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【発明の名称】 田植機の操作装置
【発明者】 【氏名】藤井 健次

【氏名】田中 富穂

【氏名】窪津 誠

【氏名】中川 善清

【要約】 【課題】作業の多様化を促進する。

【解決手段】苗植付装置を自動昇降する自動昇降状態と強制上昇状態とに切り換え自在な昇降手段を設け、苗植付装置2への伝動を断続する植付クラッチ17を設け、左右一対の線引きマーカ16を設け、苗植付装置の強制上昇に基づいて線引きマーカ16を格納姿勢に切り換えて固定するマーカ格納手段を設け、多機能操作具11の上方への操作動に伴い昇降手段を強制上昇状態に切り換えるとともに多機能操作具11の下方への操作動に伴い昇降手段を自動昇降状態に切り換えるように構成し、多機能操作具11の前方への操作動に伴い一方の線引きマーカ16に対する固定を解除しかつ後方への操作動に伴い他方の線引きマーカ16に対する固定を解除する状態にマーカ格納手段を操作するように構成し、植付クラッチ操作用操作具20を多機能操作具11とは別に設ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 自走本機の後部に接地圧センサを備えた苗植付装置を昇降自在に連結し、前記接地圧センサの接地圧が設定範囲に維持されるように苗植付装置を自動昇降する自動昇降状態と前記接地圧センサに優先して苗植付装置を上昇させる強制上昇状態とに切り換え自在な昇降手段を設け、前記苗植付装置への伝動系に伝動を断続する植付クラッチを介装し、左右外方に突出して次回植付予定田面に走行指標線を形成する作用姿勢と左右内方に引退した格納姿勢とに切り換え自在な左右一対の線引きマーカを設け、前記苗植付装置の強制上昇に基づいて作用姿勢にある前記線引きマーカを格納姿勢に切り換えて固定するマーカ格納手段を設け、互いに直交する2方向に沿って操作自在で交差部に位置するように付勢された多機能操作具を設け、この多機能操作具の一方の方向に沿っての交差部から一方側への上昇用操作動に伴い前記昇降手段を強制上昇状態に切り換えるとともに前記多機能操作具の一方の方向に沿っての交差部から他方側への下降用操作動に伴い前記昇降手段を自動昇降状態に切り換えるように構成し、前記多機能操作具の他方の方向に沿っての交差部から一方側へのマーカ出し用操作動に伴い一方の線引きマーカに対する固定を解除する状態にマーカ格納手段を操作するとともに前記多機能操作具の他方の方向に沿っての交差部から他方側へのマーカ出し用操作動に伴い他方の線引きマーカに対する固定を解除する状態にマーカ格納手段を操作するように構成してある田植機において、前記植付クラッチを操作するための操作具を前記多機能操作具とは別に設けてある田植機の操作装置。
【請求項2】 前記操作具が、植付クラッチを入り操作するためのクラッチ入りスイッチを操作するものであり、前記植付クラッチを切り操作するためのクラッチ切りスイッチは、上昇用操作動する多機能操作具により操作されるものである請求項1記載の田植機の操作装置。
【請求項3】 自走本機の後部に接地圧センサを備えた苗植付装置を昇降自在に連結し、前記接地圧センサの接地圧が設定範囲に維持されるように苗植付装置を自動昇降する自動昇降状態と前記接地圧センサに優先して苗植付装置を上昇させる強制上昇状態とに切り換え自在な昇降手段を設け、前記苗植付装置への伝動系に伝動を断続する植付クラッチを介装し、左右外方に突出して次回植付予定田面に走行指標線を形成する作用姿勢と左右内方に引退した格納姿勢とに切り換え自在な左右一対の線引きマーカを設け、前記苗植付装置の強制上昇に基づいて作用姿勢にある前記線引きマーカを格納姿勢に切り換えて固定するマーカ格納手段を設け、互いに直交する2方向に沿って操作自在で交差部に位置するように付勢された多機能操作具を設け、この多機能操作具の一方の方向に沿っての交差部から一方側への上昇用操作動に伴い前記昇降手段を強制上昇状態に切り換えるとともに前記多機能操作具の一方の方向に沿っての交差部から他方側への下降用操作動に伴い前記昇降手段を自動昇降状態に切り換えるように構成し、前記多機能操作具の他方の方向に沿っての交差部から一方側へのマーカ出し用操作動に伴い一方の線引きマーカに対する固定を解除する状態にマーカ格納手段を操作するとともに前記多機能操作具の他方の方向に沿っての交差部から他方側へのマーカ出し用操作動に伴い他方の線引きマーカに対する固定を解除する状態にマーカ格納手段を操作するように構成してある田植機において、前記マーカ出し用操作動する多機能操作具により操作されて前記植付クラッチを入り作動させる入り操作用スイッチを設け、この入り操作用スイッチが入り操作されても植付クラッチの入り作動を牽制する状態と牽制解除状態とに切り換え自在な牽制手段を設けてある田植機の操作装置。
【請求項4】 自走本機の後部に接地圧センサを備えた苗植付装置を昇降自在に連結し、前記接地圧センサの接地圧が設定範囲に維持されるように苗植付装置を自動昇降する自動昇降状態と前記接地圧センサに優先して苗植付装置を上昇させる強制上昇状態とに切り換え自在な昇降手段を設け、前記苗植付装置への伝動系に伝動を断続する植付クラッチを介装し、左右外方に突出して次回植付予定田面に走行指標線を形成する作用姿勢と左右内方に引退した格納姿勢とに切り換え自在な左右一対の線引きマーカを設け、前記苗植付装置の強制上昇に基づいて作用姿勢にある前記線引きマーカを格納姿勢に切り換えて固定するマーカ格納手段を設け、互いに直交する2方向に沿って操作自在で交差部に位置するように付勢された多機能操作具を設け、この多機能操作具の一方の方向に沿っての交差部から一方側への上昇用操作動に伴い前記昇降手段を強制上昇状態に切り換えるとともに前記多機能操作具の一方の方向に沿っての交差部から他方側への下降用操作動に伴い前記昇降手段を自動昇降状態に切り換えるように構成し、前記多機能操作具の他方の方向に沿っての交差部から一方側へのマーカ出し用操作動に伴い一方の線引きマーカに対する固定を解除する状態にマーカ格納手段を操作するとともに前記多機能操作具の他方の方向に沿っての交差部から他方側へのマーカ出し用操作動に伴い他方の線引きマーカに対する固定を解除する状態にマーカ格納手段を操作するように構成してある田植機において、前記苗植付装置が昇降している状態での前記多機能操作具の前記2方向とは異なる特定方向への操作動に伴い前記昇降手段を昇降停止状態に切り換える停止手段を設けてある田植機の操作装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、田植機の操作装置で、詳しくは、自走本機の後部に接地圧センサを備えた苗植付装置を昇降自在に連結し、前記接地圧センサの接地圧が設定範囲に維持されるように苗植付装置を自動昇降する自動昇降状態と前記接地圧センサに優先して苗植付装置を上昇させる強制上昇状態とに切り換え自在な昇降手段を設け、前記苗植付装置への伝動系に伝動を断続する植付クラッチを介装し、左右外方に突出して次回植付予定田面に走行指標線を形成する作用姿勢と左右内方に引退した格納姿勢とに切り換え自在な左右一対の線引きマーカを設け、前記苗植付装置の強制上昇に基づいて作用姿勢にある前記線引きマーカを格納姿勢に切り換えて固定するマーカ格納手段を設け、互いに直交する2方向に沿って操作自在で交差部に位置するように付勢された多機能操作具を設け、この多機能操作具の一方の方向に沿っての交差部から一方側への上昇用操作動に伴い前記昇降手段を強制上昇状態に切り換えるとともに前記多機能操作具の一方の方向に沿っての交差部から他方側への下降用操作動に伴い前記昇降手段を自動昇降状態に切り換えるように構成し、前記多機能操作具の他方の方向に沿っての交差部から一方側へのマーカ出し用操作動に伴い一方の線引きマーカに対する固定を解除する状態にマーカ格納手段を操作するとともに前記多機能操作具の他方の方向に沿っての交差部から他方側へのマーカ出し用操作動に伴い他方の線引きマーカに対する固定を解除する状態にマーカ格納手段を操作するように構成してあるものに関する。
【0002】
【従来の技術】従来では、前記マーカ出し用操作動する多機能操作具により操作されて前記植付クラッチを入り作動させる入り操作用スイッチを設けて、植付クラッチを入り作動させるようにしていた。
【0003】また、従来では、多機能操作具を上昇用操作動させると、苗植付装置が昇降範囲の上限まで上昇して停止し、多機能操作具を下降用操作動させると、接地圧センサの接地圧が設定範囲に維持されるようになるまで苗植付装置が下降するものであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の技術によるときは次のような欠点があった。
【0005】苗植付形態には、先ず最初に、植え付け作業を行わずに走行して枕地を形成した後に植付走行を行う形態がある。そのような場合、多機能操作具のマーカ出し用操作動で植付クラッチを入り作動させる上記の従来技術では、多機能操作具を操作して線引きマーカを作用姿勢に切り換えると植付クラッチが入り作動するから、最初の植え付け作業を行わずに走行して枕地を形成する際、マーカを作用姿勢に切り換えずに走行する必要があり、次回走行予定田面に走行指標線を形成することができない。
【0006】また、苗植付装置に対するメンテナンスを行う場合、苗植付装置をそれの昇降範囲の中間で停止保持して行う方が作業性良く行えるときがある。しかし、上記従来の技術では、昇降範囲の上限位置か接地位置に苗植付装置が位置しているときのみに昇降停止できるものであったから、苗植付装置を昇降範囲の中間で停止保持しての作業性の良いメンテナンスを行うことができなかった。
【0007】本発明の目的は、上記従来欠点を解消する点にある。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る本発明による田植機の操作装置の特徴・作用・効果は次の通りである。
【0009】〔特徴〕自走本機の後部に接地圧センサを備えた苗植付装置を昇降自在に連結し、前記接地圧センサの接地圧が設定範囲に維持されるように苗植付装置を自動昇降する自動昇降状態と前記接地圧センサに優先して苗植付装置を上昇させる強制上昇状態とに切り換え自在な昇降手段を設け、前記苗植付装置への伝動系に伝動を断続する植付クラッチを介装し、左右外方に突出して次回植付予定田面に走行指標線を形成する作用姿勢と左右内方に引退した格納姿勢とに切り換え自在な左右一対の線引きマーカを設け、前記苗植付装置の強制上昇に基づいて作用姿勢にある前記線引きマーカを格納姿勢に切り換えて固定するマーカ格納手段を設け、互いに直交する2方向に沿って操作自在で交差部に位置するように付勢された多機能操作具を設け、この多機能操作具の一方の方向に沿っての交差部から一方側への上昇用操作動に伴い前記昇降手段を強制上昇状態に切り換えるとともに前記多機能操作具の一方の方向に沿っての交差部から他方側への下降用操作動に伴い前記昇降手段を自動昇降状態に切り換えるように構成し、前記多機能操作具の他方の方向に沿っての交差部から一方側へのマーカ出し用操作動に伴い一方の線引きマーカに対する固定を解除する状態にマーカ格納手段を操作するとともに前記多機能操作具の他方の方向に沿っての交差部から他方側へのマーカ出し用操作動に伴い他方の線引きマーカに対する固定を解除する状態にマーカ格納手段を操作するように構成してある田植機において、前記植付クラッチを操作するための操作具を前記多機能操作具とは別に設けてある点にある。
【0010】〔作用〕植付クラッチを操作するための操作具を多機能操作具とは別に設けてあるから、植付クラッチを入り作動させて線引きマーカを作用姿勢に切りかえることができるのみならず、植付クラッチを入り作動させずに線引きマーカを作用姿勢に切り換えることができる。
【0011】〔効果〕従って、通常の植え付け走行時に次回植付予定田面に走行指標線を形成できることはもちろん、先ず最初に、植え付け作業を行わずに走行して枕地を形成した後に植付走行を行う形態を採用した場合であっても、最初の植え付けを伴わない枕地形成用の走行に伴って、次回植付予定田面に走行指標線を形成することができて、作業の多様化を促進できるようになった。
【0012】請求項2に係る本発明による田植機の操作装置の特徴・作用・効果は次の通りである。
【0013】〔特徴〕上記請求項1に係る本発明による田植機の操作装置において、前記操作具が、植付クラッチを入り操作するためのクラッチ入りスイッチを操作するものであり、前記植付クラッチを切り操作するためのクラッチ切りスイッチは、上昇用操作動する多機能操作具により操作されるものである点にある。
【0014】〔作用〕操作具として、植付クラッチを入り操作するためのクラッチ入りスイッチを操作するものを設け、植付クラッチを切り操作するためのクラッチ切りスイッチとして、上昇用操作動する多機能操作具により操作されるものを設けてあるから、植付クラッチを入り作動させずに線引きマーカを作用姿勢に切り換えることができるのみならず、苗植付装置を上昇させた場合には、クラッチ切りスイッチを上昇用操作動する多機能操作具で操作して植付クラッチを切り作動させることにより、苗植付装置上昇時に要求される苗植付装置の作動停止を確実に行うことができる。
【0015】〔効果〕従って、作業の多様化を促進できるのみならず、苗植付装置を強制上昇させたときに必須の苗植付装置の停止を、そのための操作を特に有することなく確実に行えるようになった。
【0016】請求項3に係る本発明による田植機の操作装置の特徴・作用・効果は次の通りである。
【0017】〔特徴〕自走本機の後部に接地圧センサを備えた苗植付装置を昇降自在に連結し、前記接地圧センサの接地圧が設定範囲に維持されるように苗植付装置を自動昇降する自動昇降状態と前記接地圧センサに優先して苗植付装置を上昇させる強制上昇状態とに切り換え自在な昇降手段を設け、前記苗植付装置への伝動系に伝動を断続する植付クラッチを介装し、左右外方に突出して次回植付予定田面に走行指標線を形成する作用姿勢と左右内方に引退した格納姿勢とに切り換え自在な左右一対の線引きマーカを設け、前記苗植付装置の強制上昇に基づいて作用姿勢にある前記線引きマーカを格納姿勢に切り換えて固定するマーカ格納手段を設け、互いに直交する2方向に沿って操作自在で交差部に位置するように付勢された多機能操作具を設け、この多機能操作具の一方の方向に沿っての交差部から一方側への上昇用操作動に伴い前記昇降手段を強制上昇状態に切り換えるとともに前記多機能操作具の一方の方向に沿っての交差部から他方側への下降用操作動に伴い前記昇降手段を自動昇降状態に切り換えるように構成し、前記多機能操作具の他方の方向に沿っての交差部から一方側へのマーカ出し用操作動に伴い一方の線引きマーカに対する固定を解除する状態にマーカ格納手段を操作するとともに前記多機能操作具の他方の方向に沿っての交差部から他方側へのマーカ出し用操作動に伴い他方の線引きマーカに対する固定を解除する状態にマーカ格納手段を操作するように構成してある田植機において、前記マーカ出し用操作動する多機能操作具により操作されて前記植付クラッチを入り作動させる入り操作用スイッチを設け、この入り操作用スイッチが入り操作されても植付クラッチの入り作動を牽制する状態と牽制解除状態とに切り換え自在な牽制手段を設けてある点にある。
【0018】〔作用〕マーカ出し用操作動する多機能操作具により操作されて植付クラッチを入り作動させる入り操作用スイッチを設けてあるから、多機能操作具をマーカ出し用操作動させるだけで植付クラッチを入り作動させると同時に線引きマーカを作用姿勢に切り換えて、植付走行を行いつつ次回植付予定田面への走行指標線を形成することができる。
【0019】しかも、牽制手段を設けて、マーカ出し用操作動する多機能操作具で入り操作用スイッチが操作されても植付クラッチの入り作動を牽制することが可能なようにしてあるから、植付クラッチを入り作動させずに線引きマーカを作用姿勢に切り換えることができる。
【0020】〔効果〕従って、通常の植え付け走行時に次回植付予定田面に走行指標線を形成できることはもちろん、先ず最初に、植え付け作業を行わずに走行して枕地を形成した後に植付走行を行う形態を採用した場合であっても、最初の植え付けを伴わない枕地形成用の走行に伴って、次回植付予定田面に走行指標線を形成することができて、作業の多様化を促進できるようになった。
【0021】請求項4に係る本発明による田植機の操作装置の特徴・作用・効果は次の通りである。
【0022】〔特徴〕自走本機の後部に接地圧センサを備えた苗植付装置を昇降自在に連結し、前記接地圧センサの接地圧が設定範囲に維持されるように苗植付装置を自動昇降する自動昇降状態と前記接地圧センサに優先して苗植付装置を上昇させる強制上昇状態とに切り換え自在な昇降手段を設け、前記苗植付装置への伝動系に伝動を断続する植付クラッチを介装し、左右外方に突出して次回植付予定田面に走行指標線を形成する作用姿勢と左右内方に引退した格納姿勢とに切り換え自在な左右一対の線引きマーカを設け、前記苗植付装置の強制上昇に基づいて作用姿勢にある前記線引きマーカを格納姿勢に切り換えて固定するマーカ格納手段を設け、互いに直交する2方向に沿って操作自在で交差部に位置するように付勢された多機能操作具を設け、この多機能操作具の一方の方向に沿っての交差部から一方側への上昇用操作動に伴い前記昇降手段を強制上昇状態に切り換えるとともに前記多機能操作具の一方の方向に沿っての交差部から他方側への下降用操作動に伴い前記昇降手段を自動昇降状態に切り換えるように構成し、前記多機能操作具の他方の方向に沿っての交差部から一方側へのマーカ出し用操作動に伴い一方の線引きマーカに対する固定を解除する状態にマーカ格納手段を操作するとともに前記多機能操作具の他方の方向に沿っての交差部から他方側へのマーカ出し用操作動に伴い他方の線引きマーカに対する固定を解除する状態にマーカ格納手段を操作するように構成してある田植機において、前記苗植付装置が昇降している状態での前記多機能操作具の前記2方向とは異なる特定方向への操作動に伴い前記昇降手段を昇降停止状態に切り換える停止手段を設けてある点にある。
【0023】〔作用〕停止手段を設けて昇降手段を昇降停止状態に切り換えるようにしてあるから、苗植付装置を昇降範囲の中間で停止保持することができる。
【0024】しかも、停止手段が、多機能操作具の特定方向への操作動に伴い昇降手段を昇降停止状態に切り換える手段であるから、多機能操作具の一層の多機能化を図って、停止のための特別な操作具が不要である。
【0025】〔効果〕従って、苗植付装置を任意の昇降位置に保持しての苗植付装置に対するメンテナンスを作業性良く行え、しかも、それによる部材数の増加を防止して構造の簡素化及びコストダウンを図ることができるようになった。
【0026】
【発明の実施の形態】〔第1実施形態〕田植機は、図1に示すように、自走本機1の後部に複数条植え式の苗植付装置2を4連リンク機構3を介して昇降自在に連結し、圧油供給に伴い前記苗植付装置2を上昇させるとともに排油に伴い前記苗植付装置2を自重で下降させる昇降手段のアクチュエータである油圧式のリフトシリンダ4を設けて構成されている。
【0027】前記自走本機1は、前部にエンジン5を搭載し、後部に運転座席6を搭載していて、左右一対の操向用の駆動前輪7と左右一対の駆動後輪8とを有する。前記運転座席6の前方には、前記駆動前輪7を操向操作するためのステアリングハンドル9が配置されており、このステアリングハンドル9のハンドルポスト10には、レバー状の多機能操作具11(以下多機能レバーと称する)が取り付けられている。
【0028】前記多機能レバー11は、図2、図4に示すように、互いに直交する2方向に沿って操作自在で交差部に位置するように付勢されたものである。具体的には、横向き軸芯周りで上下に揺動自在で、かつ、縦向き軸芯周りで前後に揺動自在なものであり、かつ、交差部よりも上方の上昇位置Uを越えての斜め上方( 上下方向及び前後方向とは異なる方向)の上昇停止位置US及び、交差部よりも下方の下降位置Dを越えての斜め下方( 上下方向及び前後方向とは異なる方向)の下降停止位置DSにも操作移動可能なものである。
【0029】前記苗植付装置2は、左右方向に設定ストロークで往復移動する苗のせ台12と、この苗のせ台12の移動に連動して苗のせ台12からの苗取出し口と田面との間で上下に循環作動することにより苗のせ台12から1株ずつ取出して田面に植え付ける植付機構13と、走行に伴い田面を滑走して植付予定田面を整地する左右複数の整地フロート14とを備えた周知構造のものであって、整地フロート14の一つは、図2に示すように、接地圧の変動に伴い上下に揺動することでその上下揺動位置を接地圧としてポテンショメータ15aを介して出力する接地圧センサ15を兼用構成している。また、この苗植付装置2には、左右外方に突出して次回植付予定田面に走行指標線MLを形成する作用姿勢と左右内方に引退した格納姿勢とに切り換え自在な左右一対の線引きマーカ16が取り付けられている。加えて、この苗植付装置2への伝動系には、伝動を断続する電動式の植付クラッチ17が介装されている。
【0030】前記昇降手段は、前記接地圧センサ15の接地圧が設定範囲に維持されるように苗植付装置2を自動昇降する自動昇降状態と、前記接地圧センサ15に優先して苗植付装置2を昇降範囲の上限まで上昇させる強制上昇状態とに切り換え自在な昇降制御装置Aを備えた手段であって、昇降制御装置Aは、苗植付装置2が上限まで上昇したことが上限センサ18で検出されたとき、前記リフトシリンダ4に対する制御弁19を中立状態に操作して昇降停止状態に切り換わるように構成されている。
【0031】そして、田植機は、前記苗植付装置2の強制上昇に基づいて作用姿勢にある線引きマーカ16を格納姿勢に切り換えて固定するマーカ格納手段と、前記多機能レバー11とは別の操作具20と、各種スイッチ類と、前記昇降手段の昇降制御装置Aを含むマイクロプロセッサー利用の制御装置Bとを備えている。
【0032】前記マーカ格納手段は、図2、図3の(イ)(ロ)に示すように、苗植付装置2の強制上昇に伴う苗植付装置2の自走本機1に対する変位を利用して引っ張り作動することにより作用姿勢にある線引きマーカ16を格納姿勢に引き上げる引上げワイヤ21と、前記苗植付装置2を上昇させる前記4連リンク機構3の揺動に伴いその4連リンク機構3に付設のアーム3aにより押圧されて揺動することで前記引上げワイヤ21を引っ張り作動させる引っ張りリンク21aとを設け、線引きマーカ16が格納姿勢に切り換わったときその線引きマーカ16に自動係合して線引きマーカ16を格納姿勢に保持するロック爪22を設けて構成されている。そして、線引きマーカ16は、作用姿勢側に作動付勢されていて、ロック爪22による保持が解除された状態での苗植付装置2の下降に伴い引上げワイヤ21が緩むことで作用姿勢に付勢力により切り換わるものである。そして、左線引きマーカ16に対するロック爪22を一時的に解除作動させる電気式の左解除用アクチュエータALと、右線引きマーカ16に対するロック爪22を一時的に解除作動させる電気式の右解除用アクチュエータARとが設けられている。
【0033】前記操作具20は、前記多機能レバー11の操作部にレバー軸芯周りに回動操作自在に取り付けられている。
【0034】前記スイッチ類の一つ目は、前記多機能レバー11が交差部から上昇位置Uに上下方向に揺動操作されたときこの多機能レバー11で操作される上昇・クラッチ切りスイッチ23である。
【0035】前記スイッチ類の二つ目は、前記多機能レバー11が交差部から下降位置Dに上下方向に揺動操作されたときこの多機能レバー11で操作される下降スイッチ24である。
【0036】前記スイッチ類の三つ目は、前記多機能レバー11が交差部から前方位置Lに横方向に揺動操作されたときこの多機能レバー11で操作される左マーカスイッチ25Lである。
【0037】前記スイッチ類の四つ目は、前記多機能レバー11が交差部から後方位置Rに横方向に揺動操作されたときこの多機能レバー11で操作される右マーカスイッチ25Rである。
【0038】前記スイッチ類の五つ目は、前記操作具20がクラッチ入り位置に回動操作されたときこの操作具20で操作されるクラッチ入りスイッチ26である。
【0039】前記スイッチ類の六つ目は、前記多機能レバー11が上昇停止位置USに操作されたときにこの多機能レバー11で操作される上昇停止スイッチ27である。
【0040】前記スイッチ類の七つ目は、前記多機能レバー11が下降停止位置DSに操作されたときにこの多機能レバー11で操作される下降停止スイッチ28である。
【0041】前記制御装置Bは、前記上昇・クラッチ切りスイッチ23が多機能レバー11で操作されたときに前記昇降制御装置Aを強制上昇状態に切り換えるとともに前記植付クラッチ17を切り作動させる機能と、前記下降スイッチ24が多機能レバー11で操作されたときに前記昇降制御装置Aを自動昇降状態に切り換える機能と、前記左マーカスイッチ25Lが多機能レバー11で操作されたときに前記左解除用アクチュエータALを解除作動させる機能と、前記右マーカスイッチ25Rが多機能レバー11で操作されたときに前記右解除用アクチュエータARを解除作動させる機能と、前記クラッチ入りスイッチ26が操作具20で操作されたときに前記植付クラッチ17を入り作動させる機能と、前記上昇停止スイッチ27が多機能レバー11で操作されたときに前記上昇・クラッチ切りスイッチ23に優先して前記昇降制御装置Aを昇降停止状態に切り換える機能と、前記下降停止スイッチ28が多機能レバー11で操作されたときに前記接地圧センサ15に優先して前記昇降制御装置Aを昇降停止状態に切り換える機能とを備えている。つまり、多機能レバー11の前記2方向とは異なる特定方向への操作動に伴い前記昇降手段を昇降停止状態に切り換える停止手段が構成されている。
【0042】上記第1実施形態によれば、多機能レバー11で下降スイッチ24を操作し、かつ、多機能レバー11で左マーカスイッチ25L又は右マーカスイッチ25Rを操作することにより、図5に示すように、苗植付装置2を作動させずに行う枕地形成用の走行時に作用姿勢に切り換えられた線引きマーカ16で次回植付予定田面に走行指標線MLを形成することができる。他方、多機能レバー11で下降スイッチ24を操作するとともに、多機能レバー11で左マーカスイッチ25L又は右マーカスイッチ25Rを操作し、かつ、操作具20でクラッチ入りスイッチ26を操作することにより、植付走行を行うことができるとともに、その時、作用姿勢に切り換えられた線引きマーカ16で走行指標線MLを次回植付予定田面に形成することができる。また、多機能レバー11を強制上昇位置に操作して上昇・クラッチ切りスイッチ23を操作しての苗植付装置2上昇時に、多機能レバー11を上昇停止位置に操作して上昇停止スイッチ27を操作することにより苗植付装置2を昇降範囲の任意の位置で停止保持することができる。他方、多機能レバー11を下降位置に操作して下降スイッチ24を操作しての苗植付装置2下降時に、多機能レバー11を下降停止位置に操作して下降停止スイッチ28を操作することにより、苗植付装置2を昇降範囲の任意の位置で停止保持することができる。
【0043】〔第2実施形態〕上記第1実施形態において、クラッチ入りスイッチ26を廃止し、代わりに、図6に示すように、多機能レバー11が前方位置L及び後方位置R操作されたときこの多機能レバー11で操作されて植付クラッチ17を入り作動させる入り操作用スイッチ29を設け、この入り操作用スイッチ29が入り操作されても植付クラッチ17の入り作動を牽制する牽制状態と牽制解除状態とに切り換え自在な牽制手段を設けたものである。
【0044】前記牽制手段は、前記操作具20によりオン・オフ操作される牽制スイッチ30を設け、この牽制スイッチ30のオンに基づいて牽制状態に切り換わるとともに牽制スイッチ30のオフに基づいて牽制解除状態に切り換わる牽制制御装置31を前記制御装置Bに組み込んで構成されている。他の構成は上記第1実施形態と同一であるから説明は省略する。
【0045】この第2実施形態によれば、牽制手段を牽制状態に切り換えた状態で、多機能レバー11で下降スイッチ24を操作し、かつ、多機能レバー11で左マーカスイッチ25L又は右マーカスイッチ25Rを操作することにより、苗植付装置2を作動させずに行う枕地形成用の走行時に作用姿勢に切り換えられた線引きマーカ16で次回植付予定田面に走行指標線MLを形成することができる。他方、牽制手段を牽制解除状態に切り換えた状態で、多機能レバー11で下降スイッチ24を操作するとともに、多機能レバー11で左マーカスイッチ25L又は右マーカスイッチ25Rを操作することにより、植付走行を行うことができるとともに、その時、作用姿勢に切り換えられた線引きマーカ16で走行指標線MLを次回植付予定田面に形成することができる。
【0046】〔第3実施形態〕上記第2実施形態において、牽制手段を廃止し、多機能レバー11の1回目の下方位置への操作で下降スイッチ24を操作して昇降制御装置Aを自動昇降状態に切り換え、引き続く2回目の下方位置への操作で下降スイッチ24を操作して植付クラッチ17を入り作動させるように制御装置Bを構成したものである。
【0047】この第3実施形態の場合、第1実施形態及び第2実施形態の場合と同様に、多機能レバー11を強制上昇位置に操作して上昇・クラッチ切りスイッチ23を操作しての苗植付装置2上昇時に、多機能レバー11を上昇停止位置に操作して上昇停止スイッチ27を操作することにより苗植付装置2を昇降範囲の任意の位置で停止保持することができる。他方、多機能レバー11を下降位置に操作して下降スイッチ24を操作しての苗植付装置2下降時に、多機能レバー11を下降停止位置に操作して下降停止スイッチ28を操作することにより、苗植付装置2を昇降範囲の任意の位置で停止保持することができる。
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成13年3月5日(2001.3.5)
【代理人】 【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
【公開番号】 特開2002−253006(P2002−253006A)
【公開日】 平成14年9月10日(2002.9.10)
【出願番号】 特願2001−60360(P2001−60360)