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【発明の名称】 多層配線基板及びその製造方法
【発明者】 【氏名】木村 哲也

【氏名】國分 正也

【氏名】民 保秀

【氏名】川井 信也

【氏名】永江 謙一

【氏名】林 桂

【要約】 【課題】ガラスセラミックスを絶縁基板とし、配線回路層が金属箔からなる多層配線基板において、安定的に平面方向の収縮を制御できる多層配線基板とその製造方法を提供する。

【解決手段】ガラスセラミックスから成る絶縁基板2と、絶縁基板2の表面及び/または内部に形成された配線回路層3とを具備する配線基板であって、配線回路層3が、金属成分の含有量が99.5重量%以上の高純度金属導体の金属箔からなり、且つ絶縁基板2の表面に形成される配線回路層3は、絶縁基板2と接しない側の表面粗さをRzで1〜8μmとすることによって、拘束シートによって収縮を抑制しながら焼成するにあたって、配線回路層3の有無に係わらず、拘束性を均一化することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】ガラスセラミックスから成る絶縁基板と、該絶縁基板の表面及び/または内部に形成された配線回路層とを具備する配線基板であって、該配線回路層が、金属成分の含有量が99.5重量%以上の高純度金属導体の金属箔からなり、且つ該絶縁基板の表面に形成される配線回路層は、絶縁基板と接しない側の表面粗さがRzで1〜8μmであることを特徴とする多層配線基板。
【請求項2】前記金属箔が、Cu、Ag、Al、Au、Ni、Pt、Pdから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載の多層配線基板。
【請求項3】前記絶縁基板内部に、金属粉末を含有する導体ペーストを充填してなるビアホール導体を具備するとともに、該ビアホール導体の少なくとも一方の端部が、前記金属箔からなる配線回路層と接続されてなることを特徴とする請求項1または請求項2記載の多層配線基板。
【請求項4】ガラスセラミックスから成る絶縁層と、該絶縁層表面及び内部に配設された配線回路層とを具備する配線基板の製造方法において、(a)ガラスセラミック組成物からなるグリーンシートを得る工程と、(b)グリーンシート表面に、転写シートからの転写によって、金属成分の含有量が99.5重量%以上の高純度金属導体の金属箔からなる配線回路層を形成し、該配線回路層のグリーンシートと接しない側の表面粗さがRzで1〜8μmに制御する工程と、(c)(a)〜(b)工程を経て作製したグリーンシートを積層し、ガラスセラミック積層体を作製する工程と、(d)前記ガラスセラミック積層体の両面又は片面に難焼結性セラミック材料を主体とする拘束シートを積層する工程と、(e)前記拘束シートと前記ガラスセラミック積層体との積層物を、前記高純度金属導体の融点以下の温度で焼成する工程と、(f)前記ガラスセラミック基板から前記拘束シートを除去する工程を具備することを特徴とする多層配線基板の製造方法。
【請求項5】前記難焼結性セラミック材料は、Al23、SiO2、MgO、ZrO2、BN、TiO2の少なくとも1種又はその化合物を主体とすることを特徴とする請求項4記載の多層配線基板の製造方法。
【請求項6】前記拘束シートは難焼結性セラミック材料を主成分とし、且つガラス成分を0.5〜15体積%含有することを特徴とする請求項4または請求項5記載の多層配線基板の製造方法。
【請求項7】前記拘束シート中に含まれるガラス成分の軟化点が、前記ガラスセラミック組成物の焼成温度以下であることを特徴とする請求項6記載の多層配線基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、多層配線基板及び半導体素子収納用パッケージなどに適した多層配線基板及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来技術】従来、配線基板、例えば、半導体素子を収納するパッケージに使用される多層配線基板として、比較的高密度の配線が可能な多層セラミック配線基板が多用されている。この多層セラミック配線基板は、アルミナやガラスセラミックなどの絶縁基板と、その表面に形成されたWやMo、Cu、Ag等の金属からなる配線導体とから構成されるもので、この絶縁基板の一部にキャビティが形成され、このキャビティ内に半導体素子が収納され、蓋体によってキャビティを気密に封止されるものである。
【0003】近年、高集積化が進むICやLSI等の半導体素子を搭載する半導体素子収納用パッケージや、各種電子部品が搭載される混成集積回路装置等に適用される配線基板においては、高密度化、低抵抗化、小型軽量化が要求されており、アルミナ系セラミック材料に比較して低い誘電率が得られ、配線回路層としてCu等の低抵抗金属を用いることができることから、焼成温度が1000℃以下のいわゆるガラスセラミック配線基板が一層注目されている。
【0004】ところが、このようなガラスセラミック配線基板において、配線導体層を形成する手法としては、Cu、Ag等の金属からなる配線導体を主成分とするメタライズペーストを、スクリーン印刷法等によって絶縁基板上に印刷する。しかし、このような手法を用いた場合、配線幅100μm以下を形成するのが困難であり、今後必要とされる更なる高密度化、小型軽量化の達成を阻む原因であった。電気抵抗についてもペーストで配線導体層を形成させるために空隙が多く存在し、低抵抗化が困難という問題があった。
【0005】この問題を解決する手法としては、ガラスセラミックグリーンシートにおける配線導体層を、エッチングした金属箔によって形成する手法が知られている(特開昭63−14493号)。しかし、金属箔とガラスセラミックを同時焼成すると、金属箔が収縮しないために、基板に反り、クラックが発生し、実用化が困難という問題があった。
【0006】そこで、ガラスセラミック配線基板の両面に、該配線基板の焼成温度では焼結しない無機組成物の層を形成した後、同時焼成し、該配線基板における平面方向の収縮を抑制することで、金属箔とガラスセラミックの同時焼成を可能とする方法が提案されている(特開平7−86743号)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】通常、上記の方法において、ガラスセラミックグリーンシートと拘束シートの結合は、それらのシート内に含有されている有機バインダー等の有機成分によって行われ、有機成分が焼成によって分解した後は、拘束シートとガラスセラミックグリーンシートとの摩擦力のみによってガラスセラミックグリーンシートの収縮が拘束されることになる。
【0008】ところが、拘束力を得るためには、拘束シートとガラスセラミックグリーンシートを強固に接着させておく必要があるが、配線層として金属箔を用いる場合は、金属箔の表面がガラスセラミックグリーンシートと比較して非常に平滑であるために、金属箔が存在する部分の拘束力が局所的に弱くなり、その部分のみ基板が収縮し、反り、変形、クラックが発生しやすくなるという問題があった。
【0009】従って、本発明の目的は、ガラスセラミックスを絶縁基板とし、配線回路層が金属箔からなる多層配線基板において、安定的に平面方向の収縮を制御できる多層配線基板とその製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記のような課題について鋭意検討した結果、金属成分の含有量が99.5重量%以上の高純度金属導体の金属箔からなる配線回路層の少なくとも絶縁基板と接しない側の表面を粗化処理することによって、金属箔からなる配線回路層と拘束シートとを強固に接着させ、拘束シートによる効果的な収縮抑制を実現できることによって、前記目的が達成できることを見いだし本発明に至った。
【0011】即ち、本発明の多層配線基板は、ガラスセラミックスから成る絶縁基板と、該絶縁基板の表面及び/または内部に形成された配線回路層とを具備する配線基板であって、該配線回路層が、金属成分の含有量が99.5重量%以上の高純度金属導体の金属箔からなり、且つ該絶縁基板の表面に形成される配線回路層の絶縁基板と接しない側の表面粗さがRzで1〜8μmであることを特徴とするものである。
【0012】なお、前記金属箔はCu、Ag、Al、Au、Ni、Pt、Pdから選ばれる少なくとも1種とし、前記絶縁基板内部に、金属粉末を含有する導体ペーストを充填してなるビアホール導体を具備するとともに、該ビアホール導体の少なくとも一方の端部が、前記金属箔からなる配線回路層と接続されてなることを特徴とする多層配線基板である。
【0013】上記のような多層配線基板を製造する方法としては、(a)ガラスセラミック組成物からなるグリーンシートを得る工程と、(b)グリーンシート表面に、転写シートからの転写によって、金属成分の含有量が99.5重量%以上の高純度金属導体の金属箔からなる配線回路層を形成するが、そのとき配線基板の最表面に位置する配線回路層のグリーンシートと接しない側の表面粗さをRzで1〜8μmに制御する工程と、(c)(a)〜(b)工程を経て作製したグリーンシートを積層し、ガラスセラミック積層体を作製する工程と、(d)前記ガラスセラミック積層体の両面又は片面に難焼結性セラミック材料を主体とする拘束シートを積層する工程と、(e)前記拘束シートと前記ガラスセラミック積層体との積層物を、前記高純度金属導体の融点以下の温度で焼成する工程と、(f)前記ガラスセラミック基板から前記拘束シートを除去する工程を具備することを特徴とする多層配線基板の製造方法であり、前記難焼結性セラミック材料は、Al23、SiO2、MgO、ZrO2、BN、TiO2の少なくとも1種又はその化合物を主体とする多層配線基板の製造方法である。前記拘束シートは難焼結性セラミック材料を主成分とし、且つガラス成分を0.5〜15体積%含有することを特徴としており、前記拘束シート中に含まれるガラス成分の軟化点が、前記ガラスセラミック組成物の焼成温度以下であることを特徴とする多層配線基板の製造方法である。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明のガラスセラミック配線基板について、図面に基づいて説明する。図1は本発明の多層配線基板の一例を示す概略断面図である。図1の多層配線基板1によれば、絶縁基板2は、複数のガラスセラミック絶縁層2a〜2dを積層してなる積層体から構成され、その絶縁層間および絶縁基板表面には、厚みが5〜20μmの高純度金属箔からなる配線回路層3が被着形成されている。さらに、各ガラスセラミック絶縁層2a〜2dには、厚み方向を貫くように形成された直径が80〜200μmのビアホール導体4が形成され、これにより、配線回路層3間を接続し所定回路を達成するための回路網が形成される。また配線回路層3の表面には半導体素子5が実装搭載される。
【0015】本発明では、絶縁基板2は、ガラス粉末、あるいはガラス粉末とセラミックフィラー粉末との混合物を焼成してなるガラスセラミックスによって形成されたものであり、特に、ガラス成分10〜70重量%と、セラミックフィラー成分30〜90重量%の割合からなる組成物を焼成したものであることが望ましい。
【0016】用いられるガラス成分としては、少なくともSiO2を含み、Al23、B23、ZnO、PbO、アルカリ土類金属酸化物、アルカリ金属酸化物のうちの少なくとも1種を含有したものであって、例えば、SiO2−B23系、SiO2−B23−Al23系−MO系(但し、MはCa、Sr、Mg、BaまたはZnを示す)等のホウケイ酸ガラス、アルカリ珪酸ガラス、Ba系ガラス、Pb系ガラス、Bi系ガラス等が挙げられる。
【0017】これらのガラスは焼成処理することによっても非晶質ガラスであるもの、また焼成処理によって、リチウムシリケート、クォーツ、クリストバライト、コージェライト、ムライト、アノーサイト、セルジアン、スピネル、ガーナイト、ウイレマイト、ドロマイト、ペタライトやその置換誘導体の結晶を少なくとも1種類を析出するものが用いられる。
【0018】また、セラミックフィラーとしては、クォーツ、クリストバライト等のSiO2や、Al23、ZrO2、ムライト、フォルステライト、エンスタタイト、スピネル、マグネシア等が好適に用いられる。
【0019】配線回路層3は、99.5重量%以上の高純度の金属導体からなる金属箔からなり、Cu、Ag、Al、Au、Ni、Pt、Pd又はそれらの混合物などを使用することが可能である。またビアホール導体4は、上記の配線回路層3と同様の成分からなる導体が充填されていることが望ましい。
【0020】また、本発明の多層配線基板において、表面の配線回路層は、ICチップなどの各種電子部品5を搭載するためのパッドとして、シールド用導体膜として、さらには、外部回路と接続する端子電極として用いられ、各種電子部品5が配線回路層3に半田や導電性接着剤などを介して接合される。尚、図示していないが、必要に応じて、配線基板の表面には、さらに珪化タンタル、珪化モリブデンなどの厚膜抵抗体膜や配線保護膜などを形成しても構わない。
【0021】本発明によれば、金属箔からなる配線回路層において、配線基板の最表面に形成された金属箔からなる配線回路層の絶縁基板と接しない側の表面粗さRzが、1〜8μm、特に3〜6μmであることが重要である。これは、後述する製造方法において詳述する通り、拘束シートによって焼成を拘束しながら焼成する場合、拘束力を均一化することができる。
【0022】次に、本発明の配線基板を作製する方法について説明する。まず、上述したような結晶化ガラス又は非結晶ガラスと前記のセラミック成分を混合してガラスセラミック組成物を調製し、その混合物に有機バインダー等を加えた後、ドクターブレード法、圧延法、プレス法などによりシート状に成形して厚さ約50〜500μmのグリーンシートを作製する。
【0023】次に、このグリーンシートにレーザーやマイクロドリル、パンチングなどにより、直径80〜200μmの貫通孔を形成し、その内部に導体ペーストを充填する。導体ペースト中には、Cu、Ag等の金属成分以外に、アクリル樹脂などからなる有機バインダーとトルエン、イソプロピルアルコール、アセトンなどの有機溶剤とを均質混合して形成される。有機バインダーは、金属成分100重量部に対して、0.5〜15.0重量部、有機溶剤は、固形成分及び有機バインダー100重量部に対して、5〜100重量部の割合で混合されることが望ましい。なお、この導体ペースト中には若干のガラス成分等を添加してもよい。
【0024】次に、このグリーンシートの表面に高純度金属導体、特に金属箔からなる配線回路層を形成する。このような金属箔からなる配線回路層は、グリーンシートの表面に金属箔を接着した後に周知のフォトエッチング法等の手法によって所望の回路を形成する方法が知られているが、かかる方法ではエッチング液によってグリーンシートを変質させてしまうため、本発明においては転写法にて形成する。
【0025】転写法による配線回路層の形成方法としては、まず、高分子材料からなる転写フィルム上に高純度金属導体、特に金属箔を接着した後、この金属導体の表面に鏡像のレジストを回路パターン状に塗布した後、エッチング処理およびレジスト除去を行って配線回路層を形成する。
【0026】そして、鏡像の配線回路層を形成した転写フィルムを前記ビアホール導体が形成されたグリーンシートの表面に位置合わせして積層圧着した後、転写フィルムを剥がすことにより、ビアホール導体を接続した配線回路層を具備する一単位のグリーンシートを形成することができる。
【0027】この時、作製される多層配線基板において、最表面の配線回路層となる金属箔からなる配線回路層のグリーンシートと接しない側の表面粗さをRz(十点平均粗さ)でで1〜8μm、特に3〜6μmとすることが重要である。即ち、この表面粗さが1μmよりも小さいと、後述するような拘束シートを用いて焼成収縮を抑制しながら焼成する場合、最表面の配線回路層形成部の拘束シートによる拘束性が弱くなり、その結果、最表面の配線回路層形成部が局所的に収縮してしまい、配線基板表面の平滑性が損なわれてしまう。逆に、8μmよりも大きいと、回路パターン形成時にエッチング不良が発生したり、薄い金属箔が断線しやすくなり、金属箔からなる配線回路層の信頼性が損なわれてしまうためである。
【0028】なお、金属箔からなる配線回路層の表面粗さを上記の範囲に調整するには、金属箔をエッチングやブラスト処理によって、Rzが1〜8μmに粗面化処理した後、この処理面側に転写フィルムを接着した後、所望の配線回路層を形成する。
【0029】その後、同様にして得られた複数のグリーンシートを積層圧着して積層体を形成する。グリーンシートの積層には、積み重ねられたグリーンシートに熱と圧力を加えて熱圧着する方法、有機バインダー、可塑剤、溶剤等からなる接着剤をシート間に塗布して熱圧着する方法等が採用可能である。
【0030】次に、平面方向の収縮を抑制するため、グリーンシート積層体の焼成温度で難焼結性のセラミック材料を主成分とする拘束シートをガラスセラミックグリーンシート積層体の両面又は片面に加圧積層して積層体を作製する。
【0031】この拘束シートは、難焼結性セラミック材料とガラスとからなる無機成分に、有機バインダー、可塑剤、溶剤等を加えたスラリーをシート状に成形して得られる。難焼結性セラミック材料としては、具体的には1000℃以下の温度で緻密化しないようなセラミック組成物から構成され、具体的にはAl23、SiO2、MgO、ZrO2、BN、TiO2の少なくとも1種又はその化合物(フォルステライト、エンスタタイト等)の粉末が挙げられる。また、有機バインダー、可塑剤及び溶剤としてはガラスセラミックグリーンシートで使用したのと同様の材料が使用可能である。
【0032】本発明によれば、この拘束シート中にガラス成分、言い換えればガラス成分を0.5〜15体積%含有することが望ましい。これはガラス量が0.5体積%よりも少ないと、拘束シートによるガラスセラミックグリーンシートの焼成収縮の拘束力が小さく、また焼成工程でガラスセラミックグリーンシートからのガラス成分の拡散が顕著となり、焼結後のガラスセラミックスの表面にボイドが発生しやすくなるためである。またガラス量が15体積%より多いと、拘束シートの焼結が開始し、ガラスセラミックグリーンシートの収縮を拘束することが難しくなるとともに、焼結後の拘束シートをガラスセラミックスから除去することが困難となるためである。拘束シート中ののガラス量は1〜10体積%であることが望ましい。
【0033】また、拘束シート中に含まれるガラス成分としては、軟化点がガラスセラミックグリーンシート積層体の焼成温度以下で、かつ拘束シート中の有機成分の分解揮散温度よりも高いことが望ましい。具体的には、拘束シート中のガラスの軟化点は450〜1100℃程度であることが好ましい。ガラスの軟化点が450℃よりも低い場合にはガラスセラミックグリーンシートからの有機成分の除去時に軟化したガラスが有機成分の除去経路を塞ぐことになり、有機成分を完全に除去できなくなる恐れがある。一方、ガラスの軟化点が1100℃を越える場合には、通常のガラスセラミックグリーンシートの焼成条件ではグリーンシートへの結合剤として作用しなくなる恐れがある。
【0034】前述したガラスセラミックグリーンシート中に含まれるガラス成分と異なるものであっても良いが、ガラスセラミックグリーンシート中のガラスの拡散を防止するうえでは同一のガラスを用いることが望ましい。
【0035】ガラスセラミックグリーンシートに積層される拘束シートの厚さは片面だけでガラスセラミックグリーンシート積層体の厚さに対して10%以上であるのが好ましく、これよりも薄いと拘束力が低下する恐れがある。また有機成分の揮散を容易にしかつガラスセラミック基板からの拘束シートの除去性を考慮すれば、拘束シートの厚さは400μm以下であることがよい。
【0036】また、ガラスセラミックグリーンシート積層体の表面に拘束シートを積層圧着した時、高純度金属からなる、特に金属箔からなる配線回路層をグリーンシートの表面又は界面に完全に埋設することが望ましい。これは、金属箔などの剛性の高い金属の厚みによって、配線回路層端部において拘束シートとガラスセラミックグリーンシート表面との間に隙間が発生し易く、このような隙間が生じるとその部分における拘束シートとガラスセラミックグリーンシートとの接着力が低下し、配線回路層付近における拘束シートによる拘束力が不均一となってしまう結果、焼成時に配線回路層の端部が剥がれたりする恐れがある。
【0037】配線回路層を埋設するには、上記のグリーンシート表面への転写時または拘束シートを積層した際に、10MPa以上の圧力を印加することが望ましい。この圧力によって金属箔からなる配線回路層を強制的に埋設することができる。
【0038】次に、この積層体を100〜850℃、特に400〜750℃の窒素雰囲気中で加熱処理してグリーンシート内やビアホール導体ペースト中の有機成分を分解除去した後、800〜1100℃の窒素雰囲気中で同時焼成する。また、配線回路層としてAg導体を用いる場合、焼成雰囲気は大気中で行うことができる。この焼成の冷却速度が早すぎると、絶縁基板と配線回路層、拘束シートの熱膨張差によるクラックが発生するために、冷却速度は400℃/hr以下であることが望ましい。
【0039】焼成時には反りを防止するために積層体上面に重しを載せる等して荷重をかけてもよい。荷重は50Pa〜1MPaが適当である。
【0040】その後、拘束シートを超音波洗浄、研磨、ウォータージェット、ケミカルブラスト、サンドブラスト、ウェットブラスト等が挙げられる。
【0041】これによって得られる多層配線基板は、焼成時の収縮が拘束シートによって厚さ方向だけに抑えられているので、その積層体面内収縮を0.5%以下に抑えることが可能となり、しかもガラスセラミックグリーンシートは拘束シートによって全面にわたって均一にかつ確実に結合されているので、拘束シートの一部剥離等によって反りや変形が起こるのを防止することができる。
【0042】さらに本発明によれば、拘束シートと接触する最表面の配線回路層の絶縁基板、つまりグリーンシートと接しない側の表面粗さをRzで1〜8μmに制御することによって、焼成時に拘束シートによる拘束性を金属箔からなる配線回路層の有無に係わらず、均一に付与することができるために、反りや変形の無い、微細配線化が可能な多層配線基板を得ることができる。
【0043】
【実施例】実施例1本発明のガラスセラミック配線基板について、一実施例に基づき評価する。先ず、SiO2−B23−BaO系の非晶質ガラスを50重量%とセラミックフィラー成分としてSiO2(クオーツ)を50重量%を秤量し、ガラスセラミック組成物を作製した。それらに、バインダーとしてアクリル樹脂、可塑剤としてDBP(ジブチルフタレート)、溶媒としてトルエンとイソプロピルアルコールを加えて調製したスラリーを用いて、ドクターブレード法により厚さ500μmのグリーンシートを作製した。
【0044】次に、平均粒径が5μmのCu単体それに有機バインダーとしてアクリル樹脂を、溶媒としてDBPを添加混練し、ペースト状のビアホール導体用ペースト試料を作製した。
【0045】尚、前記ビアホール用ペースト試料中の有機バインダー量は、主成分に対して2.0重量%であり、固形成分、有機バインダーに対して75重量%の割合で溶剤を加えた。グリーンシートの所定個所にビアホールを形成し、そのビアホール内に先のCuペーストを充填した。
【0046】次に、高分子フィルムに、ジェットスクラブ研磨処理等で表面粗さRzを表2に示す値とした純度99.9重量%のCu箔をPETフィルムに、処理した面を接着面として接着した。そして、このCu箔に回路パターンのレジストを形成し、エッチングを行って所定パターンの配線回路層を形成した。
【0047】作製した配線回路層の配線幅は0.05mmとし、エッチングによる形成のため従来のスクリーン印刷法と比較して、非常に微細な配線回路層を形成することができた。なお、最表面となる配線回路層は、グリーンシートの総面積に対して、金属箔の面積が50%となるような配線密度とした。そして、ビアホールが形成されたグリーンシートにビアホールの位置あわせを行いながら転写シートを積層し、60℃、15MPaで熱圧着した。転写シートを剥がすことにより、ビアホール導体を接続した配線回路層を具備する一単位の配線層を形成することができた。また、これら任意の一単位の配線層を5枚積層し、積層体を形成した。
【0048】次に拘束シートとして、純度99.99%以上のAl23に、前記グリーンシート中のガラス成分と同じガラスを用いて、表1に示す組成物からなる厚さ250μmの拘束シートを作製した。なおシート作製時の有機バインダー、可塑剤、溶媒等はグリーンシートと同様とした。得られた拘束シートをグリーンシート積層体の両面に60℃、20MPaで加圧積層して積層体を得た。
【0049】次いで、この積層体を、Al23セッターに載置して有機バインダー等の有機成分を分解除去するために、窒素雰囲気中、700℃で焼成し、次に窒素雰囲気中、900℃で1時間焼成を行った。その後、焼結しない無機組成物をブラスト処理で除去し、配線基板を作製した。
【0050】配線基板の外観観察を行い、変形、クラック、表面付着の有無を確認し、無を良品とした。
【0051】また、得られた配線基板を用いて配線層の導通抵抗の評価を行った。評価については、幅0.05mm、長さ20mmの銅配線層を予め形成し、配線抵抗をテスターもちいて測定し、銅配線層の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)、銅配線の長さを40倍の顕微鏡を用いて測定し、得られた面積、長さから比抵抗を算出した。尚、良否の判断としては、比抵抗が2.5μΩ・cm以下を良品とした。
【0052】更に、配線基板の焼成による収縮率を絶縁基板の未焼成時の外辺をマイクロメーターで測定し、焼成後の外辺を同様にマイクロメーターで測定して算出した。
実施例2、3、4実施例1と同様の仕様で、拘束シートとして、SiO2、MgO、SiO2・2MgO、SiO2・2MgO+SiO2として評価を行い、実施例1と同様の評価を行なった。
【0053】実施例5、6、7基板材料を実施例1と同様とし、導体材料をAg、Ag/Pd、Ag/Ptを用いる以外は、実施例1と同様の仕様で配線基板を作製した。なお、焼成については大気中、900℃で焼成を行った。評価結果については表2に示す。
【0054】比較例1実施例1と同様の仕様とし、導体の形成方法を金属箔の転写から、導体ペーストによるスクリーン印刷法で行った。配線幅が0.05mmと微細であるため、断線が発生した。評価結果については表2に示す。
【0055】
【表1】

【0056】
【表2】

【0057】表1、表2より、最表面の配線回路総の表面粗さがRzで1μm未満である試料No.1、13は、配線回路層上の拘束シートが一部剥離したために配線回路層に変形、クラックが発生し、基板の収縮率も5%と大きくなってしまった。また、表面粗さがRzで8μmを越える配線回路層を用いた試料No.6、18はジェットスクラブ研磨処理が過剰となるために配線回路層に断線が発生した。
【0058】また、拘束シートのガラス量については0.5〜15体積%の範囲で良好な拘束性を示した。比較例の試料No.25は、スクリーン印刷法で導体を形成したために、断線が発生した。それ以外の試料においては、何ら問題もなく良好な配線基板が得られている。
【0059】
【発明の効果】以上詳述したとおり、本発明によれば、ガラスセラミックスから成る絶縁基板と、該絶縁基板の表面及び/または内部に形成された配線回路層とを具備する配線基板であって、該配線回路層が、金属成分の含有量が99.5重量%以上の高純度金属導体の金属箔からなり、且つ該絶縁基板の最表面に形成される配線回路層の絶縁基板と接しない側の表面粗さをRzで1〜8μmとすることにより、焼成時の拘束性を配線回路層の有無に係わらず均一で、安定的に平面方向の収縮を制御できるために、微細配線化を可能とし、導体の低抵抗化を満足し、且つクラック等の発生がない高寸法精度の多層配線基板を提供することができる。
【出願人】 【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
【出願日】 平成12年5月30日(2000.5.30)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−339166(P2001−339166A)
【公開日】 平成13年12月7日(2001.12.7)
【出願番号】 特願2000−160752(P2000−160752)