| 【発明の名称】 |
クローラ式作業車両 |
| 【発明者】 |
【氏名】石田 智之
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| 【要約】 |
【課題】クローラ式作業車両に於いて対地作業機の姿勢制御と旋回時の対地作業機自動上昇を円滑に実行する。
【解決手段】クローラ式走行装置Cを備えたトラクタ10に於いて、車体の後部に対地作業機26を昇降自在に連結するとともに、該対地作業機26に装着したリヤカバー35の上下回動角を検出して対地作業機26の耕深制御を行う際に、リヤカバー回動角の検出値が対地作業機最上げ位置付近に達したときは警告を発生する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 車体の左右にクローラ式走行装置Cを備え、該クローラ走行装置Cの後端部を前記車体の後端部よりも後方に位置させた作業車両10であって、この作業車両10の後部に対地作業機26を昇降自在に連結するとともに、該対地作業機26に装着したリヤカバー35の上下回動角を検出して対地作業機の耕深制御を行うようにしたクローラ式作業車両に於いて、前記対地作業機26の耕深制御中に、リヤカバー回動角の検出値が対地作業機最上げ位置付近に達したときは報知するように構成したことを特徴とするクローラ式作業車両。 【請求項2】 車体の左右にクローラ式走行装置Cを備え、該クローラ走行装置Cの後端部を前記車体の後端部よりも後方に位置させた作業車両10であって、この作業車両10の後部に対地作業機26を昇降自在に連結するとともに、該対地作業機26の左右ローリング角を調整するためのローリングシリンダ37を備え、該ローリングシリンダ37の伸縮長さを検出して対地作業機のローリング制御を行うようにしたクローラ式作業車両に於いて、前記対地作業機26のローリング制御中に、ローリングシリンダ37の検出値がストロークエンド付近に達したときは報知するように構成したことを特徴とするクローラ式作業車両。 【請求項3】 車体の左右にクローラ式走行装置Cを備え、該クローラ走行装置Cの後端部を前記車体の後端部よりも後方に位置させた作業車両10であって、この作業車両10の後部に対地作業機26を昇降自在に連結するとともに、該対地作業機26の左右ローリング角を調整するためのローリングシリンダ37を備え、該ローリングシリンダ37の伸縮長さを検出して対地作業機26のローリング制御を行うとともに、対地作業機26の上昇操作時は車体に対して対地作業機26を平行に復帰させる「平行復帰」制御を実行するようにしたクローラ式作業車両に於いて、この作業車両10には車体の前後ピッチング角を検出するセンサ43を設け、該センサ43が車体の前上がり状態を検出したときには、前記対地作業機26の上昇操作に拘わらず前記「平行復帰」制御を牽制し、前記ローリング制御を続行するように構成したことを特徴とするクローラ式作業車両。 【請求項4】 車体の左右にクローラ式走行装置Cを備え、該クローラ走行装置Cの後端部を前記車体の後端部よりも後方に位置させた作業車両10であって、この作業車両10の後部に対地作業機26を昇降自在に連結するとともに、旋回操作に連動して旋回内側のクローラ16の回転を減速、停止、逆転させる旋回制御装置54,57を備えたクローラ式作業車両に於いて、前記車体には対地作業機26の高さを検出するセンサ33を設け、該センサ33により前記対地作業機26が接地状態であると想定される低位置にあることを検出したときには、前記旋回制御装置54,57の制御によるクローラ16の逆転を牽制するように構成したことを特徴とするクローラ式作業車両。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明はクローラ式作業車両に関するものであり、特に、クローラ式トラクタの旋回性能向上に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来、実開平1−52790号公報に記載されているように、車体の左右にクローラ式走行装置を備え、該クローラ式作業車両の後端部を前記車体の後端部よりも後方に位置させた作業車両であって、この作業車両の後部に対地作業機を昇降自在に連結するクローラ式作業車両が知られている。このクローラ式作業車両は、ホイール式トラクタの車体を利用し、該車体の左右リヤアクスル外端部にトラックフレームを枢着し、このトラックフレームに装着した従動フレームと前記リヤアクスルに装着した駆動スプロケットとの間にクローラを卷装して構成されており、エンジンの動力は変速装置にて変速された後に、デファレンシャル装置を経て左右のリヤアクスルからクローラ走行装置に伝達される。デファレンシャル装置とリヤアクスルとの間にはブレーキ装置と正逆転クラッチ装置等からなる旋回制御装置を備えてあり、左右のクローラ走行装置は夫々独立して制動可能且つ回転方向も逆転可能に形成されている。 【0003】また、ステアリングハンドルの切れ角をセンサ等にて検出し、ステアリング切れ角の変化によって車体の旋回操作を判別し、この旋回操作に連動して旋回内側のクローラの回転を減速、停止、逆転させる旋回制御装置を備えている。旋回操作時には、前記旋回制御装置の制御により旋回内側のクローラが減速され、ステアリングハンドルの回転方向へ車体が旋回する。従来、比較的地盤の硬い圃場では、ステアリング切れ角の検出値が予め設定してある「スピンターン」領域に達したときに、減速している旋回内側のクローラの回転を一旦停止し、更に、該クローラの回転方向を逆転させることにより、左右のクローラ走行装置が相互に反対方向に回転して、車体の旋回半径が最小である「スピンターン」制御が実行される。 【0004】ここで、作業車両の後部にはロータリ等の対地作業機を昇降自在に連結し、該対地作業機に装着したリヤカバーの上下回動角を検出して対地作業機の耕深制御を行うとともに、該対地作業機の左右ローリング角を調整するためのローリングシリンダを備え、このローリングシリンダの伸縮長さを検出して対地作業機のローリング制御を行っている。そして、ステアリング切れ角の変化から車体の旋回動作を判別し、この旋回操作に連動して対地作業機を非作業位置に自動上昇させることにより、旋回時に於ける対地作業機の引きずりを防止するようにしてある。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】従来、リヤカバーの上下回動角に基づいて対地作業機の耕深制御を行う際に、対地作業機上げ指令があれば無条件で対地作業機を上昇している。しかし、クローラ式作業車両はホイール式作業車両と異なって軟弱地盤での作業が多く、リヤカバー回動角が対地作業機最上げ位置付近にあるときは、圃場の深みに入り込んで車体が前上がり状態である場合が多い。斯かる状態のまま作業を続行すると、対地作業機が地面につかえて作業車両が走行不能となる虞がある。 【0006】また、ローリングシリンダの伸縮長さを検出して対地作業機のローリング制御を行っているが、軟弱地盤ではクローラ式作業車両の車体が左右に傾斜したときに対地作業機の片側が土中に埋まり易く、斯かる状態では作業負荷が大きくなりすぎて走行不能となる虞がある。 【0007】また、対地作業機のローリング制御中に対地作業機上昇操作があったときは、対地作業機を上昇させながら車体に対して対地作業機を平行に復帰させる「平行復帰」制御を実行しているが、クローラ式作業車両では圃場の深みから出るときに車体が大きく前上がり姿勢となり、走行負荷を減少するためにオペレータは対地作業機上昇操作を行うことがある。このとき、「平行復帰」制御が作動すると、地面に対して略平行だった対地作業機が傾いて対地作業機の片側が土中に埋まり易く、却って走行負荷が大となり走行不能となる虞がある。 【0008】また、クローラ式作業車両ではステアリングハンドルの切れ角を検出して旋回操作を判別し、ステアリング切れ角が所定の領域に達したときには、旋回制御装置の制御により旋回内側のクローラの回転を減速、停止、逆転させて「スピンターン」を実行する場合がある。このとき、対地作業機が接地状態であると、「スピンターン」中に対地作業機が引きずられて車体が横ぶれを起こしたり、圃場が荒れるとともに対地作業機が破損する虞がある。 【0009】そこで、クローラ式作業車両に於いて対地作業機の姿勢制御と旋回時の対地作業機自動上昇を円滑に実行するために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。 【0010】 【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、車体の左右にクローラ式走行装置Cを備え、該クローラ走行装置Cの後端部を前記車体の後端部よりも後方に位置させた作業車両10であって、この作業車両10の後部に対地作業機26を昇降自在に連結するとともに、該対地作業機26に装着したリヤカバー35の上下回動角を検出して対地作業機の耕深制御を行うようにしたクローラ式作業車両に於いて、前記対地作業機26の耕深制御中に、リヤカバー回動角の検出値が対地作業機最上げ位置付近に達したときは報知するように構成したクローラ式作業車両、及び、車体の左右にクローラ式走行装置Cを備え、該クローラ走行装置Cの後端部を前記車体の後端部よりも後方に位置させた作業車両10であって、この作業車両10の後部に対地作業機26を昇降自在に連結するとともに、該対地作業機26の左右ローリング角を調整するためのローリングシリンダ37を備え、該ローリングシリンダ37の伸縮長さを検出して対地作業機のローリング制御を行うようにしたクローラ式作業車両に於いて、前記対地作業機26のローリング制御中に、ローリングシリンダ37の検出値がストロークエンド付近に達したときは報知するように構成したクローラ式作業車両、及び、車体の左右にクローラ式走行装置Cを備え、該クローラ走行装置Cの後端部を前記車体の後端部よりも後方に位置させた作業車両10であって、この作業車両10の後部に対地作業機26を昇降自在に連結するとともに、該対地作業機26の左右ローリング角を調整するためのローリングシリンダ37を備え、該ローリングシリンダ37の伸縮長さを検出して対地作業機26のローリング制御を行うとともに、対地作業機26の上昇操作時は車体に対して対地作業機26を平行に復帰させる「平行復帰」制御を実行するようにしたクローラ式作業車両に於いて、この作業車両10には車体の前後ピッチング角を検出するセンサ43を設け、該センサ43が車体の前上がり状態を検出したときには、前記対地作業機26の上昇操作に拘わらず前記「平行復帰」制御を牽制し、前記ローリング制御を続行するように構成したクローラ式作業車両、及び、車体の左右にクローラ式走行装置Cを備え、該クローラ走行装置Cの後端部を前記車体の後端部よりも後方に位置させた作業車両10であって、この作業車両10の後部に対地作業機26を昇降自在に連結するとともに、旋回操作に連動して旋回内側のクローラ16の回転を減速、停止、逆転させる旋回制御装置54,57を備えたクローラ式作業車両に於いて、前記車体には対地作業機26の高さを検出するセンサ33を設け、該センサ33により前記対地作業機26が接地状態であると想定される低位置にあることを検出したときには、前記旋回制御装置54,57の制御によるクローラ16の逆転を牽制するように構成したクローラ式作業車両を提供するものである。 【0011】 【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施の形態を図面に従って詳述する。図1及び図2は作業車両の一例としてクローラ型のトラクタ10を示し、リヤアクスル11に駆動スプロケット12を取り付け、この駆動スプロケット12を回転支持するトラックフレーム13に従動スプロケット14と転輪15を枢着し、これら駆動スプロケット12と従動スプロケット14,転輪15間にクローラ16を卷装し、トラックフレーム13の前端部を車体フレーム17に固着してクローラ式走行装置Cを構成している。23はミッションケースであり、前記クローラ式走行装置Cはこのミッションケース23よりも後方に突出しており、該クローラ式走行装置Cのクローラ16は車体の後端部よりも後方に位置している。 【0012】運転席18の近傍には、後述する対地作業機26の昇降位置を設定するポジションレバー40、対地作業機26の耕深量を設定する耕深調整ダイヤル41、対地作業機26の左右方向の傾きを設定する水平調整ダイヤル42等が設けられ、運転席18の下部には車体の左右方向のローリング角を検出するスロープセンサ43を設置してある。更に、運転席18の前方に回転操作式のステアリングハンドル19を設けてあり、ステアリングハンドル軸20はステアリングハンドルコラム21内に挿入され、その基端部には後述するステアリング操作装置22が装着されている。 【0013】また、車体の後部にはリンク機構25を介してロータリ等の対地作業機26が連結されており、このリンク機構25はトップリンク27と左右のロワリンク28,28とからなり、左右のリフトアーム29,29の先端とロワリンク28,28をリフトロッド30,30にて連結し、リフトシリンダ32の駆動にてリフトアーム29を回動することにより、リフトロッド30,30を介してロワリンク28,28が上下動する。斯くして、ロワリンク28,28の先端部を回動中心に前記対地作業機26が昇降する。 【0014】リフトアーム29の回動基部には、対地作業機26の昇降位置を検出するセンサとしてリフトアーム角センサ33が設けられ、このリフトアーム角センサ33にてリフトアーム29の回動角を検出し、対地作業機26の昇降高さを演算する。また、対地作業機26のメインカバー34の後端部にリヤカバー35を回動自在に取り付け、リヤカバーセンサ36によりリヤカバー35の回動角度を検出して、対地作業機26の耕深制御を行えるように形成されている。 【0015】一方、車体に対する対地作業機26の左右方向の傾きを変更するアクチュエータとして、左右どちらかのリフトロッド30の途中にローリングシリンダ37を設け、該ローリングシリンダ37を伸縮させてロワリンク28のリフト量を左右で変えることにより、対地作業機26のローリング角を変更可能に形成してある。そして、前記ローリングシリンダ37に隣接してストロークセンサ38を設け、該ストロークセンサ38によりローリングシリンダ37の伸縮長さを検出して車体に対する対地作業機26のローリング角を計測するとともに、前記水平調整ダイヤル42の設定値に応じてローリングシリンダ37を伸縮駆動し、対地作業機26のローリング制御を行えるようにしてある。 【0016】図3及び図4に示すように、エンジン45の回転動力は主クラッチ46によって断接され、主変速装置47にて前進1速乃至3速または後進の何れかのポジションに変速され、更に、副変速装置48にて高速または低速のポジションに変速された後に、リヤデファレンシャル装置49とPTO軸50に伝達される。リヤデファレンシャル装置49の出力軸51にはデフロック装置52と小径の変速ギヤ53とディスクブレーキ装置54を装着してあり、該出力軸51と平行に設けたカウンタ軸55に大径の変速ギヤ56を固設して前記小径の変速ギヤ53に噛合させる。 【0017】従って、前記出力軸51の回転が減速されてカウンタ軸55に伝達され、該カウンタ軸55に設けた正逆転クラッチ装置57及び遊星ギヤ機構58により、更に減速されるとともに前進方向または後進方向の何れかの回転が選択されて、カウンタ軸55と同軸に設けた入力軸59に伝達される。そして、入力軸59の回転は中間軸65を経てリヤアクスル11に伝達され、前記クローラ16が駆動される。前記ディスクブレーキ装置54と正逆転クラッチ装置57とから、車体の旋回操作に連動して旋回内側のクローラ16の回転を減速、停止、逆転させる旋回制御装置が構成される。 【0018】ここで、前記ディスクブレーキ装置54は変速ギヤ56と正逆転クラッチ装置57との間にラップして配置されているため、変速ギヤ56と正逆転クラッチ装置57間のスペースを有効利用することができ、前記出力軸51とカウンタ軸55とを接近させて、リヤアクスル11への変速ギヤ機構をコンパクトに形成することができる。 【0019】図5及び図6はステアリング操作装置22を示し、L形に折り曲げたブラケット71に保持具72をボルト締めし、前記ステアリングハンドル軸20と一体に回転する駆動軸であるステアリング軸73を該保持具72に枢着し、該保持具72の先端部には前記ステアリング軸73と平行に被駆動軸であるカム軸75を枢着し、前記ステアリング軸73とカム軸75との間に、次に述べるような減速ギヤ機構を設ける。前記ステアリング軸73には該減速ギヤ機構の駆動側ギヤであるピニオンギヤ74を固設し、前記カム軸75には減速ギヤ機構の被駆動側ギヤである扇形ギヤ76を固設して双方のギヤを噛合させる。また、扇形ギヤ76の上面にピン77を立設する。一方、前記ブラケット71の上面にはポテンショメータからなるステアリング切れ角センサ80を取り付け、該ステアリング切れ角センサ80のセンサアーム81をブラケット71の下面に突設し、このセンサアーム81に前記扇形ギヤ76のピン77を係止する。 【0020】従って、前記ステアリングハンドル19の回転操作が、ステアリングハンドル軸20及びその下端部のステアリング軸73から扇形ギヤ76に伝達され、扇形ギヤ76と一体にピン77が回転して、その回転角をステアリング切れ角センサ80が検出する。図3に示したコントローラ90は、ステアリング切れ角センサ80の検出値から前記ステアリングハンドル19の切れ角を演算し、この切れ角に応じて旋回内側のブレーキソレノイド91に制御電流を出力し、ブレーキシリンダ92が駆動されて旋回内側のディスクブレーキ装置54を作動させる。斯くして、旋回内側のクローラ16の駆動速度が減速されて車体が旋回する。 【0021】ここで、前記カム軸75の中間部には截頭円柱形のカム83を形成してあり、このカム83の下方には該カム83に当接する円筒カム84が前記カム軸75と同軸に遊嵌されており、この円筒カム84には前記カム83の斜面と略対称形の斜面が設けられている。また、円筒カム84の側面にピン85を突設し、前記保持具72に固設したフォーク形ストッパ86にこのピン85を係止して、円筒カム84がカム軸75の軸回りに回転しないようにしてある。更に、カム軸75の下部にコイルスプリング87を被装してボルト88にて締着することにより、円筒カム84を前記カム83側へ押圧しながら該カム83に接触させる。 【0022】而して、図5の実線で示すように、前記ステアリングハンドル19が中立位置であるとき、即ち、扇形ギヤ76の円周略中央部に前記ステアリング軸73のピニオンギヤ74が位置しているときに、前記ステアリング切れ角センサ80が回転操作角0°を検出するように、センサアーム81の取り付け位置或いは検出信号の初期値を調整する。また、このとき、前記カム83の斜面高さの最低部分に円筒カム84の斜面高さの最高部分が当接するように、予め前記円筒カム84の回転位置を調整して前記ピン85とフォーク形ストッパ86の係止位置を設定しておく。 【0023】一方、前記扇形ギヤ76の回転軸であるカム軸75の近傍には、扇形ギヤ76が最大回転操作角位置PMAX以上は回転しないように、2つの係止軸60,60がストッパとして設けられている。そして、2つのコイルを有した捩りコイルバネ61の夫々のコイル部61a,61aを前記係止軸60,60へ嵌挿し、該捩りコイルバネ61の両端部61b,61bを、図5の二点鎖線で示すように、前記扇形ギヤ76端面の回転軌跡上で、且つ、旋回内側のクローラ式走行装置Cの回転方向を逆転に切り換える「スピンターン」領域の開始点PSに位置させる。 【0024】いま、前記ステアリングハンドル19を中立位置から左右何れかの方向へ操作すれば、前述したように、扇形ギヤ76がカム軸75を中心に回転し、ステアリング切れ角センサ80の検出値に応じて旋回内側のディスクブレーキ装置54が制動されて車体が旋回する。図7に示すように、例えば右旋回の場合は、同図の実線で示すように、中立位置から「スピンターン」領域の開始点PSまでの間は、旋回内側の右ブレーキソレノイドの電流を増加していき、左旋回の場合は、同図の鎖線で示すように、中立位置から「スピンターン」領域の開始点PSまでの間は、旋回内側の左ブレーキソレノイドの電流を増加させる。 【0025】また、ブレーキソレノイドに流れる電流はステアリングハンドルの回転操作角に応じて変化し、該回転操作角が小であるときは制御パルス幅を狭くし、且つ、該回転操作角の増加に対して少しずつ電流値を増加させる。そして、該回転操作角が大になると制御パルス幅を大きくし、且つ、電流値も大きく増加させる。これは、車体の直進走行時には、ステアリングハンドルの回転操作角が中立位置付近の狭い範囲でのみ使用され、且つ、微調整を行うためにブレーキ力の変化を細かくする必要があるが、該回転操作角が大である旋回時には、ブレーキ力の細かい変化は必要とされないからである。 【0026】ここで、ステアリングハンドル19を中立位置から左右何れかに回転操作し始めたときは、ブレーキ電流の立ち上がりをやや大きくする。これは、前記ディスクブレーキ装置54を作動させるブレーキシリンダ92は、反発用のスプリングで引張られているだけではなく、複数箇所の可動部にて構成されているため、ブレーキシリンダのソレノイドに当初の目標電流を流したとしても、ディスクブレーキ装置54のディスクにかかる初期荷重は若干低い。従って、ステアリングハンドル19を切り始めたときの応答性を良好にするために、ブレーキ電流の初期値をやや高くして、それ以降は目標電流値にするものである。 【0027】一方、ステアリングハンドル19の操作時には、前記カム軸75と一体にカム83が回転するが、該カム83に当接している円筒カム84は回転しないため、該カム83の傾斜高さの最高部分が円筒カム84の傾斜高さの最低部分から最高部分に向けて回転し、円筒カム84がコイルスプリング87の付勢に抗してカム軸75の軸方向に沿って押し下げられる。 【0028】そして、車体の旋回が進んでステアリングハンドル19の回転操作を止めれば、前記コイルスプリング87の付勢によって円筒カム84がカム軸75の軸方向に沿って押し戻され、前記カム83の傾斜高さの最高部分が円筒カム84の傾斜高さの最低部分に向けて回転し、カム軸75が逆転して中立位置に戻される。従って、前記扇形ギヤ76の円周略中央部に前記ステアリング軸73のピニオンギヤ74が戻されて、ステアリングハンドル19が中立位置に復帰する。このとき、旋回内側のディスクブレーキ装置54の制動力も減衰されて、車体は直進走行に復帰する。そして、前記コイルスプリング87の付勢によってステアリングハンドル19は中立位置を保持する。 【0029】ここで、ステアリングハンドル19を回転して回転操作角が車体の「スピンターン」領域に達すると、図5の二点鎖線で示すように、前記扇形ギヤ76の端面が「スピンターン」領域の開始点PSまで回転して前記捩りコイルバネ61の一端部61bに接触する。更に、ステアリングハンドルの回転操作を続ければ、扇形ギヤ76の端面が捩りコイルバネ61の一端部を押圧してバネの反発力を受けるため、扇形ギヤ76の回転に抵抗が付加される。従って、ステアリングハンドル19の操作力が重くなり、オペレータは「スピンターン」領域に入ったことを認識できる。 【0030】車体が「スピンターン」領域に入ったことを前記ステアリング切れ角センサ80が検出すると、コントローラ90の指令によって旋回内側のクローラ式走行装置Cの回転方向を逆転に切り換える「スピンターン」制御が開始され、前述した旋回制御装置の制御により、旋回内側のディスクブレーキ装置54の制動を解除するとともに、旋回内側の正逆転クラッチ装置57を切り換えてリヤアクスル11を逆転させる。従って、リヤデファレンシャル装置49の差動作用により、旋回内側のクローラ16が逆転方向で加速され、旋回外側のクローラ16が正転方向で減速される。このとき、リヤデファレンシャル装置25の差動作用により、左右何れか負荷の軽い側に駆動トルクが逃げるため、反対側のクローラの回転が低下する虞がある。 【0031】これを防止するために、図7に示すように、例えばステアリングハンドル19を右側に回転して「スピンターン」領域の開始点PSに達したときは、実線で示すように、右ブレーキソレノイドの電流を減少するとともに、鎖線で示すように、左ブレーキソレノイドの電流を増加する。即ち、旋回内側のディスクブレーキ装置54の制動力を減少させると同時に、旋回外側のディスクブレーキ装置54の制動力を増加させて、左右どちらに駆動トルクが逃げても左右のクローラ16,16を夫々反対方向に駆動して「スピンターン」を実行できるようにする。尚、左旋回で「スピンターン」領域の開始点PSに達したときも同様にして、鎖線で示すように、左ブレーキソレノイドの電流を減少するとともに、実線で示すように、右ブレーキソレノイドの電流を増加する。斯くして、旋回内側のクローラ16と旋回外側のクローラ16とが夫々反対方向に等速で駆動され、車体は「スピンターン」状態で旋回する。 【0032】そして、ステアリングハンドル19を戻して車体が「スピンターン」領域から外れたときは、図5に示した前記扇形ギヤ76の端面が捩りコイルバネ61の一端部61aから離反して、ステアリングハンドル19の操作力が軽くなるので、オペレータは「スピンターン」領域から外れたことを認識できる。また、旋回内側の正逆転クラッチ装置57が再び切り換わってリヤアクスル11を正転させ、通常の旋回状態に復帰する。 【0033】尚、図3に示したように、前記ディスクブレーキ装置54は、ステアリングハンドル19の回転操作角に応じてブレーキソレノイド91の電流が変化し、ブレーキシリンダ92の伸縮によってディスクが押されるが、これとは別に、足動式のブレーキペダル93の踏み込みにより機械的にブレーキアーム94を回動し、ディスクブレーキ装置54のディスクを押すように構成されている。従って、緊急時や旋回量補正時には、このブレーキペダル93の踏み込み操作によりディスクブレーキ装置54の制動力を調整することができる。 【0034】図8は制御系のブロック図であり、耕深制御入りスイッチ103にて耕深制御を実行し、ローリング制御入りスイッチ104にてローリング制御を実行する。ここで、クローラ式のトラクタ10に於いては、耕深制御中にリヤカバーセンサ36の検出値が対地作業機最上げ位置付近を検出したとき、即ち、最上げ位置若しくは上げ位置設定値を角度αとすれば、それよりもやや低い位置(例えばα−10度)に達したときは、ブザーまたはランプ等の警告装置105によって警告を発生する。これは、クローラ式のトラクタ10はホイール式トラクタと異なって軟弱地盤での作業が多く、リヤカバー回動角が対地作業機最上げ位置付近にあるときは、圃場の深みに入り込んで車体が前上がり状態である場合が多い。従って、斯かる場合には、警告を発生してオペレータに注意を促し、対地作業機が地面につかえて作業車両が走行不能となるのを防止する。 【0035】また、ローリング制御中にストロークセンサ38の検出値がローリングシリンダ37のストロークエンド付近を検出したときは、ブザーまたはランプ等の警告装置105によって警告を発生する。これは、軟弱地盤ではクローラ式のトラクタ10の車体が左右に大きく傾斜し易く、ローリングシリンダ37をストロークエンドまで伸縮するような状態では対地作業機26の片側が土中に埋まっている場合が多い。従って、斯かる場合には、ローリングシリンダ用コントロールバルブ98の伸びソレノイド若しくは縮みソレノイドに対する制御信号を出力せず、作業負荷の増大による走行不能を防止する。 【0036】また、ローリング制御中には、ポジションレバー40による対地作業機上昇操作があったときは、対地作業機26を上昇させながら車体に対して対地作業機26を平行に復帰させる「平行復帰」制御を実行しているが、スロープセンサ43の検出値が車体の前上がりを検出したときは、前記ポジションレバー40の上げ操作があったとしても前記「平行復帰」制御を実行しない。これは、クローラ式のトラクタ10では、圃場の深みから出るときに車体が大きく前上がり姿勢となり、走行負荷を減少するためにオペレータはポジションレバー40で対地作業機上昇操作を行うことがあるが、このとき、「平行復帰」制御が作動すると、地面に対して略平行だった対地作業機26が傾いて対地作業機26の片側が土中に埋まり易く、却って走行負荷が大となる。従って、斯かる場合には、車両が走行不能となるのを防止するために「平行復帰」制御を実施しない。 【0037】しかし、変速位置センサ106の検出値が例えば高速2速位置等のように、非作業走行状態を示している場合は、スロープセンサ43の検出値が車体の前上がりを検出したとしても、前記「平行復帰」制御を実行する。斯くして、坂道路上走行に於いて対地作業機26が車体に対して平行に保持され、対地作業機26が頻繁に動くことを防止できる。 【0038】一方、スピンターン制御入りスイッチ101が「入」である場合に、ステアリング切れ角センサ80が「スピンターン」領域に達したときは、前述したように、「スピンターン」制御が実行されるが、これと同時に、リフトシリンダ用コントロールバルブ97の上げソレノイドに制御信号を出力して、対地作業機26を非作業位置に上昇させる。このように、「スピンターン」開始と同時に対地作業機26を自動上昇させることにより、対地作業機上昇タイミングが遅れて圃場を荒らしたり対地作業機が破損することを防止できるとともに、「スピンターン」開始前に対地作業機を上昇させるのに比べて、センサやメモリが少なくなってコストダウンとなる。尚、前記リフトアーム角センサ33により対地作業機26の高さを検出しているが、対地作業機26が接地状態であると想定される低位置にあるときは、対地作業機26の引きずりを防止するために「スピンターン」制御を牽制する。 【0039】また、スピンターン制御入りスイッチ101が「切」である場合は、ステアリング切れ角センサ80が「スピンターン」領域に達したとしても「スピンターン」制御は実行せず、旋回内側のクローラ走行装置に対するブレーキ出力を最大出力にて継続させて「ブレーキターン」制御を実行する。従って、「スピンターン」の必要がない軟弱地盤での作業では、オペレータが予めスピンターン制御入りスイッチ101が「切」にしておくことにより、対地作業機26の不慮上昇を防止できる。また、「ブレーキターン」開始と同時に対地作業機26を自動上昇させることにより、対地作業機上昇タイミングが遅れて圃場を荒らしたり対地作業機が破損することを防止できるとともに、「ブレーキターン」開始前に対地作業機を上昇させるのに比べて、センサやメモリが少なくなってコストダウンとなる。 【0040】尚、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。 【0041】 【発明の効果】本発明は上記一実施の形態に詳述したように、請求項1記載の発明は、クローラ式作業車両に於いて、対地作業機の耕深制御中にリヤカバー回動角の検出値が対地作業機上げ位置付近を検出したときは警告を発生するようにしたので、車体が圃場の深みに入り込んだときに、対地作業機が地面につかえて作業車両が走行不能となるのを防止できる。 【0042】請求項2記載の発明は、クローラ式作業車両に於いて、対地作業機のローリング制御中にストロークセンサの検出値がローリングシリンダのストロークエンド付近を検出したときは警告を発生するようにしたので、車体が左右に傾斜したときに、対地作業機の片側が土中に埋まって作業車両が走行不能となるのを防止できる。 【0043】請求項3記載の発明は、クローラ式作業車両に於いて、対地作業機のローリング制御中に車体の前上がりを検出したときは、ポジションレバーの上昇操作があっても、対地作業機上昇に伴って車体に対して対地作業機を平行に復帰させる制御を牽制するので、車体が圃場の深みから出るときに大きく前上がり姿勢となり、このときオペレータがポジションレバーで対地作業機上昇操作を行ったとしても、地面に対して対地作業機の傾きが変わらず、対地作業機の片側が土中に埋まって走行不能となるのを防止できる。 【0044】請求項4記載の発明は、旋回操作に連動して「スピンターン」制御を実行する際に、対地作業機が接地状態であると想定される低位置にあるときには「スピンターン」制御を牽制するので、「スピンターン」中に対地作業機が引きずられて車体が横ぶれを起こすことがなく、圃場の荒れや対地作業機の破損を未然に防止できる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000000125 【氏名又は名称】井関農機株式会社
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| 【出願日】 |
平成13年1月30日(2001.1.30) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100060575 【弁理士】 【氏名又は名称】林 孝吉
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| 【公開番号】 |
特開2002−223607(P2002−223607A) |
| 【公開日】 |
平成14年8月13日(2002.8.13) |
| 【出願番号】 |
特願2001−21073(P2001−21073) |
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