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【発明の名称】 配線基板の製造方法
【発明者】 【氏名】松寺 拓

【要約】 【課題】セラミック基板を分割溝に沿ってバリやカケ等を発生することなく確実、かつ綺麗に切断することを可能とし、所定の配線導体、所定の外形寸法を有する配線基板を一度に多数個形成することができる配線基板の製造方法を提供すること。

【解決手段】1枚のセラミック基板7を分割溝6に沿って切断分離し、多数の配線基板9を形成するにあたって、前記セラミック基板7の分割溝直下領域の、厚み方向に1/2以内の領域内部に空洞部5を形成した。空洞部は、略円筒形でかつ分割溝と平行に形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】(1)配線基板の絶縁基体となる領域を多数有する広面積のセラミックグリーンシートを複数枚準備するとともに、前記少なくとも1枚のセラミックグリーンシートの各絶縁基体となる領域に配線用導体を被着形成する工程と、(2)前記複数のセラミックグリーンシートを上下に積層し、生セラミック成形体となす工程と(3)前記生セラミック成形体の上面および/または下面に分割溝を形成し、該分割溝によって前記絶縁基体となる領域を区画する工程と、(4)前記分割溝が形成された生セラミック成形体を焼成し、絶縁基体に配線導体を形成した配線基板を多数有するセラミック基板を得るとともに、該セラミック基板を前記分割溝に沿って曲げ応力を加えることにより切断し、多数の配線基板を個々に分割する工程とを具備する配線基板の製造方法であって、前記セラミック基板は、前記分割溝の直下に位置する内部で、分割溝の形成されている面からセラミック基板の1/2の厚み以内に空洞部を有することを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項2】前記空洞部は、略円筒形で、かつ前記分割溝と平行となるようにして形成されていることを特徴とする請求項1記載の配線基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は半導体素子や容量素子、抵抗器等の電子部品が搭載される配線基板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、半導体素子や容量素子、抵抗器等の電子部品が搭載される配線基板は酸化アルミニウム質焼結体等の電気絶縁材料から成る絶縁基体の内部及び表面にタングステン、モリブデン等の高融点金属材料から成る配線導体を形成した構造を有しており、絶縁基体表面に半導体素子や容量素子、抵抗器等の電子部品を搭載するとともに各電子部品の電極を配線導体に電気的に接続するようになっている。
【0003】かかる配線基板は、一般に、セラミックスの積層技術及びスクリーン印刷等の厚膜形成技術を採用することにより製作され、また、特に表面実装用等の小型の配線基板では、量産性を考慮して多数個を集約させた多数個取りの形態で製作したセラミック基板を分割する方法で製作されており、具体的には以下の方法によって製作される。即ち、(1)まず、酸化アルミニウム(Al23)、酸化珪素(SiO2)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)等から成るセラミックス原料粉末に有機溶剤、溶媒を添加混合して泥漿物を作り、これを従来周知のドクターブレード法やカレンダーロール法等によりシート状に成形して配線基板の絶縁基体となる領域を多数有する広面積のセラミックグリーンシート(セラミック生シート)を複数枚得る。
(2)次に、タングステン、モリブデン等の金属の粉末に有機溶剤、溶媒を添加して得た導電ペーストを、スクリーン印刷法により、前記複数枚のセラミックグリーンシートの各絶縁基体となる領域に所定パターンに印刷塗付して配線用導体を被着形成する。
(3)次に、前記セラミックグリーンシートを上下に積層して生セラミック成形体となし、この生セラミック成形体の上面および/または下面に、前記絶縁基体となる領域を区画する仮想線に沿って金属製の刃を押圧することにより分割溝を形成し、該分割溝によって前記絶縁基体となる領域を区画する。
(4)そして最後に、前記生セラミック成形体を焼成し、絶縁基体に配線導体を形成した配線基板を多数有するセラミック基板を得るとともに、該セラミック基板を前記分割溝に沿って切断し、多数の配線基板を個々に分割することにより、所定パターンの配線導体を有する個々の配線基板が形成される。
【0004】なお、上記セラミック基板の切断は、通常、分割線に沿ってセラミック基板を撓ませて分割溝の底部に曲げ応力を集中させ、分割溝の底部に小さな亀裂を生じさせるとともにこの亀裂をセラミック基板の内部を介して底面にまで進行させることによって行われる。
【0005】また、前記配線導体のうち、配線基板表面に露出する部位には、一般に、ニッケルめっき層および金めっき層が順次電解めっき法により被着されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来の製造方法では、セラミック基板を分割溝に沿って分割する際、セラミック基板を形成する焼結粒子の形状、物性等にばらつきがあることから亀裂の進行方向が不均一となり、その結果、セラミック基板を正確に分割溝に沿って分割することができず、形成された個々の配線基板にはバリやカケ等が形成されて外形不良を発生してしまうという問題があった。
【0007】また特に、配線基板が小型で配線導体が高密度に形成されているような場合、発生したバリやカケが小さなものであったとしても配線基板の外寸(外形寸法)が規格値から大きく外れたり、配線導体に断線等の重大な不具合を生じたりしてしまう。
【0008】本発明は、上記問題点に鑑み案出されたものであり、その目的は、セラミック基板を分割溝に沿ってバリやカケ等を発生することなく確実、かつ綺麗に切断することを可能とし、所定の配線導体、所定の外形寸法を有する配線基板を一度に多数個形成することができる配線基板の製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、(1)配線基板の絶縁基体となる領域を多数有する広面積のセラミックグリーンシートを複数枚準備するとともに、前記少なくとも1枚のセラミックグリーンシートの各絶縁基体となる領域に配線用導体を被着形成する工程と、(2)前記複数のセラミックグリーンシートを上下に積層し、生セラミック成形体となす工程と(3)前記生セラミック成形体の上面および/または下面に分割溝を形成し、該分割溝によって前記絶縁基体となる領域を区画する工程と、(4)前記分割溝が形成された生セラミック成形体を焼成し、絶縁基体に配線導体を形成した配線基板を多数有するセラミック基板を得るとともに、該セラミック基板を前記分割溝に沿って切断し、多数の配線基板を個々に分割する工程とを具備する配線基板の製造方法であって、前記セラミック基板は、前記分割溝の直下に位置する内部で、分割溝の形成されている面からセラミック基板の1/2の厚み以内に空洞部を有することを特徴とするものである。
【0010】また本発明は、前記空洞部は、略円筒形で、かつ前記分割溝と平行となるようにして形成されていることを特徴とするものである。
【0011】本発明の配線基板の製造方法によれば、セラミック基板の分割溝の直下に位置する内部で、分割溝の形成されている面からセラミック基板の1/2の厚み以内に空洞部を形成したことから分割溝底部と空洞部との距離が近いものとなり、その結果、セラミック基板に撓みによる曲げ応力を印加し、分割溝に沿って切断する際、分割溝の底部に形成された小さな亀裂の進行方向は、曲げ応力が分割溝直下に形成された空洞部の上端部および下端部に集中することにより効果的に矯正されてセラミック基板の分割溝の直下方向となり、これによってセラミック基板を分割溝に沿ってバリやカケ等を発生することなく確実、かつ綺麗に切断することができ、所定の配線導体、所定の外形寸法を有する配線基板を一度に多数個形成することが可能となる。
【0012】
【発明の実施の形態】次に、本発明の配線基板の製造方法を図1に示す実施例に基づき詳細に説明する。
【0013】まず、図1(a)に示す如く、絶縁基体となる領域Aを多数有するセラミックグリーンシート(セラミック生シート)1を複数枚準備し、各セラミックグリーンシート1の絶縁基体となる領域Aに所定パターンの配線用導体3を形成する。
【0014】前記セラミックグリーンシート1は、例えば、絶縁基体が酸化アルミニウム質焼結体で形成されている場合、酸化アルミニウム(Al23)、酸化珪素(SiO2)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)等のセラミックス粉末、ガラス粉末、酸化モリブデン等の着色用助剤粉末等から成る原料粉末に有機溶剤、溶媒を添加混合して泥漿物を作り、これを従来周知のドクターブレード法やカレンダーロール法等によりシート状に成形することによって形成される。
【0015】また前記配線用導体3は、タングステン、モリブデン、マンガン、銅、銀等の金属粉末から成り、タングステン等の金属粉末に適当な有機バインダーや溶剤を添加混合して得た金属ペーストをセラミックグリーンシート1の絶縁基体となる領域Aに従来周知のスクリーン印刷法により所定パターンに印刷塗布することによって形成される。
【0016】更に前記セラミックグリーンシート1はこれを積層して後述する生セラミック体4を形成する際、生セラミック体の上面から1/2の厚み以内、或いは下面から1/2の厚み以内に位置するセラミックグリーンシート1の絶縁基体となる領域Aを区画する仮想線に沿って上面及び/又は下面に空洞部となる凹部2が形成されている。
【0017】前記凹部2は、セラミックグリーンシート1の厚み方向に略半円状をなしており、例えば、セラミックグリーンシート1の所定部位に略円柱状をなす棒状の金属製部材を所定深さにまで押圧することによって形成される。
【0018】次に、図1(b)に示す如く、複数枚のセラミックグリーンシート1を各々の上下面に設けた空洞部となる凹部2が互いに向かい合うようにして上下に積層し、これによって各絶縁基体となる領域Aに配線用導体3を有し、複数個上下に並んだ空洞部5を内部に有する生セラミック成形体4を形成する。
【0019】次に、図1(c)に示す如く、前記生セラミック成形体4の上面および下面で、絶縁基体となる領域Aを区画する仮想線に沿って分割溝6を形成する。
【0020】前記分割溝6は、例えば、金属製の刃を生セラミック成形体4の上面および下面に所定の深さまで押し込むことにより形成され、この場合、形成された分割溝6はV字状等、ほぼ刃の縦断面と同様の断面形を有している。
【0021】また前記分割溝6は、通常、後の工程でセラミック基板を分割溝に沿って容易に切断できるようにするために、生セラミック成形体4の外周縁まで達するようにして形成される。
【0022】次に、前記生セラミック成形体4を、例えば、還元雰囲気中約1600℃の温度で焼成し、図1(d)に示す如く、絶縁基体Bに所定パターンの配線導体8が形成された配線基板9を多数有するとともに、各配線基板9が分割溝6で区画されて成り、かつ前記分割溝6直下(直上)の内部に所定条件の複数個の空洞部5が上下に並んで配設されているセラミック基板7を得る。
【0023】なお、前記配線導体8のうち絶縁基体B表面に露出する部位には、通常、ニッケルめっき層および金めっき層(非図示)が電解めっき法により順次被着形成され、後の工程で配線基板となした後の、酸化腐食を防止するとともに、電子部品の電極や外部電気回路基板等を接続する際のロウ材の濡れ性を良好なものとしている。
【0024】そして最後に、前記セラミック基板7を前記分割溝6に沿って切断すれば、図1(e)に示す如く、絶縁基体Bに所定パターンの配線導体8が被着形成された個々の配線基板9が形成される。
【0025】なお、前記セラミック基板7の切断は、分割溝6に沿ってセラミック基板7を下面方向に撓ませて分割溝6の底部に曲げ応力を集中させ、分割溝6の底部に小さな亀裂を生じさせるとともにこの亀裂をセラミック基板7の内部に進行させることによって行われる。この場合、セラミック基板7は分割溝6直下の、厚み方向に1/2以内の領域内部に空洞部5が形成されていることから、亀裂の進行方向は、曲げ応力が空洞部5の上端部および下端部に集中することにより、短い進行距離で効果的に矯正されてセラミック基板7の分割溝6の直下方向となり、その結果、セラミック基板7を分割溝6に沿ってバリやカケ等を発生することなく確実、かつ綺麗に切断することが可能となり、所定の配線導体8、所定の外形寸法を有する配線基板9を一度に多数個形成することができる。
【0026】なお、前記空洞部5は、絶縁基体1の切断起点側となる分割溝、つまり分割溝6に沿ってセラミック基板7を下面方向に撓ませて切断分割する際にはセラミック基板7の上面側に設けた分割溝6の直下に位置する内部で、セラミック基板7の上面から1/2の厚みを超える領域に形成すると、分割溝6底部で生じた亀裂の進行方向を効果的に矯正することができず、得られた配線基板9にバリやカケ等の不具合を生じてしまう。従って、前記空洞部5は、絶縁基体1の切断起点側となる分割溝、つまり分割溝6に沿ってセラミック基板7を下面方向に撓ませて切断分割する際にはセラミック基板7の上面側に設けた分割溝6の直下に位置する内部で、セラミック基板7の上面から1/2の厚み以内の領域に形成しておく必要がある。
【0027】さらに前記空洞部5を絶縁基体1の上面から分割溝6直下の、厚み方向に1/2以内の領域に形成するようにしておくと、例えばめっき用電力を供給するために各配線基板9となる領域の配線導体8間を導通するための配線導体8aをセラミック基板7の下層側に容易に形成することができ、配線導体8の露出表面にめっき層を被着させた配線基板9を容易、かつ確実に製作することができる。
【0028】同時に、前記空洞部5を絶縁基体1の上面から分割溝6直下の、厚み方向に1/2以内の領域に形成するようにしておくと、例えば、絶縁基体Bの厚みが1mm程度以下と薄い場合であっても、分割溝6形成部位におけるセラミック基板7の機械的強度をある程度確保することができ、搬送、取扱い時等に誤って加わった外力によって容易に割れることはない。
【0029】更に前記空洞部5は、その上下方向の内径がセラミック基板7の厚さの25%以上となるように形成しておくと、セラミック基板7を分割溝6に沿って容易に分割することができる。従って、前記空洞部5は、その上下方向の内径がセラミック基板7の厚さの25%以上となるように形成しておくことが好ましく、セラミック基板の機械的強度も考慮すれば約30%乃至35%の範囲としておくことがより一層好ましい。この場合、空洞部5は、1個に限らず、複数個を、例えばその上下方向の内径の合計がセラミック基板7の25%以上となるようにして形成してもよい。
【0030】また更に前記空洞部5は、略円柱状とするとともに分割溝6と上下に平行になるようにして形成しておくと、その形成が容易で、セラミック基板7に撓みによる曲げ応力を印加し、分割溝6に沿って切断する際、曲げ応力を空洞部5の上端部および下端部に集中させ易くなって亀裂の進行方向をより一層正確に分割線6の直下方向に矯正させることができる。従って、前記空洞部5は、略円柱状とするとともに分割溝6と上下に平行となるように形成しておくことが好ましい。
【0031】更にまた前記空洞部5は、セラミック基板7の外周端よりも内側の部位までとして形成することが好ましく、セラミック基板7の外周端まで達するようにして形成すると、セラミック基板7の分割溝6形成部位の機械的強度が低下し、搬送、取扱時等に誤って加わった外力により割れてしまう危険性がある。
【0032】かくして得られた配線基板9は、絶縁基体Bの上面に半導体素子や容量素子、抵抗器等の電子部品が搭載されるとともに各電子部品の電極が配線導体8に電気的に接続され、これによって各電子部品はその各々が配線導体8を介して互いに電気的に接続されるとともに外部電気回路に接続されることとなる。なお本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば種々の変更は可能であり、例えば、上述の実施例ではセラミック基板7を、該セラミック基板7の上面に設けた分割溝6に沿って下面側に撓ませることによって個々の配線基板に分割する例で説明したが、これをセラミック基板7の下面に設けた分割溝6に沿ってセラミック基板7を上面側に撓ませることによって個々の配線基板に分割させてもよい。この場合、空洞部5はセラミック基板7の下面から1/2の厚み以内に形成しておく必要がある。
【0033】
【発明の効果】本発明の配線基板の製造方法によれば、セラミック基板の分割溝の直下に位置する内部で、分割溝の形成されている面からセラミック基板の1/2の厚み以内に空洞部を形成したことから分割溝底部と空洞部との距離が近いものとなり、その結果、セラミック基板に撓みによる曲げ応力を印加し、分割溝に沿って切断する際、分割溝の底部に形成された小さな亀裂の進行方向は、曲げ応力が分割溝直下に形成された空洞部の上端部および下端部に集中することにより効果的に矯正されてセラミック基板の分割溝の直下方向となり、これによってセラミック基板を分割溝に沿ってバリやカケ等を発生することなく確実、かつ綺麗に切断することができ、所定の配線導体、所定の外形寸法を有する配線基板を一度に多数個形成することが可能となる。
【出願人】 【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
【出願日】 平成12年5月22日(2000.5.22)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−332856(P2001−332856A)
【公開日】 平成13年11月30日(2001.11.30)
【出願番号】 特願2000−150056(P2000−150056)