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【発明の名称】 直播機
【発明者】 【氏名】田中 政一

【氏名】折本 正樹

【氏名】園田 義昭

【氏名】樫井 秋雄

【氏名】松村 哲也

【氏名】大利 公彦

【要約】 【課題】泥硬さ検出手段の構造の簡素化およびコスト低減を図ることのできる直播機を提供する。

【解決手段】走行機体1の後部に駆動昇降自在に連結した播種装置4に整地フロート22、この整地フロート22の上下変位を検出する第1センサS1 、接地付勢されたディスク36、および、このディスク36の上下変位を検知する第2センサS2 を備え、第1センサS1 の検出結果に基づいて播種装置4を昇降制御する制御手段を備えるとともに、第1センサS1 と第2センサS2 の検出結果に基づいて泥硬さを検知するよう構成してある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 走行機体の後部に駆動昇降自在に連結した播種装置に整地フロート、この整地フロートの上下変位を検出する第1センサ、接地付勢されたディスク、および、このディスクの上下変位を検知する第2センサを備え、前記第1センサの検出結果に基づいて播種装置を昇降制御する制御手段を備えるとともに、第1センサと第2センサの検出結果に基づいて泥硬さを検知するよう構成してあることを特徴とする直播機。
【請求項2】 請求項1記載の直播機であって、播種用の作溝器の後方に播種溝を埋め戻す可動式の覆土具を配備し、前記第1センサと第2センサの検出結果に基づいて検知された泥硬さに応じて可動式の覆土具の覆土機能を自動調節する覆土機能調節手段を備えてあることを特徴とする直播機。
【請求項3】 請求項1または2記載の直播機であって、前記第1センサと第2センサの検出結果に基づいて検知された泥硬さに応じて前記整地フロートに付与する接地付勢力を自動調節する感知荷重調節手段を備えてあることを特徴とする直播機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水稲の種籾を直播する播種装置を走行機体の後部に駆動昇降自在に連結した直播機に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の直播機としては、例えば特開平11−127619号公報に開示されているように、整地フロートの上下変位を検出し、その検出結果に基づいて播種装置を自動昇降制御することで播種深さの安定化を図り、また、泥の硬さを検出し、その検出結果に基づいて覆土具に付与する覆土圧を自動調節することで過不足のない適切な埋め戻しを行うよう構成したものが知られており、田面に追従する幅広上下の接地ローラを支持して上下揺動するアームと、田面に突入するディスクを支持して上下揺動するアームとの相対角度差からディスクの田面に対する突入量を割り出して、泥硬さを判断するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記泥硬さ検出手段では、接地ローラのアームとディスクのアームの支点を同心に設定し、一方のアームにポテンショメータの本体ケースを支持するとともに、他方のアームにポテンショメータの操作軸を連結することで、両アームの相対角度差を割り出す構造が採用されており、構造が複雑で部品点数も多くなり、コスト高になるものであった。
【0004】本発明は、泥硬さ検出手段の構造の簡素化およびコスト低減を図ることのできる直播機を提供することを主たる目的とする。を【0005】
【課題を解決するための手段】〔請求項1に係る発明の構成、作用および効果〕
【0006】(構成) 請求項1に係る発明の直播機は、走行機体の後部に駆動昇降自在に連結した播種装置に整地フロート、この整地フロートの上下変位を検出する第1センサ、接地付勢されたディスク、および、このディスクの上下変位を検知する第2センサを備え、前記第1センサの検出結果に基づいて播種装置を昇降制御する制御手段を備えるとともに、第1センサと第2センサの検出結果に基づいて泥硬さを検知するよう構成してあることを特徴とする。
【0007】(作用) 上記構成によると、第1センサによって整地フロートの沈下量が検出されるとともに、第2センサによってディスクの施肥装置に対する上下位置が検出され、第1センサの検出結果から田面の位置が割り出され、これを基準にしてディスクの田面に対する沈下量を演算することで泥硬さを判断することができる。
【0008】(効果) 従って、請求項1に係る発明によると、第2センサは、単にディスクの上下変位を検出するだけでよく、また、基準田面を割り出す第1センサは直播装置を昇降制御するために本来備えられるものであり、その結果、接地ローラとディスクを利用した従来の泥硬さ検出手段に比較して構造が簡単で部品点数も削減でき、安価に実施することが可能となった。
【0009】〔請求項2に係る発明の構成、作用および効果〕
【0010】(構成) 請求項2に係る発明の直播機は、請求項1記載の発明において、播種用の作溝器の後方に播種溝を埋め戻す可動式の覆土具を配備し、前記第1センサと第2センサの検出結果に基づいて検知された泥硬さに応じて可動式の覆土具の覆土機能を自動調節する覆土機能調節手段を備えてあることを特徴とする。
【0011】(作用) 上記構成によると、圃場が硬いと覆土具の覆土機能が高く設定されて、施肥溝が確実に埋め戻され、逆に、圃場が軟らかいと覆土具の覆土機能が低く設定されて、播種部位が覆土具によって不要に掻き乱してしまうことが抑制される。
【0012】(効果) 従って、請求項2に係る発明によると、請求項1の発明の上記効果をもたらすとともに、圃場の泥硬さに応じた適切な覆土による埋め戻しを過不足なく行うことができ、発芽率の高い直播を行うことができる。
【0013】〔請求項3に係る発明の構成、作用および効果〕
【0014】(構成) 請求項3に係る発明の直播機は、請求項1または2記載の発明において、前記第1センサと第2センサの検出結果に基づいて検知された泥硬さに応じて前記整地フロートに付与する接地付勢力を自動調節する感知荷重調節手段を備えてあることを特徴とする。
【0015】(作用) 上記構成によると、圃場が硬いと整地フロートに付与する接地付勢力が強く設定されて、田面の荒れに影響されること少なく安定した昇降制御が実行され、逆に、圃場が軟らかいと整地フロートに付与する接地付勢力が弱く設定されて、不当に沈下することのない敏感な昇降制御が実行される。
【0016】(効果) 従って、請求項3に係る発明によると、請求項1または2の発明の上記効果をもたらすとともに、圃場の泥硬さに応じた適切な感度での昇降制御を行って播種深さの安定化を図ることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】図1に、本発明に係る直播機の全体側面が示されている。この直播機は、施肥装置付きの乗用型田植機を利用したものであり、4輪駆動型の走行機体1の後部に、油圧シリンダ2によって駆動される平行四連リンク構造の昇降リンク機構3を介して6条仕様の播種装置4が昇降可能に連結されるとともに、走行機体1の後部に施肥装置5が装備された構造となっている。なお、前記播種装置4に代えて苗植付け装置を昇降リンク機構3の後部に連結することで施肥装置付きの乗用型田植機が構成されるものである。
【0018】図2〜図4に示すように、前記播種装置4の前部には、昇降リンク機構3の後端に脱着可能に連結される縦長の連結枠6が備えられ、この連結枠6の下端ボス6aに前後向き軸心x周りにローリング自在に連結支持された横長角パイプ製のの主フレーム7に、以下に説明する播種用の各種機構および構造が装備されている。
【0019】前記主フレーム7の左右からは支柱8が立設されるとともに、これら支柱8の上下中間部位に亘って横フレーム9が架設され、この横フレーム9に3個の種子ホッパ10が並列支持されている。各種子ホッパ10は2条単位に構成されており、その下部に一対づつ繰出し機構11が装備されている。
【0020】繰出し機構11には横軸心周りに回転駆動される繰出しロール12が内装されており、各繰出し機構11に亘って水平横架された繰出し駆動軸13に各条の繰出しロール12が連動連結されている。前記繰出し駆動軸13は、主フレーム7の左右中間部位において前後水平に支承された入力軸14にクランク機構15、揺動アーム16、および、2組の一方向回転クラッチと逆転リンク機構を利用した周知の一方向伝動手段(図示せず)を介して連動連結されており、入力軸14の一定方向回転に伴う押し引きロッド17の突上げ作動および引下げ作動によって繰出し駆動軸13が同方向に順送り回転され、もって繰出しロール12が所定の繰出し方向に脈動的に連続回転駆動されるようになっている。なお、前記入力軸14は、走行機体1から導出された作業動力取出し軸18に連動連結されて、走行速度に同調した速度で駆動されるようになっている。
【0021】前記主フレーム7の中央および左右の3個所に固着された前後向きの支持フレーム21の後部に、整地フロート22の後部が支点a周りに所定範囲内で上下揺動可能に枢支連結されるとともに、各整地フロート22に左右一対づつ取付けた作溝器23と各条の繰出し機構11とが供給ホース24で連通接続され、繰出し機構11で繰出された種籾が、作溝器23によって田面Tに形成された播種溝に播かれてゆくように構成されている。また、主フレーム7から後方に延出された揺動アーム61の後端に算盤珠形状の溝切りローラ62が遊転自在に装着され、播種作業と同時に田面Tに排水用溝を形成して、圃場の水落しを行う場合の排水の容易化が図られている。
【0022】上記のように構成された播種装置4は、田面Tに追従して昇降制御およびローリング制御されるようになっている。すなわち、3個の整地フロート22のうち、中央の整地フロート22(c) は播種装置4の対地高さを検知する接地センサとして利用され、フロート前部の上下変位がポテンショメータからなる第1センサS1 によって検出され、図15のブロック図に示すように、制御装置25に入力されるようになっている。制御装置25には、前記油圧シリンダ2の作動を司る電磁制御弁26が接続されており、中央整地フロート22(c) の姿勢変化に応じて電磁制御弁26が作動するようになっている。つまり、直播装置4が田面Tに対して所定の高さにあると、中央整地フロート22(c) は前後水平を含む所定の許容高さ範囲内にあり、この状態では電磁制御弁26は中立に保持される。また、直播装置4が田面Tに対して沈下しかかると、中央整地フロート22(c) に作用する接地圧が高まってフロート前部が上方に揺動変位し、この上方変位が許容量を越えたことが検知されると電磁制御弁26が上昇位置に切換えられる。また、直播装置4が田面Tに対して浮上しかかると、中央整地フロート22(c) に作用する接地圧が低減してフロート前部が下方に変位し、この下方変位が許容量を越えたことが検知されると電磁制御弁26が下降位置に切換えられる。その結果、直播装置4は田面Tに対して常に所定高さを維持するように昇降制御され、播種深さが安定されるのである。
【0023】図7に示すように、前記連結枠6の上部には電動モータ27によって回転駆動されるプーリ28が配備されるとともに、このプーリ28に連結されて左右に延出されたワイヤ29がバネ30を介して左右の前記支柱8に連結されており、プーリ28が正逆に回転されることで、直播装置4全体がバネ28を介して左右に引き動かされて傾動されるようになっている。
【0024】前記主フレーム7の中央近傍には傾斜センサ31が設けられて、播種装置4の左右方向での傾斜姿勢が検出されており、水平姿勢を基準とした許容範囲を越える傾斜が検知されると、その傾斜を修正する方向に前記電動モータ27が作動制御されるようになっている。その結果、走行機体1が耕盤の凹凸によって左右に傾斜しても、播種装置4は常に左右水平に維持されて各条で均一な深さでの播種が行われる。
【0025】なお、主フレーム7の中央付近から前方に延出された左右一対のアーム7aの前端には接当ゴム20が装備されており、播種装置4が上限まで上昇されると、昇降リンク機構3における左右のロアリンク3aに下方から接当ゴム20が接当することで、播種装置4が強制的に水平姿勢に固定されるようになっている。
【0026】各整地フロート22には、作溝器23で田面につけられた播種溝を埋め戻す覆土具33が各条ごとに備えられている。この覆土具33は縦支点b周りに水平回動して、機体進行方向に対する傾斜角度が変更されることで覆土機能が調節可能となっており、その姿勢が泥硬さ検出手段の検出結果に基づいて以下のように自動調節されるようになっている。つまり、前記主フレーム7から前方に延出された支持アーム34の前端部に、支点c周りに自由上下揺動可能な揺動アーム35が後ろ向きに設けられ、この揺動アーム35の遊端部に田面Tに突入するディスク36が遊転自在に装着されるとともに、この揺動アーム35の揺動からディスク36の上下位置を検知するポテンショメータ利用の第2センサS2 が前記支持アーム34に装備されている。
【0027】この第2センサS2 からの情報は播種装置4に対するディスク36の上下位置を示すことになり、前記第1センサS1 からの情報に基づいて割り出すことができる田面Tの位置情報と第2センサS2 から情報とから、田面Tに対するディスク36の高さ位置、換言するとディスク36の田面Tへの突入量を割り出すことができ、田面Tへのディスク突入量が大きいほど田面Tが軟らかく、田面Tへのディスク突入量が小さいほど田面Tが硬いと判断される。そして、このようにして検出された泥硬さに基づいて以下のように可動型の覆土具33の覆土機能が自動調節される。
【0028】可動型の覆土具33には縦支点b周りに一体に回動する操作レバー37が連結されており、この操作レバー37の前端に装着したバネ38によって覆土具33が機体前進方向に沿う姿勢、つまり、覆土機能を解除する方向に付勢されるとともに、操作レバーの後端に連結した操作ワイヤ39が引き操作されることで、覆土具33がバネ38に抗して機体前進方向と交差する方向、つまり覆土機能を高める方向に揺動されるようになっている。そして、この操作ワイヤ39を操作する駆動操作機構40が前記主フレーム7に立設した左右のステー41に装備されている。
【0029】詳述すると、左右のステー41に亘って横架された回転軸42の一端にセクトギヤ43が連結され、このセクトギヤ43に電動モータ44によって駆動されるピニオンギヤ45が咬合され、前記回転軸42から突設された6本の操作アーム46に、各覆土具33に連係された前記操作ワイヤ39が連結され、電動モー44タによってピニオンギヤ45が回転駆動されることで、各覆土具33が角度調節されて覆土機能が変更されるようになっている。
【0030】可動式の前記覆土具33は、上記のようにして検出された泥硬さに応じて3段階に覆土機能を変更するよう設定されており、回転軸42の角度をポテンショメータ47で検出することで覆土具33の姿勢が検知されてフィードバックされるようになっている。
【0031】また、回転軸42に設けられた前記操作アーム46のうちの1本は長く形成されており、この長い操作アーム46aの先端と、接地センサとしての中央接地フロート22(c) の前部から上方に延出したリンク48とがバネ49およびワイヤ50を介して連係接続されており、検出された泥硬さが硬くなるほどバネ49が引張変形されて、リンク48を下方に弾性付勢する力が大きくなるように設定されている。つまり、硬い圃場ほど制御中立時における中央接地フロート22(c)の基準接地荷重が大きくなって制御感度が鈍感となり、田面Tの凹凸などの影響を受けることが少ない安定した昇降制御が行われ、逆に、柔らかい圃場ほど制御中立時における中央接地フロート22(c) の基準接地荷重が小さくなって制御感度が敏感となり、不当な沈下が抑制された昇降制御が行われるようになっている。
【0032】図13,図14に示すように、前記主フレーム7にUボルト61を介して取付けた支持金具62に支点d周りに上下揺動自在、かつ、バネ63によって下方に揺動付勢された支持アーム64が取付けられ、この支持アーム64の後端に、算盤珠形状の溝切りローラ65が遊転自在に取付けられており、播種作業と同時に田面Tに排水溝を形成し、後日、圃場の水を落す場合に速やかに排水できるようになっている。なお、支持アーム64はストッパボルト66との接当によってその下降限度が調節可能に制限されている。
【0033】前記施肥装置5は、走行機体1における運転座席19の後部に、粒状の肥料を貯留する肥料ホッパ51を配備し、その下部に備えた回転式の繰出し機構52によって繰出した肥料を、電動ブロワ53からの送風によって風力搬送し、搬送ホース54を介して各整地フロート22に左右一対づつ備えた作溝器55に供給するよう構成されており、繰出し機構52は走行系動力によって駆動されるようになっている。また、田面Tに形成された施肥溝を埋め戻す覆土具32が整地フロート22の底面に固定装備されている。
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成13年4月24日(2001.4.24)
【代理人】 【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
【公開番号】 特開2002−315408(P2002−315408A)
【公開日】 平成14年10月29日(2002.10.29)
【出願番号】 特願2001−125387(P2001−125387)