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【発明の名称】 移植機における施肥装置
【発明者】 【氏名】近藤 建一

【氏名】畑山 至

【要約】 【課題】移植機におけるコンパクトな施肥装置を提供することを課題としている。

【解決手段】走行機体1上に設けられた運転席6の後方に昇降リンク機構7を介して連結された植付作業機8側から圃場に施肥を行う施肥装置12が、走行機体1における運転席6の後方に設けられて、肥料を収容する走行機体1側の肥料タンク14側から施肥ノズル13側に肥料を繰り出す繰出し装置16と、昇降リンク機構7に取り付けられて、肥料を送肥する施肥ノズル13を選択的に設定する選択装置17とを有し、繰出し装置16と選択装置17とを互いに左右に偏位させて配置した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 走行機体(1)上に設けられた運転席(6)の後方に昇降リンク機構(7)を介して植付作業機(8)を連結し、植付作業機(8)側から圃場に施肥を行う施肥装置(12)を設け、該施肥装置(12)が肥料を収容する走行機体(1)側の肥料タンク(14)と、圃場に施肥を行う植付作業機(8)側の複数の施肥ノズル(13)と、肥料タンク(14)側から施肥ノズル(13)側に肥料を繰り出す繰出し装置(16)と、該繰出し装置(16)と施肥ノズル(13)との間に設けられ、肥料を送肥する施肥ノズル(13)を選択的に設定する選択装置(17)とを備えた移植機において、走行機体(1)における運転席(6)の後方に繰出し装置(16)を、昇降リンク機構(7)に選択装置(17)を各取り付けて設け、繰出し装置(16)と選択装置(17)とを左右に偏位させて配置した移植機における施肥装置。
【請求項2】 繰出し装置(16)と選択装置(17)を、走行機体(1)の左右中心に対して左右に偏位させた請求項1の移植機における施肥装置。
【請求項3】 走行機体(1)側から植付作業機(8)側に駆動力を伝動せしめる伝動軸(26)を走行機体(1)の左右中心に対して左又は右方向に偏位させて設け、繰出し装置(16)を走行機体(1)の左右方向に対して伝動軸(26)の反対側に位置するように設けた請求項1又は2の移植機における施肥装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は乗用田植機等の移植機における施肥装置に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】従来走行機体上に設けられた運転席の後方に昇降リンク機構を介して植付作業機を連結して構成した移植機が知られており、該移植機には植付作業機側から圃場に施肥を行う施肥装置が備えられているものがあった。このとき施肥装置は、肥料を収容する走行機体側の肥料タンクと、圃場に施肥を行う植付作業機側の複数の施肥ノズルと、肥料タンク側から施肥ノズル側に肥料を繰り出す繰出し装置と、該繰出し装置と施肥ノズルとの間に設けられ、肥料を送肥する施肥ノズルを選択的に設定する選択装置とを備えている。
【0003】しかし上記繰出し装置は通常肥料タンクの下方に、肥料タンク側に取り付けられており、すなわち繰出し装置が下方に突出することになり、圃場走行時等において、不利である等の欠点があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するための本発明の移植機における施肥装置は、走行機体1上に設けられた運転席6の後方に昇降リンク機構7を介して植付作業機8を連結し、植付作業機8側から圃場に施肥を行う施肥装置12を設け、該施肥装置12が肥料を収容する走行機体1側の肥料タンク14と、圃場に施肥を行う植付作業機8側の複数の施肥ノズル13と、肥料タンク14側から施肥ノズル13側に肥料を繰り出す繰出し装置16と、該繰出し装置16と施肥ノズル13との間に設けられ、肥料を送肥する施肥ノズル13を選択的に設定する選択装置17とを備えた移植機において、走行機体1における運転席6の後方に繰出し装置16を、昇降リンク機構7に選択装置17を各取り付けて設け、繰出し装置16と選択装置17とを左右に偏位させて配置したことを第1の特徴としている。
【0005】また繰出し装置16と選択装置17を、走行機体1の左右中心に対して左右に偏位させたことを第2の特徴としている。
【0006】そして走行機体1側から植付作業機8側に駆動力を伝動せしめる伝動軸26を走行機体1の左右中心に対して左又は右方向に偏位させて設け、繰出し装置16を走行機体1の左右方向に対して伝動軸26の反対側に位置するように設けたことを第3の特徴としている。
【0007】
【発明の実施の形態】図1,図2は本発明を応用した移植機である乗用田植機の側面図及び平面図であり、従来公知のように走行機体1は前輪2及び後輪3に支持されており、略中央に座席4を備えた運転席6が設けられている。そして走行機体1の後方には昇降駆動される平行リンクからなる昇降リンク機構7を介して植付作業機8が連結されている。
【0008】本発明の乗用田植機は以上のように構成されており、従来同様昇降リンク機構7を下降せしめ、植付作業機8を圃場面場に接地せしめて走行機体1を走行させることで、植付作業機8により該植付作業機8に設けられた苗載せ台9からビーク11により苗を掻き取り、この掻き取った苗を圃場に植え付ける植え付け作業を行わせることができる。
【0009】一方この乗用田植機には圃場への施肥を行う施肥装置12が搭載されており、植付作業機8に設けられた複数の施肥用の施肥ノズル13を圃場内に挿入せしめ、走行機体1を走行させることにより、圃場内にペースト状の肥料(ペースト肥料)の施肥を行うことができる。なお上記施肥装置12は圃場の比較的深い位置に施肥を行う深層施肥を行うものであり、次に上記施肥装置12の構造について詳細に説明する。
【0010】上記施肥装置12は、上記施肥ノズル13の他、肥料(ペースト肥料)を収容する肥料タンク14と肥料タンク14側から施肥ノズル13側に肥料を繰り出す繰出し装置(ポンプ)16と各施肥ノズル13への送肥の可否を選択的に設定する選択装置(インジケータ)17とを備えている。そして肥料タンク14とポンプ16が走行機体1側に、インジケータ17が昇降リンク機構7に、施肥ノズル13が前述のように植付作業機8側にそれぞれ取り付けられて設けられている。
【0011】そして本施肥装置12は、図3に示されるように、肥料タンク14からポンプ16に施肥ホース18を介して肥料を送肥し、ポンプ16から各施肥ノズル13に対応するペーストパイプ19に肥料を出力して、該ペーストパイプ19を介してインジケータ17に肥料を入力せしめ、インジケータ17から各施肥ノズル13に対応する排出パイプ21を介して肥料を各施肥ノズル13に送り、施肥ノズル13から肥料を排出せしめて施肥する構造となっている。
【0012】このときポンプ16における肥料の入力部(施肥ホースの連結部)22と、肥料の出力部(ペーストパイプの連結部)23は、共に後方に配置されており、ポンプ16の後方側から肥料タンク14内のペースト肥料が入力され、同じくポンプ16の後方側からペースト肥料が出力される。そしてポンプ16における肥料の入力部22は、概ね走行機体1の左右の中心線C上に配置されている。
【0013】一方座席4の側方における、座席4より後方には後部ステップ24が設けられており、座席4(運転席6)より後方の両後部ステップ4間には、従来の乗用田植機と同様に所定の空間(スペース)Sが形成せしめられている。また走行機体1側からは植付作業機8側に駆動力を伝動せしめる伝動軸(PTO軸)26が後方に突出せしめられており、該PTO軸26は機体フレーム1aの下方側において、走行機体1の左右方向の中心線Cに対して右側に偏位(オフセット)されて配置されている。
【0014】そして上記肥料タンク14が左右の後部ステップ24の後方に支持ステー27を介して走行機体1側に取り付けられているとともに、図3,図4に示されるように、ポンプ16が上記スペースS内に走行機体1側に取り付けられて設けられている。このときポンプ16は走行機体1の左右方向の中心線Cに対して、PTO軸26の反対側となる左側に偏位(オフセット)されて配置されている。
【0015】一方ポンプ16は該ポンプ16の前方に減速ギヤボックス29を備え、該減速ギヤボックス29に入力される駆動力により駆動される構造となっている。このとき該減速ギヤボックス29はポンプ16側からPTO軸26の上方側に突出するように左右方向に延出しており、減速ギヤボックス29におけるPTO軸26の概ね真上近傍には入力スプロケット31が取り付けられている。
【0016】そして上記入力スプロケット31とPTO軸に取り付けられた出力スプロケット32とがチェーン33を介して伝動連結されており、これによりポンプ16側(減速ギヤボックス29)への駆動力の伝動機構34が上下方向にコンパクトに構成され、減速ギヤボックス29に駆動力を入力する(ポンプ16を駆動する)ように構成されている。
【0017】なお上記のようにポンプ16がPTO軸26の左右反対側に配置され、減速ギヤボックス29が左右方向に延出しているため、減速ギヤボックス29は左右方向に比較的スペースがあり、上下方向のサイズは比較的小さく構成され、減速ギヤボックス29を上下方向に長い形状とする必要が無い。
【0018】また減速ギヤボックス29への駆動力の伝動機構34を上記のように上下方向にシンプル且つコンパクトに形成することができ、減速ギヤボックス29の右端側に伝動機構34が、左端側にポンプ16がそれぞれ配置されることにより、伝動機構34と減速ギヤボックス29とポンプ16とが、正面視(図4)において略L字状に連結される。
【0019】すなわちポンプ16をPTO軸26の反対側(走行機体1の左側)に配置し、左右方向の減速ギヤボックス29を介して駆動力を左右方向からとる構造となり、ポンプ16を上記運転席6後方のスペースS内の比較的低位置に配置することができ、走行機体1の重心が必要以上に高くなることはない。
【0020】このため走行機体1の重心が必要以上に高くなることが防止されることにより、走行安定性が確保された状態で、従来のようにポンプ16を肥料タンク14の下方に配置したものに比較してポンプ16が走行機体1の下方側に突出することが無く、圃場走行が有利となる。
【0021】またポンプ16は、走行機体1における運転席6後方のスペースS(デッドスペース)に、該デッドスペースを有効利用して配置されており、ポンプ16の配置用の専用スペース等を設けることなく、走行機体1側に省スペースでコンパクトに配置される。
【0022】なお前述の施肥ホース18は、伝動機構34と減速ギヤボックス29とポンプ16とにより形成されるスペースAを介して配管されており、施肥装置12が必要以上に高くなることが防止されている。
【0023】一方前述のインジケータ17は昇降リンク機構7を構成するアッパーリンク7aにブラケット36を介して固定されて取り付けられており、ペーストパイプ19は上方に迂回した逆U字状に湾曲せしめられてポンプ16とインジケータ17の間で配管されている。
【0024】またインジケータ17は各施肥ノズル13に対応する排出パイプ21を介して各施肥ノズル13とも連結されており、相対する排出パイプ21とペーストパイプ19との間に、ペーストパイプ19側から排出パイプ21側に肥料を送るか否かを選択的に設定するレバー37を設けた構造となっている。
【0025】そして上記レバー37を操作してペーストパイプ19から排出パイプ21側に肥料を送肥しないように設定することにより、所定の施肥ノズル13からの施肥を停止させることができ、当該施肥ノズル13に対応するビーク11の作動を停止させることにより、いわゆる条止め作業を行うこともできる。
【0026】このときレバー37により所定の施肥ノズル13からの肥料の排出を停止させた場合に、インジケータ17側に溜まるペースト肥料は、還元パイプ38を介してポンプ16側に還元せしめられる。なおインジケータ17が昇降リンク機構7(アッパーリンク7a)に取り付けられているためインジケータ17から施肥ノズル13までの距離が比較的近くなり、ペースト肥料の吐出及び停止が円滑に行われる。
【0027】一方上記インジケータ17は走行機体1の左右方向の中心線に対して、ポンプ16の反対側となる右側に偏位(オフセット)されて配置されており、PTO軸26側に設けられている。すなわちインジケータ17とポンプ16は互いに左右に振り分けられて(走行機体1の左右方向の中心線Cに対して左右にオフセットされて)配置されている。
【0028】そしてポンプ16とインジケータ17とは前後方向に必要以上に離れることなく、左右方向に概ね並んだ状態で配置される。このためポンプ16とインジケータ17とを取り付ける(配置する)取付スペースが前後方向に必要以上に大きくならず、上記取付スペースがコンパクトとなるため、上記のようにインジケータ17を施肥ノズル13とが比較的近接する配置とした場合でも昇降リンク機構7を前後に必要以上に長くする必要が無く、走行機体1の全長が必要以上に長くなることはない。
【0029】またこれにより走行機体1の左右バランスがポンプ16とインジケータ17により保たれ、走行機体1の左右の重量バランスが安定し、安定走行を妨げることはない。
【0030】一方上記ポンプ16とインジケータ17との間のペーストパイプ19の配管は、前述のようにペーストパイプ19を上方に迂回した逆U字状となっているが、ポンプ16とインジケータ17の左右方向のオフセット配置により、ペーストパイプ19の曲げ半径が比較的大きくなり、昇降リンク機構7の昇降作動の際にペーストパイプ19の突っ張りや折れ等を防止することができ、ペーストパイプ19に負担のない安定した昇降リンク機構7(植付作業機8)の昇降を行うことができる。
【0031】
【発明の効果】以上のように構成される本発明の構造によれば、繰出し装置を走行機体における運転席後方の空きスペース(デッドスペース)に、該デッドスペースを有効利用して配置することができ、繰出し装置の配置を省スペースで行うことができる他、繰出し装置と選択装置とを互いに反対側となるように左右に偏位させて配置することにより、繰出し装置と選択装置の配置スペースが前後方向に必要以上に大きくならないという利点がある。
【0032】また従来のように繰出し装置を肥料タンクの下方に設けるものに比較して、繰出し装置が下方に突出しないため、圃場走行時に有利となるという効果もある。特に繰出し装置と選択装置とを、走行機体の左右中心に対して左右に偏位させることにより、移植機の左右バランスが安定し、走行安定性を確保することができるという利点もある。
【0033】一方走行機体側から植付作業機側に駆動力を伝動せしめる伝動軸を走行機体の左右中心に対して左又は右方向に偏位させて設け、繰出し装置を走行機体の左右方向に対して伝動軸の反対側に位置するように設けたることにより、繰出し装置の駆動機構(例えば減速ギヤボックス等)を左右方向に構成することができ、繰出し装置側の上下高さを比較的小さくすることができる。
【0034】これにより繰出し装置の配置位置が比較的低くなり、必要以上に高位置に繰り出し装置が配置されないため、走行機体の重心が必要以上に高くならないという効果がある。
【出願人】 【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱農機株式会社
【出願日】 平成13年3月9日(2001.3.9)
【代理人】 【識別番号】100081673
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 誠
【公開番号】 特開2002−262615(P2002−262615A)
【公開日】 平成14年9月17日(2002.9.17)
【出願番号】 特願2001−67200(P2001−67200)