動軸92前端に嵌合した摺動側クラッチ爪43が咬合して該植付駆動軸92に動力を伝達する。図16に示す如く、植付駆動軸92の後端には内周部にスプラインが形成された筒状部材92aが固設され、該筒状部材92aは伝動パイプ55後端に固設された十字管継手96に回動自在に支承されている。そして、前記植付駆動軸92後端の筒状部材92aに嵌入されたベベルギア60から、植付アーム軸93に回動自在に外嵌された固定側クラッチ爪76に設けられたベベルギア76bに回転が方向が変換されて伝達され、さらに、該固定側クラッチ爪76と植付アーム軸93上に左右に摺動自在にスプライン嵌合された摺動側クラッチ爪71が咬合して該植付アーム軸93に動力が伝達され、該植付アーム軸93から回転ケース22・22へ入力されて植付爪17・17・・が駆動される。
【0034】上述の如く構成した植付ユニット29では、植付駆動軸92に安全クラッチ61が、植付アーム軸93に条止めクラッチ62が設けられている。まず、安全クラッチ61から説明する。
【0035】安全クラッチ61は、植付伝動フレーム20に入力され、植付駆動軸92に伝達された動力によってロータリ植付装置21・21が駆動されるときに、該植付駆動軸92に異常な負荷が掛かったときに自動的に植付駆動軸92への動力の伝達を断絶するものである。なお、本実施例においては前記安全クラッチ61は植付駆動軸92の前端に設けられているが、本実施例に示された位置に拘るものではなく、該植付駆動軸92の中途部に設けても構わない。
【0036】図15に示す如く、植付駆動軸92は中空パイプで構成されたパイプ軸92bの前端に周囲にスプラインが形成されたスプライン部92cが固設され、さらに、スプライン部92cにはバネ受け部材45が固設されている。そして、スプライン部92cの前端にはスプライン部92cよりも小径の先端部92dがスプライン部92cより延出した状態に一体的に形成されている。上述の如く構成された植付駆動軸92のスプライン部92cには摺動側クラッチ爪43がスプライン部92cに前後摺動可能にスプライン嵌合しており、同じくスプライン部92cの該バネ受け部材45と前記摺動側クラッチ爪43の間には摺動側クラッチ爪43を前方(咬合側)へ付勢するバネ44が外嵌されている。
【0037】また、植付駆動軸92の先端部92dに固定側クラッチ爪39が遊嵌され、抜け防止部材である丸止め輪37によって植付駆動軸92の先端部92dから固定側クラッチ爪39が抜け落ちないようにしている。そして、該固定側クラッチ爪39の先端部のボス部にスプラインを形成して植付入力ベベルギア75がスプライン嵌合され、これらは一体となって回動するよう構成されている。前記固定側クラッチ爪39の軸部は、伝動パイプ55前端に固設されたカラー58の前端に回動自在に支承されている。
【0038】上述の固定側クラッチ爪39及び摺動側クラッチ爪43が咬合して、右伝動軸91Rから、植付入力ベベルギア75を介して植付駆動軸92に動力が伝達される。そして、植付駆動軸92に異常な負荷が掛かった場合には、安全クラッチ61がOFFの状態となって植付駆動軸92に動力が伝達されない。即ち、ロータリ植付装置21・21において異常が発生し植付駆動軸92が正常に回動しない状態となると、バネ44の縮む方向(後方)へ摺動側クラッチ爪43が植付駆動軸92のスプライン部92c上を移動して、固定側クラッチ爪39と摺動側クラッチ爪43が噛合しない状態となるのである。従って、ロータリ植付装置21・21に異常が発生した場合は自動的に植付駆動軸92への動力の伝達が断絶され、ロータリ植付装置21・21が破損することを防止できるのである。
【0039】次に、条止めクラッチ62について説明する。条止めクラッチ62は植付伝動フレーム20の前記安全クラッチ61より後部(伝動下流側)の、植付アーム軸93上に設けられている。本実施例において、条止めクラッチ62は植付駆動軸92から植付爪17・17を駆動する植付アーム軸93への動力の断接するものである。
【0040】図16乃至図19に示す如く、植付アーム軸93に摺動側クラッチ爪71が摺動可能にスプライン嵌合しており、植付アーム軸93及び摺動側クラッチ爪71は一体となって回動する。そして、該摺動側クラッチ爪71と噛合する固定側クラッチ爪76は植付アーム軸93に相対回転自在に遊嵌されている。前記固定側クラッチ爪76はその軸76aの外周上にベベルギア76bが固設されており、従って、植付駆動軸92後端に固設のベベルギア60と固定側クラッチ爪76に固設のベベルギア76bが噛合して該固定側クラッチ爪76が植付アーム軸93を中心に回動するのである。
【0041】クラッチアーム73は、伝動パイプ55上に固設のブラケット110に貫入された回動軸73aに枢支されている。そして、該クラッチアーム73は、図18及び図19に示す如く、L字型であって、その一端(本実施例において前方)にバネ52aを介してワイヤ52と連結して、該ワイヤ52でクラッチアーム73を操作できるように構成されており、該ワイヤ52の他端は座席13左側方に配置した条止めクラッチレバー146・146・146(図2)に連結されている。一方、該クラッチアーム73の他端(本実施例において後方)は二股状に分岐する分岐部が形成されていて、該分岐部で十字管継手96内に挿入するピン109を挟み込んで、止めピン108で回動自在に支承している。
【0042】このような構成において、ワイヤ52を操作してクラッチアーム73を回動することで、十字管継手96内にピン109を挿脱している(K・H)。十字管継手96に挿入されたピン109の先端は、摺動側クラッチ爪71に形成されたカム部71aに当接し、ピン109が押し込まれることによって該摺動側クラッチ爪71が固定側クラッチ爪76と離れる方向へ摺動し、即ち、条止めクラッチ62がOFFの状態(K)となる。上述の如く、固定側クラッチ爪76と摺動側クラッチ爪71の咬合が解除されると植付アーム軸93に動力が伝達されない状態となり、従って、該植付アーム軸93によって入力される回転ケース22・22は駆動せず、該回転ケース22・22に設けられている植付爪17・17・・駆動されず二条は植付作業しないのである。なお、摺動側クラッチ爪71はバネ113によって条止めクラッチ62がONの状態となるように構成されており、また、クラッチアーム73は該クラッチアーム73を操作するためのワイヤ52に取り付けられたバネ52aによって、条止めクラッチ62がONの状態(H)に付勢されている。
【0043】上述の如く構成した植付ユニット29・29・29は、図5に示す如く、六条植え式の植付部15には三組設けられているが、何れも同一の構成である。そして、植付伝動フレームは、該植付伝動フレーム20の伝動系の左右方向に設けられた右伝動軸91R及び左伝動軸91Lを駆動する部分と、植付ユニット29・29・29とに、十字管継手41L・41C・41Rと伝動パイプ55・55・55との間(矢印Xで示す箇所)で分割可能に構成されており、十字管継手41L・41C・41Rの後方から植付ユニット29・29・29を差し込んで該41L・41C・41Rと伝動パイプ55・55・55とを螺設する作業で、植付伝動フレーム20の十字管継手41L・41C・41Rから前部と植付ユニット29・29・29とを連結することができる。
【0044】従って、植付伝動フレーム20の十字管継手41L・41C・41Rから前部と植付ユニット29・29・29を夫々成形した上でこれらを連結するので、連結パイプ57L・57C・57Rと十字管継手41L・41C・41R・40と伝動パイプ55・55・55とを溶接して植付伝動フレーム20を組み上げた上で伝動軸91L・91Rや植付駆動軸92・92・92等を組み込んでいくときと比べて、大幅に作業が簡易となり作業効率が向上する。そして、メンテナンス作業時においても、メンテナンスする場所のみを解体してメンテナンスを施すことができる、作業が簡易となる。
【0045】そして、植付ユニット29側に安全クラッチ62や条止めクラッチ63が設けられており、これらは部品点数が多いため正確に組み立てるために手間を要するが、植付ユニット29という植付伝動フレーム20よりも小さな単位において組み付けることができるために、組立工程が簡易化され、さらに、メンテナンス時にも故障している安全クラッチ62や条止めクラッチ63を具備する植付ユニット29のみをメンテナンスすれば足りるので、メンテナンスを容易に施すことができる。さらに、植付伝動フレーム20に具備される植付ユニット29・29・29は全て同一の構成であり、従って、該植付ユニット29・29・29は同一の構成部材から成る。すなわち、汎用性があるために植付ユニット29・29・29の構成部材を大量に生産することができてコストの削減に寄与している。また、植付ユニット29は他の形式の植付部、例えば、四条式や五条式であったり条間が異なる形式であったりするものにも適応させることができて様々な形式の植付部で部品を共用化することができる。
【0046】
【発明の効果】本発明は、以上のように構成したので、以下に示す効果を奏する。
【0047】即ち、請求項1に示す如く、植付部へ入力された動力を伝動軸を介して植付駆動軸に伝達し、該植付駆動軸より植付アーム軸を介して植付爪を駆動するよう構成した伝動機構を植付伝動フレームに内装した田植機の植付部において、左右水平方向に横架する伝動軸を内装する連結パイプを管継手で連結し、前後方向に配置した植付駆動軸を内装する伝動パイプを管継手後部に連結して植付伝動フレームを構成し、該植付伝動フレームの伝動パイプより後部を分割可能に構成したので、植付伝動フレームを分割した状態に組み上げた上で、これらを連結して植付伝動フレームを形成することができるので、組立作業が簡易となり、作業効率の向上に寄与する。
【0048】請求項2に示す如く、前記分割部分に安全クラッチを設けたので、安全クラッチの取付が簡単に行え、メンテナンスも容易に行うことができるようになった。
【0049】請求項3に示す如く、前記植付伝動フレームにおいて、植付駆動軸、植付アーム軸及びこれらを内装するフレームを一つのユニットとし、該ユニットに安全クラッチを配設したので、条数や条間の異なる形式の植付部において同一のユニットを共用できるようになり、部品の汎用性が高まってコストの削減を図ることができる。
【出願人】 【識別番号】000006851
【氏名又は名称】ヤンマー農機株式会社
【出願日】 平成13年5月23日(2001.5.23)
【代理人】 【識別番号】100080621
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 寿一郎
【公開番号】 特開2002−335721(P2002−335721A)
【公開日】 平成14年11月26日(2002.11.26)
【出願番号】 特願2001−154380(P2001−154380)