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【発明の名称】 ロ−タリ耕耘装置
【発明者】 【氏名】金尾 洋平

【氏名】三木 輝正

【要約】 【課題】硬い土壌の圃場でも機体のダッシングやスリッピングが生起せず良好に耕耘できる部分正逆転方式のロ−タリ耕耘装置を得る。

【解決手段】耕耘伝動ケ−スの横脇部に位置する第1爪軸筒とその軸心方向横側部に同心状に位置する第2爪軸筒とが背反回転する部分逆転方式のロ−タリ耕耘装置において、第2爪軸筒を第1爪軸筒に対比して長寸に形成して長寸の第2爪軸筒がアップカット回転し第1爪軸筒がダッウンカット回転するように構成し、アップカット回転する第2爪軸筒の耕耘爪群による耕幅が、ダウンカット回転する第1爪軸筒の耕耘爪による耕幅の総和よりも大になるようにした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 耕耘伝動ケ−ス(1)の下部に支承横設するロ−タリ爪軸筒を、前記耕耘伝動ケ−ス(1)の横脇部に配設する第1爪軸筒(2)と第1爪軸筒(2)の軸心方向横側部に同心状に配設する第2爪軸筒(4)とで構成して、第1爪軸筒(2)と第2爪軸筒(4)を耕耘伝動ケ−ス(1)内に設けた耕耘伝動機構の正転伝動系と逆転伝動系によって互いに反対方向に回転駆動する部分逆転方式のロ−タリ耕耘装置において、前記第2爪軸筒(4)を第1爪軸筒(2)に対比して長寸に形成し、長寸の第2爪軸筒(4)を前記耕耘伝動機構の逆転伝動系(A)でアップカット回転させると共に、第2爪軸筒(4)より短寸の第1爪軸筒(2)を前記耕耘伝動機構の正転伝動系(B)でダッウンカット回転させるように構成し、アップカット回転する第2爪軸筒(4)の耕耘爪(24)群による耕幅が、ダウンカット回転する第1爪軸筒(2)の耕耘爪(25)による耕幅の総和よりも大になるようにしてあることを特徴とするロ−タリ耕耘装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耕耘伝動ケ−スの下部に支承横設するロ−タリ爪軸筒を、耕耘伝動ケ−スの横脇部に配設する第1爪軸筒と第1爪軸筒の軸心方向横側部に同心状に配設する第2爪軸筒とで構成して、第1爪軸筒と第2爪軸筒を耕耘伝動ケ−ス内に設けた耕耘伝動機構の正転伝動系と逆転伝動系によって互いに反対方向に回転駆動する部分逆転方式のロ−タリ耕耘装置に関する。
【0002】
【従来の技術】上記の如き部分逆転方式のロ−タリ耕耘装置は、例えば、特公昭46−39041号公報や実開平5−1号公報等によって知られているところであるが、従来のものは、常に、耕耘伝動ケ−スの横脇部に位置する短寸の第1爪軸筒がアップカット回転し、第1爪軸筒の軸心方向横側部に位置する長寸の第2爪軸筒がダウンカット回転して、長寸の第2爪軸筒に装設されダウンカット回転する耕耘爪群が全耕耘幅の殆どの部分を耕起するものであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来から知られている部分逆転方式のロ−タリ耕耘装置は、走行車輪と同じ方向、つまりダウンカット回転する耕耘爪群によって全耕耘幅の殆どの部分が耕起され、耕耘伝動ケ−スに近い一部分のみがアップカット回転する耕耘爪で耕起されるものであったから、或る程度までの硬さの圃場においてはアップカット回転する耕耘爪によって機体のダッシングが抑止されることが望めるけれども、粘土質乾土のような硬い土壌の圃場を耕起する場合には機体のダッシングを的確に抑止することは望めなかった。本発明は、硬い土壌の圃場においても所要動力が少ない状態のもとで機体のダッシシングを的確に抑止しながら良好に作業することができる部分逆転方式のロ−タリ耕耘装置を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】そして、上記の目的を達成するため、本発明におけるロ−タリ装置は、耕耘伝動ケ−ス1の下部に支承横設するロ−タリ爪軸筒を、前記耕耘伝動ケ−ス1の横脇部に配設する第1爪軸筒2と第1爪軸筒2の軸心方向横側部に同心状に配設する第2爪軸筒4とで構成して、第1爪軸筒2と第2爪軸筒4を耕耘伝動ケ−ス1内に設けた耕耘伝動機構の正転伝動系と逆転伝動系によって互いに反対方向に回転駆動する部分逆転方式のロ−タリ耕耘装置において、前記第2爪軸筒4を第1爪軸筒2に対比して長寸に形成し、長寸の第2爪軸筒4を前記耕耘伝動機構の逆転伝動系Aでアップカット回転させると共に、第2爪軸筒4より短寸の第1爪軸筒2を前記耕耘伝動機構の正転伝動系Bでダッウンカット回転させるように構成し、アップカット回転する第2爪軸筒4の耕耘爪24群による耕幅が、ダウンカット回転する第1爪軸筒2の耕耘爪25による耕幅の総和よりも大になるようにしてあることを特徴とするものである。
【0005】
【作用】上記のように構成されたロ−タリ耕耘装置においては、ロ−タリ爪軸筒による全耕幅のうち耕耘伝動ケ−ス1に近い一部分のみがダウンカット回転する第1耕耘筒2の耕耘爪25で耕起され、他の殆どの耕幅部分がアップカット回転される第2爪軸筒4の耕耘爪24によって耕起されるので、硬い圃場を耕起する場合でもアップカット回転する耕耘爪24群によるダッシング抑止力が充分に発揮されるとともに、第1爪軸筒2の耕耘爪25のダウンカット回転によって機体のスリッピングも防止されることとなって機体ダッシングもスリッピングも生じることの少ない良好な耕耘が行われる。そして、部分逆転方式のロ−タリ耕耘装置でありながら、耕耘伝動ケ−ス1に隣接する部分がダウンカット回転する耕耘爪25で耕起されて耕土は耕耘伝動ケ−ス1より後方に直接に放てきされるので、投てき耕土が耕耘伝動ケ−ス1の前面側に堆積して正常な進行を妨げるような事態が生起するおそれもない。
【0006】
【実施例】つぎに、本発明の実施例について図面を参照して説明するが、図面は、残耕処理爪軸筒を備えるセンタ−ドライブ型の耕耘機用ロ−タリ耕耘装置として構成された例を示している。
【0007】耕耘機は、ミッションケ−ス5から前延するフレ−ムにエンジン6を搭載してそのエンジン6の動力をミッションケ−ス5内の伝動機構を経てミッションケ−スの下部に支承された車軸に伝達し、車軸に嵌着する左右車輪7・7を駆動して走行するように構成されている。そして、ミッションケ−ス5から後延する操縦ハンドル8の握部にあって運転操作するように構成され、ミッションケ−ス5の後部で且つ操縦ハンドル8の下方にロ−タリ耕耘装置が着脱自在に装備されている。
【0008】ロ−タリ耕耘装置は、ミッションケ−ス5に着脱自在に連設される耕耘伝動ケ−ス1と、耕耘機枠9の後尾部に設置される耕深設定装置10等によって構成されており、耕耘伝動ケ−ス1の下部には、前記耕耘伝動ケ−ス1の横脇部に配置される第1爪軸筒2とその第1爪軸筒2の軸心方向横側部に同心状に配置される第2爪軸筒4とから成るロ−タリ爪軸筒が回転自在に支承横設されて、該ロ−タリ爪軸筒の前記第1爪軸筒2と第2爪軸筒4とが耕耘伝動ケ−ス1内の耕耘伝動機構によって互いに反対方向に回転駆動されるようになっている。
【0009】なお、前記ロ−タリ爪軸筒の第2爪軸筒4は、耕耘伝動ケ−ス1の横脇部に配置される第1爪軸筒2に対比して同爪軸筒2よりも長寸に形成され、長寸の第2爪軸筒4に装設される耕耘爪群による耕幅が、第1爪軸筒2に装設される耕耘爪による耕幅の総和よりも大になるように設定されている(殊に、図5参照)。
【0010】ロ−タリ爪軸筒及びそれを駆動する耕耘伝動機構の具体的な構成例は、図2〜図3に示されている。図2において、耕耘伝動ケ−ス1の下部に機体進行方向に対して直交する方向の耕耘駆動軸3が水平横向きに支承され、該耕耘駆動軸3が前記ミッションケ−ス5のPTO軸11に連動連結する逆転伝動系Aでもって回転駆動されるようになっている。
【0011】そして、前記逆転伝動系Aは、耕耘伝動ケ−ス1の上方横側部に付設されるケ−ス12に収容された回転切換機構Cと、その回転切換機構Cを経た動力を耕耘駆動軸3に伝動するチエン伝動機構13とで構成されて、常には、前記耕耘駆動軸3を、機体前進時の左右車輪7・7の回転方向とは反対の方向(アップカット回転方向という)に回転駆動するものとなっている。
【0012】なお、前記回転切換機構Cは、ミッションケ−ス5から横側方に突出されるPTO軸11を耕耘伝動ケ−ス1の上部を貫通してケ−ス12内に延出させ、ケ−ス12内においてPTO軸11と、それに平行して設けられるアイドル軸14との間に正転伝動列15と、逆転伝動列16・17・18・15とを組成し、両伝動列の間にあってPTO軸11に摺動自在に嵌着した切換体19を、両伝動列に択一に選択結合することによって前記チエン伝動機構13の回転方向を換えることができるように構成されている。また、チエン伝動機構13は、PTO軸11に遊転状態に支承され前記両伝動列に連動結合可能に設けられる上部スプロケット20と耕耘駆動軸3側に楔着される受動スプロケット21との間にチエン22を掛回して構成されている。
【0013】前記耕耘駆動軸3は、耕耘伝動ケ−ス1から左右に突出して設けられるが、それらの突出部は、耕耘伝動ケ−ス1の左右両横脇部に装設される支持部23・23の中心部を通って更に外方に突出され、それぞれの突出部に長寸の第2爪軸筒4・4が着脱自在に嵌着されるとともに、前記支持部23・23の傾斜外径部に短寸の第1爪軸筒2・2が回転自在に装備されている。そして、左右の第2爪軸筒4・4の外周には正逆転両用の多数の耕耘爪24群が所定の配列で取付けられ、また、第1爪軸筒2・2にも正逆転両用の耕耘爪25・25がそれぞれ所定の配列で取付けられている。
【0014】第1爪軸筒2・2は、前記逆転伝動系Aに連動して構成された正転伝動系Bでもって耕耘駆動軸3とは逆方向(ダウンカット方向という)に回転駆動されるようになっており、正転伝動系Bは、以下に説明するように構成されている。
【0015】耕耘駆動軸3に平行する回転軸26にスプロケット27を楔着し、該スプロケット27を逆転伝動系Aのチエン22の巻回内方にあってそのチエン22の弛み側に係合させて図3に示しているように時計方向(ロ)、つまり機体前進時の車輪7・7の回転方向と同じ方向に回転するようにしている。
【0016】そして、スプロケット27の両脇部において、回転軸26にギア28・28が嵌着固定され、各々のギア28・28が、耕耘駆動軸3に回転自在に外嵌し且つ支持筒部23・23の内径部に回転自在に内嵌して設けられた被動ギア29・29に常時噛合され、さらに、各被動ギア29・29のボス部の外方端部に形成したギア30・30が、第1爪軸筒2・2の内径部に形設された受動ギア31・31にそれぞれ噛合されて屈折伝動部が構成されている。
【0017】なお、32はチエン緊張機構である。また、前述した回転切換機構Cは、耕耘伝動ケ−ス1に設けないでミッションケ−ス5側においてPTO軸11自体の回転方向を切り換えできるように構成される場合もある。さらに、耕耘伝動機構の逆転伝動系A及び逆転伝動系Bの具体的な構成は、図示のものに限定されるものではなく、要は、第2爪軸筒4と第1爪軸筒2を背反に回転駆動できるものであれば他に如何様に変形構成されても差し支えない。さらに、図1〜図3の実施例では、第1爪軸筒2を残耕処理用の傾斜爪軸筒として設けているが、該第1爪軸筒2は第2爪軸筒4と軸芯が一致する水平状態で設けられる場合もある。
【0018】図1〜図3の実施例のように構成されたロ−タリ耕耘装置によって耕耘作業を行う場合、通常は、正逆転切換機構Cの正転伝動列15が接続されてチエン伝動機構13が図3の(イ)方向に回転し、耕耘駆動軸3及びそれに嵌着固定される第2爪軸筒4・4が、図3に示す時計方向(ロ)に回転されて、第2爪軸筒4・4に取付けられた耕耘爪24群がアップカット回転で土中に打ち込まれ、同時に、回転軸26からギア28と被動ギア29、ギア30と受動ギア31を経て伝動される動力によって左右の第1爪軸筒2・2は、図3に示す反時計方向(ハ)に回転されることとなって、第1爪軸筒2・2に取付けられた耕耘爪25はダウンカット回転に土中に打ち込まれて、ロ−タリ爪軸筒による全耕幅の殆どの部分がアップカット回転する第2爪軸筒4の耕耘爪24によって耕起され、耕耘伝動ケ−ス1に近い一部分がダウンカット回転する第1耕耘筒2の耕耘爪25によって耕起される。
【0019】なお、図1〜図3の実施例においては、回転切換機構Cの逆転伝動列16・17・18・15が伝動状態になるように切り換えることにより、チエン伝動機構13を前出とは逆方向、つまり(イ)方向とは逆の方向に回転させて、第2爪軸筒4・4に取付けられた耕耘爪24群がダウンカット回転し、第1爪軸筒2・2に取付けられた耕耘爪25がアップカット回転して土中に打ち込まれる態様に変換することも可能である。
【0020】図4は、他の実施例が適用された耕耘機を示しており、該実施例においては図1〜図3の実施例に対比して、逆転伝動系に設けられる回転切換機構が省かれているが、第2爪軸筒4・4と第1爪軸筒2・2は、図2および図3に示す実施例と同様の伝動機構で駆動されるようになっていて、常に、第2爪軸筒4・4の耕耘爪がアップカット回転(U)し、また、第1爪軸筒2・2の耕耘爪がダウンカット回転(D)するようになっている。この場合、第2爪軸筒4および第1爪軸筒2の回転方向が一方向であるから、それらに取り付けられる耕耘爪は正逆両用耕耘爪ではなく一般的な耕耘爪が用いられている。したがって、回転切換機構が省かれることと、耕耘爪が一般的なものでよいことから、図1〜図3の実施例に比べて構造簡潔で低廉である。
【0021】さらに、図5は、サイドドライブ形のロ−タリ耕耘装置に本発明が適用された一例を示している。つまり、耕耘伝動ケ−ス1に逆転伝動系によってアップカット方向に回転駆動される第2爪軸筒4の左右両端部に、前記逆転伝動機構に連動する正転伝動系でもって反対向きに回転駆動される第1爪軸筒2・2を第2爪軸筒4と同芯の水平状態に支承して設けたものとしている。
【0022】なお、図5の実施例においても、図1〜図3の実施例のように回転切換機構を備えることも、また、図4の実施例のように回転切換機構を省いたものに構成することもでき、さらに、第1爪軸筒2・2を、図1〜図3の実施例と同様に傾斜させて設け、それぞれの第1爪軸筒2・2の外側に位置する耕耘伝動ケ−スあるいは支持枠の下方の残耕処理も行うようにすることもできる。そして、本発明の実施は耕耘機用に限られるものではなく、比較的小型の乗用トラクタのロ−タリ耕耘装置や、管理機などのように車軸を耕耘駆動軸として共用する車軸型作業機にも適用できるのである。
【0023】
【発明の効果】本発明に係るロ−タリ装置は、耕耘伝動ケ−ス1の下部に支承横設するロ−タリ爪軸筒を、前記耕耘伝動ケ−ス1の横脇部に配設する第1爪軸筒2と第1爪軸筒2の軸心方向横側部に同心状に配設する第2爪軸筒4とで構成して、第1爪軸筒2と第2爪軸筒4を耕耘伝動ケ−ス1内に設けた耕耘伝動機構の正転伝動系と逆転伝動系によって互いに反対方向に回転駆動する部分逆転方式のロ−タリ耕耘装置において、前記第2爪軸筒4を第1爪軸筒2に対比して長寸に形成し、長寸の第2爪軸筒4を前記耕耘伝動機構の逆転伝動系Aでアップカット回転させると共に、第2爪軸筒4より短寸の第1爪軸筒2を前記耕耘伝動機構の正転伝動系Bでダッウンカット回転させるように構成し、アップカット回転する第2爪軸筒4の耕耘爪24群による耕幅が、ダウンカット回転する第1爪軸筒2の耕耘爪25による耕幅の総和よりも大になるようにしたことによって、ロ−タリ爪軸筒による全耕幅のうち耕耘伝動ケ−ス1に近い一部分のみがダウンカット回転する第1耕耘筒2の耕耘爪25で耕起され、他の殆どの耕幅部分がアップカット回転される第2爪軸筒4の耕耘爪24によって耕起されることとなって、硬い圃場を耕起する場合でもアップカット回転する耕耘爪24群によるダッシング抑止力が充分に発揮されるとともに、第1爪軸筒2の耕耘爪25のダウンカット回転によって機体のスリッピングも防止されることとなって機体ダッシングもスリッピングも生じることの少ない良好な耕耘が行われる。そして、部分逆転方式のロ−タリ耕耘装置でありながら、耕耘伝動ケ−ス1に隣接する部分がダウンカット回転する耕耘爪25で耕起されて耕土は耕耘伝動ケ−ス1より後方に直接に放てきされるので、投てき耕土が耕耘伝動ケ−ス1の前面側に堆積して正常な進行を妨げるような事態が生起するおそれもない。
【出願人】 【識別番号】000005164
【氏名又は名称】セイレイ工業株式会社
【出願日】 平成5年6月10日(1993.6.10)
【代理人】
【公開番号】 特開2002−176804(P2002−176804A)
【公開日】 平成14年6月25日(2002.6.25)
【出願番号】 特願2001−370066(P2001−370066)