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【発明の名称】 移植機
【発明者】 【氏名】布野 隆

【氏名】芝田 哲男

【要約】 【課題】複数の植付機構を備える移植機において、植付動力の不等速変換や植付爪の個数に応じた減速を一箇所で行うことを可能にする。

【解決手段】植付爪19を備える植付機構8を複数設けると共に、該複数の植付機構8に分配軸11を介して植付動力を伝動する乗用田植機において、前記植付動力の伝動経路に、植付動力を不等速に変換して前記植付爪19の軌跡運動に速度変動を生じさせる不等速変換機構26と、該不等速変換機構26で変換された植付動力を、前記植付機構8に設けられる植付爪19の個数の整数倍に減速する減速機構28とを介設するにあたり、前記不等速変換機構26および減速機構28を、前記分配軸11よりも伝動上手側に介設する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 植付爪を備える植付機構を複数設けると共に、該複数の植付機構に分配軸を介して植付動力を伝動する移植機において、前記植付動力の伝動経路に、植付動力を不等速に変換して前記植付爪の軌跡運動に速度変動を生じさせる不等速変換機構と、該不等速変換機構で変換された植付動力を、前記植付機構に設けられる植付爪の個数の整数倍に減速する減速機構とを介設するにあたり、前記不等速変換機構および減速機構を、前記分配軸よりも伝動上手側に介設したことを特徴とする移植機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、田植機等の移植機の技術分野に属し、詳しくは、植付機構の動力伝動経路中に不等速変換機構を備える移植機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、田植機等の移植機においては、植付機構の動力伝動経路中に、植付爪の軌跡運動に速度変動を生じさせる不等速変換機構を介設することにより、植付機構の植付周期を変えることなく、植付爪の土中運動速度や苗掻取運動速度を変更可能にしたものが知られている。また、この種の移植機では、植付機構が一回転するあいだに複数回の植付けを行うべく、植付機構に複数個の植付爪を設けたものがあり、このものでは、前記不等速変換機構で変換された植付動力を、植付機構に設けられる植付爪の個数の整数倍に減速する減速機構を設けることが要求される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、従来では、複数設けられる植付機構の動力を全て不等速変換するにあたり、植付機構毎に不等速変換機構や減速機構を設けていたため、構造が複雑になる許りでなく、タイミング調整が煩雑になり、しかも、仕様を変更する場合には、全ての不等速変換機構および減速機構を交換する必要があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、植付爪を備える植付機構を複数設けると共に、該複数の植付機構に分配軸を介して植付動力を伝動する移植機において、前記植付動力の伝動経路に、植付動力を不等速に変換して前記植付爪の軌跡運動に速度変動を生じさせる不等速変換機構と、該不等速変換機構で変換された植付動力を、前記植付機構に設けられる植付爪の個数の整数倍に減速する減速機構とを介設するにあたり、前記不等速変換機構および減速機構を、前記分配軸よりも伝動上手側に介設したことを特徴とするものである。つまり、複数の植付機構を備えるものでありながら、植付動力の不等速変換や植付爪の個数に応じた減速を一箇所で行うことが可能になり、その結果、伝動機構の構造を簡略化することができる許りでなく、タイミング調整も容易にすることができ、また、仕様変更に伴う不等速変換機構や減速機構の交換を一箇所で行える利点がある。
【0005】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態の一つを図面に基づいて説明する。図面において、1は乗用田植機の走行機体であって、該走行機体1の後部には、昇降リンク機構2を介して植付作業部3が連結されている。植付作業部3は、昇降リンク機構2にローリング自在に連結される作業部フレーム4と、該作業部フレーム4の上方に左右往復動自在に設けられる苗載台5と、上記作業部フレーム4の左右中間部に設けられる入力ケース6と、上記作業部フレーム4から後方に延出する複数のプランタケース7と、該プランタケース7の後端部に設けられる植付機構8と、上記プランタケース7の下方に上下動自在に設けられるフロート9とを備えて構成されている。
【0006】前記入力ケース6は、走行機体1のPTO軸(図示せず)から植付動力を入力する入力軸10を備え、該入力軸10が入力した植付動力を、作業部フレーム4に沿って配置される分配軸11に伝動する。分配軸11は、各プランタケース7の前端部を貫通すると共に、各プランタケース7の後端部に貫通支持される植付駆動軸12に対し、チェン伝動機構(等速伝動機構)13を介して植付動力を分配状に伝動する。
【0007】前記植付駆動軸12の両端部もしくは一端部には、植付機構8を構成するロータリケース14が一体的に設けられている。ロータリケース14には、植付駆動軸12に回動自在に支持され、かつプランタケース7側に噛合して回り止めされる太陽ギヤ15と、該太陽ギヤ15に対して180度位相をずらして噛合する一対の中間ギヤ16と、各中間ギヤ16に噛合する遊星ギヤ17とが内装されている。
【0008】18は植付爪19を備えるプランタアームであって、該プランタアーム18は、各ロータリケース14に2本ずつ設けられている。各プランタアーム18の基端部には、筒状軸20が一体的に突設されており、該筒状軸20は、ロータリケース14の両端部に回動自在に支持されると共に、前記各遊星ギヤ17に一体的に結合されている。つまり、植付駆動軸12の駆動に伴ってロータリケース14が回転すると、中間ギヤ16が太陽ギヤ15の周囲を公転しながら自転すると共に、遊星ギヤ17が逆回りに自転し、それに伴ってプランタアーム18は、植付駆動軸12を中心として公転しつつ、筒状軸20を中心として逆方向に自転する。従って、プランタアーム18は、ロータリケース14が回転しても、常に前下方を向く姿勢を維持することになる。
【0009】前記太陽ギヤ15、中間ギヤ16および遊星ギヤ17は、何れも偏芯ギヤで構成されており、該偏芯ギヤの角速度は、植付爪19の先端が苗載台5の下端部から苗を掻取った後、前方に膨らむ円弧を描きながら土中の植付位置に達し、その後は直線的に上昇するという半月状の静止軌跡(走行停止時の先端運動軌跡)を描くように設定されている。また、一方の植付爪19が苗載台5から苗を掻取る時、それと同時に他方の植付爪19が植付けを実行し、また、他方の植付爪19が苗載台5から苗を掻取る時、それと同時に一方の植付爪19が植付けを実行するよう植付爪19の位置設定および軌跡設定が成されており、而してロータリケース14は、1回転する毎に2回の植付けを実行することになる。
【0010】前記入力ケース6においては、入力軸10が入力した植付動力を、ベベルギヤ機構21を介して第一伝動軸22に伝動すると共に、第一伝動軸22の動力を、第二伝動軸23を介して前記分配軸11に伝動する。また、第一伝動軸22の動力は、横送り変速ケース24を介して苗載台横送り軸25にも伝動されており、該苗載台横送り軸25の回転に伴って苗載台5が横送りされる。
【0011】26は第一伝動軸22と第二伝動軸23との間に介設される不等速変換機構であって、該不等速変換機構26は、互いに噛合する一対の偏芯ギヤ26a、26bを介して動力伝動を行うことにより、植付機構8に伝動する動力に周期的な速度変動を生じさせる。即ち、不等速変換機構26は、植付機構8の植付周期を変えずに、少なくとも植付爪19の土中運動速度を変速(増速)するために設けられるが、各植付駆動軸12に動力を分配する分配軸11よりも伝動上手側に不等速変換機構26を介設することにより、複数設けられる植付機構8の運動速度を一箇所で不等速変換することが可能になる。
【0012】また、不等速変換機構26は、入力ケース6の外部に配置されると共に、着脱容易なカバー27で覆蓋されている。つまり、カバー27を外せば、偏芯ギヤ26a、26bを交換することが可能であり、そのため、変速量が異なる偏芯ギヤに交換することにより、作業条件(植付け株間等)に適合する不等速変換を行うことが可能になる。
【0013】28は前記第二伝動軸23と分配軸11との間に介設される減速機構であって、該減速機構28の減速比は、各ロータリケース14に設けられるプランタアーム18(植付爪19)の個数(ロータリケース14が一回転中に行う植付回数)の整数倍に設定されている。つまり、前記不等速変換機構26を構成する偏芯ギヤ26a、26bは、図6の(A)に示すように、一回転中に発生させる増速域が一回のみであるため、不等速変換機構26の伝動下手側で植付爪19の個数に応じた減速を行うことにより、各植付爪19の土中運動速度を増速させるが、減速機構28は、各植付駆動軸12に動力を分配する分配軸11よりも伝動上手側に介設されるので、複数の植付機構8を備えるものでありながら、植付け爪19の個数に応じた減速を一箇所で行うことが可能になる。尚、各ロータリケース14に設けられる植付爪19の個数が2である本実施形態においては、植付け動力伝動経路に前記不等速変換機構26および減速機構28を介設することにより、植付爪19の運動軌跡において図7に示すような増速域・減速域が発生する。即ち、植付爪19の掻取運動速度および土中運動速度が増速される一方、掻取苗を保持している中間運動域の運動速度が減速されることになる。
【0014】叙述の如く構成されたものにおいて、植付爪19を備える植付機構8を複数設けると共に、該複数の植付機構8に分配軸11を介して植付動力を伝動する乗用田植機において、前記植付動力の伝動経路に、植付動力を不等速に変換して前記植付爪19の軌跡運動に速度変動を生じさせる不等速変換機構26と、該不等速変換機構26で変換された植付動力を、前記植付機構8に設けられる植付爪19の個数の整数倍に減速する減速機構28とを介設するにあたり、前記不等速変換機構26および減速機構28を、前記分配軸11よりも伝動上手側に介設したので、複数の植付機構8を備えるものでありながら、植付動力の不等速変換や植付爪19の個数に応じた減速を一箇所で行うことが可能になり、その結果、伝動機構の構造を簡略化することができる許りでなく、タイミング調整も容易にすることができ、また、仕様変更に伴う不等速変換機構26や減速機構28の交換を一箇所で行える利点がある。
【出願人】 【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱農機株式会社
【出願日】 平成13年2月16日(2001.2.16)
【代理人】 【識別番号】100085394
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
【公開番号】 特開2002−238319(P2002−238319A)
【公開日】 平成14年8月27日(2002.8.27)
【出願番号】 特願2001−40452(P2001−40452)