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【発明の名称】 電磁波シールド粘着シート
【発明者】 【氏名】河田 肇

【氏名】冨樫 元康

【氏名】吉実 純一

【氏名】佐々木 哲也

【氏名】津久井 啓太

【氏名】今井 光男

【氏名】原 裕之

【氏名】小川 正巳

【氏名】前川 佳範

【氏名】大江 洋造

【氏名】辻 公彦

【要約】 【課題】簡単な構造でもって導電性と粘着力を保持し、しかも不燃性であって建築物に対する施工性にも優れた粘着テープを提供する。

【解決手段】目付量が100〜500g/m2のニッケル製基材3a、3bの一方の面に膜厚20μm以上の絶縁性粘着層4が形成され、かつニッケル製基材3a、3b同士が端部で所定寸法L(少なくとも10mm)以上互いに重ね合わされている。そして、重ね合わされた重合部5で電磁波は多重反射して減衰し、これにより電磁波の室内への侵入や室外への漏洩を防止する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 電磁波の建築物室内への侵入及び建築物室外への漏洩を遮蔽するための電磁波シールド粘着シートであって、金属製不織布又は金属製発泡体からなる金属製基材の少なくとも一方の面に所定微小膜厚の粘着層が形成され、かつ前記金属製基材同士が所定寸法以上重ね合わせられていることを特徴とする電磁波シールド粘着シート。
【請求項2】 前記所定寸法は、少なくとも10mmであることを特徴とする請求項1記載の電磁波シールド粘着シート。
【請求項3】 前記粘着層が、絶縁性部材で構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の電磁波シールド粘着シート。
【請求項4】 電磁波の建築物室内への侵入及び建築物室外への漏洩を遮蔽するための電磁波シールド粘着シートであって、金属製不織布又は金属製発泡体からなる金属製基材の少なくとも一方の面に所定微小膜厚の粘着層が形成され、かつ該粘着層には導電性部材が含有されていることを特徴とする電磁波シールド粘着シート。
【請求項5】 前記金属製基材の単位面積当たりの重量は、100〜500g/m2であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の電磁波シールド粘着シート。
【請求項6】 体積方向の抵抗値が0.1Ω/6.25cm2以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の電磁波シールド粘着シート。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電磁波シールド粘着シートに関し、より詳しくは、違法CB(Citizen Band)無線や携帯電話等から発する電磁波が室内に侵入するのを防止したり、病院の電気メスや高周波設備から放たれる電磁波の室外への漏洩を防止する電磁波シールド粘着シートに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、パーソナルコンピュータや携帯電話等の各種通信機器や、工場におけるロボット、数値制御を利用したNC加工機、計測機器、更には病院の医療器具等、情報伝達手段として電磁波を積極的に使用した電子機器が増加している。
【0003】そして、今日では、路上での違法CB無線、工場で使用される放電加工機や溶接機、病院内での電気メスや除細動器等、電磁波ノイズを発する電子機器が日常生活の中でも多く混在し、斯かる電磁波ノイズによる影響、医療器具等の誤動作、機密情報の漏洩・盗聴が社会問題化してきており、したがって電磁波の室内への侵入、室外への漏洩を防止することが重要な課題となってきている。
【0004】そして、このような電磁波の室内への侵入及び室外への漏洩は、建築物の壁面に導電性を付与することにより遮蔽(シールド)できることが知られており、従前より、建築用壁材としての石膏ボードの表面に接着剤を塗布した後、該接着剤の表面に導電性シートを貼着することにより、電磁波の室内への侵入・室外への漏洩を遮蔽することが行われている。
【0005】しかしながら、このような電磁波シールド工法においては、接着剤を石膏ボードに塗布する塗布工程と、導電性シートを接着剤に貼着する貼着工程とが必要となるため、作業工程の煩雑化を招来し、施工性に劣るという欠点があった。
【0006】そこで、このような欠点に対処し得る導電性粘着シートとして、天然繊維や合成繊維で構成された導電性繊維の内部に粘着剤を含浸させることにより、導電性シートの表面に粘着性を持たせた導電性粘着シートが既に知られている(例えば、特開平5−299881号公報)。
【0007】該導電性粘着シートは、少なくとも片面に位置する粗の層と密の層とからなる導電加工された繊維シートであり、該粗の層の繊維間空隙を主体として粘着剤が前記繊維シートに付着している。そして、該導電性粘着シートは、粗の層及び密の層により導電性を保持して優れた電磁波シールド性を確保すると共に、粗の層に粘着剤が含有されているので該導電性粘着シートを石膏ボードに押圧すると粗の層から粘着剤が滲出し、これにより粘着力を発揮することができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来技術は、導電性繊維が天然繊維や合成繊維を基材としているため燃え易く、建築物への使用には適さないという問題点があった。
【0009】本発明はこのような事情に鑑みなされたものであって、簡単な構造でもって電磁波シールド性能を確保し、しかも不燃性であって建築物に対する施工性にも優れた粘着テープを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、所望の電磁波シールド効果を有すると共に、施工性に優れた粘着シートを簡易且つ低コストで得るべく鋭意研究をした結果、金属製基材同士を所定寸法以上重ね合わせることにより、金属製基材の導電性と相俟って該金属性基材の重ね合わされた重合部で電磁波の多重反射が起こり、該電磁波が減衰してシールド効果を発揮するという知見を得た。
【0011】本発明は斯かる知見に基づきなされたものであって、本発明に係る電磁波シールド粘着シートは、金属製不織布又は金属製発泡体からなる金属製基材の少なくとも一方の面に所定微小膜厚の粘着層が形成され、かつ前記金属製基材同士が所定寸法以上重ね合わせられていることを特徴としている。
【0012】上記構成によれば、金属製基材同士が所定寸法以上重ね合わせられることにより、電磁波が減衰してシールド効果を発揮し、したがって該粘着シートを建築用壁材の表面に貼着することにより、電磁波の室内への侵入及び室外へ漏洩を防止することができ、簡易且つ低コストでもって施工性に優れた粘着シートを得ることができる。しかも、金属製基材は、天然繊維や合成繊維と異なり不燃性基材であるため、建築物への使用に好適したものとなる。
【0013】また、本発明者等の研究結果により、所望のシールド効果を発揮するためには、前記金属性基材同士を少なくとも10mm以上重ね合わせる必要があることが判った。
【0014】したがって、本発明の電磁波シールド粘着シートは、前記所定寸法は少なくとも10mmであることを特徴としている。
【0015】また、本発明の電磁波シールド粘着シートは、上述の如く金属製基材同士を所定寸法以上重ね合わせるのみで所望のシールド効果を発揮することができるので、粘着層自体が必ずしも導電性を有する必要はなく、粘着層を絶縁性部材で構成することができる。
【0016】さらに、粘着層に導電性部材を含有させた場合は、金属製基材と粘着層とが電気的に接触するため、粘着シートは常に導電性を有することとなり、これにより上述と同様の電磁波シールド性能を発揮することができる。
【0017】したがって、本発明の電磁波シールド粘着シートは、金属製不織布又は金属製発泡体からなる金属製基材の少なくとも一方の面に所定微小膜厚の粘着層が形成され、かつ該粘着層には導電性部材が含有されていることをも特徴としている。
【0018】上記構成によれば、金属製基材と粘着層とが電気的に接触し、これにより粘着シートは常に導電性を有することとなるため、上記所定寸法以下でもって金属性基材同士を重ね合わせた場合や該金属性基材同士を重ね合わせずに端部を密着させて施工した場合であっても所望の電磁波シールド性能を確保することができ、電磁波の室内への侵入・室外への漏洩を防止することができる。
【0019】また、金属製基材が良好な導電性を有すること、及びコスト面を考慮すると、前記金属製基材の単位面積当たりの重量、すなわち目付量は、100〜500g/m2であることが好ましい。
【0020】そこで、本発明の電磁波シールド粘着シートは、前記金属製基材の単位面積当たりの重量が、100〜500g/m2であることを特徴としている。
【0021】尚、所望の高遮蔽性能(例えば、周波数100MHzで100dB以上)を得るためには電磁波シールド粘着シートの体積方向の抵抗値は、1辺2.5cm(約1インチ)の正方形当たり0.1Ω以下、すなわち0.1Ω/6.25cm2以下であることが好ましい。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
【0023】図1は本発明に係る電磁波シールド粘着シート(以下、単に「粘着シート」という)の使用状態を示す要部断面図であって、該粘着シート1は、建築用壁材2の一方の表面全域に亙って貼着されている。
【0024】図2は図1をA方向から視た図であり、図3は図2をB方向から視た図である(但し、建築用壁材2は図示省略している)。
【0025】すなわち、粘着シート1は、ニッケル製不織布又はニッケル製発泡体からなる目付量100〜500g/m2のニッケル製基材(金属製基材)3a、3bの一方の表面に膜厚20〜100μmの絶縁性粘着層4a、4bが形成されており、絶縁性粘着層4a、4bを形成したニッケル製基材3a、3bが互いに重ね合わされて所定寸法Lの重合部5が形成されている。
【0026】そして、本粘着シート1は、このようにニッケル製基材3a、3bを互いに重ね合わせることにより、図4の仮想線に示すように、例えば室外から室内に侵入しようとする電磁波が、多重反射されて減衰され、これにより電磁波の室内への侵入を阻止することができる。同様に、電子機器等により室内に放たれた電磁波の室外への漏洩も阻止することができる。
【0027】本実施の形態では、前記所定寸法Lが少なくとも10mm以上に設定され、また上述の如くニッケル製基材3の目付量が100〜500g/m2、絶縁性粘着層4の膜厚が20〜100μmに夫々設定されている他、ニッケル製基材3の膜厚が0.3〜2mm、ニッケル純度は95%以上に設定されており、以下、その理由について述べる。
【0028】(a)重合部5の所定寸法L上述したように、一方の表面に絶縁性粘着層3a、3bを形成したニッケル製基材4a、4bを互いに重ね合わせて重合部5を形成することにより、該重合部5で電磁波が多重反射し、これにより電磁波の室内への侵入及び室外への漏洩を阻止してシールド性能を発揮することができるが、重合部5の所定寸法が10mm未満では充分なシールド効果を発揮することができず、本実施の形態では所定寸法を少なくとも10mm以上、好ましくは30mm以上に設定するのが望ましい。尚、所定寸法Lを上述の如く10mm以上(好ましくは30mm以上)に設定することにより電磁波の室内への侵入・室外への漏洩を回避することができ、その上限については特に限定されるものではないが、施行面やコスト面等を考慮すると100mm以下とするのが好ましい。
【0029】(b)絶縁性粘着層4の膜厚本実施の形態ではニッケル製基材3を互いに重ね合わせ、電磁波の多重反射により該電磁波を減衰させているため、絶縁性粘着層4の作用としては陶板等に対して所望の接着力を有することが最重要である。しかしながら、絶縁性粘着層4の膜厚が20μm未満の場合は膜厚が薄すぎるため充分な接着力を発揮することができず、生産技術的にも大量生産することが困難となる。一方、絶縁性粘着層4の膜厚が20μm以上の場合は所望の接着力を発揮することができ、したがって該膜厚の上限は特に限定されるものではないが、性能やコスト面を考慮すると前記膜厚を100μm以下とするのが好ましい。そこで、本実施の形態では、絶縁性粘着層4の膜厚を20〜100μmに設定した。
【0030】(c)ニッケル製基材3の目付量ニッケル製基材3の目付量は、ニッケル製基材3自体の導電性付与に関係し、ニッケル製基材3自体に導電性を付与することによっても電磁波シールド性の向上に寄与するが、その目付量が100g/m2未満の場合は所望の導電性が付与されないため充分な電磁波シールド性能を得ることができず、しかも粘着シート1としての機械的強度も低下する。一方、目付量が500g/m2を超えた場合は電磁波シールド性能は飽和状態となり、またコスト的に高価なものとなる。そこで、本実施の形態では、ニッケル製基材3の目付量を100〜500g/m2、好ましくは150〜400g/m2に設定した。
【0031】(d)ニッケル製基材3の膜厚ニッケル製基材3は、それ自体導電性を有し、電磁波のシールド効果に貢献するが、粘着シート1を建築物に貼着する場合、複数枚の粘着シートが重ね合わされて施行されることがあり、このため膜厚が2mmを超える場合は段差が生じて壁面に凹凸が生じる。一方、膜厚を0.3mm未満とすると機械的強度が低下したり、シールド性能が低下する。そこで、本実施の形態では、ニッケル製基材3の膜厚を0.3mm〜2mmに設定した。
【0032】(e)ニッケル材料の純度ニッケル製基材3を形成するニッケル材料の純度は、粘着シート1の電磁波シールド性能に影響を及ぼす因子であり、ニッケル材料の純度が95%未満の場合は粘着シート1の電磁波シールド性能が低下するため、本実施の形態ではニッケル材料の純度を95%以上に設定した。
【0033】尚、粘着シート1の抵抗値は、本実施の形態では、所望のシールド性能を得るべく、1辺2.5cm(約1インチ)の正方形当たり0.1Ω以下、すなわち0.1Ω/6.25cm2以下となるように設定されている。すなわち、所定寸法の粘着シート1から1辺2.5cmの正方形を切出し、シートの厚さ方向の抵抗値が、0.1Ω以下となるように設定されている。
【0034】また、絶縁性粘着層4を形成する粘着剤としては、アクリル樹脂系、ウレタン樹脂系、シリコン樹脂系、或いはゴム系のバインダ材料を使用することができる。
【0035】次に、上記粘着シート1の製造方法を説明する。
【0036】ニッケル製基材3としてニッケル不織布を使用する場合は、ピッチ系炭素繊維に対しニッケルメッキを施し、次いで、所定の熱処理を行って炭素繊維を除去した後、転圧し、膜厚0.3〜2mmのニッケル不織布を作成する。
【0037】一方、所定量の固形分を含有したアクリル樹脂等の粘着剤と所定の架橋剤とを粘着剤:架橋剤=100:1.2の割合で混合させて攪拌し、絶縁性の粘着剤を作成する。
【0038】次いで、剥離紙の表面に前記粘着剤を塗布した後、乾燥させ、この後粘着剤の塗布面とニッケル不織布とを対面にして両者を重ね合わせ、温度80℃に加熱したロールでもって20kPa以上の加圧力で加圧し、これによりニッケル不織布の表面に絶縁性粘着層が積層された粘着シートが製造される。
【0039】この後、剥離紙を粘着シート1から剥離させて粘着層の表面を石膏ボードに貼着する。このとき、シート同士の端部を、重ね代が10mm以上となるように互いに重ね合わせ、このようにして建築物用壁面を形成する。
【0040】そして、本実施の形態によれば、粘着層自体が導電性を有さず絶縁性を有している場合であっても絶縁性粘着層が表面に形成された金属製基材を重ね合わせることにより、重合部5での多重反射によって電磁波が減衰し、これにより建築物の室内への電磁波の侵入及び室外への電磁波の漏洩を遮蔽することができ、簡易且つ低コストでもって施工性に優れた粘着シートを得ることができる。
【0041】尚、上記実施の形態では、ニッケル基材3としてニッケル不織布を使用しているが、該ニッケル不織布に代えて、ニッケル発泡体を使用してもよい。この場合は、例えば、所定の発泡倍率を有する軟質ウレタンに対して無電解銅メッキを施した後、ニッケルメッキを施し、焼成を行ってウレタン成分を除去することにより高純度なニッケル発泡体を得ることができる。
【0042】図5は本発明に係る第2の実施の形態の粘着シートの要部断面図であって、本第2の実施の形態では、絶縁性粘着材料6の内部に多数の導電性粒子7を含有して導電性粘着層8を形成し、該導電性粘着層8がニッケル製基材3の表面に積層されている。
【0043】本第2の実施の形態では、導電性のニッケル製基材3の表面に導電性粘着層8が積層されているので、ニッケル製基材3と導電性粘着層8とが電気的に接触し、これにより重合部5が所定寸法Lより短い場合や、ニッケル製基材3同士が重ね合わせず端部を密着させて建築物壁面を施工する場合であっても粘着シートは常に導電性を有することとなる。
【0044】また、本第2の実施の形態では前記導電性粘着層8の膜厚は、20〜100μmに設定している。
【0045】すなわち、導電性粘着層8の膜厚は、粘着シート1の導電性付与状態に影響を及ぼすが、導電性粘着層8の膜厚が100μmを超える場合は膜厚が厚すぎて粘着シート1に充分な導電性を付与することができない。一方、導電性粘着層8の膜厚が20μm未満の場合は膜厚が薄すぎるため充分な粘着力を発揮することができず、生産技術的にも大量生産することが困難となる。そこで、本実施の形態では、絶縁性粘着層4の膜厚は20〜100μm、好ましくは、30〜70μmに設定した。
【0046】尚、導電性粒子としては、ニッケル粒子、銅粒子、或いは炭素粒子を使用することができ、特にカルボニル法で作製されたニッケル粒子が好適する。
【0047】また、本第2の実施の形態の粘着シート1も、上記第1の実施の形態と同様の方法で製造されるが、前記導電性粘着層8中の導電性粒子は、接着力と導電性とのバランスから粘着剤100に対して30〜80部の割合で配合される。
【0048】尚、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。上記実施の形態ではニッケル製基材3の一方の面に絶縁性粘着層4又は導電性粘着層8を形成しているが、ニッケル製基材3の両面に絶縁性粘着層4又導電性粘着層8を形成したり、或いは一方の面に絶縁性粘着層4、他方の面に導電性粘着層8を形成し、2個の建築用壁材間に挟着可能としてもよい。
【0049】
【実施例】次に、本発明の実施例を具体的に説明する。
【0050】〔第1の実施例〕本発明者等は、まず、導電性粒子を含有していないニッケル不織布の端部同士を重ね合わせ、重ね代(所定寸法L)のシールド性能に及ぼす影響を調べた。
【0051】すなわち、ピッチ系炭素繊維の対し無電解ニッケルメッキを施し、次いで、温度1300℃で焼成を行って炭素繊維を除去し、これにより膜厚が0.8mm、純度が98%、目付量が400g/m2のニッケル不織布を作成した。
【0052】次に、粘着剤として厚さ1mmのブチルテープを使用し、図6に示すように、該ブチルテープ12を介してニッケル不織布11を板厚2.0mmのアルミニウム製金属板13に重ね合わせ、重合部5の重ね代(所定寸法L)を変えて周波数(MHz)とシールド性能(dB)との関係を測定した。
【0053】図7は所定寸法Lを変えた場合の周波数とシールド性能との関係を示す特性図であって、横軸は周波数(MHz)、縦軸はシールド性能(dB)を示している。また、図中、■印は所定寸法Lが50mm、×印は所定寸法Lが40mm、△印は所定寸法Lが30mm、□印は所定寸法Lが20mm、●印は所定寸法Lが10mm、及び〇印は所定寸法Lが5mmの場合を示している。尚、前記シールド性能は挿入損失法により周波数が1000MHz〜3000MHzの範囲で測定した。
【0054】この図7から明らかなように、所定寸法Lが5mmの場合は重合部5の重ね代が小さいため、電磁波シールド性能が30dB以下となって十分な電磁波シールド効果を発揮することができないのに対し、所定寸法Lが10mm以上の場合は電磁波シールド性能が少なくとも30dB以上となり、しかも所定寸法Lが長くなればなる程、優れた電磁波シールド性能を得ることができることが判る。
【0055】〔第2の実施例〕次に、本発明者等は、本発明範囲内となる実施例1〜3、及び本発明範囲外となる比較例1、2の各試験片を作成し、粘着シート1のシールド性能を調べた。
【0056】(実施例1)上記第1の実施例と同様、ピッチ系炭素繊維の対し無電解ニッケルメッキを施し、次いで、温度1300℃で焼成を行って炭素繊維を除去し、これにより膜厚が0.8mm、純度が98%、目付量が400g/m2のニッケル不織布を作成した。
【0057】次に、粘着剤、架橋剤、及び導電性粒子とを粘着剤:架橋剤:導電性粒子=100:1.2:15の割合で混合させて攪拌し、導電性粘着剤を作成した。尚、粘着剤としては分子量が400,000、固形分が42%の市販のアクリル系粘着剤を使用し、架橋剤としてはイソシアネート系の固形分が45%の市販のものを使用し、また、導電性粒子としては市販のニッケル粉末を使用した。
【0058】次いで、乾燥後の導電性粘着層8の膜厚が35μmとなるように、アプリケータを用いて剥離紙の表面に導電性粘着剤を塗布した後、温度80℃の下、3分間乾燥させた。そして、この後、導電性粘着剤の塗布面とニッケル不織布とを重ね合わせ、温度80℃に加熱したロールにより20kPa以上の加圧力でもってラミネートし、これによりニッケル不織布の表面に導電性粘着層8が積層された粘着シート1を製造した。
【0059】(実施例2)次に、本発明者等は、ウレタンフォームに無電解メッキを施し、次いで、温度800℃で焼成を行ってウレタンフォームを除去し、これにより膜厚が1.0mm、純度が98%、目付量が390g/m2のニッケル発泡体を作成した。
【0060】次に、粘着剤、架橋剤、及び導電性粒子とを粘着剤:架橋剤:導電性粒子=100:1.2:15の割合で混合させて攪拌し、導電性粘着剤を作成した。尚、粘着剤及び架橋剤は、上記実施例1と同様、アクリル系粘着剤(分子量:400,000、固形分42%)及びイソシアネート系架橋剤(固形分45%)を使用し、また導電性粒子としては市販の銅粉末を使用した。
【0061】次いで、乾燥後の導電性粘着層8の膜厚が40μmとなるように、アプリケータを用いて剥離紙の表面に導電性粘着剤を塗布した後、温度80℃の下、3分間乾燥させた。そして、この後、導電性粘着剤の塗布面とニッケル発泡体とを重ね合わせ、温度80℃に加熱したロールにより20kPa以上の加圧力でもってラミネートし、これによりニッケル発泡体の表面に導電性粘着層8が積層された粘着シート1を製造した。
【0062】(実施例3)次に、実施例1と同一仕様のニッケル不織布を作成すると共に、実施例1と同様のアクリル系粘着剤(分子量:400,000、固形分42%)及びイソシアネート系架橋剤(固形分45%)を使用し、粘着剤:架橋剤=100:1.2の割合で混合させて攪拌し、絶縁性粘着剤を作成した。
【0063】次いで、乾燥後の絶縁性粘着層4の膜厚が40μmとなるように、アプリケータを用いて剥離紙の表面に絶縁性粘着剤を塗布した後、温度80℃の下、3分間乾燥させた。そして、この後、絶縁性粘着剤の塗布面とニッケル不織布とを重ね合わせ、温度80℃に加熱したロールにより20kPa以上の加圧力でもってラミネートし、これによりニッケル不織布の表面に絶縁性粘着層4が積層された粘着シート1を製造した。
【0064】次いで、このようにして製造した粘着シート1に対し重ね代が20mmとなるようにその端部同士を互いに重ね合わせ、重合部5をハンマーで叩いて厚さを略均一とし、試験片とした。
【0065】(比較例1)天然繊維を下地に使用し、該天然繊維の表面にニッケルメッキを施して厚さが50μmのニッケルメッキ不織布を作成し、粘着剤として実施例3で作成した絶縁性粘着剤を使用し、乾燥後の絶縁性粘着層4の膜厚が35μmとなるように実施例1〜3と同様の方法で粘着シートを作成した。
【0066】(比較例2)次に、上記各実施例と同様、ピッチ系炭素繊維の対し無電解ニッケルメッキを施し、次いで、温度1300℃で焼成を行って炭素繊維を除去し、これにより膜厚が0.8mm、純度が98%、目付量が80g/m2のニッケル不織布を作成した。
【0067】次いで、実施例3で作成した絶縁性粘着剤4を使用し、乾燥後の絶縁性粘着剤の膜厚が40μmとなるように、実施例3と同様の方法でニッケル不織布の表面に絶縁性粘着層4が積層された粘着シート1を製造した。
【0068】表1は、各試験片の仕様とシート特性の測定結果を示したものである。
【0069】
【表1】

【0070】ここで、接着力は、試験片を20mm幅に切断し、該試験片を陶板に対し2kgローラで1往復加圧して該試験片を陶板に貼着し、次いで温度23℃、湿度65%の雰囲気下で7日間放置した後、300mm/minの速度で180°方向に引き剥がした際の力を測定した。
【0071】また、体積方向の抵抗値は、2.5cm四方の電極間に粘着シートを挿入し、19.7Nの面圧を負荷しながら10μAの直流電流を通電させて測定した。
【0072】また、シールド性能は、KEC((社)関西電子工業振興センター)法により電界で周波数300MHzのシールド効果を測定した。
【0073】この表1から明らかなように、比較例1は、体積方向の抵抗値は4Ω/6.25cm2以上と大きいものの、ニッケルメッキを下地に施しているため面積方向の導電性が良好であり、このためシールド性能としては比較的良好な結果が得られた。しかしながら、下地に天然繊維を使用しているため基材自体が可燃性を有し、したがって建築物への使用には適さないものである。
【0074】また、比較例2は基材として使用しているニッケル不織布の目付量が80g/m2であって、100g/m2以下と小さいため、シールド性能が50dBと実施例1〜3に比べ、相対的に低い。
【0075】これに対して実施例1、2は、ニッケル不織布又はニッケル発泡体の表面に導電性粘着層が形成されているので、体積方向の抵抗値が0.01Ω/6.25cm2と小さく導電性が良好であり、シールド性能も100dBと優れていることが判る。
【0076】また、実施例3は、ニッケル不織布の表面に絶縁性粘着層を形成すると共に、端部同士を20mm重ね合わせたものであり、抵抗値が0.06Ω/6.25cm2と0.1Ω/6.25cm2以上あり、シールド性能も80dBと比較例1、2に比べて高く、優れていることが判る。
【0077】尚、実施例1〜3については、ボルトを指し込んだコンクリート上に粘着シートを貼着し、指圧で粘着シートにボルトを馴染ませた後の追従性を目視で観測したところ、追従性には問題がないことが確認された。
【0078】
【発明の効果】以上詳述したように本発明に係る粘着シートは、目付量が100〜500g/m2の金属製不織布又は金属製発泡体からなる金属製基材の少なくとも一方の面に粘着層が形成され、かつ前記金属製基材同士が所定寸法(10mm)以上重ね合わされているので、該重ね合わされた重合部で電磁波は多重反射して減衰され、これにより粘着シートを建築用壁材の表面に貼着した場合、電磁波の室内へ侵入及び室外への漏洩を防止することができ、簡易且つ低コストでもって施工性に優れた粘着シートを得ることができる。しかも、金属製基材は、天然繊維や合成繊維と異なり不燃性基材であるため、建築物への使用に好適したものとなる。
【0079】また、金属製不織布又は金属製発泡体からなる金属製基材の少なくとも一方の面に導電性粘着層が形成されることにより、金属製基材と導電性粘着層とが電気的に接触して粘着シートには常に充分な導電性が付与され、これにより金属製基材同士が所定寸法未満で重ね合わせられた場合や、金属製基材の端部同士を密着させて施工した場合であっても電磁波の室内への侵入及び室外への漏洩を防止することができる。
【出願人】 【識別番号】594075765
【氏名又は名称】日本板硝子環境アメニティ株式会社
【識別番号】000191065
【氏名又は名称】新日軽株式会社
【識別番号】592095631
【氏名又は名称】高橋カーテンウォール工業株式会社
【識別番号】390008419
【氏名又は名称】大塚オーミ陶業株式会社
【識別番号】500045062
【氏名又は名称】前川 佳範
【識別番号】000154288
【氏名又は名称】株式会社富士精工本社
【出願日】 平成12年3月15日(2000.3.15)
【代理人】 【識別番号】100081880
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 敏彦
【公開番号】 特開2001−267788(P2001−267788A)
【公開日】 平成13年9月28日(2001.9.28)
【出願番号】 特願2000−72355(P2000−72355)