| 【発明の名称】 |
作業車両の作業機ローリング制御装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】小野 弘喜
【氏名】伊藤 志郎
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| 【要約】 |
【課題】車体の後部に連結した作業機のローリング制御を行う際に、作業車両が凹凸地面を通過する際に作業機による均平性を向上させる。
【解決手段】ローリング制御中は傾斜センサが検出した車体の傾斜を傾斜軌跡としてメモリに記憶する。この傾斜軌跡に基づいてコントローラは作業機の傾斜補正量を演算し、車体の傾斜変化発生から所定距離走行して作業機がその傾斜部分を通過するときに、作業機のローリング姿勢を車体の傾斜方向へ補正する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 車体の後部に昇降自在且つ左右ローリング姿勢を変更自在に連結した作業機12を備え、車体に傾斜センサ17を設けるとともに車体と作業機の相対角度を検出するセンサ31を設けて前記ローリング姿勢を設定角度に維持する作業車両10に於いて、ローリング制御中は車体の傾斜を記憶し、走行面の凹部を検出したときには作業機12がその傾斜部分を通過する前に、作業機12のローリング姿勢を前記設定角度よりも車体の傾斜方向へ補正する制御手段50を設けたことを特徴とする作業車両の作業機ローリング制御装置。 【請求項2】 上記制御手段50は、車体の走行速度並びに後輪32の設定位置と作業機の作業位置までの距離Lに基づいて、ローリング姿勢変位置を補正する補正手段を備えた請求項1記載の作業車両の作業機ローリング制御装置。 【請求項3】 上記後輪32の設置位置と作業機の作業位置までの距離Lは、作業機12の種類に応じて変更可能にした請求項2記載の作業車両の作業機ローリング制御装置。 【請求項4】 上記後輪32の設置位置上で且つ左右略中央部位置に上下方向の加速度を検出するセンサ33を設け、該センサ33にて検出した加速度の方向により、上記作業機12のローリング姿勢の補正量を調整する請求項1,2または3記載の作業車両の作業機ローリング制御装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は作業車両の作業機ローリング制御装置に関するものであり、特に、トラクタ等の作業車両が凹凸地面を通過する際に、車体後部に連結したロータリ等の作業機による均平性を向上させた作業機ローリング制御装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】トラクタ等の作業車両には、車体の後部にリンク機構を介してロータリ等の作業機を昇降自在に連結し、且つ、前記リンク機構にアクチュエータを設けて作業機の左右ローリング姿勢を変更自在にした構成が知られている。また、車体に左右のローリング角を検出する傾斜センサを設けるとともに、車体若しくは作業機には車体と作業機の相対角度を検出するセンサを設置する。そして、前記傾斜センサの検出値に基づいてアクチュエータを駆動し、作業機のローリング姿勢を水平若しくは任意の角度に維持調整する作業機ローリング制御を行っている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】前記トラクタで圃場を前進走行にて耕耘する場合、ロータリ作業機ではカバー内に一定量の土を保持しながら走行することとなる。そして、車体が凹部を通過するときには、前記保持している土にて圃場面を均平に仕上げるものであるが、例えばロータリの切り上げ跡や車輪の旋回跡のような大きな凹部では、前記保持する土の量が不足して耕耘後は均平にならないという課題があった。 【0004】そこで、車体の後部に連結した作業機のローリング制御を行う際に、作業車両が凹凸地面を通過する際に作業機による均平性を向上させるために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、車体の後部に昇降自在且つ左右ローリング姿勢を変更自在に連結した作業機12を備え、車体に傾斜センサ17を設けるとともに車体と作業機の相対角度を検出するセンサ31を設けて前記ローリング姿勢を設定角度に維持する作業車両10に於いて、ローリング制御中は車体の傾斜を記憶し、走行面の凹部を検出したときには作業機12がその傾斜部分を通過する前に、作業機12のローリング姿勢を前記設定角度よりも車体の傾斜方向へ補正する制御手段50を設けた作業車両の作業機ローリング制御装置、及び、上記制御手段50は、車体の走行速度並びに後輪32の設定位置と作業機の作業位置までの距離Lに基づいて、ローリング姿勢変位置を補正する補正手段を備えた作業車両の作業機ローリング制御装置、上記後輪32の設置位置と作業機の作業位置までの距離Lは、作業機12の種類に応じて変更可能にした作業車両の作業機ローリング制御装置、上記後輪32の設置位置上で且つ左右略中央部位置に上下方向の加速度を検出するセンサ33を設け、該センサ33にて検出した加速度の方向により、上記作業機12のローリング姿勢の補正量を調整する作業車両の作業機ローリング制御装置を提供するものである。 【0006】 【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施の形態を図面に従って詳述する。図1及び図2は農作業車両の一例としてトラクタ10を示し、車体の後部にリンク機構11を介してロータリ等の作業機12が連結されている。運転席13の近傍には作業機12の昇降位置を設定するポジションレバー14、作業機12の耕深量を設定する耕深調整ダイヤル15、車体に対する作業機12の左右ローリング角を調整する傾き調整ダイヤル16等が設けられ、運転席13の下部には車体の左右ローリング角を検出する傾斜センサ17や、車体の走行速度を検出する車速センサ18等が設けられている。尚、車体のローリング角を検出する傾斜センサ17は、角速度センサにて構成されており、車体が通過する凹凸地面を応答遅れなく速やか且つ確実に検出できる。 【0007】前記リンク機構11はトップリンク20と左右のロワリンク21,21とからなり、左右のリフトアーム22,22の先端とロワリンク21,21をリフトロッド23,23にて連結し、リフトシリンダ24の駆動にてリフトアーム22を回動することにより、リフトロッド23,23を介してロワリンク21,21が上下動する。斯くして、ロワリンク21,21の先端部を回動中心に前記ロータリ作業機12が昇降する。 【0008】リフトアーム22の回動基部には、対地作業機の昇降高さを検出する手段としてリフトアーム角センサ25が設けられ、このリフトアーム角センサ25にてリフトアーム22の回動角を検出し、作業機12の昇降高さを演算する。また、作業機12のメインカバー26の後端部にリヤカバー27を回動自在に取り付け、リヤカバーセンサ28によりリヤカバー27の回動角度を検出して、作業機12のデプス制御を行えるように形成されている。 【0009】一方、作業機12の左右ローリング角を変更するためのアクチュエータとして、左右どちらかのリフトロッド23の途中にローリングシリンダ30を設け、該ローリングシリンダ30を伸縮させてロワリンク21のリフト量を左右で変えることにより、車体に対する作業機12の左右ローリング角を変更できる。そして、前記ローリングシリンダ30に隣接してストロークセンサ31を設け、該ストロークセンサ31によりローリングシリンダ30の伸縮長さを検出して車体と作業機12の相対角度を検出するとともに、調整器である前記傾き調整ダイヤル17の設定値に応じてローリングシリンダ30を駆動し、作業機12のローリング制御を行えるようにしてある。 【0010】また、後輪32の軸心上に上下方向の加速度を検出する加速度センサ33を設置する。該加速度センサ33の設置位置は、左右の後輪32,32の幅内であればどこであってもよいが、左右略中央部位置が望ましい。後述するように、該加速度センサ33によって後輪32が上昇側に動いたか或いは下降側に動いたかを検出し、車体が地面の凸部を通過したか或いは凹部を通過したかを判別する。尚、後輪32の軸心と作業機12の作業回転軸34の軸心までの距離Lを予め計測してメモリに記憶しておく。この距離Lは作業機12の種類に応じて異なるため、メモリに記憶された距離Lのデータは、後述の作業機選択スイッチ40または距離調整ダイヤル45によって随時変更可能である。 【0011】ここで、運転席13の前方には車体の操向操作部であるステアリングハンドル35が設けられ、該ステアリングハンドル35の回転操作は操向装置36へ伝達され、該ステアリングハンドル35の回転操作に従って操向装置36が駆動され、前輪37が左右何れかの方向へ回向する。ステアリングハンドル35の操向操作量はステアリング切れ角センサ38によって検出する。尚、39は前記ポジションレバー14とは別のスイッチ式作業機昇降操作手段としての作業機昇降レバーであり、この作業機昇降レバー39の操作によって前記作業機12を作業位置から所定高さまで連続的に上昇させ、或いは、前記作業機12を所定高さから作業位置まで連続的に下降させる。 【0012】図3は制御系のブロック図であり、前述したポジションレバー14や耕深調整ダイヤル15等のレバーやスイッチ類の設定信号と、傾斜センサ17や車速センサ18等のセンサ類の検出信号とがコントローラ50に入力される。コントローラ50はこれら入力信号に基づいて種々の演算処理を行い、後述する制御手順に従って、前記リフトシリンダ24を制御する電磁比例弁の上昇用ソレノイド41または下降用ソレノイド42、並びに、前記ローリングシリンダ30を制御する電磁比例弁の右上げソレノイド43または右下げソレノイド44へ、夫々制御信号を出力する。 【0013】尚、前記運転席13の近傍位置には、図4(a)に示すような作業機選択スイッチ40が設けられており、車体に連結する作業機12の種類に応じて、例えば「作業機A」「作業機B」「作業機C」…のように、複数の接点を有する設定手段を切り換えて作業機12を選択することにより、夫々の作業機12に応じて、前述した後輪32の軸心と作業機12の作業回転軸34の軸心までの距離Lを変更してコントローラ50のメモリに記憶させる。或いは、図4(b)に示すような距離調整ダイヤル45を設け、該距離調整ダイヤル45の回転操作により、前記距離Lを任意に設定するように構成してもよい。 【0014】図5は本発明の作業機ローリング制御装置の制御手順を示すフローチャートであり、ローリング制御中は傾斜センサ17により車体の左右方向の傾斜を検出するとともに、前記ストロークセンサ31により車体と作業機の相対角度を検出して、作業機12の左右ローリング角を演算する。そして、車体の傾斜変化の軌跡をメモリに記憶し、前記傾き調整ダイヤル16にて設定したローリング姿勢を保持すべく、コントローラ50から右上げソレノイド43または右下げソレノイド44へ制御信号を出力して前記ローリングシリンダ30を伸縮駆動し、作業機12のローリング姿勢を調整する。 【0015】いま、車体が地面の凹凸部分を通過した場合、作業機12は車体通過よりもやや遅れて凹凸部分を通過する。この凹凸部分は作業機12の耕耘によって均平されるが、例えばロータリの切り上げ跡のような窪みは土が少ないので、作業機12の通過時に土の量が不足して耕耘後でも均平されないことがある。この不具合を解消するために、車体の傾斜変化が発生したときに車体の傾斜方向を記憶しておき、傾斜変化発生から車体が所定距離だけ走行して、作業機12がその傾斜部分(前記凹凸部分)を通過するときに、前記記憶した傾斜方向へ作業機12のローリング姿勢を補正することにより、ロータリ内で攪拌できる土の量がある程度確保できるため、窪みなどがあった場合でも均平性が向上する。 【0016】即ち、傾斜センサ17にて検出した車体の傾斜角に基づいて、傾き調整ダイヤル16の設定値を補正し、補正された傾き指定値とストロークセンサ31による作業機12の傾斜量を比較してその差を確認し、車体の傾斜変化発生から車体が所定距離だけ走行したときに、前記傾斜量の差に応じて、右上げソレノイド43または右下げソレノイド44に制御信号を出力して、作業機12のローリング姿勢を車体の傾斜方向へ補正する。尚、前記傾斜センサ17は角速度センサであるため応答性がよく、この角速度が規定値以上発生したときは、傾き調整ダイヤル16の設定値を補正しないで素早く応答する。このように、車体の傾斜に基づく通常のローリング制御と、車体の傾斜軌跡に基づく補正されたローリング制御とを、角速度の大きさによって選択することにより、最適なローリング制御を実行できる。 【0017】ここで、車体の傾斜変化発生から車体が走行する所定距離は、前述した後輪32の軸心と作業機12の作業回転軸34の軸心までの距離Lとする。これは、近年の一般的なトラクタは前輪37が車軸中央部を支点に上下に揺動するように構成されており、リジットに接続されている後輪32が窪みに落下したときに大きな傾斜を発生するので、後輪32の軸心と作業機12の作業回転軸34の軸心までの距離Lを遅れ時間として演算することにより、作業機12の傾きを正確に補正できるからである。従って、車速センサ18にて検出した車体の走行速度とこの距離Lから、作業機12が前記凹凸部分を通過するタイミングを正確に演算し、前記傾斜量の差に応じて作業機12のローリング姿勢を車体の傾斜方向へ補正する。 【0018】尚、前記傾斜センサ17の設置位置としては、前述した運転席13の下方部や後輪32の軸心上方部ではなく、前輪37をローリング支持するフロントアクスルケース(図示せず)の上部に設置することもできる。然るときは、前輪37の軸心と作業機12の作業回転軸34の軸心までの距離に基づいて、作業機12が前記凹凸部分を通過するタイミングを演算することにより、傾斜状態が顕著に表れて傾斜センサ17にて迅速且つ的確に検出することができる。 【0019】また、後輪32の軸芯上に設けた前記加速度センサ33により上下方向の加速度を検出し、後輪32が上昇方向に変化したときと下降方向に変化したときとで、作業機12が通過したときの傾斜補正を変更する。即ち、後輪32が上昇方向に変化したときは凸部を通過したときであり、地面の土の量が十分にあるため、リヤカバー27での均平も可能であるから、作業機12の傾斜補正を少なくするか或いはまったく補正しない。これに対して、後輪32が下降方向に変化したときは凹部を通過したときであり、窪みになっているため土の量が少ないので、作業機12の傾斜補正量を大きくことにより、土の抱え込み量を増加させて均平性を確保する。 【0020】図6は作業機ローリング制御に伴って実行される作業機デプス制御の制御手順を示すフローチャートであり、前述した作業機12の傾斜補正を実行したときは、この傾斜補正量に応じて前記耕深調整ダイヤル15の設定値よりも耕深目標値を深めに補正し、補正された耕深目標値とリヤカバーセンサ28による作業機12の耕深量を比較し、その差に応じて、上昇ソレノイド41または下降ソレノイド42に制御信号を出力して、作業機12の高さを補正する。 【0021】また、後輪32の軸芯上に設けた前記加速度センサ33により上下方向の加速度を検出し、後輪32が上昇方向に変化したときと下降方向に変化したときとで、作業機12の耕深補正量を調整する。即ち、後輪32が上昇方向に変化したときは凸部を通過したときであり、地面の土の量が十分にあるため、深めに耕深すると負荷が過大となる虞があるので、作業機12の耕深補正量を少なくするか或いはまったく補正しない。これに対して、後輪32が下降方向に変化したときは凹部を通過したときであり、窪みになっているため土の量が少ないので、作業機12の耕深補正量を大きくことにより、土の抱え込み量を増加させて均平性を確保する。 【0022】ここで、図示は省略するが、作業機としてプラウを使用する場合、トップリンクにかかる負荷をトップリンクセンサにて検出してドラフト制御を行うことがあるが、トップリンクセンサによる負荷検出は安定性がやや低い。ロワリンクにかかる負荷を検出する方法もあるが、現行の機械がそのままでは使用できずに設計変更が必要である。一方、エンジン回転数センサにてエンジン回転の変動を検出する方法もあるが、トップリンクセンシングよりも応答性が悪い。そこで、トップリンクセンシングとエンジン負荷制御とをミックスした制御を行う。 【0023】然るときは、トップリンクセンサとエンジン回転数センサの双方の検出値を読み取り、先に不感帯を超えたほうのセンサ値を基準に制御を実行する。そして、そのセンサ値が再び不感帯に入るまで制御を継続する。斯くして、トップリンクセンシングの短所とエンジン負荷制御の短所を夫々補完しながら、現行の機械を変更することなく、安価で正確なドラフト制御を実行することができる。 【0024】尚、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。 【0025】 【発明の効果】本発明は上記一実施の形態に詳述したように、請求項1記載の発明は、車体の傾斜を記憶し、車体が所定距離走行して作業機がその傾斜部分を通過するときに、作業機のローリング姿勢を車体の傾斜方向へ補正するので、作業機が地面の傾斜に追従して均平性を向上させることができる。 【0026】請求項2記載の発明は、車体の走行速度並びに後輪の設定位置と作業機の作業位置までの距離に基づいてローリング姿勢変位量を補正するため、車体の傾斜に対する作業機の遅れを正確に演算できる。 【0027】請求項3記載の発明は、上記後輪の設定位置と作業機の作業位置までの距離は、作業機の種類に応じて変更可能にしたので、何れの作業機を使用した場合でも傾斜補正を行うタイミングを正確にできる。 【0028】請求項4記載の発明は、後輪軸上に加速度センサを設けて上下方向の加速度を検出し、加速度の方向によって作業機のローリング姿勢の補正量を調整するので、地面の凹凸に応じて最適な傾斜補正が行われ、均平性を向上できる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000000125 【氏名又は名称】井関農機株式会社
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| 【出願日】 |
平成13年4月6日(2001.4.6) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100060575 【弁理士】 【氏名又は名称】林 孝吉
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| 【公開番号】 |
特開2002−305912(P2002−305912A) |
| 【公開日】 |
平成14年10月22日(2002.10.22) |
| 【出願番号】 |
特願2001−108805(P2001−108805) |
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