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【発明の名称】 移植機の施用剤収容タンク
【発明者】 【氏名】近藤 健一

【氏名】畑山 至

【要約】 【課題】収容タンク30を安定よく支持することができるとともに、収容タンク30を回動させて機体カバー4の下方のメンテナンス作業を良好に行なうことができる移植機の収容タンク30を提供する。

【解決手段】走行機体10の操縦部1gの後方に苗載台2aを有する植付装置2と肥料等の施用材を収容した収容タンク30を有する施用材供給装置3を備えた移植機において、前記収容タンク30を運転席の後方において、走行機体10を覆う機体カバー4の後部上方に設置するとともに、収容タンク30を走行機体10と苗載台2a間で形成される空間部内に向けて回動退避可能に構成した移植機の施用剤収容タンク。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 走行機体10の操縦部1gの後方に苗載台2aを有する植付装置2と肥料等の施用剤を収容した収容タンク30を有する施用剤供給装置3を備えた移植機において、前記収容タンク30を運転席の後方において、走行機体10を覆う機体カバー4の後部上方に設置するとともに、この収容タンク30を走行機体10と苗載台2a間で形成される空間部内に向けて回動退避可能に構成した移植機の施用剤収容タンク。
【請求項2】 収容タンク30の機体内方側を機体カバー4の後部において走行機体10から立設した支持軸5に回動可能に支持するとともに、この収容タンク30の他方側を固定部53によって走行機体10に係脱可能に取付けた請求項1記載の移植機の施用剤収容タンク。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術的分野】本発明は、移植と同時に肥料や薬剤等の施用剤を圃場に施用する移植機における収容タンクに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、マット苗を掻取って移植する植付装置と、肥料タンク内に収容した肥料を繰出して圃場に施肥する施肥装置を備えた移植機は、実公平6−42423号公報等により提案されている。
【0003】上記公報に記載されている移植機の施肥装置は、各苗の植え付け条毎に粒状肥料を収容する角形箱状の肥料タンクを横方向に一連に連設するとともに、各肥料タンクの下部に肥料を送り出す繰出装置を設けた構成にしている。
【0004】そして前記のような移植機は、走行機体の後部に一連の箱枠状に組み付けた支持枠上に載置固定した支持構造にしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記既知の移植機は、肥料タンクの支持構造を走行機体の後部に箱枠状の支持枠を設置するため、特別なスペースと複雑な重量のある枠体構造とする必要があり、その結果、機体重心が後方寄りになり、そのために走行バランスも損い易く、また肥料タンクは支持枠と共に固定した構造であるため、機体後部のメンテナンス作業を行ないたい場合に、肥料タンクと支持枠等の分解を要する煩雑な作業が必要となる。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するための本発明にかかる移植機の施用剤の収容タンクは、走行機体10の操縦部1gの後方に苗載台2aを有する植付装置2と肥料等の施用剤を収容した収容タンク30を有する施用剤供給装置3を備えた移植機において、前記収容タンク30を運転席の後方において、走行機体10を覆う機体カバー4の後部上方に設置するとともに、この収容タンク30を走行機体10と苗載台2a間で形成される空間部内に向けて回動退避可能に構成したことを特徴としている。
【0007】また、前記収容タンク30の機体内方側を、機体カバー4の後部において走行機体10から立設した支持軸5に回動可能に支持するとともに、この収容タンク30の他方側を固定部53によって走行機体10に係脱可能に支持したことを特徴としている。
【0008】
【発明の実施の形態】次に図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。
【0009】図1及び図2に示す乗用型の移植機1について説明すると、この移植機1は前輪1a及び後輪1bを有する走行機体10上に、エンジン1dとハンドル1eと座席1fを機体10の左右中央部に位置させた操縦部1gを備えており、この走行機体10と、その操縦部1gの後部に設けた昇降機構11に装着される植付装置2及び施用剤供給装置3(肥料等の供給装置)とで構成している。
【0010】また、走行機体10は、機体カバー4で覆われており、この機体カバー4は座席1fの前方のデッキカバー部4aと座席1fの下方及びその側方を覆うリヤカバー部4bとを一体的に形成している。
【0011】そしてこのリヤカバー部4bは操縦部1gの床面を形成しているデッキカバー部4aから後方の植付装置2側に向けて歩行移動可能な通路となるように構成し、後述するマット苗の補給や施用剤(流体肥料等)の補給等の補給作業を行ない易くするようにしている。
【0012】また上記デッキカバー部4aとリヤカバー部4bの側方には、走行機体10側から側方に行けて張出して支持した補助ステップ(サイドステップ)4c,4cを設け、座席1f側から後方への歩行と上記補給作業を行ない易くしている。
【0013】更に植付装置2は、8条分のマット苗を載置可能な苗載台2aと、この苗載台2aから苗を掻取って圃場に植付ける8条分の植付爪2bと、植付装置2の重量を支持して滑走するフロート2c等を従来の装置と同様な構成によって設けている。
【0014】この植付装置2は、図1に示すように走行機体10の機体下腹部で機体の左右中央部から一側に偏らせた位置から後方に向けて配置した植付伝動軸12から動力を入力伝達させるようにしている。
【0015】そして、施用剤供給装置3は、図2及び図3に示すように肥料や消毒剤等の圃場や作物に施用する流体状の施用剤を収容する左右の2個の収容タンク30と、この収容タンク30から施用剤を繰出す繰出ユニット3aと、繰出された施用剤を導管31を介して圃場に施すノズル部32等からなり、以下の構成によって走行機体10に設置されている。
【0016】即ち、この実施形態で示す収容タンク30は、図3及び図4に示すように施用剤の一例であるペースト状の肥料(流体物)を収容する流体物収容タンクとしており、これを座席1fの後部に近接させて設置した繰出ユニット3aの左右に図3の平面視で略横一直線状となるように連らならせ近接させて設けている。
【0017】図4において4eは中央リヤステップ、4fはサイドリヤステップ、5は収容タンク30を支持する支持軸、54はノブボルト等の固定具、10aはメインフレームをそれぞれ示している。
【0018】前記のように収容タンク30に配置と支持構成により、施用剤供給装置3の全高を低くでき、収容タンク30等を座席1fと植付装置2の苗載台2a間にコンパクトにまとめながら、機体重心を機体10の下部側に寄せるとともに、左右の収容タンク30の自重による左右バランスを良好に維持させることができるようにしている。
【0019】そして上記左右の収容タンク30は、図4に示す前記機体カバー4のリヤカバー部4bの後方で走行機体10から立設させた支持軸5等からなる支持構造によって安定よく支持し、タンク底部と繰出ユニット3aの繰出装置3bとを可撓性を有する流体物の送供管33で連結し(図3、6)、タンク上部には大径の流体物の供給口を開閉可能に閉鎖するタンク蓋30aを設けている。
【0020】次に施用剤供給装置3の繰出ユニット3aについて説明する。
【0021】この繰出ユニット3aは、前記した左右の収容タンク30と連通させた繰出装置3bと、この繰出装置3bを構成しているポンプを変速レバー6a(図6)の操作によって変速可能に駆動する繰出調節装置6と、この繰出調節装置6の入力軸60へ植付伝動軸12から動力を伝達する伝動機構70とから以下のように構成することによって、座席1fの後部において装置の重心を低くしながらコンパクトにまとめて設置できるようにしているとともに、繰出装置3aの変速伝動を良好に行なうことができるようにしている。
【0022】即ち、繰出ユニット3aは、走行機体10から植付装置2に動力を伝達する植付伝動軸12の中途部に設けたスプロケット12aと、その略直上方部位に位置する入力軸60のスプロケット60aとに伝動チェン70を縦方向に巻き掛けている。
【0023】そして、この伝動チェン70をチェン張り機構7a(図5)で張圧しながら伝動機構7によって繰出調節装置6を駆動し、この繰出調節装置6で変速された動力を変速出力軸61と繰出装置3bのポンプ入力軸62との間に横向きに設けた伝動機構を内装する伝動ケース63で連結することにより、繰出装置3bを駆動して収容タンク30内の肥料や薬剤などの流体物を繰出装置3bで各条に分配しながら繰出し、導管31(図3)から植付装置2の各植付爪2bの近傍にけたノズル部32から土中に吐出してペースト状肥料による施肥作業等の施用作業を円滑に行なうことができるようにしている。
【0024】なお、前記チェン張り機構7aは、伝動チェン70を張り方向に付勢するローラ71を有するローラ支持稈72を繰出ユニット3aを支持する支持枠35に設けた支持軸73によって回動可能に支持している。
【0025】従って、以上のように構成した移植機1は、植付装置2による苗の植付作業と同時に施用剤供給装置3による施用作業を行なうとき、座席1fの後部に流体物の繰出装置3bと、この繰出装置3bによる施用剤の繰り出し量の調節を行なう繰出調節装置6とからなる繰出ユニット3aを設置している。
【0026】そして図3、6に示すようにこの繰出ユニット3aの左右に施用剤収容タンク30を隣接させて配置しているので、この繰出ユニット3aの左右に対称形状の2個の施用剤収容タンク30を図3に鎖線で示すように近接させて機体10の左右バランスを維持しながら、施用剤供給装置3の重心を走行機体10の中央部よりに設定して、植付と施肥作業等の施用作業とを同時に、しかも機体10の安定性を確保しながら良好に行なうことができるようにしている。
【0027】また繰出ユニット3aは、走行機体10から植付装置2に動力を伝達する植付伝動軸12(図1)から、繰出調節装置6の入力軸60に縦方向の伝動機構7(図5)によって動力を伝達させるとともに、上記繰出変速装置6から横方向に配置した繰出装置3b(図3)に動力を伝達させるように構成している。
【0028】従って、繰出調節装置6と繰出装置3bとを左右方向に高さを低くした状態でまとまりよく近接設置することができ、繰出ユニット3aの重心を低くしながら、この繰出ユニット3aの繰出調節装置6に上下方向の伝動機構7で伝動させるので、この伝導機構7が水平方向に大きく張り出すことがない。
【0029】また、繰出ユニット3aと伝動機構7は図5に示すように正面視で逆L字状となり、両者で形成される空間部内を伝動チェン70のチェン張り機構7aの設置スペースとして有効利用することができる。
【0030】従って、伝動機構7から繰出ユニット3aまでの左右の巾を可及的に小さくした状態で伝動機構7のチェン70の張り具合を調節する装置ををコンパクトにまとめながら走行機体10側から繰出ユニット3aに対して動力を的確に伝動することができる等の特徴がある。
【0031】また上記のように座席1fの後部で、繰出ユニット3aの巾を小さくしながら左右の収容タンク30を近接して配置したので、これらの全体の巾も機体10から大きく突出させることなく小さくできるので、機体カバー4のリヤカバー部4b及び補助ステップ4cの歩行スペースを十分に確保することができ、作業者は苗載台2a及び2個の収容タンク30に対し十分に接近することができ、また苗載台2aへのマット苗の苗補給作業や収容タンク30へのペースト状あるいは液状の肥料などの流体施肥剤の補給作業を安定姿勢で簡単且つ能率よく行なうことができる等の利点がある。
【0032】そして、この機体カバー4は図2に示すように機体カバー4の前部を取付軸部4dによって走行機体10に取付けており、図1の実線で示す作業姿勢と、鎖線で示すこの取付軸部4dを支点として上方に回動させて機体カバー4の下方を大きく解放させたメンテナンス姿勢とに切換可能にできる構成としている。
【0033】尚、機体カバー4の後部は走行機体10に係脱可能に支持されている。また、上記収容タンク30の支持構造は図4に示すように、走行機体10の後部内側両側の頑丈な機体フレーム10aから上方に向けて立設した支持軸フレームの上部の支持軸5に回動可能に嵌挿された支持腕51、51で左右の収容タンク30、30の機体内方側を連結支持し、この収容タンク30の機体外方の後部に設けた固定部30bを補助ステップ4cの後方に位置する固定部53を形成しているブラケット55との間を、取付ネジなどの固定具54で固定して2個の収容タンク30を図2及び3に実線で示す「作業姿勢」とすることができる。
【0034】そしてこの固定具54の固定を解除して収容タンク30を支持軸5を中心として後方に回動させると、収容タンク30の外側部は走行機体10の後部で植付装置2の苗載台2aの下方との間に形成される空間部内に移動するのでリヤカバー部4bの上方から退避した「メンテナンス姿勢」にすることができる。
【0035】このとき機体カバー4の後部のリヤカバー部4bの上方には収容タンク30が退避しているので、この状態において、機体カバー4は前記支持軸5支点として図1に実線で示す作業姿勢から、鎖線で示すメンテナンス姿勢に簡単に切換え回動することができ、広く開放れた機体カバー4の下方の点検や修理等のメンテナンス作業を、収容タンク30や機体カバー4に支障されることなく能率よく快適に行なうことができる。
【0036】なお、上記固定部53は、図3及び図4に示すように走行機体10の後部外側のサイドリヤステップ4fから取付ブラケット55を立設するとともに、この取付ブラケット55の背面上部に収容タンク30の機体外方側に形成した固定部30bを後方から当接させた状態で、前記固定具54で両者を着脱可能に取付けている。
【0037】従って、この構成によれば、肥料等の施用剤が収容されて重量のある収容タンク30はその機体外方を、固定部30bを固定部53のブラケット55に固定しすることで、安定良く支持されて作業姿勢とし、更に固定具54を解除して収容タンク30を回動退避させたメンテナンス姿勢への切換を簡単に行なうことができる。
【0038】また、固定部53は機体フレーム10aの後部を取付部として直接的に利用しているので、取付構造を簡単で廉価にできるとともに、収容タンク30のメンテナンス姿勢において側方を広く開放することができる等の特徴がある。
【0039】そして、上記のような植付施肥作業を行なう移植機1は、その後方に設けた収容タンク30の一方を機体カバー4の後方の機体内方側で、走行機体10の機体フレーム10aから立設した支持軸5に回動可能に支持するとともに、収容タンク30の他方を走行機体の外方側に設けた固定部53によって係脱可能に取付支持しているので、施用剤を収容して重量のある収容タンク30の両側を安定よく支持するとともに、機体カバー4の下部のメンテナンス作業を行ないたい場合に、収容タンク30は固定部53の固定を側方から解除すると、内側の支持軸5を中心にリヤカバー4bの後方の苗載台2aの下方空間部位に、簡単に回動して退避することができる。
【0040】従って、機体カバー4の後方を、この機体カバー4を前部に設けた取付軸部4dを支点として前方上方に向けて回動することができるので、その機体カバー4の下方の機体10の後部を広く開放することができる。
【0041】従ってこの開放状態においてメンテナンス作業は、機体10の側方から機体カバー4や収容タンク30に邪魔されることなく、機体カバー4下方の部分のメンテナンス作業を能率よく容易に行なうことができる。
【0042】
【発明の効果】本発明に係る移植機の収容タンクは、走行機体10の操縦部1gの後方に苗載台2aを有する植付装置2と肥料等の施用材を収容した収容タンク30を有する施用材供給装置3を備えた移植機において、前記収容タンク30を運転席の後方において、走行機体10を覆う機体カバー4の後部上方に設置するとともに、収容タンク30を走行機体10と苗載台2a間で形成される空間部内に向けて回動退避できるように構成したことを特徴としている。
【0043】従って、収容タンク30を後方の苗載台2aの下方空間部内に回動退避したとき、機体10の後方を大きく開放させて桟のメンテナンス作業を簡単に行なうことができる。
【0044】また、収容タンク30の機体内方側を機体カバー4の後方において走行機体10から立設した支持軸5に回動可能に支持するとともに、この収容タンク30の他方側を固定部53によって走行機体10に係脱可能に支持したことを特徴としている。
【0045】従って、収容タンク30の内側と外側を簡単な構成で、安定よく支持することができるとともに、この収容タンク30の退避回動及びメンテナンス作業を能率よく容易に行なうことができる。
【出願人】 【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱農機株式会社
【出願日】 平成13年3月9日(2001.3.9)
【代理人】 【識別番号】100066865
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 信一 (外2名)
【公開番号】 特開2002−262614(P2002−262614A)
【公開日】 平成14年9月17日(2002.9.17)
【出願番号】 特願2001−66233(P2001−66233)