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【発明の名称】 水田作業機
【発明者】 【氏名】石飛 芳夫

【要約】 【課題】エンジン回転数と機体走行速度の変化に応じてフロートの油圧感度を調節可能とし、田面への追従性を良好にする。

【解決手段】乗用田植機10では、油圧シリンダ30によって昇降支持された植付部24の姿勢を、フロート27に作用する浮力によって感知しており、また、油圧シリンダ30を制御する油圧制御バルブ32を、連繋機構35を介してフロート27に連結し、該フロート27の姿勢変更により油圧制御バルブ32を制御している。前記連繋機構35は、フロート27の油圧感度を調節可能な油圧感度調節レバー31を有し、この油圧感度調節レバー31に、エンジンスロットルレバー20と主変速レバー23とを連係し、エンジン回転数と機体走行速度の変化に合せて、フロート27の油圧感度を調節可能として、作業の高速化に対してもフロート27の田面への追従性を損なわないようにする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 油圧シリンダ装置により走行機体に昇降自在に支持された作業部の姿勢を、圃場面に接地されて移動する接地体に作用する浮力によって感知すると共に、前記油圧シリンダ装置を制御する油圧制御バルブを、連繋機構を介して前記接地体に連結して、該接地体に作用する浮力に基づき前記油圧制御バルブを制御することで、前記油圧シリンダ装置によって昇降制御される前記作業部にて圃場に苗を移植する水田作業機において、前記連繋機構は、前記接地体の油圧感度を調節可能な油圧感度調節手段を有し、該油圧感度調節手段に、エンジン回転数を調節するエンジン回転数調節手段と、機体走行速度を調節する変速操作手段とを連係し、これらエンジン回転数調節手段と変速操作手段の少なくともいずれか一方の操作に基づき、前記油圧感度を調節可能とした、ことを特徴とする水田作業機。
【請求項2】 前記変速操作手段の操作に基づく前記接地体の油圧感度の調節量を、前記エンジン回転数調節手段の操作に基づく前記接地体の油圧感度の調節量よりも大きくした、ことを特徴とする請求項1記載の水田作業機。
【請求項3】 前記油圧感度の調節は、前記接地体の姿勢を調節することで行う、ことを特徴とする請求項1又は2記載の水田作業機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、乗用田植機等の水田作業機に関し、詳しくは接地体に作用する浮力に基づき油圧制御バルブを介して作業部を昇降制御し、適正な移植作業が可能な水田作業機に関する。
【0002】
【従来の技術】乗用田植機等の移植機は、手動及び自動位置に操作し得る昇降制御レバーを備えていて、該レバーの手動操作により植付部を昇降制御すると共に、該レバーの自動位置においては、植付部のフロートに作用する浮力(土圧や水圧等)を感知して、植付部が適正植付位置となるように油圧により自動昇降制御を行う。
【0003】ところで、圃場面の泥土が軟らかい場合は、一般にフロート前部が下がりぎみになり、土中にもぐり込んで泥押しを起こすので、植付部は沈み込んで植付け深さが深くなりすぎる。反対に、圃場面の泥土が硬い場合は、フロート前部が上がりぎみとなって、植付部は浮き上って植付け深さが浅くなると共に、土塊等により頻繁に上下スイングを起こし易い。
【0004】これを解消する手段として、例えば、泥土が軟らかい場合は、フロートを圃場面方向に付勢する付勢力を弱くして、わずかな浮力によってもフロートが上動可能として鋭い感度でフロートの上下動を制御できるようにし、また、泥土が硬い場合は、前記付勢力を強くして、フロートの上動抵抗を大きくし大きな浮力でなければフロートが上動しないように鈍い感度でフロートの上下動を制御できるようにする等、フロートの感知荷重を大小変更して対応するものがある。
【0005】例えば、本件出願人の出願に係る特開平11−113332号公報に記載のように、油圧制御バルブを、戻しスプリングと感度調節レバーを介してスロットルレバーに連結すると共に、この感度調節レバーをフロートに接続し、スロットルレバーの操作によりエンジン回転数を増加させると、これに連動して戻しスプリングによりフロートの感知荷重が大きくなり、また、感度調節レバーを操作すると、フロート前部の上下位置を変更自在とした技術が公知である。これにより、機体走行速度が上昇した場合にも、フロートが田面に対して浮き上がらないようにして、浮き苗の発生を防止していた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、機体走行速度が上昇した場合に、フロートが田面に対して浮き上がらないようにするためには、一般に、フロートの感知荷重を増加させる方法と、フロート姿勢を変化させて油圧制御バルブを下降方向に作動しやすくする方法の2つの手段が考えられるが、従来の技術によると、油圧制御バルブと感度調節レバーをスロットルレバーに連動させていたため、作業の高速化に対応することが困難であった。
【0007】本発明は、斯かる課題を解消するためになされたもので、その目的とするところは、エンジン回転数と機体走行速度の変化に応じて接地体の油圧感度を調節することで、接地体の田面への追従性を損なわず、作業精度の安定化と向上を図ることができる水田作業機を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、油圧シリンダ装置(30)により走行機体(15)に昇降自在に支持された作業部(24)の姿勢を、圃場面に接地されて移動する接地体(27)に作用する浮力によって感知すると共に、前記油圧シリンダ装置(30)を制御する油圧制御バルブ(32)を、連繋機構(35)を介して前記接地体(27)に連結して、該接地体(27)に作用する浮力に基づき前記油圧制御バルブ(32)を制御することで、前記油圧シリンダ装置(30)によって昇降制御される前記作業部(24)にて圃場に苗を移植する水田作業機(10)において、前記連繋機構(35)は、前記接地体(27)の油圧感度を調節可能な油圧感度調節手段(31)を有し、該油圧感度調節手段(31)に、エンジン回転数を調節するエンジン回転数調節手段(20)と、機体走行速度を調節する変速操作手段(23)とを連係し、これらエンジン回転数調節手段(20)と変速操作手段(23)の少なくともいずれか一方の操作に基づき、前記油圧感度を調節可能とした、ことを特徴とする。
【0009】請求項2記載の発明は、前記変速操作手段(23)の操作に基づく前記接地体(27)の油圧感度の調節量を、前記エンジン回転数調節手段(20)の操作に基づく前記接地体(27)の油圧感度の調節量よりも大きくした、ことを特徴とする。
【0010】請求項3記載の発明は、前記油圧感度の調節は、前記接地体(27)の姿勢を調節することで行う、ことを特徴とする。
【0011】[作用]本発明によれば、油圧制御バルブ(32)を接地体(27)に連結している連繋機構(35)は、接地体(27)の油圧感度を調節可能な油圧感度調節手段(31)を有し、この油圧感度調節手段(31)に、エンジン回転数調節手段(20)と変速操作手段(23)とを連係したことで、これらエンジン回転数調節手段(20)と変速操作手段(23)の少なくともいずれか一方を操作すれば、接地体(27)の油圧感度を調節可能としている。このため、エンジン回転数と機体走行速度の変化に応じて、接地体(27)の油圧感度が調節されることとなり、作業の高速化に対しても、接地体(27)の田面への追従性を損なうことなく、作業精度の安定化と向上が図られる。
【0012】なお、上述したカッコ内の符号は図面を参照するために示すものであって、本発明を何ら限定するものではない。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
【0014】図1は、本発明を適用した乗用田植機の全体側面図であり、同図に示すように、乗用田植機10は、前輪12及び後輪14により支持された走行機体15を有しており、該走行機体15には前部にエンジン16が搭載されその後部にトランスミッション17が取付けられていて、前後輪12,14の略々中間位置に座席シート18を有する運転席19が配設されている。この運転席19には、ステアリングホイール21、その側方に前後進の切換えを行う主変速レバー23、操作パネル部に機体走行速度を制御するエンジンスロットルレバー20(図2参照)、座席シート18の右側部に植付クラッチの入切を行う植付クラッチレバー(油圧・植付レバー)22(図2参照)が、また、左側部に油圧感度調節レバー31が配設されている。
【0015】前記走行機体15の後方には、作業部としての植付部24が、アッパリンク25aとロアリンク25bを有する昇降リンク機構25により昇降自在に支持されていて、該植付部24には多数の植付杆26、接地体としてのフロー卜27、及びマット苗を載置し得る苗載せ台28が備えられている。なお、この植付部24は、昇降リンク機構25の後端部のリンク支え枠29に設置されたローリング軸(図示せず)により、ローリング自在とされている。
【0016】また、前輪12を支持するフロントアクスルの後部と前記昇降リンク機構25との間には、油圧シリンダ30が配設されており、この油圧シリンダ30は、運転席19の下方に配置された油圧制御バルブ32の作動に基づき伸縮して、前記植付部24を昇降制御する。
【0017】例えば、図2において、植付クラッチレバー22を、図示しないガイド溝に沿って「上げ」、「固定」、「下げ」、「植付」の各位置に手動操作することにより、油圧カム34が図示しないカム軸を中心として回動し、ロータリスプールバルブからなる油圧制御バルブ32が回動制御されて植付部24が昇降制御される。更に、この油圧制御バルブ32は、そのスプールと一体の軸32aにアーム33が取り付けられていて、このアーム33は、連繋機構35を介して前記フロー卜27に連結され、植付クラッチレバー22の「自動」位置では、フロート27に作用する土圧・水圧等の浮力の変動に基づき油圧制御バルブ32が自動的に制御され、油圧シリンダ30が伸縮して植付部24が自動的に昇降制御される。
【0018】前記フロート27は、その後部を、伝動ケース36の下部に設けられた軸37を中心として回動可能に軸着され、その前部には感知プレート38が枢支・連結されている。この感知プレート38は、図2に示すように、下端部がフロート27に連結ピン39にて枢支されており、かつその上端近傍に長孔38aが形成されている。また、感知プレート38の上端部分には、フロート感度調節ワイヤ40が接続されており、該ワイヤ40のインナワイヤ40aに固定されたピン41が前記長孔38aに嵌入されている。
【0019】ここで、本実施の形態では、前記連繋機構35は、接地体27の油圧感度を調節可能な油圧感度調節手段31を有し、該油圧感度調節手段31に、エンジン回転数を調節するエンジン回転数調節手段と、機体走行速度を調節する変速操作手段23とを連係した。
【0020】図2において、前記連繋機構35は、フロート27の油圧感度を調節可能な油圧感度調節レバー(油圧感度調節手段)31を有すると共に、上述した感知プレート38と、該感知プレート38に揺動アーム42を介して連結された感知ロッド43と、該感知ロッド43にリンク比調整部44を介して油圧制御バルブ32に連結された連牽リンク45とを有している。この連牽リンク45は、戻しスプリング46とバルブ連動ワイヤ47を介して前記油圧感度調節レバー31に連結されていて、この油圧感度調節レバー31には、連結具75を介してフロート感度調節ワイヤ40が接続されている。そして、戻しスプリング46の付勢圧は、油圧感度調節レバー31の操作により調節可能とされている。また、前記揺動アーム42と感知ロッド43との間には、感知スプリング53が張設されている。
【0021】前記揺動アーム42は、回動支点57を中心として一体的に揺動可能な二又状のアーム42a,42bを有し、該アーム42a,42bは、昇降リンク機構25の後部にて機体左右側に配置されたロアリンク25b,25bを連結している連結軸58に近接配置されている。
【0022】前記感知プレート38と一方のアーム42aとは、該感知プレート38の長孔38aに嵌入されたピン41を介して連結されていて、該アーム42aは、前記連結軸58に当接しないように円弧状に湾曲形成されている。また、他方のアーム42bの先端には、ピン60を介して前記感知ロッド43が連結されている。
【0023】すなわち、前記揺動アーム42の一方のアーム42aの先端側は、ピン41を介して感知プレート38に連結され、また他方のアーム42bの先端側は、ピン60を介して感知ロッド43に連結されていて、これら両連結部41,60は前記連結軸58に対し、略々上下方向に離間して配置されている。
【0024】一方、前記揺動アーム42aと感知プレート38とを連結しているピン41には、フロート感度調節ワイヤ40が連結され、該ワイヤ連結ピン41とフロート連結ピン39との間にはスプリング61が張設されていて、該スプリング61はインナワイヤ40aを張って、前記ワイヤ連結ピン41とフロート連結ピン39との間の長さからなる感知プレート38の作用長を位置決め設定している。
【0025】次に、前記感知ロッド43は、長手方向に沿って延びる細長状のロッド部材を有し、該ロッド部材の後部にはリンク金具62が一体的に取り付けられ、前部にはピン継手部63が取り付けられている。前記リンク金具62は、その一側中央寄りにピン62aが植立され、他側端部には長孔62bが形成されている。そして、この長孔62bには、前記揺動アーム42bの先端に固着されたピン60が嵌入され、このピン60と前記ピン62aとの間に感知スプリング53が張設されている。
【0026】前記リンク比調整部44は、感知ロッド43と連牽リンク45とを連結する変換レバー64を有し、該変換レバー64の揺動側先端と感知ロッド43のピン継手部63とがピン65にて回動可能に軸着されている。また、前記変換レバー64の基端側は、枢支連結部66によりロアリンク25bに回動可能に軸着されている。前記変換レバー64には、その長手方向に沿って複数個の穴が穿設されており、該穴に挿入されるピン67により前記連牽リンク45の一端が取り付けられている。このピン67は、抜き差しにより自由にその差し込み位置を変えることができる。
【0027】前記連牽リンク45の他端は、前述のようにピン68を介して油圧制御バルブ32のアーム33に連結されている。更に、前記連牽リンク45の中間部にはピン69が植設されていて、該ピン69には戻しスプリング46が張設され、該戻しスプリング46により前記連牽リンク45は常時フロート27の下げ方向に付勢されている。
【0028】以上において、油圧感度調節レバー31には、連結具75を介して、ワイヤ71によりエンジン回転数を調節するエンジンスロットルレバー(エンジン回転数調節手段)20と、ワイヤ73により機体走行速度を調節する主変速レバー(変速操作手段)23とが連係されている。更に、前記連結具75は、フロート感度調節ワイヤ40に連結されていて、これにより、エンジンスロットルレバー20と主変速レバー23の少なくともいずれか一方の操作に基づき、フロート27の油圧感度が調節可能となっている。
【0029】すなわち、図3〜図5(a)(b)に示すように、油圧感度調節レバー31は、下端部が略々コ字状をなすブラケット31aの上部に、水平軸31bを有しかつ略々L字状をなすレバーアーム31‘が固定され、これらブラケット31aとレバーアーム31‘が軸31cを中心として前後に揺動する構造を有している。また、連結具75は、前記ブラケット31aに固定された鉤形プレート75aと、その内側にコ字形プレート75b及びL形プレート75cを有し、これら各プレート75b,75cが、各ワイヤ40,71,73の伸張方向に移動可能に設けられている。そして、油圧感度調節レバー31と連結具75とは、レバーアーム31’の水平軸31bが、鉤形プレート75aに回動可能に軸着され、また、該水平軸31bの自由端側が、コ字形プレート75bの長孔76に摺動自在に嵌入され、更に、該コ字形プレート75bに横設された軸77の突出側が、L形プレート75cの長孔78に摺動自在に嵌入されている。
【0030】前記コ字形プレート75bには、フロート感度調節ワイヤ40のインナワイヤ40aが固定され、また、該コ字形プレート75bに横設された軸77には、ワイヤ71のインナワイヤが固定され、更に、L形プレート75cには、ワイヤ73のインナワイヤが固定されている。なお、図示しないが、レバーアーム31’の水平軸31bには、バルブ連動ワイヤ47のインナワイヤが固定されている。
【0031】このため、油圧感度調節レバー31を、例えば軸31cを中心として図5(a)の矢印A方向に揺動操作すると、フロート感度調節ワイヤ40が引張られて同方向に移動すると共に、バルブ連動ワイヤ47が弛緩されて同方向に移動する。また、その状態から、エンジンスロットルレバー20を操作して、ワイヤ71のインナワイヤを矢印C方向に引くと、フロート感度調節ワイヤ40が同方向に引張られると共に、コ字形プレート75bに横設された軸77は、長孔78内を摺動しての位置まで移動する。このとき、油圧感度調節レバー31の水平軸31bは、長孔76内を摺動して中間の■の位置で停止している。
【0032】次いで、この状態から、主変速レバー23を操作して、ワイヤ73のインナワイヤを矢印C方向に引くと、L形プレート75cが同方向に移動すると共に、コ字形プレート75bに横設された軸77の突出部は長孔78内を摺動して■の位置に移動し、該長孔78の端部に当接する。続いて、更にワイヤ73のインナワイヤを引くと、L形プレート75c及びコ字形プレート75bの双方が同方向に移動して、フロート感度調節ワイヤ40が同方向に引張られると共に、油圧感度調節レバー31の水平軸31bがコ字形プレート75bの長孔76内を摺動し、端部の■の位置にて停止する。
【0033】このため、例えば、エンジンスロットルレバー20を、低回転数側に操作すると、連結具75を介してフロート感度調節ワイヤ40が緊張され、フロート27が前下り姿勢に調節される(敏感な油圧感度になる)。また、エンジンスロットルレバー20を、高回転数側に操作すると、連結具75を介してフロート感度調節ワイヤ40が弛緩され、フロート27が前上り姿勢に調節される(鈍感な油圧感度になる)。
【0034】同様に、主変速レバー23を低速走行側に操作すると、連結具75を介してフロート感度調節ワイヤ40が緊張され、フロート27が前下り姿勢に調節される(敏感な油圧感度になる)。また、主変速レバー23を高速走行側に操作すると、連結具75を介してフロート感度調節ワイヤ40が弛緩され、フロート27が前上り姿勢に調節される(鈍感な油圧感度になる)。
【0035】図6(a)(b)は、このときのフロート姿勢を示す図である。すなわち、主変速レバー23を高速走行側に操作するか、又はエンジンスロットルレバー20を高回転数側に操作すると、フロート27は前上り姿勢に調節され(図6(a)参照)、反対に、主変速レバー23を低速走行側に操作するか、又はエンジンスロットルレバー20を低回転数側に操作すると、フロート27は前下り姿勢に調節される(図6(b)参照)。
【0036】なお、油圧感度調節レバー31を操作すると、これに伴い連結具75が前後に移動して、フロート感度調節ワイヤ40が操作される。すなわち、例えば、油圧感度調節レバー31を、軸31cを中心としてB方向に傾動操作すると、同方向に連結具75がスライドせしめられ、フロート感度調節ワイヤ40が弛緩されると共に、バルブ連動ワイヤ47が引っ張られて、連牽リンク45等を介してフロート27の後部を下方に押付ける方向に付勢力が作用する。このため、フロート27は前上り姿勢に調節されると共に、該フロート27に作用する感知荷重は増加する。
【0037】また、油圧感度調節レバー31をA方向に傾動操作すると、前記と逆方向に付勢力が作用して、フロート27は前下り姿勢に調節されると共に、該フロート27に作用する感知荷重は減少する。このように、油圧感度調節レバー31の操作によってフロート27の感知荷重及びフロート姿勢が変更される。
【0038】ところで、一般に、機体走行速度が増加すると、フロート27の前部が田面に対して浮きぎみとなるため、浮き苗が発生し、これを解決するためには、油圧感度を調節することにより行う。この場合の油圧感度は、フロート27の感知荷重を増加させて該フロート27の上昇を抑制すべく荷重を調節する方法と、フロート27の姿勢を変化させて油圧制御バルブ32を下げ方向に働き易くするフロート姿勢を調節する方法とが考えられるが、本実施の形態では、油圧感度として、フロート姿勢を調節することで行うこととした。
【0039】また、本実施の形態では、主変速レバー23の操作に基づくフロート27の油圧感度の調節量を、エンジンスロットルレバー20の操作に基づくフロート27の油圧感度の調節量よりも大きくしている(図5(b)参照)。これにより、エンジンスロットルレバー20を操作すると、その操作量に応じてフロート姿勢が変化すると共に、主変速レバー23を操作すると、更に大きくフロート姿勢を変化させることができる。
【0040】次いで、作用について説明する。
【0041】植付クラッチレバー22を「自動」位置に操作すると、フロート27に作用する浮力に基づき、連繋機構35を介して油圧制御バルブ32が自動的に制御される。即ち、植付部24が適正植付位置にある場合、油圧制御バルブ32をホールドして植付部24をその位置に保持する。
【0042】この状態から、植付作業中に圃場の条件等によりフロート27の姿勢が乱れた場合、例えば植付部24が田面に対して上昇してフロート27に作用する浮力が減少すると、フロート27の前方が下がり、該動きは感知プレート38及び長孔38aの所定位置に位置決めされているピン41を介して、揺動アーム42aに回動支点57を中心とする反時計方向の回転として伝えられ(図2参照)、揺動アーム42bも同方向に回転して感知ロッド43を図2の左方向に押圧する。
【0043】これにより、枢支連結部66を中心として変換レバー64が図2の反時計方向に回動し、連牽リンク45を図面左方向に移動させる。このときの移動量は、ピン68を介してアーム33に伝達され、油圧制御バルブ32の作動軸32aを時計方向に回転させて、該油圧制御バルブ32を、油圧シリンダ30内の油を排出するように切換え、該シリンダ30を収縮して植付部24を下げる。
【0044】反対に、植付部24が下降してフロート27に作用する浮力が増大すると、フロート27の前方が持上り、該動きは感知プレート38、揺動アーム42a,42b、及び感知ロッド43を介して、枢支連結部66を中心として変換レバー64を図2の時計方向に回動させる。この変換レバー64の回動により、連牽リンク45を図面右方向に移動させる。このときの移動量は、ピン68を介してアーム33に伝達され、油圧制御バルブ32の作動軸32aを反時計方向に回転させて、油圧制御バルブ32を、油圧シリンダ30に圧油を圧送するように切換え、該シリンダ30を伸長して植付部24を上昇させる。
【0045】そして、比較的軟らかい田面においては、フロート27の感知感度を上げることにより植付部24の昇降制御を行うことができるため、油圧感度調節レバー31を所定位置から感度を上げる方向に操作することで、適切な植付部24の昇降制御を行うことができ、同時にフロート27の姿勢も調節され、より適切な植付部24の昇降制御が行われる。
【0046】また、比較的硬い田面においては、フロート27の感知感度を下げることにより植付部24の昇降制御を行うことができるため、油圧感度調節レバー31を所定位置から感度を下げる方向に操作することで、適切な植付部24の昇降制御を行うことができ、同時にフロート27の姿勢も調節され、より適切な植付部24の昇降制御が行われる。
【0047】次に、本実施の形態によれば、エンジンスロットルレバー20の操作により、エンジン回転数を変更すると、これに連動してフロート27の姿勢が変更され、また、主変速レバー23の操作により、機体走行速度が変更されると、これに連動してフロート27の姿勢が変更される。このとき、機体走行速度の調整代としては、エンジンスロットルレバー20よりも主変速レバー23の方が大きいため、フロート姿勢の変更量の観点からは、主変速レバー23の操作に基づくフロート姿勢の変更量を、エンジンスロットルレバー20の操作に基づくフロート姿勢の変更量よりも大きくした。このようにして、エンジン回転数と機体走行速度の変化に合せて、フロート姿勢を調節可能として、作業の高速化に対してもフロート27の田面への追従性を損なわず、植付精度の安定化が図られる。
【0048】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1記載の発明によれば、油圧感度調節手段に、エンジン回転数調節手段と変速操作手段とを連係し、これらエンジン回転数調節手段と変速操作手段の少なくともいずれか一方の操作に基づき、前記接地体の油圧感度を調節可能としたことにより、エンジン回転数と機体走行速度の変化に合せて、接地体の油圧感度が調節されるので、作業の高速化に対しても、接地体の田面への追従性を損なわず、作業精度の安定化と向上を図ることができる。
【0049】請求項2記載の発明によれば、変速操作手段の操作による油圧感度の調節量を、エンジン回転数調節手段の操作による油圧感度の調節量よりも大きくし、いわばエンジン回転数調節手段よりも速度調整代の大きい変速操作手段による油圧感度の調節量を大きくしたので、例えば高速走行時には接地体の瞬時のジャンピング等を防止することができる。
【0050】請求項3記載の発明によれば、油圧感度の調節は、接地体の姿勢を調節することで行うことにより、例えば高速走行時には、接地体を前上り姿勢(接地体の後部を下げた状態)に大きく変更して油圧制御バルブを下げ方向に働き易くして、浮き苗を防止することができる。
【出願人】 【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱農機株式会社
【出願日】 平成13年1月16日(2001.1.16)
【代理人】 【識別番号】100082337
【弁理士】
【氏名又は名称】近島 一夫 (外1名)
【公開番号】 特開2002−209412(P2002−209412A)
【公開日】 平成14年7月30日(2002.7.30)
【出願番号】 特願2001−7843(P2001−7843)