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【発明の名称】 播種機
【発明者】 【氏名】浅野 士郎

【要約】 【課題】播種機において、種子が圃場に条列をなした状態で移送されると、発芽して苗が成育する際に、苗が列状に接した過密状態で成育することとなり、風通しが悪くなって成育不良を起こしやすい。また、病気や害虫が発生したときに隣の苗に伝染しやすくなるという課題がある。本発明は、圃場に種子を的確に点播することを目的とする。

【解決手段】種子放出装置37から下方に向けて加速して放出された種子を播種作溝器38の案内体66へ供給して圃場へ吐出する播種機において、ガイドプレート67を前後移動させて種子を案内する案内域を変更可能な構成とした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 放出装置から下方に向けて加速して放出された種子を作溝器の案内体へ供給して圃場へ吐出する播種機において、種子を案内する案内域を変更可能な作溝器の案内体を設けたことを特徴とする播種機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、施肥機や播種機等の粒状物吐出機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】種子ホッパの種子を種子繰出部で繰り出して、その種子をブロアによる圧力風で作溝器まで移送する播種機がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記従来技術にあっては、種子繰出部で繰り出された種子をブロアによる圧力風で作溝器まで移送するものであるので、ブロアによる圧力風で作溝器まで移送する間(長い距離で空気搬送される間)に種子が連続した状態となって移送され、圃場に条列をなした状態で移送される。すると、発芽して苗が成育する際に、苗が列状に接した過密状態で成育することとなり、風通しが悪くなって成育不良を起こしやすい。また、病気や害虫が発生したときに隣の苗に伝染しやすくなるという課題がある。
【0004】本発明は、圃場に種子を的確に点播することを目的とする。
【0005】
【問題を解決するための手段】このような技術的課題を解決するため、本発明は、放出装置から下方に向けて加速して放出された種子を作溝器の案内体へ供給して圃場へ吐出する播種機において、種子を案内する案内域を変更可能な作溝器の案内体を設けたことを特徴とする播種機とした。
【0006】
【発明の作用及び効果】この播種機は、放出装置が下方に向けて加速しながら放出して作溝器の案内体へ供給し、種子を圃場に間歇的に播種していく。そして、作溝器の案内体の案内域を変更することができるので、種子が飛散して圃場に供給されないようにして、適正に圃場に点播することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施の形態について説明する。図1は、水田に直接種籾を播種する播種機に粒状の肥料を施肥する施肥装置1の装着された施肥播種機2を示している。この施肥播種機2は、主として乗用型走行車体3と8条分の施肥装置1及び播種装置4により構成されている。
【0008】走行車体3には、左・右前輪5,5及び左・右後輪6,6を備えている。機体の前部に配したミッションケース7の左右両側に前輪ファイナルケース8,8を設けて、この前輪ファイナルケース8,8の下部から横側方に突出する前車輪軸に左・右前輪5,5を取り付けている。また、ミッションケース7の背面部に主フレーム9の前端を固着し、その主フレーム9の後端中央部に前後方向水平の後輪ローリング軸を支点にして後輪ギヤケース10,10をローリング自在に支持し、その後輪ギヤケース10,10から横側方に突出する後車軸に左・右後輪6,6を取り付けている。
【0009】主フレーム9上にエンジン11を搭載し、エンジン11の左側面に突出しているエンジン出力軸に回転動力を取り出し、この回転動力を第1ベルト伝動装置12を介して油圧ポンプ12aの駆動軸に伝動し、更に、無段変速可能な第2ベルト伝動装置13を経由してミッションケース7に伝達している。
【0010】ミッションケース7に伝動された回転動力は、ケース内の主変速装置(図示省略)で変速して走行動力と作業機動力に分岐して取り出し、走行動力を前輪ファイナルケース8,8経由で左・右前輪5,5に伝動すると共に、後輪ギヤケース10,10経由で左・右後輪6,6に伝動する。また、作業機動力をPTO軸から取り出して施肥装置1に伝達し、更に、屈折自在の作業機伝動軸15を経て播種装置4に伝達して、その作動部を駆動している。
【0011】エンジン11の上部をエンジンカバー16で被覆し、エンジンカバー16上に操縦席17を設けている。操縦席17の前方に左・右前輪5,5を操舵操作するハンドル18を設けている。走行車体3の後部には昇降リンク装置19を設けている。この昇降リンク装置19は平行リンク構成で、1本の上部リンク19aと左右一対の下部リンク19b,19bにより構成している。これらのリンク19a,19b,19bの基部側を主フレーム9の後端部に立設したリンク前フレーム20に回動自在に軸支し、リンク19a,19b,19bの先端部にリンク後フレーム21を連結している。そして、リンク後フレーム21に播種装置4をローリング軸21aを介して左右にローリング自在に装着している。
【0012】主フレーム9に固着した支持部材と上部リンク19aに一体形成したスイングアーム22先端との間に、油圧昇降シリンダ23を介装し、この油圧昇降シリンダ23を油圧により伸縮させて、上部リンク19aを上下に回動させ、リンク後フレーム21に連結した播種装置4を略一定姿勢で昇降させる。油圧昇降シリンダ23は走行車体3に設けた油圧昇降バルブ(図示省略)により伸縮制御される。
【0013】施肥装置1は、粒状の肥料を貯溜する肥料ホッパ24、該肥料ホッパ24内の肥料を所定量づつ繰り出す複数条の肥料繰出部25…、該肥料繰出部25から繰り出された肥料を流下案内する複数条の肥料案内管26…、肥料案内管26…に圧力風を供給する施肥エアチャンバー27、及び、施肥エアチャンバー27に圧力風を供給する施肥用送風機28を備えている。
【0014】そして、施肥装置1は、肥料繰出部25…から繰り出される肥料を肥料案内管26に落下供給し、施肥エアチャンバー27からの圧力風により肥料案内管26…及び複数条の第2肥料案内管26a…を介して複数条の施肥部29…へ肥料を送る構成である。
【0015】前記施肥部29は、肥料案内管26a…にブーツ30を介して接続されていて、圃場面を滑走整地する整地フロート31に取り付けられている。施肥部29の前方には施肥作溝器32を設けて、機体の前進により施肥作溝器32で作溝し、肥料が施肥部29から供給され、施肥覆土器(図示省略)により覆土する構成である。
【0016】次に、播種装置4について説明する。播種装置4の下方には、2つのセンター整地フロート31a,…と、左・右のサイド整地フロート31b,…が設けられており、これらの整地フロート31a,…、31b,…は前後傾斜姿勢が自由に変更できる構成で、播種作業時に圃場面を滑走整地する構成である。
【0017】播種装置4の播種部は、種子を貯溜する種子ホッパ34、種子ホッパ34内の種子を所定量づつ繰り出す複数条の種子繰出部35、種子繰出部35から繰り出される種子を流下案内する複数条の種子第一案内管36…、該種子第一案内管36…に繰り出された複数粒(約3粒)の種子を受けて下方に向けて加速して一株分づつ放出する種子放出装置37…と、該種子放出装置37…から加速放出された種子を播種作溝器38…まで案内する種子第二案内管39…等により構成されている。
【0018】41は種子が落下してくるのを検出する種子センサ(粒状物センサ)であり、播種作溝器38…の上部の種子案内部40に設けられている。しかして、種子案内部40内に泥や種子が詰まって播種できなくなった時や、上方の種子繰出部35に種子が詰まって繰り出されなくなった時に、播種されていないことを検出して、作業者の前方の運転パネル50に警報を発する為のものである。この警報が発せられると、作業者は直ぐに機体を停止し、異常部の確認及び整備をし、播種作業を再開する。
【0019】前記構成により、種子繰出部35から繰り出された種子を播種作溝器38上方近くに配置した種子放出装置37が一旦受けとめて下方に向けて順次加速しながら放出し、種子第二案内管39…及び播種作溝器38…を介して種子を圃場の土中に埋め込むように間歇的に播種し、点播状態での播種作業を良好に行うことができる。
【0020】播種装置4は、リンク後フレーム21に対してローリング軸21a回りにローリングする基部フレーム51を備えている。該基部フレーム51には左右に長いフロート支持フレーム52を固着し、このフロート支持フレーム52に固着されたそれぞれのフロート支持アーム53に各整地フロート31a,31bを左右方向の軸53a回りに回動自在に設けている。前記フロート支持フレーム52の左右中央部には、該フレーム52から上方に延びる左右2本の上下フレーム54を設けている。この上下フレーム54には、上下2か所に取付ボルト55を挿入できる取付孔56aを有する取付基部プレート56を固着している。尚、前記取付孔56aは、上下に長い長孔に構成されている。一方、種子ホッパ34、種子繰出部35、種子第一案内管36…、種子放出装置37…及び種子第二案内管39…を支持する左右に長いホッパ支持フレーム57を設けており、該フレーム57の左右中央部には左右2枚の播種取付プレート58を固着している。該播種取付プレート58には、上下2か所に取付ボルト55を挿入できる播種取付孔58aを設けている。尚、前記播種取付孔58aは、右側の播種取付プレート58に設けたものについては取付ボルト59と略同径の真円形の孔となっているが、左側の播種取付プレート58に設けたものについては前後に長い長孔に構成されている。そして、前記取付孔56a及び播種取付孔58aに取付ボルト55を挿入し取付ナット60により締め付けて、前記取付基部プレート56に前記播種取付プレート58を固着するようになっている。尚、播種作溝器38…は、各整地フロート31a,31bに固着して設けられている。
【0021】従って、取付基部プレート56の取付孔56aが上下に長い長孔に構成されているので、種子ホッパ34、種子繰出部35、種子第一案内管36…、種子放出装置37…及び種子第二案内管39…を適正な上下位置に調整しながら装着することができる。尚、2本の上下フレーム54に固着した調整ボルト取付プレート61に上下方向の調整用ボルト62をそれぞれ取り付けており、取付ボルト59及びナット60を緩めた状態でこの左右の調整用ボルト62の先端を左右それぞれの播種取付プレート58の下端に当接させ前記調整用ボルト62の出代を変更してホッパ支持フレーム57の上下位置や左右傾斜姿勢を調整してから取付ボルト59及びナット60を締め付けて固定できるようになっている。また、左側の播種取付プレート58の播種取付孔58aが前後に長い長孔に構成されているので、右側の取付基部プレート56及び播種取付プレート58の取付部を中心にホッパ支持フレーム57の平面視における機体の進行方向に対する角度を適正な角度に微調整しながら固定することができ、種子ホッパ34、種子繰出部35、種子第一案内管36…、種子放出装置37…及び種子第二案内管39…を適正な前後位置に調整しながら装着することができる。このように、各条の種子第二案内管39…をそれぞれの播種作溝器38…に対して適正な上下及び前後位置に調整することによって、種子放出装置37…で勢いよく放出される種子を散乱しないようにスムーズに播種作溝器38…へ案内させることができ、圃場への点播を精度良く良好に行うことができる。
【0022】播種作溝器38…は、前側の作溝突起64とその後側の種子吐出部65とで構成される。前記種子吐出部65は、後方に開放した平面視U字型の案内体66と該案内体66の後側の開放部を塞ぐように設けたガイドプレート67とを備えている。前記案内体66は下方へいくにつれて左右幅が狭くなるようにテーパ状に構成されており、これに併せてガイドプレート67も下方へいくにつれて左右幅が狭くなるように構成されている。尚、ガイドプレート67の下端部の左右にはプレートを後方に折り返した取付部67aを構成し、この取付部に前後に長い長孔67bを有している。一方、案内体66の左右両側面にはボルト孔66aを設けており、このボルト孔66aとガイドプレート67の前記長孔67bとに固定ボルト68を通しこの固定ボルト68及びナット69により締め付けてガイドプレート67を固定するようになっている。尚、前記長孔67bにより、前後位置を調整しながらガイドプレート67を固定することができる。
【0023】前記ガイドプレート67を前側の位置に固定すると、種子吐出部65の種子の案内域の前後長さが短くなって該案内域が平面視で狭くなる。逆に、ガイドプレート67を後側の位置に固定すると、種子吐出部65の種子の案内域の前後長さが長くなって該案内域が平面視で広くなる。従って、種子の粒径や比重、種子放出装置37…の放出力等の相違により、種子吐出部65内で種子が衝突して大きくはねかえって種子が欠損するのを防止しつつ、あまりにも圃場の広範囲に一株分の種子が供給されないようにして一株分となる複数粒の種子が飛散して圃場に供給されないようにするため、作業者が適宜播種状態を確認しながら前記案内域を変更して、良好に点播できるようにしている。尚、案内体66及びガイドプレート67が下方へいくにつれて左右幅が狭くなるように構成されているので、ガイドプレート67が固定ボルト68回りに回動するのが規制されており、固定ボルト68及びナット69の締め付けだけでガイドプレート67を適正な位置に安定して固定させることができ、ガイドプレート67の前後位置調節を容易に行える。
【0024】尚、前述は種子吐出部65の種子の案内域の前後長さを変更して該案内域を変更する構成について示したが、案内域の左右長さを変更して該案内域を変更する構成としてもよい。また、平面視における前記案内域の形状を例えば真円に近い状態から楕円形状に変える等して変更し、良好に点播できるようにしてもよい。
【0025】尚、以上の実施例は点播を良好に行うため構成について示したが、施肥装置において各苗株位置に対して適正に且つ無駄なく肥効を及ぼすために間欠的に肥料を圃場に吐出して施肥する場合や粒状薬剤を圃場に吐出して供給する場合等、粒状物を圃場に吐出して供給するものに応用することができる。
【出願人】 【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
【出願日】 平成13年4月18日(2001.4.18)
【代理人】
【公開番号】 特開2002−315409(P2002−315409A)
【公開日】 平成14年10月29日(2002.10.29)
【出願番号】 特願2001−119648(P2001−119648)