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【発明の名称】 多層プリント基板及びその製造方法
【発明者】 【氏名】出口 貴浩

【氏名】佐藤 光春

【氏名】大関 政広

【要約】 【課題】複雑な工程を経ることなく絶縁層を平坦化して適正に特性インピーダンス管理を行なうことができる多層プリント基板の製造方法を提供する。

【解決手段】絶縁性のコア材2の表面に回路パターン6と絶縁層8とを交互に複数積層された多層プリント基板の製造方法において、前記回路パターンを形成した後に前記回路パターンの凹部14を、絶縁材料によりその上端が前記回路パターンの平面レベルよりも高くなるように選択的に埋め込む埋め込み工程と、前記絶縁材料を前記回路パターンの平面レベルと略同一の平面レベルまで研磨する研磨工程とを有する。これにより、複雑な工程を経ることなく絶縁層を平坦化して適正に特性インピーダンス管理を行なうことが可能となる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 絶縁性のコア材の表面に回路パターンと絶縁層とを交互に複数積層された多層プリント基板の製造方法において、前記回路パターンを形成した後に前記回路パターンの凹部を、絶縁材料によりその上端が前記回路パターンの平面レベルよりも高くなるように選択的に埋め込む埋め込み工程と、前記絶縁材料を前記回路パターンの平面レベルと略同一の平面レベルまで研磨する研磨工程とを有することを特徴とする多層プリント基板の製造方法。
【請求項2】 絶縁性のコア材の表面に回路パターンと絶縁層とを交互に複数積層してなる多層プリント基板において、前記回路パターンの凹部には、前記回路パターンの平面レベルと略同一レベルまで研磨された絶縁材料が埋め込まれていることを特徴とする多層プリント基板。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コア材の表面に回路パターンと絶縁層とを交互に多層に配置してなる、いわゆるビルトアップ基板のような多層プリント基板及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、電子機器にあっては、各種の電子部品等の回路素子を実装するためのプリント基板が使用されているが、近年の小型化及び高集積化の要請により、プリント基板自体の小型化及び省スペース化が求められている。このような状況下において、基板の小型化を目的として、コア材の表面に回路パターンと絶縁層とを交互に積層配置してなる、いわゆるビルトアップ基板のような多層プリント基板が開発された。一般的に上記したビルドアップ基板の製造工程は、図3に示すように厚さt1が1.0mm程度のガラスエポキシ材からなる絶縁性のコア材2の片面、或いは両面に例えば厚さt2が35μm程度の銅箔4(図3(A)参照)を形成し(図3においては片面の場合を記す)、この銅箔4に所定の回路パターンの描かれたドライフィルム等のエッチングレジスト膜を貼り付けてこのフィルムを露光し、エッチングすることにより内層の回路パターン6を形成する(図3(B)参照)。その後、この上面に形成されることになる絶縁層との密着性をとるため、銅箔の回路パターン表面に酸化反応を施す黒化処理を行い、絶縁層8を形成する(図3(C)参照)。この絶縁層8は厚さt3が例えば70μm程度であり、熱硬化型樹脂インクをスクリーン印刷法、ロール法等により塗布した後、熱硬化させることにより形成される。また、層間を接続するビア(図示せず)はフォトビア加工、レーザ加工等によって形成される。そして、この絶縁層8上にメッキ法により銅メッキ5を施し(図3(D)参照)、これをパターンエッチングすることにより外層の回路パターン12を形成する(図3(E)参照)。この種のビルドアップ基板は上述のように絶縁層8、回路パターン6、12を交互に1層ずつ積み上げていくことにより、多層配線を実現している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来の絶縁層の形成では、熱硬化型樹脂インクの塗布により、基板面内での絶縁層8の厚みのばらつきが大きく、絶縁層8の厚さを均一にコントロールするのは困難である。例えばパターン面積の大きい銅ベタ6A上の絶縁層8の厚さt3aとパターン面積の小さい銅ライン6B上の絶縁層8の厚さt3bとの差は最大20μmもの差が生じる。この理由は、回路パターン6の凹部14(図3(B)参照)に樹脂インクが入り込むからである。このことは、特に、回路パターン6上の絶縁層8の厚さのコントロールが要求される、特性インピーダンス管理には大きな課題となってくる。ここで、特性インピーダンス管理とは、多層高周波プリント基板において、導体幅,導体厚、絶縁層厚を目的の設計値に製造することにより、高周波信号の効率的な伝送を可能にする伝送線路を形成することである。
【0004】この樹脂インクに関しては、形成される絶縁層の厚さは塗布する条件が同じでも、下層の回路パターン6の影響を受けることが分かっている。例えば,層回路パターン6が銅ベタ6A面上の場合の絶縁層8の厚さと、銅ライン6B面上に形成された場合の絶縁層8の厚さでは、同じ絶縁インク塗布量でも回路の凹部14にインクが入り込み、ライン上の絶縁層の厚さは回路パターンの無いベタ面上の絶縁層8の厚さよりも薄くなる。更に、この現象は内層の回路パターンが密である部分と単独の信号線があるような粗である部分においても回路パターン上の絶縁層の厚みに差がでてくるため、基板面内で均一な絶縁層を形成するのは非常に困難となる。上述した特性インピーダンス管理において、多層プリント基板の製造に求められるのは、導体幅、導体厚、絶縁層厚の精度であるが、その他の絶縁層の厚みの精度が最も重要な要素であり、特性インピーダンスへの影響度が大きい。このことから、絶縁層の厚みをコントロールする必要があり、内層回路の状態に依存せずに、基板面内で絶縁層の厚みを均一にすることが求められている。また、多層配線の構造を持つビルドアップ基板においても、内層の回路パターンの凹凸の影響は外層の平坦性に直接影響するため、外層の回路パターン、例えば12の精度にも悪影響を及ぼすことになる。
【0005】上記問題点を解決するために、特開平9−55577号公報に示すように、内層の回路パターンを公知の手法で埋め込み、これを研磨する方法が提案されている。この手法では、内層回路パターンの埋め込みに感光性樹脂を用いて一度絶縁層を形成した後、マスクフィルムを用いて内層回路パターン上の絶縁層を現像除去して、回路パターンの凹凸の影響を受けずに平滑に研磨することを可能にしている。その後,同様の絶縁材料により絶縁層を形成することにより精度の良い絶縁層の形成を実現している。しかしながら、この先行例においては絶縁樹脂が感光性であることを利用してマスクを使った露光、現像により回路パターン間を絶縁層で充填するようにしていることから、露光、現像の工程が必ず必要となり、その分、工程数が増加して大幅なコスト高を招来してしまう。
【0006】また、この先行例においては、絶縁層の略全面を機械研磨により表面を平滑化するようにしていることから、機械的な加工精度が高く要求される不都合がある。本発明は、以上のような問題点に着目し、これを有効に解決すべく創案されたものであり、その目的は、複雑な工程を経ることなく絶縁層を平坦化して適正に特性インピーダンス管理を行なうことができる多層プリント基板及びその製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、絶縁性のコア材の表面に回路パターンと絶縁層とを交互に複数積層された多層プリント基板の製造方法において、前記回路パターンを形成した後に前記回路パターンの凹部を、絶縁材料によりその上端が前記回路パターンの平面レベルよりも高くなるように選択的に埋め込む埋め込み工程と、前記絶縁材料を前記回路パターンの平面レベルと略同一の平面レベルまで研磨する研磨工程とを有するものである。
【0008】このように、回路パターンの凹部に選択的に絶縁材料を埋め込んで、上方へ突出した部分のみを研磨して全体を同一平面レベルとなるようにしたので、この上層に形成される絶縁層の平坦性を高くすることが可能となる。従って、この多層プリント基板全体の特性インピーダンス管理を適正に行なうことが可能となる。請求項2に係る発明は、上記方法発明により製造された多層プリント基板を規定したものであり、絶縁性のコア材の表面に回路パターンと絶縁層とを交互に複数積層してなる多層プリント基板において、前記回路パターンの凹部には、前記回路パターンの平面レベルと略同一レベルまで研磨された絶縁材料が埋め込まれていることを特徴とする多層プリント基板である。
【0009】
【発明の実施の形態】以下に、本発明に係る多層プリント基板及びその製造方法の一実施例を添付図面に基づいて詳述する。図1及び図2は本発明に係る多層プリント基板の製造方法を説明するための工程図である。尚、図3に示す部分と同一構成部分については同一符号を付して説明する。ビルドアップ基板(多層プリント基板)の従来の製造工程においては、内層の回路パターンを形成した後、液状の絶縁樹脂インクを全面に塗布することにより形成していたが、この方法では内層の回路パターンの凹凸によって、パターン上の膜厚がばらついていたが、本発明の多層プリント基板の製造工程では、内層の回路パターンの形成後、絶縁材料によりこの回路パターンの凹部を選択的に埋め込み、この埋め込まれた樹脂を研磨することにより、全体を平坦化し、その後、絶縁層を形成することにより、パターン上の絶縁層の厚さを精度よく面内均一性が高く形成できるものである。
【0010】まず、図1(A)に示すように厚さt1が1.0mm程度のガラスエポキシ材からなる絶縁性のコア材2の片面、或いは両面に、例えば厚さt2が35μm程度の銅箔4を形成し(図示例では片面の場合のみを記す)、この銅箔4に所定の回路パターンの描かれたドライフィルム等のエッチングレジスト膜(図示せず)を貼り付けて、このフィルムを露光し、エッチングすることにより、回路パターン6を形成する(図1(B)参照)。以上の工程は、図3(A)及び図3(B)の工程と全く同じである。ここで銅箔4がエッチングされた部分は削り取られて凹部14となる。
【0011】次に、上述のように形成した内層の回路パターン6の形成後、図1(C)に示すようにエッチングされた回路パターン6の凹部14に絶縁材料として絶縁インク20を選択的に埋め込む。埋め込む手段としては、例えば回路パターン6の凹部14に対応する図柄が描かれたスクリーンを用意し、スクリーン法により例えば熱硬化型樹脂インクよりなる絶縁インクを埋める。また、他の埋め込み方法としては、例えばインク注入方式のディスペンサーによって指定の回路パターン範囲を埋め込むことも有効である。この場合には、特性インピーダンス管理の必要な多層プリント基板において、インピーダンス管理の必要な配線がプリント基板の全面ではなくて一部であって、部分的に目的の絶縁層厚が必要な場合に特に有効である。上記いずれの方式においても、埋め込む絶縁インク20の量は内層の回路パターン6の高さレベル(平面レベル)以下であると、この上面に形成されることになる絶縁層の平坦性が悪くなり、且つ内層の回路パターン6の厚みばらつきに依存するため、内層の回路パターン6の厚み以上の厚さで絶縁インク20を埋め込む。この埋め込み工程を行なった結果、絶縁インク20の上端は、回路パターン6の平面レベルよりも高くなった状態となる。
【0012】このように埋め込んだ絶縁インク20を硬化させた後、絶縁インク20は内層の回路パターン6よりも厚みがあり、このまま上面に絶縁層を形成した場合には、絶縁インク20の凹凸の影響により、絶縁層の厚さにバラツキが発生してしまうので好ましくない。そこで、本発明ではこの内層の回路パターン6の導体面(平面レベル)と同じ高さにするため、この内層の回路パターン6の高さ以上の絶縁インク20を研磨し、回路パターン6と略同一水平レベルとなるように平坦化する(図1(D)参照)。この時の研磨方法は、例えば周知の機械研磨等を用いることができるが、この研磨方法は特に限定されず、例えば化学機械研磨法(CMP:Chemical Mechanical Polishing)等も用いることができる。この場合、研磨対象面の全面を削るのではなく、部分的に上方へ突出した絶縁インク20の突出部のみを削ればよいので、研磨時の精度はそれ程要求されることはない。
【0013】このようにして、研磨工程が終了したならば、以下、図3(C)〜図3(E)を参照して説明したと同様な処理を行なう。すなわち、この回路パターン6の上面に形成されることになる絶縁層との密着性をとるため、上記銅箔の回路パターン6の表面に酸化反応を施す黒化処理を行ない、絶縁層8を形成する(図2(A)参照)。この絶縁層8は、厚さt3が例えば70μm程度であり、熱硬化型樹脂インクをスクリーン印刷法、ロール法等により塗布した後、熱硬化させることにより形成される。また、層間を接続するビア(図示せず)はフォトビア加工、レーザ加工等によって形成される。そして、この絶縁層8上にメッキ法により銅メッキ10を施し(図2(B)参照)、これをパターンエッチングすることにより外層の回路パターン12を形成する(図2(C)参照)。
【0014】このように、絶縁層8の下方に位置される回路パターン6、すなわち内層となる回路パターン6の凹部14を絶縁インク(絶縁材料)20で選択的に埋め込み、そして、この突出部分を研磨により削り取ることによって全体を平坦に形成するようにしたので、この上面に形成される絶縁層の平坦性乃至平面性を向上することができ、しかも、この厚さを設計値の通りに高い精度で形成することができる。従って、この多層プリント基板全体の特性インピーダンス管理を適正に行なうことが可能となる。ここで従来方法の場合と本発明方法の場合の絶縁層8の厚さのバラツキを測定して評価したので、その評価結果について説明する。
【0015】前述したように絶縁層8の厚さt3(図2(A)及び図3(C)参照)を共に70μmに設定して処理を行なったところ、従来方法では図3(A)に示すように回路パターン6の銅ベタ6Aの部分の絶縁層8の厚さt3aと銅ライン6Bの部分の絶縁層8の厚さt3bの差は最大20μmであった。また、絶縁層8の厚さの精度は、±10μm程度であった。これに対して、本発明方法では、図2(C)に示すように回路パターン6の銅ベタ6Aの部分の絶縁層8の厚さt3Aと銅ライン6Bの厚さt3Bの差は最大9μmであった。また、絶縁層8の厚さの精度は、±5μm程度であり、共に従来方法の場合よりも大幅に向上できたことが判明した。ここでは回路パターンを2層しか示していないが、更に、絶縁層と回路パターンを交互に積層することにより、更に多層化することができるのは勿論である。この場合には、最上層に位置する回路パターン以外の回路パターン、すなわち絶縁層間に介在される内層の回路パターンに対しては、全て前述したように絶縁インクによる凹部の埋め込み、及び研磨を行なうようにする。また、ここではコア材2の上面方向へのみ、回路パターンと絶縁層とを積層した場合を図示したが、前述したように、コア材2の両面、すなわち上面方向と下面方向へ同様に積層するようにした多層プリント基板にも本発明を適用できるのは勿論である。
【0016】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の多層プリント基板及びその製造方法によれば、次のように優れた作用効果を発揮することができる。回路パターンの凹部に選択的に絶縁材料を埋め込んで、上方へ突出した部分のみを研磨して全体を同一平面レベルとなるようにしたので、この上層に形成される絶縁層の平坦性を高くすることができる。従って、この多層プリント基板全体の特性インピーダンス管理を適正に行なうことができる。
【出願人】 【識別番号】000004329
【氏名又は名称】日本ビクター株式会社
【出願日】 平成12年6月5日(2000.6.5)
【代理人】 【識別番号】100090125
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 章弘
【公開番号】 特開2001−352169(P2001−352169A)
【公開日】 平成13年12月21日(2001.12.21)
【出願番号】 特願2000−168226(P2000−168226)