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【発明の名称】 電磁波吸収材とその製造法及びそれを用いた各種用途
【発明者】 【氏名】藤枝 正

【氏名】池田 伸三

【氏名】小川 宰

【氏名】阿部 輝宜

【氏名】青野 泰久

【要約】 【課題】本発明の目的は、1GHz以上の高周波領域における電波吸収特性に優れた電波吸収材とその製造法及びそれを用いた各種用途を提供する。

【解決手段】本発明は、磁性金属粒子とセラミックスとが一体となった複合磁性粒子を有することを特徴とし、また、磁性金属粉末とセラミックス粉末とを有する複合粉末をメカニカルアロイング法により、磁性金属粒子とセラミックスとが一体になった複合磁性粒子に形成することを特徴とする電磁波吸収材の製法にある。更に、複合磁性粒子を絶縁性高分子樹脂、又はセラミックスに分散させた電磁波吸収材にあり、それらを用いた電子装置、光送信モジュール、光受信モジュール、光送受信モジュール、車両間での電波障害による誤動作が防止される自動料金所にある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】磁性金属粒子とセラミックスとが一体となった複合磁性粒子を有することを特徴とする電磁波吸収材。
【請求項2】複数の微細な磁性金属粒子がセラミックスによって囲まれて一体となった複合磁性粒子を有することを特徴とする電磁波吸収材。
【請求項3】磁性金属粒子内にセラミックス粒子が埋め込められて一体となった複合磁性粒子を有することを特徴とする電磁波吸収材。
【請求項4】前記磁性金属が鉄、コバルト、ニッケルのうちの少なくとも一つの金属又は合金であり、前記セラミックスが鉄、アルミニウム、シリコン、チタン、バリウム、マンガン、亜鉛、マグネシウム、コバルトまたはニッケルの酸化物、窒化物及び炭化物のうちの少なくとも一つであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電磁波吸収材。
【請求項5】前記セラミックスが前記複合磁性粒子表面に粒子状で一体に結合していることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電磁波吸収材。
【請求項6】請求項1〜5のいずれかに記載の複合磁性粒子が、該複合磁性粒子よりも高電気抵抗率を有する材料に分散していることを特徴とする電磁波吸収材。
【請求項7】請求項6に記載の高電気抵抗率を有する材料が樹脂、絶縁性高分子塗料及びセラミックス焼結体のいずれかであることを特徴とする電磁波吸収材。
【請求項8】磁性金属粒子とセラミックスとが一体となった複合磁性粒子と、該複合磁性粒子より高電気抵抗率を有する高分子樹脂、アルミナ及びシリカの少なくとも1種とが複合化されたことを特徴とする電磁波吸収材。
【請求項9】請求項1〜8いずれかにおいて、前記複合磁性粒子に対して前記セラミックスが10〜75体積%であり、前記磁性金属粒子内に埋め込まれていることを特徴とする電磁波吸収材。
【請求項10】請求項1〜9のいずれかにおいて、前記複合磁性粒子の平均結晶粒径が50nm以下であることを特徴とする電磁波吸収材。
【請求項11】請求項1〜10のいずれかにおいて、前記複合磁性粒子の表面が前記複合磁性粒子よりも高電気抵抗率を有する材料で被覆されていることを特徴とする電磁波吸収材。
【請求項12】請求項1〜11のいずれかにおいて、前記複合磁性粒子のアスペクト比が2以上で、扁平形状であることを特徴とする電磁波吸収材。
【請求項13】請求項12において、扁平形状の複合磁性粒子が、前記高電気抵抗率を有する材料中に一方向に配向していることを特徴とする電磁波吸収材。
【請求項14】請求項8〜13のいずれかにおいて、前記アルミナ及びシリカは焼結体であることを特徴とする電磁波吸収材。
【請求項15】磁性金属粉末とセラミックス粉末とをメカニカルアロイング法により磁性金属粒子とセラミックスとが一体となった複合磁性粒子を形成することを特徴とする電磁波吸収材の製造法。
【請求項16】磁性金属粉末とセラミックス粉末とを有する複合粉末を、前記金属粉末の粒径より大きく、前記複合粉末の量より多い量の金属製ボール又はセラミックス製ボールを用いたメカニカルアロイング法により磁性金属粒子とセラミックスとが混合した一体となった複合磁性粒子に形成することを特徴とする電磁波吸収材の製造法。
【請求項17】磁性金属粒子とセラミックスとが一体となった複合磁性粒子、複数の微細な磁性金属粒子がセラミックスによって囲まれて一体となった複合磁性粒子、及び磁性金属粒子内にセラミックスが埋め込めれて一体となった複合磁性粒子のいずれかを有することを特徴とする複合部材。
【請求項18】磁性金属粒子とセラミックスとが一体となった複合磁性粒子と、該複合磁性粒子より高電気抵抗率を有する材料とが複合化されたことを特徴とする複合部材。
【請求項19】プリント配線基板上に搭載された電子素子が電磁波吸収材を含む樹脂によって封止されたことを特徴とする電子装置。
【請求項20】プリント配線基板上に搭載された電子素子が電磁波吸収材を含む樹脂によって封止された半導体装置であって、前記樹脂は前記素子側が前記電磁波吸収材フリーである樹脂によって被われていることを特徴とする電子装置。
【請求項21】絶縁基板上に配線回路を有し、該回路が絶縁層によって被われたプリント配線基板において、前記絶縁基板の前記配線回路形成面及びその反対面側の少なくとも一方に電磁吸収材を有する層が形成されていることを特徴とするプリント配線基板。
【請求項22】プリント配線基板上に搭載された電子素子が電磁波吸収材によって内周面が形成された金属製キャップによって被われていることを特徴とする電子装置。
【請求項23】プリント配線基板上に搭載された電子素子が電磁波吸収材を有するキャップによって被われていることを特徴とする電子装置。
【請求項24】プリント配線基板と、該基板上に搭載された電子素子とが電磁波吸収材を有する筐体によって被われていることを特徴とする電子装置。
【請求項25】プリント配線基板と、該基板上に搭載された電子素子とが電磁波吸収材によって内周面が形成された金属製筐体によって被われていることを特徴とする電子装置。
【請求項26】開口部を有する金属製筐体の内周面に電磁波吸収材が形成されていることを特徴とする筐体。
【請求項27】絶縁基板上に配線回路を有し、該回路が絶縁層によって被われたプリント配線基板において、前記絶縁基板の前記配線回路形成面及びその反対面側の少なくとも一方に電磁吸収材を有する層が形成されていることを特徴とするプリント配線基板。
【請求項28】回路基板上に発光素子及び受光素子の少なくとも一方の素子と、送信回路及び受信回路の少なくとも一方の回路とを有し、前記基板、素子及び回路が電磁波吸収材を有する部材によって被われていることを特徴とする光送信又は受信モジュール。
【請求項29】回路基板上に発光素子及び受光素子の少なくとも一方の素子と、送信回路及び受信回路の少なくとも一方の回路とを有し、前記基板、素子及び回路が電磁波吸収材を有する部材によって被われている内周面が形成された金属製キャップによって被われていることを特徴とする光送信又は受信モジュール。
【請求項30】回路基板上に発光素子及び受光素子の少なくとも一方の素子と、送信回路及び受信回路の少なくとも一方の回路とを有し、前記基板、素子及び回路が電磁波吸収材を有する部材によって被われ、該部材の外周面が金属製キャップによって被われていることを特徴とする光送信又は受信モジュール。
【請求項31】請求項28〜30のいずれかにおいて、前記基板、素子及び回路が絶縁樹脂によって被われていることを特徴とする光送信又は受信モジュール。
【請求項32】ゲート屋根が設けられた料金所と、該料金所を通行する車両に対して進入側に設けられた進入部アンテナと、前記車両に対して出路側に設けられた出路部アンテナと、路側通信装置と前記車両に搭載されている車載機との間で情報の授受を行う自動料金収受システムとを備えた自動料金所において、該料金所とその近傍の電磁波を反射する部材の表面に磁性金属粒とセラミックスとを有する電磁波吸収材が形成されていることを特徴とする自動料金所。
【請求項33】ゲート屋根が設けられた料金所と、該料金所を通行する車両に対して進入側に設けられた進入部アンテナと、前記車両に対して出路側に設けられた出路部アンテナと、路側通信装置と前記車両に搭載されている車載機との間で情報の授受を行う自動料金収受システムとを備えた料金所において、前記ゲート屋根の前記車両走行側表面と、進入部アンテナ及び出路部アンテナを支える支柱の表面に磁性金属粒とセラミックスとを有する電磁波吸収材が形成されていることを特徴とする自動料金所。
【請求項34】ゲート屋根が設けられた料金所と、該料金所を通行する車両に対して進入側に設けられた進入部アンテナと、前記車両に対して出路側に設けられた出路部アンテナと、路側通信装置と前記車両に搭載されている車載機との間で情報の授受を行う自動料金収受システムとを備えた自動料金所において、前記ゲートの前記車両走行側表面と、進入部アンテナ及び出路部アンテナを支える支柱の表面に磁性金属粒とセラミックスとを有する複合磁性粒子と、該複合磁性粒子よりも高電気抵抗率を有する材料とが複合化された電磁波吸収材が形成されていることを特徴とする自動料金所。
【請求項35】請求項32〜34のいずれかにおいて、前記電磁波吸収材は、電磁波の入射側がその反対側より高インピーダンスを有する多層構造であることを特徴とする自動料金所。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な電磁波吸収材とその製造方法及び複合部材並びにその用途に係り、磁性金属粒子とセラミックス、特に非磁性あるいは軟磁性の金属酸化物,炭化物,窒化物の少なくとも1種類を含む微細結晶粒からなる複合磁性粒子を有する電磁波吸収材とその製造法及び複合部材並びにそれを用いた半導体集積回路、電子回路、電子機器筐体、光送信・受信モジュール、自動料金所に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電子機器の高速処理化が加速的に進んでおり、LSIやマイクロプロセッサなどのICの動作周波数は急速に上昇しており、不要ノイズが放射し易くなっている。
【0003】更に、通信分野では、次世代マルチメディア移動通信(2GHz)、無線LAN(2〜30GHz)、ITS(Intelligent Transport Sysyem)の分野ではETS(自動料金収受システム)における5.8GHz、AHS(走行支援道路システム)における76GHzなどが利用されており、今後、高周波利用範囲は更に急速に拡大してゆくことが予想される。
【0004】ところで、電波の周波数が上昇すれば、ノイズとして放射し易くなる反面、最近の電子機器の低消費電力化によるノイズマージン低下により、デジタル回路のアナログ化によるイミュニティ(ノイズ耐性)低下および電子機器の小型化、高密度化の流れにより、機器内部のノイズ環境が悪化し、EMI(Electro-Magnetic Interference)による誤動作が問題になってきている。
【0005】そこで、電子機器内部でのEMIを低減させるために、電子機器内部に電波吸収体を配置するなどの対策がとられている。従来、GHz帯用電波吸収体としては、ゴムや樹脂などの電気的絶縁性有機物と軟磁性金属酸化物材料や軟磁性金属材料などの磁性損失材料とを複合化してシート状にしたものが主に使用されている。
【0006】一般に電子情報通信機器用の電波吸収体に求められる特性として、■反射減衰量が大きい(反射係数が小さい)、■電波を吸収できる帯域が広い、■薄い、が挙げられる。しかしながら、これらの特性を全て満足するような電波吸収体は実現されていない。
【0007】ここで、■を達成するためには、吸収体表面での電波反射量を小さくする必要があり、これには、物体の特性インピーダンス値√(μrr)を自由空間のそれ√(μ00)に近づけることである。しかし、μr(=μr'+jμr''C):複素比透磁率、εr(=εr'+jεr''):複素比誘電率であり、μ0、ε0は自由空間の透磁率および誘電率である。■を達成させるためには、特に磁性損失材料の場合は、μr'とμr''狽一定の関係を保ちながら周波数に対して、緩やかに単調減少することが条件である。■の吸収体の薄型化を達成するためには、物体内における電波の減衰量を大きくする必要があり、これには、物体の伝播定数(γ=2πf(μr ・εr)0.5)の実数部が大きいこと、すなわち所望の周波数における複素比透磁率及び複素比誘電率の値を大きくすることである。但し、複素比誘電率の値が大きくなるほど、自由空間とのインピーダンス整合はとりにくくなる。
【0008】電磁波吸収材料として実績のあるスピネル結晶構造の軟磁性金属酸化物材料は、電気抵抗率が軟磁性金属材料と比較して著しく高いため、渦電流による反射は小さいものの、GHz帯では透磁率が急激に減少するために、電磁波を良好に吸収するためにはかなりの厚さが必要となってくる。
【0009】一方、軟磁性金属材料については、比透磁率が極めて高いので、薄型電波吸収体を実現できる可能性があるが、電気抵抗率が低いため、高周波数領域では渦電流損による比透磁率の著しい低下および複素比誘電率虚数部の著しい上昇に伴い、反射が大きくなり、電波吸収体として成立しなくなる。
【0010】このような問題点を解決するために、特開平9-181476において、強磁性超微結晶金属相を金属酸化物相中に分散した形態のヘテログラニュラー構造の超微結晶磁性膜を高周波数領域での電波吸収体として利用することが提案されている。このような磁性膜の特徴としては、強磁性超微結晶による軟磁性と金属酸化物相による高電気抵抗率とを実現し、これによって渦電流損失を低減して高周波数領域での高透磁率化を実現できる。
【0011】しかし、電気抵抗率の点では500〜1000μΩ・cm程度であり、必ずしも十分高いとは言えず、GHz領域では、渦電流損による透磁率低下は避けられない。又、複素比誘電率に関しては電気抵抗率が十分高くないため、実数部に比して虚数部が大きくなってしまいインピーダンス整合がとり難いことが予測される。
【0012】しかし、この電波吸収体の製造方法としては、軟磁性金属及び酸素、窒素、炭素とこれらに対し親和性の高い金属酸化物相構成元素とを同時にスパッタして、これら元素を含むアモルファス膜を有機フイルムなどの基板上に成膜し、この膜を熱処理することで金属酸化物相中に強磁性超微結晶を生成させて、2相構造とするものである。しかし、大掛かりな成膜装置が必要であるため、コスト的な問題、さらには、薄膜構造であるため、適用個所にも制限がある。
【0013】特開平7−212079号公報及び特開平11−354973号公報は、扁平形状の軟磁性金属粒子と有機結合剤からなる電磁波干渉抑制体或いは電磁波吸収体を開示する。軟磁性金属粒子を表皮深さ以下の厚みの扁平形状として、渦電流を抑制し、さらに、形状磁気異方性の効果による磁気共鳴周波数の向上、及び形状に起因する反磁界の低減による透磁率向上を達成し、数MHz〜1GHzで優れた電磁波吸収能を得ている。しかし、電子機器内部或いは高周波数域対応の電磁波吸収体としては、厚さ、吸収能とも不十分である。
【0014】また、特開平9-111421において、高透磁率アモルファス合金をその結晶化温度以上で酸素ガス、窒素ガスおよびアンモニアガスのうち少なくとも一種を含有する雰囲気中で熱処理することにより、高透磁率合金よりなる結晶粒と結晶粒の周囲に酸化物あるいは窒化物を形成させることにより高周波領域で高電気抵抗化を図った線輪部品用磁性材料が提案されている。
【0015】更に、特開平11-16727において、強磁性を有する鉄と磁性を有するニッケルフェライトからなり、強磁性相中に磁性相または磁性中に強磁性相の分散あるいは強磁性相と磁性相が多層に積層された構造からなる高周波磁気素子用の磁性薄膜が提案されている。しかし、これらの電波吸収体として利用することは提案されていない。
【0016】又、特開平9-74298号公報にはセラミックスと磁性粒子とを窒化珪素ボールを用いてボールミル混合後焼結した電磁波シールド材が提案されている。しかし、この公報には電波吸収体は提案されていない。
【0017】更に、光送信モジュールにおいては、特開平11-196055号公報にモジュール内部での光送信部と受信部との間でのノイズの授受による内部干渉防止策が示されている。
【0018】又、自動料金所においては、ノンストップでの自動支払いが一部設けられており、電磁波吸収体としてパネル型が用いられている。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、高周波数領域における電波吸収特性に優れ、生産工程の少ない電磁波吸収材とその製造法及び複合部材並びにそれを用いた各種用途を提供することにる。
【0020】本発明の他の目的は、施工性に優れ、伝送速度が2.4Gbps以上でも電磁波吸収特性が劣化しない電磁波吸収材を用いることにより、前記ノイズを抑制し、高感度化を可能にする光送信モジュール、光受信モジュール、光送受信モジュールを提供することにある。
【0021】本発明の他の目的は、施工性に優れ、塗装、シート等の薄型の電磁波吸収材を用いた自動料金所を提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】本発明は、磁性金属粒子とセラミックスとが一体となった複合磁性粒子を有し、好ましくは磁性金属粒子と体積比で10%以上、より好ましくは20%以上のセラミックスとが一体となった粒径10μm以下、より好ましくは5μm以下の複合磁性粒子を有すること、複数の微細な磁性金属粒子がセラミックスによって囲まれて一体となった複合磁性粒子を有すること、更に磁性金属粒子内に好ましくは棒状のセラミックスが埋め込めれて一体となった複合磁性粒子を有し、大半は磁性金属粒子を囲むように形成されていることのいずれかよりなることを特徴とする電磁波吸収材にある。
【0023】即ち、本発明は、好ましくは粒径0.1μm以下、より好ましくは50nmの微細な多数の磁性金属粒子、及び10体積%以上、好ましくは20〜70体積%のセラミックスとが一体となった複合磁性粒子を有することを特徴とする電磁波吸収材にある。特に、磁性金属とセラミックスとは、一つの粒子内で互いに層状に形成されており、磁性金属は粒径の大半が100nm以下の複雑な形状の粒子となっており、その周りをセラミックスが囲む様子を有するものである。その複雑な形状の粒子は粒径が20nm以下の微細な粒子が集合して出来たものである。又、セラミックスはほとんどが磁性粒子を囲むように形成され、棒状に少量形成されている。
【0024】前記磁性金属が鉄、コバルト及びニッケルの少なくとも一つの金属又は合金であること、前記セラミックスが鉄、コバルト、ニッケル、チタン、バリウム、マンガン、亜鉛、マグネシウム、アルミニウム、シリコンまたは銅の酸化物、窒化物及び炭化物のうちの少なくとも一つであること、前記セラミックス粒子が前記複合磁性粒子表面に一体に結合していること、及び前記セラミックス粒子の大部分が前記磁性金属粒子の結晶粒内及び粒界に存在することのいずれかであることが好ましい。前記磁性金属は軟磁性金属が好ましい。
【0025】又、本発明は、金属酸化物等のセラミックス粒子が軟磁性超微細結晶の磁性金属粒子内にnmオーダで微細に一体に埋め込まれて混在する複合磁性粒子であり、軟磁性金属を微細結晶粒化することによる高透磁率化、及び超微細なセラミックス粒子を分散させることによる高電気抵抗率化を同時に実現させることにより、高周波数領域においても高透磁率化を維持させると共に、優れた吸収特性を有するものである。
【0026】複合磁性粒子を高い電気抵抗率を有するセラミックスが超微細磁性金属結晶粒の周りを取り囲む構造とすることにより、一般に使用されている単相金属磁性粒子に比べ、GHz領域において、電気抵抗率が向上するだけでなく、複素比透磁率が向上する。
【0027】更に、複合磁性粒子は、軟磁性金属相と金属酸化物相が交互に積層化された形態をとるため、軟磁性金属相幅が表皮深さ以下となり、実質、表皮深さ以下の厚みの軟磁性金属粉を分散させたのと同じ効果があるため、渦電流が低減され、電波を効率良く取り込むことができる。
【0028】ここで、複合磁性粒子を構成する磁性金属の結晶粒径が、50nmを越えると、金属結晶粒間での交換相互作用が弱くなり、軟磁性特性が劣化するために、透磁率が低下し、電気抵抗率が上昇してしまう。従って、磁性金属の結晶粒径は50nm以下、より好ましくは20nm以下である。
【0029】なお、添加するセラミック粒子の混合割合であるが、軟磁性金属粒子に対するセラミックスの体積混合割合が10体積%未満では、電気抵抗率が十分向上しない。また、特に非磁性セラミックスの体積混合割合が80体積%以上では、複合磁性粒子の透磁率が低下しすぎて、電波吸収特性が劣化する。これらより、軟磁性金属粒子に対するセラミックスの体積混合割合は、30〜60体積%が好ましい。
【0030】上述に記載の複合磁性粒子は、複合磁性粒子よりも高電気抵抗率を有する材料に分散していることを特徴とする電磁波吸収材にある。高電気抵抗率を有する材料として、絶縁性高分子樹脂、セラミックスが用いられ、互いの混合粉末、複合磁性粒子が樹脂、セラミックス内に取り込まれた粉末、又は有機溶剤、無機バインダーによって液状にして用いられる。
【0031】本発明は、磁性金属粉末とセラミックス粉末とをメカニカルアロイング法により互いに超微細な状態に混合して一体化するものであり、磁性金属粒子と好ましくは体積比で10%以上のセラミックスとが一体となった複合磁性粒子を形成すること、又磁性金属粉末とセラミックス粉末とを有する複合粉末を、前記金属粉末の粒径より大きく、前記複合粉末の量より多い量、好ましくは重量で複合粉末1に対して50〜100の割合の金属製ボール又はセラミックス製ボールを容器に入れて、高速で回転する、好ましくは1500〜3000rpmで回転する方法による強力なエネルギーを粉末に与えることによって互いに超微細な状態に混合して一体化するいわゆる一般に言われているメカニカルアロイング法によるものであり、微細な磁性金属粒子とセラミックスとが一体となった複合磁性粒子を形成することを特徴とする電磁波吸収材の製造法にある。
【0032】即ち、本発明は、磁性金属粉末とセラミックス粉末とを有する複合粉末を一般に言われているメカニカルアロイング法により互いに超微細な状態に混合して一体化するものであり、一般に合金化と言われるものであり、超微細な磁性金属粒子とセラミックス粒子とをの10%以上を分散させた複合磁性粒子を形成することを特徴とする電磁波吸収材の製造法にある。この様な状態にすることにより、高電気抵抗率を有するので、高周波領域で良好な磁気特性が得られ、高い電波吸収性が得られるものである。
【0033】本発明は、前述のいずれかに記載の複合磁性粒子がそれよりも高電気抵抗率を有する材料、特に、樹脂、絶縁塗料又はセラミックス焼結体に好ましくは20〜70重量%が分散していることを特徴とする電磁波吸収材にある。ここで、複合磁性粒子をそれよりも高電気抵抗率を有する材料に分散させる理由は、複合磁性粒子単独の電気抵抗率が電波吸収体として成立するのには十分小さくないためであること、更には、複合磁性粒子の混合割合を変化させることにより、電波吸収体の設計自由度が増すためである。このような観点から、複合磁性材が薄膜形状よりも粒子形状で有る方が好ましいと言える。
【0034】以上より、これらの複合磁性粒子からなる本発明の電磁波吸収材は、樹脂封止型半導体パッケージの封止樹脂中に混合して、半導体素子レベルでの輻射ノイズを抑止したり、樹脂製電子回路基板や金属酸化物よりなるセラミックス製電子回路基板中に混合することによって基板自体で発生する電磁波を吸収すること、あるいは樹脂製電子機器筐体に混合したり、金属製電子機器筐体内面に絶縁塗料とともに塗布することによって内部干渉を抑止するなど幅広い用途に用いることが出来る。
【0035】複数の磁性金属粒子と体積比で10%以上のセラミックスとが一体となった粒径10μm以下の複合磁性粒子、複数の微細な磁性金属粒子がセラミックスによって囲まれて一体となった複合磁性粒子、及び磁性金属粒子内に棒状のセラミックスが埋め込められて一体となった複合磁性粒子のいずれかを有することを特徴とする複合部材にある。
【0036】本発明は、磁性金属粒子と好ましくは体積比で10%以上のセラミックスとが一体となった粒径10μm以下の複合磁性粒子、複数の微細な磁性金属粒子がセラミックスによって囲まれて一体となった複合磁性粒子、及び磁性金属粒子内にセラミックスが埋め込めれて一体となった複合磁性粒子のいずれか又はこれらの組み合わせを有することを特徴とする複合部材にある。この複合部材は前述と同様の方法で製造することが出来る。
【0037】本発明は、磁性金属粒子とセラミックスとが一体となった複合磁性粒子と、該複合磁性粒子より高電気抵抗率を有する材料とが複合化された複合部材に関する。
【0038】また、磁性金属粒子とセラミックス相とが一体になった複合磁性粒子と、該複合磁性粒子より高電気抵抗率を有する樹脂、アルミナ、シリカの少なくとも1種とが複合化された電磁波吸収材である。
【0039】そして、前記複合磁性粒子中のセラミックスが10〜80体積%で、磁性金属粒子中に分散した海島(グラニュラー)構造であることが好ましい。又、本発明は、平均粒径50nm以下、更に好ましくは20nm以下の磁性金属からなる微結晶、好ましくは15〜70体積%のセラミックスとが一体となった複合磁性粒子と該複合磁性粒子よ前記複合磁性粒子の平均結晶粒径が50nm以下であることが好ましい。更に、磁性金属粒子及びセラミックスの材質は前述の通りである。
【0040】前記複合磁性粒子の表面が該複合磁性粒子より高電気抵抗率を有する材料で被覆されていること、前記複合磁性粒子の形状がアスペクト比で2以上の扁平形状であること、前記複合磁性粒子が、該複合磁性粒子より高い電気抵抗率を有する材料に均一分散していること、扁平形状の複合磁性粒子が、該扁平形状の複合磁性粒子より高電気抵抗率を有する材料中で配向していること、前記複合磁性粒子より高電気抵抗率を有する材料が少なくとも絶縁性高分子材料又はセラミックス焼結体のいずれかを含むことを特徴とする電磁波吸収材である。このように、複合磁性粒子を高電気抵抗率を有するセラミックス相が超微細磁性金属結晶粒の周りを取り囲む構造とすることにより、一般に使用されている単相金属磁性粒子に比べ、GHz領域において、電気抵抗率が向上するだけでなく、複素比透磁率が向上する。ここで、複合磁性粒子を構成する磁性金属の結晶粒径が、50nmを超えると、金属結晶粒間での交換相互作用が弱くなり、軟磁性特性が劣化するために、透磁率が低下し、電気抵抗率も上昇する。これより、本発明における複合磁性粒子を構成する磁性金属の結晶粒径は、50nm以下、更に好ましくは20nm以下が良い。
【0041】更に、複合磁性粒子におけるセラミックスの体積比率をコントロールすることにより、電磁波吸収特性に関わるパラメータである複素比透磁率、複素比誘電率を比較的自由に制御できるため、目的の周波数帯域で良好な電磁波吸収特性を得ることができる。なお、磁性金属に対するセラミックスの体積混合割合が10体積%未満では、電気抵抗率が十分向上しないため、低周波数側での複素比透磁率は高くなるが、GHz領域においては、渦電流損失により、複素比透磁率は急激に減少してしまう。さらに、複素比誘電率の虚数部は大きくなりすぎてしまい、十分な電磁波吸収特性が得られない。また、セラミックス相が特に非磁性である場合、セラミックスの体積混合割合が80体積%を超えると、電気抵抗率はかなり向上するものの、複合磁性粒子の複素比透磁率及び複素比誘電率の実数部が低下しすぎてしまい、十分な電磁波吸収特性を得るためには、かなりの厚みが必要である。これらより、軟磁性金属粒子に対するセラミックスの混合体積割合は、15〜70体積%が好ましい。
【0042】本発明は、前述の複合磁性粒子がそれよりも高電気抵抗率を有する材料、特に、樹脂、絶縁塗料又はセラミックス焼結体に好ましくは10〜80体積%が分散していることを特徴とする電磁波吸収材にある。
【0043】本発明において、複合磁性粒子を高電気抵抗率を有するセラミックス相が磁性金属からなる微結晶の周りを取り囲む構造とすることにより、一般に使用されている単相金属磁性粒子に比べ、GHz領域において、電気抵抗率が向上するだけでなく、複素比透磁率が向上することが可能となる。
【0044】更に、複合磁性粒子におけるセラミックス相の体積比率をコントロールすることにより、電磁波吸収特性に関わるパラメータである複素比透磁率、複素比誘電率を比較的自由に制御できるため、目的の周波数帯域で良好な電磁波吸収特性を得ることができる。なお、磁性金属相に対するセラミックス相の体積混合割合が10体積%未満では、電気抵抗率が十分向上しない。また、特に非磁性セラミックスの体積混合割合が80体積%以上では、複合磁性粒子の透磁率が低下しすぎて、薄型化を実現できない。これらより、軟磁性金属粒子に対するセラミックスの混合体積割合は、より20〜70体積%が好ましい。
【0045】複合磁性粒子をそれよりも高電気抵抗率を有する材料に10〜80体積%分散させる理由は、■複合磁性粒子単独の電気抵抗率が電磁波吸収体としては十分大きくない、■複合磁性粒子を電極とするマイクロコンデンサーが構成されるため、複素比誘電率の実数部を大きくできる、■複合磁性粒子形状及び分散形態をコントロールして、複素比透磁率、複素比誘電率の周波数特性を制御できる、■絶縁性樹脂に対する複合磁性粒子の体積混合比率をコントロールして、複素比透磁率、複素比誘電率の周波数特性を制御できる、ためである。
【0046】本発明において、複合磁性粒子をそれよりも高電気抵抗率を有する絶縁性材料と複合化を図り、磁性金属相、高電気抵抗セラミックス相、絶縁性材料の三相構造とすることが、磁性金属単相粒子と絶縁性樹脂との複合体や磁性金属粒子とセラミックスとの複合体のような二層構造よりも好ましい。
【0047】ここで、電磁波吸収特性を更に向上させるためには、前記複合磁性粒子の形状をアスペクト比で2以上かつ厚さを表皮深さ以下にした扁平形状とし、これらを高電気抵抗率を有する材料中で配向させるのがより好ましい。つまり、渦電流による急激な複素比透磁率低下の抑制、粒子形状に起因する反磁界の影響を低減させることによる高透磁率化及び形状磁気異方性による磁気共鳴周波数の高周波化、更にはコンデンサー電極面積の増大による複素比誘電率実数部向上が図れるため、更なる吸収特性向上及び薄型化が実現できる。
【0048】本発明において、磁性金属からなる微結晶粒子(磁性金属粒子という)とセラミックス粒子の複合化手法としては、メカニカルアロイング手法或いは、例えば、磁性金属とそれよりも酸素、窒素、炭素との親和性が高い元素からなり、更に、これらガス元素のいずれかの含有量が高い合金粉末をアトマイズ法などにより製造し、その後、熱処理をすることにより、軟磁性金属相とセラミックス相をそれぞれ生成させる手法、更に、磁性金属とそれよりも酸素、窒素、炭素との親和性が高い元素からなる合金粉末をアトマイズ法などにより製造し、酸素、窒素、炭素のいずれかを含有するガス雰囲気中で熱処理する手法、軟磁性金属相とセラミックス相をそれぞれ生成させる手法、金属アルコキシドを利用したゾル・ゲル法等も適用できる。このゾル・ゲル法では、セラミックス相の中に微細な磁性金属粒子が分散した複合磁性粒子が形成される。最終的に磁性金属相と高電気抵抗セラミックス相とから構成される複合磁性粒子が得られる製造法であれば、上記手法に限定されるものではない。
【0049】なお、複合磁性粒子自体の電気抵抗率を向上させるために、大気中、酸素雰囲気中あるいは窒素雰囲気中でアニールすることにより、複合磁性粒子表面に酸化物層あるいは窒化物層等の電気抵抗率の高い皮膜を同時形成させることも可能である。
【0050】また、機械的複合法、好ましくはせん断型ミルの一つであるメカノフュージョン法により複合磁性粒子表面をより高電気抵抗率の材料でコーティングすることも可能である。
【0051】これら複合磁性粒子を絶縁性高分子材料に対して、体積比にして20〜80%を混練した。絶縁性高分子材料としては、ポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリビニルプチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロース系樹脂、あるいはこれらの共重合体、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アミド系樹脂、イミド系樹脂、ナイロン、アクリル、合成ゴム等を用いることができる。エポキシ樹脂が好ましい。樹脂に対する複合磁性粒子の充填率が50体積%以上となる場合は、複合磁性粒子同士の接触により、樹脂複合体の電気抵抗率が低下するために、複合磁性粒子表面を絶縁コーティングする目的で、シラン系、アルシキレート系あるいはチタネート系のカップリング処理剤もしくはリン酸ホウ酸マグネシア絶縁処理材などを同時に添加する必要がある。
【0052】このように、表面酸化法、機械的複合法あるいは化学的表面処理法を単独もしくは組み合わせて、複合磁性粒子表面をより高電気抵抗率の材料でコーティングすることにより、樹脂に対する複合磁性粒子の混合割合を高めても、電気抵抗率を保持させたまま、複素比透磁率および、複素比誘電率実数部の向上を図ることができ、電磁波吸収率の向上を図ることが可能となる。
【0053】本発明の電磁波吸収材の適用形態としては、次のようなものが考えられる。
(1)樹脂封止型の電子素子を有する電子装置の例として、半導体素子を有する樹脂封止型半導体集積装置において、封止樹脂中に複合磁性粒子を混合して、半導体素子レベルでの輻射ノイズを抑制する。
(2)プリント配線基板において、配線回路形成面及び配線回路を有しない絶縁基板の裏面の一部又は全面に、本発明の電磁波吸収材から構成される塗料を直接塗布するか、あるいはそれらをシート状に成形したフイルム等を設けることにより、電磁波吸収層を形成させ、プリント配線回路から発生する電磁波によるクロストーク現象などのノイズ発生を抑制することができる。特に、半導体基板の少なくとも片側主面に1層目の配線層が形成され、該1層目の配線層の表面に絶縁膜が形成され、該絶縁膜上に導通穴を介して前記1層目の配線層と電気的に接続した2層目の配線層が繰り返し積層されてなる多層配線回路基板の高密度化、高集積度化を高い信頼性で達成できる。
(3)ノイズ発生源となる半導体素子を包み込むように、プリント配線基板上に複合磁性粒子とそれよりも高電気抵抗率材料とで構成されるキャップを実装することにより、半導体素子から放射される電磁波を効率よく吸収でき、電磁波内部干渉を抑制することができる。
(4)金属製電子機器筐体内面に複合磁性粒子を混合した絶縁塗料を塗布したり、複合磁性粒子と樹脂で構成される電子機器筐体を用いることにより、電子機器内部干渉を抑制することができる。
【0054】更に、本発明は、プリント配線基板上に搭載された半導体素子が電磁波吸収材を含む樹脂によって封止された半導体装置、又、前記樹脂が前記素子側が前記電磁波吸収材フリーである樹脂によって被われていること、又、絶縁基板上に配線回路を有し、該回路が絶縁層によって被われたプリント配線基板の前記絶縁基板の前記配線回路形成面とその反対面側の少なくとも一方に電磁吸収材を有する層が形成されていることを特徴とする。
【0055】又、本発明は、プリント配線基板上に搭載された電子素子が電磁波吸収材によって内周面が形成された金属製キャップによって被われていること、又、プリント配線基板上に搭載された電子素子が電磁波吸収材を有するキャップによって被われていること、又、プリント配線基板と、該基板上に搭載された電子素子とが電磁波吸収材を有する筐体によって被われていること、又、プリント配線基板と、該基板上に搭載された電子素子とが電磁波吸収材によって内周面が形成された金属製筐体によって被われている電子装置のいずれかにある。いずれの本発明に用いられる電磁波吸収材には前述の材料を用いるのが好ましい。上述の電子素子は半導体素子である半導体装置が好ましい。
【0056】本発明は、開口部を有する金属製筐体の内周面に電磁波吸収材が形成されていることを特徴とする電子装置用筐体にある。
【0057】本発明は、高速通信網に使用される電気―光変換器を有する光送信又は受信モジュールにおいて、磁性金属粒とセラミックスとを有する複合磁性粒子、又はこの複合磁性粒子にこれよりも高電気抵抗率を有する材料が複合化された電磁波吸収材によって光送信素子又は受信素子、それらの回路を覆うことにより、モジュール外への放射ノイズおよびモジュール内でのノイズ干渉を抑制することができる。
【0058】本発明により、光ファイバを用いた高速通信網において使用される光送信モジュール、光受信モジュール、又は、光送信モジュールと光受信モジュールが一体となった光送受信モジュールが得られ、モジュール外への放射ノイズおよびモジュール内でのノイズ干渉を抑制し、小型・軽量化、高速化、高感度化を可能にするものである。
【0059】本発明は、ゲート屋根が設けられた料金所と、該料金所を通行する車両に対して進入側に設けられた進入部アンテナと、前記車両に対して出路側に設けられた出路部アンテナと、路側通信装置と前記車両に搭載されている車載機との間で情報の授受を行う自動料金収受システムとを備えた自動料金所において、該料金所とその近傍の電磁波を反射する部材の表面に電磁波吸収材が形成されていること、前記ゲート屋根の車両走行側表面と、進入部アンテナ及び出路部アンテナを支える支柱の表面に磁性金属粒とセラミックスとを有する電磁波吸収材が形成されていることを特徴とする。
【0060】本発明に用いる電磁波吸収材は、前述と同様である。
【0061】
【発明の実施の形態】(実施例1)粒径1-5μmのFe粉50vol%と平均粒径0.3μmのSiO2粒子50vol%の混合粉末とSUS410製ボール(粒径:9.5mm)を重量比にして粉末:ボール=1:80でSUS製の容器に一緒に入れ、アルゴンガスを封入して、回転数:200rpmで100時間 、MA(メカニカルアロイング)処理を行った。MA後の複合粒子の形状は複雑な形状を有する不定形であり、平均粒径は数十μmであった。
【0062】図1は複合磁性粒子をTEM観察したTEM組織写真である。写真の黒い部分のFeの結晶粒径は約10nm程度であり、その複合磁性粒子は複雑な形状を有し、粒径100nm以下のFe粒子を囲む様に白い部分のSi酸化物が網目状に形成していた。そのFe粒子は粒径が20nm以下の微細なものが独立又、複雑な形状のFe粒子となってその粒径より大きく形成されているものはそれらが集合して形成されているものである。又、Si酸化物がFe結晶粒界に分散しており、Fe粒子とSi酸化物とが互いに層状に形成されていた。更に、Si酸化物は棒状にも形成され、直径0.05μm以下、長さ0.1〜0.5μmのものが1μm平方当たり10〜20個程度形成されていた。
【0063】また、MA後、この複合粒子を真空中(真空度:10-6Torr以上)で温度500℃、1時間のアニールを施した。その後、この複合粒子をエポキシ樹脂に対して、体積比にして50%を混練し、室温でタブレット状に加圧成形し、さらに、そのタブレットを180℃、210kgfで一軸加圧し、硬化させた。その後、機械加工、研磨により、外形:7-0.05mm、内径:3.04+0.06mm、厚さ:2mm、4mmのトロイダル形状に仕上げた。
【0064】ネットワークアナライザー(HP製8720C)と同軸エアラインから構成される測定系により、試料の複素比誘電率、複素比透磁率を測定する場合には、自由空間の透磁率、誘電率が1となるように校正した後、同軸エアラインに試料を挿入し、2つのポートを使用してS11、S21の2つのパラメータを測定し、それから計算により複素比誘電率、複素比透磁率を求めた。
【0065】また、試料の反射特性は、自由空間の反射係数が0になるように校正した後、試料を同軸エアラインに挿入し、試料の終端を金属面で短絡し、S11を測定し、反射係数を計算した。なお、測定周波数は50MHz〜20GHzである。
【0066】軟磁性金属粒子内に絶縁性金属酸化物粒子を分散した複合磁性粒子の効果をみるために、本発明の方法により製造したFe-50vol%SiO2複合磁性粒子及び、Fe粉とSiO2粉を別々に前記MA処理と同条件でメカニカルミリング処理後、アニールした各粉末を単にVミキサーにより混合したものをエポキシ樹脂と複合化したものの複素比透磁率、複素比誘電率および反射係数の周波数特性を測定し、比較した結果を図2〜図4に示す。
【0067】図2より、高周波領域では、単にFe粉とSiO2粉とをVミキサーにより混合した場合よりも複合化した方が、複素比透磁率の実数部および虚数部ともに上昇しているのがわかる。
【0068】図3より、複素比誘電率の実数部および虚数部ともに、複合化により若干低下しており、自由空間とのインピーダンス整合がとりやすくなっているのがわかる。
【0069】図4は試料厚さ1.8mmの場合の反射係数の周波数特性であり、反射係数は複合粒子の方が小さく、また中心周波数(最も反射係数が小さくなる周波数)は複合粒子の方が低周波数側にある。さらに、反射係数-10dB以下を満足する周波数帯域幅は、複合粒子の方が広くなっている。
【0070】これらの結果より、軟磁性金属粉と絶縁性金属酸化物をナノスケールで複合化した方が、単に2種類の粉末を混合した場合に比べ、電波吸収特性は向上しているのがわかる。
【0071】(実施例2)粒径1〜5μmのFe粉と平均粒径0.7μmの(Ni-Zn-Cu)Fe2O4又は(Mn-Zn)Fe2O4などの軟磁性金属酸化物粉との混合粉末(体積比で50:50)とSUS410製ボール(粒径95mm)を重量比にして粉末:ボール=1:80でSUS製のポットに一緒に入れ、アルゴンガスを封入して、回転数:200rpmで100時間、MA(メカニカルアロイング)処理を行った。MA後の複合磁性粒子の形状は不定形であり、平均粒径は数10μmであった。また、この複合磁性粒子をTEM観察した結果実施例1と同様であり、Feの結晶粒径は約10nm程度であり、その結晶粒界に軟磁性金属酸化物の成分を含む酸化物が網目状に微細分散していた。この複合粒子を真空中(真空度:10-6Torr以上)で温度500℃、1時間のアニールを施した。複合磁性粒子は実施例1と同様の組織を示していた。
【0072】軟磁性金属粉と軟磁性金属酸化物粉を複合化した効果をみるために、本発明の複合粒子及び、Fe粉と軟磁性金属酸化物粉を別々に前述のMA処理と同条件でメカニカルミリング処理後、アニールした各粉末を単にVミキサーにより混合したものをエポキシ樹脂と複合化したものの各特性の各特性を測定し、比較した結果、実施例1と同様な効果が認められた。
【0073】(実施例3)粒径1〜5μmのFe粉と平均粒径1.0μmのSi粉とを体積比にして50:50で混合した粉末に前述と同じステンレス製ボールを重量比にして1:80でステンレス製のポットに一緒に入れ、酸素ガス(Ar:O2=4:1)を封入して、回転数:200rpmで100時間、メカニカルアロイング(MA)処理を行った。MA後の複合粉末の形状は不定形であり、平均粒径は5.0μmであった。また、この複合磁性粒子をTEM観察した結果、Feの結晶粒径は約10nm程度であり、その結晶粒界にはSi酸化物が網目状に微細分散し、更に棒状のSi酸化物が分散していた。さらに、X線回折の結果、Fe酸化物(Fe23,Fe34)の存在も確認された。前記方法と同様にこの複合粒子をエポキシ樹脂に混合したものの各種特性を測定した結果、実施例1の方法で製造した複合磁性粒子とほぼ同様な組織及び特性が得られた。
【0074】(実施例4)実施例1〜3によって得た複合磁性粒子の粒子表面に電気抵抗率の高い非磁性又は磁性酸化物をコーテングした。コーテング法として表面酸化法又は機械的複合法により行った。
【0075】表面酸化法として、複合粒子の製造工程におけるアニール時の雰囲気を大気又は酸素とすることにより、主に粒子表面にFe34などの酸化物が生成しているのが、X線回折により確認された。
【0076】又、機械的複合法として、せん断型ミルの一つであるメカノフュージョン法を採用した。具体的には、ホスト粒子として複合磁性粒子(平均粒径:10μm)、ゲスト粒子としてSiO2(平均粒径:0.016μm)又は(Ni−Zn―Cu)Fe24(平均粒径:0.5μm)をもちいた。これらのホスト粒子とゲスト粒子を体積比で2:3で混合し、メカノフュージョン装置に投入した。メカノフュージョン条件として、真空中、回転数:1000rpm、処理時間:3時間とした。その結果、複合磁性粒子表面にはゲスト粒子で構成される厚さ約1.0μmの比較的緻密な酸化物層がコーテングされているのが、SEM観察により確認された。
【0077】(実施例5)粒径1−5μmのFe粉70vol%と平均粒径0.3μmのSiO2粒子30vol%の混合粉末とSUS製ボールをSUS製容器に一緒に入れ、アルゴンガスを封入して、メカニカルアロイング(機械的合金化)処理を行った。メカニカルアロイング後の複合磁性粒子の形状は不定形であり、平均粒径は数10μmであった。次いで、この複合磁性粒子に真空中(真空度:10-6Torr以上)で500℃、1時間の熱処理を施した。
【0078】磁性金属からなる微結晶粒子(磁性金属粒子という)とセラミックス粒子の複合化手法としては、メカニカルアロイング手法に限らず、前述の方法によって得ることができる。具体的には、ホスト粒子としてメカニカルアローイング処理後の複合磁性粒子(平均粒径:10μm)、ゲスト粒子としてSiO2(平均粒径:0.016μm)又は(Ni−Zn―Cu)Fe24(平均粒径:0.5μm)を用いた。これらのホスト粒子とゲスト粒子を体積比で2:3で混合し、メカノフュージョン装置に投入(好ましくは、真空中、回転数100〜10000rpm、処理時間1〜10時間)した。メカノフュージョン条件として、真空中、回転数:1000rpm、処理時間:3時間とした。その結果、複合磁性粒子表面にはゲスト粒子で構成される厚さ約1.0μmの緻密な酸化物層がコーテングされているのが、SEM観察により確認された。
【0079】図5はメカニカルアローイング処理後、真空中でアニールした複合磁性粒子のTEM組織写真である。写真の黒い部分はFeの微細結晶粒であり、結晶粒径は10〜20nm程度であった。また、Feの微細結晶粒を取り囲むように非晶質Si酸化物が存在していた。
【0080】その後、これらを乾燥、粉砕処理後、室温でタブレット状に加圧成形した。さらに、そのタブレットを180℃、210kgfで一軸加圧し、硬化させた。なお、その他の樹脂複合体の製造法としては,射出成形法やトランスファーモールド法等が挙げられる。また、シート状の樹脂複合体を製造する場合には、ドクターブレード法、スピンコート法、カレンダーロール法等が適用可能である。
【0081】特性評価用試料として、これら樹脂複合体を機械加工、研磨により、外形:7−0.02mm、内径:3.04+0.02mm、厚さ:0.5〜2mmのトロイダル形状に仕上げた。次に、特性評価法であるが、ネットワークアナライザー(HP製8720C)と同軸導波管から構成される測定系により、試料の複素比誘電率、複素比透磁率を測定する場合には、自由空間の透磁率、誘電率が1となるように校正した後、同軸導波管に試料を挿入し、2つのポートを使用してS11、S21の2つのパラメータを測定し、Nicolson−Ross,Weir法により複素比誘電率、複素比透磁率を求めた。
【0082】試料の反射特性は、空気の反射係数が0になるように校正した後、試料を同軸エアラインに挿入し、試料の終端を金属面で短絡し、S11を測定し、反射係数を計算した。なお、測定周波数は0.1〜18GHzである。
【0083】また、単相のFe粒子との特性を比較するために、粒径1−5μmのFe粉と平均粒径0.3μmのSiO2粉を別々に前記メカニカルアローイング処理と同条件でメカニカルミリング処理後、Fe粉とSiO2粉を体積比で70:30の割合で配合し、これらをVミキサーにより十分混合し、前記同条件でアニールしたものを前記同様の手法によりエポキシ樹脂と複合化し、複素比透磁率、複素比誘電率及び反射係数の周波数特性を測定した。
【0084】図6〜図8に複合磁性粒子と単相Fe粒子との複素比透磁率、複素比誘電率、反射係数の周波数特性比較を示す。図6より、高周波領域では、Fe粉とSiO2粉との単純混合粉よりも複合磁性粒子の方が、複素比透磁率の実数部および虚数部ともに上昇しているのがわかる。図7より、複素比誘電率の実数部に関しては、複合磁性粒子の方が、大きくなっているが、同時に虚数部も僅かに大きくなっている。図8(a)は、電磁波吸収材の片面に金属板がある場合の反射係数の周波数特性であり、反射係数は複合磁性粒子の方が小さくなっている。また、図8(b)は、電磁波吸収材そのものの電磁波吸収量を測定した結果であり、複合磁性粒子の方が、吸収率は大きくなっている。
【0085】これらの結果より、軟磁性金属粒相と高電気抵抗セラミックス相をナノスケールで複合化することにより、電磁波吸収特性を向上させることができる。
【0086】(実施例6)実施例5において、Feの代わりに、Ni、Coあるいはそれら強磁性金属のうち少なくとも1つを含む合金、例えばFe−Ni系のパーマロイ、Fe−Al−Si系のセンダスト、Fe−Si合金系、Fe−Cr、Fe−Cr−Al合金系等を用いた場合、及びSiO2の代わりに、アルミナ(Al23)、磁性酸化物としてスピネル系のMn−Zn系フェライト、Ni−Zn系フェライト、更にはプレーナー型六方晶系フェライト、マグネトプランバイト型フェライトなどを用いた場合にも同様の結果が得られた。
【0087】(実施例7)実施例5又は6におけるメカニカルアローイング処理後の複合磁性粒子形状を偏平化する目的で、遊星ボールミル装置(又はアトライター)等の粉砕機を用いて、エタノール等の有機溶剤と複合磁性粒子を一緒に入れて湿式処理することにより、アスペクト比が2以上の偏平状複合磁性粒子を得た。この偏平状複合磁性粒子を熱処理した後、液状樹脂に混合しペースト状にした後、複合磁性粒子にせん断力が加えられるドクターブレード法でシート状にした後、ホットプレスで加圧成形した。このシート断面をSEMで観察した結果、図9のように、偏平状複合磁性粒子がシート表面に対して平行に配向していた。
【0088】また、偏平状複合磁性粒子と樹脂との複合コンパウンドを予め作製しておき、それを射出成形機により金型に射出した。この成形品の断面をSEM観察した結果、図9と同様に、射出方向に偏平状複合磁性粒子が高配向していた。これら偏平状複合磁性粒子を樹脂中に高配向させた場合、実施例5及び6に比べ、複素比透磁率及び複素比誘電率実数部の向上が認められ、電磁波吸収率が大幅に向上した。
【0089】(実施例8)図10は、実施例1〜7に記載の複合磁性粒子を混合した樹脂で封止した半導体集積装置の断面図を示す。図10に示すように、マイクロプロセッサやシステムLSI等の製造工程において、複合磁性粒子を混合した封止樹脂でトランスファーモールド法によってパッケージ成型することにより、これら半導体集積素子を構成するIC及びインナーリードから発生する電磁波を吸収し、内部干渉を抑制できる。なお、複合磁性粒子を混合した封止樹脂の半導体素子側には複合磁性粒子フリーの樹脂によって覆うことによりリードとの電気的接触を避ける事が出来る。ICと外部との電気的接続は半田ボール7によってプリント配線基板9を介して行われる。リード8はAu,Cu,Al線のいずれかが用いられる。複合磁性粒子フリーの樹脂には、球径、角型シリカ等の無機充填剤を60〜95重量%有する樹脂が用いられ、トランスファーモールド法によって形成される。
【0090】(実施例9)図11は、実施例1〜7に記載の電磁波吸収材から構成される電磁波吸収層を具備したプリント配線基板の断面図を示す。絶縁基板上に配線回路13が形成されたプリント配線回路9の、配線回路13を形成した面の絶縁層10上及び配線回路を形成していない絶縁基板から成るプリント配線回路9の裏面のそれぞれの一部又は全面に複合磁性粒子とそれよりも高電気抵抗の材料から構成される塗料を直接塗布するか、あるいはそれらをシート状に成形したものを配置して、電磁波吸収層を形成させて、プリント配線回路から発生する電磁波によるクロストーク現象によるノイズの発生を抑制できる。また、各電磁波吸収層の外側に導体層を配置して、電磁波吸収効率を向上でき、かつ外部からの電磁波に対するシールド効果も向上できる。
【0091】(実施例10)図12は、ノイズ発生源となる半導体素子を包み込むように、プリント配線基板上に配置された半導体用電磁波吸収キャップの断面を示す。マイクロプロセッサやシステムLSI等のノイズ発生源となる半導体素子を包み込むように、プリント配線基板上に本発明に係わる電磁波吸収キャップを配置した構成である。図12(a)は、金属製キャップの内面に本発明の電磁波吸収層を配置した場合であり、外部からの電磁波に対するシールド、内部から放射される電磁波を吸収できる。図12(b)は、本発明の電磁波吸収材を射出成形で成形したキャップを用いた場合である。この実装により、半導体素子から放射される電磁波を効率よく吸収でき、内部干渉を抑制できる。
【0092】(実施例11)図13は、プリント配線基板9に搭載した集積回路IC6を本発明の電磁波吸収材から構成される電子機器筐体によって封止された断面図である。図13(a)は、金属製電子機器筐体内面に本発明の電磁波吸収層を塗布あるいは射出成形などで形成した場合である。図13(b)は、本発明の電磁波吸収材を射出成形で成形した電子機器筐体である。このように、電子機器筐体に電磁波吸収機能を付与することにより、電子機器内部での電磁波干渉を抑制できる。
【0093】(実施例12)図14は、本発明の光送信モジュールの構成を示す断面図である。光送信モジュール21は、光ファイバ25、光導波路29、LD26、送信回路27、回路基板28等から構成される。送信回路27は、レーザ発光ダイオードであるLD26を駆動するLDドライバ、レーザ出力制御部、フリップフロップ回路等から構成される。実際には、リードフレームやワイヤがついているが、これらの図示を略している。伝送速度が大きくなるにつれて、光伝送モジュール内では、LD26を励起する電気信号のクロック周波数が高くなるため、高周波の電磁波が発生し、これらの電磁波は、他の要素、部品等に悪影響を及ぼすノイズの原因となる。本実施例では、光送信モジュールを型に入れ、前記複合磁性粒子を含有した樹脂混合物を流し込んで固化させることで、完全封止し、さらにその外側を金属筐体30で覆うことにより、各素子や基板を水や気体から保護するだけでなく、電磁波を吸収、シールドすることができ、送信モジュール内でのノイズ干渉を抑制し、かつモジュール外部へのノイズの放射を完全に防止することができる。
【0094】又、金属筐体30は必ずしも必要ではなく、図15のように、樹脂混合物のみで封止した構造とすることが出来、電磁波吸収、シールド効果は金属筐体で覆った場合よりも若干劣るが、廉価できるメリットがある。
【0095】又、複合磁性粒子表面を絶縁コーティングすることによって、配線間の短絡を防止することができる。絶縁性コーティング法としては、雰囲気中、熱処理により、複合磁性粒子表面に酸化物層あるいは窒化物層等の電気抵抗率の高い皮膜を形成させる方法、または、シラン系、アルシキレート系あるいはチタネート系のカップリング処理剤もしくはリン酸ホウ酸マグネシア絶縁処理液等を用いた化学的形成法、あるいは、せん断型ミルの一つであるメカノフュージョン法により複合磁性粒子表面を高電気抵抗率の材料でコーティングする機械的形成法などが挙げられる。
【0096】また、配線間の短絡防止法としてより確実なのは、図16のように、配線部のみを複合磁性粒子を含有していない絶縁性樹脂で封止し、さらにその上に複合磁性粒子を含有した樹脂混合物で封止する2層構造とすることである。
【0097】なお、複合磁性粒子の粒径は、複合磁性粒子組成により異なるが、樹脂混合物の流動性等を考慮すると、40μm以下が好ましい。また、粒形状は球状あるいは扁平状でも良く、特に限定されない。また、複合磁性粒子の樹脂に対する充填量は、樹脂混合物の流動性確保の点から60vol%以下であるのが好ましい。さらに、樹脂としては、通常電子回路部の封止樹脂として使用されるエポキシ系の他に、絶縁性高分子材料であれば前述したものを用いることができる。
【0098】本実施例では、LD26、送信回路27について示したが、これらを受光及び受信回路に変えることによって光受信モジュールを同様に構成することができる。
【0099】(実施例13)図17は、回路基板28上に光送信モジュールと光受信モジュールとが形成された光送受信モジュールの平面図である。光送受信モジュール23は、前記の光送信モジュールと光受信モジュールを併せ備えた機能を有する。光送信部は、光ファイバ25、光導波路29、LD26、送信回路27、回路基板28等から構成される。送信回路は、レーザを駆動するLDドライバ、レーザ出力制御部、フリップフロップ回路等から構成される。光受信部は、光ファイバ25、光導波路29、PD35、受信回路36、回路基板28等から構成される。受信回路は、前置増幅機能を有するPRE IC、クロック抽出部および等価増幅部からなるCDR LSI、狭帯域フィルタのSAW、APDバイアス制御回路等から構成される。実際には、リードフレームやワイヤがついているが、これらの図示を略している。
【0100】このように、送信モジュールと受信モジュールが一体となった送受信モジュールでは、前記したように、特に、光送信部と光受信部との間でのノイズ授受による内部ノイズ干渉が問題となる。
【0101】本実施例においても、電磁波吸収材の配置を実施例12と同様に図14〜図16のように構成することができる。従来の光送受信モジュールでは、光送信部と光受信部の間に、金属製のシールド板を配置したり、各モジュールを金属パッケージに封入し、独立の送信モジュール、受信モジュールとしてノイズ干渉を防止していたが、このような構造とすることで、モジュール全体が大型化し、重くなるばかりではなく高価な金属パッケージを使用することで、廉価にできないといった問題があり、本発明のような構造とすることで、モジュール内でのノイズ干渉を防止できるばかりでなく、小型・軽量化、低価格化を実現できる。
【0102】又、本実施例によれば、高速通信網において使用に耐える、内部ノイズ干渉、外部へのノイズ放射を抑制し、小型・軽量化、高速化、高感度化を可能にする光送信モジュール、光受信モジュール、あるいは、光送信部および光受信部を併せ持つ光送受信モジュールを提供することができる。
【0103】(実施例14)図18は、料金所を通行する車両が、路側通信装置と通行車両に搭載されている車載機との間で情報の授受ができる自動料金収受システム(以下、ETC)が適用されている料金所の基本構成を示した断面図である。
【0104】図18に示すように、進入部アンテナ40、出路部アンテナ41、車載機42との間で、周波数5.8GHzの電波を使用し、料金収受に必要な情報を交換する。ところで、出路側アンテナ41からの送信による電波(直接波46)の広がりが、路面43とゲート屋根44の天井面あるいは支柱45等との電磁波多重反射現象により大きくなる。それによって、図18に示すように、出路部アンテナ41から送信された電波(直接波46)が、車両A48の車載機に送信される以外に、路面43で反射された反射波47が、後続の車両B48の車載機42に送信されてしまうという車間区分の問題や隣接レーンの車両への干渉問題等の電波障害による誤動作が予測されるため、ゲート屋根44の天井面、支柱等の電磁波を反射する部材の表面に複合磁性粒子を含有した絶縁性高分子樹脂組成物を溶剤によって液状にして塗付又はその組成物をシートにしたものを接着剤によって貼り付けることにより、反射波47を吸収し、前記問題を解決することができる。
【0105】従来のETC用電波吸収体は、一体パネル型であり、厚さも数十cm以上もあり、かなり厚い。そのため、複雑形状部分には取付が困難である等の取付作業上の問題があり、塗料タイプあるいは柔軟シートタイプで薄型の電波吸収体が求められている。本発明の電波吸収体49は複合磁性粒子を含有した絶縁性高分子樹脂との混合物からなり、樹脂の選択により、塗料タイプあるいは柔軟シートタイプにすることが可能であり、また、複合磁性粒子は従来の軟磁性金属粒子よりも特に5GHz以上での高周波数領域で電磁気特性に優れているため、これらの問題を解決することができる。絶縁性高分子樹脂には前述した材料が用いられる。
【0106】複合磁性粒子を含有した樹脂混合物を用いた電波吸収体49としては、単層又は、図19に示すように斜入射特性を向上させるために、電波入射面側から完全反射体である金属層方向に、入射電波50に対する電波吸収体のインピーダンスが徐々に減少する多層構造にするのが有効である。具体的には、電波入射面側から金属層51方向に複素比透磁率および複素比誘電率を徐々に増加させれば良く、そのためには、同一組成の複合磁性粒子の樹脂に対する充填量を変化させるか、あるいは、各層中の複合磁性粒子組成を変化させる等の方法がある。なお、取付面が金属である場合には、金属層は不要である。図19では電波吸収体49を3層とした。
【0107】また、複合磁性粒子の粒径は、複合磁性粒子組成により異なるが、樹脂混合物の流動性等を考慮すると、40μm以下が好ましい。また、粒形状は球状あるいは扁平状でも良く、特に限定されない。また、各層の複合磁性粒子の樹脂に対する充填量は、樹脂混合物の流動性確保の点から最高でも60vol%以下であるのが好ましい。
【0108】
【発明の効果】本発明によれば、磁性金属と非磁性あるいは磁性セラミックスとが各々超微細に分散して一体に形成させた複合磁性粒子から構成される電波吸収体は、単なる混合粉から構成される電波吸収体に比らべ、優れた電波吸収特性を有する顕著な効果が得られる。
【0109】更に、本発明によれば、高周波数領域特にGHz領域における電磁波吸収特性に優れ、薄型の電磁波吸収材によって電子機器内部での電磁波干渉を効率的に抑制できるので、高速通信網での使用に耐え、内部ノイズ干渉、外部へのノイズ放射を抑制し、小型・軽量化、高速化、高感度化を可能にする半導体装置、光送信モジュール、光受信モジュール、光送受信モジュールが提供できる。
【0110】又、本発明によれば、車両間での電波障害による誤動作が防止される自動料金所が提供できる。
【出願人】 【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
【出願日】 平成13年3月30日(2001.3.30)
【代理人】 【識別番号】100074631
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 幸彦 (外1名)
【公開番号】 特開2001−358493(P2001−358493A)
【公開日】 平成13年12月26日(2001.12.26)
【出願番号】 特願2001−98786(P2001−98786)